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【発明の名称】 害虫防除材
【発明者】 【氏名】佐藤 直樹
【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化学工業株式会社内

【要約】 【課題】害虫の誘引防除に有用な害虫防除材を提供することを課題とする。

【解決手段】本発明は表面が害虫を誘引する色を呈する基材に4−クロロ−3−エチル−1−メチル−N−[4−(p−トリルオキシ)ベンジル]ピラゾール−5−カルボキサミドを担持したことを特徴とする害虫防除材を提供し、該害虫防除材は幅広い害虫種に対して十分な効力を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】表面が害虫を誘引する色を呈する基材に式(A)
【化1】

で示される4−クロロ−3−エチル−1−メチル−N−[4−(p−トリルオキシ)ベンジル]ピラゾール−5−カルボキサミドを担持させたことを特徴とする害虫防除材。
【請求項2】表面が黄色〜青色の色を呈する基材に式(A)で示される4−クロロ−3−エチル−1−メチル−N−[4−(p−トリルオキシ)ベンジル]ピラゾール−5−カルボキサミドを担持させたことを特徴とする害虫防除材。
【請求項3】表面が黄色を呈する基材に式(A)で示される4−クロロ−3−エチル−1−メチル−N−[4−(p−トリルオキシ)ベンジル]ピラゾール−5−カルボキサミドを担持させたことを特徴とする害虫防除材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、害虫防除材、詳しくは殺虫剤を散布することなく、害虫を防除できる害虫防除材に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】特開平5−236856号公報において害虫を誘引する色を有する基材に昆虫成長制御剤を担持させたことを特徴とする害虫防除材が知られている。しかしながら、この害虫防除材は必ずしも十分な効力を発揮しない場合があることから、より優れた害虫防除材の開発が望まれている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を解決するために検討した結果、表面が害虫を誘引する色を呈する基材に式(A)
【化2】

で示される4−クロロ−3−エチル−1−メチル−N−[4−(p−トリルオキシ)ベンジル]ピラゾール−5−カルボキサミド(一般名:トルフェンピラド)を担持させた害虫防除材が少量の有効成分で幅広い害虫種に対して十分な効力を有することを見出し、本発明を完成した。
【0004】即ち、本発明は、表面が害虫を誘引する色を呈する基材に式(A)で示される4−クロロ−3−エチル−1−メチル−N−[4−(p−トリルオキシ)ベンジル]ピラゾール−5−カルボキサミドを担持させたことを特徴とする害虫防除材を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において、式(A)で示される4−クロロ−3−エチル−1−メチル−N−[4−(p−トリルオキシ)ベンジル]ピラゾール−5−カルボキサミド(以下、本化合物と記す。)は、特開平3−81266号に記載の化合物であり、該公報の記載に準じて製造することができる。
【0006】本発明の害虫防除材において、防除対象となる害虫は主に農作物加害害虫であり、その具体例としては、コナジラミ類[オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum )、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)]、フタテンヒメヨコバイ(Arboridia apicalis)、アブラムシ類[ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ダイコンアブラムシ(Bervicoryne brassicae)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis erysimi)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphumpadi)、コミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii)、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acrythosiphon pisum)等]などの半翅目害虫、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis )、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa )などのアザミウマ目害虫、コナガ(Plutella xylostella )、イチモンジセセリ(Parnara guttata )などの鱗翅目害虫、ウリミバエ(Dacuscucurbitae)、キノコバエ類(Mycetophilidae)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)、タマネギバエ(Delia antiqua )などの双翅目害虫等が挙げられる。
【0007】これらの農作物加害害虫は、通常黄色〜青色に誘引される。ここで、黄色〜青色とは黄色、黄緑色、緑色、青緑色、青色といった反射光線の主波長が約650〜420nmに対応する色のことである。特にオンシツコナジラミ、タバココナジラミ、シルバーリーフコナジラミ、フタテンヒメヨコバイ、アブラムシ類、チャノキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマ、イチモンジセセリ、ウリミバエ及びマメハモグリバエは黄色で、コナガは黄色〜緑色で極めて効率的に誘引できる。また、ミナミキイロアザミウマは青色または白色で、タマネギバエは薄青色または黄色で誘引できる。
【0008】本発明の害虫防除材は表面が害虫を誘引する色を呈するものであればよく、例えば基材自体が害虫を誘引する色を呈するもの及び基材表面が害虫を誘引する色で着色されたものが挙げられる。また、本発明の害虫防除材は、表面全体が害虫を誘引する色を呈するものであるもののみならず、本発明の目的を達する範囲内で、基材の表面の一部が害虫を誘引する色を呈するものであっても良い。
【0009】本発明の害虫防除材に用いられる基材としては例えば布、紙類(濾紙、ケント紙等)、ゴム、ガラス、板、高分子フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等)が挙げられる。
【0010】本発明の害虫防除材は、例えば表面が害虫を誘引する色を呈する基材に、溶剤に溶解した本化合物を塗布、含浸、吸収、練り込み等の方法により担持させる方法、または本化合物と害虫を誘引する色を有する色材とを溶剤に溶解し、これを基材に塗布、含浸、吸収、練り込み等の方法により担持させる方法により製造することができる。この場合に用いられる溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等のアルキルベンゼン類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、綿実油、ダイズ油、ナタネ油等の植物油類およびこれらの混合物が挙げられる。
【0011】本発明の害虫防除材を製造する際に、界面活性剤、本化合物や基材の安定化剤等の添加剤を加えることにより、基材への付着、浸透性を向上させ、また昆虫への浸透、分配を促進させることもできる。
【0012】本発明の害虫防除材において、基材に担持される本化合物の量は、基材の種類等により異なるが、一般には0.0001〜10mg/cm2である。
【0013】上記のようにして得られる本発明の害虫防除材は、害虫の生息場所に設置することにより用いることができる。また、本発明の害虫防除材を蔬菜、棉、花卉、茶、果樹、キノコ等の農作物を加害する害虫の防除に使用する場合、例えば、以下の方法で用いることができる。
1)当該農作物の一部または全体をシート状またはネット状の本発明の害虫防除材で覆うまたは囲う方法。
2)当該農作物の高さに合わせて平板またはテープ状の本発明の害虫防除材を一枚または適当な間隔で複数枚設置する方法。
3)当該農作物の畝間についたて状、暖簾状又は簾状の本発明の害虫防除材を設置する方法。
4)当該農作物が生育する温室の開口部に暖簾状または簾状の本発明の害虫防除材を設置する方法。
5)シート状の本発明の害虫防除材を土壌表面に一枚又は複数枚設置する方法。
【0014】その際、本発明の害虫防除材は、施用時期、施用場所、施用方法、害虫の種類、被害の程度により異なるが、通常、1ヘクタール当たり、本化合物量換算で0.0005〜5000g程度、好ましくは0.005〜500g程度使用される。
【0015】
【実施例】次に、本発明について製造例、試験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0016】製造例1本化合物0.4部をアセトン40部に溶解し、この31mlを黄色布21cm×92cmに塗布した後、アセトンを揮散させて有効成分量0.16mg/cm2の害虫防除材を得る。
【0017】製造例2本化合物0.4部をアセトン40部に溶解し、さらにナタネ油0.8部を加え、この31mlを黄色布21cm×92cmに塗布した後にアセトンを揮散させて有効成分量0.16mg/cm2の害虫防除材を得る。
【0018】製造例3製造例2において、黄色布の代わりに青色布を用いる以外は全て製造例2と同様にして有効成分量0.16mg/cm2の害虫防除材を得る。
【0019】製造例4本化合物5部を綿実油65部に溶解し、マシン油20部、ソルポール3544X(東邦化学工業株式会社製)10部を添加した。これを、幅50cm、長さ2000mのロール状黄色ケント紙にグラビア印刷し、有効成分量5g/m2の害虫防除材を得る。
【0020】製造例5本化合物1部をアセトン99部に溶解し、得られた溶液100gを、一辺100cmの正方形の黄色ケント紙上にスプレー塗布して有効成分量1g/m2の害虫防除材を得る。
【0021】製造例6本化合物5部を綿実油65部に溶解し、マシン油20部、ソルポール3544X(東邦化学工業株式会社製)10部を添加した。得られた溶液2.25gを一辺15cmの正方形の黄色ケント紙に塗布し、有効成分量5g/m2の害虫防除材を得る。
【0022】製造例7本化合物0.01部を綿実油99.99部に溶解し、幅50cm、長さ2000mのロール状黄色ケント紙にグラビア印刷し、有効成分量0.01g/m2の害虫防除材を得る。
【0023】製造例8本化合物10部を鉱物油90部に溶解し、得られた溶液0.225gを一辺15cmの正方形の黄色ケント紙に塗布し、有効成分量1g/m2の害虫防除材を得る。
【0024】製造例9本化合物1部をアセトン99部に溶解し、得られた溶液2.25gを一辺15cmの正方形の黄色ケント紙に塗布した後、アセトンを揮散させることにより有効成分量1g/m2の害虫防除材を得る。
【0025】試験例1製造例9に従って製造した害虫防除材(有効成分量1g/m2)を、30cm×25cm×50cm(幅×高さ×奥行き)のケージ内の最奥部壁面に設置した。このケージ内のほぼ中央部にポットに栽培したキュウリ(本葉1〜2葉期)を置き、ここにワタアブラムシの成虫を100頭放した。2日後にキュウリに寄生するワタアブラムシの数を調査した。一方、比較対照区として、ピリプロキシフェン1部をアセトン99部に溶解し、得られた溶液2.25gを一辺15cmの正方形の黄色ケント紙に塗布した後、アセトンを揮散させることにより得た害虫防除材(有効成分量1g/m2)を用いた以外は上記と同様にして試験を行った。また、無処理区として薬剤処理をしていない一辺15cmの正方形の黄色ケント紙を用いた以外は上記と同様にして試験を行った。放虫したワタアブラムシの数と2日後のワタアブラムシの数とから下式により防除率を求めた。
防除率=(1−(Ta/Ca))×100Ta:薬剤処理した植物における処理2日後のワタアブラムシの数Ca:無処理区植物における処理2日後のワタアブラムシの数結果を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
【発明の効果】本発明の害虫防除材は優れた害虫防除効力を有する。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号
【出願日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外1名)
【公開番号】 特開2003−95826(P2003−95826A)
【公開日】 平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願番号】 特願2001−288721(P2001−288721)