| 【発明の名称】 |
植物病害防除方法及び植物病害防除用組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】豊島 淳
【氏名】熊倉 和夫
【氏名】永山 孝三
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| 【要約】 |
【課題】各種植物病害の優れた防除効果と共に、防除可能な病害の範囲を拡大した植物病害防除方法及び植物病害防除用組成物を提供する。
【解決手段】トリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1株(FERM P-16510)及び/又はトリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−3株(FERM P-17021)と前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及びトリコデルマ アトロビリデSKT−3株以外の植物病害防除効果を有する微生物との混合使用及び/又は同一栽培期間中の異なる処理時期に分けて使用することを特徴とする植物病害の防除方法及びそれに用いる植物病害防除用組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1株(FERM P-16510)及び/又はトリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−3株(FERM P-17021)と前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及びトリコデルマ アトロビリデSKT−3株以外の植物病害防除効果を有する微生物との混合使用及び/又は同一栽培期間中の異なる処理時期に分けて使用することを特徴とする植物病害の防除方法。 【請求項2】 トリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1株(FERM P-16510)及び/又はトリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−3株(FERM P-17021)と前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及びトリコデルマ アトロビリデSKT−3株以外の植物病害防除効果を有しない微生物で前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及び/又はトリコデルマ アトロビリデSKT−3株との共存により、前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及び/又はトリコデルマ アトロビリデSKT−3株の植物病害防除効果を増強する作用を有する微生物との混合使用を特徴とする植物病害の防除方法。 【請求項3】 請求項1記載の植物病害防除効果を有する微生物あるいは請求項2の植物病害防除効果を増強する作用を有する微生物が、糸状菌類、細菌類、放線菌類の少なくとも1種以上から選ばれることを特徴とする植物病害の防除方法。 【請求項4】 請求項3記載の糸状菌類が、シュウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)属菌、ベンチュリア(Venturia)属菌、エリシフェ(Erysiphe)属菌、ピリキュラリア(Pyricularia)属菌、ボトリチス(Botrytis)属菌、リゾクトニア(Rhizoctonia)属菌、パクシニア(Puccinia)属菌、セプトリア(Septoria)属菌、スクレロティニア(Sclerotinia)属菌、ピシウム(Pythium)属菌、トリコデルマ(Trichoderma)属菌、フザリウム(Fusarium)属菌、リゾプス(Rhizopus)属菌、ムコール(Mucor)属菌、コルチシウム(Corticium)属菌、ホーマ(Phoma)属菌、フィトフィトラ(Phytophthora)属菌、コリオボラス(Cochliobolus)属菌、クラビセプス(Claviceps)属菌、セラトバシジウム(Ceratobasidium)属菌、アスペルギルス(Aspergillus)属菌の少なくとも1種以上から選ばれることを特徴とする植物病害の防除方法。 【請求項5】 請求項3記載の細菌類が、バークホルデリア(Burkholderia)、クロストリジウム(Clostridium)属菌、バチルス(Bacillus)属菌、シュードモナス(Pseudomonas)属菌、アシドボラクス(Acidovorax)属菌、エンテロバクター(Enterobactor)属菌、セラチア(Serratia)属菌、エルビニア(Erwinia)属菌、アセトバクター(Acetobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、ザンドモナス(Xanthomonas)属菌、グルコノバクター(Gluconobacter)属菌、リゾバクター(Rhizobacter)属菌の少なくとも1種以上から選ばれることを特徴とする植物病害の防除方法。 【請求項6】 請求項3記載の放線菌類が、クラビバクター(Clavibacter)属菌、アルスロバクター(Arthrobacter)属菌、カルトバクテリウム(Curtobacterium)属菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属菌、ストレプトマイセス(Streptomyces)属菌、マイクロコッカス(Micrococcus)属菌、サッカロポリスポラ(Saccharopolyspora)属菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属菌、マイクロモノスポラ(Micromonospora)属菌の少なくとも1種以上から選ばれることを特徴とする植物病害の防除方法。 【請求項7】 トリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1株(FERM P-16510)及び/又はトリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−3株(FERM P-17021)と前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及びトリコデルマ アトロビリデSKT−3株以外の植物病害防除効果を有する微生物を含有することを特徴とする植物病害防除用組成物。 【請求項8】 トリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1株(FERM P-16510)及び/又はトリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−3株(FERM P-17021)と前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及びトリコデルマ アトロビリデSKT−3株以外の植物病害防除効果を有しない微生物で前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及び/又はトリコデルマ アトロビリデSKT−3株との共存により、前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及び/又はトリコデルマ アトロビリデSKT−3株の植物病害防除効果を増強する作用を有する微生物とを含有することを特徴とする植物病害防除用組成物。 【請求項9】 さらに界面活性剤を含有する請求項7又は8に記載の植物病害防除用組成物【請求項10】 界面活性剤が陰イオン性界面活性剤である請求項9記載の植物病害防除用組成物【請求項11】 固体農薬製剤である請求項7〜10のいずれか1項に記載の植物病害防除用組成物。 【請求項12】 固体農薬製剤が粉剤、水和剤、粒剤、顆粒水和剤である請求項11記載の植物病害防除用組成物。 【請求項13】 液体農薬製剤である請求項7〜10のいずれか1項に記載の植物病害防除用組成物。 【請求項14】 胞子懸濁液である請求項7〜10のいずれか1項に記載の植物病害防除用組成物。 【請求項15】 トリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1株(FERM P-16510)及び/又はトリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−3株(FERM P-17021)と前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及びトリコデルマ アトロビリデSKT−3株以外の植物病害防除効果を有する微生物を含有することを特徴とする植物病害防除用組成物の製造方法。 【請求項16】 トリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1株(FERM P-16510)及び/又はトリコデルマ アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−3株(FERM P-17021)と前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及びトリコデルマ アトロビリデSKT−3株以外の植物病害防除効果を有しない微生物で前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及び/又はトリコデルマ アトロビリデSKT−3株との共存により、前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及び/又はトリコデルマ アトロビリデSKT−3株の植物病害防除効果を増強する作用を有する微生物とを含有することを特徴とする植物病害防除用組成物の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、植物病害防除に有効な微生物トリコデルマ・アトロビリデSKT−1株(FERM P-16510)及び/又はSKT−1株より誘導した殺菌剤ベノミル高度耐性変異菌であるトリコデルマ・アトロビリデSKT−3株(FERM P-16511)と前記トリコデルマ・アトロビリデSKT−1株及びトリコデルマ・アトロビリデSKT−3株以外の糸状菌、細菌、放線菌等の微生物を混合及び/又は同一栽培期間中の異なる処理時期に分けて使用(以下、体系使用と記す)することによる植物病害の防除方法、植物病害防除用組成物及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】植物病害防除法としては、輪作、太陽熱利用等の耕種的、物理的防除、化学農薬による化学的防除、病害抵抗性品種の利用、更には、天敵、弱毒ウイルス、拮抗微生物等を用いた生物的防除が挙げられる。このうち、化学農薬、特に有機合成殺菌剤の開発研究は目覚ましく発達し、より効力が高く、多数の様々な作用を有する剤が次々と開発され、更には色々な施用法が開発されたことにより、これらを用いた化学的防除法は病害防除並びに防除作業の省力化等に大きく貢献してきた。しかしながら、近年、いわゆる薬剤耐性菌の出現により、防除効果が低下するという現象が一部作物、病害で認められており、問題化してきている。また、作物の指定産地化が進むにつれて連作を余儀なくされ、その結果、化学農薬では難防除とされる土壌伝染性病害の発生も各地で深刻な問題となっている。 【0003】このような背景のもと、近年、化学農薬の使用に偏った防除体系を見直し、化学農薬からより環境への安全性が高いと想定される微生物を利用した微生物農薬も提案され、一部は実用化段階に達しつつある。 【0004】一般的に、微生物農薬は化学農薬と比較して、有効に防除できる病害の範囲が狭く、また防除効果も不安定である場合が多い。また、従来の微生物農薬は、その微生物を単独で植物体あるいは土壌等に処理することにより病害防除効果を発揮するが、2種以上の微生物を混合使用して病害防除に利用するという試み、あるいは2種以上の微生物を体系使用し、病害防除に利用するという試みはなされていない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、環境への安全性が高いと想定される微生物を用いた各種植物病害防除の効果を増強し、防除可能な病害の範囲を拡大することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、植物病害防除に有効な微生物トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1株(FERM P-16510)及び/又はSKT−1株より誘導した殺菌剤ベノミル高度耐性変異菌であるトリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−3株(FERM P-16511)と前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及びトリコデルマ アトロビリデSKT−3株以外の植物病害防除効果を有する微生物を混合使用、若しくは体系使用する植物病害防除方法及び混合使用に用いる植物病害防除用組成物ならびにその製造方法を提供するものである。また、トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及び/又はトリコデルマ アトロビリデSKT−3株と前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1及びトリコデルマ アトロビリデSKT−3以外の植物病害防除効果を有しない微生物で前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及び/又はトリコデルマ アトロビリデSKT−3株との共存により、前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及び/又はトリコデルマ アトロビリデSKT−3株の植物病害防除効果を増強する作用を有する微生物との混合使用を特徴とする植物病害の防除方法及び混合使用に用いる植物病害防除用組成物ならびにその製造方法を提供するものである。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明する。本発明で混合及び/又は体系使用に用いる微生物の例をあげるが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。 【0008】シュウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)属菌、ベンチュリア(Venturia)属菌、エリシフェ(Erysiphe)属菌、ピリキュラリア(Pyricularia)属菌、ボトリチス(Botrytis)属菌、リゾクトニア(Rhizoctonia)属菌、パクシニア(Puccinia)属菌、セプトリア(Septoria)属菌、スクレロティニア(Sclerotinia)属菌、ピシウム(Pythium)属菌、トリコデルマ(Trichoderma)属菌、フザリウム(Fusarium)属菌、リゾプス(Rhizopus)属菌、ムコール(Mucor)属菌、コルチシウム(Corticium)属菌、ホーマ(Phoma)属菌、フィトフィトラ(Phytophthora)属菌、コリオボラス(Cochliobolus)属菌、クラビセプス(Claviceps)属菌、セラトバシジウム(Ceratobasidium)属菌、アスペルギルス(Aspergillus)属菌等の糸状菌類、バークホルデリア(Burkholderia)、クロストリジウム(Clostridium)属菌、バチルス(Bacillus)属菌、シュードモナス(Pseudomonas)属菌、アシドボラクス(Acidovorax)属菌、エンテロバクター(Enterobactor)属菌、セラチア(Serratia)属菌、エルビニア(Erwinia)属菌、アセトバクター(Acetobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、ザンドモナス(Xanthomonas)属菌、グルコノバクター(Gluconobacter)属菌、リゾバクター(Rhizobacter)属菌等の細菌類、クラビバクター(Clavibacter)属菌、アルスロバクター(Arthrobacter)属菌、カルトバクテリウム(Curtobacterium)属菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属菌、ストレプトマイセス(Streptomyces)属菌、マイクロコッカス(Micrococcus)属菌、サッカロポリスポラ(Saccharopolyspora)属菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属菌、マイクロモノスポラ(Micromonospora)属菌等の放線菌類を用いることができる。 【0009】本発明におけるトリコデルマ・アトロビリデSKT−1株、SKT−3株及びトリコデルマ・アトロビリデSKT−1株及びSKT−3株以外の植物病害防除効果を有する微生物、トリコデルマ・アトロビリデSKT−1株及びSKT−3株以外の植物病害防除効果を有しない微生物であって前記トリコデルマ・アトロビリデSKT−1株及び/又はSKT−3株との共存により、前記トリコデルマ・アトロビリデSKT−1株及びSKT−3株の植物病害防除効果を増強する作用を有する微生物を病害防除剤として用いる場合には、各々微生物の胞子又は培養菌体を混合及び/又は体系使用として連続使用して用いても良い。また各々の微生物を担体、界面活性剤、分散剤又は補助剤等を配合して常法により例えば、粉剤、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤などの形態に製剤化したものを混合及び/又は体系使用しても良い。さらに混合使用の場合、予めこれら2種以上の微生物の胞子又は培養菌体を混ぜ合わせ、上記のような方法により製剤化したものを用いても良い。胞子懸濁液は、特別な製剤化を行うことなく、上記フロアブル剤と同様に用いることもできる。 【0010】このように、これらの微生物を製剤化する場合、好適な担体としては、水溶性担体あるいは非水溶性担体を用いることでき、これらを組み合わせて用いることもできる。水溶性担体は、例えば、硫酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の有機または無機酸塩類、クエン酸、コハク酸等の有機酸塩類、ショ糖、ラクトース等の糖類、尿素等を挙げることができる。また、非水溶性担体は一般的に鉱物質微粉末が用いられ、例えばクレー類、炭酸カルシウム、タルク、珪藻土、ベントナイト等を挙げることができる。非水溶性非鉱物質微粉末増量剤としては、ホワイトカーボン等を挙げることができる。これら増量剤の配合割合は、必要に応じて配合できるが、組成物100質量部に対して、1質量部〜99質量部、好ましくは10質量部〜90質量部とすることができる。界面活性剤及び分散剤としては例えばポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテル、ソルビタンモノアルキレート等のノニオン性界面活性剤、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリール燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテル燐酸塩、ポリカルボン酸型高分子活性剤等のアニオン性界面活性剤等、さらにはシリコーン系、フッソ系、石鹸類界面活性剤を挙げることができる。特に、アニオン性界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤の配合割合は、組成物100質量部に対して、通常0.1質量部〜20質量部、好ましくは0.5質量部〜10質量部、更に好ましくは2質量部〜7質量部とすることができる。シリコーン系、フッソ系、石鹸類は、消泡剤としても使用できる。補助剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリオキシエチレングリコール、アラビアゴム、キサンタンガム、グアシードガム、澱粉、乳糖、ショ糖、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの補助剤の配合割合は、組成物100質量部に対して、通常0.01質量部〜10質量部、好ましくは0.1質量部〜5質量部である。 【0011】次に、本発明の防除方法を例示する。まず、地上部に発生する病害の防除に用いる場合は、水等に適宜希釈した後にスプレーヤーにより植物全体に散布することにより、予防的あるいは治療的に効果を発現する。また、種子伝染性病害又は土壌伝染性病害の防除に用いる場合は、胞子、培養菌体又は生菌製剤の場合とも、種子又は根に浸漬、噴霧、塗布あるいは粉衣処理するか、土壌に直接混和するか、水等に懸濁した後に潅注処理することにより、種子あるいは土壌中の病原菌や植物体に作用し、防除効果を発現する。使用量としては、使用する微生物の種類、製剤の剤型、適用方法、適用場所、適用すべき病害の種類、所望の防除効果などに応じて適宜選定されるが、粉剤、粒剤、あるいは水で希釈する製剤の場合は、当該菌の胞子濃度が、1mlあたり102〜1011程度、好ましくは104〜1010の範囲で使用するのが望ましい。 【0012】 【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 【0013】(実施例1:水和剤)トリコデルマ・アトロビリデSKT−1株又はトリコデルマ・アトロビリデSKT−3株を、PDA平板培地で7〜14日間培養して形成させた分生胞子を8質量部、セラチア・マルシセンス(Serratia marcescens)IFO−4002株をPD液体培地で1日間培養した培養液から遠沈と再懸濁を数度繰り返して得た菌体を4質量部、珪藻土40質量部、クレー46質量部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1質量部及びリグニンスルホン酸ナトリウム1質量部を混合乾燥後、粉砕して水和剤とした。 【0014】(実施例2:イネばか苗病防除効果試験)トリコデルマ・アトロビリデSKT−1株又はSKT−3株をPDA培地上で10日間培養し、得られた分生胞子を蒸留水に懸濁し、胞子懸濁液を調製した。また、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)SNF−356株(特開平11-89562)をPD培地で3日間振とう培養したものを適宜希釈し、胞子懸濁液を調製した。またストレプト・バーチシリウム(Strepto verticillium)FERM P-120105株をPD培地で1日間振とう培養したものを適宜希釈し、同様の懸濁液を調製した。これらの菌懸濁液を単独あるいは混合したものに、イネばか苗病罹病籾(品種は短銀坊主、イネ開花期にイネばか苗病菌を噴霧接種)を水温15℃で5日間浸漬した後、菌液を捨て、32℃、湿度100%で1日間保って発芽を促した。この種子を、育苗培土を充填した直径6cmのプラスチックカップに播種し、播種後3日間、30℃の育苗庫内に保ち、更に15〜25℃のガラス温室内で20日間程度管理した後に、全苗について発病の有無を調査し、式1により発病苗率を、また式2により防除価を算出した。1区画当たりの播種量は乾籾3g相当(約90〜100粒)とし、試験は3反復で行なった。結果を表1に示した。 【0015】 【式1】
【0016】 【式2】
【0017】 【表1】
【0018】結果は表1に示す通り、SKT−1株、SKT−3株とSNF−356株、P-120105株との混用により、それぞれの菌株の単独使用に比較して、明らかにイネばか苗病防除効果が高まった。 【0019】(実施例3:イネ苗立枯細菌病防除効果試験)トリコデルマ・アトロビリデSKT−1株又はSKT−3株をPDA培地上で10日間培養し、得られた分生胞子を蒸留水に懸濁し、菌懸濁液を調製した。また、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)SNF−356株を、PD培地で3日間振とう培養したものを適宜希釈し、菌懸濁液を調製した。これらの菌懸濁液を単独あるいは混合したものに、イネ苗立枯細菌病罹病籾(品種は黄金晴、イネ開花期にイネ苗立枯細菌病菌を噴霧接種)を水温15℃で5日間浸漬した(浸漬処理)後、菌液を捨て、32℃、湿度100%で1日間保って発芽を促した。この種子を、育苗培土を充填した直径6cmのプラスチックカップに播種した。また潅注処理では、播種時にこれらの菌液を1カップあたり10mlずつ潅注した。播種後は3日間、30℃の育苗庫内に保ち、更に25〜30℃の湿室内で10日間程度管理した後に、全苗について表2の基準によって発病の程度を調査し、式3により発病度を、更に式4により防除価を算出した。1区画当たりの播種量は乾籾3g相当(約90〜100粒)とし、試験は3反復で行なった。結果を表3に示した【0020】 【表2】
【0021】 【式3】
【0022】 【式4】
【0023】 【表3】
【0024】結果は表3に示す通り、SKT−1株、SKT−3株とSNF−356株との混用あるいは体系使用により、それぞれの菌株の単独使用に比較して、明らかにイネ苗立枯細菌病防除効果が高まった。 【0025】(実施例4:キュウリ灰色かび病防除効果試験)トリコデルマ・アトロビリデSKT−1株又はトリコデルマ・アトロビリデSKT−3株をPDA平板培地上で14日間培養し、得られた分生胞子を蒸留水に懸濁し、胞子懸濁液を調製した。またミクロモノスポラ・カルボナシア(Micromonospora carbonacea)IFO−14108株、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)IFO−3001株をPD培地で1日間振とう培養したものを適宜希釈し、同様の懸濁液を調製した。9cm四方のプラスチック製角鉢で裁培した子葉期のキュウリ苗(品種:相模半白、10茎植え)に、上記の菌懸濁液を単独あるいは混合したものを、1鉢当たり30mlスプレーガンを用いて散布した。風乾後、キュウリ灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の菌糸摩砕懸濁液を噴霧接種し、直ちに20℃の湿室内に入れた。接種2日後に各子葉毎に表4の基準によって発病程度を調査し、式5により発病度を求め、更に無処理区との比から式4により防除価を算出した。試験は3反復で行い、結果を表5に示した。 【0026】 【表4】
【0027】 【式5】
【0028】 【表5】
【0029】結果は表5に示す通り、SKT−1株又はSKT−3株と、IFO−14108株および/またはIFO−3001株との混用により、それぞれの菌株の単独使用に比較して、明らかにキュウリ灰色かび病防除効果が高まった。 【0030】(実施例5:ベントグラス赤焼病防除効果試験)径6cmプラスチックカップに滅菌砂を詰め、ベントグラスの種子をm2当たり8gの割合で播種し、8〜10週間、15〜25℃に温度を保った温室内で裁培したベントグラスを防除効果試験に供試した。裁培期間中の管理としては、播種10日後より7〜10日毎に液肥を適宜潅注し、また、同時期より3〜5日毎に刈込みを行った。このポット裁培したベントグラスに、実施例1で作成したSKT−1株又はSKT−3株、およびIFO−4002株を含む水和剤またはそれら片方の菌株を抜いて作成した水和剤の希釈液を1ポット当たり10ml、スプレーガンを用いて潅注処理した。また処理約6時間後に、ベントグラス罹病茎部より分離したPythium aphanidermatumをベントグラス種子培地(100ml容コルベンにベントグラス種子2gと蒸留水5mlを入れ、滅菌処理した培地)で27℃、7日培養した培養菌体を乳鉢で擦り潰した後、滅菌砂で体積比1:50の割合で希釈したものを接種源として、100cm2当たり10gの割合でベントグラス地際部へすり込むように接種を行った。接種後は30℃に保った湿室内で管理し発病を促した。接種4日後に各ポット毎に表6の基準によって発病程度を調査し、式6により発病度を求め、更に無処理区との比から式4により防除価を算出した。試験は5反復で行い、結果を表7に示した。 【0031】 【表6】
【0032】 【式6】
【0033】 【表7】
【0034】結果は表7に示す通り、SKT−1株又はSKT−3株と、IFO−4002株の混合水和剤を処理することにより、それぞれの菌株の単独水和剤に比較して、明らかにベントグラス赤焼病防除効果が高まった。 【0035】(実施例6 コムギふ枯病防除効果試験)トリコデルマ・アトロビリデSKT−1株又はSKT−3株をPDA培地上で10日間培養し、得られた分生胞子を蒸留水に懸濁し、胞子懸濁液を調製した。またバチルス・セレウス(Bacillus cereus)IFO−3001株をPD培地で1日間振とう培養したものを適宜希釈し、同様の懸濁液を調製した。直径6.0cmのプラスチックポット各々にコムギ種子(品種:農林61号)を10粒づつ播種し、温室内で育成して第2葉が展開したものに、上記の菌懸濁液を単独あるいは混合したものを1ポット当たり10ml散布した。風乾後、コムギふ枯病菌(Septoria nodorum)の柄胞子を接種し、温室内で管理した。接種10日後に第1葉の発病面積を調査し、式5により発病度を求め、更に無処理区との比から式4により防除価を算出した。試験は3反復で行い、結果を表9に示した。 【0036】 【表8】
【0037】 【表9】
【0038】結果は表9に示す通り、SKT−1株、SKT−3株が比較的高濃度の処理でも高い防除価が得られなかったコムギふ枯病に対しても、これらの菌株と、IFO−3001株を混用することにより、それぞれの菌株の単独使用に比較して、明らかにコムギふ枯病防除効果が高まった。 【0039】 【発明の効果】本発明によるトリコデルマ・アトロビリデSKT−1株、SKT−3株と前記トリコデルマ アトロビリデSKT−1株及びトリコデルマ アトロビリデSKT−3株以外の植物病害防除効果を有する微生物を混用及び/又は連続処理することを特徴とする植物病害の防除方法は、植物に茎葉処理、植物種子又は植物根に浸漬又は粉衣処理、更には土壌に潅注又は混和処理することにより、各種作物病害に対して高い防除効果が期待できる。また、防除効果を発揮する病害の範囲が拡大でき、農業生産上有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000169 【氏名又は名称】クミアイ化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年1月10日(2002.1.10) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−206212(P2003−206212A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月22日(2003.7.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−3013(P2002−3013) |
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