| 【発明の名称】 |
殺菌剤組成物及び作物の病害防除方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 宗夫 【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号株式会社アグロス内
【氏名】廣田 清恵 【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号株式会社アグロス内
|
| 【要約】 |
【課題】農園芸用作物の各種病害に対し、予防及び治療の両面において、相乗的に作用する殺菌剤組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、テトラコナゾールとイミノクタジンまたは、その塩の殺菌剤有効成分を含有することを特徴とする殺菌剤組成物に関する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (±)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル=1,1,2,2−テトラフルオロエチル=エーテル(以下テトラコナゾールと記す。)と1,1’−イミノジ(オクタメチレン)ジグアニジン(以下イミノクタジンと記す。)または、その塩を有効成分として含有することを特徴とする殺菌剤組成物。 【請求項2】テトラコナゾールとイミノクタジンまたは、その塩との含有量が重量比にして20:1〜1:50の範囲内にある請求項1記載の殺菌剤組成物。 【請求項3】テトラコナゾールとイミノクタジンまたは、その塩とを作物に施用することを特徴とする作物の病害防除方法。 【請求項4】テトラコナゾールとイミノクタジンまたは、その塩との各々の施用量が重量比にして、20:1〜1:50の範囲内にある請求項3記載の作物の病害防除方法。 【請求項5】請求項1のイミノクタジンまたは、その塩が1,1’−イミノジ(オクタメチレン)ジグアニジン=トリス(アルキルベンゼンスルホナート)(以下イミノクタジンアルベシル酸塩と記す。)である請求項1,2記載の殺菌剤組成物。 【請求項6】請求項5記載の殺菌剤組成物の請求項3,4記載の作物の病害防除方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は殺菌剤組成物及び作物の病害防除方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 (±)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル=1,1,2,2−テトラフルオロエチル=エーテル(以下テトラコナゾールと記す。)は各種作物のうどんこ病、トマトの葉かび病、茶の炭疽病、りんご及びなし等の黒星病及び赤星病に卓効を示す農園芸用殺菌剤の有効成分として知られている化合物であり、農薬時報(臨時増刊、平成11年9月10日(株)化学工業日報社発行)に記載されている。また1,1’−イミノジ(オクタメチレン)ジグアニジン=トリス(アルキルベンゼンスルホナート)(以下イミノクタジンアルベシル酸塩と記す。)および1,1’−イミノジ(オクタメチレン)ジグアニジニウム=トリアセテート(以下イミノクタジン三酢酸塩と記す。)も幅広い殺菌スペクトラムを有し、果樹、各種作物の病害に対して優れた防除効果を示す既知の殺菌剤化合物であり、例えば「農薬ハンドブック」1998年版、327,328頁(平成10年12月15日社団法人日本植物防疫協会発行)に記載されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】農園芸作物の栽培にあたり、作物の病害に対して多数の防除薬剤が使用されている。しかしながら同時に複数の病害が発生し、一種類の有効成分だけではその効果が不十分であったり、薬剤耐性菌の出現により、その薬剤の使用が制限されることがしばしば見受けられる。そこで、従来の殺菌剤の欠点を補完し、安定した防除効果をもたらす混合剤の出現が望まれている。本発明は、農園芸用に適した殺菌剤組成物及び作物の病害防除方法を提供することを課題とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、テトラコナゾールとイミノクタジンまたは、その塩とを有効成分として含有する本発明の殺菌剤組成物が、幅広い殺菌スペクトラムを有し、かつ低薬量でも安定した殺菌効果を示し、しかも両薬剤の単独施用では実用的な効果を示さない低薬量の施用においても、作物の病害に対する高い防除効果を挙げることを見出し、本発明を完成した。 【発明の実施の形態】 【0005】本発明において用いられるテトラコナゾールとイミノクタジンまたは、その塩とは共に市販されており、市販品をそのまま本発明に用いることができる。本発明の殺菌剤組成物中に含まれるテトラコナゾールとイミノクタジンまたは、その塩との割合は通常重量比にして20:1〜1:50、好ましくは10:1〜1:10であり、また、本発明の殺菌剤組成物中には、テトラコナゾールとイミノクタジンまたは、その塩とが一般に、合計量にして、0.01〜99重量%、好ましくは2〜80重量%含有される。 【0006】本発明の殺菌剤組成物は、両有効成分の混合物そのものであってもよいが、通常は担体、界面活性剤、分散剤及びその他の補助剤等の配合された水和剤、顆粒水和剤、粉剤、水中懸濁剤等の製剤形態を有する。 【0007】担体としては、例えばクレー、タルク、ベントナイト、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、ジークライト、尿素、硫酸アンモニウム、澱粉等の固体担体、トルエン、キシレン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ソルベントナフサ(エクソン化学(株)製溶剤)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の液体担体が挙げられる。界面活性剤及び分散剤としては、例えばアルキルスルホン酸金属塩(以下金属塩とはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を示す。)リグニンスルホン酸金属塩、ジアリールアルキルジスルホン酸金属塩、アルコール硫酸エステル類、アルキルアリールスルホン酸金属塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等が挙げられる。その他の補助剤としては、カルボキシメチルセルロース塩類、ポリビニルアルコール類、キタンサンガム、ポリアクリル酸塩類等の接合剤、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、凍結防止剤等が挙げられる。 【0008】上記の担体及び補助剤は製剤される剤型、使用場面等を考慮して、目的に応じてそれぞれ単独で、或いは組み合わせて適宜使用される。 【0009】本発明の病害防除方法においては、通常、上述した本発明の殺菌剤組成物が用いられるが、テトラコナゾールとイミノクタジンまたは、その塩とを予め混合することなく、各々の化合物又は製剤を順次使用してもよい。 【0010】本発明の病害防除方法においては、通常、殺菌剤有効成分のテトラコナゾールとイミノクタジンまたは、その塩とを重量比にして20:1〜1:50、好ましくは10:1〜1:10の割合で、有害病原菌に感染している、或いはその恐れのある作物に施用する。施用濃度及び施用量は、製剤の剤型、対象病害、発生傾向、被害の程度、環境条件等によって変わるが、粉剤のようにそのまま使用する場合は有効成分量として10アール当たりテトラコナゾール0.01g〜2.5Kg、好ましくは1g〜500g、イミノクタジンまたは、その塩0.05g〜2.5Kg、好ましくは5g〜500gの範囲で適宜選ぶ。水和剤、顆粒水和剤又は水中懸濁剤のように水で希釈して使用する場合は、テトラコナゾール0.1〜5000ppm、好ましくは1〜1000ppm、イミノクタジンまたは、その塩0.5ppm〜5000ppm、好ましくは1ppm〜1000ppmの範囲から散布濃度を適宜選ぶ。施用量は一般に、10アール当たりテトラコナゾールは0.01g〜2.5Kg、好ましくは1g〜500gで、イミノクタジンまたは、その塩は0.05g〜2.5Kg、好ましくは5g〜500gである。 【0011】本発明の病害防除方法において、本発明の殺菌剤組成物を施用する際に、必要により動力噴霧器、肩掛け噴霧器、ハンドスプレーヤー等の噴霧器を用い、有害病原菌に感染している、或いはその恐れのある作物に散布することができる。また、施用に際して、他の殺虫剤、殺菌剤、植物生長調節剤及び肥料等と混合して施用することもできる。 【0012】本発明の殺菌剤組成物は、有害病原菌に感染している、或いはその恐れのある作物、例えばきゅうり、トマト、いちご、なす、たまねぎ、ねぎ、にんじん及びすいか等の野菜類、りんご、なし、もも、みかん及びかき等の果樹類、茶、大豆等に適用することにより、優れた殺菌作用を呈し、例えばうどんこ病、葉かび病、灰色かび病、黒星病、赤星病、さび病、斑点落葉病、黒斑病、輪紋病、炭疽病、紫斑病、斑点病、菌核病等に好適であるが、なかでもうどんこ病、葉かび病、炭疽病、黒星病、赤星病、さび病、灰色かび病の防除には最適である。また、本発明の病害防除方法は、これらの病害を防除するのに適している。 【0013】 【実施例】以下、実施例にて本発明をより詳細に説明する。まず本発明の殺菌剤組成物の製剤例を挙げて、具体的に説明する。有効成分量及び補助成分の種類及び配合量は、これらのみに限定されることなく、本発明の主旨を損なわない範囲で任意に変更が可能である。以下の説明において「部」は重量部を意味する。 【0014】実施例1水和剤テトラコナゾール6部をホワイトカーボン40部に吸着させ、次にイミノクタジンアルベシル酸塩20部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩4部、アルキル硫酸塩2部及びクレー28部をジュースミキサーを用いて均一に粉砕混合して水和剤を得た。 【0015】実施例2顆粒水和剤テトラコナゾール6部をホワイトカーボン40部に吸着させ、次にイミノクタジンアルベシル酸塩20部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩4部、アルキル硫酸塩2部、ホリビニルアルコール2部及びクレー26部を加え、ジュースミキサーを用いて均一に粉砕混合する。この混合物を乳鉢に移し、水17部を加え十分混練し、0.6mm径のスクリーンを装着した横型造粒機で押出造粒し、湿式整粒後流動層乾燥機で50〜60℃の熱風を吹き込んで乾燥し、顆粒水和剤を得た。 【0016】実施例3粉剤テトラコナゾール0.4部、イミノクタジンアルベシル酸塩1.5部、ホワイトカーボン5部、及びクレー93.1部をジュースミキサーを用いて均一に粉砕混合して粉剤を得た。 【0017】次に本発明の病害防除方法を試験例を挙げて詳細に説明する。 【0018】試験例1本葉2葉期のキュウリ(ポット植)を用いうどんこ病菌(Sphaerotheca cucurbitae)に対する効果を検討した。ここで用いた菌は2000年に新潟より採集したものをテトラコナゾール10ppm水溶液を散布したキュウリに接種して発生したテトラコナゾール低感受性菌である。薬剤希釈液をハンドスプレーを用いキュウリに十分量散布した。1区3ポット反復。薬液乾燥後うどんこ病菌の胞子懸濁液を噴霧接種した。接種後は気温25℃のガラスハウスに静置し葉に水がかからないように管理した。接種13日後に本葉の発病程度を調査した。 調査基準 発病指数 発病程度 0 : 発病なし 0.5 : 病斑面積率 5%以下 1 : 病斑面積率 5%〜10% 2 : 病斑面積率10%〜25% 3 : 病斑面積率25%〜50% 4 : 病斑面積率50%以上 発病度=100×発病指数合計÷(4×調査葉数)
テトラコナゾールとイミノクタジンアルベシル酸塩の混用によるキュウリうどんこ病に対する効果は上表から明らかなように高い相乗効果を示す。 【0019】試験例2なし(品種:二十世紀)を用い混用および各単用で10日間隔で3回散布し3回目散布の10日後に1樹あたり50葉の黒斑病(Alternaria kikuchiana)の発病程度を調査し発病度を算出した。 調査基準 発病指数 発病基準 0 : 病斑なし 1 : 病斑数1〜3個 3 : 病斑数4〜7個 5 : 病斑数8個以上 発病度=100×発病指数合計÷(5×調査葉数)
上表から明らかなように、テトラコナゾールとイミノクタジンアルベシル酸塩133ppmの混用の結果、なし黒斑病に対して優れた相乗効果が認められた。 【0020】 【発明の効果】本発明の殺菌剤組成物は、幅広い殺菌スペクトラムと作物に対する高い安全性を有し、それぞれの殺菌剤有効成分の単独施用では実用的な効果の得られない低薬量の施用において、両殺菌剤有効成分を混合することにより、協力的に作用し、高い相乗効果が得られ、実用的に高い防除効果を示すものであり、さらに薬剤不効の原因となる耐性菌や低感受性菌にも有効であることを示すものである。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002093 【氏名又は名称】住友化学工業株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号
|
| 【出願日】 |
平成13年9月27日(2001.9.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093285 【弁理士】 【氏名又は名称】久保山 隆 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−104811(P2003−104811A) |
| 【公開日】 |
平成15年4月9日(2003.4.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−337143(P2001−337143) |
|