| 【発明の名称】 |
甲虫類の標本作製法 |
| 【発明者】 |
【氏名】橋本 武彦
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| 【要約】 |
【課題】甲虫類の触覚や羽根や手足が欠落破損しにくく強度の高い標本で、防虫性が高く、従って室内に露出した状態でも保存できる標本を作製する。
【解決手段】甲虫類の生体を水蒸気の雰囲気中に放置して熱殺菌消毒した後、自然界での棲息形態に整形する。この整形した甲虫類を一度十分に室内乾燥した後常温硬化型の硬化性樹脂液に浸漬し、さらに空気中で室温乾燥する。この浸漬は甲虫類の体の極細部及び体表面に気泡を残さずに含浸付着して甲虫類の標本とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】甲虫類の生体を水蒸気の雰囲気中に放置して熱殺菌消毒した後、自然界での棲息形態に整形し、この整形した甲虫類を一度十分に室内乾燥させた後硬化性樹脂液に浸漬し、さらに空気中で室温乾燥する甲虫類の標本作製法であって、浸漬は甲虫類の体の極細部及び体表面に気泡を残さずに含浸付着する甲虫類の標本作製法。 【請求項2】硬化性樹脂液は常温硬化型のウレタン系樹脂液である請求項1の甲虫類の標本作製法。 【請求項3】ウレタン系樹脂液の組成はウレタン系合成樹脂、乾燥促進剤、ミネラルスピリットで、粘度は温度が25℃で225cp±25cpである請求項2の甲虫類の標本作製法。 【請求項4】気泡を残さずに含浸付着する方法は硬化性樹脂液中に甲虫類の全身を一機に浸漬せずに多段階に分けて徐々に浸漬して最終の段階で初めて全身を浸漬し、かつ各段階での気泡の発生がなくなるまで浸漬を続行する請求項1乃至請求項3の標本作製法。
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【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】 【0001】この発明はカブトムシやクワガタムシなどの甲虫類の標本の作製法に関し、自然に棲息するさまざまな姿で標本化するものである。 【従来の技術】 【0002】甲虫類の従来の標本は触覚や羽根や手足が欠落しやすいために、防虫剤を内蔵した、気密性の高いケース内に保存していたが、防虫剤が気化や蒸発による減量、消耗し、保全、点検を必要とした。 【発明が解決しようとする課題】 【0003】このことから、甲虫類の触覚や羽根や手足が欠落破損しにくく強度の高い標本で、防虫性が高く、従って室内に露出した状態でも保存できる標本を作製する点にある。 【問題を解決するための手段】 【0004】請求項1の発明に係る標本作製法は、甲虫類の生体を水蒸気の雰囲気中に放置して熱殺菌消毒した後、自然界での棲息形態に整形し、この整形した甲虫類を一度十分に室内乾燥させた後、硬化性樹脂液に浸漬し、さらに空気中で室温乾燥し、浸漬は甲虫類の体の極細部及び体表面に気泡を残さずに含浸付着する点を特徴とし、請求項2の発明に係る甲虫類の標本作製法は、請求項1の発明に加えて、硬化性樹脂液は常温硬化型のウレタン系樹脂液である点を特徴とし、請求項3の発明に係る甲虫類の標本作製法は請求項2の発明に加えてウレタン系樹脂液の組成はウレタン系合成樹脂、乾燥促進剤、ミネラルスピリットで、粘度は温度が25℃で225cp±25cpである点を特徴とし、請求項4の発明に係る甲虫類の標本作製法は請求項1乃至請求項3の発明に加えて気泡を残さずに含浸付着する方法は硬化性樹脂液中に甲虫類の全身を一機に浸漬せずに多段階に分けて徐々に浸漬して最終の段階で初めて全身を浸漬し、かつ各段階での気泡の発生がなくなるまで浸漬を続行する点を特徴とするものである。 【0005】甲虫類の触覚や羽根や手足が欠落破損しにくく強度の高い標本で、防虫性が高い標本の作製に最も効果的な発明は甲虫類の生体を水蒸気の雰囲気中に放置して熱殺菌消毒した後、自然界での棲息形態に整形し、この整形した甲虫類を一度十分に室内乾燥させた後、硬化性樹脂液に浸漬し、さらに空気中で室温乾燥する甲虫類の標本作製法であって、浸漬は甲虫類の体の極細部及び体表面に気泡を残さずに含浸付着する甲虫類の標本作製法において、ウレタン系樹脂液の組成は、ウレタン系合成樹脂、乾燥促進剤、ミネラルスピリットであって、粘度は温度が25℃で225cp±25cpで、浸漬するウレタン系樹脂液の温度は常温で、気泡を残さずに含浸付着する方法は硬化性樹脂液中に甲虫類の全身を一機に浸漬せずに多段階に分けて徐々に浸漬して最終の段階で初めて全身を浸漬し、かつ各段階での気泡の発生がなくなるまで浸漬を続行するものである。 【発明の実施の形態】 【0006】この発明の標本作製法が適用される甲虫類は、甲殻をもった昆虫でたとえばカブトムシやクワガタムシなどで、標本化する対象は生死を問わないが自然死した生体が倫理面から望ましい。この昆虫類の生体は水蒸気の雰囲気中に、放置して熱殺菌消毒処理される。この工程を踏まないと、棲息形態に整形したとき整形した姿から原形に戻る方向に復帰し、さらには、硬化性樹脂液との密着性が悪くかつ腐敗又は悪臭を招き、さらには手のひらに載せて観察するにも衛生上好ましくないからである。生体を放置する水蒸気の雰囲気は、たとえば蒸し器内の水が沸騰した湯から生ずる水蒸気を用いることができるが、必ずしも沸騰水に限るものではなく、90℃以上の湯からの水蒸気であれば十分である。この工程では、高温の湯と生体の直接接触を避け、生体の原形を崩さないようにする。そして、生体を高温の水蒸気に放置する時期は低温水の段階からすると、低温の水蒸気から高温の水蒸気に晒される時間が長くなり、ふやけや膨潤を生じて強度が低下するおそれがあるので好ましくない。 【0007】次のステップは甲虫類が自然界で棲息する形態に整形し、この整形した甲虫類を一度十分に室内乾燥させた後、硬化性樹脂液に浸漬して一定の形態に保持する。熱蒸気消毒の処理により甲虫類は弾力性や柔軟性や復元力などは低下するので、たとえば空中を羽根をのばして飛行している姿、樹木の樹液を吸っている姿などさまざまな姿に保持しながら一度十分に室内乾燥させた後、硬化性樹脂液に浸漬する。硬化性樹脂液としては、常温硬化型のポリエステル系樹脂液、常温硬化型のウレタン系樹脂液が用いられるが、中でも常温硬化型のウレタン系樹脂液が好ましい。 【0008】浸漬する樹脂液の粘度の高低は、特に甲虫類の体表面に含浸する速度は勿論、体の極細部にもボイドを残さずに含浸する上で重要であって、限定する趣旨ではないが25℃での粘度が225cp±25cpが好ましい。すなわち200cpよりも低粘度になるほど含浸速度は増大するが、含浸した樹脂の固形分が少なく、その結果、強度、防虫性に劣る。また、250cpより高粘度になればなるほど含浸ムラやボイドが体の極細部や体表面に形成されやすく、その結果、強度、防虫性に劣るからである。また、浸漬温度は室温、ないし常温を含む自然乾燥が好ましく、特に高温乾燥は収縮変形を引き起こし好ましくない。 【0009】浸漬による樹脂含浸で大切な点は、気泡、ボイドを形成せずに含浸付着する点であって、具体的には、甲虫類を硬化性樹脂液に浸漬する際に一機に浸漬せずに多段階に分けて徐々に浸漬して最終の段階で初めて全身を浸漬し、かつ各段階での樹脂液に生成する気泡がなくなるまで浸漬を続行する点である。 【0010】甲虫類の体表面の樹脂の塗布による標本化は、体の関節の隙間等の極細部への樹脂液の含浸が悪く、かつブラシ、筆等の塗布具から体表面に高い負荷を受けて、触覚や羽根や手足等の欠落を招くからである。 【0011】(実施例1)自然死したカブトムシの生体を沸騰水の入った蒸し器の蒸し蓋の上に載せて蓋で閉じ、15分間水蒸気の雰囲気中に放置することにより熱殺菌消毒し、温い湯で体全体を洗浄した後、飛行中の棲息形態に整形するために外側の固い前羽根とこの下の透明な薄い後羽根を左右とも外側に開き、120分間この姿に保持し、十分に室内乾燥した後その後手離したが姿の変化はなかった。この飛行中の姿をとったカブトムシをピンセットで脚側を上にして挟み、常温硬化型のウレタン系樹脂液に浸漬した。このウレタン系樹脂液はウレタン系合成樹脂を主成分とし、乾燥促進剤と希釈剤のミネラルスピリットを含有した組成物(和信ペイント(株)製)で、このウレタン系樹脂液の25℃の粘度は225cpであった。なお、浸漬は一機に全身を浸漬せずに全身の浸漬が終了するまで4段階に分けて各段階においては気泡が樹脂液に発生してから気泡の発生がなくなるまで浸漬を続行し体の極細部及び体表面に気泡を残さないようにした。最後にウレタン系樹脂液からカブトムシを引き上げ、室温25℃で自然乾燥し、標本とした。この標本は、硬く、触覚、羽根、手足ともに標本として必要な強度を示した。たとえばカブトムシのツノを指でつまみ標本全体を持ち上げても手足は台から離れることなく、関節部が伸縮して標本全体が歪むこともなかった。これは特にカブトムシの手足の先端部のツメ先は乾燥後は欠落しやすかったが、それらの関節部周辺に合成樹脂の成分が含浸付着し太くなり十分なる補強がなされたものである。また、以上の作製工程で甲虫類の重量の変化は、カブトムシ♀体長5cmの生体重量は10.0gであったが、水蒸気の雰囲気中に15分間放置後では11.5g,その後に十分なる室内乾燥した後では6.0g,ウレタン系樹脂液に浸漬した直後は9.0g,再び空気中での室内乾燥した最終仕上がり状況では7.5gであり生体に比した重量変化率は75%であった。 【0012】(比較例1)自然死したカブトムシの生体を水蒸気の雰囲気中に放置することなく、実施例1と同一の棲息形態の姿に整形し、120分間室内乾燥の状態でこの姿に保持し、その後手離したが姿は原形に戻る方向に復帰する変化が認められた。このカブトムシを直接実施例1と同一の樹脂液に実施例1と同一の姿勢で一機に浸漬し気泡の発生から気泡の発生がなくなるまで続行し、樹脂液から引き上げ室内で自然乾燥したが、汚れや油分のあった部分では硬化性樹脂液が体の極細部及び体表面に十分含浸付着されず白濁色の斑点となって現れることが認められた。この作製工程における甲虫類の重量の変化は、生体は実施例1とほぼ同体形の生体を用いたため生体重量は10.0gであった。これについては実施例1のように水蒸気の雰囲気中に15分間放置することなく、生体をそのまま十分なる室内乾燥をおこなったためその後の重量は6.0g、ウレタン系樹脂液に浸漬した後は9.0g、再び空気中での室内乾燥した最終仕上がり重量は7.5gであり生体に比した重量変化率は75%であり実施例1に同じであった。 【発明の効果】 【0013】この発明に係る標本の作製法によると、甲虫類をさまざまな棲息形態の姿で強度及び防虫性の高い標本を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501407953 【氏名又は名称】橋本 武彦
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| 【出願日】 |
平成13年12月27日(2001.12.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−192501(P2003−192501A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月9日(2003.7.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−403235(P2001−403235) |
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