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【発明の名称】 花芽形成調整剤
【発明者】 【氏名】飯田 年以
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内

【氏名】山口 祥子
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内

【氏名】横山 峰幸
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内

【要約】 【課題】花芽形成調整作用が認められる成分を見出し、かかる成分を有効成分とする、花芽形成調整剤を提供すること。

【解決手段】下記一般式(1)で表される、花芽形成抑制作用を有する不飽和脂肪酸誘導体を有効成分とする、花芽形成調整剤を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記一般式(1)で表される不飽和脂肪酸誘導体を有効成分とする、花芽形成調整剤。
【化1】

(式中、Aは、2価の基である、−HC=CH−または−H2C−CH2−を表わし、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基を表し、nは1〜10の整数を表わす)
【請求項2】不飽和脂肪酸誘導体(1)のnが7である、請求項1記載の花芽形成調整剤。
【請求項3】不飽和脂肪酸誘導体(1)が、9-ヒドロキシ-10(E),12(Z),15(Z)-オクタデカトリエン酸または9-ヒドロキシ-10(E),12(Z)-オクタデカジエン酸である、請求項1記載の花芽形成調整剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の成長調整剤、特に、花芽形成調整作用を有する植物の成長調整剤に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】植物の花芽形成が日長によって支配されていることは、周知の通りである。そして、この日長に感応する部分は葉身であり、葉身から葉柄や茎を通って生長点に何らかのシグナルが送られて、花芽形成が開始することが突き止められている。このシグナルは、フロリゲンと呼ばれており、これを分離・同定することができれば、日長に関わらず植物の開花時期を人為的に調整することが可能となり、植物が関わる多くの分野において多大な利益を与え得ると考えられる。そのため、植物の花芽形成過程のメカニズムをさらに解明して、開花時期を人為的に調整する試みがなされている。
【0003】例えば、植物の成長ホルモンの一つであるジベレリンを施すと、いくつかの植物で花芽形成が起きやすくなることが知られている。例えば、パインアップルでは合成オーキシンの一つであるα-ナフタレン酢酸を施すと開花が起こることが突き止められ、実際に産業上利用されている。
【0004】しかしながら、ジベリレリン等は、いわばフロリゲン関連物質であり、フロリゲンそのものとは異なるであろうことも突き止められている。そのため、これらの植物ホルモンを植物に施す時期や環境等の様々な条件設定が必要であることが多く、さらなる開花手法の進歩、具体的には花芽形成に直接関わる物質を分離・同定し、その物質による開花手法の確立が望まれている。
【0005】本発明者らは、以前、特定の構造を有するα-ケトール不飽和脂肪酸が、単独で、または、カテコールアミンの一種であるノルエピネフリンと組み合わせて、植物に対して作用させることによって、広範な植物に対して花芽形成誘導活性が認められることを見い出した(特開平11−29410号公報等)。また、上記α-ケトール不飽和脂肪酸のカルボキシル基にアミノ酸をアミド結合させたα-ケトール不飽和脂肪酸アミドが、より低濃度で同様の活性を有していることを見い出した(特願2000−361216号)。さらに、上記α-ケトール不飽和脂肪酸とカテコールアミンとの反応物を単離・構造決定し、本物質がさらに低濃度で同様の活性を有することを見い出した(特願2001−61528号)。
【0006】一方、花芽形成を一旦抑制して開花時期を調整したり、花芽の形成数を抑制する等の、花芽形成調整技術も、収穫時期の調整等をする上において重要であると考えられる。
【0007】
【発明が解決すべき課題】そこで、本発明が解決すべき課題は、花芽形成調整作用が認められる成分を見出し、かかる成分を有効成分とする、花芽形成調整剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題の解決を目的として鋭意検討を行い、特定の構造を有する不飽和脂肪酸誘導体が、花芽形成調整作用を有することを見出し、これにより本発明を完成した。
【0009】すなわち本発明者は、本願において、下記一般式(1)で表される不飽和脂肪酸誘導体を有効成分とする、花芽形成調整剤(以下、本花芽調整剤ともいう)を提供する発明である。
【0010】
【化2】

(式中、Aは、2価の基である、−HC=CH−または−H2C−CH2−を表わし、Rは、水素原子、メチル基,エチル基、プロピル基またはイソプロピル基を表し、nは1〜10の整数を表わす)
【0011】本発明において、「花芽形成の調整」とは、花芽の形成を、数的および/または時期的に調整することを意味するものである。また、本発明において、「花芽形成の抑制」とは、形成される花芽の数を減ずる「数的抑制」と、花芽が形成される時期を遅延させる「時期的抑制」の両者の意味を含むものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。本花芽調整剤は、上述の一般式(1)で表わされる、不飽和脂肪酸誘導体(以降、本発明化合物ともいう)を有効成分とする、花芽形成抑制作用を有する、植物の花芽形成の調整に関する剤である。
【0013】上述のように、一般式(1)のAは、2価の基である、−HC=CH−または−H2C−CH2−である。さらに、一般式(1)のRとして選択され得る、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基のうち、水素原子が選択されることが好適である。
【0014】一般式(1)のnは、1〜10の整数であるが、特に、7であることが好適である。本発明化合物の具体例としては、例えば、9-メトキシ-10(E),12(Z),15(Z)-オクタデカトリエン酸、7−ヒドロキシ-8(E),10(Z),13(Z)-ヘキサデカトリエン酸、5-メトキシ-6(E),8(Z)-テトラデカジエン酸、10-ヒドロキシ-11(E),13(Z),16(Z)-ノナデカトリエン酸、9-エトキシ-10(E),12(Z)-オクタデカジエン酸等を挙げることができる。
【0015】さらに、ここに具体的に挙げた本発明化合物の中でも、9-ヒドロキシ-10(E),12(Z)-オクタデカジエン酸または9-ヒドロキシ-10(E),12(Z),15(Z)-オクタデカトリエン酸が選択されることが好ましい。
【0016】なお、本発明化合物には、不斉炭素〔一般式(1)で、基−ORが結合している炭素原子〕による立体異性体が存在するが、本発明化合物は、これらの光学活性体のいずれか、または、それらの混合物であっても良い。
【0017】一般式(1)の基、−ORがヒドロペルオキシ基で、かつ、nが7である化合物、すなわち、9-ヒドロペルオキシ-10(E),12(Z),15(Z)-オクタデカトリエン酸あるいは9-ヒドロペルオキシ-10(E),12(Z)-オクタデカジエン酸は、それぞれリノレン酸あるいはリノール酸が、9位生成物特異性リポキシゲナーゼで代謝されてできる生成物であることが知られている(例えば、Graveland,Lipids,8,606-611,1973)。また、本発明化合物として選択され得る、9-ヒドロキシ-10(E),12(Z)-オクタデカジエン酸、および、9-ヒドロキシ-10(E),12(Z),15(Z)-オクタデカトリエン酸は、上記のヒドロペルオキシ基が結合した化合物から、パーオキシダーゼによって生成することも推定されている。さらに、両者の本発明化合物とも生体内に存在することが知られており、前者は、血小板アデニレートシクラーゼの制御物質であることが報告されている(Herry et al., Eur.J.Biochem.170, 389-394,1987)。また、後者は植物の一種である、Glechoma hederacea L.などの葉に存在することが報告されている(Kuhn et al., Eur.J.Biochem. 186, 155-162, 1989 )。
【0018】しかしながら、9-ヒドロキシ-10(E),12(Z)-オクタデカジエン酸や9-ヒドロキシ-10(E),12(Z),15(Z)-オクタデカトリエン酸が選択され得る、本発明化合物の、植物における役割や生理活性ついては、知られていない。
【0019】本発明者は、本発明化合物が、花芽形成を抑制する、花芽の形成を調整する作用を有することを見出し、本発明を完成した。また、本発明において、アオウキクサに、乾燥などのストレスを与えた後、水に浸漬した液中に花芽形成を抑制する活性を持つ物質が存在することを見い出し、それを分取・構造決定した結果、本発明化合物、すなわち、不飽和脂肪酸誘導体(1)のうちの一つの化合物であることが見出された。
【0020】本発明化合物は、通常公知の手段を用いた化学合成法により調製しても、植物体や動物、微生物等から抽出・精製しても、また、リポキシゲナーゼとパーオキシダーゼを用いた酵素法によって調製しても構わない。
【0021】例えば、植物や動物から抽出する場合は、必要に応じて植物体を破砕して組織を破壊後、有機溶媒等で抽出・濃縮し、シリカゲル等のオープンカラムやHPLC等で精製することができる。
【0022】また、酵素法で調製する場合には、リノレン酸やリノール酸等の脂肪酸あるいはその塩を基質とし、リポキシゲナーゼとパーオキシダーゼを、同時あるいは順次添加して調製することができる。酵素は、市販のものでも、あるいは各自で調製したものを使用しても構わない。また、リポキシゲナーゼによって生成した、ヒドロペルオキシ基を、適当な還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウムで処理することによっても、本発明化合物の調製を行うことができる。
【0023】また、本発明化合物のうち、Rが、水素原子以外の基(メチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基)の場合は、Rが水素原子である本発明化合物から、常法により、メチル化、エチル化またはプロピル化することで取得することができる。
【0024】例えば、ジアゾメタンまたはトリメチルシリルジアゾメタンを用いて、Rのメチル化体を得ることができる。また、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、カリウムt-ブトキシドなどの塩基存在下、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピルなどのアルキルハライドを反応させることにより、Rが水素原子以外の基である、本発明化合物を製造することができる。この場合、必要に応じて、1位のカルボキシル基を保護することが好適である。
【0025】このようにして、本発明化合物である、不飽和脂肪酸誘導体(1)を製造することができる。本発明化合物を、有効成分として配合することで、本花芽調整剤を製造することができる。本花芽調整剤の有効成分となる、本発明化合物である不飽和脂肪酸誘導体(1)は、いずれか一種を選択することも可能であり、二種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0026】本花芽調整剤は、これを植物に使用することにより、その植物の花芽の形成を抑制して、所望する花芽形成の調整を行うことができる。この「花芽形成調整」の内容を以下に例示する。
【0027】本花芽調整剤は、これを投与することにより、植物の花芽の形成を抑制することができる。すなわち、本花芽調整剤を用いることで、植物が開花する前提となる花芽の形成を抑制することができる。
【0028】この意味で、本発明は、「植物の花芽形成抑制」という、より具体的な効果を奏する剤も提供する(花芽形成抑制剤)。本花芽調整剤の投与時期は、花芽が形成されべき時期以前であれば特に限定されないが、これを用いる対象となる植物の性質に応じた処理を行いつつ投与することが好適である。
【0029】本花芽調整剤を、植物に投与することにより、花芽の形成時期を遅延させて、その結果、観賞用植物の開花時期や、穀物や果実の収穫時期を調整することが可能となる。また、花芽の形成数を抑制して、例えば、植物の過度の開花が、その植物自体の成長を妨げることを回避することも可能である。
【0030】本花芽調整剤の有効成分である、本発明化合物の植物に対する投与量の上限は特に限定されない。すなわち、本成長調整剤により、本発明化合物である不飽和脂肪酸誘導体(1)を多量に投与しても、成長阻害等の植物に対する負の効果は、ほとんど認められない。これは、従来から用いられている植物ホルモン剤を過剰投与すると、植物に対する負の効果が顕著に現れ、これらの使用に際しては、過剰投与がなされないように格別の気配りをしなければならないことと比較すると、本成長調整剤は非常に優れているといえる。
【0031】また、上記の本発明化合物の植物に対する投与量の下限は、植物個体の種類や大きさにより異なるが、1つの植物個体に対して1回の投与当り、100ppb 程度以上が一応の目安である。
【0032】本成長調整剤における、本発明化合物の配合量は、その使用態様や使用する対象となる植物の種類、さらには本成長調整剤の具体的な剤形等に応じて選択することが可能である。本成長調整剤の態様として、本発明化合物である不飽和脂肪酸誘導体(1)をそのまま用いることも可能であるが、上記の本発明化合物の投与の目安等を勘案すると、概ね、剤全体に対して1ppm 〜1000ppm が好ましい。
【0033】本花芽調整剤の剤形としては、例えば、液剤、固形剤、粉剤、乳剤、底床添加剤等の剤形が挙げられ、その剤形に応じて、製剤学上適用することが可能な公知の担体成分、製剤用補助剤等を本発明の所期の効果である植物の成長調整作用が損なわれない限度において、適宜配合することができる。例えば、担体成分としては、本花芽調整剤が底床添加剤又は固形剤である場合には、概ねタルク、クレー、バーミキュライト、珪藻土、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、白土、シリカゲル等の無機質や小麦粉、澱粉等の固体担体が;また液剤である場合には、概ね水、キシレン等の芳香族炭化水素類、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の液体担体が上記の担体成分として用いられる。また製剤用補助剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等の陰イオン界面活性剤、高級脂肪族アミンの塩類等の陽イオン界面活性剤、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコールアシルエステル、ポリオキシエチレングリコール多価アルコールアシルエステル、セルロース誘導体等の非イオン界面活性剤、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等の増粘剤、増量剤、結合剤等を適宜配合することができる。
【0034】さらに必要に応じて、一般的な植物生長調整剤や、安息香酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピペコリン酸等を、上記の本発明の所期の効果を損なわない限度において、本花芽調整剤中に配合することもできる。
【0035】本花芽調整剤は、その剤形に応じた方法で種々の植物に投与され得る。例えば、本発明においては、植物の生長点のみならず、茎や葉をはじめとする植物体の一部又は全体に液剤や乳剤として散布、滴下、塗布等することや、固形剤や粉剤として地中から根に吸収させること等が可能である。また、成長の促進を図る植物がウキクサ等の水草の場合には、底床添加剤として根から吸収させたり、固形剤を水中で除々に溶解させること等も可能である。
【0036】本花芽調整剤の植物への投与頻度は、植物個体の種類や投与目的等により異なるが、基本的には、ただ1度の投与によっても所望する効果を得ることができる。複数回投与する場合には、1週間以上の投与間隔をあけることが効率的である本花芽調整剤を適用可能な植物の種類は特に限定されず、被子植物(双子葉植物・単子葉植物)の他、菌類、地衣類、蘚苔類、シダ類および裸子植物に対しても、本花芽調整剤は有効である。
【0037】被子植物のうち、双子葉植物としては、例えば、アサガオ属植物(アサガオ)、ヒルガオ属植物(ヒルガオ、コヒルガオ、ハマヒルガオ)、サツマイモ属植物(グンバイヒルガオ、サツマイモ)、ネナシカズラ属植物(ネナシカズラ、マメダオシ)が含まれるひるがお科植物、ナデシコ属植物、ハコベ属植物、タカネツメクサ属植物、ミミナグサ属植物、ツメクサ属植物、ノミノツヅリ属植物、オオヤマフスマ属植物、ワチガイソウ属植物、ハマハコベ属植物、オオツメクサ属植物、シオツメクサ属植物、マンテマ属植物、センノウ属植物、フシグロ属植物、ナンバンハコベ属植物等のなでしこ科植物をはじめ、もくまもう科植物、どくだみ科植物、こしょう科植物、せんりょう科植物、やなぎ科植物、やまもも科植物、くるみ科植物、かばのき科植物、ぶな科植物、にれ科植物、くわ科植物、いらくさ科植物、かわごけそう科植物、やまもがし科植物、ぼろぼろのき科植物、びゃくだん科植物、やどりぎ科植物、うまのすずくさ科植物、やっこそう科植物、つちとりもち科植物、たで科植物、あかざ科植物、ひゆ科植物、おしろいばな科植物、やまとぐさ科植物、やまごぼう科植物、つるな科植物、すべりひゆ科植物、もくれん科植物、やまぐるま科植物、かつら科植物、すいれん科植物、まつも科植物、きんぽうげ科植物、あけび科植物、めぎ科植物、つづらふじ科植物、ろうばい科植物、くすのき科植物、けし科植物、ふうちょうそう科植物、あぶらな科植物、もうせんごけ科植物、うつぼかずら科植物、べんけいそう科植物、ゆきのした科植物、とべら科植物、まんさく科植物、すずかけのき科植物、ばら科植物、まめ科植物、かたばみ科植物、ふうろそう科植物、あま科植物、はまびし科植物、みかん科植物、にがき科植物、せんだん科植物、ひめはぎ科植物、とうだいぐさ科植物、あわごけ科植物、つげ科植物、がんこうらん科植物、どくうつぎ科植物、うるし科植物、もちのき科植物、にしきぎ科植物、みつばうつぎ科植物、くろたきかずら科植物、かえで科植物、とちのき科植物、むくろじ科植物、あわぶき科植物、つりふねそう科植物、くろうめもどき科植物、ぶどう科植物、ほるとのき科植物、しなのき科植物、あおい科植物、あおぎり科植物、さるなし科植物、つばき科植物、おとぎりそう科植物、みぞはこべ科植物、ぎょりゅう科植物、すみれ科植物、いいぎり科植物、きぶし科植物、とけいそう科植物、しゅうかいどう科植物、さぼてん科植物、じんちょうげ科植物、ぐみ科植物、みそはぎ科植物、ざくろ科植物、ひるぎ科植物、うりのき科植物、のぼたん科植物、ひし科植物、あかばな科植物、ありのとうぐさ科植物、すぎなも科植物、うこぎ科植物、せり科植物、みずき科植物、いわうめ科植物、りょうぶ科植物、いちやくそう科植物、つつじ科植物、やぶこうじ科植物、さくらそう科植物、いそまつ科植物、かきのき科植物、はいのき科植物、えごのき科植物、もくせい科植物、ふじうつぎ科植物、りんどう科植物、きょうちくとう科植物、ががいも科植物、はなしのぶ科植物、むらさき科植物、くまつづら科植物、しそ科植物、なす科植物、ごまのはぐさ科植物、のうぜんかずら科植物、ごま科植物、はまうつぼ科植物、いわたばこ科植物、たぬきも科植物、きつねのまご科植物、はまじんちょう科植物、はえどくそう科植物、おおばこ科植物、あかね科植物、すいかずら科植物、れんぷくそう科植物、おみなえし科植物、まつむしそう科植物、うり科植物、ききょう科植物、きく科植物等を例示することができる。
【0038】また、同じく単子葉植物としては、例えば、ウキクサ属植物(ウキクサ)及びアオウキクサ属植物(アオウキクサ、ヒンジモ)が含まれる、うきくさ科植物、カトレア属植物、シンビジウム属植物、デンドロビューム属植物、ファレノプシス属植物、バンダ属植物、パフィオペディラム属植物、オンシジウム属植物等が含まれる、らん科植物、がま科植物、みくり科植物、ひるむしろ科植物、いばらも科植物、ほろむいそう科植物、おもだか科植物、とちかがみ科植物、ほんごうそう科植物、いね科植物、かやつりぐさ科植物、やし科植物、さといも科植物、ほしぐさ科植物、つゆくさ科植物、みずあおい科植物、いぐさ科植物、びゃくぶ科植物、ゆり科植物(アスパラガス等)、ひがんばな科植物、やまのいも科植物、あやめ科植物、ばしょう科植物、しょうが科植物、かんな科植物、ひなのしゃくじょう科植物等を例示することができる。
【0039】
【実施例】以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。ただし、これらの実施例等は、本発明の技術的範囲を限定するべきものではない。
〔実施例1〕アオウキクサからの花芽形成抑制物質の単離アオウキクサ105gを乾燥状態にて4時間放置し、あらためて水2.1Lに浸漬した。その水を回収した後、HPLCにより分析した。HPLCチャートを第1図に示す。なお、分析条件は次の通りである。
【0040】
カラム:カプセルパックC18 UG120 4.6x250mm移動相:50%アセトニトリル(0.1% TFA)
流速:1ml/min検出:210nm【0041】13分に溶出されている化合物[9-ヒドロキシ-10-オキソ-12(Z),15(Z)-オクタデカジエン酸]よりも保持時間の早い画分(Fr 1),以降16分までの画分(Fr 2)、以降5分間ごとの画分(Fr 3〜Fr 5)、および、それ以降40分まで(Fr 6:図示せず) を取り、その一部について、アサガオにおける花成抑制活性を測定した。
【0042】具体的には、9gのアサガオ(品種名:ムラサキ)の種子に濃硫酸処理を20分間施し、その後流水下で一晩放置した。次いで、種子のへその部分を上にして、湿った海砂上に24時間置き発根させた。これらの発根した種子を海砂中に、1.5〜2.0 cm程度の深さに植え、連続光下で培養した(5日間程度)。
【0043】この培養により開葉したアサガオの全植物体を、培養液〔KNO3 (250 mg), NH4NO3 (250 mg), KH2PO4 (250 mg), MgSO47H2O (250 mg), MnSO44H2O (1 mg), Fe-citrate n-hydrate (6 mg), H3BO3 (2 mg), CuSO45H2O (0.1 mg), ZeSO47H2O (0.2 mg), Na2MoO4 2H2O (0.2 mg), Ca(H2PO4)22H2O (250 mg) /1000 ml蒸留水〕に移した。
【0044】上記画分に関して、上記アサガオの子葉に8個体に対して2 mlの割合で噴霧後、15時間の暗処理を行い、その後26℃で14日間連続光下にて育成し、14日目の花芽の数を観察確認した。結果を、第2図に示す。その結果、Fr3とFr5の抑制活性が強いことが明らかになった。
【0045】次に、Fr3のメイン成分としてFr3-1, Fr3-2, Fr3-3[化合物(2)とする]およびFr5のメインピークに相当する化合物[化合物(3)とする]を分取し、花成抑制活性を上記方法により測定した。第3図に示すように、化合物(2)を噴霧したアサガオでは、無添加のものに比べて花数が減少しており、抑制活性が認められた。
【0046】〔実施例2〕 単離した化合物の構造決定各種機器分析により、化合物(2)の構造解析を行った。FAB-MSはMAT95Q(Finnigan MAT社)、1H-および13C-NMRはEX-400 (JEOL)を用いて測定した。
【0047】FAB-MSによる分子量:293.6(M-H)TMS化を受ける箇所:2箇所1H-NMR(400MHz, CDCl3):δ0.98(3H,t,18-H3),1.32-1.63(12H,m,3,4,5,6,7,8-H2),2.08(2H,m,17-H2),2.34(2H,t-like, 2-H2),2.93(2H,t-like,14-H2), 4.17(1H,dd,9-H) 5.32(1H,m,15-H), 5.42(2H,m,13,16-H),5.68(1H,dd,10-H),5.99(1H,t-like,12-H),6.51(1H,dd,11-H).13C-NMR(100MHz, CDCl3):14.2(C-18),20.6(C-17),25.3(C-3),26.0(C-14),28.9,29.0, 29.1, 29.3(C-4,5,6,7),33.7(C-2),37.2(C-8),72.8(C-9),125.5(C-11),126.5(C-15),127.8(C-12), 130.8, 132.4(C-13,16),136.2(C-10), 178.4(C-1).これらのデータから、化合物(2)の構造を、9-ヒドロキシ-10(E),12(Z),15(Z)-オクタデカトリエン酸と同定した。
【0048】〔実施例3〕 植物酵素液を用いた化合物(2)の合成まず、コメ(日本晴れ)胚芽をヘキサンによって脱脂した。この脱脂胚芽100gに50mM 酢酸緩衝液(pH4.5) 500mlを添加し、2分間ホモジナイズ後、この懸濁液を遠心分離(8000rpm,15分)し、上清を得た。この液を、分画分子量3万の膜を用いた限外濾過処理(ミリポア・ペリコンラボカセット)によって約3倍に濃縮し、それを酵素液とした。
【0049】α-リノレン酸15mgを、0.1%Tween 80を含む50mM リン酸緩衝液(pH7.0)5mlに添加し、ここに上記のように調製した酵素液 5mlを加え、60分間撹拌した。反応後の液0.1mlに、1N HCl溶液0.05ml加え、5分間遠心分離してその上清25μlをHPLCにて分析した。条件は実施例1と同じである。HPLCチャートを第4図に示す。
【0050】第4図の保持時間20.5分のピークを分取し、構造解析した結果、実施例2に示したデータと全く同一であった。このことから、酵素液から抽出した物質は、化合物(2)であると同定した。
【0051】このように抽出液を用いても、これらの本発明化合物を製造することができることが明らかとなった。
〔実施例4〕 Fr 5のメインピーク物質に相当する化合物の構造実施例1および2に記載したように分取した化合物(3)のHPLCの保持時間は、実施例3記載の方法で調製した酵素液とリノール酸の反応生成物と一致し、9-ヒドロキシ-10(E),12(Z)-オクタデカジエン酸と推定された。さらに、本化合物の1H-NMRのデータを9-ヒドロキシ-10(E),12(Z),15(Z)-オクタデカトリエン酸と比較した結果、推定の構造が支持された。
【0052】
【発明の効果】本発明によって、一般式(1)で示される構造を持つ不飽和脂肪酸誘導体を有効成分として、植物の花芽形成に直接作用する花芽形成調整剤が提供される。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目5番5号
【出願日】 平成13年8月29日(2001.8.29)
【代理人】 【識別番号】100103160
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 光春
【公開番号】 特開2003−73209(P2003−73209A)
【公開日】 平成15年3月12日(2003.3.12)
【出願番号】 特願2001−260346(P2001−260346)