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【発明の名称】 有用植物の胴枯性病菌の生育抑制剤及び胴枯性病防除方法
【発明者】 【氏名】飯島 義彦
【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内

【氏名】林 孝三郎
【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内

【氏名】中村 忠光
【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内

【氏名】高野 保夫
【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内

【要約】 【課題】簡便で使い勝手が良く、胴枯性病に対し高い防除効果を有し、しかも安全性が高い有用植物の胴枯性病菌の生育抑制剤及び有用植物の胴枯性病菌の防除方法を提供すること。

【解決手段】セルロース誘導体を有効成分として含有することを特徴とする有用植物の胴枯性病菌の生育抑制剤、及び本発明の胴枯性病菌の生育抑制剤を用いることを特徴とする有用植物の胴枯性病防除方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】セルロース誘導体を有効成分として含有することを特徴とする有用植物の胴枯性病菌の生育抑制剤。
【請求項2】前記セルロース誘導体が、カルボキシメチルセルロースナトリウムである請求項1記載の胴枯性病菌の生育抑制剤。
【請求項3】請求項1又は2に記載の胴枯性病菌の生育抑制剤を用いることを特徴とする有用植物の胴枯性病防除方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リンゴ、ナシ等の有用植物の胴枯性病菌の生育抑制剤、及び該生育抑制剤を用いる有用植物の胴枯性病防除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リンゴ腐らん病等の胴枯性病は明治末期から大正期にかけて大発生し、寒冷地のリンゴ栽培に甚大な被害を及ぼした。その後、昭和40年代から再びこの病気の発生が目立ちはじめている。特に北海道や東北地方といった寒冷地ではこの病気の被害が深刻で、その防除及び治療に苦慮している。また、近年においては、リンゴのみならず、ナシ、セイヨウナシ、クワ、キリ等の他の有用植物にも胴枯性病害が多発し、その対策として抜本的な防除、治療方法の必要性が強調されている。
【0003】従来、リンゴ腐らん病に代表される胴枯性病害の治療には、病巣患部への薬剤(農園芸用殺菌剤)を塗布する方法や病斑部を外科的に治療する方法、泥巻法等が知られている。
【0004】しかしながら、従来の農園芸用殺菌剤は薬剤の樹体への浸透性が劣るために、胴枯性病に対して十分な防除効果が得られない場合があった。また、農園芸用殺菌剤の中には変異原性を持つものもあり、自然環境及び人体に対して必ずしも安全なものとは言えなかった。一方、病斑部を外科的に治療する方法や泥巻法では、ある程度の治療効果を得ることができるものの、全体の処置に多大な労力及び時間を要する問題がある。従って、簡便で使い勝手が良く、有用植物に発生する胴枯性病害に対して優れた防除効果を有し、安全性が高い胴枯性病を防除する薬剤の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる実情の下でなされたものであり、簡便で使い勝手が良く、胴枯性病に対し高い防除効果を有し、しかも安全性が高い有用植物の胴枯性病菌の生育抑制剤及び有用植物の胴枯性病菌の防除方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、セルロース誘導体が胴枯性病菌の生育抑制に顕著な効果を示すことを見出した。そして、セルロース誘導体を含む製剤を胴枯性病菌の生育抑制剤として使用することを着想し、本発明を完成するに到った。
【0007】かくして本発明の第1によれば、セルロース誘導体を有効成分として含有することを特徴とする有用植物の胴枯性病菌の生育抑制剤が提供される。本発明の生育抑制剤においては、前記セルロース誘導体がカルボキシメチルセルロースナトリウムであるのが好ましい。また本発明の第2によれば、本発明の胴枯性病菌の生育抑制剤を用いることを特徴とする有用植物の胴枯性病防除方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の有用植物の胴枯性病菌の生育抑制剤及び胴枯性病の防除方法について詳細に説明する。本発明の生育抑制剤は、Valsa属やDiaporthe属等の腐らん病菌又は胴枯病菌に感染し、腐らん病や胴枯病等の胴枯性病の症状を示している有用植物の治療又は胴枯性病の感染予防に用いられる。
【0009】胴枯性病は、その病斑部分の形態が幹辺材腐れの様相を呈し、主に幹の靭皮部、辺材柔細胞そして形成層等が侵害される病気である。病原菌の植物体への進入原因としては、凍害・寒害による損傷、枯枝、樹体の衰弱、芽かき痕及び不適当な剪定等が挙げられる。一般に、胴枯性病による植物の材質腐朽は、根株心腐れ、幹心腐れ、幹辺材腐れの3タイプに分かれる。根株心腐れでは、腐朽菌が根系の傷口から進入して根株の心材を腐らせる。また、幹心腐れでは、腐朽菌が傷口又は枯枝から幹に侵入して心材を腐らせる。更に、幹辺材腐れでは、腐朽菌が枯枝や傷口から進入して辺材部を腐らせる。
【0010】かかる胴枯性病としては、例えば、Valsa ceratosperma(Tode ex Fr.)Maire(リンゴ腐らん病菌、ナシ腐らん病菌)、Valsa paulowniae Miyabe et Hemmi(キリ腐らん病菌)、Diaporthe nomurai Hara(クワ胴枯病菌)、Diaporthe ambigua(Sacc.)Nits(セイヨウナシ胴枯病菌)、Valsa abietis Fr.(スギ胴枯病菌)、Diaporthe aucubae(Sacc)(アオキ胴枯病菌)、Endothia parasitica(Murrill)PJ et H.W.Anderson(クリ胴枯病菌)、Valsa friesii(Duby)Fuckel(ハイイヌガヤ胴枯病菌)等の子のう菌とそれらの不完全世代である不完全菌等により引き起こされる病害が挙げられる。
【0011】本発明の生育抑制剤は、有用植物に感染する胴枯性病菌の生育抑制効果を有し、有用植物の胴枯性病防除剤として有用である。有用植物としては、例えば、リンゴ、ナシ、セイヨウナシ、モモ、ブドウ、クリ等の果樹類;クワ、キリ、アオキ、スギ、ハイイヌガヤ等の樹木類;バラ、ボタン等の花卉類;等が挙げられる。
【0012】本発明の胴枯性病菌の生育抑制剤は、セルロース誘導体を有効成分として含有することを特徴とする。セルロース誘導体は有用植物の胴枯性病菌に対して特異的に生育抑制効果を発揮する。したがって、多種多様な微生物(黴など)に対して絶対的な毒性を有する既存の殺菌剤に比較して環境に与える負荷が非常に小さいものである。また、セルロース誘導体は天然物であるセルロースの誘導体であり、環境を汚染することも少ない。さらに、セルロース誘導体は食品添加物として指定されているものも多く、変異原性の報告もなく、人体に対する安全性についても既存の合成殺菌剤に比して極めて優れている。
【0013】セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCNa)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMCCa)、カルボキシメチルセルロースアンモニウム(CMCNH)などのセルロース塩類;酢酸セルロース、硝酸セルロース、セルロースザントゲン酸塩等のセルロースエステル類;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPEC)、シアノエチルセルロース、ジエチルアミノエチル(DEAE)セルロース等のセルロースエーテル類;等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、胴枯性病菌の生育抑制効果に優れること及び入手容易性の観点から、カルボキシメチルセルロース塩類の使用が好ましく、カルボキシメチルセルロースナトリウムの使用が特に好ましい。
【0014】本発明の胴枯性病菌の生育抑制剤は、セルロース誘導体の少なくとも1種を有効成分とする通常の製剤形態に製剤化して得ることができる。製剤の形態は特に制限されず、例えば、乳剤、水和剤、液剤、エマルジョン剤、懸濁液剤、粉剤、泡沫剤、ペースト、粒剤、エアゾール、マイクロカプセル等の公知の製剤形態が挙げられる。
【0015】これらの製剤は、公知の方法、例えば、前記セルロース誘導体と、液体希釈剤、液化ガス希釈剤、固体希釈剤等の各種添加剤、所望により乳化剤、分散剤、泡沫形成剤等の界面活性剤と共に混合(又は混練)する方法により製造することができる。
【0016】液体希釈剤としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えばキシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン等)、脂肪族炭化水素類〔例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、パラフィン類(例えば鉱油留分等)〕、アルコール類(例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、グリコール等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、エステル類(例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、乳酸メチル等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、他の極性溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)、及び水等を用いることができる。
【0017】液化ガス希釈剤としては、常温常圧で気体の物質を液化させたもの、例えば、液化したブタン、プロパン、窒素ガス、二酸化炭素、ハロゲン化炭化水素類等をエアゾール噴射剤としたものを使用することができる。
【0018】固体希釈剤としては、土壌天然鉱物(例えばカオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイド、モンモリロナイト、珪藻土等)、土壌合成鉱物(例えば高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)等を使用できる。
【0019】乳化剤、泡沫剤、分散剤として用いられる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合体等が挙げられる。
【0020】本発明の生育抑制剤には、所望により固着剤や着色剤を添加することができる。固着剤としては、天然及び合成ポリマー(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート等)等が挙げられる。着色剤としては、例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー等の無機顔料、アリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料等の有機染料、更にそれらの鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛等の塩等の微量添加物を使用することができる。
【0021】また本発明の生育抑制剤は、本発明の目的が損なわれない範囲で所望により粉末状活性炭、カーボンブラック、樹体活性成分、肥料、害虫忌避剤等と混合して使用することもできる。例えば、粉末状活性炭やカーボンブラック及びこれらの水性分散体、ペースト等と本発明の生育抑制剤との混合物とを有用植物の胴枯性病巣患部に塗布することにより、病原菌の活動を効果的にしかも安全に抑制でき、更に樹体の治癒組織形成が促進されるので、速やかに病状を回復させることができる。
【0022】本発明の生育抑制剤は、セルロース誘導体とともに他の農薬活性成分を添加して製剤化することができる。また、例えば、施用前に本発明の生育抑制剤と他の農薬活性成分を含む農薬製剤とを混合して用いることもできる。
【0023】他の農薬活性成分としては、例えば、殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺黴剤、植物生長調整剤、除草剤等が挙げられる。これらの中でも、胴枯性病に対し防除効果を有する他の殺菌剤の使用が好ましい。例えば、チオファネートメチル、メチル−2−ベンツイミダゾールカルバメイト(MBC)、ベノミル、石灰硫黄剤、無機銅化合物、有機銅化合物、グアザチン、ジイソプロピル1,3−ジチオラン−2−イリデンマロネート、イソチオシアン酸エステル等が挙げられる。
【0024】また、本発明の生育抑制剤には、桂皮酸、桂皮酸誘導体又はこれらの塩を添加することができる。桂皮酸、桂皮酸誘導体又はこれらの塩はセルロース誘導体と同様に胴枯性病菌の生育抑制効果を有するので、胴枯性病に対してより優れた防除効果を得ることができる。また、施用前に本発明の生育抑制剤と桂皮酸、桂皮酸誘導体又はこれらの塩を含む製剤とを混合して用いることもできる。
【0025】本発明の生育抑制剤の使用法は任意であるが、病状により最適な使用法を適用することができる。例えば、1)病斑部において病巣患部の樹皮の削り取りを行わずに、病斑部分に本発明の生育抑制剤を塗布する方法、2)病斑部における重症部分の樹皮のみを削り取り、然る後に病斑部全体に本発明の生育抑制剤を塗布する方法、3)病巣患部の樹皮を完全に削り取り、然る後に本発明の生育抑制剤を塗布する方法、4)胴枯性病が発生する時期(又はその前)に、噴霧機を用いて薬剤を散布する方法等が挙げられる。また、これらの方法においては、必要に応じて塗布量(散布量)を増加したり、塗布(散布)処理を数回繰り返すことにより、本発明の生育抑制剤の治癒効果を更に確実なものとすることができる。
【0026】これらの使用法の中でも、セルロース誘導体の純分2〜6重量%を含むペースト、水性分散体、溶液等を樹木の病巣患部に塗布する方法によれば、特に優れた胴枯性病の防除効果を得ることができる。本発明の生育抑制剤の使用量は任意であるが、セルロース誘導体の純分として0.01〜10重量%が好ましい。
【0027】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、下記実施例及び比較例において、部又は%とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
【0028】実施例1カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa)を第1表に示す各濃度になるようにパールコアポテトデキストロース寒天培地(栄研化学(株)製、商品名:E−MF21)中に添加し、この培地を直径90mmのシャーレに分注し、プレートを作製した。また、対照として無添加のパールコアポテトデキストロース寒天培地を直径90mmのシャーレに分注し、プレートを作製した。
【0029】これらのプレートの中央に、一白金耳量のリンゴ腐らん病菌(Valsa ceratosperma(Tode ex Fr.)Maire)の菌糸を植え付け、24℃で培養した。成長したコロニーの直径を経時的に測定し、CMCNaのリンゴ腐らん病菌に対する生育抑制効果を調べた。調査結果を第1表に示す。
【0030】第1表中、(++)はコロニーの直径が90mm以上であったことを示し、(−−)はコロニーが生じなかったことを示す(以下の表にて同じ。)。また、第1表中、AはCMCNa(第一工業製薬(株)製、商品名;セロゲン5A)を、BはCMCNa(東京化成工業(株)製試薬、重合度n=約500)を、CはCMCNa(東京化成工業(株)製試薬、重合度n=約1050)をそれぞれ示す。
【0031】
【表1】

【0032】この結果から明らかなように、CMCNaはリンゴ腐らん病菌に対して優れた生育抑制効果を有する。
【0033】実施例2CMCNa(第一工業製薬(株)製、商品名;セロゲン5A)をパールコアポテトデキストロース寒天培地(栄研化学(株)製、商品名:E−MF21)中に4重量%の濃度になるように添加し、この培地を直径9cmのシャーレに分注し、プレートを作製した。また、対照として無添加のパールコアポテトデキストロース寒天培地プレートを同様にして作製した。
【0034】これらのプレートの中央に、一白金耳量のリンゴ腐らん病菌(Valsa ceratosperma(Tode ex Fr.)Maire)、クワ胴枯病菌(Diaporthe nomurai Har)、及びナシ胴枯病菌(Diaporthe medusaea Nits)の菌糸をそれぞれ植え付け、24℃で培養した。成長したコロニーの直径を経時的に測定し、CMCNaのリンゴ腐らん病菌、クワ胴枯病菌及びナシ胴枯病菌に対する生育抑制効果を調べた。調査結果を第2表に示す。
【0035】
【表2】

【0036】この結果から明らかなように、CMCNaは各種胴枯性病菌に対して、生育抑制効果を有する。
【0037】実施例3第3表に示す各種セルロース誘導体を第3表に示す濃度になるようにパールコアポテトデキストロース寒天培地(栄研化学(株)製、商品名:E−MF21)中に添加し、この培地を直径90mmのシャーレに分注し、プレートを作製した。また、対照として無添加のパールコアポテトデキストロース寒天培地を直径90mmのシャーレに分注し、プレートを作製した。
【0038】これらのプレートの中央に、一白金耳量のリンゴ腐らん病菌(Valsa ceratosperma(Tode ex Fr.)Maire)の菌糸を植え付け、24℃で培養した。成長したコロニーの直径を経時的に測定し、各種セルロース誘導体のリンゴ腐らん病菌に対する生育抑制効果を調べた。調査結果を第3表に示す。
【0039】本実施例において、ヒドロキシエチルセルロース(セロサイズ)は、ヒドロキシエチルセルロース(米国ユニオンカーバイド社製、商品名;セロサイズ)を、ヒドロキシエチルセルロース(試薬)は、ヒドロキシエチルセルロース(東京化成工業(株)製試薬)を、カルボキシメチルセルロース(CMC)はカルボキシメチルセルロース(和光純薬工業(株)製試薬)を、ジエチルアミノエチルセルロースはジエチルアミノエチルセルロース(和光純薬工業(株)製試薬、タイプII、カラムクロマト用)をそれぞれ用いた。
【0040】
【表3】

【0041】この結果から明らかなように、第3表に示すセルロース誘導体はリンゴ腐らん病菌に対して生育抑制効果を有することが分かる。
【0042】実施例4CMCNa(第一工業製薬(株)製、商品名;セロゲン5A)をパールコアポテトデキストロース寒天培地(栄研化学(株)製、商品名:E−MF21)中に2%の濃度になるように添加し、この培地を直径9cmのシャーレに分注し、プレートを作製した。また、対照として無添加のパールコアポテトデキストロース寒天培地プレートも同様にして作製した。
【0043】これらのプレートの中央に、一白金耳量のリンゴ腐らん病菌(Valsa ceratosperma(Tode ex Fr.)Maire)、実施例2に示したリンゴ樹病巣由来の分離黴a、黒カビ(Aspergills niger)、青カビ(Penicillium citrinun)の菌糸をそれぞれ植え付け、24℃で培養した。成長したコロニーの直径を経時的に測定し、CMCNaのリンゴ腐らん病菌、黒カビ及び青カビに対する生育抑制効果を調べた。調査結果を第4表に示す。
【0044】
【表4】

【0045】この結果から明らかなように、CMCNaはリンゴ腐らん病菌及び腐らん病リンゴ樹由来分離黴aを特異的に抑制することが分かる。即ち、CMCNaはリンゴ腐らん病菌及び腐らん病リンゴ樹由来分離黴aの生育は抑制するが、黒カビと青カビの生育は抑制しない。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、簡便で使い勝手が良く、胴枯性病に対し高い防除効果を有し、しかも安全性が高い有用植物の胴枯性病菌の生育抑制剤及び有用植物の胴枯性病菌の抑制方法が提供される。
【出願人】 【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号
【出願日】 平成14年2月20日(2002.2.20)
【代理人】 【識別番号】100108419
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 治仁
【公開番号】 特開2003−238316(P2003−238316A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−42692(P2002−42692)