| 【発明の名称】 |
遺体の保存方法および遺体の保存用具 |
| 【発明者】 |
【氏名】川瀬 逸子
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| 【要約】 |
【課題】遺体にあって荼毘に付されるまでの安置状態において、夏期などにあっても腐敗や悪臭の発生を抑えて、良好な外観を保つことができ、しかも、遺体の介添え者への遺体感染を防止することができる遺体の保存方法および遺体の保存用具を提供する。
【解決手段】遺体6を横たえる大きさに形成させた敷き部材7上に、消臭・滅菌剤からなる液状体3を含浸させた下シート体1を載置し、下シート体上へ該遺体を横たえさせ、上シート体2の一側面に植物酢液からなる液状体3を含浸させ、この含浸面を遺体へ向くように掛けて、遺体6の上下より液状体3を作用させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させた下シート体を載置し、該下シート体上へ遺体を横たえさせて、前記消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させた上シート体を、この含浸面を前記遺体面側へ向くように掛けて、前記遺体の上下より前記液状体を作用させたことを特徴とする遺体の保存方法。 【請求項2】 遺体を横たえる大きさに形成させた敷き部材上に、消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させた下シート体を載置し、前記遺体の表面部を清浄させた後に前記下シート体上へ該遺体を横たえさせ、この遺体の表面部へ消臭・滅菌剤からなる液状体を振り掛けて、上シート体の一側面に前記消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させ、この含浸面を前記遺体へ向くように掛けて、前記遺体の上下より前記液状体を作用させたことを特徴とする遺体の保存方法。 【請求項3】 消臭・滅菌剤からなる液状体を、遺体における口腔内や鼻孔,耳孔内へ充填させたことを特徴とする請求項1記載の遺体の保存方法。 【請求項4】 下シート体および上シート体は、最内層となる通気性を有する第一シートと、最外層となる耐水性を有する第二シートとを重ね合わせ、これら第一シートと第二シートとの間に消臭・滅菌剤からなる粉状体を介在させ、前記第一シートを遺体面へ対応させたことを特徴とする請求項1記載の遺体の保存方法。 【請求項5】 下シート体および上シート体への消臭・滅菌剤からなる液状体の含浸は、スプレー容器に収容して、噴霧させて行うことを特徴とする請求項1記載の遺体の保存方法。 【請求項6】 横たえた遺体の下側部および上側部へ接触させて、少なくとも前記遺体の接触面に消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させた下シート体および上シート体と、前記遺体の表面部へ被着させる消臭・滅菌剤からなる液状体とを備えさせたことを特徴とする遺体の保存用具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、遺体にあって荼毘に付されるまでの安置状態において、夏期などにあっても腐敗や悪臭の発生を抑えて、良好な外観を保つことができる遺体の保存方法および遺体の保存用具に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、亡くなった人の火葬に付すまでの間にあっては、該遺体の劣損を抑えるためは、もっぱら、ドライアイスにより冷却してその腐敗などの進行を抑制していたものであった。 【0003】しかしながら、このドライアイスによる遺体の冷却は、遺体のごく周囲へこのドライアイスを配置するため、この当接部に黒ずみ等を生じさせることがあり、また、ドライアイスだけでは遺体の十分な保全は困難なものであった。 【0004】更に、十分に保全されない状態にあった遺体は、棺桶などの移動の際に、遺体からの病原菌がこの作業者に移り、いわゆる、遺体感染を生ずることがあって、健康管理上大きな問題点を有するものであった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は前記した問題点を解決するためになされたもので、消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させた下シート体を載置し、前記下シート体上へ、該遺体を横たえさせ、上シート体の一側面に前記消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させ、この含浸面を前記遺体へ向くように掛けることにより、遺体にあって荼毘に付されるまでの安置状態において、夏期などにあっても腐敗や悪臭の発生を抑えて、良好な外観を保つことができ、しかも、遺体の取扱者への遺体感染を防止することができる遺体の保存方法および遺体の保存用具を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】前記した目的を達成するための本発明の手段は、消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させた下シート体を載置し、該下シート体上へ前記遺体を横たえさせて、前記消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させた上シート体を、この含浸面を前記遺体面側へ向くように掛けて、前記遺体の上下より前記液状体を作用させた遺体の保存方法にある。 【0007】また、消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させた下シート体を載置し、前記遺体の表面部を清浄させた後に前記下シート体上へ該遺体を横たえさせ、この遺体の表面部へ消臭・滅菌剤からなる液状体を振り掛けて、上シート体の一側面に前記消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させ、この含浸面を前記遺体へ向くように掛けて、前記遺体の上下より前記液状体を作用させた遺体の保存方法にある。 【0008】更に、消臭・滅菌剤からなる液状体を、遺体における口腔内や鼻孔,耳孔内へ充填させる。 【0009】更にまた、下シート体および上シート体は、最内層となる通気性を有する第一シートと、最外層となる耐水性を有する第二シートとを重ね合わせ、これら第一シートと第二シートとの間に消臭・滅菌剤からなる粉状体を介在させ、前記第一シートを遺体面へ対応させる。 【0010】また、下シート体および上シート体への消臭・滅菌剤からなる液状体の含浸は、スプレー容器に収容して、噴霧させて行う。 【0011】そして、横たえた遺体の下側部および上側部へ接触させて、少なくともその接触面に消臭・滅菌剤からなる液状体を含浸させた下シート体および上シート体と、前記遺体の表面部へ被着させる消臭・滅菌剤からなる液状体とを備えさせる。 【0012】 【実施例】次に本発明に関する遺体の保存方法および遺体の保存用具の一実施例を図面に基づいて説明する。図1および図2においてAは、遺体の保存方法に用いられる遺体の保存用具であって、下シート体1および上シート体2と、液状体3と、粉状体4とにより基本的に構成される。この遺体の保存用具Aは、例えば、図2に示すように、段ボール等の包装用容器5内に一括に収納することで、その管理や移動・流通などに便利である。 【0013】そして、前記した下シート体1および上シート体2は、共に同様の構成を有していて、紙製や不織布,織布などの可撓性を有する素材により、一側面、すなわち、最内層となる通気性を有する第一シート1a,2aと、他側面、すなわち、最外層となる耐水性(耐液性)を有する第二シート1b,2bとを重ね合わせた状態に成形してある。 【0014】前記した通気性とは、遺体6に接触した際、後記する消臭・滅菌剤からなる液状体3の含浸を良好に行い得るものと、遺体6から漏出する体液の吸収性、更には、後記する消臭・滅菌剤からなる粉状体4からの消臭効果の発揮や腐敗防止効果の発揮を良好に行い得る作用を持つものであって、この第一シート1a,2aには、細かい通気口gを多数穿設することもある。また、耐水性(耐液性)とは、遺体6からの体液の漏出や後記する液状体3の噴散によって、前記最外層から外部(例えば、後記する敷き部材7等)へ水分等が漏れ出ないような作用を発揮するものである。 【0015】このうち、下シート体1は、遺体6を横たえる大きさに形成させた敷き布団等の敷き部材7上に載置し、上シート体2は、遺体6の上側表面部に掛けるものであって、少なくとも、遺体1の肩から股間部に至る間において、その略全体へ掛かる(接触する)ように設けられる。これは、腐敗が進行しやすい遺体1の上半身に、該下シート体1および上シート体2を対応させるものである。 【0016】更に、これら第一シート1a,2aおよび第二シート1b,2bは、ヒートシール等の適宜な手段により接合された接合部8が設けられていて、図1および図3に示すように、内部が空洞となるように区画された小室9が複数個形成されてあって、後記する植物酢液からなる粉状体4が充填されいる。なお、図示してないが、所定幅においてミシン目などの易切り取り手段を接合部8等において設けておけば、適宜切り取って、遺体6の大きさに合わせて全体サイズを増減させることができる。 【0017】前記した液状体3は消臭・滅菌剤からなるもので、この消臭・滅菌剤は植物酢液が好ましいものであって、例えば、カシやシイ,サクラ,ブナ等の樹木や樹皮等を170℃〜180℃で炭化し、この際発生する水分を含んだ煙を冷却して液化水分を採取することにより得られる、いわゆる、木酢液である。この植物酢液を更に遠心分離したり、2ヶ月〜3ヶ月間静置して、植物酢液中に混在するタールや固形不純物を沈降分離させて、その上澄み液を用いる。なお、前記した植物酢液とは、例えば、木酢液や竹酢液などの、植物を原料として酢液を精製したものの全般をさすものである。 【0018】また、液状体3としてこの植物酢液をそのまま使用することができるものであるが、該植物酢液を精製して得られたものを使用することが好ましい。すなわち、植物酢液より低沸点留分のメタノールやホルムアルデヒド,タール分等を除いたものが良好で、特には、この植物酢液を加熱し、95℃〜105℃に、好ましくは、98℃〜103℃での留分を採取した液状物またはこれを冷凍乾燥したり噴霧乾燥するなどして得られた固形物や粉粒物には、前記したメタノールやホルムアルデヒドなどの低沸点成分がなく、更には、3,4−ベンツピレン等の有害成分が実質ないもので、しかも、消臭効果も高く、好適に使用されるが、これらに限定されるものではなく、前記低沸点の発揮製有害成分や3,4−ベンツピレン等を除去したものはいずれも良好に使用される。なお、この液状物3は、エタノールにより5重量%以上、好ましくは10重量%以上の濃度に希釈して用いることもできる。 【0019】そして、この液状体3は、トリガーポンプ付きのスプレー容器10内に収容して、該トリガーポンプによって噴霧が行えるようになるもので、下シート体1および上シート体2における最内層側である第一シート1a,2aへ噴霧によって該第一シート1a,2aに付着させる、更には、小室9に充填された消臭・滅菌剤例えば植物酢液からなる粉状体4へ付着させる等させた含浸を行う。これによって、下シート体1および上シート体2への液状体3の含浸は均一にかつ万遍なく行われる。 【0020】前記した消臭・滅菌剤すなわち植物酢液からなる粉状体4は、例えば、粒度1mm以下の微粉末のパウダー状となるもので、下シート体1および上シート体2の小室9,9に充填したり、遺体6の表面部へ振り掛けるなどした被着を行うもので、この粉状体4の製造にあっては、前記した植物酢液からなる液状体3を用いて行うものである。そして、シクロデキストリンの粉体や澱粉,とうもろこし,じゃがいも,さつまいもなどの穀類や根菜類を粉体にしたもの、更には、シリカや活性炭等の粉体の担体に吸着,担持させたりして得る。この粉体に吸着させた後は、所定の含水率、例えば、10%〜30%程度に乾燥調整させて用いる。 【0021】特に良好なものは、シクロデキストリンの微粉末に液状体3を吸着保持させたものが良好で、該シクロデキストリンに形成されている空洞部に取り込まれて、いわゆる包接されるため、該液状体3の消臭・滅菌有効成分が少しずつ揮発させることができるので、この消臭・腐敗防止有効成分の効き目をできるだけ長く続けさせることができる。なお、この粉状体4は、図1および図2に示すように、容器11内へ充填させておけば使用や移動,流通に便利である。 【0022】なお、図1および図2において12は、前記液状体3または消毒用アルコールなどを含浸させた湿式シートで、介護者の手や遺体6の身体を清浄させるものであって、包装用袋13内へ密封状態で収容されていて、順次一枚ずつ開口(図示せず)より取り出せるように構成されている。 【0023】したがって、前記した一実施例による遺体の保存方法および遺体の保存用具Aは、以下に述べる作用を奏する。まず、敷き布団等の敷き部材7上へ、図4(a)に示すように、下シート体1をその第二シート1bが下向きとなるように載置する。 【0024】そして、上方へ向いた下シート体1における第一シート1a面へ、図4(b)に示すように、スプレー容器10に収容された液状体3を均一で万遍なく噴霧させる。これにより、この第一シート1a面は、この液状体3によって十分に湿った状態となるもので、更には、その一部の液状体3は小室9内に充填されている粉状体4にも含浸された状態となる。この時点で、ガス化された液状体3の消臭成分が揮発し始める。 【0025】この状態で、遺体6の表面部、すなわち、身体全体を湿式シート12などで十分に清浄させた後、図4(c)に示すように、敷き部材7上に敷かれた下シート体1上へ該遺体6を横たえさせる。このとき、遺体6は、同図に示すように、下シート体1においてその肩から股間部に至る間に接触するように載置させる。 【0026】更に、この遺体6の表面部へ、図5(a)に示すように、消臭・滅菌剤すなわち植物酢液からなる粉状体4を容器11から振り出されるように万遍なく振り掛ける。特に、遺体6の体液が漏出しやすい股間部には、少し余分に掛けることが好ましく、これら粉状体4は、身体へ層をなして被着される。この粉状体4の層および他の身体には、消臭・滅菌剤すなわち植物酢液からなる液状体3をスプレー容器10によって適宜噴霧することにより、消臭や腐敗防止効果が助長されると共に、粉状体4の身体への定着性が向上する。 【0027】なお、この粉状体4の施しは、遺体6における口腔内や鼻孔,耳孔内へ詰め込んだ充填状態とさせることが好ましい。これにより、水分のある体液は、該粉状体4に吸収・吸着されて、体液の漏出や消臭効果による臭気の漏れ出しが防止される。 【0028】次に、上シート体2の一側面に、すなわち、最内側となる第一シート2a面へ図5(b)に示すように、スプレー容器10に収容された液状体3を均一で万遍なく噴霧させる。これにより、この第一シート2a面は、この液状体3によって十分に湿った状態となるもので、更には、その一部の液状体3は小室9内に充填されている粉状体4にも含浸された状態となる。 【0029】この上シート体2を、この含浸面を、すなわち、図5(c)に示すように、第一シート2a面を遺体6における身体側へ向くように、掛け布団を施すように掛けるもので、該上シート体2は、遺体6の肩から股間部に至る間に接触するように掛けられる。なお、この上シート体2の上から掛布団等を掛けたとき、該最外層である第二シート2bは耐水性(体液性)を有しているため、該上シート体2の第一シート2a面へ噴霧等を行った、あるいは小室9内の粉状体4に含浸させた液状体3によって、この掛け布団を濡らしたりする汚染などを起こす不都合がない。この上シート体2の遺体6への被着にあっては、粉状体4が振り掛けられた身体に対して直接行ったり、仏衣を着けたその上に掛けたりするものである。 【0030】なお、遺体6の納棺時には、該棺桶内へ粉状体4を万遍なく撒いた後、液状体3を噴霧させることもできる。更に、遺体6の顔面には、湿式シート12を掛けることが好ましい。 【0031】前記した工程を経ることで、遺体6は、その身体に振り掛けられた消臭・滅菌剤すなわち植物酢液からなる粉状体4、および消臭・滅菌剤すなわち植物酢液からなる液状体3の有する滅菌(殺菌)作用および消臭作用により、遺体6の劣損をできるだけ抑えて、少なくとも、荼毘に付されるまでの間において、亡くなったままの状態に維持させておくことができ、これに伴って、腐敗に起因する異臭の発生も抑えることができる。 【0032】また、遺体6の劣損を可及的に抑制させることができるため、遺体6に触れる介添え者への遺体感染をできるだけ減少させることができる。 【0033】更には、消臭・滅菌剤すなわち植物酢液からなる液状体3を使用して遺体6などへ噴霧しても、該液状体3は下シート体1および上シート体2aあるいは粉状体4に含浸されて、他物に流出することがないので、遺体6を安置した周囲をこの水分によって汚すことがない。 【0034】 【発明の効果】本発明は前述のように、遺体の腐敗の進行をできるだけ抑えて、遺体の劣損や異臭の発生を防止することができる。これにより、遺体の介添え者への遺体感染を可及的に抑制させることができる。等の特有の効果を奏するものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501376464 【氏名又は名称】有限会社天樹
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| 【出願日】 |
平成13年9月26日(2001.9.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088144 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 静富 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−95801(P2003−95801A) |
| 【公開日】 |
平成15年4月3日(2003.4.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−292750(P2001−292750) |
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