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【発明の名称】 ダニの予防剤及びその予防方法
【発明者】 【氏名】谷田貝 光克

【氏名】柴田 晃

【氏名】浜本 洋一

【要約】 【課題】病院や家庭その他におけるダニの発生を抑制することができる予防剤及びその予防方法を提供しようとするもの。

【解決手段】このダニの予防剤は、木酢液を有効成分とする予防剤であって、生活用品に適当量を付着させるようにしたり、生活空間に適当量を散布するようにしたり、生活空間で適当量を揮散させるようにした。寝具類その他の生活用品に付着させ、また台所の棚の中や食品の収納庫などの生活空間に散布したり、或いは台所の棚の中や食品の収納庫などの生活空間に設置して揮散させた木酢液の有効成分の作用によりダニの発生や繁殖を抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 木酢液を有効成分とする予防剤であって、生活用品に適当量を付着させるようにしたことを特徴とするダニの予防剤。
【請求項2】 木酢液を有効成分とする予防剤であって、生活空間に適当量を散布するようにしたことを特徴とするダニの予防剤。
【請求項3】 木酢液を有効成分とする予防剤であって、生活空間で適当量を揮散させるようにしたことを特徴とするダニの予防剤。
【請求項4】 前記木酢液は蒸留精製されタール分がほぼ除去されたものである請求項1乃至3のいずれかに記載のダニの予防剤。
【請求項5】 木酢液を有効成分とする予防剤を、生活用品に適当量を付着させることを特徴とするダニの予防方法。
【請求項6】 木酢液を有効成分とする予防剤を、生活空間に適当量を散布することを特徴とするダニの予防方法。
【請求項7】 木酢液を有効成分とする予防剤を、生活空間で適当量を揮散させることを特徴とするダニの予防方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ダニの予防剤及びその予防方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、病院などでダニによる人体への被害が問題となっている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】ダニ、特にヒゼンダニは人の皮膚に寄生し、皮膚の角質層内で繁殖することによって非常に痒い皮膚病(疥癬)を引き起こす。この疥癬は感染症であり、人から人へ直接感染する場合と、病院等の寝具類から感染する場合が考えられる。
【0004】現在、ヒゼンダニによる疥癬が発生している医療施設は全国で約1,400施設を数え、MRSA被害のある施設数を越え最も解決が優先される課題として位置付けられている。
【0005】また、一般生活においても食品の表面に発生するコナダニ、アレルギー症の原因となるヒョウヒダニ類、皮膚を刺しかゆみ等の炎症を引き起こすツメダニ、イエダニ等、及び刺した箇所に寄生するマダニ等がおり様々な害を及ぼす。
【0006】しかし、今まで原因となるダニを忌避・殺虫する安全で有効な手段がなかったという問題があった。
【0007】
【非特許文献1】夏秋 優、「特集1 院内感染対策 各論2.院内感染発生後の対応7)疥癬」、医薬ジャーナル 36巻第8号(2000年8月号) p.136−139【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこでこの発明は、病院や家庭その他におけるダニの発生を抑制することができる予防剤及びその予防方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
■ この発明のダニの予防剤は、木酢液を有効成分とするものであって、生活用品に適当量を付着させるようにしたことを特徴とする。この発明のダニの予防方法は、木酢液を有効成分とする予防剤を、生活用品に適当量を付着させることを特徴とする。
【0010】ここで生活用品に対する付着量としては、原液に近い方が効果の点で望ましいが、燻臭の点を考慮して数十倍から数百倍に希釈してもよい。このように付着させることより、付着した部位周辺での持続的な忌避効果、抑制効果が期待できる。
【0011】前記生活用品として、寝具類、衣類、畳、絨毯、カーペット、椅子、ソファー、クッション、座布団、カーテン、台所用品などを例示することができる。前記寝具類としてベッド、マットレス、布団、毛布、枕、シーツ、カバーなどを例示することができる。前記台所用品として、流しの屑物入れの三角コーナーなどを例示することができる。
【0012】付着させる態様として、寝具類やソファー、カーペットなどに対して直接霧状に散布することや、洗濯中の衣類の水槽内に注入して染み込ませて乾燥させることなどを例示することができる。このように、洗濯中の衣類(生活用品)の水槽内に注入して染み込ませて乾燥させると、噴霧等の方法で後から付着させる手間を省くことができる。
【0013】そして、寝具類その他の生活用品に付着させた木酢液の有効成分の作用によりダニの発生や繁殖を抑制することができる。
■ この発明のダニの予防剤は、木酢液を有効成分とするものであって、生活空間に適当量を散布するようにしたことを特徴とする。この発明のダニの予防方法は、木酢液を有効成分とする予防剤を、生活空間に適当量を散布することを特徴とする。
【0014】ここで生活空間に対する散布量としては、原液に近い方が効果の点では望ましいが、燻臭の点を考慮して数十倍から数百倍に希釈してもよい。このように散布することより、広範囲への速効的な効果の波及を期待できる。
【0015】前記生活空間として、家庭や店舗の台所の棚の中や食品の収納庫、押入れの中、病院の病室、電車の車中、自動車の車中などを例示することができる。
【0016】そして、台所の棚の中や食品の収納庫などの生活空間に散布した木酢液の有効成分の作用によりダニの発生や繁殖を抑制することができる。
■ この発明のダニの予防剤は、木酢液を有効成分とするものであって、生活空間で適当量を揮散させるようにしたことを特徴とする。この発明のダニの予防方法は、木酢液を有効成分とする予防剤を、生活空間で適当量を揮散させることを特徴とする。
【0017】この場合は生活空間に設置しておき、その有効成分を揮散させてダニを忌避するものである。
【0018】ここで生活空間に対する揮散量としては、原液に近い方が揮散時の効果が高いが、燻臭の点を考慮して数十倍に希釈して用いてもよい。このように設置することより、長期間、効果が持続することが期待できる。
【0019】そして、台所の棚の中や食品の収納庫などの生活空間に設置して揮散させた木酢液の有効成分の作用によりダニの発生や繁殖を抑制することができる。
【0020】更に、病院や家庭の悪臭に対する消臭効果により快適な生活環境を作り出すことができる。
■ ところで、木酢液は木材を炭化することによって得られる天然由来の成分であるので人体には無害であり、寝具類や衣類などの生活用品や、台所の棚の中や食品の収納庫、押入れの中などの生活空間に染み込んだとしても薬害が起こることもなく環境に優しく安全である。
【0021】前記木酢液は原液のままで用いたり、水で適度に希釈して用いることができる。なお剤形としては液体ではなく、例えば木酢液を染み込ませたゲルや顆粒、粉末などの形態とすることもできる。このようにすると、容器が倒れた際に液が流出して薫臭が染み付き処理が厄介になることを防止し、使い勝手を良くすることができる。
■ 前記木酢液は蒸留精製されタール分がほぼ除去されたものであることとしてもよい。このように構成すると、付着させる散布の手段としてスプレー容器を用いた場合、目詰まりすることがなく連続使用にも耐えることができまたその洗浄も容易である。
【0022】その発生を抑制することができるダニの種類として、既述のヒゼンダニの他に、イエダニ、マダニ、ツメダニ、コナダニ、ヒョウヒダニ(チリダニ)などを例示することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を説明する。
(実施形態1)この実施形態のダニの予防剤は木酢液を有効成分とするものであって、使用に際しては、ヒゼンダニによる疥癬が発生する医療施設のベッドやマットレス、毛布やシーツなどの寝具類(生活用品)に適当量を付着させるようにしている。前記寝具類として、他に布団、枕、カバーなどを処理することができる。
【0024】前記木酢液として、蒸留精製されてタール分がほぼ完全に除去されたものを用いた。この木酢液は原液のままで用いてもよいし、また水で適度に希釈して用いることもできるが、濃度が濃い方が効果の持続性の点で好ましい。
【0025】次に、この実施形態のダニの予防剤の使用状態を説明する。
【0026】木酢液を有効成分とする予防剤を、寝具類に適当量を付着させる。付着させる態様として寝具類に対してスプレーなどを用いて霧状に散布したり、洗濯中の寝具類の水槽内に注入して染み込ませて乾燥させたりすることができる。
【0027】木酢液は木材を炭化することによって得られる天然由来の成分であるので人体には無害であり、また寝具類や衣類等に染み込んでも薬害が起こることもなく環境に優しく安全であるという利点がある。そして、寝具類に付着させた木酢液の有効成分の作用によりダニの発生や繁殖を抑制し、病院等の寝具類から感染することを防止して、疥癬の発生を減少させることができるという利点がある。
【0028】また、病院等の悪臭に対する消臭効果により快適な生活環境を作り出すことができるという利点がある。
【0029】更に、前記木酢液は蒸留精製されタール分がほぼ除去されたものであるので、付着させる散布の手段としてスプレー容器を用いた場合、目詰まりすることがなく連続使用にも耐えることができまたメンテナンス時の洗浄も容易であるという利点がある。
(実施形態2)木酢液を適量配合したゲルを配合し、ダニのいる押入れ(生活空間)に設置してゲルに染み込ませた木酢液成分を揮散させた。これにより、ダニを忌避することができた。
【0030】このようにゲルに配合した場合、容器が倒れた際に液が流出して薫臭が染み付き処理が厄介になることを防止し、使い勝手を良くすることができる。また、容器や剤形を工夫することにより揮散量の調整が容易なため、効果の持続性に優れるようにすることもできる。
【0031】
【実施例】次に、この発明の構成をより具体的に説明する。
(実施例)蒸留精製された木酢液(大幸テック社製、商品名 木酢物語)を、500mlスプレー容器に収容した。この液を病院で使用されているマットレスの両面に約30cmの間隔を開けて全面に6〜8回噴霧した。その後前記マットレスのホルマリン消毒を行って更に2〜3日天日干しにし、再び病室での使用に供した。上記の作業を1箇月おきに繰り返すと、2箇月目でヒゼンダニの発生頻度が減少し、入院患者の疥癬の症状がほぼ完全に回復した。
(比較例)病院で使用されているマットレスにホルマリン消毒を行って更に2〜3日天日干しにし、再び病室での使用に供した。前記の作業を1箇月おきに行っても効果は一時的なもので2箇月経過後のヒゼンダニの発生頻度が高まり、入院患者の疥癬の症状は改善されなかった。
【0032】(殺ダニ活性試験)次のようにして、木酢液による殺ダニ活性試験を行った。なお、対象のダニとしてヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)を使用した。
【0033】中央に直径10mmの円をくり抜いた2枚のアクリル版(25mm×75mm、厚さ3mm;25mm×75mm、厚さ1mm)の円の部分に直径12mmのろ紙(アドバンテック製、トーヨーろ紙No.2)をはさみ、ろ紙上に10μlの木酢液試料(針葉樹混合蒸留木酢液、コナラ木酢液)を滴下した。
【0034】このろ紙上にダニを放ち、上からスライドグラス(25mm×75mm)を載せ、両端をダブルクリップで押さえた。これを、塩化カリウム飽和水溶液を用いて湿度を調整したデシケータ中に3日間放置し、ダニの生存数(匹)を顕微鏡で測定した。
【0035】前記検定試料として、針葉樹混合木酢液(スギ、ベイスギなどの針葉樹材オガ粉からなるオガライトをブロック型炭化炉で炭化した際に得られた木酢液を蒸留精製したもの)と、コナラ木酢液(コナラ材を黒炭窯で炭化し、約3ヶ月静置して上澄みを採取したもの)を用いた。
【0036】対照は、10μlの蒸留水をろ紙上に滴下したものとした。また、繰り返し試験は5回とした。結果は、以下の表1〜3の通りである。なお、表中のかっこ内の数字はダニの生存率(%)を示す。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

この結果の通り、針葉樹混合蒸留木酢液は、本試験条件(1cm2当たり8.8μlの木酢液塗布量となる)で、3日後にほぼ100%の殺ダニ率を示した。この殺ダニ活性は、殺ダニ活性を持つことが知られているテルペン類セドロールやβ−オイデスモールの殺ダニ率が、本試験とほぼ同様の濃度(1cm2あたり8.0μlの塗布量)でそれぞれ60%、85%であることからも充分な殺ダニ活性があるものと考えられる。またコナラ木酢液も、3日後にほぼ70%の殺ダニ率を示した。
【0040】
【発明の効果】この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
【0041】ダニの発生や繁殖を抑制し、ひいては疥癬の発生を減少させることができる予防剤及びその予防方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】397066454
【氏名又は名称】大幸テック株式会社
【出願日】 平成14年11月26日(2002.11.26)
【代理人】 【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
【公開番号】 特開2003−226608(P2003−226608A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−342027(P2002−342027)