| 【発明の名称】 |
ジャンボタニシ駆除剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡部 忠一
【氏名】小笠原 致道
【氏名】松森 国彦
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| 【要約】 |
【課題】ジャンボタニシ駆除剤を提供する。
【解決手段】有効成分として、樹脂酸を使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂酸を有効成分として含有することを特徴とするジャンボタニシ駆除剤。 【請求項2】 前記樹脂酸が、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レボピマル酸、デキストロピマル酸及びパラストリン酸、並びにそれらの塩からなる群から選択される請求項1に記載のジャンボタニシ駆除剤。 【請求項3】 前記樹脂酸が、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジン及び不均化ロジンからなる群から選択される形態である請求項1に記載のジャンボタニシ駆除剤。 【請求項4】 前記樹脂酸が、生松脂の形態である請求項1に記載のジャンボタニシ駆除剤。 【請求項5】 前記樹脂酸の塩が、Na、 K、 アンモニウム及び低級アミンの塩からなる群から選択させる請求項1に記載のジャンボタニシ駆除剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生松脂や各種ロジンに含まれる樹脂酸又はこれらの塩を有効成分とする、イネや、レンコン、ミズイモ、イグサ等の各種作物に食害をもたらすジャンボタニシの駆除剤に関する。 【0002】 【従来の技術】所謂、ジャンボタニシ(正式名;スクミリンゴガイ、学名;Pomacea canaliculata)は、現在では千葉県以西の殆どの各県、特に西南暖地に広範に生息しており、特に生息密度の高い地域では、イネや、レンコン、ミズイモ、イグサ、マコモ等水中で生育する農園芸作物に大きな食害を齎して問題と成っている。特に、イネ栽培においては、田植え直後の約1ケ月以内の幼苗期には1/3〜1/2の幼稲を食害し、 又、直播水稲への被害は更に大きく、有効な駆除薬剤の出現が強く望まれてきた。 【0003】現在、このジャンボタニシの駆除又は防除に使用されている農薬は、カルタップ粒剤[有効成分;1,3-ビス(カルバモイルチオ)-2-(N,N-ジメチルアミノ)プロパン塩酸塩]及びベンスルタップ粒剤[有効成分;S,S'-2-ジメチルアミノトリメチレン-ジ(ベンゼンチオスルフォナート)]の3〜4kg/10aの水面施用や石灰窒素の20〜40kgr/10a施用が有効であるといわれている。しかし、これら農薬は本来ジャンボタニシ用に開発されたものではなく、施用量が多いばかりでなく、魚毒性もかなり強いものもあり、少量の施用で確実な効果をあげるものではない。又、現在、農薬登録はないがメタアルデヒドや、硫酸銅、IBP(有効成分;S-ベンジル-O,O-ジイソプロピル-フォスフォロチオエート)、椿油絞り粕、酢酸トリフェニルスズ等が試験的に使用されているが、これらも、施用量が多く、魚毒性や薬害が強かったり、水質汚濁物質であったり、安全で確実な駆除効果を期待できるものはない現状である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、低施用量で確実なジャンボタニシ駆除効果を有し、かつ、無薬害・低魚毒性で、環境安全性に優れたジャンボタニシ駆除剤を提供することを目的とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来の問題点について鋭意検討した結果、低施用量で確実なジャンボタニシ駆除効果を有し、かつ、無薬害・低魚毒性で、高い環境安全性を有する天然物由来の樹脂酸を配合することによって、上記課題を効果的に達成できることを見出し、本発明に到達したものである。即ち、本発明は、樹脂酸を有効成分として含有することを特徴とするジャンボタニシ駆除剤に関するものである。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明で使用される樹脂酸は、ジテルペノイドカルボン酸の分類に属するものであり、具体的には、例えば、アビエチン酸や、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レボピマル酸、デキストロピマル酸、パラストリン酸等からなるものである。好ましい樹脂酸としては、例えば、アビエチン酸や、デヒドロアビエチン酸、レボピマル酸等を好適に挙げることができる。 【0007】樹脂酸自体は水に不溶であるため水溶性としたり又は極性を高めるため、樹脂酸を、例えば、苛性ソーダや、苛性カリ、アンモニア、低級アミン等のアルカリ化合物との塩として使用してもよい。低級アミンとしては、例えば、炭素数1〜3のモノ〜トリアルキル又はヒドロキシアルキルアミン等を使用することができる。生松脂や各種ロジンは、一般に市場において入手可能である。また、樹脂酸は、ロジンの精留や、吸着カラム分離、イオン交換樹脂等の精密分離工程を経て得ることができる。これら樹脂酸の一部は、試薬としても入手可能である。 【0008】樹脂酸は、樹脂酸を含有する生松脂や、ロジン等の形態で、ジャンボタニシ駆除剤において使用してもよい。生松脂は、各種生松の樹皮を傷つけ、流れ出る樹脂であり、主成分としてはジテルペノイドカルボン酸である樹脂酸を主成分とし、テレピン油や、脂肪酸、不鹸化物、その他成分を含み、一般には「松ヤニ」とも呼ばれている。ロジンとしては、ガムロジンや、ウッドロジン、トールロジン、不均化ロジン等を好適に挙げることができる。 【0009】ガムロジンは、生松脂から蒸留等によってテレピン油等その他成分を分けて得られ、上記樹脂酸の混合物を主成分としている。ウッドロジンは、各種の松や、杉、モミ、トウヒ等をチップとし、各種溶剤を用いて加温・抽出したり、松根を蒸留して得られる松根油等からテレピン油等を分別蒸留で省くことによって得られる。トールロジンは、各種松材のチップをアルカリ蒸解してパルプを製造する際に得られるトール油を分別蒸留して得られる。 【0010】更に、不均化ロジンは、ロジンに含まれる樹脂酸の内、主としてアビエチン酸等の隣接不飽和結合を有するものを多量に含有するものは、デヒドロアビエチン酸やジヒドロアビエチン酸に徐々に変化して製品物性の変動を生じ易いので、人工的に安定な樹脂酸組成とするために、白金や、白金パラジウム、パラジウム黒、ニッケル、クロム酸銅等の触媒の存在下、真空中200〜250℃に加熱して「不均化」して、安定化したロジンである。樹脂酸、及び樹脂酸を含有する生松脂や、各種ロジンは、天然物から得られ、環境安全性に優れている。 【0011】本発明に使用される樹脂酸や、それを含有する生松脂やロジンは、疎水性が高いので、水には実質的に殆ど溶解しない。従って、得られるジャンボタニシ駆除剤としてその効果を発揮させるためには、室内検定するにしても、又、実用的な製剤を製造するにしても、水中へ分散、乳化又は溶解する必要がある。上述したように、樹脂酸の塩を形成させるのは、このような目的にとって有効である。樹脂酸と同様に、生松脂や、ロジンについても、アルカリ剤によって、水溶性や、水分散性とすることができる。 【0012】樹脂酸の塩は、通常9.5〜9.8程度又はそれ以上のpHでは塩を形成して水中に溶解又は分散するが、通常は微〜弱酸性である水田、河川水や水道水で希釈されて実用的使用濃度で使用される場合には、pHの低下によって乳化状態となる場合がある。これは樹脂酸のカルボン酸塩がpHの低下によって元の樹脂酸自体に戻ろうとする性質によるが、この状態でもジャンボタニシ駆除効果を有する。これらを用いて実用的な製剤を作成するには、水田や、畑、水溝、池、河川等で簡便に使用でき、かつ、効果を確実に発揮するように、農薬一般に使用されている製剤技術が利用できる。例えば、乳剤や、液剤、水溶液剤、水和剤、粒剤、顆粒水和剤、顆粒水溶剤、水中乳濁剤、水中懸濁剤等の製剤が有用である。 【0013】実用的な製剤を製造するに当たっては、生松脂や、ロジンを、例えば、約50〜90℃程度に加温することによって軟化又は液化させ、溶剤や界面活性剤等に添加して、水和剤や、粒剤、水中乳濁剤、水中懸濁剤等の製剤とすることができる。樹脂酸自体は、一般に融点又は軟化点が、約150℃以上であるため、加温は実用的ではなく、一度低沸点の溶剤等、例えば、アルコール類(メタノールや、エタノール等)や、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン等)に溶解して利用するか、疎水性溶剤、例えば、キシレンや、トルエン、ナフサ類、メチルナフタレン等に溶解し、乳化剤等を加えて乳剤とする方法や、更にこれを利用して他製剤、例えば、水和剤や、粒剤等とすることもできる。本発明のジャンボタニシ駆除剤においては、樹脂酸は、その質量に基づいて、例えば、1〜70%、好ましくは、5〜60%で使用されることが適当である。本発明のジャンボタニシ駆除剤には、必要に応じて、製剤としての特性を最良化するために、各種の添加剤を併用することができる。このような添加剤としては、例えば、粉体キャリヤや、界面活性剤、溶剤、乳化剤、分散剤、凍結防止剤、増粘・安定剤、防腐剤等を好適に挙げることができる。 【0014】粉体キャリヤとしては、例えば、タルクや、クレー、白土、セリサイト、合成珪酸、カオリン等が好適に挙げることができる。粉体キャリヤは、本発明のジャンボタニシ駆除剤の質量に基づいて、例えば、20〜95%、好ましくは、30〜80%の量で使用される。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤や、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等を好適に挙げることができる。これらの具体的な界面活性剤の例は、例えば、渡部忠一;「機能性界面活性剤、第8章 4;農薬」(角田光雄監修、株式会社シーエムシー発行、2000年、東京)の173〜174頁に記載されている。この内界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤が主要なものであり、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(C12〜18)等の糖エステル型や、ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル(C12〜18)等の脂肪酸エステル型、POEヒマシ油等の植物油型、ポリオキシアルキレン(エチレンやプロピレン)(POA)アルキルフェノール型、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー型、POE(又はPOA)アルキルアミン等のアルキルアミン型、POE(又はPOA)ビスフェノールエーテル等のビスフェノール型、POE(又はPOA)スチレン(又はベンジル)化フェニル(又はフェニルフェニル)エーテル等の多芳香環型等が好適に挙げることができる。 【0015】また、アニオン性界面活性剤としては、例えばポリナフチルメタンスルフォン酸塩、リグニンスルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル(又はα−オレフィン)スルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキル燐酸塩、POE(又はPOA)アルキルエーテル硫酸(又は燐酸)塩、POE(又はPOA)アルキルフェニルエーテル硫酸(又は燐酸又はスルフォン酸)塩、POE(又はPOA)スチレン化フェニルエーテル硫酸(又は燐酸又はスルフォン酸)塩、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー硫酸(又は燐酸)塩、POE(又はPOA)脂肪酸エステル硫酸(又は燐酸又はスルフォン酸)塩、ジアルキルスルフォサクシネート塩、N−アルキル脂肪酸サルコシネートその他を挙げることができる。 【0016】界面活性剤は乳化剤や分散剤等として本発明のジャンボタニシ駆除剤の質量に基づいて、例えば、1〜30%、好ましくは、3〜20%の量で使用することが適当である。溶剤としては、例えば、低級アルコール、キシレン、トルエン、ナフサ類、メチルナフタレン、N-メチルピロリドン、植物油、シクロヘキサノン等が好適に挙げることができる。溶剤は、本発明のジャンボタニシ駆除剤の質量に基づいて、例えば、10〜95%、好ましくは、30〜70%の量で使用することが適当である。乳化剤としては、自己乳化性及び乳化安定性の良好な界面活性剤が好適に挙げることができる。このような乳化剤としては、例えば、前記ノニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤の単独又は混合物等の界面活性剤を好適に挙げることができる。 【0017】凍結防止剤としては、例えばグリセリンや、グリコール類、低級アルコール等を好適に挙げることができる。凍結防止剤は、本発明のジャンボタニシ駆除剤の質量に基づいて、例えば、約1〜10%、好ましくは、3〜5%の量で使用することが適当である。増粘・安定剤としては、例えば、水溶性高分子物質や、ベントナイト等を好適に挙げることができる。増粘・安定剤は、本発明のジャンボタニシ駆除剤の質量に基づいて、例えば、0.1〜10.0%、好ましくは、0.2〜5.0%の量で使用することが適当であある。この他、必要に応じて適当な防腐剤の適当量(0.1〜5.0%)を使用することができる。 【0018】以下、本発明にとって実用的な主要な製剤化技術について述べる。水和剤は、樹脂酸又は樹脂酸を含有する物質を溶融するか又は溶剤に溶解し、微粉砕したタルク等の粉体キャリヤに吸着させた後、界面活性剤等と混合し、更に、ハンマーミルや、ピンミル、ジェットミル等で粉砕することによって製造される。乳剤は、溶剤に溶解し、自己乳化性及び乳化安定性の良好な界面活性剤等を混合して製造される。液剤は、樹脂酸の塩、凍結防止剤、水及び必要によって界面活性剤等からなる水溶液である。 【0019】水溶液剤は、樹脂酸又はそれを含有する物質を水溶性溶剤に溶解し、必要に応じて界面活性剤等を混合して、製造することができる。粒剤は、大別して、(1)練り込み・押し出し粒剤及び(2)表面被覆粒剤があるが、何れの粒剤の場合も水に希釈されること無く直接に施用されるために施用後粒剤粒子が覆うことができる水域は狭いので、本発明で使用される樹脂酸は水中に溶解させる技術が必要である。そのため、生松脂及びロジンは例えば、50〜80℃に加温・溶融して、これに水溶性のノニオン性界面活性剤又は自己乳化性能の強いアニオン性又はノニオン性界面活性剤を配合した乳化剤を例えば、5〜20%溶解した混合物を、又、別途、生松脂やロジン又は樹脂酸を重質系ナフサや、メチルナフタレン、キシリルキシレン等に溶解し、更にノニオン性界面活性剤又は自己乳化性能の強いアニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤を混合した乳化剤、例えば、10〜20%を混合して使用することが適当である(以後、「プレミックス」という)。また、樹脂酸のアルカリ塩をそのまま使用することもできる。 【0020】練り込み・押し出し粒剤では、樹脂酸又は樹脂酸を含有する物質のプレミックス又はそのアルカリ塩、例えば、5〜50質量%、結合剤(リグニンスルホン酸塩や、ポリアクリレート、CMC、PVA等)、例えば、2〜5質量%、潤滑剤(ジオクチルスルフォサクシネート、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等)、例えば、0.5〜1%、及び鉱物微粉末(ベントナイト、クレー、カオリン、タルク、白土等)又は水溶性塩(硫酸塩や、燐酸塩、硝酸塩、尿素、有機酸塩等)残部を混合した後、これに水、例えば、5〜15%を添加して十分に混錬し、穴径、例えば、0.7〜1.0mmのスクリーンを通して押し出し、乾燥や、切断、篩別して粒剤とすることができる。また、表面被覆粒剤の場合には、粒状キャリヤとして、砂や、軽石、硅石、炭カル等又は練り込み・押し出し粒剤の農薬成分を含有しないもの(所謂、空だま)、繊維素粒、粒状培土等の表面に上記プレミックス又はアルカリ塩を吹き付けて被覆し、必要なら、更に乾燥することによって粒剤とすることができる。 【0021】水中懸濁剤(所謂、SC又はフロアブル)は、生松脂、ロジン又は樹脂酸若しくは、上記プレミックスやそのアルカリ塩を使用し、アニオン性又はノニオン性界面活性剤、例えば、数%と、水と共にホモゲナイザーや、高速攪拌乳化機、ガウリン型乳化機、ビーズミル等によって粉砕して分散させた後、凍結防止剤、増粘・安定剤、防腐剤等を添加又は混合して製品とすることができる。水中乳濁剤(所謂、EW)は、前記溶剤に溶解したプレミックス又は、樹脂酸のアルカリ塩を用い、乳化剤と共に前記水性懸濁剤と同様に分散させて乳化させた後、凍結防止剤や、増粘・安定化剤や防腐剤等を混合して製造することが可能である。 【0022】以上、主要な実用的製剤技術について述べたが、本発明の範囲はこれら製剤例によって何ら限定されるものではない。本発明のジャンボタニシ駆除剤には、樹脂酸又はこれを含有する物質を従来より使用されている通常の殺虫剤や、殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤等の製剤中に含有させることもできる。本発明のジャンボタニシ駆除剤は、実際の使用に当たっては、通常の農薬製剤と同様に使用できる。例えば、粒剤の場合には、直接に手や散粒機で水中へ施用することができるし、その他の製剤では、所定濃度になるように水で希釈して水面に散布するか、又は、水に希釈することなく、直接に田面水面へ所定有効濃度になるように、手や散布機械等で施用することも可能である。 【0023】このようにして水田や、イグサ田、作物池、小川等に施用された本発明のジャンボタニシ駆除剤は、水中、樹脂酸又はその塩が、例えば、0.1〜50ppm、好ましくは、0.5〜10ppmの濃度でジャンボタニシを駆除することが可能である。水中で、0.1ppm程度の低濃度で樹脂酸又はその塩に接触した、ジャンボタニシは、直ちに蓋を硬く閉じ、逃れるように水面へ浮かび、また、器壁や作物を攀じ登ったりして、この水域から忌避する行動をとる。しかし、更に濃度が0.5ppm程度以上に高く成ると、短時間の内は蓋を閉ざしたまま忌避行動をとるが、数時間後には摂食活動不能となってに至る。本発明で使用される樹脂酸の作用機構は必ずしも明らかではないが、ジャンボタニシは常時口を開閉して旺盛な摂食活動を行うため、水と共に食道内に取り込まれた樹脂酸は、ジャンボタニシの食道内壁や腸管に特異的に作用して摂食停止誘導作用を発揮して蓋を硬く閉じる。しかし、直ちに死に至る訳ではなく、摂食停止作用を解除できないために蓋を閉じたまま、摂食阻害に陥り、死に至るものと考えられる。 【0024】ジャンボタニシは、夏季の最盛期には水中から這い出して1〜2週間毎に土手や、水溝壁、雑草の茎葉、その他固形物体上に産卵を行い、適温ならば2〜3週間後に孵化して幼貝となる。しかし、本発明で使用される樹脂酸のやや高濃度の希釈液を卵上に散布すれば、孵化阻害効果もみられる。また、秋口に孵化した幼貝は春先まで、草むらや土中で越冬するが、春先に水中へ出、盛んに摂食して成貝となり、気温が高くなると1〜2週間毎に50〜100個の塊状卵を産み付けるが、本発明のジャンボタニシ駆除剤を土壌処理することによって幼貝の越冬時の生育を阻害するので駆除に頗る便利である。 【0025】以下に、本発明について、更に、実施例や、実験例等を用いて具体的に説明するが、これらの実施例や実験例によって、本発明の範囲は、何ら限定されるものではない。なお、実施例において、「部」又は「%」は、質量基準である。 【実施例】実施例1(乳剤)ガムロジンを製造する原料である松脂(市販品、樹脂酸約50%含有)30部を、イソプロピルアルコール65部に加え、加温して溶解した後、ノニオン性界面活性剤Tween 80 5部を添加して、樹脂酸15%を含有する乳剤を得た。 【0026】実施例2(乳剤)ガムロジン(市販品、樹脂酸86質量%含有)58部を工業用キシレン34部に加温して溶解し、これに界面活性剤として、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルフォン酸Ca塩の混合物からなる乳化剤8部を溶解して、樹脂酸50%を含有する乳剤を得た。 【0027】実施例3(液剤)ウッドロジン(市販品、 樹脂酸類83質量%含有)30部、苛性ソーダ5部及び水55部を混合し、攪拌しながら約80℃まで昇温すると、樹脂酸はナトリウム塩となって水中に溶解した。これにエタノール5部及びPOEアルキルエーテル5部を添加・混合して、樹脂酸ナトリウム塩25質量%を含有する液剤を得た。 【0028】実施例4(水中乳濁液)トールロジン(市販品、樹脂酸80%含有)50部を約70℃で融解し、これに実施例2の乳化剤10部を添加して混合した。この溶融混合物に、温水135部を加え、高速回転乳化機に掛けて乳化させた後、プロピレングリコール5部及びケルザンガム0.4部を溶解して、樹脂酸20%を含有する水中乳濁液を得た。 【0029】実施例5(粒剤)不均化ガムロジン(一般に「ディスプロガムロジン又は不均化ガムロジン」、市販品、樹脂酸含有量86%)76部を、約80℃に加温して融解した後、苛性カリ13部及び水72部を混合し、攪拌して不均化ガムロジンカリ塩水溶液を得た。これに古紙パルプ粒(「バイオダック」、粒径300〜1200μm)486部を加えて、古紙パルプ粒に吸着させた後、合成珪酸3部を添加又は混合して、樹脂酸カリ塩10%を含有する粒剤を得た。 【0030】実施例6(乳剤)アビエチン酸(市販品)60部をキシレン32部に加温・溶解し、これにポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油及びドデシルベンゼンスルホン酸Ca塩から成る乳化剤8部を混合して、アビエチン酸55%を含有する乳剤を得た。 【0031】実施例7(液剤)デヒドロアビエチン酸(試薬)30部に苛性カリ6部及び水44部を加え、約100℃に加温して攪拌して、アビエチン酸カリ塩を作成した。これを常温に冷やしつつ、イソプロピルアルコール20部を添加して混合し、アビエチン酸カリ塩35%を含有する液剤を得た。 【0032】実施例8(粒剤)レボピマル酸(試薬)31部に、ジエタノールアミン12部と水21部を加えて約100℃に加温して攪拌した。これを、硅石粒(粒径0.3〜0.8 mm)136部に吸着させた後、合成珪酸3部を混合し、レボピマル酸ジエタノールアミン塩20%を含有する粒剤を得た。 【0033】ジャンボタニシ駆除効果試験法一度爆気した水道水2リットルを入れた1/5000のワグネルポットに、イネ(2〜3葉期)を植えたポット(3本植え/個)3個入れ、これに卵から孵化し、イネ苗とキャベツで育てたジャンボタニシ(サイズ1.2〜1.5cm)20匹を入れて温室内(25℃)で1昼夜馴化した。これに実施例の製剤を、樹脂酸又はその塩が所定水中濃度となるように、直接水面に撒いて入れ、時々簡単に水を攪拌しつつ、温室内(25℃)に48時間放置して、死貝率を調査した。 【0034】 【表1】表1 試験結果 (*);樹脂酸無添加) 【0035】表1の結果から分かるように、本発明のジャンボタニシ駆除剤は、有効成分1ppm前後の濃度でも、ジャンボタニシを効果的に駆除できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000101123 【氏名又は名称】アグロカネショウ株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059959 【弁理士】 【氏名又は名称】中村 稔 (外10名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−238312(P2003−238312A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月27日(2003.8.27) |
| 【出願番号】 |
特願2002−45671(P2002−45671) |
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