| 【発明の名称】 |
殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤、及びこれを用いた殺蠅方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】勝田 純郎
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| 【要約】 |
【課題】マット又はリキッドの形態で使用される殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤に最適な有効成分を選定し、殺虫効力、安全性、使用性、製造性など全ての点ですぐれた殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤、及びこれを用いた殺蠅方法の提供。
【解決手段】有効成分として式Iのエステル化合物を含有する殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤、該殺虫剤を用いる殺蠅方法、及びマット又はリキッドの形態にある上記殺虫剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】有効成分として、一般式I:【化1】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す)で表される2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のプロパルギルフリルメチルアルコールエステル化合物を含有し、加熱して蒸散させるマット形態又はリキッド形態としたことを特徴とする殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤。 【請求項2】請求項1記載の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤において、厚さ1.0〜3.0mm、表面積7〜15cm2のパルプ質マットに、有効成分として、一般式I:【化2】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す)で表される2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のプロパルギルフリルメチルアルコールエステル化合物を30〜150mg含浸させ、及び揮散調整剤としてピレスロイド用共力剤もしくは高級脂肪酸エステルの1種又は2種以上を前記有効成分に対して0.5〜10倍量配合し、並びに少なくとも2個の第三ブチル基を有するフェノール系安定剤もしくは少なくとも2個の第三ブチル基を有するハイドロキノン系安定剤の1種又は2種以上を前記有効成分に対して0.1〜1.0倍量配合し、放熱板上で加熱して前記有効成分を蒸散させるマット形態としたことを特徴とする殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤。 【請求項3】請求項2記載の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤において、有効成分が5−プロパルギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートであることを特徴とする殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤。 【請求項4】請求項2記載の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤において、有効成分が5−プロパルギル−2−メチル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートであることを特徴とする殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤。 【請求項5】請求項1記載の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤において、有効成分としての一般式I:【化3】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す)で表される2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のプロパルギルフリルメチルアルコールエステル化合物を1〜6%、及び溶剤として沸点が180〜350℃の範囲にある脂肪族炭化水素又は水を含有する薬液をプラスチックボトルに充填し、この薬液に一部浸漬した吸液芯の上部を加熱して有効成分を蒸散させるリキッド形態としたことを特徴とする殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤。 【請求項6】請求項5記載の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤において、有効成分が5−プロパルギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートであることを特徴とする殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤。 【請求項7】請求項5記載の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤において、有効成分が5−プロパルギル−2−メチル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートであることを特徴とする殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤。 【請求項8】有効成分として、一般式I:【化4】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す)で表される2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のプロパルギルフリルメチルアルコールエステル化合物を含有するマット形態又はリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を加熱して前記有効成分を蒸散させることを特徴とする殺蝿方法。 【請求項9】請求項8記載の殺蝿方法において、厚さ1.0〜3.0mm、表面積7〜15cm2のパルプ質マットに、有効成分として、一般式I:【化5】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す)で表される2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のプロパルギルフリルメチルアルコールエステル化合物を30〜150mg含浸させ、及び揮散調整剤としてピレスロイド用共力剤もしくは高級脂肪酸エステルの1種又は2種以上を前記有効成分に対して0.5〜10倍量配合し、並びに少なくとも2個の第三ブチル基を有するフェノール系安定剤もしくは少なくとも2個の第三ブチル基を有するハイドロキノン系安定剤の1種又は2種以上を前記有効成分に対して0.1〜1.0倍量配合するマット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を放熱板上で加熱して前記有効成分を蒸散させることを特徴とする殺蝿方法。 【請求項10】請求項9記載の殺蠅方法において、有効成分が5−プロパルギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートであることを特徴とする殺蠅方法。 【請求項11】請求項9記載の殺蠅方法において、有効成分が5−プロパルギル−2−メチル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートであることを特徴とする殺蠅方法。 【請求項12】請求項8記載の殺蝿方法において、有効成分としての一般式I:【化6】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す)で表される2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のプロパルギルフリルメチルアルコールエステル化合物を1〜6%、及び溶剤として沸点が180〜350℃の範囲にある脂肪族炭化水素又は水を含有する薬液をプラスチックボトルに充填し、この薬液に吸液芯の一部を浸漬したリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を加熱蒸散器に装着し、前記吸液芯の上部を加熱して有効成分を蒸散させることを特徴とする殺蝿方法。 【請求項13】請求項12記載の殺蠅方法において、有効成分が5−プロパルギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートであることを特徴とする殺蠅方法。 【請求項14】請求項12記載の殺蠅方法において、有効成分が5−プロパルギル−2−メチル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートであることを特徴とする殺蠅方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、有効成分として、一般式I:【化7】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す)で表される2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のプロパルギルフリルメチルアルコールエステル化合物を含有する殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤、及びこれを用いた殺蠅方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】蚊の成虫駆除用殺虫剤としては、蚊取線香や電気蚊取マット、液体式電気蚊取(リキッド)の燻焼・加熱蒸散殺虫剤が一般的で、近年、蚊の発生が減少しているもののその需要は依然として多い。そして、その有効成分として(±)−2−アリル−3−メチル−シクロペント−2−エン−1−オン−4−イル(+)−シス、トランス−クリサンテマート(以降、ピナミンフォルテと称す)や、その立体異性体、例えばエスバイオスリンやエスビオール、あるいは、(+)−2−プロパルギル−3−メチル−シクロペント−2−エン−1−オン−4−イル、(+)−シス,トランス−クリサンテマート(以降、エトックと称す)、5−プロパルギル−2−フリルメチル(+)−シス,トランス−クリサンテマート(以降、フラメトリンフォルテと称す)などの菊酸エステル化合物が広く使用されている。 【0003】一方、ハエについては、都市部では発生が減っているが、漁村、魚介類加工場、ゴミ処理場や畜舎、鶏舎等の周辺など、局地的には従来以上に悩まされる機会が多くなっている。ハエの発生源対策用として乳剤、油剤、粉剤などの殺虫剤が使用されるほか、一般家庭で成虫駆除用に空間エアゾールが汎用されているが、一過性で効果の持続性に乏しいという欠点がある。このため、空間処理剤であって、かつ効果が数時間以上持続し得る燻焼・加熱蒸散殺虫剤(線香,マット,リキッドタイプ)への要望が高まってきた。 【0004】ところで、マットタイプの加熱蒸散器の放熱板中心部の温度は160〜180℃、リキッドタイプの加熱蒸散器の金属リングの温度は120〜140℃で、蚊取線香の有効成分揮散部と比べると低く、マットやリキッドタイプは拡散力がやや劣るものの、閉めきった部屋や煙を嫌う場面での使用には適している形態である。 【0005】本発明者は、まず、従来から蚊取線香、マット等に使用されている前記菊酸エステル化合物の適用を試みたが、ピナミンフォルテやエトックはハエに対する効力が弱く、製剤中の有効成分濃度をアップしても十分な殺虫効力を得ることができなかった。フラメトリンフォルテの線香については効力が認められたが、更に効力をアップさせる必要があり、また経済性の点でも問題があった。マットあるいはリキッドタイプの殺蠅用加熱蒸散殺虫剤についても同様で、フラメトリンフォルテが高濃度で殺蠅効力を示したのに対し、ピナミンフォルテやエトックは高濃度でも無効であった。本発明者は、また、有効成分として市販ピレスロイドのなかで最も蒸気圧の高いエムペントリンを選択し、これを含有するハエ取線香を既に開発したが、コスト的に不利なうえ、揮散性が高すぎて製造時乾燥工程でのロスが免れえず、必ずしも満足のいくものではなかった。従って、殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤に最適な有効成分の選定は重要な課題であった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、マット又はリキッドの形態で使用される殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤に最適な有効成分を選定し、殺虫効力、安全性、使用性、製造性など全ての点ですぐれた殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤、及びこれを用いた殺蠅方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明者は、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸エステルが、対応する菊酸エステルに比べて蒸気圧が高く、燻焼・加熱蒸散殺虫剤の形態で用いた時、殺虫活性が向上し得ることに着目し、先の試験で効力の認められたフラメトリンフォルテの2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸誘導体(以降、テフラメトリンと称す)を含有する燻焼・加熱蒸散殺虫剤について試験を行ったところ、高い殺蠅効力を示すことを認めた。本発明者は、更に鋭意研究を続けた結果、一般式Iで表される2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のプロパルギルフリルメチルアルコールエステル化合物が特異的に有用であることを知見し、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸エステルであっても、例えば、(+)−2−プロパルギル−3−メチル−シクロペント−2−エン−1−オン−4−イルや、4−プロパルギルベンジルアルコールのエステルなどは殺蠅効力が弱く、従って高い殺蠅効果を奏する殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤は、プロパルギルフリルメチルアルコールと、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸を組み合わせた化合物を用いて初めて得られることが明らかとなった。 【0008】請求項1の発明は、課題を解決する手段として、前述したとおり、有効成分として、一般式I:【化8】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す)で表される2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のプロパルギルフリルメチルアルコールエステル化合物を含有し、加熱して蒸散させるマット形態又はリキッド形態としたことを特徴とする殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤に係るものである。 【0009】上記一般式Iで表されるエステル化合物は、エステル合成の常法に従い、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸又はその反応性誘導体と一般式II:【化9】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す)で表されるプロパルギルフリルメチルアルコール又はその反応性誘導体とを反応させることにより調製し得る。カルボン酸の反応性誘導体としては、酸ハライド、酸無水物、アルカリ金属塩などが挙げられ、一方、アルコールの反応性誘導体としては、ハライドなどが挙げられる。反応は必要に応じて適当な溶媒中で必要により脱酸剤又は触媒としての有機又は無機塩基もしくは酸の存在下に、必要により加熱下に、また必要により不活性雰囲気中で行われる。 【0010】一般式Iで表される化合物のうち、本発明の目的に有用なものとして次の化合物を例示することができる。本発明では、もちろん、1種だけでなく、2種以上を混合して用いてもよい。 (1)化合物1(テフラメトリン) 次式:【化10】
で表される5−プロパルギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート(2)化合物2次式:【化11】
で表される5−プロパルギル−2−メチル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート(3)化合物3次式:【化12】
で表される5−プロパルギル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート【0011】請求項2の発明は、請求項1の構成において、厚さ1.0〜3.0mm、表面積7〜15cm2のパルプ質マットに、有効成分として、一般式Iのエステル化合物を30〜150mg含浸させ、及び揮散調整剤としてピレスロイド用共力剤もしくは高級脂肪酸エステルの1種又は2種以上を前記有効成分に対して0.5〜10倍量配合し、並びに少なくとも2個の第三ブチル基を有するフェノール系安定剤もしくは少なくとも2個の第三ブチル基を有するハイドロキノン系安定剤の1種又は2種以上を前記有効成分に対して0.1〜1.0倍量配合し、放熱板上で加熱して前記有効成分を蒸散させるマット形態としたものである。 【0012】請求項3の発明は、請求項2の構成において、有効成分として5−プロパルギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートを用いたものである。 【0013】請求項4の発明は、請求項2の構成において、有効成分として5−プロパルギル−2−メチル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートを用いたものである。 【0014】請求項5の発明は、請求項1の構成において、有効成分としての一般式Iのエステル化合物を1〜6%、及び溶剤として沸点が180〜350℃の範囲にある脂肪族炭化水素又は水を含有する薬液をプラスチックボトルに充填し、この薬液に一部浸漬した吸液芯の上部を加熱して有効成分を蒸散させるリキッド形態としたものである。 【0015】請求項6の発明は、請求項5の構成において、有効成分として5−プロパルギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートを用いたものである。 【0016】請求項7の発明は、請求項5の構成において、有効成分として5−プロパルギル−2−メチル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートを用いたものである。 【0017】請求項8の発明は、有効成分として、一般式Iのエステル化合物を含有するマット形態又はリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を加熱して前記有効成分を蒸散させる殺蝿方法に係る。 【0018】請求項9の発明は、請求項8の構成において、厚さ1.0〜3.0mm、表面積7〜15cm2のパルプ質マットに、有効成分として、一般式Iのエステル化合物を30〜150mg含浸させ、及び揮散調整剤としてピレスロイド用共力剤もしくは高級脂肪酸エステルの1種又は2種以上を前記有効成分に対して0.5〜10倍量配合し、並びに少なくとも2個の第三ブチル基を有するフェノール系安定剤もしくは少なくとも2個の第三ブチル基を有するハイドロキノン系安定剤の1種又は2種以上を前記有効成分に対して0.1〜1.0倍量配合するマット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を放熱板上で加熱して前記有効成分を蒸散させる殺蝿方法に係る。 【0019】請求項10の発明は、請求項9の構成において、有効成分として5−プロパルギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートを用いたものである。 【0020】請求項11の発明は、請求項9記載の構成において、有効成分として5−プロパルギル−2−メチル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートを用いたものである。 【0021】請求項12の発明は、請求項8の構成において、有効成分としての一般式Iのエステル化合物を1〜6%、及び溶剤として沸点が180〜350℃の範囲にある脂肪族炭化水素又は水を含有する薬液をプラスチックボトルに充填し、この薬液に吸液芯の一部を浸漬したリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を加熱蒸散器に装着し、前記吸液芯の上部を加熱して有効成分を蒸散させたものである。 【0022】請求項13の発明は、請求項12の構成において、有効成分として5−プロパルギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートを用いたものである。 【0023】請求項14の発明は、請求項12の構成において、有効成分として5−プロパルギル−2−メチル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートを用いたものである。 【0024】 【作用】請求項1の構成によると、一般式Iのエステル化合物の高い殺蠅効力と、この化合物の有する適度な揮散性から、蚊はもちろん、ハエに有効な殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤が提供される。なお、これらに従来のピレスロイド、例えば、ピナミン、ピナミンフォルテ、バイオアレスリン、エスバイオスリン、エスビオール、エトック、エムペントリン、あるいはフラメトリンフォルテなどを適宜配合してもかまわないし、また、必要ならば、ピペロニルブトキサイド、MGK−264、サイネピリン500、S−421、リーセン384などのピレスロイド用共力剤を加えてもよい。更に、殺菌剤、忌避剤、消臭剤、芳香剤などを適宜添加して多目的殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤とすることもできる。 【0025】請求項2の構成によると、殺蠅効力にすぐれたマット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を得ることができる。有効成分として配合される一般式Iのエステル化合物の含量は、マットあたり30〜150mgで、好ましくは40〜150mgである。有効成分の他、通常、揮散調整剤、安定剤、香料、染料などが配合され、常法に従いマットを調製し得る。なお、一般式Iのエステル化合物は、ピナミンフォルテやエトックと比べると揮散性が高いのでマットの厚さを薄くする必要がなく、厚さは適宜選定しうる。 【0026】また請求項2において、揮散調整剤として、ピレスロイド用共力剤、もしくは高級脂肪酸エステルの1種又は2種以上をさらに配合したので、使用初期から使用終期まで安定した殺蠅効力を維持することができる。ピレスロイド用共力剤としては、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ〔2.2.2〕オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(サイネピリン500)、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(MGK−264)、ピペロニルブトキサイドなどがあげられ、一方、高級脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピルなどをあげることができるが、これらに限定されるものではない。また、安定剤を更に配合するので、有効成分、染料の経時安定性、ならびにマット加熱蒸散時の安定性を増強することができる。 【0027】請求項3の構成によると、有効成分として一般式Iのエステル化合物の中でも有用なテフラメトリンを用いたので、より性能のすぐれたマット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散剤を得ることができる。 【0028】請求項4の構成によると、有効成分として一般式Iのエステル化合物の中でも有用な化合物2を用いたので、より性能のすぐれたマット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散剤を得ることができる。 【0029】一般に、一般式Iのエステル化合物を含め、ピレスロイド系化合物は、有効成分に対して0〜0.02倍量のジブチルヒドロキシトルエンを配合することによって、原体の状態では長期間安定に保存することができる。しかしながら、各種製剤中での安定性は、有効成分の種類、選択する安定剤の種類、量によって著しく異なり、製剤ごとに有効成分の安定性を評価しなければならない。一般式Iのエステル化合物の安定性はピナミンフォルテに比べると若干劣るが、経時的安定性のみならず、加熱蒸散時の安定性も著しく増強し、高い殺蠅効果を奏し得ることができる。なお、安定剤の種類、量を種々検討した結果、沸点が250℃以上の少なくとも2個の第三ブチル基を有するブチル基を有するフェノール系安定剤を、一般式Iのエステル化合物に対して0.1〜1.0倍量配合することが好ましく、一方、例えば、3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシアニソールや2−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシアニソールのようなモノ−ターシャリーブチル−フェノール系安定剤は効果がなく、また、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミンやフェニル−β−ナフチルアミンのようなアミン系安定剤についても効果は低かった。沸点が250℃以上のものが有効な理由は、有効成分の一般式Iのエステル化合物が200〜250℃付近から揮散するので、安定剤自身、この温度で揮散しないことが必要なためと考えられる。 【0030】用いられる安定剤としては、次のようなものが挙げられるがもちろんこれらのみに限定されるものではない。 (1)2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール(BHT)〔安定剤A〕 (2)2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)〔安定剤B〕 (3)2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)〔安定剤C〕 (4)4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)〔安定剤D〕 (5)4,4′−チオビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)〔安定剤E〕 (6)2−ターシャリーブチル−6−(3−ターシャリーブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート〔安定剤F〕 (7)2,4−ジ−ターシャリーブチルフェニル 3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエート〔安定剤G〕 【0031】染料は使用時に有効成分の残存程度を知る目的で配合されるので、保存時、あるいは使用時に変色しないことが要求される。少なくとも2個の第三ブチル基を有するフェノール系安定剤としては、前述したものが好適であり、少なくとも2個の第三ブチル基を有するハイドロキノン系安定剤としては、例えば、2,5−ジ−ターシャリーブチル−ハイドロキノン〔安定剤H〕のようなジ−ターシャリーブチルハイドロキノンを例示することができる。 【0032】請求項5の構成によると、長期間(30〜60日)にわたり吸液芯の目づまりがなく、しかも殺蠅効果にすぐれたリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を得ることができる。有効成分として配合される一般式Iのエステル化合物の含量は1〜6%で、好ましくは2〜6%である。有効成分、溶剤の他、必要ならば、香料、揮散調整剤、安定剤などが配合される。揮散調整剤、安定剤などは上記したものが使用できる。薬液を充填するプラスチックボトルや、薬液吸液芯は何ら限定されるものでなく、例えば吸液芯として、無機質材料を糊剤で固めたものの他、これを焼成したもの、あるいは、フェルト、綿、不織布などの編組、あるいはガラス、無機繊維、プラスチック、木材、多孔質セラミック、多孔質蒸散層からなり、好ましくは、その周囲をガラス、無機繊維、プラスチックなどの保持材で被覆したものなどを挙げることができる。また溶剤の沸点範囲が有効成分の加熱蒸散性に適し、高い殺蠅効力を奏しえるとともに、臭いが少なく毒性学上安全である。特に、n−パラフィン、イソパラフィン、ナフテン系の脂肪族炭化水素が好ましい。さらに溶剤として水を使用するので火気に対する危険性を解消することができる。この場合、各種非イオン型界面活性剤、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル系の可溶化剤(ミセル形成の有無にかかわらず、有効成分を水中で清澄な状態で安定化し得るものを指し、通常の界面活性剤の他、水および油を相溶する溶剤をも含む)が併用される。 【0033】請求項6の構成によると、有効成分として一般式Iのエステル化合物の中でも有用なテフラメトリンを用いたので、より性能のすぐれたリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散剤を得ることができる。 【0034】請求項7の構成によると、有効成分として一般式Iのエステル化合物の中でも有用な化合物2を用いたので、より性能のすぐれたリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散剤を得ることができる。 【0035】請求項8の構成によると、一般式Iのエステル化合物を含有する殺蝿用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を加熱蒸散させるので、高い殺蝿効力を有する殺蝿方法を提供し得る。 【0036】請求項9の構成によると、一般式Iのエステル化合物を含有するマット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を加熱蒸散させるので、閉めきった部屋や、煙を嫌う条件での使用に適した殺蠅方法を提供する。なお、マットは、通常放熱板中心部の温度を160〜180℃に加熱して用いられる。 【0037】請求項10の構成によると、有効成分として一般式Iのエステル化合物の中でも有用なテフラメトリンを用いたので、マット形態でのより有効な殺蠅方法を提供する。 【0038】請求項11の構成によると、有効成分として一般式Iのエステル化合物の中でも有用な化合物2を用いたので、マット形態でのより有効な殺蠅方法を提供する。 【0039】請求項12の構成によると、一般式Iのエステル化合物を含有するリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を加熱蒸散させるので、閉めきった部屋や、煙を嫌う条件で、長期間(30〜60日)殺蠅効力を維持できる殺蠅方法を提供する。通常、加熱蒸散器に収納し、金属リングの温度を120〜140℃に加熱して有効成分を蒸散させる。加熱蒸散器の構造、仕様は何ら制限されず、一般に入手できるものを任意に用いることができる。 【0040】請求項13の構成によると、有効成分として一般式Iのエステル化合物の中でも有用なテフラメトリンを用いたので、リキッド形態でのより有効な殺蠅方法を提供する。 【0041】請求項14の構成によると、有効成分として一般式Iのエステル化合物の中でも有用な化合物2を用いたので、リキッド形態でのより有効な殺蠅方法を提供する。 【0042】 【実施例】次に、実施例、試験例をあげて本発明をより詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらのみに限定されるものではない。 【0043】実施例1厚さ2.8mm、縦22mm、横35mmのパルプ質マットに、化合物2(5−プロパルギル−2−メチル−3−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート)80mg、サイネピリン500 100mg、安定剤H(2,5−ジ−ターシャリーブチル−ハイドロキノン)10mg、染料としてジイソプロピルアミノアントラキノン0.6mgを含浸させ、マット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を得た。このマットをアルミフィルム袋に収納し、室温で3年間保存した。開封後マットを取り出し、加熱蒸散器の放熱板(中央部,約170℃)上に載置して閉めきった部屋で使用したところ、12時間にわたり、蚊はもちろんハエに対して有効であった。また、使用時間経過とともに、染料は標準的に退色し、化合物2、染料とも経時安定性に問題はなかった。 【0044】実施例2テフラメトリン濃度が5%のn−パラフィン溶液45mlを内容積50mlのプラスチックボトルに充填し、保持具付吸液芯(外径7.0mm、長さ75.5mm)を打込んだ。吸液芯としては、ポリエステル繊維を束ねたものに同材質の編組物にシリコーンワニスを塗布したもので周囲を保持し、上面は熱により溶封したものを用いた。なお、n−パラフィンは沸点が250〜280℃の範囲のものである。得られたリキッドタイプの殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を金属リング温度が130℃の加熱蒸散器に装着し、通電した。1日(12時間)あたりの揮散量は30日間にわたり約1.5mlで、目づまりもなく、高い殺蠅効力を維持した。 【0045】試験例1実施例1に準じ、第1表に示す処方にてマット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を調製した。放熱板中心部の温度が約168℃の加熱蒸散器を用い、下記の連続通気法により殺蠅効力を評価したところ第1表に示す如くであった。なお、経時安定性は試験例1と同様な規準で評価し、仰転効果による殺蠅効力はエムペントリン1.0重量%の線香による効力を1.0とする相対効力で示した。 (連続通気法)内径20cm、高さ43cmのプラスチック製円筒を2段に重ね、その上に16メッシュの金網で上下を仕切った内径、高さ共に20cmの円筒(供試蠅を入れる場所)をのせ、更に、同径で高さ20cmの円筒をのせる。この4段重ねの円筒を台にのせ、台の中央に加熱蒸散器を置いて蒸散させる。そして、上部円筒に供試蠅約20匹を放ち、時間の経過に伴う仰転数を観察する。暴露20分後に全供試蠅を清潔なポリエチレン容器に移し、3%砂糖水を与え、保存24時間後に死虫率を調べる。 【表1】
【表2】
【表3】
【0046】試験の結果、テフラメトリン、化合物2、化合物3のような一般式Iのエステル化合物を含有するマット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤は、対照のピナミンフォルテ、エトックマットに比べて高い仰転効果、ならびに致死率を示した。ピナミンフォルテやエトックの場合、蚊には40mgないし10mgで有効であるが、ハエに対しては有効成分量を150mgにしても効力的に実用化は困難なレベルで、特に仰転効果が劣った。また、ピナミンフォルテやエトックは、一般式Iのエステル化合物に比べると蒸気圧が低いので含量を増やしても必ずしも蒸散量につながらず、使用後のマット残量が増加するだけであった。更に、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のエステルであっても、例えば、(±)−2−アリル−3−メチル−シクロペント−2−エン−1−オン−4−イルのエステルは殺蠅効力が低く、従って、プロパルギルフリルメチルアルコールと、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸を組み合わせたエステルが特に有用であることが明らかとなった。なお、対照有効成分(ピナミンフォルテやエトック)の蒸散量を上げる目的で、マットの厚さを1mm(本試験は2.8mm)のものに替えて試験したが、効力的にほとんど向上しなかった。 【0047】試験例2実施例2に準じ、第2表に示す処方にてリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を調製した。金属リングの温度が約132℃の加熱蒸散器に装着し、吸液芯上部を加熱した。試験例1に示した連続通気法により殺蠅効力を評価したところ第2表に示す如くであった。 【表4】
【表5】
【0048】試験の結果、テフラメトリン、化合物2、化合物3のような一般式Iのエステル化合物を含有するリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤は、対照のピナミンフォルテ、エトックリキッドに比べて高い仰転効果、ならびに致死率を示した。ピナミンフォルテやエトックの場合、蚊には2.6%ないし0.7〜1.3%で有効であるが、ハエに対しては有効成分濃度を6%にしても仰転効果が劣り、また、致死効果も極めて低かったことから、実用性は全く望めなかった。なお、ピナミンフォルテやエトックについて更に濃度をアップすることは、使用中に吸液芯の目づまりを招き適用は困難であった。従って、一般式Iのエステル化合物のリキッド形態における殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤としての有用性が確認された。 【0049】 【発明の効果】上記のように、請求項1の発明によるときは、蚊はもちろん、ハエに対する殺虫効力、安全性、使用性、製造性など全ての点ですぐれた殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を得ることができる。 【0050】請求項2ないし4の発明によると、殺蠅効力にすぐれ、使用初期から使用終期まで安定した殺蠅効力を維持し、なおかつ有効成分、染料の経時的安定性、ならびにマット加熱蒸散時の安定性が増強されたマット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を得ることができる。 【0051】請求項5ないし7の発明によると、長期間(30〜60日)にわたり、吸液芯の目づまりがなく、しかも殺蠅効力のすぐれ、臭いが少なく毒性学上安全であり、なおかつ、火気に対する危険性を解消し得るリキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を得ることができる。 【0052】請求項8の発明によると、有効成分として一般式Iのエステル化合物を使用することにより、特にハエに対する殺虫効力などに優れた殺蝿方法を提供することができる。 【0053】請求項9ないし11の発明によると、マット形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を加熱蒸散させることにより、閉めきった部屋や、煙を嫌う条件での使用に適し、かつ高い殺蠅効力を奏する殺蠅方法を提供することができる。 【0054】請求項12なしい14の発明によると、リキッド形態の殺蠅用燻焼・加熱蒸散殺虫剤を加熱蒸散させることにより、閉めきった部屋や、煙を嫌う条件で、長期間(30〜60日)殺蠅効力を維持できる殺蠅方法を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000207584 【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
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| 【出願日】 |
平成6年9月1日(1994.9.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068618 【弁理士】 【氏名又は名称】萼 経夫 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−119102(P2003−119102A) |
| 【公開日】 |
平成15年4月23日(2003.4.23) |
| 【出願番号】 |
特願2002−292466(P2002−292466) |
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