| 【発明の名称】 |
殺菌組成物及び殺菌方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】森田 昌宏 【住所又は居所】静岡県磐田郡福田町塩新田浜野328番地 ケイ・アイ化成株式会社内
【氏名】磯貝 勝久 【住所又は居所】静岡県磐田郡福田町塩新田浜野328番地 ケイ・アイ化成株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】広域にわたる菌株に安定した殺菌効力を少量の薬剤で発揮することができ、更に製紙白水用途においても、著しい殺菌効力の低下が認められない殺菌組成物を提供する。
【解決手段】オルトフタルアルデヒドと、ブロモ酢酸エステル類と、更に、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール又は5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリルとを、特定割合で含有する殺菌組成物。殺菌対象を、前記殺菌組成物における有効成分を混合して又は個別に処理する殺菌方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 主要成分としてのオルトフタルアルデヒドと、第2成分としての1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン又は1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタンなるブロモ酢酸エステル類と、更に、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールとを、オルトフタルアルデヒド10重量部に対して、ブロモ酢酸エステル類を1〜150重量部、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールを0.5〜200重量部含有することを特徴とする殺菌組成物。 【請求項2】 主要成分としてのオルトフタルアルデヒドと、第2成分としての1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン又は1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタンなるブロモ酢酸エステル類と、更に、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリルとを、オルトフタルアルデヒド10重量部に対して、ブロモ酢酸エステル類を1〜150重量部、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリルを0.3〜100重量部含有することを特徴とする殺菌組成物。 【請求項3】 殺菌対象を、請求項1又は請求項2記載の殺菌組成物における有効成分を混合して又は個別に処理することを特徴とする殺菌方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、殺菌組成物及び殺菌方法に関する。更に詳しくは紙パルプ工業における抄紙工程水、各種工業用の冷却水、洗浄水や空調用冷却水、金属加工油、繊維油などの循環水系の工業用用途その他での殺菌に有用な組成物及びその方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、過度の節水や排水規制が厳しくなり、工程水や冷却水を高度に再使用しクローズド化する所が非常に多くなってきている。製紙工場において、このようなクローズド化は用水の高温化を促進すると共に、紙の高機能化に伴う各種の添加物による富栄養化が微生物、すなわち細菌、酵母、糸状菌の繁殖を非常に容易にさせている。このような条件下で、微生物が分泌する粘状物質にパルプ繊維や微細な固形物が取込まれ、徐々に巨大化した粘性塊状ないし泥状物質、いわゆるスライムが配管内壁に付着してしまう。これが剥離−混入した場合、紙に斑点を生じ、製品の品質を低下させるのみならず、紙の強度を低下させることで断紙の原因ともなり、運転中断により生産性も低下する。 【0003】また、空調用冷却水や一般の工場における冷却水系も同様に、節水や定期点検期間の長期化で水が高度に再利用されており、有機物、無機塩の濃縮化、高温化により微生物の繁殖が極めて容易な条件、すなわちスライムが非常に発生し易い条件になっている。熱交換器や配管などにスライムが蓄積することで冷却効率を低下させ、時には剥離したスライムが配管を閉塞させたりもする。 【0004】更に、金属加工油剤等の利用場面においても、スライム障害による細管の閉塞、油剤の変質による切削精度の低下、不快臭による作業環境の悪化などが発生し易い。以上のような微生物に起因する障害を防止するために殺菌剤を定期的に添加することが必要であり、各種の殺菌剤が使用されている。 【0005】例えば、本発明にも使用される1,4-ビス(ブロモアセトキシ)-2-ブテン(以下、BBABという)、1,2-ビス(ブロモアセトキシ)エタン(以下、BBAEという)などのブロモ酢酸エステル類、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール(以下、DBNEという)に代表されるブロモニトロアルコール類、5-クロロ-2,4,6-トリフルオロイソフタロニトリル(以下、CFPNという)などのフルオロイソフタロニトリル類、オルトフタルアルデヒド(以下、OPAという)等は、工業用途の殺菌成分としてよく知られている。 【0006】これらの殺菌成分は、いずれも単独で使用することが一般的ではあるが、単剤では殺菌スペクトラムが狭く、有効なスライム防除を行うためには、必然的に薬剤投入量が増える傾向にある。そこで最近では相乗的殺菌効果による薬剤使用量の低減化や2成分を組合せで細菌から真菌類、例えば糸状菌、酵母等までの広範囲の殺菌スペクトラムを期待した配合剤が各種提案されている。 【0007】例えば、本発明にも使用されるブロモ酢酸エステル類とフルオロイソフタロニトリル類との組合せ(特開平1−211507号)、ブロモ酢酸エステル類とDBNEとの組合せ(特開平2−53703号)、OPAとブロモ酢酸エステル類、フルオロイソフタロニトリル類又はDBNE等との組合せ(特開平7−116669号)が提案されている。 【0008】しかし、最近は、資源リサイクルによる古紙の再利用も増えてきており、漂白に多量のハイドロサルファイト等の還元性物質を添加し、過剰分が十分に分解されないまま抄紙工程に合流、混和している。この高還元性物質が存在する製紙白水や弱アルカリである空調用冷却水中においては、前述の殺菌成分及びこれらの組合せによる殺菌剤は、薬効成分が極めて速く分解してしまうため、有効なスライム防除のためには多量の薬剤が必要である。これらは市場から求められている環境負荷の低減化や低コスト化に充分対応するとは言えないものである。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】工業用殺菌剤として、具備すべき特性として細菌から真菌類までの広域にわたる菌株に安定した殺菌効力を少量の薬剤で発揮することが求められ、更に製紙白水用途には、還元性物質が高濃度で存在する水系においても、著しい殺菌効力の低下が認められないことが挙げられる。しかし、これらのすべてを満足する殺菌成分、又は殺菌成分の組合せはいまだ提案されていない。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、主要成分としてのOPAと、第2成分としてのBBAB又はBBAEなるブロモ酢酸エステル類と、更に、DBNEとを、OPA10重量部に対して、ブロモ酢酸エステル類を1〜150重量部、DBNEを0.5〜200重量部含有することを特徴とする殺菌組成物に関する。また、本発明の第2の発明は、主要成分としてのOPAと、第2成分としてのBBAB又はBBAEなるブロモ酢酸エステル類と、更に、CFPNとを、OPA10重量部に対して、ブロモ酢酸エステル類を1〜150重量部、CFPNを0.3〜100重量部含有することを特徴とする殺菌組成物に関する。そして、本発明の第3の発明は、殺菌対象を、前記した第1又は第2の発明の殺菌組成物における有効成分を混合して又は個別に処理することを特徴とする殺菌方法に関する。 【0011】本発明者らは、前記課題に鑑み、鋭意研究した結果、OPAとブロモ酢酸エステル類との組合せに、更に特定の殺菌成分を組合せた3成分系が、それぞれの2成分の組合せでは全く予想できない、広い殺菌スペクトラムと還元性物質への対応ができる意外な事実を見出し本発明を完成した。 【0012】詳しくは、OPAとBBAB又はBBAEなるブロモ酢酸エステル類との組合せに、更にCFPN又はDBNEを組合せた最低3種類以上の組合せが、2成分の配合では認められなかった細菌、酵母及び糸状菌までの広い殺菌スペクトラムと、多量の還元性物質が存在しても極めて良好な効力が得られる。かくして本発明によれば、前記3成分系を有効成分とする殺菌剤及び殺菌方法が提供される。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明する。本発明に用いられる殺菌成分は、前記したようにいずれも既に知られたものである。本発明の殺菌組成物は、これら3種類の成分を配合してなる。このような顕著な殺菌効果が発揮される理由の詳細は明らかではないが、特定成分の特定割合の組合せによるものと思われる。本発明の殺菌組成物及び殺菌方法において相乗的効果を発揮する割合は、次の通りである。 【0014】(1)OPAの10重量部に対し、BBAB及びBBAEから選択されるブロモ酢酸エステル類の1〜150重量部、好ましくは2〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部、更にDBNEの0.5〜200重量部、好ましくは3〜80重量部、より好ましくは5〜50重量部を組合せる物。及び、(2)OPAの10重量部に対し、BBAB及びBBAEから選択されるブロモ酢酸エステル類の1〜150重量部、好ましくは2〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部、更にCFPNの0.3〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜30重量部を組合せる物である。 【0015】本発明の殺菌組成物は、3種類の成分を含み各種の形態に調製し、種々の工業用用途の殺菌対象等に用いられる。特に殺菌対象が製紙工業の抄紙工程水やプロセス水、工業用冷却水、金属加工油(切削油剤)、繊維油剤等の各種の循環水系には、液剤に調製するのが好ましい。本発明の殺菌組成物の液剤は、殺菌成分の溶解性、水への分散性を考慮して有機溶媒、水、必要であれば界面活性剤、増粘剤、防錆剤、その他補助剤を用いて調製することが好ましい。 【0016】有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、フタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル等の非プロトン性極性溶媒、その他アルコール類が挙げられる。これらは単独のみならず、液剤の安定性や水への溶解性を考慮して2種類以上を混合して使用することもできる。これら溶剤の配合は、殺菌成分の合計10重量部に対して、2〜200重量部、更には5〜50重量部とすることが好ましい。 【0017】界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系又は両性界面活性剤が適当であり、ノニオン系界面活性剤としては高級アルコールエチレンオキシド付加物、高級アルキルアミン付加物、アルキルフェノール付加物、多価アルコール脂肪酸エステル付加物、プロピレンオキシド共重合体、多価アルコールアルキルエステル等が挙げられる。 【0018】本発明の殺菌組成物は、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、ベントナイト、カルボキシルメチルセルロース等の固体希釈剤で希釈し、粉剤の組成物として調製することも出来る。また、必要に応じて界面活性剤、防錆剤、増粘剤、その他補助剤を配合してもよい。 【0019】本発明の殺菌組成物は、一液タイプの混合液剤として、各種の殺菌対象系において使用することが簡便であるが、添加場所の制限や長期の保存安定性の点で各成分を別個に液剤化した方がよい場合もある。このような一液タイプではない場合においても、使用時に各成分が所定の割合になるように殺菌対象系に投入すれば、一液タイプと何ら変わらない殺菌効果が得られる。また、その添加量は、その殺菌対象系により異なるが、殺菌成分の合計量がリットル当り1〜100mg、好ましくは5〜60mg程度から適宜選択される。添加量がリットル当たり0.5mg以下であると充分な殺菌効果が期待できず、また200mg以上の添加は経済的ではない。 【0020】 【実施例】次に、本発明を実施例を挙げて更に具体的に説明する。各実施例は、表1記載の組成を混合攪拌して得た。なお、表中%は重量百分率である。 【0021】 【表1】
【0022】試験例1 OPA、BBAB、DBNEの同時添加による殺菌効果シュードモナス(Pseudomonas)属の細菌の前培養液を0.1%接種したpH7.5マクルバン(Macllvaine)緩衝液(リン酸クエン酸含有)10mlをL字管に投入し、これにBBAB又はOPAとBBABを配合したA成分、DBNE又はOPAとDBNEを配合したB成分とを等量、同時添加し、30℃で1時間の振とう培養を行った。培養終了後、これを試験管中のブイヨン培地に0.2%になるように接種し、30℃で1日の静置培養を行った。培養終了後、ブイヨン培地の濁度を目視判定し、明らかに濁っていた場合には殺菌効果なし、透明であった場合には殺菌効果強い、僅かに濁っている場合には殺菌効果弱いと判断した。試験結果を表2に示す。なお、目視判定結果は、×:殺菌効果なし、○:殺菌効果強い、△:殺菌効果弱いで示した。 【0023】 【表2】
【0024】この結果より、本発明の組成物は、細菌に対して、一成分や二成分の薬剤より添加量が少ないにも係わらず、極めて良好な殺菌活性を示すことが判る。 【0025】試験例2 OPAD、BBAE、CFPNの同時添加による殺菌効果ゲオトリカム(Geotrichum)属の酵母の前培養液を0.5%になるように接種したpH6.0マルクバン緩衝液10mlをL字管に投入し、これにBBAE又はOPADとBBAEを配合したA成分、CFPN又はOPADとCFPNを配合したB成分とを等量、同時添加し、30℃で1時間の振とう培養を行った。培養終了後、これを試験管中のブイヨン培地に0.2%になるように接種し、30℃で1日の静置培養を行った。培養終了後、ブイヨン培地の濁度を目視判定し、明らかに濁っていた場合には殺菌効果なし、透明であった場合には殺菌効果強い、僅かに濁っている場合には殺菌効果弱いと判断した。試験結果を表3に示す。なお、目視判定結果の記号は、試験例1と同じである。 【0026】 【表3】
【0027】この結果から、本発明の組成物は、酵母等の真菌類に対して、一成分や二成分の薬剤より添加量が少ないにも係わらず、極めて良好な殺菌活性を示すことが判る。 【0028】試験例3 製紙白水での殺菌効力確認試験製紙工場A社の白水(細菌107CFU/ml、pH7.5、還元物質量30ppm含有)及びB社の白水(細菌106CFU/ml、真菌類103CFU/ml、pH6.0、還元物質量40ppm含有)を10mlずつL字管に投入し、所定量の薬液を添加して、30℃で30分間及び90分間の振とう培養を行った。所定の時間経過後、速やかに蒸留水で希釈し、寒天平板培地に接種し生菌数の測定を行った。A社白水の細菌に対する試験結果を表4に、B社白水の細菌及び真菌類に対する試験結果を表5に示す。 【0029】 【表4】
【0030】 【表5】
【0031】これらの結果より、本発明の組成物は、還元性物質の存在下でも、実際の殺菌対象系においても、添加量が少量にも係わらず、極めて優れた殺菌活性を有することが判る。また、細菌のみならず、細菌及び真菌類も同時の防除することができる。 【0032】 【発明の効果】本発明の殺菌組成物は、OPAとBBAB又はBBAE等のブロモ酢酸エステル類を含む2成分の組成物に、更に第三成分としてDBNE又はCFPNを特定の割合で組合せることにより、2成分の組合せからは予想し得ない殺菌効果の相乗的増強が図られる。2成分の配合では認められなかった細菌及び酵母、糸状菌等の真菌類までの広い殺菌スクペクトラムを有する。還元性物質の存在下において優れた殺菌活性を有するものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390034348 【氏名又は名称】ケイ・アイ化成株式会社 【住所又は居所】静岡県磐田郡福田町塩新田浜野328
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| 【出願日】 |
平成13年9月21日(2001.9.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087022 【弁理士】 【氏名又は名称】井上 昭 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−95817(P2003−95817A) |
| 【公開日】 |
平成15年4月3日(2003.4.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−288288(P2001−288288) |
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