| 【発明の名称】 |
無炭化樹木乾溜液の殺菌剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】曽我部 俊教
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】無炭化樹木乾溜液の製造方法。 【請求項2】無炭化樹木乾溜液の殺菌剤としての利用。 【請求項3】無炭化樹木乾溜液を加工した殺菌繊維及び殺菌合成樹脂。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、樹木を原料にした殺菌剤に関する。 【0002】 【従来の技術】現在、樹木由来の抗菌物質はヒノキ精油に代表される精油類である。しかし少量しか取れず高価であり、油性のため使い勝手も悪い。また抗菌力は強いものではなく、ヒノキ精油ですら黄色ブドウ球菌や大腸菌には効果があるが緑膿菌には無効である。 【0003】木酢液(樹木乾溜液ともいう)は非常に強い殺菌力はある。しかし、強烈な臭いと強酸性のために殺菌剤として広く使用されることはなかった。 【0004】その他、天然系抗菌剤として使用されているものに、カテキン、キトサン他のものがあるが、やはり他の殺菌剤に較べて割高で、抗菌力も弱い。そのために広く普及していない。 【0005】更に、抗菌・防臭を目的に繊維等に加工されている天然物質では、ヒノキ精油の他、ヨモギ、ドクダミ、アロエ、シソ、キトサン、カテキン等々があるが、抗菌力はほとんどないのが現状であり、効果の持続時間も短い。 【0006】木酢液は繊維に加工した後も強い抗菌作用があり、その効果は長期間持続することを発見して実施したのは発明者であるが、キツイ臭いのために普及しなかった。 【0007】このように、殺菌及び利用範囲の面からは、天然系抗菌剤で最も優れた機能の木酢液だが、臭いがキツいため広く利用されていない。 【0008】このような、木酢液の優れた機能を保持しつつ、欠点を除去するためになされたのが本発明である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】殺菌・抗菌剤には、有機系、無機系、合成系、天然系とあるが、長期的な人体への影響を考えると天然系が安全で望ましい。 【0010】そこで発明者は木酢液の研究を続ける中で、臭いのない木酢液づくりを考えていた。木は無尽蔵であり、その中に様々な機能性物質が含まれていて、抗菌性を有する物質も多く存在する。 【0011】多くの研究者も当然に、樹木の抗菌性物質に注目して研究している。しかし現在の研究方法は、成分ごとの抗菌性を調べる方式であるため、抗菌力を持つ成分は多数発見しているが、実用的に使用できるものは見つかっていない。木酢液についても同様に決定的な成分が見つかっていない。 【0012】現在、樹木抽出物では精油が最も実用的な抗菌物質と考えられていて、樹木抽出物とは一般的には精油のことを指すほどである。 【0013】ところが、精油は香がよいが抗菌力は弱く、持続時間も短い。一部錯体化やエステル化等の処理をして抗菌時間の延長を試みてはいるが、コスト的に実用化には至らないと考えられる。 【0014】このように、従来の研究の延長線上では、樹木を原料とした実用的な抗菌物質を作ることは不可能で、どう考えても木酢液以外はない。 【0015】木酢液は決定的な殺菌物質が不明に関わらず、高濃度ではほぼ全ての細菌を殺菌する。しかも低濃度では一部細菌の繁殖が促進される。 【0016】木酢液はくん煙として、肉や魚の保存のために使われていて、殺菌力は古くから認められていたが、殺菌力のある有効成分については未だ明白ではない。 【0017】木酢液は木材の熱分解生成物で、酸およびラクトン類、アルコール類、エステル類、アルデヒド及びその誘導体、ケトン類、塩基類、炭化水素類、フラン類で構成されていることは解っている。ただ成分については未知物質も多く存在し、全部が解明されていないのが実情である。 【0018】ここで発明者は、常識を捨てた。無菌化できるような強い殺菌力があるにも関わらず、原因成分が特定されていないということは、殺菌の概念を根本的に変えないと説明できない。また薄めると、細菌の成長を促進させることも、従来の常識では説明できない。 【0019】そこで、木酢液の殺菌力は熱分解生成物ばかりでなく、本来樹木が持っていた抗菌物質が、炭化過程の途中で混入していると考えた。 【0020】樹木が加熱されると、炭化の有無に関わらず、内部の水分は高温になり活発に働く。その為にリグニンの一部をはじめ、様々な物質が溶け出す。それに伴い、各種酵素やホルモンの働きが活性化され、多くの菌が浸入した時と同じ状態になり、対抗するための抗菌物質が多数生成される。 【0021】そして、樹木を生物として観察すると、より多くの子孫を繁栄させるために生存する生命である。 【0022】強い殺菌成分は自身にも毒になるので、病原菌を含む外敵別に対応するよう、様々な抗菌物質や、抗菌物質原料と殺菌物質を生産するシステムも持っていて、必要に応じてそれらを使って、優れた耐病原性をもつと考えるほうが生命活動としては合理的である。よって、特定の物質を調べる現在の研究方法では、樹木原料の実用的な殺菌剤は開発することはできないと確信した。 【0023】樹木は生命活動をしていて、病気になると治療システムが活動すると考えたのである。そして木酢液の殺菌力は、熱分解生成物によるものは僅かで、多くは加熱によって生成されるものであり、樹木より溶出するものも含まれると考えた。 【0024】 【課題を解決するための手段】そこで、発明者は木酢液の製造方法を参考にしてニオイのないものを作るよう工夫した。 【0025】まず、辺材より自由水を取って実験したが、抗菌性はほとんどなかった。木酢液採集においても、初めに出る水蒸気分、すなわち自由水が主なものは抗菌力がほとんどない。よって樹木にある抗菌力は結合水または、それ以外によるものである。 【0026】結合水と自由水を分けて採集することはできないので、樹木の状態で自由水を取り除いておかなければならない。自由水は、水の通り道であるパイプの集まった辺材に多いので、心材と同程度の含水率にする。含水率は樹種や伐採時期、場所によって相当違う。杉の辺材では平均すると130%程度、桧で40%程度で、心材の辺材に対する含水比率は杉で1/2弱、桧で1/3弱である。 【0027】乾燥させて、辺材の含水率を心材と同程度にして自由水を減少させた後、280℃以下の炭化しない温度で加熱乾燥して、その時発生する結合水主体の溶液を採集した。 【0028】採集方法は図1のごとく、気化した溶液を冷却したものと、樹木より滲出して乾燥機内部に流れ出る溶液を採集するだけの簡単なものである。 【0029】採集した溶液は、木酢液のように木が炭化していないために、強烈な臭いがない。性状は無色に近い薄黄色で透明感があり微香で、水より少し粘度がある。PH3.5〜PH6.0までと幅広く、樹種や採集時間によって変化するし、貯蔵していても変化する。比重は1.01〜1.02で水より少し重い。天然物なので不安定であり、木酢液によく似ている。この時、精油が水溶液表面に浮いているので、使い勝手をよくするために除去する。この水溶液を無臭木酢液と命名したいが、熱分解生成物の酢酸がないので木酢液の名は使えない。よって、仮に無炭化樹木乾溜液と呼ぶ。 【0030】無炭化樹木乾溜液の殺菌力を調べると、驚異的な効果が判明した。これを繊維に含浸させて乾燥したものを、(財)日本紡績検査協会で試験したところ、殺菌活性値が3.0であり、木酢液より優れた結果であった。この結果は常識では考えられない。 【0031】この結果より、無炭化樹木乾溜液は乾燥後も、継続的して殺菌活性を有することが証明され、木酢液と共通する殺菌作用があることが判明した。当然、溶液に強い殺菌力があることは明白である。 【0032】これは、樹脂他樹木に含まれる成分が総合的に作用するためであり、単に抗菌成分だけのものではないと推測される。 【0033】原料は、樹木が持っている病原菌に対抗する成分と熱によって生成された成分であるため、木酢液と同様に樹種には関わりなく、全樹種の他、竹でもよく無限にある。 【0034】また無炭化樹木乾溜液の多様な作用を探るために、ソバ種子、ならびにモチアワ種子で発芽試験を試みた。蒸留水で薄めて、0%、1%、2%、5%、10%、100%溶液として実施したところ、2%以上の溶液で明らかに発芽促進効果が認められ、毒性がないことが証明された。これは常識では解らない不思議な現象である。 【0035】ここに、無炭化樹木乾溜液という安全で、安い、優れた殺菌能力をもつ画期的な天然系抗菌剤が誕生した。 【0036】無炭化樹木乾溜液は、樹木内の水溶液を取り出したものであり、構造体に変化はない。採集後も通常の木材と何ら変わることなく使用することができる。よってコストが非常に安い。また木材が原料のため、不振の林業に貢献することができ、地球環境を保護する上からも望ましい資材である。 【0037】 【作用】無炭化樹木乾溜液の殺菌剤は、優れた殺菌力をもつが、特定の強い殺菌力をもつ成分ではなく、多くの抗菌性がある物質の総合的な働きであるので安全であり、食品を始め広い分野の利用が可能である。ソバ種子、モチアワ種子での発芽試験の結果によっても、発芽促進作用があり安全で安心できる。 【0038】すなわち、細菌に対しては殺菌力をもつが、動物、植物には毒性がない。天然由来の殺菌剤としての特性をもっている。そして、乾燥した後も殺菌力が持続するために食品包材他、人体への安全性が必要なもの全てに広く利用することができる。 【0039】 【実施例】樹木を伐採した後、木材に含まれる自由水を減少させる。水の通り道であるパイプの集まった辺材に自由水が多いので、心材と同程度の含水率になるように乾かす。その後、図1のように乾燥機で280℃以下程度の炭化しない温度で過熱して、その過程で樹木より発生する気化した溶液と、乾燥機室内に滲出する溶液を全て採集する。そして、表面に浮いている精油分を取り除く。これが製造方法であり、できたものが無炭化樹木乾溜液である。 【0040】無炭化樹木乾溜液を布や紙や不織布の繊維に、噴霧あるいはどぶ漬けして定着させた後乾燥させる。布の場合は染料に混入させると、現工程を変更させることなく仕上がるので、噴霧乾燥の工程が不要である。湿式不織布や紙の場合は、乾燥工程があるのでその手前で噴霧あるいはどぶ漬けすれば、現設備を変更させずに加工できる。無炭化樹木乾溜液を加工した繊維は、継続的に殺菌力を有する。 【0041】合成樹脂のフイルムに定着させる場合は、無炭化乾溜液が表面に均一にならないため、粘度の強い液状樹脂を無炭化樹木乾溜液に混入させて、ロールで押さえて均一化した後、乾燥させる。 【0042】その他複雑な形の合成樹脂商品には、粘度の強い液状樹脂を無炭化樹木乾溜液に加えて塗布すればよい。 【0043】当然、繊維にも液状樹脂を加えた無炭化樹木乾溜液を塗布してもよい。 【0044】 【発明の効果】無炭化樹木乾溜液は、樹木に含まれる溶液を取り出すだけであるので、構造を変質させない。取った後は一般の木材と同等に使用することができる。そのため非常にコストが安い。 【0045】無味、微香で色調も無色に近いため、食品に直接使用できる他、広範囲の用途開発ができる。 【0046】水溶性のため使い勝手がよい。 【0047】乾燥した後も長期に渡り殺菌力を持続するため、包装材料に加工すると、優れた包装材料になる。 【0048】このように優れた効果を有するが、特定成分の抗菌力に頼らず、多種多様な成分によるものであるので、植物や動物にとって長期的に安全であることが最大の長所である。 【0049】
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| 【出願人】 |
【識別番号】598095042 【氏名又は名称】株式会社森林研究所
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| 【出願日】 |
平成13年11月7日(2001.11.7) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−146821(P2003−146821A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−380725(P2001−380725) |
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