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【発明の名称】 竹及びササの緑葉を長持ちさせる方法
【発明者】 【氏名】奥村 浩章

【要約】 【課題】竹・ササの葉付き枝・茎を長期間保存可能にする。

【解決手段】竹の稈または節から延びる枝を切断し、竹の稈または枝の切断面に処理液を接触させて竹の枝付き稈ないし枝に寸法安定剤を含む処理液を浸透させる方法であって、処理液の液面が竹の枝付き稈または枝の先端よりも高い位置にある状態で寸法安定剤を含む処理液を浸透させることを特徴とする竹の枝付き稈ないし枝に処理液を浸透させる方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】竹の稈または枝を切断し、竹の稈または枝の切断面に処理液を接触させて竹の稈ないし枝に寸法安定剤を含む処理液を浸透させる方法であって、処理液の液面が竹の稈または枝の先端よりも高い位置にある状態で寸法安定剤を含む処理液を浸透させることを特徴とする竹の稈ないし枝に処理液を浸透させる方法。
【請求項2】竹の稈が枝付き稈であって、該枝付き稈に寸法安定剤を浸透させる請求項1に記載の方法。
【請求項3】茎と葉を有するササの地上部を切断し、ササの茎の切断面に処理液を接触させてササの茎及び葉に寸法安定剤を含む処理液を浸透させる方法であって、処理液の液面がササの先端よりも高い位置にある状態で寸法安定剤を含む処理液を浸透させることを特徴とするササの茎及び葉に処理液を浸透させる方法。
【請求項4】寸法安定剤がポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】処理液が寸法安定剤及び染料を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】稈及び葉付き枝に寸法安定剤を浸透してなる竹。
【請求項7】茎及び葉に寸法安定剤を浸透してなるササ。
【請求項8】葉及び枝に寸法安定剤を浸透してなる竹の葉付き枝。
【請求項9】寸法安定剤がポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸である請求項6に記載の竹。
【請求項10】寸法安定剤と共に染料を浸透してなる請求項9に記載の竹。
【請求項11】竹の稈または枝を切断し、処理液の液面が竹の稈または枝の先端よりも高い位置にある状態で、処理液を竹の稈または枝の切断面に接触させて、竹の稈ないし枝に寸法安定剤を含む処理液を浸透させる工程、次いで該浸透工程で得られた竹の稈又は枝の切断面に水を接触させる工程を含む、竹の稈又は枝の保存方法。
【請求項12】寸法安定剤がポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】茎と葉を有するササの地上部を切断し、処理液の液面がササの先端よりも高い位置にある状態で、処理液をササの茎の切断面に接触させて、ササの茎及び葉に寸法安定剤を含む処理液を浸透させる工程、次いで該浸透工程で得られたササの茎の切断面に水を接触させる工程を含む、ササの茎及び葉の保存方法。
【請求項14】寸法安定剤がポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】竹の稈の切断面を覆う容器を備え、容器内には、寸法安定剤を含む処理液を有し、かつ、該切断面の全部又は一部が処理液に接触するように構成された竹の枝付き稈又は枝。
【請求項16】稈及び枝に寸法安定剤を含む竹の枝付き稈の切断面を覆う容器を備え、容器内に水を含み、かつ、該切断面の全部又は一部が処理液に接触するように構成された竹の枝付き稈又は枝。
【請求項17】寸法安定剤がポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項16に記載の竹の枝付き稈又は枝。
【請求項18】容器と竹を覆う熱収縮性フィルムからなる被覆部をさらに備えた請求項15〜17のいずれかに記載の竹の枝付き稈又は枝。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、竹の稈及び/又は枝に処理液を浸透させる方法、ササの茎及び葉に処理液を浸透させる方法、葉ないし葉付き枝または茎に処理液を浸透してなる竹及びササ、並びに竹又はササの保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】竹の稈の節から側方に伸びる竹の葉付き枝、オカメザサなどのササは神聖なものとして神事などで汎用され、十日戎、生け花、装飾品、或いは七夕、葬儀、食品の包装資材などとして用いられている。
【0003】一方、竹の葉は稈または枝が切り出されると蒸散がはやく数時間から十数時間で葉が巻いて細くなり、神事などに使用することができなくなる。同様にササも茎が切断されると、葉が巻いて細くなり、商品価値が損なわれる。また、竹・ササの葉は風にも弱く、輸送中に風が当たると特に蒸散がはやく葉が巻いて細くなりやすい。
【0004】従って、竹・ササの葉を使用する際には、葉が巻いて細くなる前に竹・ササの葉を切断・輸送し、しかも一定期間葉が巻いて枯れた状態にならないように維持することが求められていた。
【0005】竹を含む自然の植物を加工する方法としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩のうちの1種以上と、着色剤と、多価アルコールからなる溶液を植物に吸収させる方法が提案されている(特開平7−126102)。しかし、この公報は、切断面を下にして植物の調製液の吸い上げ作用により調製液を植物内に浸透させる方法を開示するのみである。竹の維管束は、樹木の導管と比べて太く、よって毛細管現象による水分等の竹の吸収力は劣り、従ってこのような方法では竹、ササの内部、特に葉に調製液を浸透させることはできない。
【0006】本発明は、竹、葉の付いた竹の枝ないし稈、葉の付いたササの茎について、生きているような外観及び感触(例えば柔らかさ)、色合いなどの長期間保持できる技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に鑑み検討を重ねた結果、竹の稈または枝、ササの茎を切断して切断面から処理液を好ましくは重力の作用により浸透させることにより、竹の稈及び枝、ササの茎を通して葉の内部に処理液が浸透し、竹及びササの葉を生きているような外観及び感触(例えば柔らかさ)、色合いなどの長期間保持できることを見出した。
【0008】さらに、本発明者は、竹又はササをグリセリンなどの低分子量の多価アルコールで処理した場合、ポリエチレングリコールでの処理と比べて、その竹又はササはより自然で瑞々しく生きているような外観及び感触、色合いを有するがその保持期間はより短く、このことは、竹又はササをグリセリンなどの低分子の多価アルコールで処理した後に、水に接触させておくことによって改善されることを見出した。また、竹又はササの切断面を覆うように水含有容器を竹又はササに備えておくことにより、生きているような外観及び感触、色合いを保持させたまま竹又はササを遠隔地へ輸送することが可能となることを見出した。
【0009】本発明は、下記の項1〜項18を提供することを目的とする。
項1. 竹の稈または枝を切断し、竹の稈または枝の切断面に処理液を接触させて竹の稈ないし枝に寸法安定剤を含む処理液を浸透させる方法であって、処理液の液面が竹の稈または枝の先端よりも高い位置にある状態で寸法安定剤を含む処理液を浸透させることを特徴とする竹の稈ないし枝に処理液を浸透させる方法。
項2. 竹の稈が枝付き稈であって、該枝付き稈に寸法安定剤を浸透させる項1に記載の方法。
項3. 茎と葉を有するササの地上部を切断し、ササの茎の切断面に処理液を接触させてササの茎及び葉に寸法安定剤を含む処理液を浸透させる方法であって、処理液の液面がササの先端よりも高い位置にある状態で寸法安定剤を含む処理液を浸透させることを特徴とするササの茎及び葉に処理液を浸透させる方法。
項4. 寸法安定剤がポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である項1〜3のいずれかに記載の方法。
項5. 処理液が寸法安定剤及び染料を含む項4に記載の方法。
項6. 稈及び葉付き枝に寸法安定剤を浸透してなる竹。
項7. 茎及び葉に寸法安定剤を浸透してなるササ。
項8. 葉及び枝に寸法安定剤を浸透してなる竹の葉付き枝。
項9. 寸法安定剤がポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸である項6に記載の竹。
項10. 寸法安定剤と共に染料を浸透してなる項9に記載の竹。
項11. 竹の稈または枝を切断し、処理液の液面が竹の稈または枝の先端よりも高い位置にある状態で、処理液を竹の稈または枝の切断面に接触させて、竹の稈ないし枝に寸法安定剤を含む処理液を浸透させる工程、次いで該浸透工程で得られた竹の稈又は枝の切断面に水を接触させる工程を含む、竹の稈又は枝の保存方法。
項12. 寸法安定剤がポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、項11に記載の方法。
項13. 茎と葉を有するササの地上部を切断し、処理液の液面がササの先端よりも高い位置にある状態で、処理液をササの茎の切断面に接触させて、ササの茎及び葉に寸法安定剤を含む処理液を浸透させる工程、次いで該浸透工程で得られたササの茎の切断面に水を接触させる工程を含む、ササの茎及び葉の保存方法。
項14. 寸法安定剤がポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、項13に記載の方法。
項15. 竹の稈の切断面を覆う容器を備え、容器内には、寸法安定剤を含む処理液を有し、かつ、該切断面の全部又は一部が処理液に接触するように構成された竹の枝付き稈又は枝。
項16. 稈及び枝に寸法安定剤を含む竹の枝付き稈の切断面を覆う容器を備え、容器内に水を含み、かつ、該切断面の全部又は一部が処理液に接触するように構成された竹の枝付き稈又は枝。
項17. 寸法安定剤がポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、項16に記載の竹の枝付き稈又は枝。
項18. 容器と竹を覆う熱収縮性フィルムからなる被覆部をさらに備えた項15〜17のいずれかに記載の竹の枝付き稈又は枝。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、竹の稈を適当な位置で切断して、先端を上にした状態で切断面を寸法安定剤を含む処理液を満たした容器に数時間から数日間浸漬しておいても、寸法安定剤を含む処理液は稈に浸透しない。同様に、稈の節から延びる竹の葉付き枝を切断して寸法安定剤を含む処理液を満たした容器に切断面を数時間から数日間浸漬しておいても、寸法安定剤を含む処理液は枝、特に葉には全く浸透しない。
【0011】竹の稈を2カ所で切断し、一方を真空ポンプに接続し、他方を寸法安定剤を含む処理液に浸漬しておけば、減圧条件下で処理液は稈の中には浸透するけれども、竹の葉付き枝にはほとんど浸透しない。同様に、ササにおいても、ササの茎を一カ所で切断し、切断面を寸法安定剤を含む処理液に浸漬しても処理液はほとんど浸透しない。さらに、ササの茎を二カ所で切断し、切断面の一方を寸法安定剤を含む処理液に浸漬し、他方を真空ポンプにより減圧にしても、処理液はササの茎にのみ浸透し、ササの葉にはほとんど浸透しない。従って、竹・ササの葉に寸法安定剤を浸透させるために本発明の方法が特に有用である。
【0012】竹としては、孟宗竹、真竹、黒竹、ナリヒラダケ(大名竹)、亀甲竹、ハチク、ホテイチク、キンメイチクなどが例示される。なお、本明細書において、竹の「稈」とは、中空と節を有する竹の地上茎のことを意味する。竹の「稈」は枝を含んでいるものが好ましいが、枝がないものでもよい。また、竹の「枝」は葉を含んでいるものが好ましい。
【0013】ササとしては、オカメザサ、クマザサ、カムロザサ、アズマザサ、ミヤコザサ、チマキザサなどが挙げられ、好ましくはオカメザサが挙げられる。
【0014】処理液は、溶媒中に寸法安定剤を溶解または分散して製造することができる。処理液中にはさらに染料が配合されていてもよい。
【0015】寸法安定剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、フェノール樹脂、アゼライン酸などが例示され、好ましくはポリエチレングリコール及びグリセリンが挙げられる。ポリエチレングリコール(PEG)としては、好ましくは分子量200〜6000程度、より好ましくは400〜1000程度である。寸法安定剤がPEGの場合、処理液中の濃度は10〜60重量%程度、好ましくは20〜35重量%程度、より好ましくは25〜30重量%程度である。また、寸法安定剤がグリセリンである場合、処理液中の濃度は、30〜70重量%程度、好ましくは40〜60重量%程度、より好ましくは約50重量%程度である。他の寸法安定剤の処理液中の濃度は当業者であればPEG又はグリセリンを参照して適宜決定することができる。
【0016】処理液の量としては、竹またはササの寸法等によって異なるが、例えば竹の稈の長さが3〜5m、直径が2〜7cm程度の場合の処理量は、50〜2000ml、好ましくは300〜1000mlがよい。処理液の量は、当業者であればこの条件と竹のサイズを考慮して適宜決定することができる。
【0017】染料としては、酸性染料、塩基性染料、食品用染料(天然染料、合成染料)などが例示され、染料の色としては、緑、青、朱、黄、赤、紫、黒などが挙げられる。処理液中の染料の濃度は、0.001〜5重量%程度、より好ましくは0.01〜0.5重量%程度である。食品染料は、竹またはササの葉を食品の飾りなどに用いる場合に好ましい。
【0018】溶媒としては、水及び水と混和可能な溶媒が例示される。水と混和可能な溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドルフラン、アセトニトリルなどが例示され、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール、より好ましくはエタノールが例示される。好ましい溶媒は、水、アルコール、水とアルコールの混合溶媒が例示され、特に好ましくは、水、エタノール、水とエタノールの混合溶媒が例示される。溶媒の配合量は、寸法安定剤、染料、その他の添加剤を除く残余の量であり、特に限定されないが、通常30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%程度、より好ましくは60〜80重量%程度である。
【0019】染料以外に処理液中に配合可能な添加剤としては香料、防腐剤、殺菌剤、精油、木酢液、害虫忌避剤などが例示され、これらは、0.001〜5重量%程度の濃度で処理液中に添加され得る。
【0020】容器としては、プラスチック容器が好ましく、その材質としては、例えば、PE、PP、PET、PVC等が挙げられるが、これらに限定されない。容器の開口部の内径は、竹の稈又は枝よりも少し大きいものが好ましい。容器の大きさは液量に依存し、また強度(形状の保持性)は変形性のものでもよい。
【0021】容器中に含まれる水の量としては、輸送や保管中に竹又はササの切断面の全部または一部が水に接触している量であればよく、通常50〜200ml程度であり、もっと少なくとももっと多くともよいが、コストや輸送上のしやすさから上限がある。また、容器中に水ではなく処理液を含ませることも可能性があり、容器中に処理液を含む場合、処理液の量は50〜2000ml程度である。
【0022】容器中に含まれる水に配合可能な添加剤としては、処理液中に配合可能な添加剤について上記に記載したものと同じである。
【0023】
【実施例】以下の実施例に、竹を例に取り、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明するが、ササの枝についても同様に実施することができる。また、以下の実施例は、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0024】実施例11.処理液での竹の浸透処理先ず、図1〜図5に示すように、竹の稈3の地上部を切断する。切断は水平に行うのが好ましいが、斜めに切断しても差し支えない。切断の位置は特に制限されず、切断点から先端までの長さが3〜5m程度の適当な長さになるようにすればよく、或いは、筒状部材2の内径に適合する外径を有する位置で稈3を切断することができる。
【0025】切断された竹の地上部は、図1に示すような樹脂製ホースなどの軟質の筒状部材2の一方に切断面7側から竹の稈3を差し込み、筒状部材2の内部に寸法安定剤を含む処理液を充満させる。筒状部材2と竹の稈3は、例えばネジで締めるタイプの金属製のバンド9で締着し、処理液の液漏れを防止する。なお、バンド9の代わりに金属製のワイヤーを巻き付けてもよい。図2に示すような可撓性の筒状部材2を用いる場合、切断された竹の地上部を筒状部材2の一方に切断面7側から竹の稈3を差し込み、他方に処理液収容部材8を差し込み、処理液1を筒状部材2及び収容部材8の内部に充満させる。筒状部材2の内部には、竹稈の外径よりも大きい内径を有する管状部材6を収容して筒状部材2の内径を広げ、弾性の筒状部材2が竹の切断面7を覆わないようにする。また、バンド9による締着を筒状部材2と収容部材8の間、及び、筒状部材2と竹の稈3の間で行うのが好ましい。なお、竹の稈3を地上部で1カ所切断した場合には、その切断面を筒状部材2に差し込むことになるが、竹の稈3を地上部で2カ所切断した場合、地面に近い部分の切断面を筒状部材2に差し込むことが望ましいが、先端に近い方の切断面を筒状部材2に差し込むことも可能である。
【0026】図3に示すように、竹は切断面側を上に(逆さまに)して吊り下げるのが、処理液を重量により竹の稈内部に速やかに浸透させるのに好ましいが、処理液の液面の上面が竹の先端よりも上側にあれば処理液は竹の内部に浸透することができる。なお、処理液の供給をポンプ等を用いて加圧下に行うこともできるが、その場合には、竹の稈と筒状部材の接合部から液漏れがしないような圧力で行う。本発明者の実験結果によると、竹の稈、枝及び葉への処理液の浸透は難しいので、加圧下に処理液の浸透を行うと、竹の稈と筒状部材の接合部からの液漏れが起こりやすいので、重力を用いた常圧下(非加圧、非減圧)で処理液の浸透を行うのが好ましい。
【0027】以下、寸法安定剤としてPEGを含む処理液の常温での浸透処理期間について説明するが、冬期など周囲温度が低い場合、PEG分子の粘性が高くなるので、低分子のものを選択したりまたは溶媒で希釈したりして、処理液が固まらないようにすることが必要である。なお、寸法処理剤としてグリセリンを含む処理液の浸透期間はPEGよりも短く、数日程度である。
【0028】処理液の浸透処理期間は、竹の稈の太さ及び長さなどにより異なるが、例えば直径2〜7cm程度、長さ3〜5mのマダケの場合には、通常2日から4週間程度、好ましくは2週間から4週間程度が例示されるが、4週間以上処理しても差し支えない。処理期間が長いと得られた竹の葉付き枝の葉は、処理期間が短い場合よりも長期間生きているような外観及び感触(例えば柔らかさ)、色合いなどを保持できる。
【0029】例えば直径2〜7cm程度、長さ3〜5mのマダケの場合における処理液の浸透処理期間が2日の場合、竹の稈の切断面に最も近い枝及び葉では処理液は一部浸透しているが、その程度は十分でないため、竹の稈から葉付き枝を切断すると、1〜2日程度で葉が巻いてしまう。処理液の浸透処理期間が2〜3週間の場合、竹の稈の切断面に最も近い枝及び葉では処理液はほぼ浸透し、竹の稈から葉付き枝を切断しても数ヶ月間生きているような外観及び感触、色合いなどを保持できるが、竹の稈の先端部及び先端に近い葉付き枝では、外観及び感触、色合いなどの保持期間はより短くなる。処理液の浸透処理期間が4週間であれば、竹の稈の先端部及び先端に近い葉付き枝まで数ヶ月間から1年以上の期間生きているような外観及び感触、色合いなどを保持できる。本発明をいかなる意味でも限定することを望むものではないが、本発明者は、この理由を次のように考えている。すなわち、竹の稈、枝及び葉は水分、溶媒の蒸散が非常に早いので、供給された処理液の溶媒は速やかに蒸発し、竹の稈、枝及び葉の水分が徐々にPEGなどの非揮発性の寸法安定剤と置き換わる。なお、水のみを浸透させることも可能性がある。この置換が不十分な場合、生きているような外観及び感触、色合いの保持期間が短くなる。従って、直径2〜7cm程度、長さ3〜5mのマダケの場合、4週間の処理で竹の稈、枝及び葉の水分が全て非揮発性の寸法安定剤と置き換わるため、非常に長期間外観・感触の変化がなく、2〜3週間では水分の大部分は寸法安定剤で置き換わっているが、一部置換されていない水分が存在し、それにより外観・感触の保持期間が短縮され、2日間では寸法安定剤による置換が一部にとどまるため、保持期間がさらに短縮されて1〜2日で葉が巻くことになると考えられる。
【0030】また、寸法安定剤を含む処理液は稈の切断面に近い稈及び葉付き枝から先端まで浸透していくので、枝先端まで処理液が浸透した葉付き枝を順次切断すれば、竹の先端部に近い葉付き枝についてもより速やかに処理液が浸透する。
【0031】また、図1,2において、竹の稈は節の葉付き枝の付け根の部分が凹んでいるので、筒状部材2の内部に差し込まれる切断面側の凹部(図示せず)にパテを当てておけば、筒状部材2に竹の稈を差し込んだ場合に、処理液の液漏れを防止することができる。また、竹の稈の切断面近傍の稈の外側を削っておくことで、処理液が浸透する部分の面積を拡大でき、浸透処理をより速やかに行うことができる。
【0032】なお、クロチクなどの細い竹やササを処理する場合、筒状部材2の内径が小さいため、図4に示すように筒状部材2の上側にさらに容器10を差込みバンド12で固定することにより、処理液の供給を容易に行うことができる。また、図5に示すように、漏斗11を筒状部材2の上に載せて処理液を供給してもよい。
【0033】竹は地上部を切断すると数時間から十数時間で葉が巻き始めるので、葉が巻き始める前に処理液の浸透処理を行うのがよい。
【0034】上記の実施例は、葉付き枝が節から伸びている竹の稈についての例であるが、竹の稈に代えてササの茎を用いることで同様に実施し、これらの茎、枝の内部に処理液を浸透させることができる。ササや細い竹の場合には、複数の枝または茎を1つの処理液貯蔵槽に先端を下に向けて、処理液が漏れないように差し込み、同時に処理をすることも可能である。
【0035】2.処理液を浸透させた竹の保存方法竹又はササをグリセリンなどの低分子量の多価アルコールで処理した場合、上記に述べたように、ポリエチレングリコールでの処理と比べて、その竹又はササはより自然で瑞々しく生きているような外観及び感触、色合いを有するがその保持期間はより短い。本発明をいかなる意味でも限定することを望むものではないが、この理由は、竹又はササに浸透した処理液中のポリエチレングリコールは、溶媒の蒸散後に常温で固化するが、一方、竹又はササに浸透した処理液中のグリセリンは、溶媒の蒸散後でも常温で固化しないためであると考えられる。竹又はササをグリセリンなどの低分子量の多価アルコールで処理した場合、処理後に、竹又はササの切断面を、水に接触させておくことによって、その外観等の保持期間は延長される。また、竹又はササの切断面を水ではなく処理液に接触させておいても可能性がある。なお、処理液に含まれる寸法安定剤としてPEGを使用する場合は、水に接触させなくともその形状を長期間保存できるので、水への接触は必要ない。
【0036】また、寸法安定剤としてポリエチレングリコールを使用する場合であって、竹又はササの外観保持期間をより重視する場合は、高分子量のポリエチレングリコール(例えば、PEG1000)を用い、そして竹又はササの瑞々しい外観をより重視する場合は、低分子量のポリエチレングリコール(例えば、PEG100)を用いることができる。このような寸法安定剤の分子量は、竹又はササの外観及び外観保持期間に重要な因子の1つであり得る。寸法安定剤の分子量と竹又はササの外観及び外観保持期間とのこのような関係は、その他の寸法安定剤についても同様のことがいえる。
【0037】遠隔地へ輸送するためには、竹の稈をどのような状態でも、例えば、竹の稈を横にした状態でも、常に、輸送中に切断面の全部又は一部が水に接触していることが必要である。以下、図6および7を参照して、輸送に好適な実施形態を説明する。
【0038】図6を参照して、先ず、容器13をカバーフィルム14で包み、次いで、これを約80℃の湯浴中に浸漬させて、フィルム14を熱収縮させることによって、フィルム14を容器13に密着させる。ここで、容器13の開口部15が湯の界面にまで浸からないように注意する。容器13中への水の注入は、湯浴への浸漬の前であっても後であっても構わないが、フィルム14の容器13への密着の容易さから水の注入は湯浴への浸漬後が好ましい。カバーフィルム14は、チューブ状又は袋状等の形状の熱収縮性フィルムであればよく、その材質としては、PET、PVC等が挙げられるが、これらに限定されない。このような熱による密封は、竹またはササの切断直後に容易に行うことができる。
【0039】次に、竹の稈3の切断面から上へ適当な位置にシーリング材16および17を巻き付ける。容器と竹の隙間を埋めるように後で巻き付けてもよい。
【0040】次いで、水を含みそしてカバーフィルム14が密着した容器13中へ、シーリング材16および17を備える竹の稈を挿入し、これを再度約80℃の湯浴に浸漬させて、カバーフィルム14を竹の稈に密着させる。さらに、液漏れを防止するために、カバーフィルム14の先端にテープ18を巻き付けておいてもよい。
【0041】このようにして得られる容器を備える竹の稈は、その切断面を覆う容器を備えており、この容器中には水を有し、かつ、該切断面の全部又は一部が水に接触するように構成されている。切断面の全部が水に接触していることが好ましい。ここで、密封とは内部の液が外部にほとんどあるいは全く漏れないことを意味し、空気、酸素、水蒸気等は通過しても差し支えない。また、水に換えて容器中に処理液を含ませることも可能である。このような容器13を備える竹は、遠隔地へ輸送することが可能であり、竹の稈を縦にした状態で輸送しても構わないが、竹の稈を横に寝かせた状態での輸送も可能である。ここで、竹の稈を横にした状態において、その切断面の一部、好ましくは全部が、水に接触している。切断面に容器13を備えたままでの保存も可能であるが、容器13を取り外した後、切断面を適量の水に接触させておいたり、又は常に新鮮な水と交換したりしても竹の瑞々しい生きているような外観等を長期保存することが可能である。又、生け花等に使用する場合は、竹の稈又は枝をさらに切断し、その新たな切断面を水に接触させておくことによって、竹の瑞々しい生きているような外観等を長期間保存することができる。3ヶ月程度保存できることを確認した。
【0042】図7は、その切断面を覆うように密封フィルム19を備えた竹の1つの実施態様を示す。これは、水を含む熱収縮性フィルムを約80℃の湯を用いて収縮させることによって構成される。図7の実施態様は、図6のものと比べて、作製は容易であるが水密性が低いため、比較的短時間の輸送等に好適である。特に、図7Bのような形状の場合、竹の切断面全部を水が覆うことをより確実にするので好ましい。
【0043】なお、グリセリンを浸透させた竹は、生け花用として大変好評であった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、従来寸法安定剤の浸透が困難であった竹の葉、ササの葉の内部に寸法安定剤を浸透させることができ、竹の葉、ササの葉を数日間から数ヶ月或いは数年にわたり、生きているのと同様な外観、手触り、風合い、色合い、形状を維持することができる。また、染料を選ぶことにより、種々の色合いのものを得ることができる。さらに、香料、精油等の着香成分を使用することにより、香りも楽しむことができる。
【0045】竹の葉付き枝或いは葉付き枝を有する稈、ササの葉付き茎などは、生け花、装飾品として有用である。また、これらは長期間品質を維持するため、神事、葬儀、七夕などでの時期的に限られた使用も、より容易に行うことができる。さらに、竹及びササの葉は、食品の包装資材などとして有用である。
【出願人】 【識別番号】594095305
【氏名又は名称】奥村 浩章
【出願日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二 (外8名)
【公開番号】 特開2003−26502(P2003−26502A)
【公開日】 平成15年1月29日(2003.1.29)
【出願番号】 特願2002−66478(P2002−66478)