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【発明の名称】 木材保存組成物
【発明者】 【氏名】乾 圭一郎
【住所又は居所】大阪市東淀川区小松2丁目15番52号 シントーファイン株式会社内

【氏名】江川 均
【住所又は居所】大阪市東淀川区小松2丁目15番52号 シントーファイン株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】一般式(1)

(1)
(式中、R1は炭素数8〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、R2及びR3はそれぞれ同一または異なり炭素数1〜6のアルキル基、R4は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、X−は陰イオンを示す。)で表される4級アンモニウム塩化合物、銅を含有する化合物及びトリアゾール化合物を含有することを特徴とする木材保存組成物。
【請求項2】銅を含有する化合物が、酸化銅、酢酸銅、塩化銅、炭酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の木材保存組成物。
【請求項3】トリアゾール化合物が、シプロコナゾール、ヘキサコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール、イプコナゾール、エポキシコナゾールから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の木材保存組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材や合板等の木質材料の腐朽を防止し、またシロアリ等の害虫による食害を防止するための木材保存組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】建材等に使用される木材、合板等の木質材料は、カワラタケやオオウズラタケ等による腐朽、シロアリやヒラタキクイムシ等による虫害を防ぐために防腐剤、防蟻剤や防虫剤の処理が行われている。これらの薬剤は、木材を浸漬処理し木材の表面に塗布するだけでは十分な効力を発揮せず、防腐防蟻効力の持続性にも劣るため、通常は加圧注入処理することが行われている。このような防腐防蟻剤には、CCAのような水性の銅と砒素とクロムを含有する薬剤が使用されてきたが、非常に毒性の高い重金属を含んでいるため、人畜に対して有害であり環境を汚染する危険性がある。また、処理した木材を廃棄するときにも、たとえば焼却処理を行えば有害な砒素が大気中に揮散するなど環境汚染を引き起こす恐れがある。
【0003】CCAに代わる安全性の高い防腐防蟻剤は、これまでいくつかが開発されている。特開平03−40685には銅を含む防腐性金属化合物、第4級アンモニウム塩化合物及び短鎖アミンを含有する木材防腐用組成物、特開平04−55082には第4級アンモニウム塩化合物と、亜鉛または銅イオン供給化合物を有効成分とする木材防腐防蟻剤、特開平10−45518には銅のアミンまたはアンモニア錯イオンと第4級アンモニウム塩化合物を含む水溶液からなる木材保存剤組成物、特開平07−304609にはトリアゾール化合物、多塩基酸エステル化合物、アルコール化合物、ポリオキシアルキレン型乳化剤を含む防腐剤が提案されている。しかし、これらの方法では防腐効力が十分でなく、また耐候性が劣るため長期の継続的な効力が期待できない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記欠点を改良すべく鋭意研究した結果、前記の欠点が改良されることを見いだし、本発明を完成した。すなわち本発明は、一般式(1)

(1)
(式中、R1は炭素数8〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、R2及びR3はそれぞれ同一または相異なり炭素数1〜6のアルキル基、R4は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、X−は陰イオンを示す。)で表される4級アンモニウム塩化合物、銅を含有する化合物、及びトリアゾール化合物を含有することを特徴とする木材保存組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で使用する銅を含有する化合物は、無機の銅塩または有機の銅塩のいずれかまたは両方でもよく、無機の銅塩としては酸化銅、炭酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、リン酸銅等が挙げられ、有機の銅塩としては酢酸銅、プロピオン酸銅、オクチル酸銅、ナフテン酸銅等が挙げられる。これらの銅を含有する化合物の中で酸化銅、酢酸銅、塩化銅、炭酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅が良く、特に塩基性炭酸銅、水酸化銅、酢酸銅がより好ましい。
【0006】本発明で使用する銅を含有する化合物は、水溶性アミン類を用いて水系の溶液とすることができる。このようなアミン類には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、アンモニア等が挙げられ、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンが好ましい。
【0007】トリアゾール化合物は、シプロコナゾール((2RS,3RS)−2−(4−クロロフェニル)−3−シクロプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)、ヘキサコナゾール((RS)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ヘキサン−2−オール)、プロピコナゾール((RS)−1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)、テブコナゾール((RS)−1−p−クロロフェニル−4,4−ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ペンタン−3−オール)、イプコナゾール((1RS,2SR,5RS;1RS,2SR,5SR)−2−(4−クロロベンジル)−5−イソプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1−シクロペンタノール)、アザコナゾール(1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)、エポキシコナゾール((2RS,3SR)−1−[3−(2−クロロフェニル)−2,3−エポキシ−2−(4−フルオロフェニル)プロピル]−1H−1,2,4−トリアゾール)、メトコナゾール((1RS,5RS,1RS,5SR)−5−(4−クロロベンジル)−2,2−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シクロペンタノール)、テトラコナゾール((RS)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル)、ペンコナゾール(1−(2,4−ジクロロ−β−プロピルフェネチル)−1H−1,2,4−トリアゾール)、トリアジメフォン(1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オン)、ビテルタノール(1−(ビフェニル−4−イルオキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)、ミクロブタニル(2−p−クロロフェニル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ヘキサンニトリル)、ジニコナゾール((E)−(RS)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール)、ジフェノコナゾール(シス,トランス−3−クロロ−4−[4−メチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]フェニル−4−クロロフェニルエーテル)、イミベンコナゾール(4−クロロベンジル−N−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)チオアセタミデート)、トリアジメノール((1RS,2RS,1RS,2SR)−1−(4−クロロフェノキシ−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)等を用いることができ、単独もしくは二種類以上を用いても良い。これらのトリアゾール化合物のうちシプロコナゾール、ヘキサコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール、イプコナゾール、エポキシコナゾールが良く、特にテブコナゾール、ヘキサコナゾールがより好ましい。
【0008】製剤を行う上で、水を用いた水系の溶液とするのが好都合であるが、水以外の溶剤を適宜使用することも可能である。溶剤は特に限定されるものではなく、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、酢酸、プロピオン酸、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等の水溶性溶剤、また、ジメチルナフタレン、ドデシルベンゼン、流動パラフィン、イソホロン、灯油、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、椰子油、菜種油、綿実油、ヒマシ油、大豆油等の親油性溶剤が挙げられる。これらの水溶性溶剤、親油性溶剤は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。
【0009】4級アンモニウム塩化合物は、一般式(1)

(1)
(式中、R1は炭素数8〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、R2及びR3はそれぞれ同一または異なり炭素数1〜6のアルキル基、R4は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、X−は陰イオンを示す。)で表され、これらの4級アンモニウム塩部分の例としてベンザルコニウム、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウム等が挙げられる。対イオンとなる陰イオンは、塩素、臭素等のハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、炭酸イオン等が挙げられるが、塩素イオンのものが好ましい。これらの4級アンモニウム塩化合物は単独で用いても二種類以上を混合して用いても差し支えない。これらの4級アンモニウム塩化合物として、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムが特に好ましい。
【0010】また、本発明の木材保存組成物中のトリアゾール化合物、4級アンモニウム塩及び銅塩の溶解性及び安定性に影響を与えない程度の殺虫剤、防カビ剤、殺菌剤、界面活性剤や他の添加剤と混合して用いても差し支えない。界面活性剤としては非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤等が使用できる。これらの界面活性剤は特に限定するものではないが、非イオン系界面活性剤として例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、陰イオン系界面活性剤としてアルキルベンゼン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルコハク酸硫酸塩等が挙げられる。陽イオン系界面活性剤としては、本発明の必須成分である4級アンモニウム塩の他に、脂肪族アミン塩等が挙げられる。両イオン系界面活性剤としてはベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。また、これらの非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤及び両イオン系界面活性剤は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。また、必要に応じてキレート剤、防錆剤、スケール防止剤、消泡剤、寸法安定剤等を添加することも可能である。
【0011】本発明の木材保存組成物における銅を含有する化合物は、銅の濃度として0.1〜30重量%となるように含有させるのが良く、2〜20重量%とするのがさらに好ましい。また、本発明で配合するトリアゾール化合物は組成物中0.01〜20重量%となるように含有させるのが良く、0.05〜5%とするのがさらに好ましい。本発明で配合する4級アンモニウム塩化合物は組成物中0.1〜30重量%となるように含有させるのが良く、1〜20%とするのがさらに好ましい。
【0012】本発明の木材保存組成物は、加圧注入、減圧注入、浸漬処理、スプレー処理、塗布、接着剤混入等の公知の処理方法において、木材に加工することができる。これらの方法の中で、木質材料の内部まで有効成分を浸透させるためには加圧注入法または減圧注入法が適している。これらの加圧(減圧)注入法の種類には、ベセル法、リューピング法、ローリー法等の公知の方法があり、これらの方法で加工することができる。
【0013】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例をあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に示した配合比率はすべて重量%である。
【0014】
【実施例1〜12及び比較例1〜6】表1及び2に実施例を示す配合で製剤し、木材保存組成物を得た。また比較例を表3に示した。これらの組成物を処理した木片について、防腐効力試験及び防蟻効力試験を行った。
【0015】
【表1】実施例
【0016】
【表2】実施例
【0017】
【表3】比較例
【0018】
【試験例1】防腐効力試験JIS K 1571−1998に従って下記の通り防腐効力試験を実施した。
「供試菌」
オオウズラタケ Fomitopsis palustris 褐色腐朽菌カワラタケ Trametes versicolor 白色腐朽菌【0019】「供試培地の調製」900mlのマヨネーズ瓶に海砂350gを入れ、下記培養液を100 ml加え殺菌した後、あらかじめ上記担子菌を別々に十分に生育させたブナの小木材片1枚を無菌的に入れ、温度26±2℃、相対湿度70%以上のところで10日〜15日間培養し、菌そうが培養基に十分広がったものを供試培地とした。
【0020】「供試試料調製」実施例5及び比較例1〜6を各々20、40及び80倍希釈した薬液に木口面で20mm×20mm、高さ10mmの木材片を浸漬し、真空になるまで減圧し、薬液を吸収させた後、常圧に戻し、木材片の薬液の吸収量が、木材片重量の250±10%になるようにした。20日間以上室温で放置した後、以下の耐候操作を実施した。
【0021】「耐候操作」薬液を処理した各木材片9個を1組として500ml容量のビーカーに入れ、その中に木材片容積の10倍のイオン交換水(360ml)を注ぎ、木材片が浮かび上がらないように適当なおもりを載せ水面下に沈めた後、マグネチックスターラーを用い、水温25±3℃で回転子を毎分400〜450回転させ8時間攪拌し溶脱させ、続いて16時間60±3℃で乾燥させた。以上の操作を交互に10回繰り返した。耐候操作が終わった後、温度60±2℃で48時間乾燥させ、30分間デシケーター内に放置した試料の質量を測定した。
【0022】「試験方法」耐候操作を行った試料を3個ずつ、カワラタケは直接、オオウズラタケは殺菌したプラスチックの網を置きその上に、いずれも繊維方向を垂直に載せ、温度26±2℃、相対湿度70%以上のところに12週間培養した。培養後、菌糸等の付着物を取り除いた木材片を温度60±2℃で48時間乾燥させ、30分間デシケーター内に放置し試料の質量を測定した。あらかじめ測定しておいた耐候操作直後の重量と比較し次式によって質量減少率を求めた。試験結果を表4に示す。
質量減少率(%)=(耐候操作直後の質量−12週間培養後の質量)/耐候操作直後の質量×100【0023】
【表4】

【0024】
【試験例2】防蟻効力試験実施例1〜12を40倍希釈した薬液に20mm×10mm×10mmの木材片を浸漬し、真空になるまで減圧し、薬液を吸収させた後、常圧に戻し、木材片の薬液の吸収量が、木材片重量の100±10%になるようにした。21日間以上室温で放置した後、温度60±2℃で48時間乾燥させ、30分間デシケーター内に放置した後、試料の質量を測定した。測定後、日本木材保存協会の「耐候操作なし」に準じ、イエシロアリ(Coptotermes formosanus SHIRAKI)の職蟻150頭と兵蟻15頭飼育し、21日後に試料重量を測定した。その結果、本発明組成物はいずれも質量減少率が3%以下で良好な防蟻効力を示した。
【0025】
【出願人】 【識別番号】397070417
【氏名又は名称】シントーファイン株式会社
【住所又は居所】大阪市東淀川区小松2丁目15番52号
【出願日】 平成14年2月27日(2002.2.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−252705(P2003−252705A)
【公開日】 平成15年9月10日(2003.9.10)
【出願番号】 特願2002−51953(P2002−51953)