トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 塗料用抗菌剤
【発明者】 【氏名】皆木 正司
【住所又は居所】京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋化成工業株式会社内

【氏名】篠田 克巳
【住所又は居所】京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋化成工業株式会社内

【要約】 【課題】従来の塗料用抗菌剤よりも抗菌性および防カビ性ならびに耐熱性に優れ、屋外暴露時に塗膜から溶出しにくい塗料用抗菌剤、該抗菌剤を含む塗料組成物、及び塗装物を提供する。

【解決手段】一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩からなる塗料用抗菌剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩(A)からなることを特徴とする塗料用抗菌剤。
1234+・X- (1)
(式中、R1およびR2は同一の又は異なる、炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基、R3は炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基又は炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、R4は炭素数が8〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、X-は超強酸のアニオンを表す。)
【請求項2】 (A)の重量に基づく遊離ハロゲン含量が100ppm以下である請求項1記載の抗菌剤。
【請求項3】 超強酸のHammett酸度関数(H0)が−12.00以下である請求項1または2記載の抗菌剤。
【請求項4】 超強酸がプロトン酸とルイス酸との組み合わせからなる超強酸である請求項1〜3いずれか記載の抗菌剤。
【請求項5】 (A)の水性分散体からなる請求項1〜4いずれか記載の抗菌剤。
【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載の抗菌剤を塗料に含有させてなる抗菌性塗料組成物。
【請求項7】 塗料が水性塗料である請求項6記載の組成物。
【請求項8】 塗料がアニオン樹脂をビヒクルとする塗料である請求項6または7記載の組成物。
【請求項9】 さらに、顔料、顔料分散剤、増粘剤、溶剤、凍結防止剤、消泡剤、造膜助剤、皮張防止剤、難燃剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種以上の添加剤を含有させてなる請求項6〜8いずれか記載の組成物。
【請求項10】 請求項6〜9いずれか記載の組成物を基材に塗布してなる塗装物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗料用抗菌剤に関する。さらに詳しくは、耐熱性、耐水性に優れ、該抗菌剤を含有する塗料組成物の配合安定性に優れる塗料用抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、衛生上のニーズ等から、塗料に抗菌剤を添加して抗菌性を付与することが行われてきた。添加する抗菌剤としては、無機系の抗菌剤〔(銀、銅、亜鉛またはそれらの化合物(特許文献−1参照)、金属錯体(特許文献−2参照)〕や、有機系の抗菌剤〔非イオン系抗菌剤、たとえば2−(4’−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、10,10’−オキシビスフェノキシアルシン(特許文献−3参照)、カチオン系抗菌剤[塩化ジメチルジデシルアンモニウム(特許文献−4参照)など]〕が知られている。
【0003】
【特許文献−1】特開昭63−221175号公報【特許文献−2】特開平10−316899号公報【特許文献−3】特開平11−315227号公報【特許文献−4】特開昭63−264502号公報【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの抗菌剤は抗菌性および防カビ性が弱く塗工後にカビがはえることが多く、また屋外に暴露すると抗菌剤成分が塗膜から溶出し、抗菌性が低下したり庭木等の植物や海洋生物への影響があるという問題があった。本発明の目的は、従来の塗料用抗菌剤よりも抗菌性および防カビ性ならびに耐熱性に優れ、屋外暴露時に塗膜から溶出しにくい塗料用抗菌剤を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩(A)からなることを特徴とする塗料用抗菌剤;該抗菌剤を塗料に含有させてなる抗菌性塗料組成物;並びに、該組成物を基材に塗布してなる塗装物である。
1234+・X- (1)
式中、R1およびR2は同一の又は異なる、炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基、R3は炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基又は炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、R4は炭素数が8〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、X-は超強酸のアニオンを表す。
【0006】
【発明の実施の形態】一般式(1)におけるR1およびR2は炭素数1〜22(好ましくは1〜14)の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基など)を表す。直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油由来のアルコールから水酸基を除いたアルキル基(以下、ヤシ油アルキル基と略記する。)、オレイル基などが挙げられ、分岐の炭化水素基としては、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、好ましいのは炭素数1〜14、さらに炭素数1〜8、特に炭素数1または2、最も好ましくはメチル基である。また、R1とR2 は同一であっても異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
【0007】R3は炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基または炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基を表す。直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基としては、前記例示したものが挙げられ、アリールアルキル基としてはベンジル基、フェネチル基など、アリールアルケニル基としてはスチリル基、シンナミル基などが挙げられる。R3のうち好ましくは炭素数が1〜18の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基または炭素数が7〜15のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、さらに好ましくは炭素数が6〜14の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0008】R4は炭素数8〜22の直鎖また分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基など)を表す。直鎖の脂肪族炭化水素基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油アルキル基、オレイル基などが挙げられ、分岐の脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。R4のうち好ましくは炭素数8〜18の直鎖また分岐の脂肪族炭化水素基、さらに好ましくは炭素数10〜16の直鎖また分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0009】一般式(1)におけるR1234+で表される第4級アンモニウム基の具体例としては、R3が脂肪族炭化水素基の場合は、たとえば、1つの長鎖アルキル基を有するもの(トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルヤシ油アルキルアンモニウム、トリメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルエチルドデシルアンモニウム、ジメチルエチルテトラデシルアンモニウム、ジメチルエチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルエチルオクタデシルアンモニウム、ジメチルエチルヤシ油アルキルアンモニウム、ジメチルエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、メチルジエチルドデシルアンモニウム、メチルジエチルテトラデシルアンモニウム、メチルジエチルヘキサデシルアンモニウム、メチルジエチルオクタデシルアンモニウム、メチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウムおよびメチルジエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、)、1つの長鎖アルケニル基を有するもの(トリメチルオレイルアンモニウム、ジメチルエチルオレイルアンモニウムおよびメチルジエチルオレイルアンモニウム)、2つの長鎖アルキル基を有するもの(ジメチルジヘキシルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウムおよびジメチルジドデシルアンモニウム)が挙げられる。また、R3 がアリールアルキル基の場合は、たとえば、ジメチルデシルベンジルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウムおよびジメチル−2−エチルヘキシルベンジルアンモニウムが挙げられる。このうち抗菌性の観点から好ましいのは、ジメチルジデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムである。
【0010】一般式(1)においてX-で表されるアニオンを構成する超強酸は、100%硫酸より強い酸強度を有する酸(「超強酸・超強塩基」田部浩三、野依良治著、講談社サイエンティフィック刊、p1参照)であり、Hammettの酸度関数(H0)が100%硫酸の−11.93以下のものであり、プロトン酸、およびプロトン酸/ルイス酸の組み合わせからなる酸が挙げられる。プロトン酸の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(H0=−14.10)、ペンタフルオロエタンスルホン酸(H0=−14.00)などが挙げられる。プロトン酸/ルイス酸の組み合わせに用いられるプロトン酸としては、ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素など)が挙げられ、ルイス酸としては三フッ化硼素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化砒素、五フッ化タウリンなどが挙げられる。プロトン酸/ルイス酸の組み合わせは任意であるが、組み合わせて得られる超強酸の具体例としては、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸、六フッ化タウリンなどが挙げられる。上記の超強酸のうち、抗菌剤の耐熱性および該抗菌剤を配合してなる塗料組成物の配合時の安定性の観点から、好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸である。
【0011】第4級アンモニウム塩(A)としては、上記第4級アンモニウム基と上記超強酸で構成されるアニオンX-との任意の組み合わせのものが挙げられる。(A)のうち、抗菌性および防カビ性ならびに耐熱性と耐水性の観点から好ましいのは、ジメチルジデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウムおよびジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムなどの第4級アンモニウム基とトリフルオロメタンスルホン酸、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸などのHammett酸度関数(H0)が−12.00以下の超強酸との組み合わせである。
【0012】本発明の塗料用抗菌剤においては、これらの第4級アンモニウム塩(A)は1種類を用いてもよいし、2種以上の併用でもよい。2種以上の併用の場合は、ジデシルジメチルアンモニウム四フッ化硼素酸塩とジメチルテトラデシルベンジルアンモニウム四フッ化硼素酸塩の併用が好ましく、その場合の併用の重量比率は好ましくは50/50〜90/10である。
【0013】本発明における第4級アンモニウム塩(A)の重量に基づく遊離ハロゲン含量(測定法:イオンクロマトグラフィー)は、塗料組成物を塗布してなる塗膜の耐水性の観点から、好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは0〜50ppm、とくに好ましくは0〜10ppmである。
【0014】第4級アンモニウム塩(A)の製造方法としては限定はなく公知の方法でよいが、遊離ハロゲン含量の観点から好ましいのは下記の[I]および[II]の方法、操作上の観点からさらに好ましいのは[II]である。
【0015】[I] 第4級アンモニウム塩〔例えば、一般式(1)における第4級アンモニウム基とハロゲンアニオンからなる塩〕の水溶液(20〜70重量%)に前記超強酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩またはカリウム塩など)を加え(第4級アンモニウム塩/超強酸塩の当量比は通常1/1〜1/1.5、好ましくは1/1.05〜1/1.3)、室温で約2時間撹拌混合して得られる水溶液(イ)を下記(i)および(ii)の工程で精製する。
(i):(イ)に金属銀、酸化銀、炭酸銀および有機酸〔総炭素数1〜10のカルボン酸(モノ−およびポリカルボン酸)など〕銀から選ばれる1種以上の化合物(ロ)を、上記第4級アンモニウム塩〔一般式(1)におけるアンモニウム基とハロゲンアニオンからなる塩〕に対し1.1〜1.5当量となる量加えて混合する。析出する塩(ハロゲン化銀)と下層(水層)を分液除去し、さらに上層中の水分を減圧留去した後、析出する塩(アルカリ金属塩および遊離ハロゲン)を熱時濾過で除去する工程。
(ii):(i)で得られた液にハロゲン化水素水溶液(ハ)を加え、70〜80℃で約1時間撹拌混合後、静置して分液した下層(水層)を除去し、上層中の水分を減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る、過剰の銀を除去する工程。
【0016】[II] 第3級アミンと同当量以上(好ましくは1.1〜5.0当量)の炭酸ジアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜5)を溶媒(例えば、メタノール)の存在下(第3級アミンの重量に基づいて10〜1000%)または非存在下、反応温度80〜200℃、好ましくは100〜150℃で反応させて第4級アンモニウム塩を形成し、さらに前記超強酸を添加(第4級アンモニウムの当量に基づいて1.0〜1.2当量)し、10〜50℃で1時間撹拌して塩交換する。静置して分液した下層(水層)を除去し、上層中の水分を80〜120℃で減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
【0017】本発明の(A)は、通常個体であり、その融点は通常40〜80℃である。
【0018】本発明の抗菌剤としては、(A)からなるものの他に、(A)の水性分散体、並びに(A)の有機溶剤溶液からなるものが挙げられる。(A)を塗料組成物の成分として用いる際は、塗料組成物の他の成分に(A)を直接に配合(例えば、抗菌剤を微粒子にして塗料に分散)してもよいし、(A)の水性分散体または(A)の有機溶剤溶液として配合してもよい。水性分散体とする方法としては、乳化分散剤を用いてエマルションまたはサスペンジョンにする方法が挙げられる。(A)を有機溶剤溶液として配合する方法としては、低級アルコール(炭素数1〜8)系溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ケトン(総炭素数3〜8)系溶媒(アセトン、MEKなど)またはこれらの混合溶媒などに(A)を溶解[濃度:(A)を、溶媒の重量に基づいて1〜90%]させて塗料に配合する方法が挙げられる。これらのうち好ましいのはエマルションとして配合する方法である。
【0019】(A)をエマルションにするための乳化分散としては、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤および高分子乳化分散剤が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、たとえば、アルキレンオキシド(炭素数2〜4)付加型非イオン界面活性剤[高級アルコール(炭素数8〜18)、高級脂肪酸(炭素数12〜24)または高級アルキルアミン(炭素数8〜24)等に直接アルキレンオキシド(以下AOと略記)[炭素数2〜4例えば、エチレンオキシド(以下EOと略記)、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの2種以上の併用](数平均分子量174〜200,000);グリコール類にAOを付加させて得られるポリアルキレングリコール類(数平均分子量110〜6,000)に高級脂肪酸などを反応させたもの;多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタンなどの2価〜8価またはそれ以上の多価アルコール)に高級脂肪酸を反応させて得られたエステル化物にAOを付加させたもの(分子量288〜30,000)、高級脂肪酸アミドにAOを付加させたもの(分子量243〜30,000)、多価(2価〜8価またはそれ以上)アルコールアルキル(炭素数3〜60)エーテルにAOを付加させたもの(分子量148〜30,000)など]、および多価アルコ−ル(炭素数3〜60)型非イオン界面活性剤(多価アルコール脂肪酸(炭素数3〜60)エステル、多価アルコールアルキル(炭素数3〜60)エーテル、脂肪酸(炭素数3〜60)アルカノールアミドなど)などが挙げられる。このうち好ましいのは高級アルコール(炭素数8〜18)に直接AOを付加させたもの(分子量500〜10,000)である。
【0020】両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤[高級アルキル(炭素数12〜18)アミノプロピオン酸ナトリウムなど]、ベタイン型両性界面活性剤[アルキル(炭素数12〜18)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数12〜18)ジヒドロキシエチルベタインなど]、硫酸エステル塩型両性界面活性剤[高級アルキル(炭素数8〜18)アミンの硫酸エステルナトリウム塩、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステルナトリウム塩など]、スルホン酸塩型両性界面活性剤(ペンタデシルスルフォタウリン、イミダゾリンスルホン酸など)、リン酸エステル塩型両性界面活性剤[グリセリン高級脂肪酸(炭素数8〜22)エステル化物のリン酸エステルアミン塩]などが挙げられる。これらのうち、好ましいのは、ベタイン型両性界面活性剤である。
【0021】アニオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
(1)カルボン酸またはその塩;炭素数8〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸またはその塩、並びにカルボキシメチル化物もしくはその塩[炭素数8〜16の脂肪族アルコールおよび/またはそのEO(1〜10モル)付加物などのカルボキシメチル化物の塩など]、(2)硫酸エステル塩;高級アルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪酸アルコールの硫酸エステル塩など)、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩[炭素数8〜18の脂肪族アルコールのEO(1〜10モル)付加物の硫酸エステル塩]、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)、並びに硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)、(3)スルホン酸塩;アルキル(炭素数8〜22)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素数8〜22)ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキル(炭素数6〜20)エステル塩、α−オレフィン(炭素数8〜22)スルホン酸塩、並びにイゲポンT型など、(4)リン酸エステル塩;高級アルコール(炭素数8〜60)リン酸エステル塩、高級アルコール(炭素数8〜60)EO付加物(1〜10モル)リン酸エステル塩、並びにアルキル(炭素数4〜60)フェノールEO付加物リン酸エステル塩など。
【0022】また、高分子乳化分散剤としては、ナフタレンスルホン酸(塩)のホルマリン縮合物(重合度3〜1000)、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、ビニル単量体とカルボキシル基含有単量体との共重合物(塩)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸部分アルキル(アルキル基の炭素数1〜18)エステルおよびポリアルキレンポリアミンなどで、数平均分子量500〜100,000のものが挙げられる。
【0023】なお、上記(1)〜(4)の塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩)、アンモニウム塩およびアルカノールアミン塩[アルカノールの炭素数2〜8のモノアルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、モノブタノールアミン塩など)、ジアルカノールアミン塩(ジエタノールアミン塩など)、トリアルカノールアミン塩(トリエタノールアミン塩など)]が挙げられる。
【0024】本発明の塗料用抗菌剤の適用塗料はとくに限定されず、水性塗料および油性塗料のいずれでもよいが、本発明の抗菌剤の効果発現の観点から好ましいのは水性塗料である。水性塗料としては、エマルション油ペイント、エマルションラッカーおよび合成樹脂エマルション塗料などが挙げられる。エマルション油ペイントとしては、亜麻仁油、えの油、桐油などを水で乳化したもの、エマルションラッカーとしてはニトロセルロースを水で乳化したもの、また、合成樹脂エマルション塗料としては、樹脂エマルション(ポリ酢酸ビニルエマルション、ポリスチレン/ポリブタジエン系エマルション、ポリアクリル系エマルション、ポリアクリル/シリコン系エマルション、ポリ塩化ビニル系エマルション、ポリ塩化ビニル/ポリ塩化ビニリデン系エマルション、ポリブタジエン/ポリアクリロニトリル系エマルション、ポリウレタン系エマルションなど)をベースにしたものが挙げられる。
【0025】油性塗料としては、油ワニス、ビチューメン塗料、樹脂ワニス、合成樹脂塗料およびセルロース塗料などが挙げられる。油ワニスは、天然樹脂およびその加工樹脂または油溶性合成樹脂を乾性油とともに加熱縮合し、乾燥剤を加えて石油系溶剤(トルエン、キシレンなど)で希釈したもので、コーパル、コハク、硬化ロジン、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂などの樹脂を用いたものが挙げられる。ビーチュメン塗料としてはギルソナイト、石油アスファルト、コールタールピッチなどをベースにしたものなどが挙げられ、樹脂ワニスは天然樹脂をアルコールや石油系溶剤(トルエン、キシレンなど)などに溶解した塗料で、たとえば、セラックワニス、マニラコーパルワニス、ロジンワニス、サンダラックワニス、マスチックワニス、アカロイドワニス、ダンマルワニス、硬化ロジンワニスなどが挙げられ、合成樹脂塗料は合成樹脂に乾性油や可塑剤、顔料等を加え溶剤(トルエン、キシレンなど)に溶かしたもので、合成樹脂としては、たとえばビニル樹脂(塩化ビニル、酢酸ビニルなど)、アルキド樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキド樹脂など)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂などが挙げられる。セルロース塗料としては、セルロースエステル(ニトロセルロース、アセチルセルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロースなど)、セルロースエーテル(エチルセルロース、ベンジルセルロースなど)などのセルロース誘導体を主体とし、樹脂、可塑剤、顔料、溶剤(トルエン、キシレンなど)などよりなる塗料が挙げられる。
【0026】塗料に含有されるビヒクルとなる樹脂はカチオン系、アニオン系または両性系のいずれであってもよい。従来のカチオン系抗菌剤では、塗料成分(樹脂等)にアニオン系のもの(アニオン樹脂系としては、たとえばポリアクリル系樹脂、ポリアクリル/シリコン系樹脂など)が含まれる場合は、塗料組成物の配合時に凝集が生じるという不具合がみられたが、本発明の抗菌剤は塗料成分にアニオン系のものが含まれる場合であっても凝集を生じることがなく、好適に用いることができる。
【0027】本発明の塗料用抗菌剤の添加量は抗菌性、防カビ性の観点から塗料組成物(抗菌剤を含む)の重量に基づいて、好ましくは0.005〜20%、さらに好ましくは0.01〜10%である。また、塗料組成物における(A)の含量は、塗料組成物(抗菌剤を含む)の重量に基づいて、好ましくは0.0015〜6、さらに好ましくは0.003〜3%である。
【0028】本発明の塗料用抗菌剤を含有させてなる抗菌性塗料組成物は、必要によりさらに顔料、顔料分散剤、増粘剤、溶剤[上記の(A)の有機溶剤溶液を形成する溶剤以外のもの]、凍結防止剤、消泡剤、造膜助剤、皮張防止剤、難燃剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤から選ばれるその他の添加剤を含有させることができる。
【0029】顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、黄鉛、カドミウム、群青、アゾ系、フタロシアニン系、建染染料系、キナクリドン系、ジオキサジン系、染付レーキなど;顔料分散剤としてはベントナイト、金属石けん(アルカリ金属以外の脂肪酸金属塩、たとえばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノレン酸、亜麻仁油脂肪酸、トール油脂肪酸、オクチル酸などの脂肪酸と、Li、Mg、Ca、Ba、Co、Cu、Mn、Pb、Sn、Zn、Zr、Al、Fe、Cr、Ce、、Mo、Niなどの金属との組み合わせ)、水添ひまし油ワックス、ジベンジリデンソルビトールなど;増粘剤としては酸化ポリエチレン(重量平均分子量1,500〜3,000)、有機ベンナイト、コロイド状シリカ、金属石けん(前記に同じ)など;溶剤としては炭化水素系(灯油、トルエン、テレピン油、トルエン、ジペンテンなど)、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノールブチルアルコールなど)、エステル系(酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシルなど)、ケトン・エーテル系(メチルアセトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなど)など;凍結防止剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなど;消泡剤としてはシリコーン系、鉱物油、高級アルコール(2−エチルヘキサノール、セチルアルコールなど)、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プルロニック型非イオン界面活性剤、ポリプロピレングリコール、アセチレングリコール、トリブチルホスフェートなど;造膜助剤としては金属(コバルト、マンガン、カルシウムなど)、金属硫酸化物(硫酸コバルト、硫酸マンガンなど)、ナフテン酸、オレイン酸、2−エチルヘキサン酸など;皮張防止剤としてはメチルエチルケトオキシム、ブチルアルドオキシム、シクロヘキサノンオキシム、フェノール化合物[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、カテコール、グアヤコール、]、ジペンテンなどが挙げられる。
【0030】また、難燃剤としては、リン酸エステル系[トリクレジルホスフェート、トリス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェートなど]、臭素系(デカブロモビフェニルエーテルなど)、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩系(ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなど)、水酸化アルミニウム、赤リン、水酸化マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム、ヘット酸、テトラブロモビスフェノールAなど;酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)など];硫黄系酸化防止剤[ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(DLTDP)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(DSTDP)など];リン系酸化防止剤[トリフェニルホスファイト(TPP)、トリイソデシルホスファイト(TDP)など];アミン系酸化防止剤[オクチル化ジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミンなど]など;紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系(2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなど)、サリチレート系(フェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなど)、ベンゾトリアゾール系[(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなど]、アクリル系[エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシベンジル)アクリレートなど]などが挙げられる。
【0031】上記その他の添加剤の使用量は、塗料の重量に対して、顔料は通常30%以下、好ましくは5〜20%、顔料分散剤は通常10%以下、好ましくは0.01〜5%、増粘剤は通常20%以下、好ましくは5〜10%、溶剤は通常20%以下、好ましくは5〜15%(水性塗料の場合は10%以下、油性塗料の場合は10〜20%)、凍結防止剤は通常5%以下、好ましくは1〜3%、消泡剤は通常10%以下、好ましくは1〜3%、造膜助剤は通常7%以下、好ましくは1〜5%、皮張防止剤は通常5%以下、好ましくは0.01〜2%、難燃剤は通常40%以下、好ましくは10〜30%、酸化防止剤、紫外線吸収剤はそれぞれ通常5%以下、好ましくは0.1〜2%である。塗料組成物の固形分(非揮発分:試料1.5gを直径9cmの蓋なしガラスシャーレで130℃×90分乾燥させた場合の非揮発分)は、通常30〜95重量%、好ましくは50〜90重量%である。
【0032】本発明の抗菌性塗料組成物を製造するに当たり、各成分は任意の順序で混合することができ、たとえば本発明の抗菌剤とその他の各成分を一括して均一混合してもよいし、本発明の抗菌剤を除く各成分を均一混合した後、本発明の抗菌剤を添加混合してもよい。 混合に用いる装置としては公知のものが使用でき、例えばオートホモミキサー(特殊機化製)などが挙げられる。
【0033】該塗料組成物を基材(金属、プラスチック、木材、セラミック、ガラス、繊維、紙等)に塗布またはコーティングする方法としては、刷毛塗り、スプレー塗装などの各種方法を採用することができる。塗布またはコーティングに当たっては、必要により基材の前処理(例えばプライマー処理および電着コーティング処理など)を行ってもよい。また、上塗り、中塗りおよび下塗りのいずれにも使用できるが、抗菌性の効果を発揮しやすくするには上塗りが好ましく、さらに、多層コーティングも可能である。塗布量は基材の種類、目的によって異なるが、下塗りの場合は膜厚が15〜25μ、中塗りの場合は20〜30μ、上塗りの場合は30〜40μが一般的である。塗膜の硬化・乾燥は、塗料の種類、目的によって異なるが、通常は常温〜250℃で、1分〜1時間、好ましくは100〜200℃、10〜40分である。こうして得られた塗装物の抗菌性は、耐水性、耐熱性に優れており、長期間抗菌性および防カビ性等が持続する。
【0034】本発明の抗菌性塗料組成物は、建築物全般、特に医療関係建築物、食品関係建築物および一般建築物の塗装、建築資材の塗装、自動車の一般塗装、電着塗装および補修用塗装、船舶の耐水塗装、金属、木工およびプラスチック製品の塗装、さらに繊維および紙のコーティングなどにも用いられる。
【0035】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明するが本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の%は重量%、部は重量部を示す。
【0036】実施例1加熱冷却装置、攪拌機および滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、ジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの82.5%メタノール溶液200部を仕込み、30〜60℃に昇温したのち、その温度に保ちながら42%四フッ化硼素酸水溶液87部を2時間で徐々に加えた。その後、さらに、同温度で、乳化分散剤としてポリオキシエチレン(EO19モル)アルキル(炭素数14〜15)エーテルを90部を加え、さらに攪拌しながら水200部を徐々に加えて、本発明の抗菌剤であるジメチルジn−デシルアンモニウム・四フッ化硼素酸塩31%(有効成分濃度:以下同じ)エマルション(X1)を得た。なお、第4級アンモニウム塩の有効成分濃度は、試料1.0〜1.5gを、直径9cmのシャーレに精秤し、蓋無しで105℃で90分間加熱乾燥した後の残査の重量の試料重量に対する百分率である(以下、同様の測定法)。
【0037】実施例2ジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートに代えて、トリメチルn−ヘキサデシルアンモニウムメチルカーボネートを使用したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の抗菌剤であるトリメチルn−ヘキサデシルアンモニウム・四フッ化硼素酸塩35%エマルション(X2)を得た。
【0038】実施例3ジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートに代えて、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムメチルカーボネートを使用したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の抗菌剤であるジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム・四フッ化硼素酸塩35%エマルション(X3)を得た。
【0039】実施例4乳化分散剤としてレボンLD−36(三洋化成工業製、ラウリルジメチルベタイン)250部を加えたこと以外は実施例1と同様にして本発明の抗菌剤ジメチルジn−デシルアンモニウム・四フッ化硼素酸塩24%エマルション(X4)を得た。
【0040】実施例5乳化分散剤としてビューライトESS(三洋化成工業製、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸2ナトリウム)225部を使用したこと以外は実施例1と同様にして本発明の抗菌剤ジメチルジn−デシルアンモニウム・四フッ化硼素酸塩25%エマルション(X5)を得た。
【0041】得られた(X1)〜(X5)の遊離ハロゲン含量は、第4級アンモニウム塩の重量に基づいて1ppm以下(検出限界以下)であった。
【0042】<塗料用抗菌剤としての耐熱性評価>評価試験例1〜5、比較評価試験例1〜3実施例1〜5の抗菌剤X1〜X5および銀ゼオライト:Y1(比較の抗菌剤1)、2−(4’−チアゾリル)−ベンズイミダゾール:Y2(比較の抗菌剤2)、塩化ジメチルジデシルアンモニウム:Y3(比較の抗菌剤3)について、空気中での熱減量開始温度と、焼付塗装の標準的な焼付け温度条件の250℃で1時間静置した時の重量減少量を熱分析装置(理学電機社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0043】<塗料用抗菌剤の抗菌性評価>抗菌剤X1〜X5およびY1〜Y3について、抗菌性を最小発育阻止濃度(MIC)試験により評価した。即ち、培地としてHeart infusionbroth(HIB)を用い、希釈法(参考;東京大学医科学研究所学友会編微生物学)に従って測定した。X1〜X5、Y1〜Y3をそれぞれHIBを用いて希釈し、124.8ppm〜0.98ppm(抗菌剤濃度)溶液を作成した。被検菌株大腸菌の一夜培養液(培地:HIB 菌数 106CFU/ml)50μlを加え37℃にて一夜培養した。その後、被検菌の増殖の有無を観察し発育を阻止する最小発育阻止濃度を求めた。結果を表1に示す。表1から、本発明の抗菌剤は従来の第4級アンモニウム塩型抗菌剤(比較例3)と同等の優れた抗菌性を有し、しかも格段に優れた耐熱性を有することがわかる。
【0044】
【表1】

【0045】実施例6〜10、比較例4〜6本発明の抗菌剤X1〜X5、比較の抗菌剤Y1〜Y3を下記塗料組成物の配合処方に従い配合し、各々塗料組成物を得た。
【0046】サンモールEW−102[合成樹脂エマルション(ポリ−アクリル/シリコン系エマルション)三洋化成工業製]300部をとり、ここにイオン交換水165部、顔料分散剤としてキャリボンL−400(ポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量4,000、三洋化成工業製)0.1部を加え、プロペラ型攪拌翼を用い、回転数300rpmで15分間攪拌混合する。ついでビーズミル容器にこの溶液を移し、顔料としてエマコールNS WHITE A426(酸化チタン、山陽色素社製)を60部、消泡剤としてノプコ8034L(シリコーン系、サンノプコ社製)0.1部、抗菌剤を塗料組成物(抗菌剤も含む)の重量に基づいて、有効成分で2部加え、直径1mmのジルコニウム製ビーズを250部加え、2時間振とうした後、ビーズを除去して本発明の水性塗料組成物(P1〜P5)および比較の塗料組成物(Q1〜Q3)を得た。
【0047】<塗料組成物の配合安定性評価>得られた各塗料組成物について下記の評価基準および保管条件に従って、目視にて凝集の有無を評価(作成後1時間および経時評価)した。

(経時評価条件)25℃、ガラス容器にて密閉保管【0048】結果を表2に示す。実施例6〜10では配合安定性が優れるのに対して、比較例6では配合時に多くの凝集がみられ安定性が欠ける。
【0049】
【表2】

【0050】実施例11〜15、比較例7〜9実施例6〜10、比較例4〜6で得られた塗料組成物(P1〜P5、Q1〜Q3)をスプレーガン(495STPRO、グラコ社製:背圧0.7Mpa)を用いて基材[タテ×ヨコ×厚み=50×50×2mmのステンレス(SUS316)鋼板]表面にスプレー塗装(塗装厚み0.2mm)して塗装物を得た。 ブランクに用いるため、抗菌剤を配合していない塗料組成物の塗装物(Blank)も作成した。
【0051】<塗膜の抗菌性評価>各塗装物について、抗菌性を日本工業規格で定められた抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果(JIS Z 2801)により評価した。すなわち普通ブイヨン培地を滅菌精製水で500倍希釈した液で菌数を2.5×105〜10×105個/mlとなるように調製した試験菌液を、塗装物表面上に0.4ml滴下して、乾かないように上からフィルムをかぶせて、温度35±1℃および相対湿度90%以上で24±1時間培養した。その後、塗装物とフィルムを10mlのSCDLP(SOYBEAN-CASEIN DIGEST BROTH with LECITHIN & POLYSORBATE 80)培地で洗い出し、その液を速やかに生菌数測定に供して生菌数を求め、下記式により抗菌活性値Rを求めた。
R=Log(ブランクの生菌数/塗装物の生菌数)
注;<10は10として計算。
[Rは大きいほど抗菌活性が高いことを示す]
【0052】結果を表3に示す。従来の第4級アンモニウム塩型抗菌剤(Y3)を用いた比較例9では、塗膜の抗菌性が悪いことがわかる。
【0053】<塗膜の耐水抗菌性評価>上記と同様の方法で厚み0.2mmの塗膜を有する塗装物を作成し、各塗装物について、流水(水温20〜30℃の水道水)中に浸漬し、100時間後に引き上げて、その後抗菌性を上記と同様の方法により評価した。結果を表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
【発明の効果】本発明の塗料用抗菌剤は、下記の効果を奏することから極めて有用である。(1)抗菌および防カビ性に優れるとされる従来の第4級アンモニウム塩型抗菌剤と同等の優れた抗菌および防カビ性を有する。
(2)耐熱性に優れ、塗料の標準的な焼付塗装条件でも抗菌および防カビ性の低下が極めて少ない。
(3)該抗菌剤を塗料に配合して得られる塗料組成物は、塗料成分のイオン性に拘わらず凝集物を生じることがなく配合安定性に優れる。
(4)該塗料組成物を基材に塗布して得られる塗装物表面は流水に長時間さらしても抗菌および防カビ効果の低下が少ない。
【出願人】 【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
【住所又は居所】京都府京都市東山区一橋野本町11番地の1
【出願日】 平成14年10月31日(2002.10.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−206206(P2003−206206A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−317703(P2002−317703)