| 【発明の名称】 |
天然有機化合物系の木材用浸透助剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】岩本 憲人
【氏名】伊藤 隼夫
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| 【要約】 |
【課題】テルペン系炭化水素に有機硫黄化合物と脂肪族ケトン類を混合させることにより、短時間で、JIS規格の目標数値(120kg/m3)にまで浸透させることが可能となった。しかも、繊維方向だけではなく、難浸透性の放射方向、接線方向に対しも十分な浸透が確認された。
【解決手段】低毒性の天然有機化合物を必須成分とし、有機硫黄化合物、脂肪族ケトン、低級アルコールを混合することにより、加圧注入設備や機材を必要とせず、塗布法、浸漬法、穿孔注入法による木材処理のみで、短時間で木材防腐剤、防虫剤、防蟻剤、難燃剤、染色剤、香料、合成樹脂などを木材の深部まで浸透させるキャリアの役割を提供し、新規投資を必要せず低ランニングコストが実現できる木材用浸透助剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】テルペン系炭化水素、有機硫黄化合物、脂肪族ケトン類、低級アルコールを混合する木材用浸透助剤組成物。 【請求項2】テルペン系炭化水素に、有機硫黄化合物、脂肪族ケトン類、及び低級アルコールのいずれか又はそれらの2種以上を含む木材用浸透助剤組成物。 【請求項3】テルペン系炭化水素40〜70体積%、有機硫黄化合物5〜20体積%、脂肪族ケトン類5〜20体積%、低級アルコール10〜40体積%を混合する木材用浸透助剤組成物。 【請求項4】請求項1〜3において、テルペン系炭化水素がモノテルペン炭化水素類である木材用浸透助剤組成物。 【請求項5】請求項1〜3において、テルペン系炭化水素がセスキテルペン炭化水素類である木材用浸透助剤組成物。 【請求項6】請求項1〜4において、テルペン系炭化水素がリモネン、α−ピネンおよびβ−ピネンのいずれか、またはそれらの2種以上を含む木材用浸透助剤組成物。 【請求項7】請求項1〜3において、有機硫黄化合物がジメチルスルホキシド(DMSO)である木材用浸透助剤組成物。 【請求項8】請求項1〜3および7において、有機硫黄化合物の代わりに、ケトン類のアセトン、アミド類のテトラメチル尿素、アミド類のN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、アミド類のジメチルホルムアミド(DMF)、アミド類のN−メチル−2−ピロリドン、アミド類の1,3−ジメチルイミダゾリジノン、アミド類の3−メチル−2−オキサゾリジノン、アミド類のN,N′−ジメチルプロピレン尿素、アミド類のイプシロン−カプロラクタム、脂肪族ニトロ化合物のニトロメタン、脂肪族ニトリルのアセトニトリル(AN)、スルファミド類のテトラエチルスルファミド(TES)、スルファミド類のテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキサイド(スルフォラン)、リン酸アミド類のペンタメチルホスホニックジアミドのいずれか、またはそれらの2種以上を含む木材用浸透助剤組成物。 【請求項9】請求項1〜3において、脂肪族ケトン類が4−メチル−2−ペンタノンおよびメチルイソプロピルケトンのいずれかである木材用浸透助剤組成物。 【請求項10】請求項1〜3において、低級アルコールがイソプロパノール5〜20体積%と1ブタノール5〜20体積%の混合である木材用浸透助剤組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、天然にもっとも広く分布する天然有機化合物であり、樹木自身がもつ精油成分を溶媒として用い、これに有機硫黄化合物と脂肪族ケトン類を混合させることにより、日本工業規格(JIS規格)の目標注入量(加圧式注入工法に対する油性・油溶性木材防腐剤の目標注入量;120kg/m3)を化学的処理工法によって達成させることができると同時に、難注入性木材に対してでも短時間で30mmまで浸透が達成できる木材用浸透助剤に関する。 【0002】 【従来の技術】木材は、樹木中で通水機能を果たしている時は壁孔(ピット)と称される弁は開放状態にあるが、伐採されて水が失われる時に壁孔を塞いでしまい、再度、壁孔(ピット)を開放状態に戻し、液剤を浸透させるのは容易ではない。しかし、木材がもつところの狂う、腐る、燃える等の短所を化学的な処理や他材料との複合化により改善し、木材の長所を生かしながら新しい機能を付与するには、液剤が木材の深部にまで浸透させる必要がある。 【0003】日本の産業界全体に対して二酸化炭素の総排出量を今後30%削減しなければならないという課題に対し、日本建築学会会長は木造建造物の耐用年限を今の30年から100年に延伸しなければならないと提言した。それには10cm角の木材断面の少なくとも表面から最小限2cmは薬剤が入ってないと100年はもたない。しかし、現在の技術では、塗布や浸漬方法はもちろん、加圧注入方式にしろ、インサイジング、あるいは温冷浴法にしろとてもそれだけのものを注入することはできない。(西本孝一氏、日本木材、1998年5月号、7ページ) 【0004】日本木材防腐工業組合でも薬剤の性能と同時に、薬剤の浸透技術というのは非常に重要で、もし浸透技術が開発されれば今まで浸透しなかったカラマツ、ベイマツとかスプルースというような樹種まで使え、防腐処理木材が増えてくるということになる。(角 和憲氏、日本木材、1998年5月号、14ページ) 【0005】社団法人日本木材保存協会は、薬剤浸透の浸潤度について、最高レベルであるA級浸潤度は木材の放射、接線方向に対し3mmという数値と示している。本来は最低5mmと義務づけたいが、日本には5mmまでの浸潤度を達成できる薬剤がないため3mmの数値を示している。(社団法人日本木材保存協会前会長、西本孝一氏のスピーチ収録から、2001年2月) 【0006】今日研究されている浸透性改良のための前技術としては生物的処理法(腐朽菌類による処理、バクテリアによる処理、酵素処理)、化学的処理法、物理的処理法(圧縮処理、凍結処理、熱および蒸煮を利用した処理)、刺傷処理法(インサイジング処理、レーザインサイジング処理)がある。しかし、生物的処理法は、現時点での実用化という観点からみると、壁孔部分を選択的かつ効率的に分解する微生物が見出されないかぎり、汎用技術として確立するのは困難である。物理的処理法は、木材の細胞壁(メンブレン)を物理的に破壊することによって浸透性を改良する方法であるが、一連の作業を実施するために多額の新規投資をして機材等を購入しなければならなし、エネルギー消費量が大きいこと、処理に多くの時間を要すること、ランニングコストが嵩むこと、高度な処理技術を要すること、などといった問題がある。刺傷処理法は、材表面の損傷が問題であることと、浸潤度にムラがあるなど改良点が多い。化学的処理法は、浸透経路の壁孔(ピット)に付着している物質を抽出し化学的に分解しようということである。特に心材部分で注入効率が悪くなる大きな要因は、ピットメンブレンへの心材成分の沈着であり、溶剤を用いてこれらを溶かし出すための化学的処理である。また、薬液の浸透方向は大きく分けて、木材の横方向(放射、接線方向)と縦方向(繊維方向)がある。この内、浸透性が最も良好なのは繊維方向であるが、放射、接線方向への浸透性は極めて困難である。(今村祐嗣氏、木材研究・資料、第31号、11ページ、1995) 【0007】今日の化学的処理法では、放射方向および接線方向に対して通常では1.6mm以上の浸透は困難である。(米国農務省発行、ウッドハンドブック、1999年版、第14章、21ページを参照)。 【0008】木材保存に対する薬液の注入には減圧処理法がある。注入装置(注薬缶)を用いて圧力操作を行う処理法で、処理工程は、一次減圧、減圧保持、缶内に薬液充満、常圧復帰、常圧保持か低加圧、一次薬液回収、二次減圧、二次薬液回収、完了であり、所要時間は約2時間である(矢田茂樹氏、木材保存学入門、1998年、178ページ)。毛管圧浸透・加圧注入法(ベセル法)では、前排気に30分、薬液充填後の加圧に2時間、後排気に30分を要し、全体の所要時間は約3時間である。また米国ミシシッピー大学が開発したMSU加圧処理工法では、加圧解除前に水(蒸気)による加熱が行われる工法で、所要時間は約5時間である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明者は、有機硫黄化合物と脂肪族ケトン類を必須成分として含み、芳香族炭化水素類及び低級アルコールを添加・併用する木材用浸透助剤を発明し、出願した(特願2001−402803)。この特徴は、芳香族炭化水素類に有効成分薬剤を木材の深部にまで浸透させるキャリアの役割を一部もたせ、高い揮発性を利用して処理後の乾燥を早めさせることを特徴としている。また、防蟻・防腐処理においては、木材深部への薬剤浸透性が著しいため薬剤使用量が通常必要量の25倍以下にまで低減でき、シックハウス症候群や化学物質過敏症などの健康阻害を低減することが可能となった。しかしながら、厚生労働省が揮発性有機化合物(VOC)問題にて、芳香族炭化水素類を規制の対象に挙げている(平成13年7月5日、第7回シックハウス室内空気汚染問題に関する検討会、中間報告書−第6回〜第7回のまとめ)ことから、芳香族炭化水素類を使用しないで芳香族炭化水素類と同等かそれ以上の浸透度を実現できる木材用浸透助剤を発明することが第1の技術的課題である。 【0010】本発明は、天然にもっとも広く分布し、多くの植物や樹木の精油を主成分として存在する天然有機化合物に、有機硫黄化合物と脂肪族ケトン類を混合することにより、今日開発されている化学的処理法の中で、木材の深部30mmまで短時間で浸透を促がすことの出来る木材用浸透助剤を発明することが第2の技術的課題である。さらに、木材防腐剤の注入量規定について日本工業規格(JIS規格)では;油性・油溶性木材防腐剤では、注入量は120kg/m3以上、圧入量は200kg/m3以上を目標とする、と規定している。本発明の浸透助剤は、JIS規格の加圧式目標注入量を、加圧・減圧処理なくして常圧処理にて達成することと、社団法人日本木材保存協会が定めている浸潤度で最高レベルであるA級浸潤度(放射、接線方向に対し3mm)を達成できること、さらに、加圧注入方式やインサイジング方式の設置に必要な大掛かりな設備投資や大エネルギーを使用することなく、簡素な設備で、安全で、しかも短時間で木材の深部まで浸透処理することのできる経済的方法を解決することが第2の技術的課題に含まれる。 【0011】 【課題を解決するための手段】樹木や植物の精油成分に多く含まれているのはテルペン系炭化水素で、その特性によってモノテルペン炭化水素、セスキテルペン炭化水素、アズレンなどに分かれる。モノテルペン炭化水素には優れた抗腐敗作用、殺菌作用、抗ウイルス作用、抗真菌作用、免疫を高める作用、心身を活性化させる作用、鎮痛作用(皮膚に塗布して使用)、抗炎症、コーチゾン様作用がある。その中でも代表的なリモネンは、ミカン族Citrusの精油で、レモン油、オレンジ油、橙皮油などの主成分であり、p−menthane系モノテルペンに属する。また、リモネンは、工業的印刷の前に行われる脱脂の際の溶媒、電子および印刷工業での洗浄、塗料の溶媒に使われているほか、香料、洗浄剤として古くから使用され、ドイツの自然塗料として、米国では天然のクレンザーとして家庭用洗剤として大量に使用されている。リモネンの安全性に関して発がん性や、変異原性は認められず、FDA(米国食品医薬品局)はD−リモネンを食品添加物としてGRAS15(一般的安全成分)に指定している。ピネンは双環性テルペノイドであり、針葉樹のほとんどすべての精油に含まれ、特にテレピン油terpentine oil(Pinus palustris)などマツ科植物の精油はα−ピネン、β−ピネンの主成分である。セスキテルペンには、弱い血圧降下作用、抗炎症作用がある。このように、精油成分に多く含まれているテルペン系炭化水素は、医薬品、食品添加物、アロマセラピーのエッセンス、家庭洗剤などにも使用されている安全性の高い天然有機溶剤であり、本発明では、この安全性の高い精油成分と他の溶剤とを混合させることにより、極めて優れた木材浸透・浸潤を可能ならしめ、更に、芳香族炭化水素類と同等かそれ以上の浸透度を実現できる木材用浸透助剤を発明したことが上記第1の技術的課題を解決した点に方法上の特徴がある。 【0012】第2の技術的課題を解決するため、本発明では、天然有機化合物であるテルペン系炭化水素に属するものから、モノテルペン炭化水素であるリモネン、α−ピネン、β−ピネン、アリストレン、イソプレゴール、β−オシメン、トランス−オシメン、シス−オシメン、トランス−β−オシメン、カラレン、3−カレン、カルバクロール、カルベオール、ジヒドロカルベオール、カンタリジン、カンファー、カンフェン、ゲラニオール、ゲンチオピクロシド、サビネン、シスーサビネンハイドレイト、シス−ツヤン−4−オール、シトラール、1,8−シネオール、シトロネラール、シトロネロール、p−シメン、ゼラニオール、チモール、α−ツヨネン、α−テルピネオール、4−テルピネオール、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、トランス−ツヤン−4−オール、トリサイクレン、ネロール、パラシメン、ピレスロイド、ピノカルベオール、α−フェランドレン、β−フェランドレン、フェンコール、プレゴール、ペオニフロリン、ペリラルデヒド、ボルネオール、マタタビラクトン、ミリスチシン、ミルセン、ミルテノール、メントール、ラバンデュロール、ロガニンのいずれか、またはそれらの2種以上を含む木材用浸透助剤とその応用範囲を提供するものである。 【0013】更に、本発明では、天然有機化合物であるテルペン系炭化水素に属するものから、セスキテルペン炭化水素類として、アシヒュルレン、アロ−アロマデンドレン、アロマデンドレン、β−エレメン、δ−エレメ、α−ガイエン、β−ガイエン、α−カジネン、γ−カジネン、δ−カジネン、カマズレン、β−カリオフィレン、β−trans−カリオフィレン、キュベベン、クルクメン、グルジュネン、クルゼレン、ゲルマクレンD、α−コパエン、コパレン、サンタレン、ジンジベレン、セイチュレン、β−セスキフェランドレン、α−セドレン、β−セドレン、α−セリネン、β−セリネン、ダウセン、ツヨプセン、デハイドロアズレン、デハイドロカマズレン、ネオアロ−オシメン、α−パチュレン、β−パチュレン、α−ビサボレン、β−ビサボレン、γ−ビサボレン、α−ヒマカレン、β−ヒマカレン、γ−ヒマカレン、α−ヒュムレン、α−ファネッセン、β−ファネッセン、トランス−β−ファネッセン、α−ブ ルネッセン、β−ブルネッセン、ベリベイエン、α−ベルガモッテン、トランス−α−ベルガモッテン、α−ミューロレン、γ−ミューロレン、リンギフォーレン、リンデステレン、ロンジフォレンのいずれか、またはそれらの2種以上を含む木材用浸透助剤とその応用範囲を提供するものである。 【0014】更に、本発明では、天然有機化合物であるその他の精油成分であるアピオール、アネトール、ウィドロール、エストラゴール、エレモール、オイゲノール、オイデスモール、オクタン−1−ol−3、α−カジノール、カマズレン、カルボン、カロフィレン、カロトール、クリプトメリオール、クリプトメリジオール、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、酢酸ゲラニル、酢酸ヘキシル、酢酸ラバンジュリル、酢酸リナリル、酢酸−1−オクテン−3−イル、サフロール、α−サンタロール、シス−ツヨン,シネロール、セドロール、ジンギベロール、シンナムアルデヒト、ツヤ酸、ツヤ酸メチルエステル、α−ツヤプリシン、テルピニルアセテート、ネズコン、ネラール、ビア、ビサボロール、ピネオール、ピノカルボン、ヒノキチオール、ファルネソール、フィロクダデン、フェンケン、フェンコン、ヘキシル酸イソブチル、ベルベノン、ベルベノール、ボルニルアセテート、ミルテナール、α−ムロレン、T−ムーロロール、メチルカビコール、I−リナロール、リナロルオキシドのいずれか、またはそれらの2種以上を含む木材用浸透助剤とその応用範囲を提供するものである。 【0015】更に、本発明では、天然有機化合物である上記記載のテルペン系炭化水素、セスキテルペン炭化水素類およびその他の精油成分の全体から2種以上を選択して混合する木材用浸透助剤とその応用範囲を提供するものである。 【0016】上記に述べる応用範囲とは、木材がもつところの、狂う・腐る・燃えるという短所を、化学的処理工法により、ヒトにとって低毒性である工法を用いて改善させ、木材の長所を生かしながら新しい機能を付与し木材の性能向上のための化学加工技術を駆使して、木材資源の永続化に寄与できる応用範囲を意味する。この応用範囲を享受できる産業分野としては、木材防腐処理、防蟻処理、防虫処理、難燃化処理、染色処理、香料添加処理、アロマセラピー対象のアロマ添加処理、木材・プラスチック複合体処理、寸法安定化処理などの産業である。新規事業あるいは拡大事業としては、木質家具の防腐・防虫処理の簡易化、公園、庭園等の木質遊具および木質スポーツ用具等の強化・耐久化、楽器用木材の音響特性の改良化、木質文化財・美術品・額縁の防腐・防虫処理簡易化、化学処理による防音化・遮音化などがある。つまり、上記が第2の技術的課題を解決した応用上の特徴がある。 【0017】 【発明の実施の形態】テルペン系炭化水素が必須成分であるが、これだけでは、浸透経路の壁孔(ピット)に付着している物質を抽出し分解する力が弱く木材深部への浸透力は低い。よって、テルペン系炭化水素に加え、本発明である浸透助剤のもう一つの基材として、有機硫黄化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)、あるいはケトン類のアセトン、アミド類のテトラメチル尿素、アミド類のN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、アミド類のジメチルホルムアミド(DMF)、アミド類のN−メチル−2−ピロリドン、アミド類の1,3−ジメチルイミダゾリジノン、アミド類の3−メチル−2−オキサゾリジノン、アミド類のN,N′−ジメチルプロピレン尿素、アミド類のイプシロン−カプロラクタム、脂肪族ニトロ化合物のニトロメタン、脂肪族ニトリルのアセトニトリル(AN)、スルファミド類のテトラエチルスルファミド(TES)、スルファミド類のテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキサイド(スルフォラン)、リン酸アミド類のペンタメチルホスホニックジアミドの内いずれか、またはそれらの2種以上を混合させることにより潤浸度を一段と高めることが可能となった。これらの中でもジメチルスルホキシド(DMSO)との混合が最も優れている。 【0018】テルペン系炭化水素と有機硫黄化合物を混合することで浸潤度を高めることが出来ると前述したが、これに更に脂肪族ケトン類を混合することで、その浸潤度は更に高まることを発見した。特に4−メチル−2−ペンタノンおよびメチルイソプロピルケトンが最も適している。 【0019】ジメチルスルホキシド(DMSO)は前述のテルペン系炭化水素とは混合しない。よって、アルコール系溶剤であるイソプロパノールと1ブタノールを適当量配合することにより均一溶剤とすることが発明の一部を構成している。 【0020】 【実施例】以下、本発明に係わる木材用浸透助剤の含浸透処理方法を実施例に従って説明する。注入量テスト1〜2の試験木の大きさは40x40x40mm(64cm3)に統一した。常温、常湿の環境下において、これらの試験木を展開槽中で液剤に全浸し、所定時間後の重量変化で薬剤の注入量を測定した。結果は表1、表2、表3に示されている。結果は、リモネンおよびα−ピネンの双方のケースにおいて、化学的処理であるにもかかわらず、日本工業規格(JIS規格)に示された加圧注入方式のための目標注入量120kg/m3を達成することができた。 【0021】(注入量テスト−1) 試験木;スギ材、テルペン系炭化水素;リモネン【表1】
【0022】(注入量テスト−2) 試験木;スギ材、テルペン系炭化水素;α−ピネン【表2】
【0023】本発明の浸透助剤の特徴は、注入量が日本工業規格(JIS規格)に示された加圧注入方式のための注入量の目標数値である120kg/m3を達成することと同時に、短時間における浸潤能力を引き出すことである。加圧注入方式では、JIS規格の注入量を得るのに2〜5時間の処理工程が必要であるが、本発明の浸透助剤は、図1、図2、図3に示されているごとく短時間で浸透した。 (浸潤度テスト−1) 試験木;スギ材(大きさ;30x30x30mm)、ヒノキ(大きさ,30x30x30mm)、ベイマツ(大きさ;40x40x40mm) テルペン系炭化水素;リモネン測定方法;常温、常湿の環境下にて、試験木を展開槽中で必要量の本発明浸透助剤に浸漬し、所定時間後の浸潤変化を目視的に観測した。 【0024】 【発明の効果】本件発明者は、従来における生物的処理法、化学的処理法、物理的処理法、刺傷処理法等の木材浸透技術の難点を解決すると同時に、低毒性の天然有機化合物であるテルペン系炭化水素類と有機硫黄化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)を混合し、更に脂肪族ケトン類の4−メチル−2−ペンタノンを混合した木材用浸透助剤を発明し、加圧式注入工法でJIS規格が求める目標数値(120kg/m3)の注入量を化学的処理工法でもって達成させることができた。更に、浸透のスピードを著しく向上させることも実現でき、難注入性木材であるベイマツに対し、図1〜図3の繊維形状写真に見られる如く、繊維方向、放射方向、接線方向のいずれにおいても短時間で30mmの浸透を達成し、本発明を完成させた。 【0025】現在、木材保存剤の含浸技術の中で、浸透をある程度促進できる処理方法として、物理的処理がある。具体的には、圧縮処理、凍結処理、熱および蒸煮を利用した処理、インサイジング刺傷処理があり、その中でも圧倒的に加圧処理が行われている。しかしながら、いずれも高額な設備費がかかり、エネルギー効率が低く、また、肝心の含浸効率も十分ではない。本発明の浸透助剤を使用すると、防蟻剤、防腐剤等の処理薬液を浸漬、塗布、穿孔注入方式するだけで十分深部まで浸透させることができ、従来のような新規設備費用を必要とせず、更にランニングコストを大幅に低下させることができる。また、本発明の浸透助剤は、木材に対する浸透性が著しく高いため、短時間で処理作業を終了することができることから処理効率が飛躍的に向上し、大量一括処理、人件費の削減等、全体的なコストの低減を図ることが可能である。 【0026】薬剤浸透性が顕著であることから、木材保存に関する各々の応用分野において、浸漬方式、吹付け方式及び塗布方式を採用ができ、作業が簡素化され応用分野が更に広がる可能性ができた。また、防蟻・防腐処理に対しては、簡易電池式ドリルで小径の穴(直径2mm)を1〜2mおきに穿孔し、少量の薬剤(2ml/穴)を注入するだけで施工が可能であるため、低コストの処理が実現できる。 【0027】木材の耐用年数の他に、薬剤処理木材の廃棄問題という重要な環境問題が存在する。本発明の木材用浸透助剤は、天然有機化合物であるテルペン系炭化水素を主なる有機溶媒としているが、これは天然にもっとも多く分布し、樹木自身がもつ材油、葉油に含まれる精油成分を採用することから、浸透助剤としての処理木材廃棄に対する環境負荷を低減した。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595161773 【氏名又は名称】伊藤 隼夫 【識別番号】502034420 【氏名又は名称】岩本 憲人 【識別番号】501410757 【氏名又は名称】有限会社イムノバックス・ジャパン
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| 【出願日】 |
平成14年2月20日(2002.2.20) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−238308(P2003−238308A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月27日(2003.8.27) |
| 【出願番号】 |
特願2002−87140(P2002−87140) |
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