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【発明の名称】 植物保護用ペースト
【発明者】 【氏名】二宮 弘文
【住所又は居所】富山県富山市海岸通3番地 エムアールシーポリサッカライド株式会社内

【氏名】野口 良平
【住所又は居所】東京都港区港南一丁目6番41号 エムアールシーポリサッカライド株式会社東京営業所内

【氏名】森川 光雄
【住所又は居所】富山県富山市海岸通3番地 エムアールシーポリサッカライド株式会社内

【氏名】富所 貴雄
【住所又は居所】東京都中央区銀座一丁目27番12号 シールック株式会社内

【要約】 【課題】安全で容易に取り扱うことができ、樹木等との接着性に優れ、感染を確実に防止できる植物保護用ペーストを提供する。

【解決手段】多糖類を用いてペースト化した抗菌剤を含むペーストを、樹木等の切口にコーティングすることにより感染を防止する。多糖類(その誘導体を含む)としては、コーティング後のペーストの耐水性の観点からゲル化能を有する多糖類又はゲル化能を有する多糖類を一種以上含む多糖類混合物であることが好ましく、特にカラギナンが好ましい。また、抗菌剤としては、抗菌性能の長期安定化の観点から、無機系の二酸化チタン系や酸化亜鉛系等の光半導体の微粒子が好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 多糖類を用いてペースト化したことを特徴とする抗菌剤を含む植物保護用ペースト。
【請求項2】 多糖類が、ゲル化能を有する多糖類、又はゲル化能を有する多糖類を一種以上含む多糖類混合物である請求項1記載の植物保護用ペースト。
【請求項3】 ゲル化能を有する多糖類が、カラギナンである請求項2記載の植物保護用ペースト。
【請求項4】 抗菌剤が、光半導体の微粒子である請求項1、2又は3記載の植物保護用ペースト。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹木等植物の腐らん防止のためのペーストに関するものであり、特に果樹の感染防止や観葉植物の切口の腐敗抑制などに広く利用されるペーストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】樹木は、枝切口や幹・枝の皮はがれ部分より子のう菌類(Valsa ceratosperma)が感染し、枝腐らんや胴腐らんを引き起こす。こうした感染により、枝腐らんの場合は先枯れ症状が発生し、又、胴腐らんの場合は樹皮の褐変腐敗や、一部木質部の腐敗が発生し、特に果樹については重大な問題となっている。従来、樹木の陥没部に感染を防ぐ目的等でセメントを充填することが試みられた。しかしながら、セメントは、樹木との接着性が悪く剥がれが起こるなど、様々な問題が発生した。これらの問題を解決する方法として、特開平11−155396号公報には、珪藻土、セメント、木粉、及び抗菌剤を混合したペーストを樹木の陥没部や切口にコーティングした後、硬化する方法が開示されている。又、合成樹脂であるウレタンや塩化ビニル素材に防腐剤を添加したものをコーティングすることも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、セメントや合成樹脂素材は樹木との接着性が充分でなく、又手で直接取り扱えず作業性や安全性に問題があった。更に、合成樹脂の場合は環境面においても好ましくなかった。そこで、安全で容易に取り扱うことができ、樹木との接着性に優れ、感染を確実に防止できる植物保護用素材が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、樹木の感染防止のための抗菌剤のペースト化剤として多糖類が優れていることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、多糖類を用いてペースト化したことを特徴とする抗菌剤を含む植物保護用ペーストである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明においてペースト化剤として用いる多糖類(その誘導体も含む)としては、天然多糖類を使用することができるが、コーティング後のペーストの耐水性付与の観点からゲル化能を有する多糖類、又はゲル化能を有する多糖類を1種以上含む多糖類混合物が好ましい。ゲル化能を有する多糖類としては、特に限定されず、寒天、アルギン酸及びその塩類、カラギナン、コンニャクイモ抽出物、ローカストビーンガム/キサンタンガム混合物、ジェランガム等を挙げることができるが、ペーストの展延性の経日的な安定性の点からカラギナンが好ましい。
【0006】尚、本発明で云うゲル化能を有する多糖類としては、単独ではゲル化能を発現しないものであっても、特定の塩等の成分の添加でゲル化能を発現する多糖類、及び他の多糖類との組み合わせにより、ゲル化能を発現する多糖類も含まれる。こうしたゲル化能を有する多糖類の添加によって、コーティングされたペーストの耐水性が向上し、降雨や散水によってもペーストの剥がれや流出が防がれるのである。
【0007】本発明のペーストに含まれる抗菌剤としては、樹木の感染を防止できるものなら特に限定されないが、抗菌性能の長期安定化の点で、無機系の二酸化チタンや酸化亜鉛系などの光半導体の微粒子が好ましい。これらの光半導体は、光触媒作用を有し抗菌効果があることは公知であるが、形態としては微粒子で存在するためペースト内に存在する限り降雨や散水により流出することはなく、抗菌作用が維持される。
【0008】尚、本発明のペーストには、着色料、栄養素、保存料、無機充填材、保湿剤等を適宜添加混合しても差し支えない。
【0009】
【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0010】(実施例1)以下の組成でペーストを作成し、チューブに充填した。
キサンタンガム 0.5質量%酸化チタン系光半導体粉末 1.0質量%グリセリン 15.0質量%シリカ粉末 20.0質量%安息香酸ナトリウム 0.5質量%水 63.0質量%得られたペーストをりんごの枝の切口に指で塗布し、無処理の切口と比較した。尚、ペーストは指で切口全体に容易に均一塗布することができた。3ヵ月後の切口の状況を確認したところ、無処理の切口の腐らん発生に対し、本ペーストを塗布した切口は若干のペーストの流出が認められたものの、切口自体には全く異常が認められなかった。又、ペースト作成後、チューブで6ヶ月間常温保管したものについて、ペーストの硬さの変化や分離状況を確認したが、変化は全く認められず、コーティングもスムーズに実施できた。
【0011】(実施例2)以下の組成でペーストを作成し、チューブに充填した。
カラギナン 1.0質量%酸化チタン系光半導体粉末 1.0質量%グリセリン 20.0質量%シリカ粉末 20.0質量%安息香酸ナトリウム 0.5質量%水 57.5質量%得られたペーストを実施例1と同様に、りんごの枝の切口に指で塗布し、無処理の切口と比較した。尚、ペーストは指で切口全体に容易に均一塗布することができた。3ヵ月後の切口の状況を確認したところ、無処理の切口の腐らん発生に対し、本ペーストを塗布した切口はペーストの流出も認められず、切口自体にも全く異常が認められなかった。又、ペースト作成後、チューブで6ヶ月間常温保管したものについて、ペーストの硬さの変化や分離状況を確認したが、変化は全く認められず、コーティングもスムーズに実施できた。
【0012】
【発明の効果】本発明の植物保護用ペーストは、ペースト化剤として多糖類(その誘導体を含む)を使用するので、樹木の皮剥がれ部や切口に安全且つ容易にコーティングすることができ、しかも多糖類は天然物で樹木組織との親和性に優れていて、樹木との接着性が良好であることから、樹木の感染を確実に防止することができる。更に、ペーストのコーティング後もコーティング剤を通して、酸素通過性及び水分通過性が保持されるので、樹木にとって最適な環境を維持することができる。
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南一丁目6番41号
【識別番号】598116358
【氏名又は名称】シールック株式会社
【住所又は居所】東京都中央区銀座一丁目27番12号
【出願日】 平成13年8月22日(2001.8.22)
【代理人】 【識別番号】100091948
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 武男
【公開番号】 特開2003−63903(P2003−63903A)
【公開日】 平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願番号】 特願2001−251273(P2001−251273)