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【発明の名称】 害虫誘引性駆除剤
【発明者】 【氏名】土屋 輝美
【住所又は居所】西宮市津門飯田町2番123号 有恒薬品工業株式会社内

【要約】 【課題】蚕の蛹の乾燥粉末を含有し、成形性の不良な害虫誘引性駆除剤において、その成形性を改善し、しかも害虫の喫食性や誘引性を低下させず、むしろ確実に害虫の喫食性およびそれに伴う誘引性を向上させる害虫誘引性駆除剤を得ることである。

【解決手段】殺虫成分を含有すると共に、蚕の蛹の乾燥粉末を0.1〜14重量%含有し、かつ成形・喫食性助剤としてグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールまたはプロピレングリコールなどの多価アルコールを添加した害虫誘引性駆除剤とする。成形・喫食性助剤は、水溶性、もしくは吸湿性が適度にあって経時的に蒸発し難い液体または固体であり、害虫誘引性に適した甘味があるから、適当な剤型に効率よく成形できると共に、製剤施用時に長時間放置しても乾燥したり硬化したりせず、害虫誘引性が経時的に安定して持続する害虫誘引性駆除剤になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 殺虫成分を含有すると共に、蚕の蛹の乾燥粉末を0.1〜14重量%含有し、かつ成形・喫食性助剤として多価アルコールを添加したことを特徴とする害虫誘引性駆除剤。
【請求項2】 成形・喫食性助剤が、吸湿性のある蒸気圧50mPa/20℃以下の多価アルコールである請求項1記載の害虫誘引性駆除剤。
【請求項3】 成形・喫食性助剤が、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールから選ばれる一種以上の多価アルコールである請求項1記載の害虫誘引性駆除剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ゴキブリ、アリ、ハエなどの害虫を誘引して駆除するための害虫誘引性駆除剤に関する。
【0002】
【従来の技術】蚕の蛹の乾燥粉末は、害虫駆除剤に添加される誘引剤として知られている。このような蚕の蛹は、近年、養蚕産業の他に昆虫のクチクラからキチンを調製する等の生産システムの構築に伴い、廃棄物として幼虫の死骸が多量回収できる機会が多くなったことから、その有効利用の開発が求められている。
【0003】そして、蚕の蛹の乾燥粉末は、動物性蛋白質を主成分とし、多くの雑食性昆虫に対する誘引性も高いため、本願の発明者らも蚕の蛹の乾燥粉末を昆虫の誘引剤として害虫駆除剤に配合する可能性を研究した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、蚕の蛹の乾燥粉末を昆虫の誘引剤として害虫駆除剤に配合すると、粉末状駆除剤をペレットや顆粒状にする成形性が悪くなり、その改善のためにデンプンや小麦粉などの成形助剤を必要とする。
【0005】そして、蚕の蛹の乾燥粉末と共にデンプンなどの成形助剤を配合して製剤された害虫駆除剤は、硬くなって害虫の嗜好性が低下し、その結果、喫食性が低下するので、所期した駆除効果が得られないという問題が生じる。
【0006】そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、蚕の蛹の乾燥粉末を含有し、成形性の不良な害虫誘引性駆除剤において、その成形性を改善し、しかも害虫の喫食性や誘引性を低下させず、むしろ確実に害虫の喫食性およびそれに伴う誘引性を向上させる害虫誘引性駆除剤を得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、害虫誘引性駆除剤に係る発明は、殺虫成分を含有すると共に、蚕の蛹の乾燥粉末を0.1〜14重量%含有し、かつ成形・喫食性助剤として多価アルコールを添加したことを特徴とする害虫誘引性駆除剤としたのである。
【0008】この発明の害虫誘引性駆除剤では、蚕の蛹の乾燥粉末を所定量配合すると共に、吸湿性のある粘調な多価アルコールを成形性および喫食性の向上を目的とする助剤として添加したので、害虫誘引性駆除剤が多くの害虫にとって喫食しやすい適当な軟らかさに調整されたものになると共に、押出成形、注型成形または打錠などによって適当な剤型に効率よく成形できるものになる。
【0009】また、成形・喫食性助剤が、吸湿性のある蒸気圧50mPa/20℃以下の多価アルコールである上記構成の害虫誘引性駆除剤は、多価アルコールの特性、すなわち水溶性、もしくは吸湿性が適度にあって経時的に蒸発し難い液体または固体であり、害虫誘引性に適した甘味があるという特性を共有するものであるから、製剤施用時に長時間放置しても乾燥したり硬化したりせず、害虫誘引性が経時的に安定して持続するものになる。
【0010】上記組成の害虫誘引性駆除剤において、特に成形・喫食性助剤が、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールから選ばれる一種以上の多価アルコールであるものは、吸湿性のある粘ちょうな液体であるから、上述の作用効果がより確実に奏される。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明に用いる殺虫有効成分は、特に限定されるものでなく、以下のような周知の殺虫剤を使用できる。
(1)有機リン系:フェニトロチオン、フェンチオン等のマイクロカプセル剤(2)カーバメイト系:カルバリル、プロポクスル、フェノブカルブ、エチオフェンカルブ等、及びこれらのマイクロカプセル剤(3)ピレスロイド系:フェノトリン、シフェノトリン、イミプロトリン、トラロメスリン、デルタメスリン、シハロトリン、シフルトリン、テフルトリン等、及びこれらのマイクロカプセル剤(4)オキサゾール系:エトキサゾール等(5)ネオニコチノイド系:イミダクロプリド、アセタミプロド、ニテンピラム等(6)ピリジンアゾメチン系:ピメトロジン等(7)ベンゾイルウレア系:ルフェヌロン等(8)ピロール系:クロルフェナピル等(9)ピラゾール系:フィプロニル、テブフェンピラド、フェンピロキシメート等(10)ネオニコチノイド系:チアメトプリド、チアメトキサン等(11)昆虫成長制御剤:シロマジン、フェノブカルブ、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、テフルベンズロン、ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン等(12)その他の殺虫剤:エマメクチン安息香酸、アバメクチン、ミルベメクチン、イベルメクチン、ホウ酸、硼砂等【0012】この発明に用いる蚕の蛹の乾燥粉末は、特にカイコの種類を限定したものではなく、昆虫誘引性のあるカイコの蛹であればよい。また、乾燥粉末は、粉末の粒径を特に限定せず、10〜1000μm程度の粒径を目安にして、適宜にミルその他の粉砕機で粉末化したもので良い。
【0013】そして、蚕の蛹の乾燥粉末の害虫誘引性駆除剤への配合量は、0.1〜14重量%である。なぜなら、上記所定範囲未満の少量では、蛾や蝶類の幼虫やその蛹などを食用とする捕虫性害虫に対する喫食性および誘引性がなく、14重量%を超えて配合してもそれ以上に喫食・誘引性が有意に高まらず、却って殺虫有効成分やその他の成分を増量することになり、効果的でないからである。
【0014】この発明に用いる多価アルコールは、水溶性、もしくは吸湿性が適度にあって経時的に蒸発し難い液体または固体であり、害虫誘引性に適した甘味があるという特性を有するものであり、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、吸湿性のある蒸気圧50mPa/20℃以下の多価アルコールである。
【0015】そして、3価のアルコールであるグリセリン、または2価のアルコールであるジエチレングリコール、ポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコールは、適度に吸湿性のある粘ちょうな液体であるから、上述の作用効果がより確実に奏される。
【0016】この発明には、その他の誘引成分として、糖類、その他の動物性蛋白質、植物性蛋白質、植物油、動物油等を添加しても良い。
【0017】また、この発明の効果を阻害しない限り、その他の成分として、成形助剤(澱粉、小麦粉等)、結合剤(カルボキシメチルセルロース、グアーガム等)、誤食防止剤(トウガラシ末、安息香酸デナトニウム等)、防腐剤(チアベンダゾール、パラオキシ安息香酸ブチル等)を用いることも好ましいことである。
【0018】
【実施例および比較例】〔実施例1〕表1に示す配合割合で実施例1の原料を均一に混合し、打錠機を用いて直径2cmの錠剤を得た。
【0019】〔実施例2〕表1に示す配合割合で実施例2の原料を均一に混合して50℃に加温し、100gのゲル剤を得た。
【0020】〔実施例3〕表1に示す配合割合で実施例3の原料を均一に混合し、加圧成形機を用いて直径3cmの固形剤を得た。
【0021】〔実施例4〕表1に示す配合割合で実施例4の原料を均一に混合して水(4重量%)を加えて練り、造粒機にて造粒した後70℃にて乾燥して嵩比重0.85の顆粒剤を得た。
【0022】〔実施例5〕表1に示す配合割合で実施例5の原料を均一に混合し、溶解して100gの懸濁剤を得た。
【0023】〔実施例6〕表1に示す配合割合で実施例6の原料を均一に混合すると共に、水(3重量%)を加えて練り、造粒機にて造粒した後70℃にて乾燥して嵩比重0.5の顆粒剤を得た。
【0024】
【表1】

【0025】〔比較例1〕比較例1の原料を表2に示す配合割合で均一に混合し、打錠機を用いて直径2cmの錠剤を得た。
【0026】〔比較例2〕表2に示す配合割合で比較例2の原料を均一に混合し、加圧成形機を用いて直径3cmの固形剤を得た。
【0027】〔比較例3〕表2に示す配合割合で比較例3の原料を均一に混合すると共に、水(4重量%)を加えて練り、造粒機にて造粒した後70℃にて乾燥して嵩比重0.5の顆粒剤を得た。
【0028】〔比較例4〕表2に示す配合割合で比較例4の原料を均一に混合し、打錠機を用いて直径2cmの錠剤を得た。
【0029】〔比較例5〕表2に示す配合割合で比較例5の原料を均一に混合して50℃に加温し、100gのゲル剤を得た。
【0030】
【表2】

【0031】上記のようにして得られた実施例および比較例の誘引喫食性を調べるため、下記の試験1〜4を行ないこれらの結果を表3〜6に示した。
【0032】[試験1]チャバネゴキブリ25匹(雌雄1:1)を放った試験容器(直径30cm、深さ15cm)内に実施例1、比較例1及び4を並置し、5分、10分、20分、30分の時間の経過毎に各サンプルに誘引喫食される虫数を数えた。繰り返し2回実施した結果を表3に示した。
【0033】
【表3】

【0034】表3の結果からも明らかなように、成形・喫食性助剤が過少であるかまたは配合されていないものは、明らかに喫食性が弱く、実施例1からも明らかなようにチャバネゴキブリは明らかに実施例1を喫食した。
【0035】[試験2]チャバネゴキブリ25匹(雌雄1:1)を放った試験容器(直径30cm、深さ15cm)内に実施例2、比較例5を並置し、5分、10分、20分、30分の時間の経過毎に各サンプルに誘引喫食される虫数を数え、これを繰り返し2回調べ、その結果を表4に示した。
【0036】
【表4】

【0037】表4の結果からも明らかなように、成形・喫食性助剤であるグリセリンを過剰量配合した比較例5は、喫食量が少なく、同じグリセリンを適量配合した実施例2は、良好な喫食量であった。
【0038】[試験3]野外のトビイロシワアリの巣入り口付近に円状に並べて実施例3(固形剤)および比較例2(ゲル剤)を交互に3個ずつ設置し、時間経過毎に各駆除剤に誘引喫食されるアリの合計数を調べ、これを繰り返し2回実施し、その結果を表5に示した。
【0039】
【表5】

【0040】表5の結果からも明らかなように、トビイロシワアリは実施例3をよく喫食することが確認でき、一方、成形・喫食性助剤を何も含まない比較例2の駆除剤は喫食量が少なかった。
【0041】[試験4]ステンレスケージにイエバエ成虫50匹(雌雄1:1)を放ち、実施例6および比較例3の各3gをペトリ皿に入れて並置し、時間経過毎に各ベイトに誘引喫食される虫数を数え、これを繰り返し2回実施し、その結果を表6に示した。
【0042】
【表6】

【0043】表6の結果からも明らかなように、イエバエは実施例6をよく喫食することが確認でき、一方、蛹粉も成形・喫食性助剤も含まない比較例3の駆除剤は喫食量が少なかった。
【0044】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、殺虫成分を含有すると共に、蚕の蛹の乾燥粉末を所定量含有し、かつ多価アルコールを添加した害虫誘引性駆除剤としたので、このような製剤の成形性が改善され、しかも害虫の喫食性や誘引性を低下させず、むしろ確実に害虫の喫食性およびそれに伴う誘引性を向上させる害虫誘引性駆除剤になるという利点がある。
【0045】また、成形・喫食性助剤が、吸湿性のある蒸気圧50mPa/20℃以下の多価アルコールである上記構成の害虫誘引性駆除剤は、施用時に長時間放置しても乾燥したり硬化したりせず、害虫誘引性が経時的に安定して持続するものになる。
【0046】上記組成の害虫誘引性駆除剤において、特に成形・喫食性助剤が、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールから選ばれる一種以上の多価アルコールであるものは、上述の効果がより確実に奏される。
【出願人】 【識別番号】000250018
【氏名又は名称】有恒薬品工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県西宮市津門飯田町2番123号
【出願日】 平成13年8月29日(2001.8.29)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2003−63914(P2003−63914A)
【公開日】 平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願番号】 特願2001−259461(P2001−259461)