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【発明の名称】 水面浮遊型農薬組成物用拡展剤及び水面浮遊型農薬組成物
【発明者】 【氏名】鬼頭 信臣
【住所又は居所】愛知県蒲郡市港町2番5号 竹本油脂株式会社内

【氏名】森 宣彰
【住所又は居所】愛知県蒲郡市港町2番5号 竹本油脂株式会社内

【氏名】安江 秀幸
【住所又は居所】愛知県蒲郡市港町2番5号 竹本油脂株式会社内

【要約】 【課題】それを用いて調製した水面浮遊型農薬組成物に優れた拡展性を付与すると同時に、該水面浮遊型農薬組成物を水面施用としたときに速やかに生分解され、残留による環境への影響が少ない拡展剤、及びそのような水面浮遊型農薬組成物を提供する。

【解決手段】水面浮遊型農薬組成物用拡展剤として、炭素数7〜10の脂肪族モノカルボン酸、又はそのエステル形成性化合物と、炭素数2〜8の1〜4価の脂肪族ヒドロキシ化合物とから得られる特定のエステル化合物、該エステル化合物のリン酸エステル塩、及び該エステル化合物の硫酸エステル塩から選ばれる一つ又は二つ以上を用いた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記のエステル化合物類から選ばれる一つ又は二つ以上から成ることを特徴とする水面浮遊型農薬組成物用拡展剤。
エステル化合物類:下記の式1で示されるエステル化合物、該エステル化合物のリン酸エステル塩及び該エステル化合物の硫酸エステル塩【式1】

(式1において、R:炭素数6〜9の脂肪族炭化水素基X:炭素数2〜8の1〜4価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基m,n:mは1〜3の整数、nは0又は1〜3の整数であって、1≦m+n≦4を満足する整数)
【請求項2】 エステル化合物類が、式1中のRが炭素数7又は8の脂肪族炭化水素基、Xが炭素数2〜6の1〜3価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1記載の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤。
【請求項3】 エステル化合物類が、式1中のXが炭素数2〜5の1〜3価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1又は2記載の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤。
【請求項4】 エステル化合物類が、式1で示されるエステル化合物である請求項3記載の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤。
【請求項5】 式1で示されるエステル化合物が、エチレングリコールモノノナナート又はプロピレングリコールモノオクタナートである請求項4記載の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一つの項記載の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤及び増量剤を合計で90重量%以上含有し、且つ該水面浮遊型農薬組成物用拡展剤を0.1〜10重量%、該農薬薬効成分を0.1〜80重量%、該浮遊助剤を1〜80重量%及び該増量剤を1〜80重量%含有して成ることを特徴とする水面浮遊型農薬組成物。
【請求項7】 水面浮遊型農薬組成物用拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤及び増量剤を合計で100重量%含有し、且つ該水面浮遊型農薬組成物用拡展剤を1〜9重量%、該農薬薬効成分を1〜50重量%、該浮遊助剤を10〜50重量%及び該増量剤を10〜60重量%含有する請求項6記載の水面浮遊型農薬組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水面浮遊型農薬組成物用拡展剤及び水面浮遊型農薬組成物に関する。水田、イグサ田、湿地帯等の水が存在する場所に主に発生する病害虫、雑草等を水面施用で防除する投げ込み型農薬製剤として、各種形状に成形した水面浮遊型農薬組成物が使用されている。かかる水面浮遊型農薬組成物には、その性質上、これを水面施用したときに、そこに成育中の植物葉茎等による影響を受けることなく、短時間で広範囲に拡展することが求められ、そのため拡展剤が使用されている。近年、農薬製剤に用いる各種助剤について、環境への影響が問題視されるようになり、前記のような拡展剤についても、これを用いた水面浮遊型農薬組成物を水面施用した後に速やかに生分解されて、残留による環境への影響ができるだけ軽微なものが要求されている。本発明はかかる要求に応える拡展剤及びこれを用いた水面浮遊型農薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、前記のような水面浮遊型農薬組成物用拡展剤として、アセチレン誘導体(特開平6−336403、特開平9−118602、特開2000−95603)、スルホン酸系界面活性剤のような界面張力低下能の大きい界面活性剤(特開平7−82102、特開平7−233002、特開平10−81603、特開平10−182303、特開2001−278701)、アルキルアルコールのアルキレンオキサイド付加物及びその誘導体(特開2000−351701)等、各種が提案されている。ところが、これら従来の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤には、農薬薬効成分の施用性能を相応に向上できても、施用後に速やかに生分解されないため、残留による環境への影響が懸念されるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、それを用いて調製した水面浮遊型農薬組成物に優れた拡展性を付与すると同時に、該水面浮遊型農薬組成物を水面施用したときに速やかに生分解され、残留による環境への影響が少ない拡展剤、及びそのような水面浮遊型農薬組成物を提供する処にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかして本発明者らは、上記の課題を解決するべく研究した結果、水面浮遊型農薬組成物用拡展剤として、特定のエステル化合物類を用いることが正しく好適であることを見出した。
【0005】すなわち本発明は、下記のエステル化合物類から選ばれる一つ又は二つ以上から成ることを特徴とする水面浮遊型農薬組成物用拡展剤に係る。
エステル化合物類:下記の式1で示されるエステル化合物、該エステル化合物のリン酸エステル塩及び該エステル化合物の硫酸エステル塩【0006】
【式1】

【0007】式1において、R:炭素数6〜9の脂肪族炭化水素基X:炭素数2〜8の1〜4価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基m,n:mは1〜3の整数、nは0又は1〜3の整数であって、1≦m+n≦4を満足する整数【0008】また本発明は、前記のような水面浮遊型農薬組成物用拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤及び増量剤を合計で90重量%以上含有し、且つ該水面浮遊型農薬組成物用拡展剤を0.1〜10重量%、該農薬薬効成分を0.1〜80重量%、該浮遊助剤を1〜80重量%及び該増量剤を1〜80重量%含有して成ることを特徴とする水面浮遊型農薬組成物に係る。
【0009】本発明の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤(以下、単に本発明に係る拡展剤という)には、式1で示されるエステル化合物、式1で示されるエステル化合物のリン酸エステル塩、式1で示されるエステル化合物の硫酸エステル塩が包含される。本発明の拡展剤は、これらのエステル化合物類から選ばれる一つ又は二つ以上から成るものであるが、なかでも式1で示されるエステル化合物から選ばれる一つ又は二つ以上から成るものが好ましい。
【0010】本発明に係る拡展剤として用いる式1で示されるエステル化合物には、1)式1中のnが1〜3の整数である場合の部分エステル、2)式1中のnが0である場合の完全エステルが包含される。かかるエステル化合物は、従来公知の方法で得られる。例えば、脂肪族モノカルボン酸と脂肪族ヒドロキシ化合物とのエステル化反応、脂肪族モノカルボン酸エステルと脂肪族ヒドロキシ化合物とのエステル交換化反応等によって得られる。
【0011】式1で示されるエステル化合物において、mで括られたアシルオキシ基を形成することとなる原料としては、1)ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸等の炭素数7〜10の脂肪族モノカルボン酸、2)ヘプタン酸メチルエステル、オクタン酸メチルエステル、ノナン酸メチルエステル、デカン酸メチルエステル、イソヘプタン酸エチルエステル、イソオクタン酸プロピルエステル、イソノナン酸メチルエステル、イソデカン酸メチルエステル等の炭素数7〜10の脂肪族モノカルボン酸のエステル形成性化合物が挙げられるが、なかでも炭素数8又は9の脂肪族モノカルボン酸、そのエステル形成性化合物が好ましい。原料として、前記のような炭素数7〜10の脂肪族モノカルボン酸、そのエステル形成性化合物を用いると、式1中のRは炭素数6〜9の脂肪族炭化水素基になり、また炭素数8又は9の脂肪族カルボン酸、そのエステル形成性化合物を用いると、式1中のRは炭素数7又は8の脂肪族炭化水素基になる。
【0012】式1で示されるエステル化合物において、Xで示される残基を形成することとなる脂肪族ヒドロキシ化合物としては、1)モノメチルエチレングリコール、モノエチルエチレングリコール、モノメチルジエチレングリコール、モノブチルエチレングリコール、モノエチルジエチレングリコール、モノブチルプロピレングリコール、モノブチルジエチレングリコール等の炭素数2〜8の1価の脂肪族ヒドロキシ化合物、2)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール等の炭素数2〜8の2価の脂肪族ヒドロキシ化合物、3)グリセリン、トリメチロールプロパン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオール等の炭素数3〜8の3価の脂肪族ヒドロキシ化合物、4)ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン等の炭素数5〜8の4価の脂肪族ヒドロキシ化合物等が挙げられるが、なかでも炭素数2〜6の1〜3価の脂肪族ヒドロキシ化合物が好ましく、炭素数2〜5の1〜3価の脂肪族ヒドロキシ化合物がより好ましい。かかる好ましい脂肪族ヒドロキシ化合物のなかでも、エチレングリコール、プロピレングリコール、モノメチルジエチレングリコールが更に好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコールが特に好ましい。
【0013】式1で示されるエステル化合物は、以上説明した原料を用いて、公知の方法で得られるが、かかるエステル化合物を具体的に例示すると、エチレングリコールモノオクタナート、エチレングリコールモノノナナート、プロピレングリコールモノオクタナート、プロピレングリコールモノノナナート、グリセリンモノオクタナート、グリセリンモノイソオクタナート、グリセリンモノノナナート、モノメチルエチレングリコールモノイソオクタナート、モノメチルジエチレングリコールモノイソオクタナート、トリメチロールプロパンモノオクタナート、トリメチロールプロパンモノイソオクタナート、トリメチロールプロパンモノノナナート、ジエチレングリコールジノナナート等が挙げられる。なかでもエチレングリコールモノノナナート、プロピレングリコールモノオクタナートが特に好ましい。
【0014】本発明に係る拡展剤として用いる式1で示されるエステル化合物のリン酸エステル塩は、式1中のnが1〜3の整数である場合の部分エステルの水酸基をリン酸化剤でリン酸エステル化し、更に塩基で中和したものである。かかるリン酸化剤としては、オキシ塩化リンや無水リン酸等が挙げられる。部分エステルの水酸基をリン酸化剤でリン酸エステル化すると、生成する酸性リン酸エステルとして通常、モノハイドロジェンホスフェートとジハイドロジェンホスフェートとの混合物が得られるが、これらを分離することなく、塩基で中和することができる。かかる塩基としては、1)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、2)アンモニア、3)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン等のアルカノールアミン、4)モノエタノールメチルアミン、ジエタノールメチルアミン、モノプロパノールメチルアミン等のN−アルキル置換アルカノールアミン等が挙げられるが、なかでもアルカリ金属水酸化物が好ましい。
【0015】式1で示されるエステル化合物のリン酸エステル塩を具体的に例示すると、リン酸エチレングリコールモノオクタナート=ナトリウム、リン酸エチレングリコールモノオクタナート=ジエタノールアミン、リン酸エチレングリコールモノノナナート=カリウム、リン酸エチレングリコールモノノナナート=アンモニウム、リン酸プロピレングリコールモノオクタナート=ナトリウム、リン酸プロピレングリコールモノオクタナート=アンモニウム、リン酸プロピレングリコールモノイソノナナート=トリエタノールアミン、リン酸プロピレングリコールモノノナナート=モノエタノールメチルアミン、リン酸グリセリンモノオクタナート=ナトリウム、リン酸グリセリンモノイソオクタナート=カリウム、リン酸グリセリンモノノナナート=モノエタノールアミン、リン酸グリセリンモノイソノナナート=アンモニウム、リン酸トリメチロールプロパンモノオクタナート=ナトリウム、リン酸トリメチロールプロパンモノイソオクタナート=ナトリウム、リン酸トリメチロールプロパンモノノナナート=カリウム、リン酸トリメチロールプロパンモノイソノナナート=カリウム等が挙げられる。
【0016】本発明に係る拡展剤として用いる式1で示されるエステル化合物の硫酸エステル塩は、式1中のnが1〜3の整数である場合の部分エステルの水酸基を硫酸化剤で硫酸エステル化し、更に塩基で中和したものである。かかる硫酸化剤としては硫酸、スルファミン酸等が挙げられる。部分エステルの水酸基を硫酸化剤で硫酸エステル化することにより生成する酸性硫酸エステルの中和に用いる塩基としては、前記した塩基と同様のものを用いることができる。
【0017】式1で示されるエステル化合物のリン酸エステル塩を具体的に例示すると、硫酸エチレングリコールモノオクタナート=ナトリウム、硫酸エチレングリコールモノオクタナート=ジエタノールアミン、硫酸エチレングリコールモノノナナート=カリウム、硫酸エチレングリコールモノノナナート=アンモニウム、硫酸プロピレングリコールモノオクタナート=ナトリウム、硫酸プロピレングリコールモノオクタナート=アンモニウム、硫酸プロピレングリコールモノイソノナナート=トリエタノールアミン、硫酸プロピレングリコールモノノナナート=モノエタノールメチルアミン、硫酸グリセリンモノオクタナート=ナトリウム、硫酸グリセリンモノイソオクタナート=カリウム、硫酸グリセリンモノノナナート=モノエタノールアミン、硫酸グリセリンモノイソノナナート=アンモニウム、硫酸トリメチロールプロパンモノオクタナート=ナトリウム、硫酸トリメチロールプロパンモノイソオクタナート=ナトリウム、硫酸トリメチロールプロパンモノノナナート=カリウム、硫酸トリメチロールプロパンモノイソノナナート=カリウム等が挙げられる。
【0018】本発明に係る水面浮遊型農薬組成物は、以上説明した本発明に係る拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤及び増量剤を含有して成るものであるが、これらを合計で90重量%以上、好ましくは100重量%含有し、且つ該拡展剤を0.1〜10重量%、好ましくは1〜9重量%、該農薬薬効成分を0.1〜80重量%、好ましくは1〜50量%、該浮遊助剤を1〜80重量%、好ましくは10〜50重量%及び該増量剤を1〜80重量%、好ましくは10〜60重量%含有して成るものである。
【0019】本発明に係る水面浮遊型農薬組成物に用いる農薬薬効成分としては、それ自体は公知の各種の除草剤、殺虫剤、殺菌剤等が挙げられる。例えば、除草剤としては、1−(ジエチルカルバモイル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)−1,2,4−トリアゾール(カフェンストロール)、1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(p−トリル)ウレア(ダイムロン)、2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−(2−ブトキシメチル)アセトアニリド(ブタクロール)、2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−(2−プロポキシエチル)アセトアニリド(プレチラクロール)、αー(2ーナフトキシ)プロピオンアニリド(ナプロアニリド)、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−S−トリアジン(シメトリン)、S−ターシャリーブチル−3−(2,4−ジクロロ−5−イソプロポキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン(オキサジアゾン)、S−(2−メチル−1−ピペリジル−カリボニルメチル−O,O−ジ−n−プロピルジチオホスフェート(ピペロホス)、3−イソプロピル−2,1,3−ベンゾ−チアジアノン−(4)−2,2−ジオキシド(ベンタゾン)、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(ジメタメトリン)、3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)−1−[(2−メトキシカルバニルベンジル)スルフォニル]ウレア(ベンスルフロンメチル)等が挙げられる。
【0020】また殺虫剤としては、1−ナフチル−N−メチルカーバメート(NAC)、メタトリル−N−メチルカーバメート(MTMC)、2−イソプロピルフェニル−N−メチルカーバメート(MIPC)、2−セカンダリーブチルフェニル−N−メチルカーバメート(BPMC)、3,4−キシリル−N−メチルカーバメート(MPMC)、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イル(ジブチルアミノチオ)メチルカルバマート(カルボスルファン)、O−n−ブチル−O’−(2,2−)ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル)−N,N’−チオ−ジカルバマート(フラチオカルブ)、(RS)α−シアノ−3−フェノキシベンジル=(RS)−2,2−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(シクロプロトリン)、2−タ−シャリ−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5−チアジアジナン−4−オン(ブプロフェジン)、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル(エトフェンプロックス)、O,O−ジメチル−O−(メチル−4−ニトロフェニル)チオフォスフェート(MEP)、(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオフォスフェート(ダイアジノン)、S,S’−[2−(ジメチルアミノ)トリメチレン]ビス−ベンゼンチオスルフォネート(ベンスルタップ)等が挙げられる。
【0021】更に殺菌剤としては、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ(3,4−b)ベンゾチアゾール(トリシクラゾール)、ジメチル4,4−(o−フェニレン)ビス3−チオアロファネート(トップジンM)、O,O−ジイソプロピル−S−ベンジルチオフォスフェート(IBP)、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(プロペナゾール)、O−エチル−S,S−ジフェニルジチオフォスフェート(EDDP)、ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート(イソプロチオラン)、3−イソプロポキシ−2−メチルベンズアニリド(メプロニル)、(E,Z)−4,6−ジメチル−2−[1−(O−トリル)−1−エチリデン−ヒドラジノ]ピリミジン(フェリムゾン)、1−(4−クロロベンジル)−1−シクロペンチル−3−フェニル尿素(ペンシクロン)等が挙げられる。
【0022】本発明に係る水面浮遊型農薬組成物に用いる浮遊助剤としては、いずれも比重が1未満で浮力を有するそれ自体は公知の各種の無機質浮遊助剤、有機質浮遊助剤等が挙げられる。例えば、無機質浮遊助剤としては、発泡シラス、発泡軽石、発泡パーライト、中空ガラス等が挙げられる。また有機質浮遊助剤としては、動植物由来のろう状物質、パラフィンワックス、コルク、木粉、発泡合成樹脂、ポリエチレン粉末やポリプロピレン粉末等の合成樹脂粉末等が挙げられる。なかでも発泡シラス、中空ガラス、発泡合成樹脂が好ましい。
【0023】本発明に係る水面浮遊型農薬組成物に用いる増量剤としては、それ自体は公知の各種の無機質粉末、低分子水溶性化合物、合成樹脂粉末、有機質粉末等が挙げられる。例えば、無機質粉末としては、ベントナイト、タルク、クレー、珪藻土、無晶形二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また低分子水溶性化合物としては、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、尿素等が挙げられる。更に合成樹脂粉末としては、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。更にまた有機質粉末としては、グルコース、果糖、蔗糖、乳糖等の糖類、カルボキシメチルセルロース及びその塩類、澱粉及びその誘導体、微結晶セルロース、木粉、米糠、ふすま、モミガラ等が挙げられる。なかでも無機質粉末、低分子水溶性化合物が好ましい。
【0024】以上説明したような本発明に係る水面浮遊型農薬組成物は、公知の方法で調製できる。例えば、1)本発明に係る拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤、増量剤及び水を撹拌混合機で混練した後、造粒機を用いて造粒し、乾燥する方法、2)本発明に係る拡展剤、浮遊助剤、増量剤及び水を撹拌混合機で混練した後、造粒機を用いて造粒し、その造粒物に農薬薬効成分を含浸、吸着させ、乾燥する方法等が挙げられる。ここで撹拌混合機としては、ナウタミキサー、リボンブレンダー、ロータリーブレンダー、V型混合機等を適用でき、また造粒機としては、押し出し造粒機、混合造粒機、転動造粒機、流動層造粒機等を適用できる。
【0025】本発明に係る水面浮遊型農薬組成物は、通常の農薬粒剤と同様、手播き散布、機械散布、振込散布のような方法で散布できるが、畦や畔等から散布する所謂額縁散布をすることもでき、また水溶紙に分包して畦や畔等から投げ込み施用することもできる。投げ込み施用に用いる水溶紙は、水中での溶解性又は分散性を有するフィルム又はシートであり、例えば、ポリビニルアルコール又はその誘導体、プルラン、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、セルロース、ポリエチレンオキサイド又はその誘導体から成形されたフィルム又はシート等が挙げられるが、なかでもポリビニルアルコール又はその誘導体から成形されたフィルム又はシートが好ましい。
【0026】本発明に係る水面浮遊型農薬組成物には、以上説明したような拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤及び増量剤の他に、結合剤、造粒性向上剤、崩壊剤、分散剤、乳化剤、溶剤等を併用することもできる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明に係る拡展剤の実施形態としては、次の1)〜7)が挙げられる。
1)式1中のRが炭素数7の脂肪族炭化水素基、Xが炭素数3の2価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基、mが1、nが1である場合の式1で示される部分エステル化合物(プロピレングリコールモノオクタナート)から成る拡展剤。
【0028】2)式1中のRが炭素数7の脂肪族炭化水素基、Xが炭素数2の2価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基、mが1、nが1である場合の式1で示される部分エステル化合物(エチレングリコールモノオクタナート)から成る拡展剤。
【0029】3)式1中のRが炭素数7の脂肪族炭化水素基、Xが炭素数3の3価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基、mが1、nが2である場合の式1で示される部分エステル化合物(グリセリンモノオクタナート)から成る拡展剤。
【0030】4)式1中のRが炭素数7の脂肪族炭化水素基、Xが炭素数3の1価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基、mが1、nが0である場合の式1で示される完全エステル化合物(モノメチルエチレングリコールモノイソオクタナート)から成る拡展剤。
【0031】5)式1中のRが炭素数8の脂肪族炭化水素基、Xが炭素数2の2価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基、mが1、nが1である場合の式1で示される部分エステル化合物(エチレングリコールモノノナナート)から成る拡展剤。
【0032】6)式1中のRが炭素数8の脂肪族炭化水素基、Xが炭素数4の2価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基、mが2、nが0である場合の式1で示される完全エステル化合物(ジエチレングリコールジノナノナート)から成る拡展剤。
【0033】7)式1中のRが炭素数8の脂肪族炭化水素基、Xが炭素数5の1価の脂肪族ヒドロキシ化合物から全ての水酸基を除いた残基、mが1、nが0である場合の式1で示される完全エステル化合物(モノメチルジエチレングリコールジイソノナノナート)から成る拡展剤。
【0034】また本発明に係る水面浮遊型農薬組成物の実施形態としては、次の8)〜14)が挙げられる。
8)拡展剤として前記1)のプロピレングリコールモノオクタナート2重量%、農薬薬効成分としてカフェンストロール20重量%、浮遊助剤として中空性ガラス35重量%及び増量剤としてベントナイト/クレー=20/80(重量比)の混合物43重量%(合計100重量%)含有して成る水面浮遊型農薬組成物。
【0035】9)拡展剤として前記2)のエチレングリコールモノオクタナート2重量%、農薬薬効成分としてダイムロン30重量%、浮遊助剤として中空性ガラス35重量%、増量剤としてホワイトカーボン/ベントナイト/クレー=10/20/70(重量比)の混合物33重量%(合計100重量%)含有して成る水面浮遊型農薬組成物。
【0036】10)拡展剤として前記3)のグリセリンモノオクタナート1重量%、農薬薬効成分としてブタクロール5重量%、浮遊助剤として発泡シラス45重量%及び増量剤としてホワイトカーボン/ベントナイト/炭酸カルシウム=10/20/70(重量比)の混合物49重量%(合計100重量%)含有して成る水面浮遊型農薬組成物。
【0037】11)拡展剤として前記4)のモノメチルエチレングリコールモノイソオクタナート2重量%、農薬薬効成分としてカフェンストロール10重量%、浮遊助剤として中空性ガラス35重量%及び増量剤としてベントナイト/クレー=20/80(重量比)の混合物53重量%(合計100重量%)含有して成る水面浮遊型農薬組成物。
【0038】12)拡展剤として前記5)のエチレングリコールモノノナナート5重量%、農薬薬効成分としてNAC10重量%、浮遊助剤として中空性ガラス35重量%、増量剤としてホワイトカーボン/ベントナイト/クレー=10/20/70(重量比)の混合物48重量%及びその他としてアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム2重量%(合計100重量%)含有して成る水面浮遊型農薬組成物。
【0039】13)拡展剤として前記6)のジエチレングリコールジノナナート2重量%、農薬薬効成分としてNAC25重量%、浮遊助剤として中空性ガラス45重量%及び増量剤としてベントナイト/クレー=20/80(重量比)の混合物28重量%(合計100重量%)含有して成る水面浮遊型農薬組成物。
【0040】14)拡展剤として前記7)のモルメチルジエチレングリコールジイソノナナート2重量%、農薬薬効成分としてダイアジノン5重量%、浮遊助剤として発泡シラス45重量%、増量剤としてベントナイト/クレー=20/80(重量比)の混合物46重量%及びその他としてナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩2重量%(合計100重量%)含有して成る水面浮遊型農薬組成物。
【0041】以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は重量部、%は重量%である。
【0042】
【実施例】試験区分1{拡展剤(式1で示されるエステル化合物等)の合成}
実施例1オクタン酸144g(1モル)及びプロピレングリコール152g(2モル)をフラスコに仕込み、触媒としてパラトルエンスルホン酸水和物0.834g及び次亜リン酸50%水溶液0.222gを加えた。撹拌下に反応温度を120〜140℃に維持し、生成する水を留去しつつエステル化反応を行なった。水が18ml留去した時点で反応を終了した。約50℃まで冷却した後、ソジウムメチラートの28%メタノール溶液2.78gを加えて触媒を中和した。水139gを加え、撹拌した後、80℃〜90℃にて成層分離し、油層を得た。得られた油層を70〜90℃で減圧下に脱水して、プロピレングリコールモノオクナートから成る拡展剤(A−1)を得た。
【0043】実施例2〜16及び比較例1〜5実施例1と同様にして拡展剤(A−2)〜(A−16)及び(a−1)〜(a−5)を合成した。以上で合成した各拡展剤の内容を表1にまとめて示した。
【0044】
【表1】

【0045】試験区分2{拡展剤(式1で示されるエステル化合物のリン酸エステル塩)の合成}
実施例17実施例1で合成したプロピレングリコールモノオクナート241.2g(1.2モル)をフラスコに仕込み、65〜70℃に保持して、撹拌しながら無水リン酸56.8g(0.4モル)を少量づつ2時間かけて加えた。その後60〜70℃で3時間保持して反応を終了し、酸性リン酸エステルを得た。得られた酸性リン酸エステル298gを48%水酸化ナトリウム水溶液100gに徐々に加えて中和した。この際に中和熱がでるが、中和温度を30〜50℃に保ち、リン酸プロピレングリコールモノオクナート=ナトリウムから成る拡展剤(A−17)を得た。
【0046】実施例18〜20実施例17と同様にして拡展剤(A−18)〜(A−20)を合成した。以上で合成した各拡展剤の内容を表2にまとめて示した。
【0047】
【表2】

【0048】試験区分3{拡展剤(式1で示されるエステル化合物の硫酸エステル塩)の合成}
実施例21実施例1で合成したプロピレングリコールモノオクナート201g(1モル)をフラスコに仕込み、30〜40℃に保持して、撹拌しながら無水硫酸80.1g(1モル)を少量づつ2時間かけて加えた。その後40〜50℃で2時間保持して反応を終了し、酸性硫酸エステルを得た。得られた酸性硫酸エステル281.1gを48%水酸化カリウム水溶液116.9gに徐々に加えて中和した。この際に中和熱がでるが、中和温度を30〜50℃に保ち、硫酸プロピレングリコールモノオクナート=カリウムから成る拡展剤(A−21)を得た。
【0049】実施例22〜24実施例21と同様にして拡展剤(A−22)〜(A−24)を合成した。以上で合成した各拡展剤の内容を表3にまとめて示した。
【0050】
【表3】

【0051】試験区分4(水面浮遊型農薬組成物の調製)
実施例25試験区分1で合成した拡展剤(A−1)2部、農薬薬効成分としてカフェンストロール20部、浮遊助剤として中空性ガラス35部及び増量剤としてベントナイト/クレー=20/80(重量比)の混合物43部を混合し、その混合物に水40部を加えて充分混練した。得られた混練物を目開き1.0mmのスクリーンを装着したバスケット型造粒機に供して成形し、切断した後、50℃の流動層乾燥機で乾燥した。得られた乾燥物を長さ約3mmに整粒して水面浮遊型農薬組成物(P−1)を調製した。
【0052】実施例26〜48及び比較例10〜18実施例25と同様にして水面浮遊型農薬組成物(P−2)〜(P−24)及び(R−1)〜(R−9)を調製した。以上で調製した各水面浮遊型農薬組成物の内容を表4にまとめて示した。
【0053】
【表4】

【0054】表4において、割合:重量%A−1〜A−24,a−1〜a−5:試験区分1〜3で合成した表1〜3に記載の拡展剤a−6:サーフィノール440(エアープロダクツ社製)
a−7:α−2−エチルヘキシル−ω−ヒドロキシ−オキシエチレンa−8:α−2−エチルヘキシル−ω−ヒドロキシ−ジオキシエチレンa−9:1,2−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エタンスルホン酸ナトリウムH−1:カフェンストロールH−2:ダイムロンH−3:ブタクロールI−1:NACI−2:ダイアジノンF−1:プロペナゾールF−2:トリシクラゾールG−1:中空性ガラス(東海工業社製のCEL−STAR Z−27)
G−2:発泡シラス(カルシード社製のシラスバルーン)
Z−1:ベントナイト(クニミネ工業社製のクニゲルV1)/クレー(昭和鉱業社製の昭和微粉クレー)=20/80(重量比)の混合物Z−2:ホワイトカーボン(トクヤマ社製のトクシールNR)/ベントナイト(クニミネ工業社製のクニゲルV1)/クレー(昭和鉱業社製の昭和微粉クレー)=10/20/70(重量比)の混合物Z−3:ホワイトカーボン(トクヤマ社製のトクシールNR)/ベントナイト(クニミネ工業社製のクニゲルV1)/炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製の重質炭酸カルシウム)=10/20/70(重量比)の混合物S−1:アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(竹本油脂社製のニューカルゲンBX−C)
S−2:ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩(竹本油脂社製のニューカルゲンPS−P)
【0055】試験区分5(拡展剤の生分解性の評価)
試験区分4で用いた拡展剤について、JIS−K0102−1993に準拠してBOD14を測定した。別に計算上の全酸素消費量(TOD)を求め、BOD/TODの比を算出し、生分解性の評価を以下の基準で行なった。結果を表5にまとめて示した。
評価基準◎:BOD/TODの比が0.7以上で生分解性が非常に優れている。
○:BOD/TODの比が0.5〜0.7未満で生分解性が優れている。
△:BOD/TODの比が0.3〜0.5未満で生分解性がやや不良である。
×:BOD/TODの比が0.3未満で生分解性が不良である。
【0056】
【表5】

【0057】試験区分6(水面浮遊型農薬組成物の評価)
縦200cm、横10cm、深さ4cmのステンレス製直方容器を用い、この容器の縦方向に沿う内底面中央部に、等間隔で、直径2.5cm、長さ5.5cmの円筒形障害物を合計19本立設し、容器内に深さ2cmまで水を入れた。容器の縦方向一端中央部から試験区分2で調製した水面浮遊型農薬組成物0.2gを投入し、その拡展距離、拡展速度及び拡展状況を下記のように評価した。結果を表6にまとめて示した。
【0058】・拡展距離の評価:投入後、2分間で拡展した縦方向の距離を測定した。測定は5回行ない、その平均値を下記の基準で評価した。
評価基準:◎:160cm以上○:120cm以上160cm未満△:80cm以上120cm未満×:80cm未満【0059】・拡展速度の評価:投入した水面浮遊型農薬組成物が縦方向で100cmまで拡展するまでの所要時間を測定した。測定は5回行ない、その平均値から下記の計算式により拡展速度を算出し、下記の基準で評価した。
拡展速度(cm/秒)=100(cm)/所要時間(秒)
評価基準:◎:5cm/秒以上○:3cm/秒以上5cm/秒未満△:1cm/秒以上3cm/秒未満×:1cm/秒未満【0060】・拡展状態の評価:投入した水面浮遊型農薬組成物が拡展する状態を観察し、下記の基準で評価した。
評価基準:◎:水面に波紋が広がりながら非常に激しく拡展する、拡展性が優れている○:水面に少し波紋が広がりながら拡展する、拡展性が良好△:水面に波紋の発生はないが、粒の崩壊直前に少し波紋が広がる、拡展性がやや悪い×:水面に波紋の発生は全くなく、ゆっくり拡展する、拡展性が悪い【0061】
【表6】

【0062】
【発明の効果】既に明らかなように、以上説明した本発明には、水面浮遊型農薬組成物に優れた拡展性を付与でき、且つ生分解性が優れるため環境への影響が低減されるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
【住所又は居所】愛知県蒲郡市港町2番5号
【出願日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【代理人】 【識別番号】100081798
【弁理士】
【氏名又は名称】入山 宏正
【公開番号】 特開2003−238307(P2003−238307A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−45619(P2002−45619)