| 【発明の名称】 |
保存剤用組成物及び該組成物を含有する動物の細胞または臓器の保存剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】源 伸介
【氏名】金 武祚
【氏名】玄 丞烋
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| 【要約】 |
【課題】動物の細胞または臓器を凍結させずに長期間保存することのできるポリフェノール含有保存剤において、保存液の濁度が低く、色がうすく、沈殿が生じにくく、保存効果が一定な保存剤を提供する。
【解決手段】緑茶ポリフェノールを精製し、有効成分であるエピガロカテキンガレート濃度を90質量%以上、不純物であるガロカテキンガレート濃度を5質量%以下とした保存剤用組成物を動物の細胞または臓器の保存剤に用いることにより、課題を解決する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有効成分としてエピガロカテキンガレートを90質量%以上含有することを特徴とする保存剤用組成物。 【請求項2】 不純物であるガロカテキンガレートが5質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の保存剤用組成物。 【請求項3】 請求項1または2に記載の保存剤用組成物を0.01〜0.2質量%含有することを特徴とする動物の細胞または臓器の保存剤。 【請求項4】 細胞が、人または動物の組織から単離した幹細胞、皮膚細胞、粘膜細胞、肝細胞、膵島細胞、神経細胞、軟骨細胞、内皮細胞、上皮細胞、骨細胞、筋細胞を含む動物細胞または家畜および魚類の精子、卵子または受精卵である請求項3に記載の動物の細胞または臓器の保存剤。 【請求項5】 臓器が、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤または膵臓を含む請求項3または4記載の動物の細胞または臓器の保存剤。 【請求項6】 請求項3から5いずれかに記載された保存剤を、臓器移植後の臓器障害等の予防、治療、改善のために、動物の細胞または臓器の保存に適用する方法。 【請求項7】 カラムクロマト法を用いることを特徴とする緑茶ポリフェノールから請求項1または2に記載の保存剤用組成物を得る方法。 【請求項8】 請求項1または2に記載の保存剤用組成物を0.005〜0.08質量%含有し、蛋白質を安定化することを特徴とする蛋白質溶液の保存剤。 【請求項9】 請求項1または2に記載の保存剤用組成物を0.005〜0.1質量%含有することを特徴とする血液、血球または血小板の保存剤。 【請求項10】 請求項1または2に記載の保存剤用組成物を0.005〜0.04質量%含有することを特徴とする微生物菌体の保存剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は保存剤用組成物および動物の細胞または臓器の保存剤に関する。詳しくは、動物細胞、移植用臓器、および血液、血球、血小板等の保存剤、蛋白質の安定剤、または臓器移植後の臓器障害等を予防、治療、改善する保存剤に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、細胞を保存するには−196℃の極低温による凍結保存法が利用され、必要なとき、これら凍結細胞を急速解凍して生細胞が得られている。しかしながらこの凍結・融解後の生存率は、細胞の種類や実験者の熟練度に依存するものの、癌以外の正常有用細胞、例えばすい臓のランゲルハンス島や肝細胞の生存率は極めて低く、たかだか10〜30%である。 【0003】さらに、血球成分や血小板は凍結保存ができないので、その有効期間も12〜72時間と非常に短い。 【0004】近年の外科的術式や免疫抑制剤などの進歩に伴って、臓器移植の症例が増加しているが、臓器の保存法が未発達の現状では、提供者(ドナー)から摘出された臓器が短時間で受容者(レシピエント)に届けられ、移植されなければならない。しかし、ドナーとレシピエントが遠距離に離れていることが多く、遠距離の迅速な輸送にはヘリコプターなどの特殊で高コストの輸送に頼らざるを得ないため、せっかく取り出された臓器を、必要とするレシピエントに提供することができないことが多い。従って、臓器移植の普及には臓器保存法の開発が極めて重要である。 【0005】現在、臓器保存法として、臓器の代謝抑制を目的とする低温保存法と、代謝維持を目的とする灌流保存法が適用されており、それらに使用される様々な保存液が開発され臨床的に応用されている。 【0006】初期の移植に際しては、ユーロコリンズ液が用いられてきたが、臓器保存期間は肝臓の場合でも24時間未満であり、より長期間保存可能な保存液が要求されていた。しかし、最近米国ウィスコンシン大学のグループにより膵臓移植時の保存液としてUW(Universityof Wisconsin,Wahlberg,J.A.,et al.,Transplantation,43,pp.5−8,1987)液が開発され、これにより、膵臓の保存のみならず肝臓や腎臓の保存液としても有効であることが認められた。 【0007】しかしながら、前記UW液などの保存液では、保存時間が40時間未満である等未だに満足できるものでなく臓器の生存能力(viability)を長時間にわたり温存でき、より優れた臓器保存効果が期待できる保存液の開発が強く望まれている。 【0008】種々の臓器に共通していることは、虚血および血流再開時に生ずるフリーラジカルが引き金となり、生体膜の脂質過酸化が促進され、生体膜障害が起こり、その結果、移植臓器の機能障害が起こる。そこで、この過酸化脂質生成による細胞障害を防止できるならば、より効率の良い保存液の開発も可能になる。 【0009】近年、フリーラジカルの生体に及ぼす影響について多くの研究が報告されており、抗酸化物質に対しても明らかにされつつある。これまでによく知られている主な抗酸化物質としては、酵素系としてスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、また非酵素系としてビタミンE、ビタミンC、ダルタチオン、カロチノイド、フラボノイド、糖類、鉄キレート剤、尿酸、アルブミン等がある。 【0010】これら抗酸化物質を利用した組織増殖制御や臓器保存に関する研究は、多くは知られていないが、最近、ポリフェノールが抗酸化作用、抗菌作用さらに抗癌作用を発現することが報告された。 【0011】そこで本発明者らは、緑茶ポリフェノールが種々の動物細胞を休眠させ増殖を自由自在に制御しうることを見出し、従来の保存可能時間を少なくとも2倍以上に延長させる保存剤を開発した(特開2000−344602)。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】発明者らは、前記ポリフェノール含有保存剤の実用化のため種々検討してみたが、保存効果が一定しない、保存液の濁度が高い、着色する、沈殿が生じやすい、等の欠点が見られた。これら欠点についてより詳しく調べた結果、用いている緑茶ポリフェノールにおける純度が問題である事が判明した。すなわち、従来のポリフェノールには8種のカテキンが含まれておりその他にカフェイン、クロロフィル、タンパク質、糖類及びミネラル等が含まれている。従って天然物の緑茶ポリフェノールをそのまま用いる限りにおいては各種夾雑成分の存在、並びに各種ポリフェノール類の組成比が一定しない事から上記欠点が生じる。また、主な有効成分としてエピガロカテキンガレートを含んでいるが、種々のカテキン類縁物からなる為その効果が低く、更に最も問題になる事は保存効果が一定しないことである。 【0013】本発明 は、斯かる実情に鑑み、動物の細胞または臓器を凍結させずに長期間保存することのできるポリフェノール含有保存剤において、保存液の濁度が低く、色がうすく、沈殿が生じにくく、保存効果が一定な保存剤を提供しようとするものである。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリフェノール含有保存剤の実用化を検討する過程で、有効成分である緑茶カテキンの成分のなかでも、エピガロカテキンガレートを高純度に精製して用いることによって、より一定した細胞保存効果を有することを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。 【0015】即ち、本発明の保存剤用組成物は、有効成分としてエピガロカテキンガレートを90質量%以上含有することを特徴とする。 【0016】そして本発明の保存剤用組成物は、不純物であるガロカテキンガレートが5質量%以下であることが好ましい。 【0017】また、本発明の動物の細胞または臓器の保存剤は、前記保存剤用組成物を0.01〜0.2質量%含有することを特徴とする。 【0018】本発明によれば、保存液の濁度が低く、色がうすく、沈殿が生じにくく、保存効果が一定な動物の細胞または臓器の保存剤を提供することができる。 【0019】さらに、本発明の動物の細胞または臓器の保存剤は、細胞が、人または動物の組織から単離した幹細胞、皮膚細胞、粘膜細胞、肝細胞、膵島細胞、神経細胞、軟骨細胞、内皮細胞、上皮細胞、骨細胞、筋細胞を含む動物細胞または家畜および魚類の精子、卵子または受精卵であることが好ましい。 【0020】そして本発明の動物の細胞または臓器の保存剤は、臓器が、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤または膵臓であることが好ましい。 【0021】それから、本発明の動物の細胞または臓器の保存に適用する方法は、前記保存剤を臓器移植後の臓器障害等の予防、治療、改善のために用いることを特徴とする。 【0022】前記発明によれば、前記動物の細胞または臓器を長時間安定に保存するだけでなく、臓器移植後の臓器障害等の予防、治療、改善に役立てることができる。 【0023】さらに、本発明の緑茶ポリフェノールから保存剤用組成物を得る方法は、カラムクロマト法を用いることを特徴とする。 【0024】前記発明によれば、エピガロカテキンガレート純度が高く、保存剤の効果に影響を及ぼす不純物の濃度が低い保存剤用組成物を得ることができる。 【0025】そして本発明の蛋白質溶液の保存剤は、前記保存剤用組成物を0.005〜0.08質量%含有し、蛋白質を安定化することを特徴とする。 【0026】そして本発明の血液、血球または血小板の保存剤は、前記保存剤用組成物を0.005〜0.1質量%含有することを特徴とする。 【0027】さらに本発明の微生物菌体の保存剤は、前記保存剤用組成物を0.005〜0.04質量%含有することを特徴とする。 【0028】前記発明によれば、蛋白質溶液、血液、血球、血小板、または微生物菌体を、長時間安定に保存しうる保存剤を提供することができる。 【0029】 【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態について説明する。 【0030】本発明の保存剤の好ましい態様としては、本発明のエピガロカテキンガレートを有効成分として用いる保存剤用組成物を、通常細胞培養として用いられている種々の培養液や臓器保存用保存液に加える。本発明に使用される培養液や臓器保存用保存液は公知のものが使用され、例えばユーロコリンズ液(Euro−Collins液、Squifflet、J.P.,etal.,Transplant Proc.,13,693,1981)、UW液等が使用可能である。 【0031】本発明の細胞や臓器の保存剤としてのエピガロカテキンガレートは、純度90質量%以上のものが使用可能となるが、純度95%以上の精製品がより適している。もちろん、更に高純度であればより効果的である。 【0032】本発明の保存剤を動物細胞保存に使用する場合、これまで種々の細胞培養に用いられている各種培養液や臓器保存用保存液に、好ましくはエピガロカテキンガレート90質量%異常の前記保存剤用組成物を0.01〜0.2質量%添加、より好ましくは0.02〜0.1質量%添加する。 【0033】例えば、本発明の保存剤を臓器保存に使用する場合、従来より移植用臓器の保存液として臨床的に用いられているユーロコリンズ液やUW液に、さらに上記保存剤用組成物を0.01〜0.2質量%添加する。より好ましい濃度は0.02〜0.1質量%の添加する。 【0034】また、血液、血球および血小板の保存剤として使用する場合、保存剤中に市販のグルコースやリン酸塩などが予め添加された液または後日添加した液、あるいは保存剤にポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤を予め添加された液または後日添加した液に、本発明の保存剤用組成物を0.005〜0.1質量%添加して用いる。 【0035】また本保存剤を蛋白質溶液の安定化剤として用いる場合は、市販の脂肪酸エステルが添加された保存液に、更に保存剤用組成物を0.005〜0.08質量%添加する。 【0036】さらに、保存剤を臓器移植後の臓器障害等を予防、治療、改善のために使用する場合も、市販の保存剤に本発明の保存剤用組成物を0.01〜0.2質量%添加して使用できる。この保存剤の投与方法としては通常の静脈内、経口、経鼻、座剤または経皮投与の方法が可能である。また投与量としては、患者の年令や症状などに対応して特に限定されない。 【0037】これらの培養液、保存液に、さらに他の抗酸化剤であるSOD、ビタミンE,Cおよびグルタチオン等も併用できる。 【0038】本発明の保存剤を使用する条件として、適用温度は0〜37℃であることが好ましい。本発明の保存剤を市販のものと比較すると、適用温度が比較的高温で冷凍を必要とせず、さらに耐用時間が比較的長時間であり、臓器の移植・手術への適応が優れている。 【0039】本発明における細胞には、人または動物の組織から単離した幹細胞、皮膚細胞、粘膜細胞、肝細胞、膵島細胞、神経細胞、軟骨細胞、内皮細胞、上皮細胞、骨細胞、筋細胞を含む動物細胞または家畜および魚類の精子、卵子または受受精卵が含まれる。 【0040】さらに、本発明の臓器には、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤または膵臓が含まれる。 【0041】緑茶ポリフェノール及びその主成分であるエピガロカテキンガレートは種々の生理活性作用、例えば抗癌作用、抗酸化作用、抗菌・抗ウイルス作用に優れていることは1980年代から多くの研究者らによって報告されている。このエピガロカテキンガレートが細胞増殖に及ぼす影響に関する研究は既に報告されているものの、その殆どが癌細胞の増殖を抑制するというものである。 【0042】従って、本発明のように動物の各種正常細胞を用い、その細胞増殖を自由自在に制御でき「動物細胞が体温条件下で冬眠する」現象をだれ一人として発見することが出来なかった。さらに、冬眠後再び正常な細胞増殖・分裂を開始し種々の機能を発現させることが出来ることも当然発見できなかった。 【0043】このように種々の動物細胞の増殖を自由自在に制御できることを明らかにできたことは、細胞工学の基礎研究の新たな突破口となるのみでなく、細胞保存、血液成分保存、および長時間の臓器保存までも可能にする画期的な発明である。 【0044】尚、本発明の動物の細胞または臓器の保存剤用組成物および保存剤は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。 【0045】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0046】実施例1本発明の保存剤用組成物の調製には、一般的に用いられている抽出方法で得られた緑茶ポリフェノールTP−60(株式会社ファーマフーズ研究所製。緑茶ポリフェノール含量が60%以上の物)を用いた。TP−60にはクロロフィルが大量に含まれている為、まずクロロフィル除去を行う。TP−60の1000gに対して水1リットル及びアルコール1リットルを加え10分から30分間加熱溶解し、その溶液を一昼夜冷蔵庫で放置する。24時間後沈殿が生じた事を確認後、そのものを低温下でロ別し乾燥すると810gの脱クロロフィル物を得た。 【0047】次にクロロフィル除去カテキン分画(TP−DCh)についてカラムクロマト法によりエピガロカテキンガレートを高純度化した。TP−DChの810gをダイヤイオンHP−20の低圧カラムに充填し、エタノール20%水溶液でクロマト分離を行い、UVでモニタリングしながら分離するとエピガロカテキンガレート80%画分が得られた。次にトヨパールHW−40Cカラム法によりエピガロカテキンガレート80%画分についてメタノール40%水溶液でクロマト分離を行いエピガロカテキンガレートが90%以上の画分210gを得ることができた。 【0048】このものについて島津SCL10A高速液体クロマト装置にて分離を行った。J‘spereODSM−80(150×4.6mmI.D.)カラム、移動相メタノール/0.05%リン酸水溶液=20/80、カラム温度30℃、検出波長280nmにて分析すると図2のように97%以上の純度であることが示された。このようにTP−60からエピガロカテキンガレート90%以上の高純度品(以下、EGCg−90)を21%の収率で得る事ができた。 【0049】実施例2マウス線維芽細胞L−929 線維芽細胞をイーグル社MEM(カナマイシン 60mg/l 含有、Eagle’sMEM containing kanamycin)と10%のウシ胎児血清(fetal bovine serum;FBS、M.A.Bioproduct,Marylard,USA)中で培養した。細胞の密度を1.76×105cells/mLに調整し、コントロール群として血清培養(serummedium)のみ(1群)、TP−60添加群として培養系に300mg/L濃度のTP−60を添加(2群)、そして本発明組成物添加群として培養系に100mg/L濃度のEGCg−90を添加し(3群)、細胞増殖テストを行った。その結果、コントロール群(1群)では、2日後から増殖が急激に起こり、5日後では細胞数が1.4倍に増えていたが、TP−60添加群(2群)とEGCg−90添加群(3群)では1週間、全く増殖が認められず休眠していた。しかし、そこで培養液(medium)を入れ換え、血清培養のみにすると、増殖が再開され、その1週間後TP−60添加群(2群から1群)では細胞数が2.6倍に、EGCg−90添加群(3群から1群)では3.0倍にも増えた。また、この睡眠が3ヶ月も持続することも確認した。このようにEGCg−90添加群(3群)ではTP−60添加群(2群)に比べ、濃度を低くしたにもかかわらず同等の休眠作用があり、その後の細胞増殖性が高い事が認められた。 【0050】実施例3ブタの肝細胞をタイプ I(type I)コラーゲンでコートした培養血に2.1×105cells播種し培養した。コントロール群(4群)は3日に1回ダルベッコ改質イーグル培養(ウシ胎児血清100mg/L,ペニシリン50000unit/L,ストレプトマイシン100mg/L,EGF0.5mg/mL,インシュリン0.25mg/L含有。Dulbecco’smodified Eagle’s medium;DMEM,containing bovine serum 100mg/L,Penicilin50000unit/L,stereptomycin100mg/L,EGF0.5mg/mL,insulin0.25mg/L)を交換し、TP−60添加群として培養系に300mg/L濃度のTP−60を添加(5群)とエピガロカテキンガレート添加群として培養系に150mg/L濃度のEGCg−90を添加し(6群)、肝細胞増殖能と肝細胞機能を比較した。マウス線維芽細胞と同様、コントロール群(4群)では細胞が増殖し、TP−60添加群(5群)とEGCg−90添加群(6群)では1週間後、全く増殖が認められず睡眠していたが、その後mediumを交換すると増殖を再開した。肝細胞機能としてD−グルコース(D−glucose)とリドカイン排除(Lidocaineclearance)をチェックした結果、TP−60またはEGCg−90を添加して睡眠させ1週間後覚醒させた肝細胞はコントロール群と同程度の肝機能を示し、EGCg−90添加群ではTP−60添加群に比べ、濃度が低いにもかかわらず同等に細胞機能の維持効果が認められた。 【0051】実施例4ラット膵臓ランゲルハンス島ウィスター系ラット(体重380g)の膵臓からランゲルハンス島(ラ氏島)を約2000個播種し、その一部200個を培養した。コントロール群(7群)は、RPMI培養1640(Lグルタミン含有、グルコース無添加、RPMIMedium1640、Gibco BRL,ロットNo.1019650,with L−glutamine,without glucose,LIFETECHNOLOGIES社製)を使用し、それにFetal Bovine Serum(ロット #29110643,CASERAINTERNATIONAL INC.CANADA社製)10%のグルコース(glucose)1g/L,およびアンチバイオティック−アンチミコチック(Antibiotic−Antimycoticロット No.1013807,LIFETECHNOLOGIES社製)をそれぞれ添加した系を1週間37℃で培養した。TP−60添加群として培養系に0.1質量%濃度のTP−60を添加(8群)と、EGCg−90添加群として培養系に0.04質量%濃度のエピガロカテキンガレートを添加し(9群)、ラ氏島組織の観察と機能を比較した。コントロール群(7群)では2日後で既に50%のラ氏島が破壊し、4日後では100%のラ氏島が死滅していた。これに対して、TP−60添加群(8群)とEGCg−90添加群(9群)では、1週間経過後でも全くラ氏島の破壊が認められず、100%冬眠していた。1週間冬眠させた後、TP−60またはEGCg−90を含まない培養系でラ氏島を洗浄し、インシュリン測定用テスト(Insulin−EIATEST GLAZYME,和光純薬工業株式会社)を用い、ワンステップ酵素免疫測定法にてインシュリン処理機能をチェックしたところ、ラット膵臓から播種直後のラ氏島と同程度の正常な機能を示し、EGCg−90添加群(9群)ではTP−60添加群(8群)に比べ、濃度が低いにもかかわらず同等以上の組織の冬眠作用並びに機能の維持効果が認められた。 【0052】 【発明の効果】以上、説明したように本発明の保存剤用組成物によれば、保存液の濁度が低く、色がうすく、沈殿が生じにくく、保存効果が一定な保存剤を提供することができる。 【0053】また、本発明の動物の細胞または臓器の保存剤によれば、動物の肝細胞、膵島細胞や受精卵までも長期間凍結させることなくより安定に保存できる。このことより、動物細胞が産生するサイトカイン類等、有用物質を生産する細胞工学や組織工学に利用できる。また、従来の臓器保存液に高純度のエピガロカテキンガレートを添加することにより、移植用臓器、例えば、肝臓、腎臓、膵臓、角膜や皮膚、神経、臍帯などあらゆる臓器の保存期間を大幅に延長させることができる。そして、本発明の保存剤を市販のものと比較すると、適用温度が比較的高温で冷凍を必要とせず、さらに耐用時間が比較的長時間であり、臓器の移植・手術への適応が優れている。 【0054】さらに、本発明の血液、血球または血小板の保存剤によれば、血液や血球、血小板までも長期間保存可能となり、さらに従来の血小板保存液に高純度のエピガロカテキンガレートを加えることにより、血漿と置換した血小板保存液として使用することもできる。 【0055】また、本発明の蛋白質溶液の保存剤によれば、種々のあらゆる蛋白質溶液とエピガロカテキンガレートを系内に共存させることにより、食品、臨床、臨床診断あるいはメディカルディバイスなどで用いられる各種蛋白質(酵素、抗体、抗原、免疫学的活性物質、生理活性ペプチドなど)の溶液状態、あるいは乾燥状態での保存安定性を向上できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500101243 【氏名又は名称】株式会社ファーマフーズ研究所 【識別番号】398056252 【氏名又は名称】エム・ジー製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年3月12日(2002.3.12) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−267801(P2003−267801A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−67624(P2002−67624) |
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