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【発明の名称】 工業用抗菌防かび剤
【発明者】 【氏名】水野 和宏
【住所又は居所】静岡県駿東郡小山町湯船1157番16号 株式会社タイショーテクノス研究所内

【氏名】小熊 朗
【住所又は居所】静岡県駿東郡小山町湯船1157番16号 株式会社タイショーテクノス研究所内

【氏名】堀崎 信子
【住所又は居所】静岡県駿東郡小山町湯船1157番16号 株式会社タイショーテクノス研究所内

【要約】 【課題】工業用素材に抗菌・防かび性を附与するに際し、その素材の物性を損なわず、低コストで抗菌・防かび剤を提供すること。

【解決手段】(±)−1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(プロペニルオキシ)エチル]−1H−イミダゾールまたはその酸付加塩類単独、またはこれと、B〜Hからなる群から選ばれる少なくとも1種とを有効成分として含有する工業用抗菌防かび剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (±)−1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(プロペニルオキシ)エチル]−1H−イミダゾールまたはその酸付加塩類(以下A剤と記す)単独またはA剤と、2−ベンツイミダゾリルカルバミン酸アルキルエステル類またはその酸付加塩類(以下B剤と記す)、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールまたはその酸付加塩類(以下C剤と記す)、ジンクビス(2−ピリジンチオ−1−オキサイド)(以下D剤と記す)、α−〔2−(4−クロロフェニル)エチル〕−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4,−トリアゾール−1−エタノール(以下E剤と記す)、3−ヨード−2−プロパギルブチルカーバメート(以下F剤と記す)、3−アセチル−6−メチル−2H−ピラン−2,4(3H)−ジオンまたはそのアルカリ付加塩類(以下G剤と記す)およびn−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(以下H剤と記す)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを有効成分として含有することを特徴とする工業用抗菌防かび剤。
【請求項2】 A剤単独またはA剤と、C剤および/またはG剤とを有効成分とし、澱粉糊系接着剤用である請求項1に記載の工業用抗菌防かび剤。
【請求項3】 A剤単独またはA剤と、C剤および/またはG剤とを有効成分とし、合成樹脂系接着剤用である請求項1に記載の工業用抗菌防かび剤。
【請求項4】 目地セメントまたはモルタル用である請求項1に記載の工業用抗菌防かび剤。
【請求項5】 プラスター、ジョイントセメントまたはモルタル用である請求項1に記載の工業用抗菌防かび剤。
【請求項6】 A剤単独またはA剤と、B剤、C剤、D剤、E剤、F剤およびH剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを有効成分とし、塩化ビニル樹脂製壁紙および塩化ビニル樹脂製床材用である請求項1に記載の工業用抗菌防かび剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業素材や製品に発生する細菌やかびなどの微生物汚染を抑制し、これら微生物の発生に伴って生ずる素材の劣化や品質低下の防止、美観の維持などを目的に使用し、安全性が高く、少量の添加量で高い効力を発揮する工業用抗菌防かび剤に関する。
【0002】
【従来の技術】工業素材や製品に、細菌やかびなどの微生物が発生すると、それらの美観が損なわれたり、素材の劣化や品質低下を引き起こす。その結果として素材や製品の機能を劣化させ、寿命を縮めたり、その価値を著しく低下させることになる。これらの防止に、従来は抗菌防かび剤が単独または混合して使用されることが多いが、特に技術的な基礎に裏付けられて使用されているものではなく、個々に実験して確認して使用してきた。
【0003】一般的に使用される抗菌防かび性化合物には、その抗菌力の強さから有機化合物が多い。具体的な例としては、2−ベンツイミダゾリルカルバミン酸アルキルエステル類、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、ジンクビス(2−ピリジンチオ−1−オキサイド)、α−〔2−(4−クロロフェニル)エチル〕−α−(1,1−)ジメチルエチル)−1H1,2,4−トリアゾール−1−エタノール、3−ヨード−2−プロパギルブチルカーバメート、3−アセチル−6−メチル−2H−ピラン−2,4(3H)−ジオン類、n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−フルオロジクロロメチルチオスルファミド、2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどの化合物が知られている。
【0004】また、抗菌力は弱いが、用途によっては無機化合物が使用されることもあり、具体的な例としては、銀や銅などの金属をゼオライトやリン酸ジルコニウムなどの無機化合物に担持させたものや、酸化亜鉛や酸化チタンなどの金属酸化物などが知られている。
【0005】しかし、これらの抗菌防かび剤は単独では必ずしも広範囲(多くの種類)の微生物に十分な抗菌力を発揮するものではなく、一般的にはその都度2〜3種類の抗菌防かび剤を適宜選んで使用している。また、種類によっては、熱や紫外線などにより分解したり、着色するものもあり、実際に試みて、その結果により実施しているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般的に有機化合物は、熱や紫外線などの影響を受け易いものが多く、抗菌防かび剤として使用される化合物もその例外ではない。工業製品の製造または加工時或いは使用時に熱がかかる場合には、その温度によっては抗菌防かび剤が分解して着色したり、製品の物性に及ぼす悪影響が無視できない場合もある。
【0007】特に抗菌防かび性化合物を、工業用素材の中でもポリオレフィンなどのプラスチックに使用される場合、一部の化合物を除いては加工時にかかる熱により分解し、着色するものが多い。また、紫外線により分解して着色する化合物も多く、紫外線の影響などを軽減するために、紫外線吸収剤、顔料、酸化防止剤などを併用しているが、それらの効果は必ずしも十分ではない。
【0008】一方、建築材料や台所、浴室など、水回りの設備に使用される素材のように、抗菌防かび剤に、耐水性や持続性が求められる場合には、これらの環境条件における抗菌防かび効果の持続性が低い化合物は使用できない。これに対して無機化合物は、熱安定性が高く、耐水性に優れるものもあるが、有機化合物に比べて抗菌防かび効果が一般に弱いため、その素材に十分な抗菌防かび効果を付与させることは難しい。
【0009】このように用途や素材により実際に使用可能な抗菌防かび剤は制限される。また、逆に耐熱性、耐紫外線性、耐水性などの諸条件を充たす汎用性の高い抗菌防かび性化合物は非常に少ないともいえる。たとえ、これら諸条件を満足しても汚染の原因となる微生物種に対する効果が弱くては使用できない。さらに、抗菌防かび剤は広範囲な微生物に対して一律に抗菌防かび効果を示すものは殆どなく、従って効果が弱い薬剤では十分な効果を得るために、しばしば抗菌防かび剤の使用量を増加させざるを得ず、コスト高を招くことにもなる。
【0010】従って、より広範囲な微生物種に効果を有し、さらに種々の環境条件においても安定性の高い抗菌防かび剤を開発することは、微生物汚染による被害の防止抑制におけるコストの低減につながる。本発明者らは、一般工業用途における多くの汚染原因微生物に対する各種抗菌防かび剤の効力に関する研究を基にし、さらに耐熱性、耐紫外線性、耐水性に関する実験を重ね、特に各種の薬剤を一定割合で配合することによって、幾多の厳しい環境条件においても安定性に優れ、広範囲な微生物種に効果のある抗菌防かび剤を見い出すに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、(±)−1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(プロペニルオキシ)エチル]−1H−イミダゾールまたはその酸付加塩類(以下A剤と記す)単独またはA剤と、2−ベンツイミダゾリルカルバミン酸アルキルエステル類またはその酸付加塩類(以下B剤と記す)、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールまたはその酸付加塩類(以下C剤と記す)、ジンクビス(2−ピリジンチオ−1−オキサイド)(以下D剤と記す)、α−〔2−(4−クロロフェニル)エチル〕−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4,−トリアゾール−1−エタノール(以下E剤と記す)、3−ヨード−2−プロパギルブチルカーバメート(以下F剤と記す)、3−アセチル−6−メチル−2H−ピラン−2,4(3H)−ジオンまたはそのアルカリ付加塩類(以下G剤と記す)およびn−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(以下H剤と記す)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを有効成分として含有することを特徴とする工業用抗菌防かび剤を提供する。
【0012】上記本発明の抗菌防かび剤のうちで、特にA剤とその他の抗菌防かび剤とからなる組成物は、多くの微生物に対する抗菌性において相乗効果を示し、単独で使用した場合には充分な効力を示さない低濃度においても有効な抗菌防かび剤であり、さらに各種の環境条件においても着色性の少ない、安定性の高い性質を有することが分かった。
【0013】本発明の抗菌防かび剤は、広範囲な微生物に効果がある。工業用素材の種類や用途により汚染の原因となる微生物は異なるが、広い抗菌スペクトルを有していることから、様々な用途においてもその効果が期待される。すなわち、抗菌防かび剤としては熱や紫外線に対して非常に安定性に優れ、反応性も低いことから、様々な素材に添加することが可能となった。さらに従来の抗菌防かび剤に比べ、物性への影響も少ないことから、十分な効果を発揮できる量の抗菌防かび剤を配合することも可能となった。
【0014】また、本発明の抗菌防かび剤のうちで、特にA剤とその他の抗菌防かび剤とからなる組成物は、A剤やその他有機系抗菌防かび剤をそれぞれ単独で使用した場合の添加量よりも低い添加量で十分な効果を示すことから、抗菌防かび剤の配合量を従来より少なくしても、同様の効果が発揮することが判明した。これにより抗菌防かび剤の配合による素材或いは製品に対する影響を少なくすることが可能となるばかりでなく、少量の添加量で高い効力を発揮し、コストを削減することもできるようになった。
【0015】また、本発明の応用分野としては、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂をはじめとするプラスチック類および酢酸ビニル樹脂のエマルジョン、アクリルエマルジョンなどのエマルジョン系接着剤、澱粉糊や各種施工用パテおよびボンド、さらに塗料、金属加工油などを含む幅広い工業分野での利用が考えられる。また、ここに記載した分野以外の様々な分野に使用される素材に対する工業用抗菌防かび剤として利用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。上記本発明の抗菌防かび剤のうちで、A剤単独、特にA剤と、C剤および/またはG剤とを有効成分とするものは、澱粉糊系接着剤用として有用であり、A剤単独、特にA剤と、C剤および/またはG剤とを有効成分とするものは、合成樹脂系接着剤用として有用であり、上記本発明の抗菌防かび剤は、目地セメントまたはモルタル用、プラスター、ジョイントセメントまたはモルタル用として有用であり、A剤単独、特にA剤と、B剤、C剤、D剤、E剤、F剤およびH剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを有効成分とするものは、塩化ビニル樹脂製壁紙および塩化ビニル樹脂製床材用として有用である。
【0017】上記A剤、B剤およびC剤の酸付加塩類を構成する酸としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、酢酸、乳酸およびスルホン酸誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、G剤のアルカリ付加塩類を構成するアルカリとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよび亜鉛などが挙げられるが、これに限定されるものではない。B剤のエステル類を構成するアルコールは、例えば、メタノール、エタノールおよびプロパノールなどの低級アルコールが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0018】上記A剤は、(±)−1−〔2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(プロペニルオキシ)エチル〕−1H−イミダゾールまたはその酸付加塩類であり、下記化学構造式で表される。

また、付加する酸として、塩酸、リン酸、硫酸、酢酸、乳酸およびスルホン酸誘導体がある。
【0019】また、A剤と配合するB剤は、2−ベンツイミダゾリルカルバミン酸アルキルエステル類またはその酸付加塩類であり、下記化学構造式で表される。

エステル誘導体のアルコール残基(R)として、メチル、エチル、プロピルなどの低級アルコールがある。また、酸として、塩酸、リン酸、硫酸、酢酸、乳酸およびスルホン酸誘導体がある。
【0020】同様に、A剤と配合するC剤は、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールまたはその酸付加塩類であり、下記化学構造式で表される。

また、付加する酸として、塩酸、リン酸、硫酸、酢酸、乳酸およびスルホン酸誘導体がある。
【0021】同様に、A剤と配合するD剤は、ジンクビス(2−ピリジンチオ−1−オキサイド)であり、下記化学構造式で表される。

【0022】同様に、A剤と配合するE剤は、α−〔2−(4−クロロフェニル)エチル〕−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノールであり、下記化学構造式で表される。

【0023】同様に、A剤と配合されるF剤は、3−ヨード−2−プロパギルブチルカーバメートであり、下記化学構造式で表される。

【0024】同様に、A剤と配合されるG剤は、3−アセチル−6−メチル−2H−ピラン−2,4(3H)−ジオンまたはそのアルカリ付加塩類であり、下記化学構造式で表される。

また、付加するアルカリ金属として、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよび亜鉛がある。
【0025】同様に、A剤と配合されるH剤は、n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンであり、下記化学構造式で表される。

【0026】本発明の抗菌防かび剤は、A剤単独またはA剤と、B剤、C剤、D剤、E剤、F剤、G剤およびH剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を配合することを特徴としている。組成物とする場合の配合割合は、A剤100質量部に対してA剤以外の薬剤の単独またはそれらを混合した製剤を1〜10,000質量部、特に1〜400質量部の範囲で配合することが好ましい。A剤に対する配合比率が、上記範囲未満では抗菌防かび効力の点で十分ではない。一方、上記範囲を超えると抗菌防かび性、耐熱性、耐紫外線性および耐水性などの面で効果が減少する。また、A剤と他の薬剤との配合方法は、各薬剤の単なる混合でもよいし、各薬剤を溶剤に溶かして混合してもよい。さらに必要に応じて対象素材に直接配合してもよい。このように本発明は、従来の抗菌防かび剤に比べ、非常に汎用性に優れた工業用抗菌防かび剤を提供する。
【0027】
【実施例】以下に実施例、参考例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において「部」または「%」とあるのは重量基準である。
1)本発明の抗菌防かび剤の配合例を表1〜6に示す。なお、表中の数値は重量比を示す。
【0028】

【0029】

【0030】

【0031】

【0032】

【0033】

【0034】2)上記本発明の製剤および本発明の製剤を構成する薬剤単独使用の場合における各微生物に対する最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。
i)使用培地:酵母および細菌には1%ブドウ糖ブイヨン液体培地を使用した。かびには、ポテトデキストロース培地を使用した。
ii)培養条件:酵母および細菌は、30℃で3日間培養し、かびは、25℃で7日間培養した。
【0035】
iii)使用微生物 本名 : 略名(以下のように略す)
Aspergillus nigerAsp.ni. Aureobasidium pullulansAu.pu. Penicillium funiculosumPen.fu. Cladosporium cladosporioidesCla.cla. Alternaria alternateAlt.alt Ulocladium botrytisUlo.bot. Gliocladium virensGl.vi. Saccharomyces cerevisiaeSac.cer. Torula utilisTor.uti. Staphylococcus aureusStap.au. Escherichia coliE.coli【0036】iv)測定方法それぞれの培地を殺菌した後、各種薬剤を所定の濃度になるように溶解または懸濁し、各微生物をあらかじめ斜面寒天培地上で培養したものから1白金耳接種して、それぞれに適した条件で培養し、一定経過後に生育状況を目視により発育の有無を観察した。
【0037】v)判定各薬剤の各濃度における状況から、最小発育阻止濃度を求め、その結果を比較表I〜XIIとして示した。
【0038】

【0039】比較表Iから、A剤とB剤とをそれぞれ配合することにより、Asp.ni.菌、Au.pu.菌、Pen.fu.菌、Alt.alt.菌、Ulo.bot.菌、Sac.cer.菌およびStap.au.菌に対して明らかに抗菌性に相乗効果が認められた。このように広範囲の微生物に対する抗菌力において相乗効果を示し、また、相互に欠点を補完しあって抗菌・防かび剤として有用な薬剤混合物であることが認められた。
【0040】

【0041】比較表IIからA剤とC剤とをそれぞれ配合することにより、Asp.ni.菌、Pen.fu.菌、Alt.alt.菌、Ulo.bot.菌、Stap.au.菌、Tor.uti.菌およびSac.cer.菌に対して相乗効果が認められた。
【0042】

【0043】比較表IIIから、A剤とD剤とをそれぞれ配合することによりAsp.ni.菌、Pen.fu.菌、Cla.cla.菌、Sac.cer.菌およびStap.au.菌に対して抗菌力において相乗効果を示した。
【0044】

【0045】比較表IVから、A剤とE剤とをそれぞれ配合することにより、Asp.ni.菌、Au.pu.菌、Pen.fu.菌およびSac.cer.菌に対して抗菌力において相乗効果を示した。
【0046】

【0047】比較表Vから、A剤とF剤とをそれぞれ配合することにより、Pen.fu.菌、Sac.cer.菌、Tor.uti.菌およびE.coli菌に対して抗菌力において相乗効果を示した。
【0048】

【0049】比較表VIから、A剤とG剤とを配合することにより抗菌力において、Asp.ni.菌、Au.pu.菌、Cla.cla.菌、Alt.alt.菌、Ulo.bot.菌、Gl.vi.菌、Sac.cer.菌、およびTor.uti.菌に対して相乗効果を示した。
【0050】

【0051】比較表VIIから、A剤とH剤とを配合することにより抗菌力において、Pen.fu.菌、Sac.cer.菌、Stap.au.菌およびE.coli菌に対して相乗効果を示した。
【0052】

【0053】比較表VIIIから、製剤5とE剤とを配合することにより抗菌力において、Alt.alt.菌、Ulo.bot.およびSac.cer.菌に対して相乗効果を示した。
【0054】

【0055】比較表IXから、製剤14とG剤とを配合することにより抗菌力において、Asp.ni.菌、Au.pu.菌、Pen.fu.菌、Cla.cla.菌、Alt.alt.菌、Ulo.bot.菌、Gl.vi.菌およびTor.uti.菌に対して相乗効果を示した。
【0056】

【0057】比較表Xから、製剤15とF剤とを配合することにより抗菌力において、Sac.cer.菌、Stap.au.およびE.coli菌に対して相乗効果を示した。
【0058】

【0059】比較表XIから、製剤22とE剤との配合により抗菌力において、Stap.au.菌に対して相乗効果を示した。
【0060】3)前記本発明の製剤および本発明の製剤を構成する薬剤単独の耐熱性および耐紫外線性の試験を行なった。
i)耐熱性試験各薬剤1gを試験管に取り、水5mlおよびプロピレングリコール5mlを加えてよく振り混ぜて、懸濁または溶解させて蓋を載せ、50℃、10時間保温した。その後、目視でその液性を観察した。
【0061】ii)耐紫外線性試験各薬剤1gを50mlコニカルビーカーに取り、水5mlおよびプロピレングリコール5mlを加えてよく振り混ぜて、懸濁または溶解させて透明フィルムでカバーして、キセノンランプのフェードメーターで1時間照射した。その後、目視でその液性を観察した。
【0062】

【0063】比較表XIIから、耐熱性および耐紫外線性ともにA剤を配合した製剤において改善されることを確認した。A剤の割合が増加するにつれて、それらの効果も増加する傾向を示した。
【0064】以上各種の薬剤をそれぞれの割合に配合した場合、抗菌力においては、各薬剤の欠点を互いに補充しあい、相乗効果を示すことを発見し、確認した。また、耐光性、耐紫外線性および後に説明する耐水性などにおいて従来には見られなかった機能の改良が確認され、ここに新技術として提出するものである。
【0065】次に各工業分野における応用例を以下に記載するが、本発明はこれに制限されるものではない。
<実施例1:澱粉糊への応用>一般に澱粉糊は家庭用、事務用および工業用に広く利用されている。使用される原料は馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、とうもろこし澱粉、タピオカ澱粉などおよびこれらの加工澱粉、デキストリン若しくは合成樹脂が原料に使用されている。これら原料の種類によって製造された澱粉糊の物性は変わり、また、コストも変わる。一方、製造法にも加熱による煮糊、水酸化ナトリウムを使用する冷糊法(アパラチン糊)がある。原料の種類と製造方法との組み合わせにより、各種の澱粉糊が生産されている。
【0066】1)澱粉糊の製造i)煮糊:小麦澱粉を水に攪拌しつつ添加し、20%の澱粉乳を作り、これを攪拌しつつ、60〜75℃、20分間加熱し、放冷した。なお、薬剤は出来上がりの澱粉糊当たりに換算して、澱粉乳の時点で添加した。
ii)冷糊法(アパラチン糊):小麦澱粉60部に水150部を加えて攪拌し、水酸化ナトリウム(36°ボーメ)25部と水25部の混合液を加えつつ、15〜20℃で1時間全体が透明になるまでかき混ぜる。糊化後硝酸にて、pH7〜8になるように中和した。中和後、各濃度になるように薬剤を添加して、よく攪拌して均一に溶解させた。
【0067】2)試験条件製造した煮糊およびアパラチン糊をシャーレに詰め、室温で一昼夜蓋を開け放置した後、蓋をして(密閉し)30℃にて保温して状況を観察した。また、これらのシャーレにキセノンランプのフェードメーターで1時間照射して、目視でその状況を観察した。なお、使用した薬剤は、従来一般に澱粉糊に使用されている1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(以下BITと記す)、p−オキシ安息香酸メチルエステル(以下p−OBEと記す)、ソルビン酸カリウム(以下SAKと記す)および本発明の製剤14、製剤75、および参考例としてのA剤である。
【0068】

【0069】表Aから、従来技術に比べて、本発明技術である製剤14、製剤75および参考例としてのA剤を使用した試験区においては、保存性および耐紫外線性において著しく優れた効果を示した。
【0070】<実施例2:酢酸ビニル系接着剤への応用>酢酸ビニル系接着剤には、酢酸ビニルエマルジョンを主成分として、澱粉糊その他天然糊料類を配合した接着剤である。用途は、紙類、木工類、プラスチック類などの接着に広く使用されている。
【0071】木工用酢酸ビニル系接着剤2種類(抗菌防かび剤無使用のもの)を用いて、実施例1に準じて保存性および耐紫外線性試験を実施した。使用した薬剤は、当該接着剤に一般に使用されているp−クロロm−キシレノール(以下PCMXと記す)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(以下BNPDと記す)、N(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド(以下FPと記す)、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール(以下TBZと記す)および本発明による製剤15、製剤77、および参考例としてのA剤である。各薬剤の一定量を添加してよくかき混ぜ、均一に溶解または懸濁させた。保存方法および判定方法は、実施例1に準じて実施し、結果を表Bに示した。
【0072】

【0073】表Bから、本発明のA剤単独またはA剤を配合した製剤は、従来使用されていた薬剤に較べて少量添加で保存効果を示し、また、紫外線による着色性も少なく優れた効果を示した。
【0074】<実施例3:目地セメントおよびモルタルへの応用>一般に目地セメントはタイルを貼るときに使用され、モルタルは外装に用いられているが、いずれも施工時はアルカリ性が強く、細菌やかびが発生しにくいが、経時的に中性化されて特に汚れが付着すると、細菌やかびが徐々に発生するようになる。
【0075】特にモルタル系やプラスター系の接着剤は多孔質であるため、汚れやすく従って微生物が繁殖しやすい状況になる。また、保水剤として配合されるセルロース誘導体やポリビニルアルコールなどは微生物の栄養源となる。この様に厳しい条件に置かれているために、しばしば細菌やかびの発生により、表面が汚染されるばかりではなく、接着機能の劣化が見られる。
【0076】各試験材料は、一般的な処方、すなわち、目地セメントについては、セメント40部、骨材50部、減水剤0.2部、保水剤0.3部および水40部の組成で、モルタルについては、セメント100部、珪砂80部、水溶性セルロースエーテル0.2部および水40部の組成で、プラスターボンドについては、石灰プラスター200部、シラス20部、焼成珪藻土30部、酢酸ビニル系粉末樹脂20部および水270部の組成でそれぞれ混合時に薬剤を添加した。それぞれ風乾した後、炭酸ガスを充満させたデシケーター内で中性化した。それらをJIS Z−2911−2000かび抵抗性試験法に準じて試験し、それらの結果を表Cに表示した。なお、使用した微生物は、当該試験法に使用するかび類に、さらにUlo.bot.菌およびAlt.alt.菌を追加した。また、使用薬剤は、B剤、C剤、D剤、E剤、F剤およびH剤の単独と本発明による製剤2、製剤8、製剤17、製剤20、製剤24、製剤35、製剤39、製剤56および参考例としてのA剤であった。
【0077】

【0078】

【0079】表Cから、従来技術のB剤、C剤、D剤、E剤、F剤およびH剤に比べて、本発明による製剤2、製剤8、製剤17、製剤20、製剤24、製剤35、製剤39、製剤56および参考例としてのA剤においてはるかに強いかび抵抗性を示した。
【0080】<実施例4:ジョイントセメント、GLボンドへの応用>ジョイントセメントには、石膏系と炭酸カルシウム系とがあるが、今回使用するものは石膏100部、ポリビニルアルコール1部、石粉5部、その他若干の増粘剤と水73部を加えて混練して、作成した。一方、GLボンドは、市販のもので防かび剤を使用していないものを使用した。
【0081】いずれの場合も試験薬剤を配合するときは、均一になるようによく混合した。これをJIS Z−2911−2000かび抵抗性試験法に準じて試験した。試料を培地の上に置く替わりに培地に窪みを作り、これにジョイントセメント若しくはGLボンドを埋め込み、観察した。
【0082】使用した薬剤は、従来技術としてD剤、E剤、F剤、G剤、H剤およびPCMXを、さらに本発明技術として製剤26、製剤30、製剤38、製剤50、製剤59、製剤61および参考例としてのA剤を使用した。なお、試験に使用した微生物は、当該試験法で使用するかび類に、さらにUlo.bot.菌およびAlt.alt.菌を追加して試験した。また、保存効果の試験結果を表Dに示した。
【0083】

【0084】表Dから、従来技術のD剤、E剤、F剤、G剤、H剤およびPCMXに比べて、本発明技術による製剤26、製剤30、製剤38、製剤50、製剤59、製剤61および参考例としてのA剤において、はるかに強い防かび性を示した。
【0085】<実施例5:塩化ビニル樹脂製壁紙および塩化ビニル樹脂製床材への応用>塩化ビニル樹脂製壁紙は、塩化ビニル樹脂に可塑剤などの副資材を添加して製造されており、住宅用壁材として広く利用されている。一方、塩化ビニル樹脂製床材は、少量の可塑剤と充填剤などを使用して製造されている。
【0086】通常使用されている以下の組成でそれぞれ作成した試料(無処理)と、一方、作成した試料を室温で流水中に1週間漬けた後風乾した試料(水処理)とを、それぞれ実施例4で用いたかび抵抗性試験法に準じて試験し、その結果を表Eに示した。使用した薬剤は、B剤、C剤、E剤、F剤、製剤28、製剤44、製剤59、製剤68、製剤87、製剤94および参考例としてのA剤である。
【0087】i)塩化ビニル樹脂製壁紙の組成ポリ塩化ビニルペースト樹脂(商品GH623)100部、可塑剤(DOP)60部、充填剤(炭酸カルシウム)120部、体質顔料(酸化チタン)15部、発泡剤(ADCA)3部、二次可塑剤5部、安定剤3部および希釈剤10部。
【0088】ii)塩化ビニル樹脂製床材(クッションフロア発泡層用)の組成ポリ塩化ビニルペースト樹脂(商品名PQHC)70部、ブレンド樹脂(商品名PBZXA)30部、可塑剤(DOP)40部、可塑剤(DBP)10部、充填剤(炭酸カルシウム)30部、体質顔料(酸化チタン)5部、発泡剤(ADCA)3部、キッカ(酸化亜鉛)1.5部およびエポキシ化大豆油3部。
【0089】

【0090】表Eから、塩化ビニル樹脂製壁紙においては、従来技術のB剤およびC剤に比べ、本発明技術の製剤28、製剤59、製剤68および参考例としてのA剤が、はるかに強いかび抵抗性を示した。また、硬質塩化ビニル樹脂製床材においても、従来技術のE剤およびF剤に比べて、本発明技術の製剤44、製剤87、製剤94および参考例としてのA剤の方が強いかび抵抗性を示し、優れた技術であることを確認した。
【0091】
【発明の効果】以上の通り、本発明の抗菌防かび剤において、特にA剤に、特定の抗菌防かび剤を配合することにより、従来の技術からは容易に推定できない相乗的な抗菌力、優れた耐光性および耐水性など、幾多の特徴を有することを確認した。このことにより、各工業用素材に抗菌防かび性を附加する場合に、低濃度の添加量で抗菌防かび効果を発揮するので、添加量の減少によるコストの削減や、工業用素材の物性への影響を最小限に抑えることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】593157910
【氏名又は名称】株式会社タイショーテクノス
【住所又は居所】東京都中央区日本橋富沢町十番十八号
【出願日】 平成14年3月14日(2002.3.14)
【代理人】 【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広 (外2名)
【公開番号】 特開2003−267806(P2003−267806A)
【公開日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願番号】 特願2002−70469(P2002−70469)