| 【発明の名称】 |
プール、クーリングタワー、及び水循環系における水処理剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】染谷 典央
【氏名】鶴留 貴之
【氏名】キム ジン マン
【氏名】チェ キ スン
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】プールの殺菌や飲料水の防腐などに使用された経験のある、グアニジン系有機化合物(ポリヘキサメチレンリン酸グアニジン)を水処理剤組成物として利用することにより、魚類等の水環境に悪影響を与えることなく、細菌類、カビ類、藻類、プランクトン、貝類等の増殖、発生を、長期的にそして持続的に防止する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】グアニジン系有機化合物(ポリヘキサメチレンリン酸グアニジン)を有効成分とするプール、クーリングタワー、及び水循環系における水処理剤。 【請求項2】請求項1の塩基は、リン酸塩だけに限定されるものではなく、塩基部位が塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機塩、またはカルボン酸等の有機酸塩であるグアニジン系化合物を有効成分とする、プール、クーリングタワー、及び水循環系における水処理剤。 【請求項3】請求項1に記載の、ポリヘキサメチレンリン酸グアニジンを、水処理剤の有効成分として、0.005〜10.0重量%含むプール、クーリングタワー、及び水循環系における水処理剤。 【請求項4】併用水処理剤として、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、n−メチルイソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−n−メチルイソチアゾリン−3−オンなどのチアゾリン系有機化合物を、請求項1のポリヘキサメチレンリン酸グアニジン使用量に対して1.0〜99.0重量%追加投入が可能な、請求項1に記載のプール、クーリングタワー、及び水循環系における水処理剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、細菌類、真菌類、藻類、貝類やプランクトン、の発生を防ぐ、プール、クーリングタワー、及び水循環系における水処理剤に関するものである。 【0002】 【従来の技術】冷却水、装飾池、プールといった、水性系において、微生物の存在はこれらの系を汚染したり、美観を損ねたり、機能障害を引き起こす可能性がある。例えば、クーリングタワーは、空調や生産プロセス用の熱交換器に使用されているが、適切な水質管理を怠ると、その配管内部に微生物が蓄層することによって、冷却効率が低下したり、腐食、スケールの進行や、タワー全体の熱移動能力が低下するといった、障害が発生する。また、原子力発電所や火力発電所等の、冷却水を利用している施設においては、流入溝に発生した貝類等の付着生物による冷却効率の低下が、発電能力をダウンさせ、最悪の場合、火災事故の要因につながることも考えられる。また、プール、公衆浴場等の複数の人間が利用する施設においては、レジオネラ、大腸菌などの微生物の繁殖による集団感染の恐れもある。 【0003】これらの微生物の汚染、腐食、劣化等を防ぐ目的で、広範囲の化合物の開発、研究が行われてきた。そのいくつかの例としては、塩素/臭素化合物、グルタルアルデヒド、トリアジン系化合物、イソチアゾリン系化合物、有機スズ化合物、亜酸化銅、ロダン銅などの銅化合物、第4級アンモニウム化合物などが挙げられる。しかしながら、これらの物質の中で、毒性やpH、温度感受性、化学安定性、生分解性、適合性などの点に欠陥があり、すべてに対応可能な化合物は存在しないのが現状である。例えば、塩素/臭素といったハロゲン系化合物の場合、臭気の問題やクーリングタワー内部皮膜の損傷を引き起こしてしまう。また、水溶性薬剤に関しては、微生物だけでなく魚類にも影響を与える可能性があるため、至適使用量を添加することができず、その結果、微生物や藻類の発生を十分に抑えることがないという欠点があった。 【0004】また、従来の方法では、薬剤を投与した時点で一時的に微生物の発生、活動を防ぐことはできても、その抗微生物作用に持続性が伴わないため、再び微生物が汚染されることもある。この場合、微生物が発生するたびに薬剤を投与することになり、手間、そしてコストがかかり、その度ごとに魚類に与える影響も大きくなる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記の問題を解決する、環境に悪影響を与えず、微生物や藻類、貝類プランクトンに対して長期的に、そして持続して除菌、防藻性能を示す、プール、クーリングタワー、または水循環系で使用可能な、新規な水処理剤を提供することにある。 【0006】また、本発明の他の目的としては、これら処理された、または制御された系において不快な副生成物のの臭気、退色、または悪影響を与えることなく、微生物制御の方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明では、下記化学構造式で表される、グアニジン系有機化合物(ポリヘキサメチレンリン酸グアニジン、以下PHMGと表す)をプール、クーリングタワー、または水循環系における水処理剤として使用することにより、各種微生物に対し即効性、持続性を示し、上記目的に合致することを見い出した。本発明のPHMGは、広範囲の抗菌防カビスペクトルを有しながらも、人体や他の動植物に対する影響はほとんど陰性という結果が得られており、用途、基準に合致する使用量を、問題なく利用することが可能である。PHMGの構造は化学式1の通りである。 【0008】 【化1】
【0009】一般式(1)で示される構造において、反応部位の重合度、m、およびnの値が3以上、すなわち、分子量1,000以上の化合物において、顕著に抗菌・防カビ・防藻性能を発揮することを見い出した。 【0010】本発明のプール、クーリングタワー、及び水循環系における水処理剤におけるPHMGの含有量は、成分比率で0.005〜10.0重量%であり、好ましくは0.01〜5.0重量%が適当である。プール、クーリングタワー、及び水循環系、またはマトリックス材を用いた設置による水処理において、微生物抵抗性を付与する際には、本発明の組成物を被覆または含浸組成物中に、約0.0001%〜2.0%の濃度で配合することが好ましい。 【0011】プール、クーリングタワー、及び水循環系における水処理剤において、本発明のPHMGは、単独使用でも十分な抗微生物作用を有しているが、必要に応じて水処理剤として、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどのチアゾリン系有機化合物をゲスト化合物として併用することが可能である。その場合、PHMGに対して、1.0〜99.0重量%の追加投入、もしくは配合が望ましい。 【0012】本発明のプール、クーリングタワー、及び水循環系における水処理剤は、必要に応じて従来の防錆剤を配合することが可能である。例えば、無機系では亜硝酸塩、クロム酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩などが、また有機系では有機リン酸塩、アミン類、アルキルフェノール類、ヒドラジン類、メルカプタン類などが使用可能である。ただし、水処理剤中で溶解もしくは分散可能なものであればよく、これら例示のみに特に限定されるものではない。 【0013】本発明の別の目的として、水に本発明の組成物を投入溶解・循環させる手段以外にも、(1)塗料状に成型した水処理剤の、保持具を介した水中設置や、(2)繊維状の水処理剤を不織布化しての水中設置、(3)さらには発泡体状の水処理剤としての水中設置などを特徴とする、基礎素材を細菌類や藻類から保護するための清浄仕上げ剤及び被覆剤として使用することにより、上記課題を解決することも可能である。 【0014】以下の実施例は、本発明の多くの用途のうち、ごくわずかのみを示すものである。これらは本発明の例示であって本発明を制限するものではない。 【0015】 【実施例】本発明の組成物をマトリックス材に分散して担持させ、塗料化、繊維化、発泡体化すると、本来は放散、流出しやすいPHMGを水中に確実、かつ安定的に保持させることが可能になる。このことにより、PHMGの細菌やカビ、藻、プランクトンといった微生物、及び貝類に対する発生防止効果を長期的に有効に発揮させることができる。 【0016】(1)で述べた、塗料化されるマトリックス材としては、通常の塗料に用いられる材料、水中で利用されることを考慮に入れると、好ましくは船底塗料等で用いられるものと同じ原料を用いることが好ましい。すなわち、樹脂成分を基本成分として含み、これに着色顔料、可塑剤、添加剤等を必要に応じて適当な割合で混合したものを示す。 【0017】その際の樹脂成分としては、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、フタル酸樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂や、天然樹脂など、一種以上の併用可能な樹脂であれば、従来の水中塗料と同様に使用することが可能である。 【0018】(2)に示した、繊維化されるマトリックス材としても、繊維化する際の熱等でPHMGの分解、変質等を引き起こさなければ、特に素材は限定されるものではない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等などが挙げられる。なお、この繊維化は、従来の方法を使用することができ、例えば、適切な温度に調節された押出機に本発明のPHMGと樹脂を充填して、加熱溶解した後、包接化合物を混合分散し、紡糸口金から溶解紡糸して作成することができる。 【0019】また、(3)に示した、発泡体化されるマトリックス材としては、何らかの反応で液状の原料を3次元状の網状構造を形成するものであれば、特に素材を限定するものではない。例えば、ウレタン、塩化ビニル、ポリエチレン、EVA樹脂、シリコンなどが挙げられる。発泡体形成方法は、従来の手法を利用することができるが、この際、温度管理等の工程上の注意を怠らなければ、どのような手法を用いても問題はない。例えば、ワンショット法、プリポリマ法、フロス発泡法、吹き付け法などが挙げられる。 【0020】次に、本発明の組成物PHMGを溶解・循環させることにより、細菌類、真菌類、藻類、プランクトンといった微生物の発生防止に利用する方法を説明する。用途としては、プール、ビルにおけるクーリングタワー、噴水等、人口施設内における水など、水を介した構造のものであれば特に例外なく使用することができる。 実際には、対象となる水に本発明の組成物を使用者の期待する効果まで、添加・循環させることにより、微生物の発生、増殖を抑制するものである。 【0021】以下、水に本発明の組成物を溶解させた際の、各種微生物に対する最小抑制濃度(MIC:Minimum Inhibitory Concentration)を示す。MICは、適用された生物の生長を完全に抑制するのに必要な化合物の最低レベル(濃度)を表す。 【0022】細菌類のMIC測定は、次のように行った。滅菌したイオン交換水を用いて、純粋培養を行った各種細菌の栄養源入り試験管(ニュートリエント液体培地、105個/ml)10mlを作成する。これら試験管に、本発明のPHMGを既定濃度になるように段階希釈溶液を作成し、37℃で振とう培養を18時間行った。培養後の溶液から、細菌の有無を調べ、判定を下した。なお、試験は、実際に汚染されたクーリングタワーから採取したレジオネラ属菌(レジオネラ・ニューモフィラ)も、同様に試験を行った。その結果を表1に示した。表中のプラス記号は細菌の増殖、生育が認められたもの、マイナス符号は細菌の存在が認められなかったものを表す。 【0023】 【表1】
【0024】上記の細菌に対するMIC値が示すように、本発明の組成物PHMGは、細菌類に対して微量濃度で効果を示すことが確認された。 【0025】真菌類のMIC測定は、次のように行った。滅菌したイオン交換水を用いて、純粋培養を行った及び真菌類の、この操作に、純粋培養を行ったスラントから回収した真菌類の胞子懸濁液(105個/ml)を使用した。これら試験管に、本発明のPHMGを既定濃度になるように添加し、37℃で振とう培養を1週間行った。なお、試験は、実際に汚染されたクーリングタワーから採取した真菌類(クラドスポリウム属、グリオクラディウム属)も用意し、同様に試験を行った。その結果を表2に示した。表中のプラス記号は真菌の増殖、生育が認められたもの、マイナス符号は真菌の存在が認められなかったものを表す。 【0026】 【表2】
【0027】上記の真菌に対するMIC値が示すように、本発明の組成物PHMGは、真菌類に対して微量濃度で効果を示すことが確認された。 【0028】次に、本発明の組成物を水に溶解させた際の、藻類に対する防藻性能を評価した。滋賀県近江八幡市沖島町宮ヶ浜において、琵琶湖から採取した藻類を試験に用いた。採取した藻類からは、藍藻類、珪藻類といった種類が確認された。防藻試験は、本発明の組成物PHMGを藻類の入ったサンプル瓶100mlに既定量添加し、光源の入る室内で25℃の条件で静置し、藻類の生存を経時的に目視で確認した。その結果を表3に示した。表中のプラス記号は藻類の増殖、生育が認められたもの、マイナス符号は藻類の存在が認められなかったものを表す。 【0029】 【表3】
【0030】表2に示したように、本発明の組成物PHMGは、藻類に対して微量濃度で効果を示すことが確認された。 【0031】上記結果を見る限り、本発明のプール、クーリングタワー、及び水循環系における水処理剤は、従来の水処理剤で解決できなかった種々の問題をクリアする、優れた水処理剤であることを証明するものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000208260 【氏名又は名称】大和化学工業株式会社 【識別番号】598079569 【氏名又は名称】エスケーケミカル株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年3月14日(2002.3.14) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−267807(P2003−267807A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−115481(P2002−115481) |
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