| 【発明の名称】 |
植物生長調節剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】山津 功
【氏名】山中 鼎司
【氏名】里 忠
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| 【要約】 |
【課題】切り花、切り枝等の開花及び開花期間を調節し、また、切り花、切り枝、切り草等の鮮度を飛躍的に長く保たせ、植木、立木、街路樹あるいは芝などの生長を抑制することができる、実用上の有用性が極めて高く、かつ植物にダメージを与えない、新規な植物生長調節剤及び植物生長調節方法を提供することを目的とする。
【解決手段】3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA還元酵素阻害剤を有効成分として用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA還元酵素阻害剤を有効成分とすることを特徴とする植物生長調節剤。 【請求項2】 前記植物が切り花、切り枝、切り草、観葉植物、植木、立木、街路樹又は芝であることを特徴とする請求項1記載の植物生長調節剤。 【請求項3】 前記切り花の開花を遅らせることを特徴とする請求項2記載の植物生長調節剤。 【請求項4】 前記切り花、切り枝又は切り草の鮮度を長く保たせることを特徴とする請求項2記載の植物生長調節剤。 【請求項5】 前記植物の生長を抑制させることを特徴とする請求項1記載の植物生長調節剤。 【請求項6】 前記3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA還元酵素阻害剤が、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、ニバスタチン、メバスタチン及び前記化合物の薬理学的に許容される塩からなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の植物生長調節剤。 【請求項7】 3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA還元酵素阻害剤を有効成分とする植物生長調節剤の水溶液を作成し、この水溶液を植物に吸収させることを特徴とする植物生長調節方法。 【請求項8】 前記水溶液を植物に吸収させる方法が、切り花、切り枝又は切り草を浸す水に植物生長調節剤を添加することを特徴する請求項7記載の植物生長調節方法。 【請求項9】 前記水溶液を植物に吸収させる方法が、植物に水溶液として散布することを特徴する請求項7記載の植物生長調節方法。 【請求項10】 前記3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA還元酵素阻害剤が、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、ニバスタチン、メバスタチン及び前記化合物の薬理学的に許容される塩からなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項記載の植物生長調節方法。 【請求項11】 3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA還元酵素阻害剤産生菌を植物に散布することを特徴とする植物生長調節方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、切り花、切り枝、切り草等の日持ち(花持ち、枝持ち、葉持ち)を改善し、観葉植物、植木、立木、街路樹あるいは芝等の剪定・刈り込みの手間を低減する、植物生長調節剤あるいは植物生長調節方法に関する。 【0002】 【関連技術】近年、生活水準の向上や生活スタイルの欧米化に伴い、あるいはマンション等庭や緑のない生活環境に潤いを求め、さらには空気清浄効果やアロマテラピー等環境改善効果も期待して、切り花・切り枝・切り草・観葉植物の贈答や家庭内消費が急増してきている。 【0003】しかし切り花、切り枝、切り草では、手入れ・管理状況にもよるが、概ね1週間程度が限界(寿命)であり、長時間楽しむことは難しいのが現状である。 【0004】また、観葉植物は狭い屋内で利用・鑑賞することが多いが、生長すると却って邪魔になることもあった。 【0005】一方、都市・交通環境整備の一環として、公園や街路・歩道・遊歩道・中央分離帯、防音・防ガス植林等の整備も進み、植木、立木、街路樹の植栽が盛んに行われている。 【0006】しかしこれらの植栽は1年も経つと大きく生長し、交通や電線の妨害・障害となり、また、美観を損ねる、害虫の発生を助長する、隣家等の日照を妨げる、防犯上好ましくない等の問題を生じるため、定期的に剪定が必要であり、その費用やカットした枝の処理に多大の手間・コストを要してきた。 【0007】また公園やゴルフ場の整備・増加にも伴い、芝の植栽も盛んになっているが、こちらも定期的に刈り込みを行わないと、敷地に立ち入れない、芝の雑草化、美観・害虫等の問題が生じる。 【0008】しかし、切り花、切り枝、切り草等の寿命を飛躍的に延長し、また、植物にはダメージを与えずに植木、立木、街路樹あるいは芝などの生長を抑制し、剪定や刈り込みの手間・コストを低減する画期的な薬剤・方法はないのが現状であり、有効性の高い植物生長抑制剤あるいは植物生長抑制方法が求められていた。 【0009】従来から、糖分や無機塩等特にリン酸塩、アミノ酸、有機酸、ビタミン等の栄養物質を与えたり、抗生物質により細菌の発生・増殖を抑えたりすることにより、切り花、切り枝、切り草等の活性化を図る技術は公知である。 【0010】また例えば特開平2−286601号公報には、キトサンを利用する切り花活性化剤が開示されている。 【0011】しかし、従来知られている栄養物質投与は、切り花等の細胞内代謝を活性化させるため一時的にはみずみずしく見せるものの、切り取った植物の細胞を無理に働かせるため、必ずしも日持ち効果は期待できなかった。 【0012】一方、特開平2−286601号公報に記載された発明は、キトサンのコスト・大量安定供給において難があり、家庭で簡便・頻繁・大量に利用するには問題が多かった。また、今日に至るまで市販化されておらず、実際の有用性は不明であった。 【0013】従って、実際には切り花、切り枝、切り草等の寿命を飛躍的に延長し、また、植物細胞にダメージを与えずに植木、立木、街路樹あるいは芝などの生長を抑制し、剪定や切り込みの手間・コストを低減する画期的な薬剤・方法はないのが現状であり、有効性の高い植物生長調節剤あるいは植物生長調節方法の開発が強く望まれていた。 【0014】一方、1976年に、遠藤章らにより、メバロン酸生合成を触媒し、コレステロール生合成経路の律速酵素である3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA還元酵素(HMG−CoAリダクターゼ)を特異的に阻害し、コレステロール合成を阻害することにより、血中コレステロールを低下させる薬剤として、メバスタチンが発見された(J. Antibiot., 29,1346(1976))。 【0015】メバロン酸は、イソプレノイド化合物の重要な中間体であり、メバロン酸生合成経路から、コレステロールやフィトステロール等のステロイド、茎や葉の伸張成長などに関与する植物ホルモンであるアブシジン酸やジベレリン類、フィロキノン(ビタミンK1)、レチノール(ビタミンA1)等のジテルペン、及びβ−カロテン等のカロチノイド等のイソプレノイド化合物が生合成される。3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA還元酵素阻害剤(以下、HMG−CoAリダクターゼインヒビターと称する)である上記コレステロール合成阻害剤メバスタチンにより、タバコのカルス細胞の生長が抑制させることが、遠藤章らにより報告(Agric. Biol. Chem., 47(6), 1401-1403, 1983)されているが、分化した花や、葉、木など生長した植物に対する、HMG−CoAリダクターゼインヒビターの作用については、不明であった。 【0016】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、切り花、切り枝、切り草等の鮮度を飛躍的に長く保たせ、植木、立木、街路樹あるいは芝などの生長を抑制することができる、実用上の有用性が極めて高く、かつ植物にダメージを与えない、新規な植物生長調節剤及び植物生長調節方法を提供することを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため、本発明の植物生長調節剤は、HMG−CoAリダクターゼインヒビターを有効成分として含有するものである。 【0018】本発明に係る植物生長調節剤又はHMG−CoAリダクターゼインヒビター産生菌を、水溶液として植物に吸収させることにより、切り花、切り枝、切り草等の日持ち(花持ち、枝持ち、葉持ち)を改善し、観葉植物、植木、立木、街路樹あるいは芝等の生長を抑制させて、剪定・刈り込みの手間を低減することができる。 【0019】本発明者は、長年コレステロール生合成機序の研究に取り組み、特にコレステロール生合成阻害作用に基づく薬剤についても探索してきた。 【0020】その結果、意外にもHMG−CoAリダクターゼインヒビターが、分化した植物に対しても、生長抑制作用を示し、それだけではなく、生長を遅らせ、更には植物の成熟までをも遅らせ、植物の寿命を延ばすという、驚くべき作用を見出した。すなわち、HMG−CoAリダクターゼインヒビターが、極めて優れた植物生長調節作用を有しており、HMG−CoAリダクターゼインヒビターを有効成分とする植物生長調節剤を用いることにより、細胞内代謝を活性化するのではなく逆に抑制するため、カット後の細胞にも無理を強いる悪影響がなく、所期の目的を本質的に達成でき、実用上非常に好ましいことを見出し、本発明を完成するに至った。 【0021】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらの実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。 【0022】本発明に係る植物生長調節剤は、HMG−CoAリダクターゼインヒビターを有効成分として含有するものである。 【0023】本発明における有効成分であるHMG−CoAリダクターゼインヒビターとは、メバロン酸生合成経路において律速酵素であるHMG−CoAリダクターゼに対し阻害作用を有する、天然由来又は合成・半合成化合物であれば限定されないが、具体的には例えば以下の化合物を挙げることができる。 【0024】(1)プラバスタチン(Pravastatin) (2)シンバスタチン(Simvastatin) (3)ロバスタチン(Lovastatin) (4)フルバスタチン(Fluvastatin) (5)セリバスタチン(Cerivastatin) (6)アトルバスタチン(Atorvastatin) (7)ニバスタチン(Nivastatin) (8)メバスタチン(Mevastatin) 【0025】これらのHMG−CoAリダクターゼインヒビターは分子内に不斉炭素原子を複数有することがあるが、本発明においては限定されず、いずれの光学異性体でもよく、またラセミ体であってもよい。またフリー体に限らず塩としても存在し得るが限定されず、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、アミノ酸塩等の薬理学的に許容される塩であれば限定されない。これらの中でも、ナトリウム塩あるいはカルシウム塩がより好ましい。さらに幾何異性体や水和物も存在することもあるが、限定されない。 【0026】なお、上記HMG−CoAリダクターゼインヒビターは、公知化合物であり、試薬、工業原料等として入手することも可能であり、また、先行技術に記載された実施例に従って、発酵や合成手段で得ることもできる。 【0027】本発明に係る植物生長調節剤により、切り花、切り枝、切り草、観葉植物、植木、立ち木、街路樹又は芝などの植物の生長を調節することができる。 【0028】本発明に係る植物生長調節剤により、切り花の開花を遅らせることが可能であり、また、切り花、切り枝、切り草の鮮度を飛躍的に長く保たせ、寿命を延ばすことができる。 【0029】本発明に係る植物生長調節剤により、観葉植物、植木、立ち木、街路樹や芝などの植物の生長を抑制することができる。本発明の植物生長調節剤を用いることにより、木や芝の生長が遅くなり、また、寿命を延ばすことができる。 【0030】植物の生長の速度は、植物生長調節剤の量、濃度、又は回数等を調節することにより、調節することが可能である。 【0031】また本発明における植物生長調節方法の実施に当っては、HMG−CoAリダクターゼインヒビターを有効成分とする植物生長調節剤を植物に吸収させることにより優れた効果が認められる。植物生長調節剤を植物に吸収させる方法は、特に限定されないが、例えば、本発明に係る植物生長調節剤を、植物を浸す水に添加するか、植物生長調節剤を含有した水溶液を植物に散布することにより優れた効果が認められる。また、HMG−CoAリダクターゼインヒビター産生菌を植物に散布させることによっても、同等の効果を得ることができる。 【0032】本発明におけるHMG−CoAリダクターゼインヒビターの使用量は、植物の種類、大きさ、カット後の経過日数、気温・温度、湿度、日照などの環境によって異なり限定されず、また使用薬物によっても異なり、特に限定されないが、HMG−CoAリダクターゼの阻害活性に応じて用いられる。例えば、プラバスタチンは、水溶液として植物に散布する場合、1m2当り0.1mg〜500mg散布するのが好ましく、より好ましくは1m2当り1mg〜200mgであり、さらに好ましくは1m2当り5mg〜50mgであり、花瓶などの水に添加する場合は、0.1mg/L〜100mg/Lの濃度で用いることが好ましく、より好ましくは1mg/L〜50mg/Lの濃度である。 【0033】本発明に係る植物生長調節剤に有効成分として用いるHMG−CoAリダクターゼインヒビターは、高脂血症の治療薬や動脈硬化症の予防薬など、人体薬として用いられており、人体に対し害のない安全な化合物であり、さらに、土中で分解されるため、残留性がなく、環境上もなんら悪影響のない、極めて優れた化合物である。 【0034】 【実施例】以下に本発明の実施例を記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0035】(実施例1〜実施例3及び実験例1) 1.目的HMG−CoAリダクターゼインヒビターによるゴールドクレストの生長抑制作用を調べた。 【0036】2.材料(1)HMG−CoAリダクターゼインヒビターとして、プラバスタチン(実施例1)、メバスタチン(実施例2)及びロバスタチン(実施例3)を用いた。プラバスタチンは、メバロチン(三共製薬(株)製)をエタノール抽出して得た。メバスタチンは、和光純薬工業(株)より購入した。ロバスタチンは、紅麹菌の発酵エキス(ヤエガキ酒造(株)製)をアセトン抽出して調製した。 (2)ゴールドクレストは市販のものを用いた。 【0037】3.方法容量2Lの植木鉢に、1.8Lの土を入れ、樹高35〜40cmのゴールドクレストを移植し、一ヶ月間水を与えながら根付かせる。その後、以下のHMG−CoAリダクターゼインヒビターを200mLの水に溶解し散布する。 【0038】実施例1; プラバスタチン 5mg実施例2; メバスタチン 10mg実施例3; ロバスタチン 5mg実験例1; 水のみ【0039】この散布を二週間ごとに12週間続ける。各週ごとにおける樹長をものさしで測定する。 【0040】4.結果表1に実施例1〜実施例3及び実験例1の結果を示す。結果は、初期値を0としたものを示した。表1に示したように、HMG−CoAリダクターゼインヒビターを散布した実施例1〜実施例3のいずれにおいても、ゴールドクレストの生長が抑制された。実施例2では、HMG−CoAリダクターゼの阻害活性の比較的弱いメバスタチンを、実施例1及び実施例3において添加したHMG−CoAリダクターゼインヒビターの倍量を添加しているが、実施例1及び実施例3と、ほぼ同程度の生長抑制作用を示した。従って、添加したHMG−CoAリダクターゼインヒビターのHMG−CoAリダクターゼに対する阻害活性に対応した量を散布することにより、同等の植物生長抑制作用が生じ、HMG−CoAリダクターゼに対する阻害活性に応じて、植物の生長が抑制される。 【0041】 【表1】
【0042】(実施例4及び実験例2) 1.目的HMG−CoAリダクターゼインヒビターによる芝の生長抑制作用を調べた。 【0043】2.材料(1)HMG−CoAリダクターゼインヒビターとして、実施例1で用いたプラバスタチンを同様に用いた。 (2)芝は高麗芝を用いた。 【0044】3.方法(実施例4) 1)芝生長抑制作用夏季(7月初旬)の芝生を1m2の正方形になるよう、周囲を20cm切り取り、その1m2の芝生を長さ3cmに刈る。この時点で、正方形の対角線の交点及び交点と各点を結ぶ線上の中心点4箇所の計5箇所の芝生の長さを、溶液散布時及び最終散布一週間後の芝生の長さを測定する。この芝生にプラバスタチン20mgを1Lの水に溶解し、一様になるよう週一回、4週間にわたり散布する。一週ごとに上記5箇所の芝生の長さを測定する。芝の生長抑制作用の評価は、実験開始日の芝生の長さ(5箇所の平均値)に対する測定日ごとの芝生の長さ(5箇所の平均値)の比率を算出して行った。 【0045】2)芝緑色長持ち作用その後、冬季まで放置し、11月1日より2週間ごとに2ヶ月間観察し、測定日の芝生の状態を4段階にて評価した。 【0046】(実験例2)プラバスタチン20mgを添加した水1Lの代わりに、水1Lのみを散布すること以外は実施例4と同様の条件及び手順にて実験を行った。 【0047】4.結果芝の生長抑制作用の評価の結果を表2に示す。表2に示した如く、プラバスタチンを含有した水溶液を散布した実施例4では、水のみ散布した実験例2に比べて、非常に芝生の生長が遅かった。 【0048】 【表2】
【0049】冬季の芝緑色長持ち作用の評価の結果を表3に示す。表3に示した如く、実施例4では、実験例2に比べて芝生が枯れ始める時期が非常に遅く、緑色の状態が飛躍的に長くなっていた。 【0050】 【表3】
【0051】以上より、プラバスタチンにより、芝生の生長が抑制され、更には芝生の緑色状態の期間を飛躍的に伸ばすことが判明した。 【0052】(実施例5〜7及び実験例3) 1.目的HMG−CoAリダクターゼインヒビターによる切り花の開花抑制及び長持ち作用を、HMG−CoAリダクターゼインヒビターの濃度による影響と共に調べた。 【0053】2.材料(1)HMG−CoAリダクターゼインヒビターとして、実施例1で用いたプラバスタチンを同様に用いた。 (2)切り花としては、切りバラを用いた。 【0054】3.方法室温が20℃にコントロールされた部屋で、開花直前の切りバラを容量300mLの花瓶にさし、水にて以下の濃度に調製したプラバスタチン水溶液を、それぞれの花瓶に200mLずつ入れ、2日ごとに開花の状態を2週間にわたり観察する。 【0055】 実施例5; プラバスタチン濃度 2mg/L実施例6; プラバスタチン濃度 10mg/L実施例7; プラバスタチン濃度 50mg/L実験例3; 水のみ【0056】観察日ごとに、開花状態を5段階にわけて評価した。また、開花後の花の状態について、10日後、12日後及び14日後にそれぞれ観察し、しおれ具合を4段階にわけて評価した。 【0057】4.結果表4に、切りバラの開花状況の結果を示した。また、表5に、開花後の花の状態に対する結果を示した。表4に示した如く、プラバスタチンは、切りバラの開花を濃度依存的に遅らせた。表5に示した如く、実施例6では、開花後の花の寿命が非常に伸びていた。最もプラバスタチン濃度の高い実施例7では、最も開花が遅かったが、すぐにしおれ始めてしまった。以上より、プラバスタチンの濃度に依存して、切りバラの開花が抑制され、花が長持ちすることが示された。HMG−CoAリダクターゼインヒビターの濃度を調節することにより、切り花の開花及び開花期間を調節することが可能である。 【0058】 【表4】
【0059】 【表5】
【0060】(実施例8、実施例9及び実験例4) 1.目的HMG−CoAリダクターゼインヒビターによる切り枝の開花抑制作用を、HMG−CoAリダクターゼインヒビターの濃度による影響と共に調べた。 【0061】2.材料(1)HMG−CoAリダクターゼインヒビターとして、実施例1で用いたプラバスタチンを同様に用いた。 (2)切り枝としては、梅の切り枝を用いた。 【0062】3.方法室温が20℃にコントロールされた部屋で、開花直前の梅の切り枝を容量300mLの花瓶に挿し、水にて以下の濃度に調製したプラバスタチン水溶液を、それぞれの花瓶に200mLずつ入れ、2日ごとに開花の状態を10日間にわたり観察する。 【0063】 実施例8; プラバスタチン濃度 2mg/L実施例9; プラバスタチン濃度 10mg/L実験例4; 水のみ【0064】観察日ごとに、開花状態を5段階にわけて評価した。 【0065】4.結果表6に結果を示す。表6に示した如く、プラバスタチンは、梅の切り枝の開花を濃度依存的に遅らせた。従って、HMG−CoAリダクターゼインヒビターの濃度を調節することにより、切り枝の開花を調節することが可能であることが示された。 【0066】 【表6】
【0067】(実施例10及び実施例11) 1.目的HMG−CoAリダクターゼインヒビターの水中及び土中における安定性について調べた。 【0068】2.材料HMG−CoAリダクターゼインヒビターとして、実施例1で用いたプラバスタチンを用いた。 【0069】3.方法(実施例10) 水にて1g/Lの濃度に調製したプラバスタチン水溶液20mLに、腐葉土20gを加え、室温に放置する。一週ごとに1mLをサンプリングし、ミリポアフィルターにてろ過し、ろ液をHPLCにて定量する。HPLCの操作条件は以下の通りである。 【0070】操作条件:検出器: 紫外吸光光度計(測定波長;245nm) カラム: 内径約6mm、長さ約15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用ODSを充填する。 カラム温度: 40℃付近の一定温度移動相: メタノール:水=7:3流量: 0.5mL/分【0071】HPLCによる定量値の初期値に対する比率を、以下の計算式(I)を用いて算出した。 【0072】 【式1】 残存率(%)=(各週における定量値/初期値)×100 ・・・・(I) 【0073】(実施例11) プラバスタチン水溶液に腐葉土を加えない以外は実施例10と同様の条件及び手順により実験を行った。 【0074】4.結果表7に、実施例10及び実施例11の残存率の結果を示した。表7に示した如く、腐葉土の存在する実施例10では、腐葉土を加えなかった実施例11とは異なり、プラバスタチンが次第に分解されていき、6週間でほとんどのプラバスタチンが分解されていた。実施例11は、6週間後の定量値も初期値と同様の値を示し、まったく分解されていなかった。以上より、プラバスタチンは土壌微生物により、分解可能な化合物であり、植物生長調整剤として、土中に散布しても、環境上なんら悪影響のない、極めて安全かつ有用性の高い化合物であるといえる。また、廃棄の際も、土壌に廃棄することで簡便かつ容易に分解可能である。 【0075】 【表7】
【0076】 【発明の効果】以上、詳述したごとく、本発明に係るHMG−CoAリダクターゼインヒビターを有効成分として含有した植物生長調節剤は、極めて優れた植物生長調節効果を有しており、切り花、切り枝等の開花及び開花期間を調節し、花の長持ちに非常に効果的であり、また、切り草等の寿命を飛躍的に延長し、更には、植物にはダメージを与えずに植木、立木、街路樹あるいは芝などの生長を抑制し、剪定や刈り込みの手間・コスト低減に有効であることが明らかである。さらに、本発明に係る植物生長調節剤において有効成分として用いるHMG−CoAリダクターゼインヒビターは、人体薬として用いられており、人体に対し害のない安全な化合物であり、さらに、土中で分解されるため、残留性がなく、環境上もなんら悪影響のない、極めて優れた化合物である。従って、このHMG−CoAリダクターゼインヒビターを有効成分として含有した植物生長調節剤は、実用上の有用性が極めて高く、かつ植物にダメージを与えない、画期的な植物生長調節剤である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】399003776 【氏名又は名称】山津 功
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| 【出願日】 |
平成13年9月21日(2001.9.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080230 【弁理士】 【氏名又は名称】石原 詔二
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| 【公開番号】 |
特開2003−95820(P2003−95820A) |
| 【公開日】 |
平成15年4月3日(2003.4.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−288302(P2001−288302) |
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