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【発明の名称】 有害生物防除剤
【発明者】 【氏名】中原 秀之
【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 株式会社アグロス内

【氏名】本藤 勝
【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号株式会社アグロス内

【氏名】廣田 清恵
【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号株式会社アグロス内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】(i)20〜65重量%の水に溶解するか又は水により糊化するデンプン、(ii)12〜30重量%のスチレン化フェノール界面活性剤及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤、及び(iii)15〜60重量%の非水溶性粉体を含有することを特徴とする有害生物防除剤。
【発明の詳細な説明】【0001】[発明の属する技術分野]本発明は有害生物防除剤に関する。
【0002】[従来の技術]デンプンを有効成分とする害虫防除剤は、例えば、特表平3−505876号、特開平7−126105号、特開平10−218703号、特開平11−343201号等で知られている。しかしながらこれらの害虫防除剤は、果皮の柔らかいミカンやミズナスの果実等の作物に薬害を引き起こす場合があり、また条件によっては水希釈性が悪化し、特に希釈水温が低い条件では糊化状態が良くないために殺ダニ効力が低下する等性能面で十分でない場合があった。以上のように、実際圃場での薬剤散布に際しては、種々の条件に遭遇するため防除効力が安定しない場合があり、より使用し易い効力の安定した剤の開発が求められていた。
【0003】[発明が解決しようとする課題]本発明の目的は、水希釈性に優れかつ有害生物に対する防除効力が安定して高く、適用作物への薬害が少ない優れた有害生物防除剤を提供することにある。
【0004】[課題を解決するための手段]本発明者等は、水に溶解するか又は水により糊化するデンプン、特定の界面活性剤及び非水溶性粉体の各々特定量を含有する組成物が、水希釈性が良好で、殺虫、殺ダニ効力が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は(i)20〜65重量%、好ましくは30〜60重量%の水に溶解するか又は水により糊化するデンプン、(ii)12〜30重量%、好ましくは15〜30重量%のスチレン化フェノール界面活性剤及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤、及び(iii)15〜60重量%、好ましくは20〜50重量%の非水溶性粉体、を含有する有害生物防除剤を提供するものである。
【0005】[発明の実施の形態]本発明において、「デンプン」とは天然に産するD−グルコースの重合体のみならず、アシル化体、アルキル化体、アリルエステル体、カルボキシアルキル化体、ヒドロキシアルキル化体等の誘導体、各種デキストリンや酸化デンプン等の化工デンプンをも含むものである。したがって、本発明に用いられる「(i)水に溶解するか又は水により糊化するデンプン」としては、例えばα化デンプン、アミロース及びアミロペクチンの分画物、酸化デンプン、酸処理デンプン、グラフト共重合体、デンプンエステル、デンプンエーテル、架橋デンプン等のデンプン誘導体、これらを酸分解、アルカリ分解、酵素分解又はこれらの組み合わせにより加水分解したものが挙げられる。これらの中で、効力面、使用面からα化デンプン及びデンプンエステルが好ましく、冷水可溶であるものが特に好ましい。
【0006】本発明において用いられる界面活性剤であるスチレン化フェノール界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸アミン、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアルキレンオキシドが付加されたものが挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤としては、例えば炭素数12〜22の脂肪族アルコールにエチレンオキシドを付加させて得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、高級脂肪族アルコールにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを付加させて得られるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられる。
【0007】本発明において用いられる非水溶性粉体としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、酸性白土、珪藻土、ゼオライト、軽石粉末、結晶セルロース、ホワイトカーボン等が挙げられ、粒径30μm以下のものが好ましい。
【0008】本発明の有害生物防除剤は、さらに増量剤、製剤用補助剤等を含有してもよい。増量剤としては、例えば尿素、ホウ酸、クエン酸、ブドウ糖、ソルビン酸カリウム、フマル酸、マレイン酸等の水溶性担体が挙げられ、製剤用補助剤としては、例えば溶媒、防菌防黴剤、効力増強剤、着色剤が挙げられる。また、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、植物生長調節剤等を混合することもできる。
【0009】本発明の有害生物防除剤は、通常、水で希釈して施用され、希釈割合は対象となる有害生物の種類、ステージ、気象条件等により異なるが、一般に(i)デンプンが200〜2400ppm、好ましくは300〜1200ppm、(ii)界面活性剤が120〜800ppm、好ましくは200〜600ppm、(iii)非水溶性粉体が200〜2600ppm、好ましくは200〜1500ppmとなる濃度である。また、施用量は一般に1m当りデンプンの施用量にして0.1〜0.7g程度である。
【0010】本発明の有害生物防除剤を施用する際には、必要により動力噴霧器、肩掛け噴霧器、ハンドスプレーヤー等の噴霧器を用い、水希釈液を有害生物、有害生物の生息場所、有害生物から保護すべき植物等に散布する。また、施用に際して、他の殺虫剤、殺ダニ剤や肥料、殺菌剤、植物生長調節剤等と混合して施用することもできる。
【0011】本発明の有害生物防除剤を施用することにより防除される有害生物(ダニ、昆虫、植物病原菌など)としては、例えば、ハダニ類(ミカンハダニ、リンゴハダニ、ナミハダニ、カンザワハダニなど)、グンバイムシ、アブラムシ類(ワタアブラムシ、ユキヤナギアブラムシ、エンドウヒゲナガアブラムシなど)、カメノコロウカイガラ、アザミウマ類(ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、チャノキイロアザミウマなど)等の小害虫、うどんこ病菌等が挙げられる。また、これらの有害生物から保護すべき植物としては、例えば、ミカン、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、オウトウ等の果樹、茶及びナス、キュウリ、トマト、イチゴ、ホウレンソウ、キャベツ、パセリ等の蔬菜類、バラ、キク、カーネーション、サクラ、ツバキ等の花卉、花木類などが挙げられる。
【0012】本発明の有害生物防除剤の作用は、基本的には物理的作用によるものと考えられる。すなわち、上記の有害生物に本防除剤が適用されることにより、有害生物に防除剤が付着してその行動が不能ないし著しく制約されることにより餓死したりあるいは他の虫獣に捕食されたり、防除剤によって呼吸器系等を塞がれることにより窒息するものと思われる。
【0013】[実施例]次に、本発明を製剤例及び試験例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。先ず、製剤例を示す。
製剤例1マツノリン500(α化デンプン、松谷化学工業商品名)50重量部、Soprophor 796/P(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリスチリルフェニルエーテル、ローディア日華商品名)15重量部、勝光山SPクレー(クレー、勝光山鉱業所商品名)25重量部及びカープレックス#80−D(ホワイトカーボン、塩野義製薬商品名)10重量部を均一に混合粉砕して水和剤を得た。
【0014】製剤例2マツノリン500(α化デンプン、松谷化学工業商品名)60重量部、Soprophor FL(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸アミン97%、ローディア日華商品名)20重量部及びカープレックス#80−D(ホワイトカーボン、塩野義製薬商品名)20重量部を均一に混合粉砕して水和剤を得た。
【0015】製剤例3マツノリン500(α化デンプン、松谷化学工業商品名)40重量部、Soprophor DSS/7(ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸、ローディア日華商品名)15重量部、エスカロン#200(炭酸カルシウム、三共精粉商品名)35重量部及びカープレックス#80−D(ホワイトカーボン、塩野義製薬商品名)10重量部を均一に混合粉砕して水和剤を得た。
【0016】製剤例4ブリバイン(アニオンエステル化デンプン、日澱化学商品名)40重量部、Soprophor BSU(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ローディア日華商品名)30重量部、勝光山SPクレー(クレー、勝光山鉱業所商品名)15重量部、カープレックス#80−D(ホワイトカーボン、塩野義製薬商品名)15重量部を均一に混合粉砕して水和剤を得た。
【0017】製剤例5マツノリン500(α化デンプン、松谷化学工業商品名)40重量部、Soprophor DSS/7(ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸、ローディア日華商品名)20重量部、ラジオライト#200(珪藻土、昭和化学工業商品名)25重量部及びカープレックス#80−D(ホワイトカーボン、塩野義製薬商品名)15重量部部を均一に混合粉砕して水和剤を得た。
【0018】製剤例6マツノリン500(α化デンプン、松谷化学工業商品名)40重量部、Soprophor DSS/7(ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸、ローディア日華商品名)20重量部、ゼオライト SP#2300(ゼオライト、日本粉化工業商品名)25重量部及びカープレックス#80−D(ホワイトカーボン、塩野義製薬商品名)15重量部を均一に混合粉砕して水和剤を得た。
【0019】製剤例7マツノリン500(α化デンプン、松谷化学工業商品名)40重量部、Soprophor DSS/7(ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸、ローディア日華商品名)20重量部、アビセル TG−101L(結晶セルロース、旭化成工業商品名)25重量部及びカープレックス#80−D(ホワイトカーボン、塩野義製薬商品名)15重量部部を均一に混合粉砕して水和剤を得た。
【0020】製剤例8マツノリン500(α化デンプン、松谷化学工業商品名)40重量部、NEWCOL 1103(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、日本乳化剤商品名)20重量部、勝光山SPクレー(クレー、勝光山鉱業所商品名)25重量部及びカープレックス#80−D(ホワイトカーボン、塩野義製薬商品名)15重量部を均一に混合粉砕して水和剤を得た。
【0021】比較剤1マツノリンM(α化デンプン、松谷化学工業商品名)50重量部、ソルポール5115(α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、東邦化学工業商品名)15重量部及び勝光山SPクレー(クレー、勝光山鉱業所商品名)35重量部を均一に混合粉砕して比較剤1を得た。
【0022】比較剤2マツノリン500(α化デンプン、松谷化学工業商品名)造粒品90重量部、ソルビタンモノオレエート(HLB値;4.3、和光純薬製)5重量部及び、Soprophor 796/P(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリスチリルフェニルエーテル、ローディア日華商品名)5重量部をミキサーで混合して比較剤2を得た。(特開平11−343201の製剤例8に対応)
【0023】次に本発明の有害生物防除剤が有効であることを試験例で示す。
試験例1:インゲンのカンザワハダニに対する防除試験直径7cm、高さ10cmのプラスチックポットにインゲン豆(つるなし)を植え、カンザワハダニを接種し、24時間後に死虫を取り除き、表1に示す各製剤を所定濃度に希釈して得た希釈液をハンドスプレーでインゲンに葉からしたたる程度十分量散布し、24時間後にカンザワハダニの死亡♀成虫数を調査した。(1区1ポット3連制)
死虫率は24時間後の死亡虫数を散布前の生存♀成虫数で割り100を掛けて算出した。結果を表1に示す。
【0024】
【表1】


【0025】上表から明らかなように、本発明とは異なる界面活性剤を使用した比較剤1においては、カンザワハダニに対する十分な殺ダニ効果は得られなかった。一方、本発明の有害生物防除剤は殺ダニ効果が格段に高く、かつインゲンに対する薬害は認められなかった。
【0026】試験例2:キュウリのワタアブラムシに対する防除試験直径7cm、高さ10cmのプラスチックポットにキュウリを植え、ワタアブラムシを接種して十分増殖させた。キュウリに寄生したワタアブラムシ数を計数した後、表2に示す本発明の有害生物防除剤及び比較剤の所定濃度希釈液をハンドスプレーでキュウリに葉からしたたる程度十分量散布し、24時間後にワタアブラムシの死亡虫数を調査した。(1区1ポット3連制)
死虫率は24時間後の死亡虫数を散布前の生存成虫数で割り100を掛けて算出した。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】

【0028】上表から明らかなように製剤例4はワタアブラムシに対して高い殺虫効力を示した。また、薬害は認められなかった。
【0029】[発明の効果]本発明の有害生物防除剤は、人及び環境に対して極めて安全なデンプンを有効成分とするものであり、従来のデンプン製剤に比較して水希釈性に優れ、殺虫・殺ダニ効力が高く、薬害の心配のない有害生物防除剤である。また、本発明の有害生物防除剤の作用は物理的作用のため、化学農薬と異なり薬剤抵抗性がつき難く、天敵生物に対する影響も少ないという特徴を有している。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外1名)
【公開番号】 特開2003−104816(P2003−104816A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−337142(P2001−337142)