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【発明の名称】 安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物
【発明者】 【氏名】大徳 義巳
【住所又は居所】大阪府吹田市芳野町18−23 昭和化工株式会社内

【要約】 【課題】危険物質、有害物質等の規制に対応し、運搬や保管上の問題がなく、最近の環境汚染物質排出移動登録(PRTR)による化学物質の厳しい管理にも対応し得る、安全性が高く且つ優れた安定性を有するオルトフタルアルデヒド組成物を提供する。

【解決手段】オルトフタルアルデヒド及び乳酸を含有する安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 オルトフタルアルデヒド及び乳酸を含有する安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物。
【請求項2】 オルトフタルアルデヒド、乳酸及び水を含有する安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物。
【請求項3】 乳酸がD体、L体及びDL体から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物。
【請求項4】 氷点以下でも凍結しない請求項1又は2に記載の安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば製紙工業におけるスライム、各種工業用の冷却水や洗浄水、金属加工油剤、繊維油剤、塗工液などの防腐や殺菌用に有用な安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、オルトフタルアルデヒドは防腐殺菌力に優れ、消毒薬あるいは防菌防腐剤の成分として有用であり、例えば、粉末やフレーク、あるいは蒸留された留分を直接容器に流し込み冷却固化させた固形物などがある。しかし粉末やフレーク状ではブロッキングしやすく、その粉砕の際に作業者が皮膚や粘膜に刺激を受ける欠点が有る。
【0003】このような観点から、オルトフタルアルデヒドは予め液状とすることが好ましく、各種の有機溶媒と混合した組成物が特許出願されている。例えば特開平8−157307号、特開平8−302594号、特開平9−110612号、特開平9−110616号、特開2000−178222等が例示される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ここで使用されている例えばプロピレンカーボネート、グリオキシム誘導体、又はその酸付加物、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトンなどは構造が複雑で、高価な化合物であったり、危険性あるいは有害性を有する化合物である。またジメチルアセトアミドやジメチルホルムアミドなどは殆どのプラスチック容器を浸蝕し、運搬や保管上問題となる。
【0005】一方、特開平11−140010号では水及び水溶性脂肪族アルコールを含有させたオルトフタルアルデヒド安定化組成物が記載されているが、水溶性脂肪族アルコールとしては、例えばグリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アルコール系溶剤などが挙げられ、このうち前2者はコスト的にも高価であったり、危険性、有害性を有する化合物であり、アルコール系溶剤としては2−プロパノールや1−オクタノールが使用されているが、これらは揮発性を有したりあるいは危険性を有するものである。また最近は環境汚染物質排出移動登録(PRTR)による化学物質の厳しい管理(環境保護及び企業化の観点)も視野に入れることも要求されている。
【0006】本発明の課題は、危険物質、有害物質等の規制に対応し、運搬や保管上の問題がなく、最近の環境汚染物質排出移動登録(PRTR)による化学物質の厳しい管理にも対応し得る、安全性が高く且つ優れた安定性を有するオルトフタルアルデヒド組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、オルトフタルアルデヒド及び乳酸を含有する安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物に係る。また本発明は、オルトフタルアルデヒド、乳酸及び水を含有する安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物に係る。
【0008】本発明において乳酸としては、例えばDL−乳酸で述べれば引火点は110℃で何ら消防法による危険物でもなく、また食品にも添加される安全性に優れた化合物である。一方、従来オルトフタルアルデヒドの安定化に使用されているジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドは引火点が60〜69℃であり、いずれも消防法上の引火性液体であり、アミン臭も若干あり、前者はPRTR法で厳しく管理される化合物でもある。また、ジメチルアセトアミドやジメチルホルムアミド等はプラスチック等の樹脂を溶かす可能性があるため、使用する容器の材質や作業等に使用する器具等の選定にも制限が生じる【0009】ところで特開平6−264397号にはオルトフタルアルデヒドを有効成分とする製紙用スライム防除剤が、特開2000−290112にはオルトフタルアルデヒド及び有機リン化合物を有効成分とする工業用抗菌剤組成物が記載され、いずれにおいても併用可能な有機溶剤の例の1つとして、乳酸エチルが挙げられている。しかし乳酸エチルは例えばDL−乳酸エチルで述べれば引火点が53℃で消防法上の引火性液体であり、また乳酸ほど安全性の高いものではない。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるオルトフタルアルデヒドは比較的低毒性の芳香族ジアルデヒドであって、公知の方法により、容易に製造することができる。また市販品としても入手可能であり、通常粉末またはフレーク状の形態である。
【0011】本発明で用いられる乳酸はD体、L体、DL体のいずれでも良く、また乳酸が縮合したラクチル乳酸、ジラクチル乳酸、トリラクチル乳酸等を含んだものであっても良い。使用する乳酸の濃度は特に限定されず、例えば0.1〜100%のものを用いることができる。市販品としても容易に入手可能である。100%の乳酸は固体状であり、通常は90%以下の液状のものが使用に便利である。しかしDL−乳酸は融点が18℃であるので25℃程度の室温では液状である。乳酸は原則的にはオルトフタルアルデヒドの溶媒として機能するが、水酸基やカルボキシル基を有するので、一部反応に関与している可能性もあるが、そのようなものも含まれる。本発明では上記乳酸以外に、さらに水を含んでいても良い。
【0012】本発明においてオルトフタルアルデヒドの組成物中における割合は0.1〜70重量%、より好ましくは10〜40重量%である。本発明において乳酸の組成物中における割合は0.1〜99重量%、より好ましくは40〜72重量%である。
【0013】本発明において水の割合は0〜99重量%、より好ましくは6〜40重量%である。本発明の安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物は、水の含有量に依存するが、通常、水の含有量が6〜40重量%のときは氷点下でも凍結せず寒冷地での取り扱い、作業性に優れたものとなる【0014】本発明では本発明の目的を妨げない範囲で、アミド類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類等を併用することもできる。アミド類としては、例えばジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなど、アルコール類としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、炭素数8までのアルコール類など、エーテル類としては、例えばメチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ジブトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフランなど、エステル類としては、例えばメチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、乳酸エチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、フタル酸ジメチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシメチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、プロピレンカーボネートエチレングリコールジアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレートなど、ケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロンなどを挙げることができる。
【0015】本発明では本発明の目的を妨げない範囲で更に分散剤、界面活性剤、増粘剤、防錆剤、オルトフタルアルデヒド(以下、OPALという)以外の殺菌、制菌剤などを併用することもできる。
【0016】本発明においては、オルトフタルアルデヒド、乳酸および必要に応じて水、有機溶剤、添加剤等を混合することにより目的とする組成物を得ることができる。混合は通常、攪拌装置の付いたタンクなどを使用することができる。本発明の安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物は、例えば製紙工業におけるスライム、各種工業用の冷却水や洗浄水、金属加工油剤、繊維油剤、塗工液などの防腐や殺菌用に用いることができる。
【0017】
【実施例】以下に実施例および試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、何らこれに限定されるものではない。
【0018】実施例1〜7表1に示した配合によりOPAL、乳酸の含水物とを混合、攪拌し均一な安定性に優れた溶液を得た。
【0019】試験例1実施例1〜7の組成物を−10℃、10日間保存し、凍結の有無等外観を観察した。組成物の組成及び10日後の外観を表2に示した【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
【発明の効果】本発明の安定化されたオルトフタルアルデヒド組成物は、使用する乳酸が食品添加剤として用いられるほど安全性に優れたものであり、危険物質、有害物質等の規制に対応し、運搬や保管上の問題がなく、最近の環境汚染物質排出移動登録(PRTR)による化学物質の厳しい管理にも対応し得る、安全性が高く且つ優れた安定性を有するという顕著な効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000186979
【氏名又は名称】昭和化工株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島1丁目2番2号
【出願日】 平成13年10月16日(2001.10.16)
【代理人】 【識別番号】100081536
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 巌
【公開番号】 特開2003−128505(P2003−128505A)
【公開日】 平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願番号】 特願2001−318475(P2001−318475)