| 【発明の名称】 |
抗菌剤及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】槇田 洋二
【氏名】猪飼 修
【氏名】大井 健太
【氏名】田谷 正仁
【氏名】西岡 求
【氏名】内田 眞志
【氏名】栗原 靖夫
【氏名】大久保 彰
【氏名】橋本 望
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| 【要約】 |
【課題】従来の抗菌剤と比較して、光、熱、塩分に対して安定な抗菌剤及びその製造方法の提供。
【解決手段】銀、銅及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属又は金属イオンを担持した、(A)イノ珪酸塩化合物(例えばスポジュメン、ユークリプタイト)、(B)ネソ珪酸塩化合物及び(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物(例えばペタライト、正長石、曹長石)からなる群から選択される少なくとも1種の珪酸塩化合物を有効成分とする抗菌剤及びその製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】銀、銅及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属又は金属イオンを担持した、(A)イノ珪酸塩化合物、(B)ネソ珪酸塩化合物及び(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物からなる群から選択される少なくとも1種の珪酸塩化合物を有効成分とする抗菌剤。 【請求項2】珪酸塩化合物がスポジュメン(Spodumene)である請求項1記載の抗菌剤。 【請求項3】珪酸塩化合物がユークリプタイト(Eucryptite)である請求項1記載の抗菌剤。 【請求項4】珪酸塩化合物がペタライト(Petalite)である請求項1記載の抗菌剤。 【請求項5】珪酸塩化合物が正長石(Orthoclase)である請求項1記載の抗菌剤。 【請求項6】珪酸塩化合物が曹長石(Albite)である請求項1記載の抗菌剤。 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の化合物とリン酸カルシウム類を含有する複合抗菌剤。 【請求項8】(A)イノ珪酸塩化合物、(B)ネソ珪酸塩化合物及び(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物からなる群から選択される少なくとも1種の珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を、銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンで置換することを特徴とする、抗菌剤の製造方法。 【請求項9】(A)イノ珪酸塩化合物、(B)ネソ珪酸塩化合物及び(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物からなる群から選択される少なくとも1種の珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を水素イオンで置換し、次いで該珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部或いは水素イオンの一部又は全部を銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンで置換することを特徴とする、抗菌剤の製造方法。 【請求項10】(A)イノ珪酸塩化合物、(B)ネソ珪酸塩化合物及び(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物からなる群から選択される少なくとも1種の珪酸塩化合物に、以下の(1)及び(2)の工程:(1)珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を水素イオンで置換する工程及び(2)珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を、銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンで置換する工程を同時に行うことによって、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を、銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンで置換することを特徴とする、抗菌剤の製造方法。 【請求項11】珪酸塩化合物がスポジュメン(Spodumene)である請求項8〜10のいずれかに記載の抗菌剤の製造方法。 【請求項12】珪酸塩化合物がユークリプタイト(Eucryptite)である請求項8〜10のいずれかに記載の抗菌剤の製造方法。 【請求項13】珪酸塩化合物がペタライト(Petalite)である請求項8〜10のいずれかに記載の抗菌剤の製造方法。 【請求項14】珪酸塩化合物が正長石(Orthoclase)である請求項8〜10のいずれかに記載の抗菌剤の製造方法。 【請求項15】珪酸塩化合物が曹長石(Albite)である請求項8〜10のいずれかに記載の抗菌剤の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌剤及びその製造方法に関し、更に詳しくは光、熱、塩分等に対して安定性が高く、耐薬品性に優れた抗菌剤及びその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、抗菌性金属である銀、銅、亜鉛等を含有するゼオライト、リン酸ジルコニウム、アパタイト等が開発・使用されてきた。しかしながら、これら抗菌剤は、含有する銀、銅、亜鉛等を保持する性能が充分ではなく、光、熱、塩分等が共存すると抗菌効果や諸物性が低下する問題があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】抗菌剤を使用する環境中で、光、熱、塩分等が共存した場合にも安定した効果を発揮できる抗菌剤が要望される。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題について鋭意研究した結果、銀、銅及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属又は金属イオンを含有するスポジュメン(Spodumene)、ユークリプタイト(Eucryptite)などのイノ珪酸塩化合物、クリソライト(Chrysolite)、かんらん石(Olivine)などのネソ珪酸塩化合物、ペタライト(Petalite)、正長石(Orthoclase)、曹長石(Albite)などの沸石類を除くテクト珪酸塩化合物を有効成分とする抗菌剤が光、熱、塩分等に対して極めて安定であることを見出し、本発明を完成した。 【0005】即ち本発明は、以下の抗菌剤及びその製造方法を提供するものである。 【0006】項1.銀、銅及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属又は金属イオンを担持した、(A)イノ珪酸塩化合物、(B)ネソ珪酸塩化合物及び(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物からなる群から選択される少なくとも1種の珪酸塩化合物を有効成分とする抗菌剤。 【0007】項2.珪酸塩化合物がスポジュメン(Spodumene)である項1記載の抗菌剤。 【0008】項3.珪酸塩化合物がユークリプタイト(Eucryptite)である項1記載の抗菌剤。 【0009】項4.珪酸塩化合物がペタライト(Petalite)である項1記載の抗菌剤。 【0010】項5.珪酸塩化合物が正長石(Orthoclase)である項1記載の抗菌剤。 【0011】項6.珪酸塩化合物が曹長石(Albite)である項1記載の抗菌剤。 【0012】項7.項1〜6のいずれかに記載の化合物とリン酸カルシウム類を含有する複合抗菌剤。 【0013】項8.(A)イノ珪酸塩化合物、(B)ネソ珪酸塩化合物及び(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物からなる群から選択される少なくとも1種の珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を、銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンで置換することを特徴とする、抗菌剤の製造方法。 【0014】項9.(A)イノ珪酸塩化合物、(B)ネソ珪酸塩化合物及び(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物からなる群から選択される少なくとも1種の珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を水素イオンで置換し、次いで該珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部或いは水素イオンの一部又は全部を銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンで置換することを特徴とする、抗菌剤の製造方法。 【0015】項10.(A)イノ珪酸塩化合物、(B)ネソ珪酸塩化合物及び(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物からなる群から選択される少なくとも1種の珪酸塩化合物に、以下の(1)及び(2)の工程:(1)珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を水素イオンで置換する工程及び(2)珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を、銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンで置換する工程を同時に行うことによって、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を、銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンで置換することを特徴とする、抗菌剤の製造方法。 【0016】項11.珪酸塩化合物がスポジュメン(Spodumene)である項8〜10のいずれかに記載の抗菌剤の製造方法。 【0017】項12.珪酸塩化合物がユークリプタイト(Eucryptite)である項8〜10のいずれかに記載の抗菌剤の製造方法。 【0018】項13.珪酸塩化合物がペタライト(Petalite)である項8〜10のいずれかに記載の抗菌剤の製造方法。 【0019】項14.珪酸塩化合物が正長石(Orthoclase)である項8〜10のいずれかに記載の抗菌剤の製造方法。 【0020】項15.珪酸塩化合物が曹長石(Albite)である項8〜10のいずれかに記載の抗菌剤の製造方法。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。 本発明抗菌剤本発明において、イノ珪酸塩化合物は、構成するSiO4四面体が2個のOを共有した鎖状構造をしている。ネソ珪酸塩化合物は、独立したSiO4四面体が珪酸イオンを有する構造をしている。テクト珪酸塩化合物は、構成するSiO4四面体の4個のOをすべて共有した三次元網目構造をしている。テクト珪酸塩化合物のうち、沸石類は骨格構造の規則性が担持されたイオン種の影響を受け、骨格構造の安定性が比較的低い。これに対し、イノ珪酸塩化合物、ネソ珪酸塩化合物、沸石類を除くテクト珪酸塩化合物は、銀、銅、亜鉛を担持した状態での構造安定性が極めて高く、これは本発明者らによって見出された。この高い安定性から銀、銅、亜鉛を含有する抗菌剤に使用する無機担体としてこれら珪酸塩化合物が有用である。 【0022】本発明において、(A)イノ珪酸塩化合物としては、例えばスポジュメン(Spodumene)、ユークリプタイト(Eucryptite)、エンスタタイト(Enstatite)、紫鮮輝石(Hypersthene)、フェロシライト(Ferosilite)、透輝石(Diopside)、ヘデンベルグ石(Hedenbergite)、ピジオン輝石(Pigeonite)、エジル輝石(Aegirine)、ヒスイ輝石(Jadeite)、直閃石(Anthophyllite)、カミングトン石(Cummingtonite)、透緑閃石(Actinolite)、藍閃石(Glaucophane)、リーベック閃石(Riebeckite)等を使用することができる。好ましいイノ珪酸塩化合物は、スポジュメン、ユークリプタイト等である。 【0023】本発明において、(B)ネソ珪酸塩化合物としては、例えば、かんらん石(Olivine)、クリソライト(Chrysolite)、ハイアロシデライト(Hyalosiderite)、ホートノライト(Hortonolite)、フェロホートノライト(Ferrohortonolite)等を使用することができる。好ましいネソ珪酸塩化合物は、かんらん石、クリソライト等である。 【0024】本発明において、(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物としては、例えば正長石(Orthoclase)、曹長石(Albite)、微斜長石(Microcline)、斜長石(Plagioclase)、サニディン(Sanidine)、アノルソクレース(Anorthoclase)、ペタライト(Petalite)、カスミ石(Nepheline)、カルシライト(Kalsilite)、白リュウ石(Leucite)等を使用することができる。好ましいテクト珪酸塩化合物は、ペタライト、正長石、曹長石等である。 【0025】なお、沸石類とは、三次元網目構造を有するテクト珪酸塩を意味し、例えばホウフッ石(Analcite)、リョウフッ石(Chabazite)、ソーダフッ石(Natrolite)、ジュウジフッ石(Phillipsite)、モルデンフッ石(Mordenite)等のゼオライトやホウソーダ石(Sodalite)、カンクリン石(Cancrinite)等をいう。 【0026】上記の珪酸塩化合物は、合成品、天然品(鉱産品)のいずれも使用可能である。合成する場合には、例えば、アルカリ炭酸塩(リチウム炭酸塩、カリウム炭酸塩、ナトリウム炭酸塩等)、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素を化学量論で混合し、500〜1200℃で焼成することによって、珪酸塩化合物を調製する。 【0027】本発明の抗菌剤は、上記の珪酸塩化合物に銀、銅及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属又は金属イオンを担持させた化合物である。ここで担持とは、上記の珪酸塩化合物が前記の金属又は金属イオンを含有する限り特に制限されない。また、前記の金属又は金属イオンに加えて他の金属又は金属イオンを含有するものも、前記の金属又は金属イオンによる抗菌作用が発揮される限り本発明の抗菌剤に包含される。 【0028】本発明の抗菌剤に含有される銀、銅、亜鉛の含有量は、抗菌作用が発揮される限り特に制限されないが、好ましくは、銀が0.01〜4.0mmol/g、銅及び亜鉛が0.1〜7.0mmol/gである。 【0029】本発明の抗菌剤は、放線菌、ウイルス、リケッチア、クラミディア、細菌、真菌(カビ)、酵母等の微生物に対して有効である。従って、本発明の抗菌剤は、抗細菌剤、抗真菌(カビ)剤、抗ウイルス剤等としての用途を包含する。本発明の抗菌剤の適用対象となる微生物としては、例えば、大腸菌、緑膿菌、サルモネラ、肺炎かん菌、黄色ブドウ球菌、ミクロコッカス、MRSA、コリネバクテリウム、枯草菌などの細菌、T型ファージ、λファージ、インフルエンザウイルス、HIV、狂犬病ウイルス、ヘルペスウイルス、黄熱ウイルス、ポリオウイルス、タバコモザイクウイルス、ポックスウイルスなどのウイルス、黒カビ(クラドスポリウム)、黒こうじカビ(アスペルギルス)、ケタマカビ(ケトミウム)、青カビ(ペニシリウム)、クモノスカビ(リゾープス)、アカカビ(フザリウム)、ススカビ(アルタナリア)、ツチアオカビ(グリオクラジウム)、黒色酵母様菌(オーレオパシディウム)などのカビが挙げられる。 【0030】本発明の抗菌剤は、抗ウイルス作用を示す。溶媒で溶解したセルロースと本発明の抗菌剤を混合して得られる懸濁液を遠心分離し、乾燥して抗菌剤含有セルロース成型体を得ることができる。本発明者らは、大腸菌を培養した寒天培地にバクテリオファージを添加し、培地上にこの成型体を置くと、バクテリオファージの繁殖を示すプラーク数が低下する現象を確認している。このことから本発明の抗菌剤はウイルスを不活性化する作用を有することが示されている。 【0031】本発明の複合抗菌剤は、銀、銅及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属又は金属イオンを、(A)イノ珪酸塩化合物、(B)ネソ珪酸塩化合物及び(C)沸石類を除くテクト珪酸塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種に担持して得られる化合物と、リン酸カルシウム類を含有する。 【0032】リン酸カルシウム類には抗菌作用はないが、微生物に対する親和性が高いため、銀、銅、亜鉛などを担持した珪酸塩化合物とリン酸カルシウム類とを配合することによって、両者の相互作用で抗菌効果を向上させる作用がある。このため、抗菌効果を低下させずに銀、銅、亜鉛などを担持した珪酸塩化合物の使用量を低減させることも可能である。ここで配合されるリン酸カルシウム類としては、リン酸とカルシウムをともに含む化合物であればいずれも使用できる。例えば、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)、第3リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、第2リン酸カルシウム(CaHPO4)、オクタカルシウムホスフェート(Ca8H2(PO4)6)、テトラカルシウムホスフェート(Ca4(PO4)2O)等を挙げることができる。 【0033】また、本発明の複合抗菌剤は、リン酸カルシウム類を酸に溶解した酸性水溶液やリン酸塩とカルシウム塩の各水溶液の混合溶液と、銀、銅、亜鉛を担持した珪酸塩化合物を懸濁させたアルカリ性水溶液とを同時に水中に滴下する方法で調製することができる。 【0034】リン酸カルシウム類を溶解する酸としては、塩酸や硝酸を挙げることができる。また、銀、銅、亜鉛を担持した珪酸塩化合物を懸濁するアルカリ性水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の水溶液を挙げることができる。 【0035】本発明の複合抗菌剤における抗菌性金属(銀、銅、亜鉛)を珪酸塩化合物に担持して得られる化合物の配合量は0.05〜30重量%、好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。 【0036】また、本発明の複合抗菌剤は、再生利用することが可能である。再生利用の一つの方法としては、細菌死滅後の複合抗菌剤を、細菌脱着液として単成分あるいは二成分以上のリン酸塩混合液で処理することにより、複合抗菌剤表面から死滅した細菌を脱離させ、複合抗菌剤を再生利用する方法である。細菌脱着液としては、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等のリン酸塩水溶液を用いることができ、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウムが好適である。細菌脱着液のリン酸イオン濃度は、PO43-イオンとして1mol/m3から各リン酸塩類の飽和濃度までの範囲で用いることができるが、好ましくは5mol/m3以上のリン酸イオン濃度である。再生利用する第二の方法としては、複合抗菌剤を焼成する方法である。細菌死滅後の複合抗菌剤を400〜800℃で加熱処理することで、複合抗菌剤表面に付着した細菌を燃焼し、複合抗菌剤の再生利用が可能となる。 【0037】本発明の抗菌剤、複合抗菌剤は、天然樹脂、半合成樹脂、合成樹脂等に添加して、種々の形状(フィルム、繊維、板、容器、袋、粒状物等)に成形することができる。使用できる樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、レーヨン、エラストマー類、ゴム類、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース、アミノデオキシセルロース、ジエチルアミノエチルセルロース、クロロデオキシセルロース等を挙げることができる。 【0038】本発明の抗菌剤、複合抗菌剤は、種々の分野で利用することができる。例えば、浄水器、冷却塔等の水処理関係、食品包装材、医療用具、家電機器部品等の樹脂成型品関係、船底塗料、防藻塗料、食品工場塗装等の塗料・コーティング関係のほか抗細菌作用、抗真菌(カビ)作用、抗ウイルス作用を利用する分野を挙げることができる。 本発明製造方法本発明の抗菌剤を製造する方法は特に制限されないが、例えば次のような方法で製造することができる。 【0039】方法(1)前記の(A)〜(C)の珪酸塩化合物に、抗菌性金属イオン(銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種)を含有する水溶液を接触させ、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を抗菌性金属イオンで置換する方法。 【0040】方法(2)前記の(A)〜(C)の珪酸塩化合物に、酸溶液を接触させ、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を水素イオンで置換し、次いで抗菌性金属イオンを含有する水溶液を接触させ、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部或いは水素イオンの一部又は全部を抗菌性金属イオンで置換する方法。 【0041】方法(3)前記の(A)〜(C)の珪酸塩化合物に、酸溶液と抗菌性金属イオンを含有する水溶液との混合液を接触させ、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部を抗菌性金属イオンで置換する方法。 【0042】方法(4)前記の(A)〜(C)の珪酸塩化合物に、アンモニウムイオン含有イオン又は有機イオン含有溶液を接触させ、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部をアンモニウムイオン又は有機イオンで置換し、次いで熱を加えることによってアンモニウムイオン又は有機イオンを水素イオンに置換し、次いで抗菌性金属イオンを含有する水溶液を接触させ、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンの一部又は全部或いは水素イオンの一部又は全部を抗菌性金属イオンで置換する方法。 【0043】銀イオンを含有する水溶液としては、例えば硝酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、ジアンミン銀硝酸塩、チオ硫酸銀等の水溶液を用いることができる。好ましくは、硝酸銀、過塩素酸銀である。銀イオン含有水溶液中の銀イオン濃度は、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオン又は水素イオンを銀イオンで置換できる限り特に制限されない。 【0044】銅イオンを含有する水溶液としては、例えば硝酸銅、硫酸銅、過塩素酸銅、酢酸銅、テトラシアノ銅酸カリウム等の水溶液を用いることができる。好ましくは、硝酸銅、硫酸銅である。銅イオン含有水溶液中の銅イオン濃度は、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオン又は水素イオンを銅イオンで置換できる限り特に制限されない。 【0045】亜鉛イオンを含有する水溶液としては、例えば硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、酢酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛等の水溶液を用いることができる。好ましくは、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛である。亜鉛イオン含有水溶液中の亜鉛イオン濃度は、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオン又は水素イオンを銅イオンで置換できる限り特に制限されない。 【0046】前記酸溶液としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、リン酸等の水溶液を用いることができる。酸溶液の酸濃度は、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンを水素イオンで置換できる限り特に制限されない。 【0047】前記アンモニウムイオン含有溶液としては、例えば硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の水溶液を用いることができる。アンモニウムイオン含有溶液中のアンモニウムイオン濃度は、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンをアンモニウムイオンで置換できる限り特に制限されない。 【0048】前記有機イオン含有溶液としては、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の水溶液を用いることができる。有機イオン含有溶液中の有機イオン濃度は、珪酸塩化合物のアルカリ金属イオンを有機イオンで置換できる限り特に制限されない。 【0049】珪酸塩化合物を上記の水溶液又は溶液と接触させる際には、大気圧下又は加圧下にて行うことができる。また、その際の上記の水溶液又は溶液の濃度は、0.001〜5N、好ましくは0.05〜3Nである。反応温度は適宜選択されるが、例えば5〜300℃、好ましくは25〜200℃である。反応時間は適宜選択されるが、例えば2〜48時間、好ましくは10〜24時間である。 【0050】 【発明の効果】本発明の抗菌剤は、従来の抗菌剤と比較して、光、熱、塩分に対して安定である。このため、従来の抗菌剤が使用されていた分野に加え、光、熱、塩分によって従来の抗菌剤が使用されていなかった分野においても優れた抗菌剤として使用することができる。 【0051】 【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 【0052】実施例1アルカリ炭酸塩(アルカリ:リチウム、カリウム、ナトリウム)、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素を表1に示す原料配合比となるように混合した。これを500℃で1時間、1200℃で5時間焼成した後放冷した。粉砕した試料をX戦回析により分析したところ、表1に示す結晶構造を示した。この試料を無機担体粉末とした。 【0053】 【表1】
【0054】表2に示す所定の無機担体粉末1.0kgに所定濃度の抗菌金属溶液30Lを加え、所定温度にて24時間撹拌した。生成した沈殿をろ過、水洗、乾燥し、表2に示す実施例1−1〜1−8の抗菌剤サンプルを得た。各サンプルの調製条件及び抗菌金属含有量を表2に示す。なお、比較品として、表2に示す抗菌性ゼオライト及び抗菌性リン酸ジルコニウムも同様に調製した。その調製条件及び抗菌金属含有量を表2に示す。 【0055】 【表2】
【0056】実施例2実施例1で得た無機担体粉末1.0kgに、表3に示す所定濃度の酸溶液30Lを加え所定温度にて24時間撹拌した。その後、所定濃度の抗菌金属溶液30Lを加え、所定温度にて24時間撹拌した。生成した沈殿をろ過、水洗、乾燥し、表3に示す実施例2−1〜2−6の抗菌剤サンプルを得た。各サンプルの調製条件及び抗菌金属含有量を表3に示す。 【0057】 【表3】
【0058】実施例3実施例1で得た無機担体粉末1.0kgに、表4に示す所定濃度の酸溶液と抗菌金属溶液の混合溶液30Lを加え、所定温度にて24時間撹拌した。生成した沈殿をろ過、水洗、乾燥し、表4に示す実施例3−1〜3−3の抗菌剤サンプルを得た。各サンプルの調製条件及び抗菌金属含有量を表4に示す。 【0059】 【表4】
【0060】試験例1(抗菌性評価試験) 実施例1〜3で得られた抗菌剤サンプルについて以下の処理を行った。処理前後の各サンプルについて、日本化学療法学会法による最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。測定した結果を表5に示す。 処理1:光照射処理粉末サンプルに対して20W紫外線ランプ2本をサンプルから20cmの位置に設置し、500時間照射した。 処理2:加熱処理粉末サンプルを270℃で500時間加熱処理した。 処理3:塩水処理粉末サンプル1gを人工海水1リットルに加え、室温で50時間浸漬処理した後、ろ過した。ろ別した固相を100℃にて乾燥した。 【0061】 【表5】
【0062】表5に示されるように本発明の抗菌剤は、上記3処理による抗菌性の低下を示さず、安定である。これに対し、比較例のゼオライト、リン酸ジルコニウム型抗菌剤は、上記3処理によって抗菌性が大きく低下した。 【0063】試験例2(変色性評価試験) 試験例1で処理した各サンプルについて、処理前後の変色性をL*−a*−b*表色系の各色値を測定し、その差異ΔEを算出した。結果を表6に示す。 【0064】 【表6】
【0065】本発明の抗菌剤は、上記3処理による変色が、比較例と比べて極めて小さく、安定である。 【0066】実施例4本発明の複合抗菌剤は、具体的には次の方法にて容易に調製することができる。リン酸カルシウム類化合物として、ハイドロキシアパタイト(富田製薬(株)製商品名:HA−300BP;CaPと略す)22.5gを2N−HCl 0.2Lに溶解し、CaP溶解液を調整する。続いて、0.5L−ステンレス容器にイオン交換水0.1Lを準備し、実施例2で得られた抗菌剤(No.2−2:銀含有率1.36mmol/g)6.0gを添加し、抗菌剤懸濁液を調整する。抗菌剤懸濁液中に、先に調整したCaP溶解液及び5N−KOH水溶液を、定量ポンプを用いてイオン交換水中に滴下した。この際、滴下時における反応系内pH値を常にpH7.0〜8.0となるようにCaP溶解液及びKOH水溶液の滴下速度を調整する。滴下と同時に複合抗菌剤の白色沈殿物の生成が認められた。生成した白色沈殿物をろ過(ろ紙No.2使用)し、イオン交換水5Lで水洗、80℃で24時間乾燥、粉砕することにより、目的とする複合抗菌剤(銀含有率3wt%)を得た。 【0067】実施例5複合抗菌剤の再生方法は、以下の手順にて実施することができる。 【0068】直径5mmのガラスカラムにろ材としてガラスウ−ルを詰め、その上に複合抗菌剤140mgを充填し、大腸菌濃度として1×1013cells/m3に調整した0.9wt%−NaCl水溶液35cm3をローディングする。各時間毎に溶出液の生細胞数と全細胞数を測定し、複合抗菌剤による大腸菌吸着が飽和に達した時点において、pH6に調整した30mM−NaH2PO4/Na2HPO4緩衝溶液25mlをカラムに添加して、複合抗菌剤に吸着された大腸菌の溶出を実施する。大腸菌溶出後、再度、大腸菌含有NaCl水溶液をロ−ディングする。このように大腸菌吸着、殺菌、大腸菌溶出のサイクルを繰り返すことにより、複合抗菌剤を再利用することができる。 【0069】なお全細胞数は、位相差用血球計算盤を用いて光学顕微鏡で細胞数を測定し、生細胞数の測定は、次の方法にて測定を行う。 【0070】生細胞数の測定:試料液0.1cm3を採取し、9.0kg/m3−NaCl水溶液を用いて所定の濃度に希釈した。この希釈液0.1cm3をNutrient Broth寒天培地上に塗布した。続いて寒天培地を恒温室にて37℃で24時間培養し、形成されたコロニー数を測定することにより、生細胞数を算出する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】301021533 【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所 【識別番号】391031764 【氏名又は名称】株式会社シナネンゼオミック 【識別番号】000237972 【氏名又は名称】富田製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年11月5日(2002.11.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065215 【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二
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| 【公開番号】 |
特開2003−206210(P2003−206210A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月22日(2003.7.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−321131(P2002−321131) |
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