| 【発明の名称】 |
被覆生物活性物質 |
| 【発明者】 |
【氏名】内野 正純
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| 【要約】 |
【課題】溶出速度や溶出パターンの制御が容易であり、時限溶出型の溶出パターンにおいても、初期溶出期間中の溶出を効果的に抑制された被覆生物活性物質の提供。
【解決手段】被覆生物活性物質の溶出期間を長期化する機能を有するポリオールと、被覆生物活性物質の水分保持能力を増加させる機能を有するポリオールとの混合物とイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンで生物活性物質の表面を被覆する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水酸基当量が120以下であるポリオールと水酸基当量が150以上であるポリオールとの混合物とイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンにより、生物活性物質粒子の表面が被覆されてなる被覆生物活性物質。 【請求項2】 該混合物の水酸基当量が120〜200の範囲である請求項1記載の被覆生物活性物質。 【請求項3】 水酸基当量120以下のポリオールの含有割合が、該混合物に対して5〜90重量%の範囲である請求項1記載の被覆生物活性物質。 【請求項4】 生物活性物質が農薬である請求項1記載の被覆生物活性物質。 【請求項5】 生物活性物質が肥料である請求項1記載の被覆生物活性物質。 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項記載の被覆生物活性物質と、被覆されていない生物活性物質とを含有する生物活性物質組成物。 【請求項7】 請求項1〜5の何れか1項記載の被覆生物活性物質、または請求項6記載の生物活性物質組成物を用いることを特徴とする作物の栽培方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、被覆生物活性物質、生物活性物質組成物、および作物の栽培方法に関する。 【0002】 【従来の技術】米国特許第3,264,089号公報、特公昭54−39298号公報、特開平9−208355号公報、および特開平10−324587号公報などにおいて、ポリウレタンを被膜とする被覆肥料が開示されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリウレタンを被膜とする被覆肥料は、溶出速度や溶出パターンの制御が困難であった。その中でも施用後一定期間肥料成分を溶出しない期間(初期溶出抑制期間)と、一定期間経過後溶出する期間(溶出期間)とを有する時限溶出型の溶出パターンにおいては、初期溶出期間中の溶出を抑制することが特に困難であった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、ポリウレタンで生物活性物質の表面が被覆された被覆生物活性物質において、該ポリウレタンが、被覆生物活性物質の溶出期間を長期化する機能を有するポリオールと、被覆生物活性物質の水分保持能力を増加させる機能を有するポリオールとの混合物とイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンであれば、溶出速度や溶出パターンの制御が容易であり、時限溶出型の溶出パターンにおいても、初期溶出期間中の溶出を効果的に抑制された被覆生物活性物質を得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。 【0005】本発明は以下の(1)〜(7)の構成を有する。 (1)水酸基当量が120以下であるポリオールと水酸基当量が150以上であるポリオールとの混合物とイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンにより、生物活性物質粒子の表面が被覆されてなる被覆生物活性物質。 【0006】(2)該混合物の水酸基当量が120〜200の範囲である前記第1項記載の被覆生物活性物質。 【0007】(3)水酸基当量120以下のポリオールの含有割合が、該混合物に対して5〜90重量%の範囲である前記第1項記載の被覆生物活性物質。 【0008】(4)生物活性物質が農薬である前記第1項記載の被覆生物活性物質。 【0009】(5)生物活性物質が肥料である前記第1項記載の被覆生物活性物質。 【0010】(6)前記第1項〜第5項の何れか1項記載の被覆生物活性物質と、被覆されていない生物活性物質とを含有する生物活性物質組成物。 【0011】(7)前記第1項〜第5項の何れか1項記載の被覆生物活性物質、または第6項記載の生物活性物質組成物を用いることを特徴とする作物の栽培方法。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明に使用する生物活性物質とは、農業、林業、園芸などに関連する生物に対して活性を有する物質のことを意味するが、具体的には農作物や有用植物などの植物体の育成、保護の目的で用いられるものであり、増収、農作物の高品質化、病害防除、害虫防除、有害動物防除、雑草防除、更には、農作物の生育促進、生育抑制、矮化などの効果をもたらすものであって、具体的には農薬、肥料、微生物等を挙げることができる。 【0013】農薬としては病害防除剤、害虫防除剤、有害動物防除剤、雑草防除剤、植物生長調節剤などを挙げることができ、これらであればその種類に制限なく使用することができる。病害防除剤とは、病原微生物の有害作用から農作物等を保護するために用いられる薬剤であり、主として殺菌剤が挙げられる。害虫防除剤とは、農作物等を加害する害虫を防除する薬剤であり、主として殺虫剤が挙げられる。 【0014】有害動物防除剤とは、農作物等を加害する植物寄生性ダニ、植物寄生性線虫、野鼠、鳥、その他の有害動物を防除するために用いる薬剤である。雑草防除剤とは農作物や樹木等に有害となる草木植物の防除に用いられる薬剤であり、除草剤とも呼ばれる。植物生長調節剤とは、植物の生理機能の増進あるいは抑制を目的に用いられる薬剤である。その中でも、殺虫作用および殺菌作用の両方または片方の作用を有する農薬は本発明に好ましく、その種類に制限なく使用することができる。 【0015】本発明において使用する農薬は、常温で固体の粉状であることが望ましいが常温で液体であっても良い。また、本発明においては、農薬が水溶性であっても、水難溶性であっても、水不溶性のものであっても用いることができ特に限定されるものではない。その中でも本発明においては、接触等により保護すべき植物体内に移行し薬効を示す浸透移行性の農薬が好ましい。本発明に利用できる農薬の具体例を下記に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、農薬は1種であっても、2種以上の複合成分からなるものであっても良い。 【0016】具体的には、(E)−N1−〔(6−クロロ−3−ピリジル)メチル〕−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン(一般名:アセタミプリド)、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(一般名:イミダクロプリド)、o,o−ジエチル−S−2−(エチルチオ)エチルホスホロジチオエート(一般名:エチルチオメトン)、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ〔b〕フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカルバマート(一般名:カルボスルファン)、(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N´−メチル−2−ニトロビニリデンジアミン(一般名:ニテンピラム)、(±)−5−アミノ−(2,6−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トルイル)−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール−3−カルボニトリル(一般名:フィプロニル)、ブチル=2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イル=N,N´−ジメチル− N,N´−チオジカルバマート(一般名:フラチオカルブ)、エチル=N−〔2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ〕−N−イソプロピル−β−アラニナート(一般名:ベンフラカルブ)、【0017】1−ナフチル−N−メチルカーバメート(一般名:NAC)、(1RS,3SR)−2,2−ジクロロ−N−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−1−エチル−3−メチルシクロプロパンカルボキサミド(一般名:カルプロパミド)、(RS)−2−シアノ−N−[(R)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−3,3−ジメチルブチラミド(一般名:ジクロシメット)、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕ベンゾチアゾール(一般名:トリシクラゾール)、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オン(一般名:ピロキロン)、(RS)−5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチルイソベンゾフラン−4−イル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:フラメトピル)、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(一般名:プロベナゾール)、【0018】2−クロロ−4−エチルアミノ−6−イソプロピルアミノ−s−トリアジン(一般名:アトラジン)、1−(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル尿素(一般名:イマゾスルフロン)、S−ベンジル=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート(一般名:エスプロカルブ)、エチル=(RS)−2−[4−(6−クロロキノキサリン−2−イルオキシ)フェノキシ]プロピオナート(一般名:キザロホップブチル)、ブチル=(R)−2−[4−(4−シアノ−2−フルオノフェノキシ)フェノキシ]プロピオナート(一般名:シハロホップブチル)、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(一般名:ジメタメトリン)、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン(一般名:シメトリン)、【0019】1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素(一般名:ダイムロン)、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2´,6´−ジメチルアセトアニリド(一般名:テニルクロール)、α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニリド(一般名:ナプロアニリド)、メチル=3−クロロ−5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシラート(一般名:ハロスルフロンメチル)、エチル=5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシラート(一般名:ピラゾスルフロンエチル)、S−(4−クロロベンジル)−N,N−ジエチルチオカーバメート(一般名:ベンチオカーブ)、メチル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−o−トルアート(一般名:ベンスルフロンメチル)、2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチルアセトアニリド(一般名:メフェナセット)等を挙げることができる。 【0020】更に、本発明における農薬としては、植物が接触した後に植物によって合成され、植物体内に蓄積する低分子の抗菌性物質であるファイトアレキシンを誘導する物質を挙げることができる。 【0021】肥料としては、窒素質肥料、燐酸質肥料、加里質肥料のほか、植物必須要素のカルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、微量要素やケイ素等を含有する肥料を挙げることができる。具体的には、窒素質肥料として硫酸アンモニア、尿素、硝酸アンモニアのほか、イソブチルアルデヒド縮合尿素、アセトアルデヒド縮合尿素等が挙げられ、燐酸質肥料としては過燐酸石灰、熔成リン肥、焼成リン肥等が挙げられ、加里質肥料としては硫酸加里、塩化加里、けい酸加里肥料等が挙げられ、その形態としては特に限定はない。肥料の三要素の合計成分量が30%以上の高度化成肥料や配合肥料、有機質肥料、さらに、硝酸化成抑制材や農薬を添加した肥料も本発明に使用することができる。その中でも、生物活性物質粒子が尿素であると、その使用目的に対して比較的高い効果が得られる。 【0022】本発明に使用する生物活性物質粒子の形状は特に限定されるものではないが、本発明においては球状であることが好ましい。特に本発明に用いる生物活性物質粒子は、粒子の円形度合いを知るための尺度であり、下記式により求められる円形度係数が、0.85以上のものであることが好ましく、より好ましくは0.9以上のものであり、更に好ましくは0.93以上のものである。円形度係数の最大値は1であり、1に近づくほど粒子は真円に近づき、粒子形状が真円から崩れるに従って円形度係数は小さくなる。 式:(4π×粒子の投影面積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)2【0023】該生物活性物質粒子の粒径は特に限定されるものではないが、例えば、肥料の場合においては1.0〜10.0mmであり、農薬の場合においては0.3〜3.0mmであることが好ましい。これらは篩いを用いることにより、前記範囲内で任意の粒径を選択することができる。 【0024】本発明で用いる生物活性物質粒子自体の組成は、1種以上の生物活性物質を含有していれば、特に限定されるものではなく、生物活性物質単独で造粒されたものであってもよく、クレー、カオリン、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウムなどの担体や、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、澱粉類などの結合剤を用いて造粒したものであっても構わない。また、必要に応じ、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の界面活性剤や廃糖蜜、動物油、植物油、水素添加油、脂肪酸、脂肪酸金属塩、パラフィン、ワックス、グリセリンなどを含有したものであっても構わない。 【0025】該生物活性物質粒子の製造方法は特に限定されるものではないが、押出造粒法、流動層式造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、被覆造粒法、吸着造粒法等を用いることができる。本発明においては、これらの造粒法のいずれを使用しても良いが、押し出し造粒法が最も簡易である。 【0026】本発明において使用する被覆生物活性物質の溶出期間を長期化する機能を有するポリオールは、水酸基当量が120以下のポリオールであり、被覆生物活性物質の水分保持能力を増加させる機能を有するポリオールは、水酸基当量が150以上のポリオールである。 【0027】本発明において用いるポリオールは、上記水酸基当量を有するものであれば、何れのポリオールであっても使用することができる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの低分子多価アルコール類、多価アルコ−ル、アミノアルコ−ル、アミンを開始剤として用いてエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを重付加して得られるポリエ−テルポリオ−ル、【0028】テトラヒドロフランを重合して得られるポリテトラメチレンエ−テルグルコ−ルなどのポリエ−テル型ポリオ−ル、多価アルコ−ルとポリエ−テルポリオ−ルとカルボン酸化合物を反応させる等の方法により得られるポリエステル型ポリオ−ルなどを挙げることができる。また、生分解性を考慮してOH基含有の天然物、またはその変性物なども本発明に使用することができる。 【0029】さらに、本発明に使用するポリオールは特に限定されるものではないが、混合時に相溶性があるもの同士であることが好ましい。 【0030】水酸基当量が120以下であるポリオールと水酸基当量が150以上であるポリオールとの混合物の水酸基当量は特に限定されるものではないが、本発明においては120〜200の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、それぞれの機能を持ったポリオールが被膜中に分散して存在し、それぞれの機能がそれぞれの存在位置において発揮されることから、時限溶出型の溶出パターンを有する被覆生物活性物質を容易に得ることができる。 【0031】なお、該混合物は水酸基当量が120以下であるポリオールの1種以上と水酸基当量が150以上であるポリオールの1種以上との混合物であるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、水酸基当量が120より高く150より低いポリオールを併用することができる。 【0032】さらに本発明において用いる該混合物は、水酸基当量が30〜120の範囲であるポリオールの1種以上と、水酸基当量が150〜300の範囲であるポリオールの1種以上との混合物であることが特に好ましい。このポリオール混合物であれば、被膜の透湿速度と伸びを制御し易く溶出抑制期間と溶出期間のコントロールが容易である。 【0033】なお、時限溶出型の溶出パターンとは、前述のように、施用後一定期間生物活性物質を溶出しない期間(初期溶出抑制期間)と、一定期間経過後溶出する期間(溶出期間)とを有する溶出パターンであり、より具体的には、施用後から生物活性物質を10重量%溶出するまでの期間(D1)と、それ以降生物活性物質を80重量%溶出するまでの期間(D2)とを有し、且つD1/D2の比が0.2以上である溶出パターンのことである。本発明の被覆生物活性物質であれば、D1/D2の比が2以上である溶出パターンであっても容易に達成することができる。 【0034】さらに本発明においては、該ポリオール混合物における水酸基当量が120以下であるポリオールの含有割合は、該ポリオール混合物に対して2〜95重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜80重量%の範囲である。該ポリオール混合物における水酸基当量が150以上であるポリオールの含有割合は、該ポリオール混合物に対して5〜95重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜90重量%の範囲である。この範囲であれば、特にD1における溶出抑制効果が高くなる。 【0035】本発明に使用するイソシアネートは特に限定されるものではないが、具体的には、トルエンジイソシアネ−ト(TDIと言うことがある)、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDIと言うことがある)、ナフタレンジイソシアネ−ト、トリジンイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、およびキシリレンジイソシアネ−トなどを例示することことができ、必要に応じてこれらの混合物を用いることができる。なかでも、MDIやTDIあるいはこれらから誘導されるオリゴマ−体は本発明に好適に用いられる。 【0036】さらに本発明においては、上記樹脂成分に加えて触媒を処方することができる。該触媒としては、公知慣用のものを用いることができ、具体的には、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルフォリン、N,N−ジメチルモルフォリン、ジアザビシクロウンデセン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノ−ル等のアミン触媒、テトラブチルスズ、ジブチルスズジラウレート、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛等の金属塩触媒などを挙げることができる。 【0037】さらに、必要に応じて、着色のために顔料や染料、あるいは充填剤としてタルク、マイカ、シリカ、カ−ボンブラック、樹脂粉末等の無機/有機粉粒体を該ポリウレタン被膜に添加しても良い。また、必要に応じて界面活性剤を添加することもできる。 【0038】該ポリウレタンで、該生物活性物質の表面を被覆する方法には、公知慣用の方法を用いることができる。例えば、流動装置や噴流動装置により、該生物活性物質を流動状態にしたり、回転パン、回転ドラムなどにより該生物活性物質を転動状態にせしめ、ポリウレタン材料を滴下、噴霧等の方法で該生物活性物質に添加し、該生物活性物質の表面を被覆し、ポリウレタンを形成させることにより被覆生物活性物質を製造することができる。 【0039】該ポリウレタンの被覆割合は、該被覆生物活性物質に対し1〜20重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜15重量%の範囲である。 【0040】本発明の生物活性物質組成物は、本発明の被覆生物活性物質と被覆されていない生物活性物質とを含有するものである。被覆されていない生物活性物質には、本発明の被覆生物活性物質に使用した生物活性物質を用いることができる。その形状は粉状、粒状、および顆粒状の何れであっても良いが、本発明においては粒状であることが好ましく、特に該生物活性物質の平均粒子径A1と該被覆生物活性物質の平均粒子径A2との比A1/A2は0.67〜1.5の範囲であることが好ましい。その形状が粒子状であり、さらにA1/A2が0.8〜1.25の範囲であるばあいには、該生物活性物質組成物が分級し難いことから好ましい。 【0041】該生物活性物質組成物の組成は特に限定されるものではないが、偏りすぎると少量施用時の効果発現が危ういことから、最も少ない生物活性物質含有粒状物に対する最も多い生物活性物質含有粒状物の混合割合を重量比で50倍以下とすることがよく、好ましくは20倍以下、さらには15倍以下とするのが好ましい。 【0042】本発明の作物の栽培方法は、本発明の被覆生物活性物質または本発明の生物活性物質組成物を用いたものであればよく、特に限定されるものではない。栽培方法の具体例としては、栽培期間中に散布・施用する生物活性物質の全量若しくはその内の大部分を、育苗開始時、本圃への播種時、または本圃への苗の移植時に施用する方法が挙げられる。使用する本発明の被覆生物活性物質は1種類でも良く、放出機能(放出パターンや放出抑制期間の長さ)や種類の異なる被覆生物活性物質を2種以上混合したものであっても構わない。また、施用する時期も限定されるものではなく、育苗開始時に育苗箱や育苗ポットなどの育苗容器に施用してもよく、本圃へ播種若しくは移植すると同時に施用してもよい。 【0043】該栽培方法においては、対象とする作物が限定されるものではないが、食用作物、飼料作物、工芸作物等の圃場作物、果樹、蔬菜、花卉等の園芸作物に用いることができる。食用作物としてはイネ、麦類、トウモロコシ、イモ類、マメ類を挙げることができ、飼料作物としてはイネ科、マメ科、飼料用根菜を挙げることができ、工芸作物としては嗜好料作物(茶等)、香辛料作物(コショウ等)、油料作物(ゴマ等)、糖料作物(甜菜等)、繊維作物(綿花等)を挙げることができ、果樹としては仁果類(リンゴ等)、核果類(モモ等)、柑橘類、熱帯果樹(パイナップル等)を挙げることができ、蔬菜としては葉菜類、根菜類、果菜類を挙げることができ、花卉としては1年草、2年草、宿根草、花木等を挙げることができる。 【0044】 【実施例】以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。 (粒子Aの製造)粒径500μm以下の粒度に粉砕された硫酸加里(和光純薬工業株式会社製:特級)90重量部と硫酸マグネシウム七水和物(和光純薬工業株式会社製:特級)10重量部とを原料として、廃糖蜜の2倍希釈液(水希釈)を散布しながら、該原料を少量ずつ円盤回転式造粒機に供給し造粒を行った。得られた粒子は大型送風定温乾燥機(アドバンテック東洋株式会社製:FV−1500)中で乾燥した後に取り出し、篩で2.0〜4.0mmのものを篩い分けし、粒子Aを製造した。円盤回転式造粒機:皿径400mm;回転数15rpm、乾燥温度105℃、12時間【0045】(粒子Bの製造)殺虫作用を有する農薬成分として1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(以下、CPNIAと略称する。)(純度70重量)3重量部、ベントナイト65重量部、クレー31重量部、リグニンスルホン酸ナトリウム1重量部を均一に混合し、ニーダーで加水し混練した。この混合物をスクリュー押し出し式造粒機(ダイスの穴径0.8mm)で押し出し造粒した後、該造粒物を、回転円盤式整粒機(不二パウダル製、マルメライザーQJ400)を用いて下記の運転条件で整粒し造粒物を得た。次に、該造粒物を熱風循環乾燥機を用いて100℃で乾燥後、篩分けによって1.0〜1.4mm(篩目開き)の粒子Bを得た。 整粒機の運転条件運転方式 :回分式運転時間 :1min目皿ピッチ:1mm回転数 :788r/min仕込量 :1.5kg(1回当たり) 【0046】実験例1粒状尿素(平均粒径3 .4mm )920gを、熱風発生機を付設した温度制御可能な傾斜パン型転動造粒機(パン径450mm )に仕込み、20〜45RPMで回転させ該粒状尿素を転動状態にした。該装置を加熱して該粒状尿素の温度を65〜75℃に維持し、転動状態を維持した。プロピレングリコール(分子量:76、水酸基当量:38)を6.8g、ポリプロピレングリコール(分子量:700、水酸基当量:350)を35.3g、及びアミン触媒としてジメチルエタノールアミンを0.8gの混合液、およびポリメリックMDI(粘度:120mPa・s/25℃ )38gを、送液ポンプを用いて加温されかつ転動状態にある該粒状尿素にそれぞれ40分間で添加した。その後、10分間65〜75℃の範囲に保持することにより被覆生物活性物質を得た。 【0047】実験例2〜9被膜材料として表1に示した材料に変更した以外は実験例1に準じて被覆生物活性粒状物を製造した。被膜組成を表1に示した。 【0048】 【表1】
PG :プロピレングリコール(水酸基当量:38) GC :グリセリン(水酸基当量:31) TPG :トリプロピレングリコール(水酸基当量:96) PPG−1:ポリプロピレングリコールジオール(分子量:400,水酸基当量:200) PPG−2:ポリプロピレングリコールジオール(分子量:700、水酸基当量:350) PPG−3:ポリプロピレングリコールトリオール(分子量:300、水酸基当量:100) PPG−4:ポリプロピレングリコールトリオール(分子量:308、水酸基当量:103) PPG−5:ポリプロピレングリコールトリオール(分子量:700、水酸基当量:233) PPG−6:ポリプロピレングリコールトリオール(分子量:444、水酸基当量:148) pMDI :ポリメリックMDI(粘度:130mPa/25℃) 【0049】実験例10粒状尿素を粒子Aに変更した以外は実験例1に準じて被覆生物活性粒状物を製造した。被膜組成を表1に示した。 【0050】実験例11粒状尿素を粒子Bに、被覆率を12%に変更した以外は実験例4に準じて被覆生物活性粒状物を製造した。被膜組成を表1に示した。 【0051】〔評価1〕尿素溶出日数の測定温度が25℃に保持された200mlの水に、被覆生物活性物質をそれぞれ10gずつ浸漬して静置した。所定期間後、該被覆生物活性物質と水とに分け、水中に溶出した尿素を定量分析により求めた。該被覆生物活性物質を再び25℃に保持された200mlの水に浸漬して静置し、所定期間後、同様の分析を行った。この様な操作を反復し、水中に溶出した尿素の溶出累計と日数の関係をグラフ化して溶出速度曲線を作成し、80%溶出率に至る日数を求めた。結果を表2に示す。 【0052】〔評価2〕加里溶出日数の測定温度が25℃に保持された200mlの水に、被覆生物活性物質をそれぞれ10gずつ浸漬して静置した。所定期間後、該被覆生物活性物質と水とに分け、水中に溶出したカリウムを炎光分析により求めた。該被覆生物活性物質を再び25℃に保持された200mlの水に浸漬して静置し、所定期間後、同様の分析を行った。この様な操作を反復し、水中に溶出した尿素の溶出累計と日数の関係をグラフ化して溶出速度曲線を作成し、80%溶出率に至る日数を求めた。結果を表2に示す。 【0053】〔評価3〕農薬放出日数の測定被覆生物活性物質をキャップ付試験管(12mm×72mm)に水を1.5ml入れ、試験管1本当たり1粒投入後キャップをした。これを100管(粒)ずつ水温25℃の各温度で静置した。試験開始から毎日観察を行い、それぞれ該被覆生物活性物質の被膜崩壊の個数をカウントし、累積崩壊数を累積放出率とした。結果を表2に示す。 【0054】 【表2】
【0055】実験例1〜6、10、および11では、D1/DTが0.4以上となり、良好な時限溶出型の溶出パターンを示した。しかし、単一ポリオールを用いた実験例7ではD1が短く時限溶出型とはならなかった。さらに実験例8および9のように、ブレンドしたポリオールでも水酸基当量が大きかったり小さかったりした場合も時限溶出型の溶出パターンとはならなかった。 【0056】本発明の被覆生物活性物質を用いて栽培試験を行った。 実験例12育苗用の床土としてくみあい黒粒培土((株)くみあい協友社製)3000gを内寸が縦58cm、横28cm、深さ3cmの水稲用育苗箱に入れ、その表面を平らにし、催芽種籾(品種:森のくまさん)150gを均一かつ層状に播種した後に、肥料として実験例1の被覆生物活性物質を500g施用した。この上に、床土と同じ培土1000gを用いて覆土して、十分に潅水した。該育苗箱を気温18〜28℃で20日間育苗した。育苗管理は表層が乾燥しないように適宜潅水したほかは慣行法に準じた。 【0057】実験例13被覆生物活性物質を実験例7のものに代えた以外は実験例12に準じて栽培試験を行った。 【0058】実験例14被覆生物活性物質を加えない以外は実験例12に準じて栽培試験を行った。 【0059】実験例12および13で育苗の様子を観察した結果、実験例12は実験例14と同様に揃った苗を育成することができたのに対し、実験例13では苗が揃わず、また一部では肥焼けの兆候が見られた。育苗終了後は熊本県水俣市のミニチュア水田において栽培を行い、実験例12の苗は慣行栽培並に生育することを確認した。 【0060】 【発明の効果】本発明の被覆生物活性物質は、溶出速度や溶出パターンの制御が容易であり、時限溶出型の溶出パターンにおいても、初期溶出期間中の溶出を効果的に抑制することができる。本発明の栽培方法は、栽培初期の生育障害を起こすことなく生物活性物質含有粒状物の施用作業を著しく軽減することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002071 【氏名又は名称】チッソ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年12月20日(2001.12.20) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−183104(P2003−183104A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月3日(2003.7.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−388247(P2001−388247) |
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