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【発明の名称】 抗菌・防汚材及び導電性可視光感応型酸化チタンの作製方法
【発明者】 【氏名】村上 裕彦
【住所又は居所】茨城県つくば市東光台5−9−7 株式会社アルバック筑波超材料研究所内

【氏名】小圷 千鶴
【住所又は居所】茨城県つくば市東光台5−9−7 株式会社アルバック筑波超材料研究所内

【要約】 【課題】酸化されやすい金属に対する抗菌・防汚作用を有する導電性可視光感応型酸化チタンを含む抗菌・防汚材及びこの酸化チタンの作製方法の提供。

【解決手段】式:TiO2−x(0<x<1、0<y<1)を有する導電性可視光感応型酸化チタンからなる。この導電性可視光感応型酸化チタンは、全可視光領域で作用し、100μΩcm〜100kΩcmの範囲の電気伝導度を有する。この酸化チタンは、TiOを純NHガス又はNH含有混合ガス雰囲気中で500℃以上に加熱することにより得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 式:TiO2−x(0<x<1、0<y<1)を有する導電性可視光感応型酸化チタンを含むことを特徴とする抗菌・防汚材。
【請求項2】 前記導電性可視光感応型酸化チタンは、全可視光領域で作用するものである請求項1記載の抗菌・防汚材。
【請求項3】 前記導電性可視光感応型酸化チタンは、100μΩcm〜100kΩcmの範囲の電気伝導度を有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の抗菌・防汚材。
【請求項4】 TiOを、純NHガス又はNH含有混合ガスからなる窒素含有ガス雰囲気中、500℃以上の温度で加熱して、TiOを窒化し、式:TiO2−x(0<x<1、0<y<1)を有し、抗菌・防汚の光触媒作用を持つ導電性可視光感応型酸化チタンを得ることを特徴とする導電性可視光感応型酸化チタンの作製方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌・防汚材及び導電性可視光感応型酸化チタンの作製方法に関する。特に、本発明は、太陽光の大部分(約50〜60%)を占める可視光を吸収することが可能な、抗菌・防汚などの光触媒作用を持つ導電性可視光感応型酸化チタンを含む抗菌・防汚材及びその導電性可視光感応型酸化チタンの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から知られている二酸化チタン光触媒は、触媒として作用させるには短波長の紫外光の照射が必要とされるため、太陽光を用いる場合には効率が悪い。これは、二酸化チタンは紫外光領域の光の波長(380nm以下)で価電子帯の電子が伝導帯に励起されて種々の酸化・還元作用を示すからである。二酸化チタンの酸化・還元作用には、抗菌・防汚・脱臭などの効果があり、近年、これらの効果を期待して窓ガラスや壁面、道路などにコーティングされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の二酸化チタンは、上記したように、太陽光に約5%しか含まれていない380nmよりも短波長の光しか利用できない。また、金属基板、特に酸化されやすいステンレス、鉄などからなる金属基板に二酸化チタンをコーティングした場合、光触媒作用によりこれらの金属が酸化されて腐食する。それ故に、二酸化チタンは、これまで、ステンレス製流し台などへの抗菌コートには利用できなかった。
【0004】本発明の課題は、酸化されやすい金属に対する抗菌・防汚作用を有する導電性可視光感応型酸化チタンを含む抗菌・防汚材及びこの導電性可視光感応型酸化チタンの作製方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、TiOを窒化したTiO2−xに導電性があることを見いだし、上記課題を解決することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】本発明の抗菌・防汚材は、式:TiO2−x(0<x<1、0<y<1)を有する導電性可視光感応型酸化チタンを含むものである。この導電性可視光感応型酸化チタンは、全可視光領域、すなわち400〜700nmで作用し、100μΩcm〜100kΩcmの範囲の電気伝導度を有するものである。このような導電性可視光感応型酸化チタンは、抗菌・防汚等の光触媒作用を持つ。
【0007】本発明の可視光感応型酸化チタンの作製方法は、TiOを、例えば、純NHガス又はNH含有混合ガスからなる窒素含有ガス雰囲気中、500℃以上、好ましくは600℃以上の温度で加熱して、TiOを窒化することにより、式:TiO2−x(0<x<1、0<y<1)を有し、抗菌・防汚の光触媒作用を持つ導電性可視光感応型酸化チタンを得ることからなる。焼成温度が500℃未満であると、得られた酸化チタンは、紫外光領域の波長の光は吸収できるが、可視光領域の波長の光を吸収し難いため、可視光の照射では機能しないという問題がある。特に、600℃以上で加熱処理して得たTiO2−xの場合、その可視光領域の光吸収率は、従来の未処理のTiOの場合と比較すると大幅に増大する。加熱処理するTiOの形状については、特に制限はない。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)ステンレス(SUS304)基板上に塗布したTiO薄膜(膜厚:500nm)を、ランプ加熱方式の電気炉中でNHガス雰囲気中において、650℃、30分間加熱処理し、焼成した。得られた薄膜中の窒素含有量を燃焼法にて測定したところ、得られた窒化TiOの組成はTiO2−x(x=0.2、y=0.2)であることがわかった。また、得られた薄膜は、100Ωcmの電気伝導度(抵抗値)持ち、導電性窒化酸化チタンからなっていた。
【0009】NHガス雰囲気中における加熱処理後、作製されたTiO2−x薄膜について、蛍光分光光度計によって吸収波長の評価を行った。なお、加熱処理しなかった未処理TiO薄膜についても、同様に吸収波長の評価を行った。それぞれの結果を図1(未処理)及び図2(加熱処理)に示す。これらの図から明らかなように、未処理薄膜の場合は、200〜400程度の紫外光領域の波長を吸収することができたに過ぎなかったが、650℃で加熱処理した薄膜は、200〜700nmの波長の光を吸収することができた。
【0010】次に、上記のようにして加熱処理した薄膜及び加熱処理しなかった未処理薄膜について、光触媒能を評価するために抗菌試験を行った。菌として大腸菌を薄膜表面に散布し、大腸菌の付着した薄膜表面に対して所定の温度で所定の時間光照射した後、菌数の変化を測定した。この結果、試験開始時の菌数は500個であったが、1000ルクスの蛍光灯を24時間照射後の菌数は、加熱処理した薄膜の場合、10個以下であり、未処理薄膜の場合、500個であった。加熱処理した薄膜の場合、顕著な抗菌性を有することがわかる。
【0011】また、上記加熱処理薄膜及び未処理薄膜について、耐食性試験を行った。NaCl水溶液(濃度:10%)を各薄膜の表面に噴霧した後、50℃で5時間乾燥させ、次いで、40℃で2.5時間湿潤状態(湿度:100%)に放置した。この結果、加熱処理した薄膜を有するステンレス基板の場合、ステンレス基板の腐食は観測されなかったが、未処理薄膜を有するステンレス基板の場合、ステンレス基板の腐食が観察された。
【0012】(実施例2)ステンレス(SUS316)基板上に塗布したTiO薄膜(膜厚:500nm)を、ランプ加熱方式の電気炉中でNHガス雰囲気中において、700℃、30分間加熱処理し、焼成した。得られた薄膜中の窒素含有量を燃焼法にて測定したところ、得られた各窒化TiOの組成はTiO2−x(x=0.3、y=0.3)であることがわかった。また、得られた薄膜は、100mΩcmの電気伝導度(抵抗値)を持ち、導電性酸化チタンからなっていた。NHガス雰囲気中における加熱処理後、作製されたTiO2−x薄膜について、蛍光分光光度計によって吸収波長の評価を行ったところ、実施例1の場合と同様に、全可視光領域で作用することがわかった。
【0013】次に、上記のようにして加熱処理した薄膜について、実施例1の場合と同様に、光触媒能を評価するために抗菌試験を行った。大腸菌の付着した薄膜表面に対して所定の温度で所定の時間光照射した後、菌数の変化を測定した。この結果、試験開始時の菌数は500個であったが、1000ルクスの蛍光灯を24時間照射後の菌数は、10個以下であり、顕著な抗菌性を示した。また、上記加熱処理薄膜について、実施例1の場合と同様に、耐食性試験を行った。NaCl水溶液を薄膜の表面に噴霧した後、50℃で5時間乾燥させ、次いで、40℃で2.5時間湿潤状態に放置した。この結果、ステンレス基板の腐食は観測されなかった。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、全可視光領域においても光触媒能を有し、抗菌性を有すると共に、酸化されやすい金属基板にコーティングしても腐食作用をもたらさない導電性可視光感応型酸化チタンを作製し、この導電性可視光感応型酸化チタンからなる抗菌・防汚材を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
【住所又は居所】神奈川県茅ヶ崎市萩園2500番地
【出願日】 平成13年8月22日(2001.8.22)
【代理人】 【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次 (外1名)
【公開番号】 特開2003−63912(P2003−63912A)
【公開日】 平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願番号】 特願2001−251629(P2001−251629)