| 【発明の名称】 |
殺菌・消毒用芳香族過酸組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】古田 太郎 【住所又は居所】大阪府柏原市玉手町24−12サラヤ株式会社バイオケミカル研究所内
【氏名】上田 明宏 【住所又は居所】大阪府柏原市玉手町24−12サラヤ株式会社バイオケミカル研究所内
【氏名】黒木 信 【住所又は居所】大阪府柏原市玉手町24−12サラヤ株式会社バイオケミカル研究所内
【氏名】兒島 幸子 【住所又は居所】大阪府柏原市玉手町24−12サラヤ株式会社バイオケミカル研究所内
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| 【要約】 |
【課題】従来品であるグルタルアルデヒドや過酢酸より優れた殺菌力を有し、なおかつ安定で無臭の取扱いの容易な殺菌・消毒剤を提供することである。
【解決手段】m−クロロ過安息香酸(MCPBA)を主成分として用いることにより高い殺微生物活性を有する殺菌・消毒剤を得ることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】m−クロロ過安息香酸(MCPBA)を含有する殺菌・消毒剤組成物【請求項2】請求項1において、可溶化剤としてアルコールやグリコールなどの溶剤を含有する殺菌・消毒剤 |
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明はm−クロロ過安息香酸(MCPBA)を含有する安定な殺菌・消毒剤に関する。より詳しくは医療用器具や内視鏡等に付着する一般的な細菌の他、抗酸菌、細菌芽胞、真菌やウィルスも殺滅可能な高度消毒剤に関する。 【0002】 【従来の技術】医療用器具の殺菌・消毒剤として主にグルタルアルデヒド製剤が使用されてきた。しかし近年、グルタルアルデヒド製剤に一部の抗酸菌が耐性を示したことや細菌芽胞に対する殺菌作用が低いこと、また、グルタルアルデヒドに対するアレルギー性が問題となっている。そこでグルタルアルデヒドに代わる殺菌・消毒剤として過酢酸が注目され汎用されつつある。すなわち過酢酸はグルタルアルデヒドに比べて殺菌力が高く、グルタルアルデヒドに耐性を有する抗酸菌や細菌芽胞に対しても優れた効果を発揮する。また、分解物は酢酸と水、過酸化水素(さらに酸素と水に分解される)であるため毒性が低く、環境にもやさしい殺菌剤である。しかし問題点として安定性がやや低いことと、一部の金属に対する腐食性、酢酸様の刺激臭があげられる。そこでこれらに代わり、より安定で使いやすい殺菌・消毒剤が求められている。 【0003】本発明のm−クロロ過安息香酸(以下MCPBAと略する)は有機合成において、高い反応性と取扱いやすさから酸化剤として汎用される試薬である。一方、その強い酸化力ゆえに高い殺微生物活性も有していることが報告されている。 【0004】MCPBAをはじめとする芳香族過酸の殺微生物活性に関する特許として例えば、米国特許4221660では固体のまま懸濁状態で使用し、種々の微生物に対して有効であることが示されている。米国特許3248336では芳香族過酸を同量のtert−ブタノールに可溶化させた組成について示されているがブタノールの臭いが強く、発火点が低いことが欠点としてあげられる。英国特許1566671では芳香族カルボン酸誘導体と過炭酸ナトリウムなどの過酸化水素発生物質を加えて芳香族過酸を発生させる方法が示されているが、反応速度が遅いという問題がある。また、米国特許4917815では可溶化・安定化剤として過グルタル酸を含有する安定な芳香族過酸水溶液を開示している。 【0005】以上のように、芳香族過酸は全般的に水に対する溶解度が低く、水溶液として使用する殺菌・消毒剤としては実用化に至っていない。また、その殺菌力を詳しく検討された報告例も少ない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高い殺微生物活性を有し、なおかつ安定で無臭の取扱いの容易な殺菌・消毒剤を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、MCPBAの殺菌力を詳細に検討した結果、水に対するMCPBAの溶解度よりもはるかに低濃度で優れた殺微生物活性と、高い安定性を有し、高度殺菌・消毒剤として有用であることを発見するに至った。即ち本発明は、MCPBAを含有する殺菌・消毒剤組成物である。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の殺菌・消毒剤は、MCPBAを有効成分として含有する。MCPBAは白色粉末状で市販されており微かに芳香臭を有するが、水溶液ではほぼ無臭である。MCPBAの水への溶解度は0.154g/100mlであるが、エタノールやグリコール等の水溶性アルコール類に可溶であるため、可溶化剤としてエタノールやグリコール等を処方することにより高濃度のMCPBA製剤を製造することができる。一般に高濃度の過酸化合物は、高温や衝撃により爆発の危険性があるため取扱い面での制約がある。しかし本発明のMCPBAは衝撃に対しても比較的安定な過酸化合物であるため、輸送面でも取扱いが容易な過酸系殺菌・消毒剤である。 【0009】本発明のMCPBAを含有する殺菌・消毒剤は、MCPBAを水、好ましくは精製水に溶かしてMCPBA0.001〜0.15%を含有する水溶液を調製する。この際エタノールやグリコールなどの可溶化剤を用いれば、より高濃度のMCPBA水溶液を調製できる。 【0010】さらに上記のMCPBA水溶液に、その他の成分としてキレート剤や界面活性剤、pH調整剤などを含有しても良い。過酸化合物は金属イオンや有機物などの微量の不純物により分解が促進される。そこでキレート剤を用いて金属イオンを除去することにより過酸化合物の安定性を向上させることが知られている。例えば、有機系キレート剤として、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸や2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸などの有機リン酸およびこれらの塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)やニトリロ三酢酸などのアミノカルボン酸およびこれらの塩、8−ヒドロキシキノリン、ジピコリン酸、ルチジンなどの窒素系環状化合物がある。無機系キレート剤としてオルトリン酸や、ピロリン酸、ポリリン酸などの縮合リン酸およびこれらの塩類がある。界面活性剤はMCPBAの可溶化剤および湿潤剤として添加されうる。好ましくはポリエチレンポリプロピレンブロックポリマー型、ポリオキシエチレンフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンソルビタン型などの非イオン界面活性剤が良い。 【0011】 【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。 【0012】試験に使用した溶液は、MCPBA(Aldrich Chemical Company,Inc.)を精製水に溶かして調製した。調製したMCPBA水溶液の濃度測定はヨウ素滴定法により行った。試液1gを正確に量りとり三角フラスコに入れ、0.1規定酢酸溶液100ml、15%ヨウ化カリウム試液10ml、でんぷん指示薬を加える。遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定することにより、過酸を定量した。 【0013】(実施例1と比較例1)栄養型細菌に対する殺菌力 供試菌として、ブドウ球菌(Staphylococcus aureus、ATCC6538)および緑膿菌(Pseudomonoas aeruginosa、ATCC15442)を用いた。0.001%および0.005%MCPBA水溶液4.5mlに、菌液(菌数約108CFU/ml)を0.5ml接種した。室温で10分間作用させた後、0.5mlを不活化剤4.5mlに移して不活化させた。不活化剤としては0.5%チオ硫酸ナトリウム、0.2%カタラーゼ、0.1%トリプトン、および0.85%塩化ナトリウムを加えた水溶液を用いた。不活化後の試験液は段階希釈してトリプトソーヤ寒天培地で混釈し、37℃で24〜48時間培養後のコロニー数をカウントし、初発菌数からの対数減少値を求めた。表1には比較例として過酢酸を用いて同様に試験した結果も含めて示した。 【0014】 【表1】
【0015】(実施例2と比較例2)抗酸菌および細菌芽胞に対する殺菌力 抗酸菌(Mycobacterium terrae、ATCC15755)および枯草菌芽胞(Bacillus subtilis、IFO17322)を用いて実施例1に従い殺菌力を検討した。作用条件は■室温、10分■50℃、10分■室温、24時間の3条件で行った。抗酸菌はMycobacteria 7H11agar培地を用いて37℃で2週間培養し、コロニー数をカウントした。表2には比較例として過酢酸を用いて同様に試験した結果も含めて示した。 【0016】 【表2】
【0017】以上のようにMCPBAは栄養型細菌、抗酸菌、細菌芽胞に対して過酢酸と同等以上の高い殺菌力を示した。 【0018】(実施例3と比較例3)安定性試験 MCPBA0.1%水溶液を調製し、室温で24時間静置して濃度変化を調べた。比較例として過酢酸を用いて同様に試験した結果も含めて表3に示した。 【0019】 【表3】
【0020】以上より、MCPBA水溶液は同濃度の過酢酸に比べて優れた安定性を示した。 【0021】 【発明の効果】以上述べたように、本発明のMCPBAは過酢酸よりも優れた殺菌力および安定性を示し、これに代わる高度消毒剤として利用できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000106106 【氏名又は名称】サラヤ株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市東住吉区湯里2丁目2番8号
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| 【出願日】 |
平成13年11月14日(2001.11.14) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−146807(P2003−146807A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−388498(P2001−388498) |
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