| 【発明の名称】 |
白蟻またはゴキブリのような害虫防除材および害虫防除施工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】今村 祐嗣
【氏名】横山 茂樹
【氏名】水戸 洋彦
【氏名】茅原 信暁
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 難溶性硼素化合物粉粒材が造粒または被覆により径0.5〜5.0mmの球状または亜球状体に成形されたことを特徴とする白蟻またはゴキブリのような害虫防除材。 【請求項2】 樹脂質その他の有機質材料による球状または亜球状体の表面に難溶性硼素化合物粉粒が被覆され径0.5〜5.0mmに成形されたことを特徴とする白蟻またはゴキブリのような害虫防除材。 【請求項3】 難溶性硼素化合物粉粒材が造粒または被覆により径0.5〜5.0mmの球状または亜球状体に成形された難溶性硼素化合物と、同様に径0.5〜5.0mmの球状または亜球状として造粒されたその他の無機質若しくは金属質の粒状材からなることを特徴とする白蟻またはゴキブリのような害虫防除材。 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1つに記載の害虫防除材を厚さ10〜50mmの層状として建物接地部に囲繞堆積されたことを特徴とする白蟻またはゴキブリのような害虫防除施工方法。 【請求項5】 径0.5〜5.0mmの球状または亜球状乾燥材と請求項1〜3の何れか1つに記載の害虫防除材とを併用することを特徴とした白蟻またはゴキブリのような害虫防除施工方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は白蟻またはゴキブリのような害虫に対する防除材および害虫防除施工法に係り、シロアリないしゴキブリ或いはこれらに近似したような害虫に対し、その建築物に対する侵入ないし食害などを的確に防止し、またそれらの害虫に対する殺虫ないし防虫効果を卓越せしめ、しかも施工が容易で経済的且つ有効な白蟻またはゴキブリのような害虫防除施工法を提案しようとするものである。なお本発明における難溶性硼素化合物としては、コレマナイト、ウレキサイト、プライス石、方硼石、水硼酸石、インヨウ石、サイベリ石、ダトライト、ハウ石等があり、これらを総称して難溶性硼素化合物という。 【0002】 【従来の技術】白蟻やゴキブリなどの建築物ないし生活環境に対する害虫は人類の生活環境を害することが明らかであり、このような害虫を防除し建築物などの耐用性を高めることについては従来から各方面においてそれぞれに検討が重ねられて来たが、現在においても有効な防除結果を得ることが困難で、好ましい技術は確立されるに到っていない。 【0003】即ち、このような建築物に対する害虫の防除剤としては従前において有機リン酸系のものが種々に採用されており、家屋などの建築物における床下その他において害虫が進出ないし通過する可能性の高い部分に散布若しくは噴霧することが一般的であり、そのための機器、手法その他についてそれなりの提案がなされている。 【0004】ところが上記したような各方面における多くの努力、研究にも拘わらず、今なお充分な成果が得られるに到っていないことは明らかであり、そうした理由としては有機リン酸系などの強力な殺虫作用を有するものはその取扱いが困難であって、作業者などに対する有害性が高く、また人の生活環境自体を大きく阻害する傾向などがあり、それらから防護するための装備や設備を必要とし、これらのことを必要としないような防除剤は好ましい殺虫効果や防除効果を求め得ない。 【0005】また、薬効ないし保証期間を充分且つ安定に得ることが困難であり、半永久的な耐用期間を有する建築物においては、そうした耐用期間に相当した耐用性を確保することができないことから反覆した防除施工を重ねざるを得ず、しかも往々にして虫害を受け、一旦発生した虫害により回復し得ない損害を与えることとなるので、居住者などは新築時においては固よりその後の防除処理に当っても上記したような虫害に対する留意ないし恐怖感に継続的に悩まされることとなる。 【0006】なお前記したような従来技術における上述したような課題は一般的に不可分的な関係を有することが普通で、薬効や耐用期間の長い強力なものは作業者や居住者などに重大な影響を与えることが確認され、長期に亘って耐用性を有する防除剤は斯うした影響の重大性も顕著である。従ってそれらの薬効、耐用期間などを強度に追及することには事実上作業者や居住者等に対する影響からして限界がある。 【0007】上記のような技術的条件において、近時難溶性硼素化合物、即ちコレマナイトのような硼素系鉱物粒状材を上述したような白蟻などの害虫に対する殺虫ないし防除剤として用いることが提案され、本発明者等においてはこのような技術に関して種々実地的な試験や検討を重ねて来た。即ちこのコレマナイト等の硼素系鉱物は前記白蟻などに対し相当の防除効果が確認されるに拘わらず、取扱者に対する有害性が少なく、しかも環境汚染なども殆んど求められない有利性があり、従来の有機リン酸系などの害虫防除剤においては求めることのできない重要な特質性がある。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】ところが上記したコレマナイト等の難溶性硼素系鉱物粉粒材の上述したような目的における採用は建造物の基礎部周辺や底面の如きに対し単に散布または充填すればよいという程度であって、完全な防除施工をなすには要するに充分な粉粒材装入をなすことが好ましいとする技術思考に立脚したものであるから大量の前記粉粒材を準備し、これを分散配布せしめ、施工工数などもそれなりに嵩んだものとならざるを得ない不利、欠点を有している。 【0009】また前記したコレマナイト等の難溶性硼素化合物は成程、天然の産出物であるとしても、我が国においては殆んど産出せず、世界的にもトルコ、アメリカ大陸などにおける特定産出地であって、我が国においては原石の輸入自体に相当のコストを必要とし、しかもこのものを輸入後に更に所定粒度に破砕しなければならないので、必然的に相当高額とならざるを得ない。従ってこのようなコレマナイト等を使用することは成程白蟻等の害を防止できても相当のコストアップとならざるを得ない。 【0010】更に上記のような白蟻などの防除については死亡させることが必要であることは当然とされても、死亡を免れた若干の白蟻などが大きな被害をもたらし、従ってまた居住者などに常時留意することを要求し、特に恐怖感に悩まされるようなことを完全に解消することが望ましいことは当然であるところ、従来技術においては成程防除施工を行ったとしても単に施工したという程度のことであり、その完全性についての追求が不完全であって充分となし得ないことが殆んどであり、永久的に被害に対する恐怖感を懐かざるを得ないことは殆んどの新設家屋建造ないし利用者に知悉され、従ってまた常に予想され得る被害に悩まされていることは周知の如くである。 【0011】なお上記のようなコレマナイト等の硼素系鉱物粉粒材を調整準備する手法としては破砕のみに依存するものであるから原石からの破砕がそれなりに制限されることとなり、得られる粒子の形状なども好ましいものとならない不利がある。即ち防除対照である白蟻などの運動ないし通過を有効に阻止する形状ないし大きさとしては特定形態を有し、しかも重さの大きいことが移動や迂回を困難とすることから好ましいものと予想されるとしても、球状その他の形態を適正状態に得るには工数が嵩み、勿論コスト高とならざるを得ないし、原石から得られる破砕品の形状は多様且つ尖鋭状であって不揃いなものとならざるを得ない不利があり、施用に好ましい粒度や形態を得ることが困難で、設備なども大型となり、何れにしても利用上好ましい形態の粒子を得ることに大きな困難さがある。 【0012】なおコレマナイト原石の利用は白蟻の防除のみでないことは当然で工業的にはそれなりの他の用途があり、ガラス工業その他の専用的用途も多いところ、そうした専用的用途においてもコレマナイト廃棄物がそれなりに発生するとしても、それらのコレマナイト廃棄物は単に廃棄されることとならざるを得ず、経済的に好ましくない不利を有している。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明は上記したような従来技術における不利欠点を解消することについて検討を重ねた結果得られたものであって以下の如くである。 (1) 難溶性硼素化合物粉粒材が造粒または被覆により径0.5〜5.0mmの球状または亜球状体に成形されたことを特徴とする白蟻またはゴキブリのような害虫防除材。 【0014】(2) 樹脂質その他の有機質材料による球状または亜球状体の表面に難溶性硼素化合物粉粒が被覆され径0.5〜5.0mmに成形されたことを特徴とする白蟻またはゴキブリのような害虫防除材。 【0015】(3) 難溶性硼素化合物粉粒材が造粒または被覆により径0.5〜5.0mmの球状または亜球状体に成形された難溶性硼素化合物と、同様に径0.5〜5.0mmの球状または亜球状として造粒されたその他の無機質若しくは金属質の粒状材からなることを特徴とする白蟻またはゴキブリのような害虫防除材。 【0016】(4) 前記(1)〜(3)項の何れか1つに記載の害虫防除材を厚さ10〜50mmの層状として建物接地部に囲繞堆積されたことを特徴とする白蟻またはゴキブリのような害虫防除施工方法。 【0017】(5) 径0.5〜5.0mmの球状または亜球状乾燥材と前記(1)〜(3)項の何れか1つに記載の害虫防除材とを併用することを特徴とした白蟻またはゴキブリのような害虫防除施工方法。 【0018】 【作用】難溶性硼素化合物粉粒材が造粒または被覆により径0.5〜5.0mmの球状または亜球状体に成形されたことによって目的の施工部に対する施工充填性に優れたものとなり、各球状または亜球状硼素化合物粉粒体間における空隙が均一的且つ小さいものとなり、白蟻のような害虫の進入ないし運動時においても該害虫駆体に対し球状化粒子としての円滑な転動接触作用を得しめて効率的に該害虫体に対し有効適切に接触せしめると共に粒状材間の間隙を変形縮減し、特に前記害虫体が球状材中における堆積組織中へ通過することを有効且つ的確に抑制作用する堆積層を形成せしめる。 【0019】即ち、例えば前記球状材を厚さ10〜50mmの層状として建造物接地部に囲繞堆積することにより比較的少ない粒状材堆積層においてそれらの球状粒子を適宜に転動せしめ、粒子間の間隙を変形させて有効な白蟻等の通過阻止層を簡易且つ低コストに形成せしめ、またそれらの球状材転動ないし粒子間の間隙変形作用によって、白蟻のような害虫駆体に対する球状材の接触を有効に行わせる。なおこのような本発明でいう白蟻等の通過阻止は単なる殺蟻作用とは異質性を有し、殺蟻は単に白蟻を殺すことであるから少量(例えば2〜3粒)のコレマナイト粒子であっても要するにコレマナイト粒子を白蟻体に接触せしめればその目的を達し得るが、本発明でいう通過乃至進入阻止は白蟻等が堆積層内に進入すること自体を阻止することであり、実質的に白蟻等が進入できないことに本質があり、事実上は若干堆積層内に進入したものがその位置で死亡したままとなるが、何れにしても侵入阻止は単に殺蟻することよりも困難性が高いことは明らかである。本発明における上述施工層の厚さとしては一般的に10〜30mmで10〜20年程度の耐用性が得られるが、特に30〜50年またはそれ以上の耐用性を必要とするような場合においても50mm程度でよい。 【0020】なお、粒径0.5〜5.0mmとした球形または亜球形状粒材を用いることにより、それら粒材間の間隙を可及的に小となし、また堆積された粒材間の間隙縮少ないし閉塞作用が瞬間的且つ効率的に行われる。白蟻に対する場合のより好ましい粒径は実地的に1.0〜2.36mmであり適切な利用をなし得るが、勿論より微細な0.5〜1.0mmまたはより大きい2.36〜5.0mmのものの適量を併用することにより微細な接触による白蟻などの通過阻止構造を形成し、あるいは2.5〜5mmのような比較的大径粒材の存在により堆積粒材に対する重石的作用を得しめて各粒材の変位移動を抑制し、白蟻のような微小害虫の通過運動を的確に阻止する。 【0021】樹脂質その他の有機質材料による球状または亜球状体の表面に難溶性硼素化合物粉粒が被覆され径0.5〜5.0mmに成形されたことによって転動性に優れた球状または亜球状体を、特にフェノールビーズ、スチレンビーズまたはアクリルビーズの如きを採用することにより簡易且つ低コストに目的の球状体を得しめ、またそれら球状体間において害虫に対する阻止作用ないし害虫体との間の接触およびそれに伴う殺害を効率的に図らしめる。 【0022】難溶性硼素化合物粉粒材が造粒または被覆により径0.5〜5.0mmの球状または亜球状体に成形された難溶性硼素化合物と、同様に径0.5〜5.0mmの球状または亜球状として造粒されたその他の無機質若しくは金属質粒状材からなることによりそれらの硼素化合物と無機質若しくは金属質の粒状材によって上記同様の害虫体との接触および通過阻止を図らしめ、比較的低コストに防蟻目的を達成せしめることが可能である。 【0023】上述したように球状または亜球状として成形された難溶性硼素化合物粉粒材が対象とする害虫の大きさや体形に応じた粒径として造粒または被覆されたことによって転動性や充填性に優れたゴキブリその他の害虫に対する防除材を提供せしめ、充填状態が密実とされた防除材充填域を適切に形成し、有効且つ的確な害虫防除を図らしめる。 【0024】難溶性硼素化合物粉粒材が造粒または被覆により球状または亜球状として形成された難溶性化合物と、同様に球状または亜球状として造粒されたその他の無機質または金属質粉粒状材とから成ることによって対象とする害虫に対し有効に即応せしめた充填状態を形成せしめまた対象とされた害虫の運動ないし移動作用に対してそれぞれの粉粒材が適宜に移動し、回転し、しかも可及的に密接した粉粒材の充填設定を図って有効且つ高度の防除作用を得しめる。 【0025】合成樹脂質などの有機質材料による球状体または亜球状体の周面に難溶性硼素化合物粉粒が被覆されるようにすることができ、このようにすることによって該球状体または亜球状体が合成樹脂などを用いて比較的簡易且つ適切に目的の球状体または亜球状体として得られ、またこのような球状体または亜球状体の周面に対する難溶性硼素化合物粉粒の被覆も容易で、簡易且つ低コストに目的とする害虫防除材を得しめる。 【0026】球状または亜球状として難溶性硼素化合物粉粒が造粒または被覆された害虫防除材を厚さ10〜50mmの層状として建造物接地部に囲繞堆積することによって比較的薄層の防除設備によって有効且つ適切な害虫防除を図らしめ、経済的且つ簡易な施工によって適切な防除目的達成を図らしめる。 【0027】球状または亜球状として難溶性硼素化合物粉粒が造粒または被覆された粒材と、同じく球状または亜球状として造粒されたその他の無機質または有機質粒状材とから成る防除材を厚さ10〜50mmの層状として建造物接地部に囲繞堆積することによって比較的薄層の防除材充填層により有効な防除機能を発揮せしめ、簡易且つ低コストでコンパクトな設備によって的確な害虫防除作用を確保せしめ得る。 【0028】上述したような球状または亜球状乾燥材と前記したような害虫防除剤とを併用することによって施工部における湿度条件を適宜に緩和した条件下で害虫防除作用を有効に得しめる。 【0029】なお上記したような本発明によるものは球状または亜球状として成形されたことによりコレマナイト粉粒材が対象とする害虫の大きさや体形に応じた粒径として造粒または被覆されることになり、白蟻のような害虫の運動時において該害虫体の運動により球状化粒子の転動作用を得しめて効率的に該害虫体と接触せしめると共に粒状材間の間隙を適宜に縮減し、特に前記害虫が粒状材の堆積組織中の通過を的確に抑制し自動的に制限することのできる堆積層を形成せしめる。 【0030】更に、球状または亜球状としてコレマナイト粉粒材が造粒または被覆されたコレマナイト粒材と、同様に球状または亜球状として造粒されたその他の無機質または金属質粉粒状材とから成ることによって白蟻のような害虫がコレマナイト粒材およびその他の無機質または有機質粒状材の何れによっても堆積組織中から脱出することができず、しかも該堆積組織中におけるコレマナイト粒材との接触によって死亡せしめられることになって、何れにしても適切な害虫防除目的を達成せしめ、しかも高価なコレマナイト粉粒材による造粒または被覆粒状材の量を低減し、低コストに目的の害虫防除を達成せしめる。 【0031】また、合成樹脂質などの有機質球状体または亜球状体の周面にコレマナイト粉粒が被覆されたことによって目的とする害虫防除を有効に達成せしめ、しかも主要な防虫作用をなすコレマナイト粉粒の必要量を大幅に縮減して経済的に目的の害虫防除を図らしめる。 【0032】球状または亜球状としてコレマナイト粉粒が造粒または被覆された害虫防除材を厚さ10〜50mmの層状として建造物接地部に囲繞堆積することにより、従来の白蟻の如きに対する防除施工のように少なくとも厚さ100mm以上の如き大型施工を必要としないで、簡易且つ迅速で、低コストな施工により安定した白蟻等の防除目的を達成せしめる。この厚さは20〜30年程度の耐用期間の場合または発明者等による適切な素材である場合には30mm程度で足りる。 【0033】球状または亜球状として成形されたコレマナイト粉粒が造粒または被覆されたコレマナイト粒材と、同じく球状または亜球状として造粒されたその他の無機質または金属質粒状材とから成る防除材を厚さ10〜30mmの層状として建造物接地部に囲繞堆積することによって単なる無機質または有機質粒状材により防蟻防虫目的を達成せしめ、しかも前記コレマナイト粒材により殺蟻殺虫目的を確保することができ、より低コストな施工を実施せしめる。 【0034】更に、球状または亜球状乾燥材と前記したような何れか1つに記載の害虫防除材とを併用することにより施工部を乾燥状態に保持せしめて快適且つ有効な防虫施工を実現せしめる。 【0035】上述したような何れか1つに記載した害虫防除材を相互に転動可能状態として設定部に収容または設定されることにより害虫が防除材設定部内で動作することにより粒状材堆積層中における空隙部に対し堆積粒子が球状または亜球状であることから転動嵌入して粒子間の空隙を縮減せしめ、該害虫の作動を漸次制限し、堆積層中に封入固定化せしめる。 【0036】前述したような害虫防除材が同じく球状または亜球状として成形されたその他の無機質または金属質成形体と相互に転動可能状態として設定部に収容されることによっても害虫が防除材設定部内で動作することにより粒状材堆積層中における空隙部に対し堆積粒子が転動嵌合せしめられて各粒子間空隙を縮減せしめ、害虫の作動を制限して堆積層中における封入固定化を図らしめる。 【0037】 【発明の実施の形態】上述したような本発明の具体的実施態様について説明すると、本発明者等は上記したような従来技術における不利、欠点を解消することについて検討を重ね、即ち白蟻のような木造建築物に対する害虫について各種の硼素塩鉱物を用い、その貫通防止性能を検討した結果、何れの硼素塩鉱物においても殺蟻効果を認められるとしても、水に対する溶出が少なく、しかも■殺蟻効果の持続性、■環境への安全性、■天然鉱石破砕物の粒度調整のための低コスト性などの何れの観点からしてもコレマナイトが最適であることが確認された。 【0038】また本発明者等は上記したような難溶性硼素化合物であるコレマナイトその他の材料ないし固形物粒子の形状や組織の仔細と防蟻性能の関係を検討した結果、その粒子形状(例えば粒径比と粒子分布)との間に白蟻などの通過ないし防虫(防蟻)性能において相当の差異を有することが確認された。 【0039】つまり、このような難溶性硼素系粒子その他の鉱物においてはその生成条件からしてそれなりの結晶組織ないし結晶耕造が発生し、そうした結晶組織ないし結晶構造によって破砕時における粒子形態が変化する。即ち斯うした結晶構造は破砕して得られる粒子の構成ないし形態に大きく影響し、該破砕粒子を採用した防蟻処理ないし防蟻設備の作用を支配するものと推定された。 【0040】上記したような理由から本発明者等において前述したような硼素系鉱物(コレマナイト)についてその粒子形状(粒径比:横軸)と粒子発生量の割合(%:縦軸)との関係を検討した結果を要約したものが図3であって、それら鉱物等の破砕によって得られる粒子の粒径比と発生率についての検討結果における発生量はこの図3における各曲線の如くであって、粒子の長径(a)に対する短径(b)の割合である粒径比(b/a)が該グラフにおける中間点位置(0.67)より右側(粒径比が1.00側)に近づけば真球状となって地表(床下など)に敷設した場合に白蟻などの通過する空隙が制御されて小となり防蟻効果が大となるのに対し、それとは反対に左側(粒径比が0.67以下と小さい側)の場合は粒子間に発生する空隙の大きさが大となり、従って白蟻等が通過し易く防蟻効果の乏しいことを示すものである。 【0041】つまり、この図3に示したコレマナイト破砕品とコレマナイト造粒品とは同じ産出地で得られたコレマナイト鉱石から得られたものであるが、同じ鉱石による製品であっても造粒品と破砕品とを比較すると大きな差異があり、破砕品は堆積ないし製品化状態において粒子間における空隙が大となるのに対し、造粒品であるコレマナイトA、Bのものは何れも粒径比0.67以下の領域においてこのような空隙増加傾向を殆ど認められない。即ち破砕品の場合は同じコレマナイトであっても床下などに敷きつめた場合において堆積層内に相当の空隙発生があることは該図の左半部(粒径比0.67以下)に示される如くである。これは実際の防蟻施工においても従来のものは破砕品しか用いられておらず、この破砕品による施工層では白蟻の通過が確認され、従って防蟻施工層の厚さも少なくとも80mm以上、一般的には100mm前後あるいはそれ以上のような厚層とすべきものと理解され、しかも該施工層には白蟻などが進入、通過できる空隙があり、何れにしても白蟻などが通過する可能性を否定できないのが常識とせざるを得ないものであった。 【0042】本発明ではこのような従来のコレマナイトなどを利用した防蟻技術に対し、コレマナイトなどを利用した防蟻用材料を従来のような破砕品として用いることをやめ、より微細化された素材である造粒品とするものであり、しかも該造粒品の形態を球状または球状体長径が短径の1.5倍程度までである亜球状体とすることを提案するものである。即ちこのような球状ないし亜球状レベルの造粒(または被覆)による粉粒成形材を用いることにより該粒状材の堆積層自体における空隙を大幅に縮減することが可能であって、前記図3の右半部に示すように粒径比0.67以下の領域で堆積層における空隙増大を殆ど求められないことは図示の如くである。 【0043】また本発明による具体的な造粒品についての形態は図1と図2にそれぞれ示す如くであって、図1は略正球状材として造粒された場合を示し、図2は長径が1.5倍程度までである亜球状材の場合であるが、これは比較材として図4に示した従来技術である破砕材の場合と比較すると相当に異質であることは容易に理解でき、図4のものにおいては相当に角張っていると共に鋭角状の突起部を形成しているのに対し、本発明における図1、図2の造粒材は何れにしても適切な丸味を有していることが明らかで形状的に肉眼的または触感的にも明らかな異質性を示している。 【0044】上記したような略正球状または亜球状材を成形する手法として本発明者等は円形転動式、ドラム形転動式、攪拌式など各種があるが、具体的にどのような方式で造粒したものであっても形状が球状または亜球状であり、粒度調整したものであれば白蟻の床下からの進入防止を有効に防止することができる。また成形生産についてもそれぞれの方式によって多少の作業能率上の差異があるとしても、正球状またはこの正球状に準ずる形状が亜球状であって、上記したような機器による成形操作の基本的形状であるだけに比較的容易に製造成形することが可能であり、成形生産性に優れており、形態の仕上がり状態も効率的である。 【0045】上記したような本発明の図1、2に示した如き正球状ないし亜球状の本発明球状品と、従来の破砕品および各種の比較材を準備し、実地的に白蟻に対する殺蟻ないし防蟻試験を実施した結果は次の表1に要約して示す如くであって、従来技術による破砕品の場合は、対象とするシロアリに対する生死状況は完全状態に得しめるとしても、貫通度合はなお不完全であって、施工試料の厚みが3cm程度では特定粒度の場合においてそれなりの防蟻を図り得るとしても、試料厚み1〜2cm程度では白蟻が貫通し、このような貫通を適切に阻止するには特定粒度の材料を採用することが必要であることが確認された。 【0046】 【表1】
【0047】これに対し本発明のコレマナイト造粒材の場合には球状造粒品A〜Dとして示すように粒径0.5〜5.0mmの広い粒度範囲において少なくともシロアリ全滅状況であり、貫通度合においても粒径1.0mm以下や3.35〜5.0mmのように大径材以外のものは「貫通なし」であって、このような小径材または大径材でないならばシロアリの貫通を阻止することから進入したシロアリは堆積層内で死滅することが理解される。 【0048】コレマナイト球状造粒品Aは図1に示したような正球状コレマナイト造粒品の場合であって、粒径0.5〜5.0mmの範囲内を5分して各粒度別に検討したものであるが、1.0mm以下のような微細粒や3.35〜5.0mmのようなシロアリの身体に比し比較的小さい場合、比較的大きい場合において貫通度合が高まることが認められるとしても、生死状態としては何れも全滅であり、防蟻目的は適切に達し得ることが明らかである。 【0049】上記のような本発明によるコレマナイト球状造粒品Aに対し、コレマナイト球状造粒品Bは図2に示したような亜球状コレマナイト造粒品の場合であって、正球状と亜球状の形態的差異があっても作用効果的に殆ど差異がないものである。またコレマナイト球状造粒品Cは嵩比重が1.5と前記造粒品A、Bよりも高い比重のものであり、更にコレマナイト球状造粒品Dは嵩比重が1.0と上記造粒品A、Bより軽量のものであるが、これらの球状造粒品B〜Dの場合においてもコレマナイトとしての本発明による殺蟻作用および貫通阻止作用は同様に求められることは表1に明らかにされている通りである。 【0050】表1において示されたセラミックボール、ガラスビーズ、廃ガラス、軽石、シリカゲル、黒曜石系パーライト、活性炭および鉄球はそれぞれ比較材であって、シロアリ等の貫通阻止作用においてはそれぞれに適宜に得られるとしてもシロアリ生死状況(殺蟻性)は何れも零状態であり、従って粒度条件が適切に選ばれることによって貫通なしとなるとしてもシロアリ自体は生存していることになり、本発明のような結果を求め得ないものである。 【0051】然し本発明においては上記したような表1におけるコレマナイト以外のものであってもコレマナイト造粒品と併用することによりシロアリなどの貫通阻止と全滅を適宜に達成し得るものであって、このような結果を要約して示したのが次の表2である。 【0052】 【表2】
【0053】即ち、表2に示すものは前記した表1におけるコレマナイト造粒品A、Bとして粒径1.0〜2.36mmのものを採用し、これにガラスビーズ、セラミックボール、シリカゲルおよびゼオライト造粒品を併用し混合割合をコレマナイト造粒品が50%以下として多様に変え、表1の場合と同様に実施し、施工試料厚みとの関係においてシロアリ貫通如何と生死状況とを検討した結果を示すものである。 【0054】即ちコレマナイト造粒品が1wt%までのものでは殺蟻性が乏しいが、それが2%以上となることによってシロアリが何れも全滅しており、施工試料の厚みも1〜3mmと表1の場合と同じであって、コレマナイト造粒品の少ない使用量によって防蟻目的を有効に達成し得ることが確認され、経済的に所期の作用を図らしめ得る。 【0055】なお上記したような表1、表2における白蟻生死状況については、日本木材保存協会規格第17号に準じた試験設備を用いた。即ち硬石膏で厚さ5mmの底をつけた径8cm、高さ5cmの有底円筒状容器の上に底面が開放された円筒を載置し粘着テープで連結重合した試験設備においてその下部容器の中に餌木4として2cm四方の赤松材と20メッシュ以下の砂を入れたものに白蟻220頭(職蟻200頭、兵蟻20頭)を入れると共に水50mlを加え、その上に試料を装入して上部餌木をセットしたものとし、有底円筒状容器内における白蟻の動きが安定化した後、28±2℃で湿度80%以上の恒温湿室内に放置し、3週間まで定時的に観察し上部餌木の食害状況や穿孔の有無を確認することとしたものである。 【0056】 【発明の効果】上記したような本発明によるものは何れにしても好ましい白蟻等の害虫防除効果に卓越していることが明らかであり、即ち防除層の厚さが10mm程度でも適切な防除が得られ、30mm以下のような薄層状態で有効な防除結果を得しめるものであることからして白蟻等の防除施工を簡易化且つ低コスト化し得ることが明らかであり、しかもそうした防除層により白蟻等の進入自体を的確に阻止し、また白蟻等を的確に殺蟻し得るものであるから従来技術において困難視されていた防蟻防虫目的を進入阻止と殺蟻の双方において果たし、2重の防止効果を併用して充分に発揮することから居住者等が長期に亘って虫害に対する留意ないし恐怖感に継続状態で悩まされるようなことを的確に解消し得るなどの特段の効果をもたらすもので、工業的にその効果の大きい発明である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】591172526 【氏名又は名称】昭和鉱業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058974 【弁理士】 【氏名又は名称】白川 一一
|
| 【公開番号】 |
特開2003−246707(P2003−246707A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月2日(2003.9.2) |
| 【出願番号】 |
特願2002−46148(P2002−46148) |
|