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【発明の名称】 水性懸濁殺菌剤組成物
【発明者】 【氏名】竹林 禎浩
【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化学工業株式会社内

【要約】 【課題】製剤水希釈後における固体成分の懸垂性が良好で取り扱い性が良く、効力的にも有効で薬害の生じない優れた水性懸濁殺菌剤組成物を提供する。

【解決手段】(a)水溶解度が500ppm以下の常温で固体の殺菌活性成分1〜50重量%及び(b)ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩1〜10重量%を含む水性懸濁殺菌剤組成物であって、固体成分中における平均粒径10μm以上の体積分率が25%以下である水性懸濁殺菌剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)水溶解度が500ppm以下の常温で固体の殺菌活性成分1〜50重量%及び(b)ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩1〜10重量%を含む水性懸濁殺菌剤組成物であって、固体成分中における平均粒径10μm以上の体積分率が25%以下である水性懸濁殺菌剤組成物。
【請求項2】ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩が、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩である請求項1記載の水生懸濁殺菌剤組成物。
【請求項3】ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩がカリウム塩またはトリエタノールアミン塩である請求項2に記載の水性懸濁殺菌剤組成物。
【請求項4】殺菌活性成分がプロシミドンである請求項1〜3のいずれか記載の水性懸濁殺菌剤組成物。
【請求項5】殺菌活性成分がジクロシメットである請求項1〜3のいずれかに記載の水生懸濁殺菌剤組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性懸濁殺菌剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、植物に対する各種の病原菌を駆除する手段として、殺菌活性成分を含有する製剤を所定濃度に希釈して散布機にて田畑に散布する手段が行われている。また該手段において、有効成分を分散剤の存在下で微粉砕して水中で懸濁させた水性懸濁製剤、所謂フロアブル製剤が広く使用されている。
【0003】ところで、かかるフロアブル製剤の処方を検討する際には、有効成分の粒子径と界面活性剤の選択が効力や製剤物性に影響を及ぼすため特に重要となる。また、フロアブル製剤は一般的に施用前に所定量の水で希釈して使用するが、農薬原体は比重が1以上のものがほとんどであり、該製剤の希釈液の分散安定性(懸垂性)は、実場面で使用する際の重要な要件となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、製剤水希釈後における固体成分の懸垂性が良好で取り扱い性が良く、効力的にも有効で薬害の生じない優れた水性懸濁殺菌剤組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる状況下、鋭意検討を重ねた結果、常温で水溶解度が500ppm以下の固体の殺菌活性成分を含有する水性懸濁殺菌剤組成物において、特定の分散剤を使用し、殺菌活性成分及び該分散剤の含有量範囲を特定するとともに、固体成分の粒径範囲を特定した組成物が極めて安定な性質を有し、これにより上記した従来の問題点が解決できることを見出し本発明に至った。即ち本発明は、(a)水溶解度が500ppm以下の常温で固体の殺菌活性成分(以下、本有効成分と記す。)1〜50重量%及び、(b)ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩(以下、本分散剤と記す。)1〜10重量%を含む水性懸濁殺菌剤組成物であって、固体成分中における平均粒径10μm以上のものの体積分率が25%以下である水性懸濁殺菌剤組成物(以下、本組成物と記す)に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本組成物において含有されるポリオキシアルキレンポリスチリルフェノールリン酸エステル塩としては、ポリオキシエチレントリスチリルフェノールリン酸エステル塩が好ましく、中でも、そのカリウム塩、トリエタノールアミン塩が製剤物性上特に好ましい。その含有量は、組成物中1〜10重量%、好ましくは2〜7重量%である。
【0007】本有効成分は常温で水溶解度が500ppm以下の固体の殺菌活性成分であり、他に水不溶性の固体成分が含有されていない限り、本組成物における固体成分は実質的に本有効成分からなるものとなる。本有効成分としては、例えばベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール、チオファネートメチル等のベンズイミダゾール系化合物;ジエトフェンカルブ等のフェニルカーバメート系化合物;プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン等のジカルボキシイミド系化合物;ジニコナゾール、エポキシコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、フルシラゾール、トリアジメフォン等のアゾール系化合物;メタラキシル等のアシルアラニン系化合物;フラメトピル、メプロニル、フルトラニル、トリフルザミド等のカルボキシアミド系化合物;ジクロシメット等のアミド系化合物;トルクロホスメチル、ピラゾホス等の有機リン系化合物;ピリメサニル、メパニピリム、シプロジニル等のアニリノピリミジン系化合物;フルジオキソニル、フェンピクロニル等のシアノピロール系化合物;ポリオキシン等の抗生物質;アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、SSF−126等のメトキシアクリレート系化合物;クロロタロニル、マンゼブ、キャプタン、フォルペット、オキシン銅、塩基性塩化銅、プロベナゾール、フサライド、ジメトモルフ、ファモキサドン、オキソリニック酸、フルアジナム、フェリムゾン等を挙げることができる。中でも、プロシミドン及びジクロシメットが、本剤の性能を発揮する上で特に好ましい。
【0008】本組成物の物性を損なわない範囲で、必要に応じて他の有効成分や、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、消泡剤、展着剤、安定化剤等の補助剤を含有していてもよい。
【0009】増粘剤としては、例えばザンサンガム、ローカストビーンガム等の天然多糖類、マグネシウムアルミニウムシリケート、ベントナイト等の鉱物質、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩等の半合成多糖類、ポリアクリル酸塩等の合成水溶性高分子があげられ、これらを2種以上混合して用いることもできる。その含有量は、増粘剤の種類によっても変わるが、本組成物に対して、通常0.01〜10重量%である。
【0010】凍結防止剤としては、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、その含有量は種類によって変わるが、本組成物に対して、通常0.1〜20重量%である。防腐剤としては、例えば5−クロロー2−メチルー4−イソチアゾリンー3−オン等のイソチアゾロン系防腐剤が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系消泡剤等が挙げられる。
【0011】また、実場面での施用時には、他の有効成分を含む製剤、例えば、殺菌製剤、殺虫製剤、除草製剤、肥料製剤等を本組成物の特性を損なわない範囲で混合して施用してもよい。
【0012】本組成物は、例えば以下の方法で製造できる。本組成物においては、固体成分中の平均粒径10μm以上のものの割合が25%以下となるように製造する必要があり、そのためには各種粉砕設備を使用することができる。乾式粉砕の場合は、ボールミル、遠心粉砕機、ジェットミル、乳鉢等を使用できる。また、湿式粉砕の場合は、ビーズミル、高速デイスパー等を使用できる。そして粉砕粒子の粒子径を、例えばコールターカウンター等により計測しつつ、その粉砕時間を調整すれば目標とする固体成分中の平均粒径10μm以上のものの割合を25%以下とすることができる。
【0013】乾式粉砕の場合は、本有効成分を上記粉砕設備により微粉砕した後、あらかじめ本分散剤を溶解させた水中に攪拌下に徐々に添加し、必要により増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、消泡剤、展着剤、安定化剤等の補助剤、濃度調整用の水を添加、混合することにより本組成物を調製することができる。
【0014】また、湿式粉砕の場合は、あらかじめ本分散剤を溶解させた水中に攪拌下で有効成分を投入し、上記粉砕設備により微粉砕し、必要により増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、消泡剤、展着剤、安定化剤等の補助剤、濃度調整用の水を添加、混合することにより本組成物を調製することができる。なお、10μm以上の固体成分を少なくするためには、微粉砕の前にあらかじめ粗粉砕をしたり、篩分け等をして大粒子を除去しておくことが望ましい。
【0015】本組成物は、通常の水性懸濁殺菌剤組成物が適用される方法で施用でき、処理対象作物としては、米、小麦、大麦、トウモロコシ、綿、大豆、えんどう、ピーナッツ、てんさい、ジャガイモ、キャベツ、きゅうり、トマト、ぶどう、もも、かき、りんご、みかん、なし、いちご、たばこ等、およびカーネーション、バラ等の花卉類等があげられる。処理に際しては必要とされる本有効成分濃度にしたがって本組成物を適宜水で希釈し、動力または手動噴霧器による散布にて施用することができる。
【0016】
【実施例】実施例1(1) プロシミドン2012.11g(有効成分として2000g含有)、シリコン系消泡剤(商品名:アンチフォームC、ダウコーニングアジア製)8g、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミン塩(商品名:ソプロフォールFL、ローデイア日華製)160g、プロピレングリコール200g、及び脱イオン水953.22gを混合し、ダイノミルにて粉砕し(回転数:4500rpm、使用ガラスビース:3GX、ビーズ充填率:80%、滞留時間:3分)、プロシミドンを60%含有する粉砕スラリーを調製した。
【0017】(2) 別に、アルミニウムマグネシウムシリケート(商品名:ビーガムグラニュー、三晶製)24g、ザンサンガム(商品名:ケルザンS、三晶製)12g、1,2−ベンズイソチアゾリンー3―オン(商品名:プロキセルGXL、アビシア製)12gを脱イオン水1551.96gに混合溶解・分散させ増粘剤液を調製した。
【0018】(3)(1)で調製した粉砕スラリー1000gに(2)で調製した増粘液剤を320g加え、さらに脱イオン水を72.11g加え、混合することによりプロシミドン43.1重量%を含む本組成物1を得た。
【0019】実施例2ダイノミルでの粉砕時間を変化させた(回転数:4500rpm、使用ガラスビース:3GX、ビーズ充填率:80%、滞留時間:2分)以外は実施例1と同様に行い、本組成物2を調製した。
【0020】製剤例3(1) ジクロシメット原体83.5g(有効成分として78.3g含有)、シリコン系消泡剤(商品名:アンチフォームCE、ダウコーニングアジア製)2g、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸カリウム塩(商品名:ソプロフォールFLK、ローデイア日華製)62.5g、プロピレングリコール(昭和電工製)50g、及び脱イオン水142.5gを混合し、ダイノミル(シンマルエンタープライゼス製 KD−L型)にて、体積平均粒径で10μm以上が25%以下となるように粉砕し(回転数:4500rpm、使用ガラスビース:4GX、ビーズ充填率:80%、滞留時間:3分)、ジクロシメットを23%含有する粉砕スラリーを調製した。
【0021】(2) 別に、アルミニウムマグネシウムシリケート(商品名:ビーガムグラニュー、三晶製)4.8g、ザンサンガム(商品名:ケルザンS、三晶製)2.4g、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物(商品名:バイオホープL、アビシア製)3gを脱イオン水312.7gに混合、溶解・分散させ増粘剤液を調製した。
【0022】(1)で調製した粉砕スラリーに(2)で調製した増粘剤液を加え、さらに脱イオン水を加え混合することによりジクロシメットを7.8重量%含有する本発明組成物3を得た。その固形成分の粒子径をコールターカウンター(コールターマルチサイザー TA−II型)測定したところ、体積平均粒径で10μm以上の粒子の体積分率が20.5%であった。
【0023】比較例1ダイノミルでの粉砕条件を変化させた(回転数:4500rpm、使用ガラスビース:3GX、ビーズ充填率:80%、滞留時間:1.5分)以外は実施例1と同様に行い、比較例組成物1を調製した。
【0024】比較例2ダイノミルでの粉砕条件を変化させた(回転数:3000rpm、使用ガラスビース:3GX、ビーズ充填率:80%、滞留時間:3分)以外は実施例1と同様に行い、比較例組成物2を調製した。
【0025】試験例1本組成物1、2、および比較例組成物1、2それぞれについて、下記の方法にて懸垂率測定を行った。結果を表1に示す。また、上記組成物各々について、コールターカウンター TA−II型を使用して粒子径測定を行い、体積平均粒径10μm以上の粒子の体積分率(%)を求めた。結果を表1に示す。
【0026】(懸垂率測定方法)あらかじめ30℃にした250ml共栓付きメスシリンダーに、試験サンプルを0.5g秤量し、30℃の硬度342ppmの標準硬水を加えて250mlとし、栓をする。シリンダーを1分間に30回倒立して振り混ぜ、30℃の恒温水槽に静置する。30分経過したら、静かに上部225mlを除去し、残部中のプロシミドン含量をガスクロマトグラフにて分析し、以下の式にしたがって懸垂率を算出する。
【0027】懸垂率=250/225×100×(C−Q)/CC:250ml中の全プロシミドン量Q:底部25ml中のプロシミドン量【0028】
【表1】

【0029】

【0030】試験例2本組成物1を水道水で有効成分量として500ppmとなるように希釈し、該希釈液をきゅうりに葉が十分にぬれる状態まで噴霧処理した。処理1日後、灰色カビ病菌を接種し、該接種5日後に予防効力を評価したところ、薬害も無く良好な結果を示した。
【0031】試験例3本組成物3を水道水で有効成分量として500ppmとなるように希釈し、該希釈液をイネに葉が十分にぬれる状態まで噴霧処理した。処理1日後、いもち病菌を接種し、該接種7日後に予防効力を評価したところ、薬害も無く良好な結果を示した。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、製剤の水希釈時において有効成分の均一性を良好に保つことができ、殺菌効力にも優れ、薬害も生じない優れた水性懸濁殺菌剤組成物を提供できるので、その実用的価値は極めて高い。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外1名)
【公開番号】 特開2003−95803(P2003−95803A)
【公開日】 平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願番号】 特願2001−297067(P2001−297067)