トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 無機系抗菌剤を用いた病虫害の防除方法および水質改善方法。
【発明者】 【氏名】井上 直史

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる金属イオンの内の少なくとも1種を含有した無機系抗菌剤を用いることを特徴とする病虫害防除方法および水質改善方法。
【請求項2】前記の金属イオンがZnおよび/またはCuイオンであることを特徴とする請求項1に記載された病虫害防除方法および水質改善方法。
【請求項3】前記の無機系抗菌剤が酸化物および/あるいは水酸化物であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載された病虫害防除方法および水質改善方法。
【請求項4】 抗菌剤が多孔質物質に担持されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された病虫害防除方法および水質改善方法。
【請求項5】 無機系の抗菌剤を100〜1500℃で焼成し再生することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された病虫害防除方法および水質改善方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、魚の養殖池の病虫害の防除方法および、湖、池、川、ゴルフ場の池、プール等の貯水槽の水質改善方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 魚の養殖池の病虫害の発生が大きな問題になっている。統計によればその損害額は出荷額の10%前後にもなっている。特に近年、効率を上げるため池の面積当たりの魚の数を増やしているため、この損害が大きくなる傾向がある。この対策として種々の薬剤が用いられているが、人体への安全性、環境の汚染等の問題があり、薬剤の使用を止めるべきであるとの議論がある。池の面積当たりの魚の数を減少させれば、かなり病虫害は減少できるが、経済的な問題がありかなり難しい。抗菌剤を使用することも試みられてきたが、従来よく用いられた有機系抗菌剤は安全性、環境汚染の点で問題があり、無機系の銀系抗菌剤は効果がほとんどないと言った問題があった。また、最近湖、池、川、ゴルフ場の池、プール等の貯水槽のあおこ退治、などの水質改善が重要な課題になっているが、有効な方法がない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 魚の養殖池の病虫害を、人体に安全で、環境汚染がなく、安価な方法で、効果的に防除する方法を提供することである。また、最近湖、池、川、ゴルフ場の池、プール等の貯水槽のあおこ退治、などの水質改善の、人体に安全で、環境汚染がなく、安価な方法で、効果的な方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】 本発明者は、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる金属イオンの内の少なくとも1種を含有した無機系抗菌剤を用いる養殖池の病虫害防除方法により上記の課題が達成出来ることを見出した。以下に本発明について詳細に説明する。無機抗菌剤の金属イオンはZnおよび/またはCuイオンが好ましく、さらに、無機系抗菌剤が酸化物および/あるいは水酸化物であることが好ましい。また、抗菌剤が多孔質に担持されていることがより好ましい。これらの多孔質物質が焼結体であることも好ましい。これらの無機系抗菌剤を焼成し再生する方法を用いることが好ましい。本発明では抗菌という言葉を、抗かび、消毒、殺菌、減菌、滅菌、消臭という概念を含む言葉として使用する。
【0005】本発明でこれらの無機系抗菌剤の該金属イオンの含有量が2〜82重量%であることが好ましい。20〜82重量%であることがさらに好ましい。
【0006】これらの無機系抗菌剤として用いられる酸化物、水酸化物は下記式(1)〜(5)で表されるものがより好ましい。さらに好ましいものは下記式の(1)と(4)である。
x1-xO (1)
(式中、NはMgおよび/あるいはCaを示し、MはMn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群から選ばれた金属イオンの少なくとも一種を示し、xは0.02<x<0.8である)
1-x(OH)2 (2)
(式中、M、N、xは式(1)と同じである)
(MO)・(LO) (3)
(式中、M、は式(1)と同じで、Lはアルカリ金属イオンを表し、yは0.0001<y<0.1である)
(MO)・(Al23・(SiO2 (4)
(式中、M、は式(1)と同じ。aは0.00≦a<50で、bは0.00≦b<80である。ただし、a=0の場合、bは0.001≦b<80であり、b=0の場合、aは0.001≦a<50である。)
(MO)・(XO (5)
(式中、M、は式(1)と同じ。XはTiおよび/またはZrを表す。cは0.001<c<0.2を表す。)
(上記式(1)〜(5)において、MはCuあるいはZnがより好ましく、Znがさらに好ましい。また、上記式(1)および(2)式のNはMgがより好ましい。上記式(3)のLはNa、Kが好ましい。また、上記式(4)のa,bはより好ましくは、aは0.00≦a<2で、bは0.00≦b<20である。ただし、a=0の場合、bは0.001≦b<20であり、b=0の場合、aは0.001≦a<2である。さらに好ましくはaは0.00≦a<0.2で、bは0.00≦b<1である。ただし、a=0の場合、bは0.001≦b<1であり、b=0の場合、aは0.001≦a<0.2である。)
【0007】本発明の好ましい無機系抗菌剤の例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。 ( )内の数字は順に、BET表面積(m/g)、粒度D50%(μm)、ZnあるいはCuの含有量(重量%)を表す。
(A− 1)Zn0.14Mg0.86O(15、0.5、19.9)
(A− 2)Zn0.05Ca0.95O(12、0.6、19.9)
(A− 3)Zn0.40Mg0.60O・(Al230.50(60、0.3、24.3)
(A− 4)ZnO・(Al230.04 (30、0.4、76.5)
(A− 5)Cu0.05Ca0.95O(18、0.2、5.7)
(A− 6)Cu0.14Mg0.86O(30、0.3、19.4)
(A− 7)(CuO)0.4・Al23・(SiO2)16・5H2O(15、0.2、2.3)
(A− 8)ZnO・(K2O)0.005 (120、0.3、80)
(A− 9)ZnO・(Na2O)0.005 (90、0.3、80)
(A−10)ZnO・(SiO0.05 (25、0.2、77.5)
(A−11)ZnO(30、0.3、80.3)
(A−12)A−4の表面をラウリン酸ナトリウムで修飾した抗菌剤【0008】 本発明の無機系抗菌剤は表面処理されることが好ましい。 表面処理剤として好ましく用いられるものを例示すれば次の通りである。ステアリン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸類;前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩;ステアリルアルコール、オレイルコール等の高級アルコールの硫酸エステル塩;ポリエチレングリコールエーテルの硫酸エステル塩、アミド結合硫酸エステル塩、エステル結合硫酸エステル塩、エステル結合スルホネート、アミド結合スルホン酸塩、エーテル結合スルホン酸塩、エーテル結合アルキルアリルスルホン酸塩、エステル結合アルキルアリルスルホン酸塩、アミド結合アルキルアリルスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤類;オルトリン酸とオレイルアルコール、ステアリルアルコール等のモノまたはジエステルまたは両者の混合物であって、それらの酸型またはアルカリ金属塩またはアミン塩等のリン酸エステル類;ビニルエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシーエトキシ)シラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ベーター(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤類;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等のチタネート系カップリング剤類;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤類;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等の多価アルコールと脂肪酸のエステル類。この中でも、高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、カップリング剤(シラン系、チタネート系、アルミニウム系)および多価アルコールと脂肪酸のエステル類からなる群から選ばれた表面処理剤の内の少なくとも一種による表面処理が好ましく、さらにステアリン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸類および前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩が特に好ましい。表面処理は特開2001−123071号の実施例1記載の方法に準じた方法で行うことができる。
【0009】 本発明の無機系抗菌剤の粒度D50%が0.05〜20μmが好ましく、0.05〜10μmがより好ましく、0.05〜5μmがさらに好ましい。粒子サイズは、5分間以上超音波で分散させられた後に、レーザー散乱法で測定した値である。抗菌剤のBET表面積は重要な指標である。一般に抗菌効果を迅速に働かすためには、極めて大きいBET表面積が好ましい。しかし、一方では抗菌効果を持続させるためにはある程度以下の値にする必要がある。そのため、BET表面積は1〜300m/gが好ましく、5〜150m/gがより好ましく、10〜150m/gがさらに好ましい。これらの無機系抗菌剤の製造方法としては、特開平6−72816号、特開平6−65011号、特開平8−291011号、特開平8−48606号、特開平11−123385号、特開平11−180808号、特開平11−209258号、特開2000−63219号記載の方法を用いることができる。
【0010】本発明で用いられる多孔質の物質として好ましいものは、活性炭、木炭、カーボンナノチューブ等の炭素系、シリカゲル、アエロジル、ホワイトカーボン、高シリカ粘土、シリカゾル、多孔質ガラス、シリカ繊維、けいそう土、ケイ酸カルソウム等のコロイダルシリカ系、天然ゼオライト、合成ゼオライト等のゼオライト系、賦活アルミナ、アルミナ等のアルミナ系、骨炭、天然アパタイト、合成アパタイト等のアパタイト系、フラースアース、活性白土、活性ボーキサイト、活性酸化マグネシウム、等がある。これらの多孔質物質は「吸着の科学」(近藤精一著、丸善出版、2001年2月発行)183〜217頁、「吸着剤・吸着操作の設計」(柳井弘著、技報堂出版、1982年1月発行)48〜53頁に記載されている。中でも、多孔質ガラス、天然ゼオライト、合成ゼオライト等のゼオライト系、鉱滓、賦活アルミナ、アルミナ等のアルミナ系が好ましい。これらのなかではゼオライト、鉱滓が最も好ましい。また、焼成時に変化しないものが好ましい。
【0011】 多孔質物質のBET表面積は10m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましく、200m2/g以上がさらに好ましく、600m2/g以上が最も好ましい。多孔質物質の平均サイズは0.01〜100μmが好ましく、0.05〜30μmがより好ましく、0.1〜10μmが最も好ましい。
【0012】 これらの多孔質物質は球状、板状等のいずれの形の粒子でもよく、またある大きさの形に焼結で形成されたものが好ましい。これらの多孔質物質、特にゼオライトに抗菌剤を担持させる場合は、特開平11−246322号の参考例1に準じた方法で行うことができる。また、特開平6−72816号、特開平6−65011号、特開平8−291011号、特開平8−48606号、特開平11−123385号、特開平11−180808号、特開平11−209258号、特開2000−63219号記載の抗菌剤の方法において合成時に担持体を共存させる方法で担持させることも好ましい。
【0013】 本発明で無機系抗菌剤を用いる際は、無機系抗菌剤を微粒子として、あるいは造粒して、あるいは多孔質物質に担持させた形で養殖池に播いてもよい。また焼結等で適切な形にして、養殖池に投入してもよい。
【0014】 金網等に無機系抗菌剤を粒状にしてそのまま、多孔質物質に担持させた形であるいは、焼結等で適切な形にしていれ、養殖池に吊す方法は好ましい。この方法によればゴミ等で抗菌剤が覆われる、あるいは多孔質物質の孔が塞がれ、抗菌作用が低下した場合に、金網を上げて、抗菌剤を取り出し、高温で焼成することで容易に抗菌剤の活性を回復できる。
【0015】焼成温度は使用する抗菌剤の組成、粒子サイズ、抗菌剤を担持する担持体の種類で異なるが、100〜1500℃が好ましく、150〜800℃がより好ましく、200〜600℃がさらに好ましい。焼成持の雰囲気は限定される訳ではないが、大気の雰囲気と同一、もしくは大気より酸化的雰囲気が好ましい。酸化反応で付着した有機物を除去するために、前記雰囲気がよい。焼成の時間は0.5〜200時間が好ましく、1〜100時間がより好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。
【0016】 本発明の病虫害の防除方法および水質改善方法は、魚の養殖池の病虫害の防除に用いることができる。魚は淡水魚でも海水魚でも好ましく用いられる。勿論魚のみでなく蝦、かに等のいわゆる水産物の養殖、魚も食用のみでなく観賞用のたとえば金魚、錦鯉、熱帯魚等の養殖にも好ましく用いられる。また、湖、ダム湖、池、川、ゴルフ場の池、プール、マンションの水道水、防災用水、水属館の水槽等の、いかなる貯水槽の水質改善に本発明の水質改善方法を用いることができる。
【0017】
【実施例1】 合成ゼオライトを造粒し(粒子サイズ1mm、BET表面積800m2/g)これに無機系抗菌剤A−4を混合し、700℃で焼成した。この抗菌剤含有ゼオライト(本発明ではこれも担持と称する)を鱒の養殖池に金網に入れ投入した。投入しなかった場合は、鱒の10%が病虫害で出荷できなかったが、この抗菌剤の投入によりこの率が2%に減少した。
【実施例2】 実施例1記載の抗菌剤含有ゼオライトを水槽に入れ、ビーカーに入れたあおこを含有した水に、このゼオライトを網に入れ吊した。3日間経過後、あおこはほとんどなくなり水は透明になった(第1実験)。このゼオライトを取り出し、前回と同様に網にいれ再び最初と同じビーカーに入れたあおこを含有した水中に吊した。今回は透明になるのに10日間要した(第2実験)。一方、第1実験で使用したゼオライトを大気の雰囲気で250℃で2時間焼成した。これを第2の実験と同様にあおこの除去に用いた。第1の実験同様に3日間で透明になった。 焼成により無機系抗菌剤の活性を再生できた。
【実施例3】 抗菌剤A−4の代わりに、A−1、3、6を用いた以外は実施例1を繰り返しほぼ同様の結果を得た。
【比較例1】 抗菌剤としてゼオライトに銀微粒子を担持したものを用いた以外は、実施例1を繰り返した。出荷できなかった割合は10%位で、抗菌剤無添加の場合と同じであった。
【実施例4】 特開平8−291011号の実施例1と同様にして抗菌剤の化合物例A−4を合成する際に、平均粒径3μmのゼオライトを共存させ、ゼオライト担持型の無機系抗菌剤を合成した。抗菌剤の組成としてはA−4とほとんど同じであった。このゼオライト担持抗菌剤を用いた以外は実施例1を繰り返し、同様の結果を得た。
【出願人】 【識別番号】501011875
【氏名又は名称】井 上 直 史
【出願日】 平成13年11月8日(2001.11.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−146818(P2003−146818A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−343226(P2001−343226)