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【発明の名称】 木材保存剤
【発明者】 【氏名】▲吉▼田 慎治

【氏名】飯沼 宗和

【要約】 【課題】

【解決手段】カワ種(Piper methysticum)に属する植物の葉又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする木材保存剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする木材保存剤。
【請求項2】 カワ(Piper methysticum)種がカワ(Piper methysticum)である請求項1に記載の木材保存剤。
【請求項3】 木材の防虫剤である請求項1又は2に記載の木材保存剤。
【請求項4】 木材の防腐剤である請求項1又は2に記載の木材保存剤。
【請求項5】 木材の防黴剤である請求項1又は2に記載の木材保存剤。
【請求項6】 木材の防シロアリ剤である請求項1又は2に記載の木材保存剤。
【請求項7】 シロアリがヤマトシロアリまたはイエシロアリであることを特徴とする請求項6記載の木材保存剤。
【請求項8】 処理物がカワ(Piper methysticum)の葉の粉砕物又は抽出物である請求項1から7のいずれかに記載の木材保存剤。
【請求項9】 カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉又はその処理物を使用することを特徴とする木材の保存方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は木材保存剤に関し、より詳細には木材が使用された建築物や家具などを侵食するシロアリやヒラタキクイムシなどの木材害虫並びに褐色腐朽菌であるオオウズラタケ、白色腐朽菌であるカワラタケなどの木材腐朽菌による腐朽、アスペルギルス・ニガー、オウレオバシディウム・プルランスなどの木材汚染菌による汚染に対して有効な木材保存剤、その製造方法及び保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シロアリやヒラタキクイムシなどの木材害虫の防除、及びオオウズラタケやイドタケの木材腐朽菌による腐朽、アスペルギルス・ニガー、オウレオバシディウム・プルランスなどの木材汚染菌による汚染を防止するため、種々の木材保存剤が知られている。その有効成分としては、防虫作用、木材防腐作用、殺菌作用、防黴作用などを有する種々の化合物が知られている。しかし、これら従来より知られている木材保存剤は、人畜に対する安全性及び環境に及ぼす影響が高く、自然の生態系を破壊する虞がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明による木材保存剤は、害虫に対して、高い防虫効果を示すとともに、木材腐朽菌に対しても高い防腐性を有し、さらに木材に発生する黴に対しても高い防黴性を有する木材保存剤を提供することにある。本発明の他の目的は、人畜に対して安全性が高く、環境に対して悪影響を及ぼすことのない木材保存剤を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、木材の害虫、木材腐朽菌及び木材汚染菌を確実かつ効率良く防除できる木材保存剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成するため、また、効果および持続性に優れる木材保存剤を得るべく鋭意研究した結果、有効成分としてカワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉又はその処理物が、木材に対して優れた防腐、防黴作用並びに防虫作用を有するという知見を得、本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は(1) カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする木材保存剤、(2) カワ(Piper methysticum)種がカワ(Piper methysticum)である前記(1)に記載の木材保存剤、(3) 木材の防虫剤である前記(1)又は(2)に記載の木材保存剤、(4) 木材の防腐剤である前記(1)又は(2)に記載の木材保存剤、(5) 木材の防黴剤である前記(1)又は(2)に記載の木材保存剤、(6) 木材の防シロアリ剤である前記(1)又は(2)に記載の木材保存剤、(7) シロアリがヤマトシロアリまたはイエシロアリであることを特徴とする前記(6)記載の木材保存剤、(8) 処理物がカワ(Piper methysticum)の葉の粉砕物又は抽出物である前記(1)から(7)のいずれかに記載の木材保存剤、(9) カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉又はその処理物を使用することを特徴とする木材の保存方法、に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする木材保存剤を提供する。また、菌類に対する防腐及び「防菌」とは、殺菌のみならず、菌の成長抑制を含む意味に用いる。「防黴」とは、黴を殺すか、黴の成長抑制を含む意味に用いる。また、害虫に対する防除とは、殺虫又は忌避を含む意味に用いる。本発明の木材保存剤は、以下に説明するように、カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉に由来する成分を含有するので、安全性が高く、自然の生態系を破壊することがなく、防虫性、防腐性及び防黴性が高いという特色がある。
【0007】カワ(Piper methysticum)種に属する植物は、ニューギニアからポリネシア諸島で生育する。なお、その地下茎は現地の人々の嗜好物として利用されているが、地上部は利用されることなく廃棄されている。カワ(Piper methysticum)種には、カワ(Piper methysticum)、野生種(Piper wichmannii)などが挙げられる。カワ(Piper methysticum)はコショウ属コショウ科のハーブであり、1.5〜3mの常緑の草本性低木で、葉は互生し、葉身はハート型で長さ10〜20cmである。カワ(Piper methysticum)は地域により、カヴァ、カワカワ、カヴァカヴァ、ヤンゴナ、シャカオなどと呼ばれている。
【0008】本発明では、カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉、果実またはその処理物(例えば、抽出物、滲出物)が使用される。処理物とはカワ(Piper methysticum)種に属する植物を処理したもの、例えば、乾燥裁断、抽出、滲出物採取、粉砕など、人為的手段をこれら植物に加えたものが本発明で使用され得る。さらに抽出などの処理をして本発明の有効成分原料としてもよい。また、抽出液のみならず抽出残渣も本発明の原料である処理物として使用し得る。
【0009】なお、本明細書において、滲出物とは、広く植物から滲出する物質を意味する。前記抽出物は慣用の方法により得ることができる。例えば、カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉を、必要に応じて裁断、乾燥、粉砕などの処理を施した後、適当な抽出溶媒を用いて、常圧又は加圧(オートクレーブや加圧なべで加圧)下、室温又は加熱下で抽出し、必要に応じて濾過した後、濃縮することにより、前記抽出物を得ることができる。
【0010】抽出溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−オクタノール、2−ブチル−オクタノール、ラウリルアルコール、シクロヘキサノールなどの一価アルコール類のみならず、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのニ乃至多価アルコールなどのアルコール類;エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、環状エーテル(例えば、ジオキサン、テロラヒドロフランなど)、モノ又はジアルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルなど)などのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ラウリン酸n−ブチルなどのエステル類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン炭化水素類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アセトニトリルなどのニトリル類;ギ酸、酢酸、オレイン酸などのカルボン酸類;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジンなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる.これらの溶媒は一種又は二種以上混合して用いることができる。カワ葉の抽出にあっては、抽出溶媒としては、一価アルコール類、二価アルコール類、ケトン類が好ましく、中でも特にアセトン、メタノール又はプロピレングリコールが好ましい。
【0011】前記抽出溶媒の使用量は、抽出効率及び抽出操作を損なわない範囲であればよく、例えば、被抽出物100重量部に対して、50〜10000重量部、好ましくは100〜2000重量部程度である。抽出温度は、例えば0〜150℃、好ましくは10〜120℃程度である。
【0012】本発明における前記滲出物も慣用の方法により得ることができる。本発明においては、カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉から分離、滲出する滲出物を利用できる。例えば、破砕、乾燥などの処理を施したカワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉から、滲出物が滲出する場合がある。このような滲出物も、本発明における滲出物に含まれ、本発明の有効成分原料として使用できる。本発明の有効成分原料としては、上記した滲出物を溶媒を用いて抽出して得られた抽出物が好ましい。
【0013】本発明においては、処理物、抽出物及び滲出物から選択された二種以上を組み合わせて混合してもよい。前記抽出物及び滲出物は、液状であってもよく、粉末状、粒状などの固形状やペースト状などの半固形状であってもよい。前記処理物、抽出物及び滲出物には、木材害虫、木材腐朽菌及び木材汚染菌に対して高い防虫、防腐、防黴作用を示す成分が含まれている。しかも、木材防虫、防腐、防黴成分は、天然物であり、一般に人畜に対して安全性が高く、環境に対しても悪影響を及ぼすことが少ない。
【0014】本発明の木材保存剤は、上記有効成分原料を含んでいる限り、その製剤の形態は特に制限されず、カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉の処理物及びその抽出物又は滲出物そのものであってもよい。また、木材保存剤は、製剤化されていてもよい。前記製剤形態として、例えば、溶液剤、水和剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、油剤、ローションなどの液剤;粉剤、粒剤、マイクロカプセル剤、マイクロスフェア、フロアブル剤、発泡剤などの固形剤;ペースト剤、クリームなどの半固形剤;噴霧剤、エアゾール剤;塗料などが挙げられ、これらは使用目的や適用部位に応じて適宜選択できる。これらの製剤は、慣用の方法で製造できる。
【0015】前記液体希釈剤又は担体としては、例えば、前記抽出物又は滲出物を適当な液体希釈剤又は担体を用いて希釈することにより製造できる。なお、水和剤の場合には、さらに固体希釈剤又は担体を用いてもよい。
【0016】前記液体希釈剤又は担体としては、例えば、前記例示の抽出溶媒以外に、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;可塑剤(例えば、ジ−2−エチルヘキシルアジペートなどのエステル系可塑剤など);ケロセンなどの石油系溶剤;エチルナフタレン、フェニルキシリルエタンなどの芳香族炭化水素;2−エチルヘキシルフェニルホスフェートなどのリン酸エステルなども使用できる。これらの液体希釈剤や担体は、一種又は二種以上混合して使用できる。前記固体希釈剤又は担体としては、例えば、ケイソウ土、雲母、粘土、カオリン、タルク、石英粉末、ベントナイトなどが挙げられる。これらの固体希釈剤又は担体も、単独又は二種以上の混合物として用いることができる。
【0017】前記固形剤は、例えば、前記抽出物又は滲出物を適当な固体希釈剤又は担体で希釈したり造粒することにより製造できる。固体希釈剤又は担体としては、前記例示の固体希釈剤以外に、滑石粉、ロウ粉などのタルク類、微粉末クレイなどのクレイ類や炭酸カルシウムなどの鉱物性粉末;硫黄粉末;尿素粉末;木粉、活性炭、澱粉などの植物性粉末;農薬、園芸用製剤などに繁用される各種担体が挙げられる。これらの固形希釈剤や担体は、増量剤として使用される場合も多い。固形希釈剤や担体も、一種又は二種以上混合して使用できる。
【0018】前記エアゾール剤は、例えば、前記抽出物又は滲出物を必要に応じて適当な溶剤で希釈し、噴射剤と共に容器に充填することにより製造できる。溶剤としては、例えば、前記例示の溶媒などが挙げられる。噴射剤としてはアルコール(例えばプロパノール)、液化天然ガスなどが挙げられる。
【0019】なお、木材保存剤は、製剤の種類に応じて、必要により種々の添加剤、例えば、防腐防黴剤;酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定化剤;結合剤;皮膜形成能を有する樹脂;乳化剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤;増粘剤;流動助剤;固結防止剤;凝集剤;紫外線散乱剤;水分除去剤;着色剤などを含んでいてもよい。
【0020】前記防腐剤防黴剤としては、例えば、3−ブロモー2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカーボネート、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、パラクロロフェニル―3−ヨードプロパルギルホルマールなどの有機ヨード系化合物;2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾールなどのベンズイミダゾール、2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾールなどのベンズイミダゾール及びベンゾチアゾール系化合物;1−(2−(2’,4’−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール、1−(2−(2’,4’−ジクロロフェニル)−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール、α−(2−(4−クロロフェニル)エチル)−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノールなどのトリアゾール系化合物;ジンク−ビス−(2−ピリジン−チオール−1−オキシド)フタル酸亜鉛などの有機亜鉛等;4−イソプロピルトロポロン(ヒノキチオール)、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸n−ブチルなどの安息香酸類、ホウ砂などの天然化合物などが挙げられる。
【0021】酸化防止剤としては、例えば、4,4’−チオビス−6−t−ブチル−3−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール(2−t−ブチル−4−メトキシフェノールと3−t−ブチル−4−メトキシフェノールの混合物)、p−オクチルフェンノール、モノ(又はジ又はトリ)−(α−メチルベンジル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤;N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤;2,5−ジ(t−アミル)ヒドロキノリンなどのヒドロキノリン系酸化防止剤;ジラウリルチオジウロピオネートなどの硫黄系酸化防止剤;トリフェニルホスファイトなどのリン系酸化防止剤などが例示できる。
【0022】紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;2−ヒドロキシー4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;サリチル酸フェニル、p−t−ブチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系化合物;2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エトキシ−2’−エチルシュウ酸ビスアニリド、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物などが挙げられる。
【0023】皮膜形成能を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、塩素化ポリオレフィン、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが例示できる。
【0024】乳化剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などの慣用の界面活性剤が使用できる。アニオン系界面活性剤には、例えば、金属石鹸類、硫酸アルキルナトリウムなどの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム[例えば、竹本油脂(株)製、商品名ニューカルゲンBX−C]などのアルキルナフタレンスルホン酸、2−スルホコハク酸ジアルキルナトリウム[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ネオコールSW−C]などの2−スルホコハク酸ジアルキル塩、ポリカルボン酸型界面活性剤[例えば、三洋化成(株)製、商品名トキサノンGR−30]、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ディクスゾール60A]、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが例示できる。ノニオン系界面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名イノゲン・イーエー−142(EA−142)]ポリオキシエチレンアリールエーテル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコーポリオキシエチレン、ショ糖脂肪酸エステル、酸化エチレンと酸化プロピレンとのブロック共重合体[例えば、三洋化成(株)製、商品名ニューポールPE−64]などが例示できる。
【0025】増粘剤には、例えば、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、ジュランガム、ポリアクリル酸とその塩などが例示でき、流動助剤として、PAP助剤(例えば、イソプロピルリン酸)、ワックス、ポリエチレン、脂肪酸金属塩、パラフィン、シリコーンオイルなどの有機滑剤、タルクなどの無機滑剤が例示できる。固結防止剤として、例えば、ホワイトカーボン、珪藻土、ステアリン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタンなどが挙げられる。凝集剤としては、例えば、流動パラフィンエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソブチレン重合体[例えば、出光石油化学(株)製、商品名IPソルベントー2835]などが挙げられる。紫外線散乱剤としては、二酸化チタンなどが例示できる。水分除去剤としては、無水石膏、シリカゲル粉末などの乾燥剤が挙げられる。着色剤には、例えば、有機又は無機顔料や染料が含まれる。
【0026】本発明の木材保存剤は、他の防虫剤や害虫忌避剤、効力増強剤を含んでいてもよい。前記他の防虫剤としては、例えば、ホキシム、クロルピリホス、フェニトロチオン、ピリダフェンチオン、イソフェンホスなどの有機リン系化合物;バッサ、プロポキサーなどのカルバメート系化合物;シフルトリン、ペルメトリン、トラロメトリン、フェンパレレート、エトフェンプロックス、シラフルオフェンなどのピレスロイド系化合物、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、クロチアニジンなどのネオニコチノイド系化合物、フィプロニールなどのフェニルピラゾール系化合物、ベンスルタップなどのネライストキシン系化合物、クロロフェナピル、ヒバ油、ヒバ中性油、デカン酸、オクタン酸などの脂肪酸(日本特許第2925081号)、オクタノール、ラウリルアルコール、デカノール、イソデカノール、カプリン酸メチル、カプリル酸メチル(日本特許第2919280号)やホウ酸などの他、ニーム(特開平3−41011号公報)、モリンガ属、マラー属をはじめとした植物(特開平6−329514号公報)などが挙げられる。また、昆虫成長制御剤(IGR)として知られているルフェヌロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、フルフェノクスロンなどのキチン合成阻害剤やメトプレン、ハイドロプレンなどの幼若ホルモン様化合物を含んでいてもよい。
【0027】前記有効成分原料すなわちカワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉またはその処理物(例えば抽出物、滲出物)の含有量は、木材保存剤の剤型や適用方法に応じて適宜選択することができる。液剤、半固形剤又は固形剤の場合、前記成分の濃度は木材保存剤中、カワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉、その抽出物又は滲出物として、例えば0.1〜100重量%、好ましくは、0.5〜50重量%程度である。前記木材保存剤がエアゾール剤の場合、容器に充填される充填物中の前記成分の濃度は、前記植物の抽出物又は滲出物として、例えば、0.01〜25重量%、好ましくは0.05〜15%程度である。
【0028】本発明の木材保存剤は、木材害虫、木材腐朽菌及び木材汚染菌、特にシロアリに適用できる。本発明に係る木材保存剤の対象となる木材害虫としては以下のようなものが挙げられる。例えばシロアリ目、コウチュウ目、ハチ目に属する昆虫が挙げられる。前記シロアリ目に属する昆虫の具体例としては、例えばヤマトシロアリ、イエシロアリ等のミゾガシラシロアリ科に属するもの、ダイコクシロアリ、アメリカカンザイシロアリ等のレイビシロアリ科に属するものが挙げられる。前記コウチュウ目に属する昆虫の具体例としては、ヒラタキクイムシ、ナラヒラタキクイムシ、ケヤキヒラタキクイムシ、アラゲヒラタキクイムシ等のヒラタキクイムシ科に属するもの、ケブカシバンムシ、マツザイシバンムシ、クシヒゲシバンムシ、クロノコヒゲシバンムシ、チビキノコシバンムシ等のシバンムシ科に属するもの、チビタケナガシンクイムシ、ニホンタケナガシンクイムシ、コナナガシンクイムシ、オオナガシンクイムシ等のナガシンクイムシ科に属するもの、イエカミキリ等の力ミキリムシ科に属するもの、オサゾウムシ等のオサゾウムシ科に属するもの、サクセスキクイムシ等のキクイムシ科に属するものが挙げられ、その他にタマムシ科やゾウムシ科に属するものが挙げられる。前記ハチ目に属する昆虫の具体例としては、例えばクマバチ等のコシブトハナバチ科に属するもの、ムネアカオオアリ等のアリ科に属するものが挙げられる。本発明に係る木材保存剤の対象となる木材腐朽菌としては種々の菌類、例えば、褐色腐食菌(例えば、オオウズラタケ、イドタケ、キカイガラタケ、キチリメンタケ、ナミダタケ)や白色腐朽菌(例えば力ワラタケ)などが挙げられる。本発明の木材保存剤を、害虫、特にシロアリなどの家屋害虫の防除及び、木材腐朽菌、特にオオウズラタケ、木材汚染菌に使用すると、少量にて高い効率で防除できる。なお、このような効果は、前記抽出物又は滲出物を含むカワ(Piper methysticum)種に属する植物の葉そのものを用いても同様に得られる.【0029】本発明の木材保存方法においては、害虫や木材腐朽菌の侵入源や発生源、例えば、台所、浴室、居間、床のコーナー部、床下、天井、土台、柱、壁、木製家具、土壌などに前記木材害虫防除剤を適用すればよい。木材保存剤の適用方法には、害虫、木材腐朽菌、木材汚染菌の侵入源や発生源に応じた種々の態様、例えば、塗布、散布、浸漬、注入、混和、噴霧などの方法が含まれる。これらは、木材を守ることができれば、処理方法は特に限定されず、例えば、直接木材を処理する以外に、基礎断熱材処理や、家屋内外のベイト剤的な処理を目的とし、土中に埋め込むなどの方法を行ってもよい。又、接着剤に混入するなどして合板用、集成材用、木質ボード用などに適用してもよい。なお、土壌に適用する場合、土壌表面への散布、土壌に形成した溝への散布、土壌との混和などにより保存剤を適用できる。また、木材保存剤は、合成樹脂シート、紙、布などのシート状基材に、塗布、含浸、混練などにより保持させてシート剤を調整し、これを前記害虫の侵入個所や発生個所などに設置したり貼りつけたりすることによっても、有効に作用させることができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】実施例1カワ葉100gを800mlのアセトンで60℃で還流抽出した。抽出液を減圧下に濃縮乾固して、エキスを得た。このエキスをメタノールに溶解して10%(重量)のエキスのメタノール溶液を得た。
【0032】実施例2実施例1に記載の方法によりアセトンで抽出に付した後、乾燥したカワ葉100gを800mlのメタノールで60℃で還流抽出した。抽出液を減圧下に濃縮乾固して、エキスを得た。このエキスをメタノールに溶解して10%(重量)のエキスのメタノール溶液を得た。
【0033】試験例1: 防黴試験実施例1のエキスメタノール溶液又は実施例2のエキスメタノール溶液の中に木材片(ブナ、断面20×3mm、長さ50mm、6枚)を3分間浸漬処理し、風乾した。この木片を直径90mmシャーレ(高さ20mm)に2%寒天培地を注加し固化した後、寒天と木片が直接接しないように網を敷いた上に設置した。その上からアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペニシリウム・フニクローズム(Penicillium funiculosum)、オウレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladiumvirens)の胞子混合液を2ml散布して、その状態を観察した。上記のように調整した防黴用保存剤を用いて状態を4週間後に観察した結果を表1に示す。なお、評価値は表2に示した通りである。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】試験例2: 防腐試験木口をエポキシ樹脂でシールした杉試験片(20×40×5mm、2方正目)に上記実施例1で得たエキスメタノール溶液又は実施例2で得たエキスメタノール溶液を100g/mの割合で塗布した。これを60℃で2日間乾燥して試験前の重量を測定した。エチレンオキシドガスで滅菌した後、培地上にオオウズラタケ又はカワラタケを接種したシャーレにこの試験片を設置した。12週間放置した後、取り出し、60℃で2日間乾燥した後、重量を測定し、重量減少率(%)を求めた。結果を表3に示す。
【0037】
【表3】

【0038】試験例3: 防蟻試験(1)接触試験表4に示した試料各100gを800mlの表4に示した各々の抽出溶媒で煮沸還流して抽出した。抽出液を減圧下に濃縮乾固してエキスを得た。エキスを抽出溶液に溶解して20%(重量)のエキスの溶液を得た。これを10gのケイ砂に加えて撹拌し、エキスをケイ砂1%(重量)担持させ、ついで水を加えて、水分を10%(重量)含有させた。全量シャーレにとり、イエシロアリ職蟻10頭を放虫して観察した。上記の方法で行った接触試験の結果を表4に示す。
【0039】
【表4】

【0040】(2)摂食阻害試験表5に示したカワ葉を試験例3(1)と同様にしてアセトン抽出溶媒で抽出して試料エキスを得た。この試料エキスを抽出溶媒に溶解して10%(重量)溶液とし、この溶液に1cm×1cmのNo.2濾紙(アドバンテック(株)製)を含浸させ、直ちに取り出して室温で乾燥した。この濾紙検体をイエシロアリ職蟻(1検体あたり100頭を使用)の中に入れ、摂食阻害の様子を観察した。上記の方法で行った摂食阻害試験の1週間後の結果を表5に示す。
【0041】
【表5】

【0042】(3)貫通試験図1のように縦50cm、横50cm、高さ50cmの連結した角柱の連結部下部に高さ約0.3cm、横幅4cmの移動用通路を空けた容器に約1cm土壌を敷き詰めた。容器の一方にカワの葉粉砕物を約1cm敷き詰め、その上に木口1cm×1cm、長さ2cmの松の餌木を設置した。その後、容器の他方側の土壌にイエシロアリ職蟻200頭、兵蟻20頭を放虫し、3週間観察を行い、カワ葉粉砕物を貫通し餌木に到達できるかを観察した。
〔試験結果〕カワ葉粉砕物は穿孔されなかった。シロアリは2週間後には全て死亡した。無処理では1日後には餌木に到達し、シロアリは3週間後も健全であった。
【0043】
【発明の効果】カワ種(Piper methysticum)に属する植物の葉又はその処理物を有効成分として含有する本発明の木材保存剤は、木材に対して優れた防虫作用、防腐作用並びに防黴作用を有することを示す。本発明の木材保存剤は、有効成分が天然の植物由来であるため人畜に対して安全性が高く、環境に対して悪影響を及ぼすことが少ない。本発明の防除方法によれば、安全性を確保しつつ、害虫、腐朽菌、汚染菌を極めて効率よく防除できる。
【出願人】 【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
【出願日】 平成14年3月18日(2002.3.18)
【代理人】 【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
【公開番号】 特開2003−267802(P2003−267802A)
【公開日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願番号】 特願2002−74009(P2002−74009)