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【発明の名称】 除草剤組成物及び雑草の防除促進方法
【発明者】 【氏名】大森 博昭
【住所又は居所】新潟県西頸城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内

【氏名】直川 拓司
【住所又は居所】新潟県西頸城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内

【要約】 【課題】十分な防除効果を発揮でき、土壌消毒のような強い処理を行わずとも雑草種子密度を減じることができる、シアナミド含有物質と除草剤とを含有する除草剤組成物と、雑草の防除方法が提供する。

【解決手段】シアナミド含有物質からなる雑草の休眠覚醒剤と、除草剤とを含有してなることを特徴とする除草剤組成物。上記シアナミド含有物質からなる雑草の休眠覚醒剤を散布して雑草を発芽させた後、速やかに除草剤を散布することを特徴とする雑草の防除促進方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シアナミド含有物質からなる雑草の休眠覚醒剤と、除草剤とを含有してなることを特徴とする除草剤組成物。
【請求項2】 請求項1記載の休眠覚醒剤を散布して雑草を発芽させた後、速やかに除草剤を散布することを特徴とする雑草の防除促進方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、除草剤組成物及び雑草の防除促進方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、除草剤には、大きく分けて土壌処理剤と茎葉処理剤の2種類がある。茎葉処理剤は、土壌処理剤に比べ安価であり、散布等作業がしやすい特徴があるが、植物の茎葉より浸透し除草効果を示すという機構上、殺種子効果はほとんど期待できず、処理後しばらくするとまた雑草が生えてくる。これに対し、土壌処理剤は、茎葉処理剤よりも高価であるものの、土壌に保持されるため持続期間が長いという特徴がある。しかし、土壌表面の農薬処理層を雑草の芽が通過するときに作用を与えるものが多く、多くの場合、殺種子効果までは期待できない。
【0003】また、殺虫、殺菌、除草効果を併せ持つ農薬に臭化メチル剤がある。これは2005年に全廃されることが決定しており、その代替農薬として、たとえばダゾメット剤やカーバム剤がある。これらの殺虫、殺菌効果は臭化メチル剤と遜色ないが、除草効果、特に雑草種子を死滅させる効果がやや劣るという問題点がある。
【0004】一方、シアナミドを含有する物質として、農薬効果を併せ持つ肥料である石灰窒素がある。窒素肥料であると同時に、石灰窒素が水に溶解して生成するシアナミドが土壌中で分解するまでの間(施用後およそ7〜10日間程度)には各種農薬効果を示すことから、各種作物の防除体系に組み入れられるなど、賞用されている。
【0005】また、シアナミドには、種子や花芽などの休眠を覚醒させる効果がある。これを応用して、たとえばノビエの防除を目的とする場合、稲刈り後すぐに石灰窒素をha当り400kg〜500kg散布し、種子の休眠を覚醒、発芽させ、冬の寒さにあてて枯死させる、あるいは春先に一斉に発芽したところをすき込むことで防除するという使い方をすることがあるが、気候により防除効果が必ずしも安定しない。また、ノビエ以外の雑草種子に対するシアナミドの休眠覚醒効果については、今まで検討されたことがなかった。
【0006】石灰窒素単独で十分な農薬効果を発揮させるためには、上記のように最低ha当り400kg〜500kg程度の施用が必要であり、窒素肥料として主要作物の元肥施用量のおよそ半量を充足してしまうため、施肥設計を考慮しないと使いづらく、また秋施用した場合でも窒素分が翌春まで残ることがあったり、防除効果が必ずしも安定しない問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、石灰窒素単独施用における上記問題を解消することができる除草剤組成物を提供することである。また、別の目的は、十分な防除効果を発揮でき、土壌消毒のような強い処理を行わずとも雑草種子密度を減じることができる雑草の防除方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、シアナミド含有物質からなる雑草の休眠覚醒剤と、除草剤とを含有してなることを特徴とする除草剤組成物である。また、本発明は、上記休眠覚醒剤を散布して雑草を発芽させた後、速やかに除草剤を散布することを特徴とする雑草の防除促進方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、更に詳しく本発明について説明する。
【0010】本発明の除草剤組成物においては、まずシアナミド含有物質のシアナミドの作用によって雑草種子の休眠を覚醒させて発芽させ、その後速やかに発芽した芽を除草剤によって枯らさせるものである。これによって、除草効果の向上、雑草種子密度の減少が可能となる。すなわち、本発明によれば、石灰窒素と除草剤の相乗作用によって、それぞれの剤の施用量を減ずることができ、所期の目的を十分に達成することができる。
【0011】本発明において、シアナミド含有物質とは、シアナミド又はその溶液、シアナミドを含有する石灰窒素又はその懸濁液又はその抽出液を指す。また、除草剤とは、一般に除草剤として用いられている化合物のことである。例示すれば、グリホサート、グルホシネート、ビアラホス、ジクワット、セトキシジム等の茎葉処理剤、アシュラム、ベンスルフロンメチル、ベンチオカーブ、ペンディメタリン、トリフルラリン、アラクロール等の土壌処理剤である。
【0012】本発明の除草剤組成物おいては、シアナミド含有物質によって速やかに雑草種子を発芽させた後に除草剤による除草作用が発現する、あるいは、雑草種子の発芽期間中を通じて除草作用が持続することが最適である。このような例としては、シアナミド含有物質が速効性のあるシアナミド溶液で、除草剤としては持続性の大きい土壌処理剤(例えばアシュラム)との組み合わせである。除草剤組成物の形態は、粉粒剤、水和剤、乳剤、液剤等のいずれでもよいが、上記最適例の組み合わせに伴い、乳剤あるいは液剤がより好ましく選択される。
【0013】シアナミド含有物質と除草剤の割合は、除草剤物質により異なるが、シアナミド含有物質がシアナミドとして100質量部に対し、除草剤の原体が2〜5質量部であることが好ましい。また、シアナミド含有物質又は除草剤又はその両方が粉粒剤、水和剤である場合には、炭酸カルシウム、タルク等の無機粉体やデンプン等の有機物を用いて、また乳剤、液剤である場合は、水、アルコール等の有機溶媒を用いて製剤化することもできる。
【0014】本発明の除草剤組成物の施用法としては、シアナミドとしてha当り45kg〜120kg(石灰窒素としてha当り150kg〜400kg)相当量の除草剤組成物を散布することが好ましい。散布量がこれより少ないと休眠覚醒効果が著しく小さくなる。シアナミド含有物質の散布量が多いほど休眠覚醒効果は顕著となり、さらには殺種子効果も現れるようになるが、散布量がha当り120kgをこえると、窒素肥料としての効果が無視できなくなるため、施肥設計に影響を及ぼすなどの不都合を生じる。好ましい散布量は、シアナミドとしてha当り60kg〜90kg(石灰窒素としてha当り200kg〜300kg)の範囲である。
【0015】本発明の雑草の防除促進方法おいては、シアナミド含有物質をシアナミドとしてha当り45kg〜120kg(石灰窒素としてha当り150kg〜400kg)散布後、10日〜30日経過した後に除草剤を散布することが好ましい。10日未満だと雑草の発芽が不充分であり、30日をこえると雑草が大きくなりすぎる。シアナミド含有物質散布後15日〜25日経過後に除草剤を散布するとより好ましい。
【0016】また、本発明の雑草の防除促進方法おいては、除草剤として、持続性のある土壌処理剤のみならず、持続性のない茎葉処理剤を使用しても、同様に雑草密度を減じることができる。
【0017】本発明の除草剤組成物及び雑草の防除促進方法おいては、除草効果だけではなく殺虫、殺菌効果も発現させるために、ダゾメット剤、カーバム剤等の薬剤を使用することもできる。
【0018】
【実施例】以下、実施例をあげて更に具体的に本発明を説明する。
【0019】予備試験(シアナミド液及び粉状石灰窒素による雑草種子の休眠覚醒効果確認試験)
直径12cm、深さ3cmのプラスチック容器に滅菌した沖積土壌を入れ、所定量のシアナミド液を混和し、土壌水分量を最大容水量の50%に調製した上で、メヒシバ、イヌタデ、シロザの各種子を播種し、25℃、明条件、13時間−20℃、暗条件、11時間に設定した人工気象機で1ヶ月間培養した。また、メヒシバのみ、シアナミド液と等量になるように粉状石灰窒素を混和した区も設置した。培養終了時の各雑草の発芽率を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】このように、シアナミドに換算してha当り45kg以上の施用で雑草種子の休眠覚醒効果が認められた。また、雑草の種類により多少前後があるが、概ねha当り60kg〜90kgの範囲が最も効果が高い傾向が見られた。メヒシバのみシアナミド液と粉状石灰窒素の比較も実施したところ、液状で均一に散布ができるシアナミド液の方が施用量が少ないうちから効果が見られた。
【0022】実施例1縦33cm、横33cm、深さ8cmのプラスチック容器に滅菌した沖積土壌を入れ、土壌水分量を最大容水量の50%に調製した上で、メヒシバ、イヌタデ、シロザの各種子を混播し、20℃〜25℃の温室内で1か月間育成した。これに、シアナミド60kg/ha相当量を水で希釈して散布し、さらにその15日後にN−メトキシカルボニルスルファニルアミドナトリウム(アシュラム)3kg/ha相当量を水で希釈し散布し、育成を継続した。
【0023】実施例2シアナミド60kg/ha相当量、アシュラム3kg/ha相当量を水で希釈した液を散布した以外は、実施例1と同様に試験を行った。
【0024】比較例1シアナミド60kg/ha相当量を水で希釈した液のみを散布した以外は、実施例1と同様に試験を行った。
【0025】比較例2アシュラム3kg/ha相当量を水で希釈した液のみを散布した以外は、実施例と同様に試験を行った。
【0026】実施例1,2、比較例1,2につき、処理後1か月後及び3か月後の、残存雑草重量の未処理対照区に対する百分率を表2に示す。
【0027】
【表2】

【0028】このように、石灰窒素とアシュラムを併用すると、石灰窒素の休眠覚醒効果により種子密度を減じることができたため、1か月後、及び3か月後においても、雑草残存率を低く抑えることが可能であった。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、十分な防除効果を発揮でき、土壌消毒のような強い処理を行わずとも雑草種子密度を減じることができる、シアナミド含有物質と除草剤とを含有する除草剤組成物と、雑草の防除方法が提供される。
【出願人】 【識別番号】000003296
【氏名又は名称】電気化学工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区有楽町1丁目4番1号
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−95819(P2003−95819A)
【公開日】 平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願番号】 特願2001−296559(P2001−296559)