| 【発明の名称】 |
交信撹乱によるオキナワカンシャクシコメツキの防除方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】新垣 則雄
【氏名】佐渡山 安常
【氏名】岸田 光史
【氏名】河村 太
【氏名】望月 文昭
【氏名】福本 毅彦
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| 【要約】 |
【課題】オキナワカンシャクシコメツキの防除により大量の殺虫剤が土壌潅注され、環境汚染や地下水汚染が懸念されている。農薬だけで土壌害虫である本種を防除するには限界があり、農薬に代わる防除法の開発が求められている。そこで、交信撹乱によるオキナワカンシャクシコメツキの防除法を提供する。
【解決手段】交信撹乱によるオキナワカンシャクシコメツキの防除方法、好ましくはn−ドデシルアセテートを有効成分とする交信撹乱剤を用いるオキナワカンシャクシコメツキの防除方法を提供する。n−ドデシルアセテートの純度は、好ましくは90重量%以上である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 n−ドデシルアセテートを有効成分とする交信撹乱剤を用いるオキナワカンシャクシコメツキの防除方法。 【請求項2】 上記n−ドデシルアセテートの純度が、90重量%以上である請求項1に記載のオキナワカンシャクシコメツキの防除方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、サトウキビの重要害虫であるオキナワカンシャクシコメツキ(学名Melanotus Okinawensis Ohira)を交信撹乱により有効に防除する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】鱗翅目昆虫の性フェロモンは、組成や組成比が種特異的であると同時に、誘引活性を有する濃度域も種により異なっている。この濃度域以下では無反応となるし、それ以上では異常な反応を示し、さらに濃度域以上の性フェロモンに継続的曝された虫は無反応となることが知られている。交信撹乱による害虫防除は、この生物的反応を利用したもので、害虫の発生場所に誘引活性濃度域以上の合成性フェロモン(撹乱物質)を充満させ、雌雄間の性フェロモン交信を撹乱し交尾率を下げ、次世代の幼虫密度を抑制するものである。 【0003】交信撹乱に使用されている合成性フェロモンは、毒性が極めて低く環境汚染の心配が無いなどクリーンな害虫防除手段として、蛾類など鱗翅目で実用化されている。しかしながら、鞘翅目昆虫では、多くの種において性フェロモンが単離同定されているにもかかわらず、交信撹乱には成功していない。その原因として、鞘翅目昆虫の性フェロモン活性が高濃度域にも存在し、鱗翅目害虫でみられた誘引活性濃度域における上限値が認められないことが挙げられる。 【0004】例えば、オキナワカンシャクシコメツキでは、1mgの合成性フェロモン(n−ドデシルアセテート)をゴムキャップに担持させた誘引源に誘引されるが、その量を1000倍に増やしても正常な誘引が認められ(特開昭61−012601号公報)、鱗翅目昆虫のように反応性の低下が起こらない。この様な観察から、鞘翅目昆虫では交信撹乱は起こりにくく、交信撹乱による害虫防除は困難であると考えられてきた。 【0005】実際、オキナワカンシャクシコメツキでは、性フェロモンの単離同定後、大量誘殺法が検討され、実用化されている(長嶺、2000、性フェロモン剤使用ガイド、日本植物防疫協会、東京、pp.106−108)。本種の大量誘殺は、1〜3haに1個の割合で性フェロモントラップを100ha以上の規模で仕掛け、雄成虫を除去し交尾率を下げる方法である。沖縄県では、1980年代後半から10年以上実施され、ある程度の防除効果が認められている。しかし、大幅な殺虫剤削減は達成できず、最近ではトラップの維持管理に多大の労力がかかるなどの問題点の方がクローズアップされてきている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】オキナワカンシャクシコメツキの防除により大量の殺虫剤が土壌潅注され、環境汚染や地下水汚染が懸念されている。農薬だけで土壌害虫である本種を防除するには限界があり、農薬に代わる防除法の開発が求められている。そこで、本発明者らは、交信撹乱によるオキナワカンシャクシコメツキの防除法を提供しようとするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課題を解決するために、オキナワカンシャクシコメツキの性フェロモン利用に関して鋭意研究を重ねた結果、交信撹乱法が本種の防除に非常に有効であり、好ましくは1ヘクタール当たり50〜1000gのオキナワカンシャクシコメツキの合成性フェロモン(n−ドデシルアセテート)を圃場に処理することにより、本種の交尾阻害が起こることを見出し本発明の完成に至った。 【0008】本発明は、交信撹乱によるオキナワカンシャクシコメツキの防除方法、好ましくはn−ドデシルアセテートを有効成分とする交信撹乱剤を用いるオキナワカンシャクシコメツキの防除方法を提供する。n−ドデシルアセテートの純度は、好ましくは90重量%以上である。 【発明の実施の形態】 【0009】本発明の交信撹乱剤の有効成分は、n−ドデシルアセテートであり、常法によって合成することができる。本成分は、高純度であることが望ましいが、不純物としてそのアルコール体や構造異性体などを含んでいても総計重量が10重量%以下であれば効果に支障はない。しかし、本アルコール体の含有重量が10重量%を超えると、交尾阻害効果が低下するため、本アルコール体の含有量には注意が必要となる。 【0010】本発明の交信撹乱剤は、上記の有効成分を長期間にわたって徐々に放出させるために、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニール共重合体等の放出量制御機能を有するプラスチックからなる細管、ラミネート製の袋、アンプル等の容器に充填して用いられる。 【0011】さらに、製剤化にあたっては、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ビタミンE等の抗酸化剤や紫外線吸収剤を適当量加えてもよい。適量とは、n−ドデシルアセテートの重量に対して、例えば、抗酸化剤は1〜5重量%であり、紫外線吸収剤は1〜5重量%である。 【0012】本発明の交信撹乱剤の好ましい使用量は、害虫の発生量や気象又は地形等の諸条件により異なるが、通常50〜1000g/haである。 【0013】 【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。 実施例オキナワカンシャクシコメツキの性フェロモン成分であるn−ドデシルアセテートを有効成分として使用し、それに安定剤としてBHTを1重量%添加したものを、外径2.31mm、内径1.21mm、長さ10mのポリエチレンチューブに封じ込め、徐放性の交信撹乱剤とした。各チューブには、約8gを充填した。 【0014】この交信撹乱剤を、南大東島(沖縄県)のサトウキビ畑1280haにヘクタールあたり8本の割合で地面から30〜40cmの高さになるように支柱を用いて畝上に張り渡した(計10240本)。また、本種の被害が大きい新植夏植えサトウキビ畑220haにはヘクタールあたり20本の割合で、葉上において数箇所をテープでとめて設置した(計4400本)。その他、サトウキビ畑に接した保安林やススキ原にも交信撹乱剤を処理し、南大東島約3000haに約18000本の交信撹乱剤を処理した。交信撹乱剤の効果を調べるために、南大東島全体に計24個の性フェロモントラップを設置し、定期的に誘殺数を調べた(表1)。また、サトウキビ葉鞘より捕獲した成虫の交尾率から防除効果を調べた(表2)。 【0015】比較例交信撹乱剤処理を行わなかった宮城島(沖縄県)を対照区とし、10個の性フェロモントラップを設置し、さらに、成虫の交尾率を南大東島と同様に調べた。 【0016】 【表1】
【0017】 【表2】
【0018】表1に示すように、比較例(宮城島)に設置した性フェロモントラップには一週間で160.4頭の誘殺が認められたが、実施例(南大東島)ではわずか0.8頭の誘殺しか認められなかった。このことから、本交信撹乱剤は、非常に高い交信撹乱効果を有することがわかる。また、表2に示すように、比較例(宮城島)の交尾率は、3月29日が88.9%で、それ以降100%であったが、実施例(南大東島)の交尾率は、4月10日で42.9%、4月24日でも84.9%と低く、明瞭な交尾阻害効果が認められた。 【0019】 【発明の効果】本発明による交信撹乱によるオキナワカンシャクシコメツキの防除法を用いれば、本種の交尾を強力に阻害することができ、本種の防除法として非常に有効である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595102178 【氏名又は名称】沖縄県 【識別番号】000002060 【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年3月12日(2002.3.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099623 【弁理士】 【氏名又は名称】奥山 尚一 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−267804(P2003−267804A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−66592(P2002−66592) |
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