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【発明の名称】 植物の発芽・成長促進剤及び植物の発芽・成長促進方法
【発明者】 【氏名】金本 喜行
【住所又は居所】東京都大田区多摩川二丁目11番20号 日本道路株式会社内

【氏名】武田 雄
【住所又は居所】東京都大田区多摩川二丁目11番20号 日本道路株式会社内

【氏名】杉谷 徹
【住所又は居所】山口県山口市大字嘉川字台田1197−1 株式会社山口ロードエンジニアリング内

【要約】 【課題】寒冷期の牧草の発芽・成長促進に対して効果的な牧草の発芽・成長促進剤、特にイタリアンライグラスの播種(10月中旬)から1回目の刈取り(翌年の5月上旬)までの期間の牧草の発芽・成長促進剤及び発芽・成長促進方法を提供する。

【解決手段】水100重量部に対して、木酢液類を0.1重量部以上1重量部以下、活性炭を5重量部以上20重量部以下、及び、繊維素グリコール酸ソーダを0.2重量部以上3重量部以下を混合してなる植物の発芽・成長促進剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水100重量部に対して、木酢液類を0.1重量部以上1重量部以下、活性炭を5重量部以上20重量部以下、及び、繊維素グリコール酸ソーダを0.2重量部以上3重量部以下を混合してなることを特徴とする植物の発芽・成長促進剤。
【請求項2】 水100重量部に対して、木酢液類を0.1重量部以上1重量部以下、活性炭を5重量部以上20重量部以下、及び、繊維素グリコール酸ソーダを0.2重量部以上3重量部以下混合してなる配合物を土壌面に対して1L/m2以上3L/m2以下の散布密度で散布することを特徴とする植物の発芽・成長促進方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、牧草、キュウリ、トマトなどの植物の発芽・成長促進剤及び牧草の発芽・成長促進方法に関する。
【0002】
【従来の技術】飼料作物である牧草の栽培は牧草地の効率利用を目的に周年採草が行われている。例えば代表的な牧草であるイタリアンライグラスを10月中旬に播種し、翌年の5月上旬と5月下旬の2回刈取り、5月下旬には別の牧草であるミレットの種を播き、これを7月上旬及び9月上旬の2回刈取っている。
【0003】刈取りの時期としては、イタリアンライグラスの場合は草丈が60〜80cmに達したとき、ミレットでは草丈が50〜70cmに達したときを目安として刈取りが実施されている。肥料は元肥及び年に数回行う追肥のみである。
【0004】これらのうち、イタリアンライグラスの2回目の刈取り、及び、ミレットの1回目及び2回目の刈取りでは問題が生じないが、イタリアンライグラスの播種から1回目の刈取りまでの、10月中旬から翌年の5月までの期間は低温期であるためにイタリアンライグラスの成長が悪く、そのため年間を通した牧草の刈取り可能量が制限されていて、問題となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来技術の問題を解決する、すなわち、寒冷期の牧草の発芽・成長促進に対して効果的な牧草の発芽・成長促進剤、特にイタリアンライグラスの播種(10月中旬)から1回目の刈取りまでの期間の牧草の発芽・成長促進剤及び発芽・成長促進方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の植物の発芽・成長促進剤は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、水100重量部に対して、木酢液類を0.1重量部以上1重量部以下、活性炭を5重量部以上20重量部以下、及び、繊維素グリコール酸ソーダを0.2重量部以上3重量部以下を混合してなる植物の発芽・成長促進剤である。
【0007】このような構成により、寒冷期の牧草の発芽・成長促進に対して特に効果的であるが、牧草のみならず、キュウリ、トマトなどの野菜などの広く植物の発芽・成長促進が可能となる。
【0008】本発明の植物の発芽・成長促進方法は、請求項2に記載の通り、水100重量部に対して、木酢液類を0.1重量部以上1重量部以下、活性炭を5重量部以上20重量部以下、及び、繊維素グリコール酸ソーダを0.2重量部以上3重量部以下混合してなる配合物を土壌面に対して1L/m2以上3L/m2以下の散布密度で散布する植物の発芽・成長促進方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の植物の発芽・成長促進剤において、木酢液類とは通常の木酢液、あるいは、竹酢液、籾酢液のうちのいずれかか、あるいはそれらの2種以上の配合物であっても良い。
【0010】木酢液は一般に木炭製造の副産物として広く市販されているものを用いることができる。最近、この木酢液が土中の六価クロムを還元し無害化するものとして注目を浴びている。そのため、本発明の植物の発芽・成長促進剤は本来の植物の発芽・成長促進剤として機能するのみならず、汚染土壌の改良剤としても機能する。
【0011】また木酢液はアトピー性皮膚炎に効果があることが知られており、薬用の石鹸、ローション、クリーム等に使用されているのみならず、健康用清涼飲料水に添加されて販売されている等、その安全性は一般に知られている。
【0012】同様のものとして竹酢液、籾酢液が知られている。竹酢液は竹を、籾酢液は一般にイネ籾をそれぞれ乾留したときに得られるものであり、竹酢液に関しては特開平2000−53973号公報あるいは特開平2000−160165号公報、籾酢液に関しては特開平5−239467号公報などにも記載があり、それぞれ製造方法が知られている。本発明では木酢液、竹酢液及び籾酢液を合わせて「木酢液類」と云う。
【0013】また、本発明で用いる活性炭としては、間伐材や端材、籾殻やコーヒー残滓などを灰化してなるものがコスト、及び、資源の有効利用の点で望ましく、また、その形状は細粒あるいは粉状のものが植物の発芽・成長促進剤中での均一分散性が得られ、及び、牧草地・圃場への均一散布が可能となるために望ましい。
【0014】一方、繊維素グリコール酸ソーダは化学名をカルボキシメチルセルロースナトリウムとも云われ、食品、医療、化粧品、配合飼料、繊維、建材、窯業、土木、ボーリングなどの用途で、増粘剤、分散安定剤、粘着剤、保護コロイド剤などとして使用されている。この繊維素グリコール酸ソーダは食品添加物であり、また、配合飼料にも用いられていて、動物が食べても安全であると云える。
【0015】本発明の植物の発芽・成長促進剤において、上記木酢液類、活性炭及び繊維素グリコール酸ソーダの3成分は必須な有効成分であり、その他の成分として水を有する。その比率は木酢液類が0.1重量部以上1重量部以下、活性炭が5重量部以上20重量部以下、及び、繊維素グリコール酸ソーダが0.2重量部以上3重量部以下となるよう水100重量部に対して配合されるが、水自体の配合はこれらの有効成分混合時であっても、あるいは、これら有効成分のみを、あるいは、これらの有効成分と水の一部とともに、予め混合しておき、牧草地、圃場に散布する直前で最終的に上記重量比率になるように水を添加しても良く、この場合も本発明に含まれる。
【0016】上記配合比率において、水100重量部に対して木酢液類の配合は0.1重量部以上1重量部以下であることが必要である。0.1重量部未満であると充分な発芽・成長促進効果が得られず、一方、1重量部を越えて添加しても、その添加量の増加による効果の向上が飽和するとともに、薬剤の散布量が多いために却って牧草、栽培植物に障害が発生する恐れが生じる。
【0017】なお、市販の木酢液のうち、取扱性を容易にするために水で薄めたものがある(例えば水で10倍量としたもの(10倍希釈液))。このように希釈された木酢液を用いる場合にはその希釈倍率に応じて多く配合する必要がある。
【0018】一方、活性炭は内部に細孔を多く有し、そのために空隙率が多く、有害ガス吸着能力や調湿力に優れているほか、農地に散布することにより施肥量の節減や農薬の流出を抑制する効果を有する。
【0019】このような活性炭は植物の発芽・成長促進剤の薬液中で上記木酢液類の中の有効成分を吸着し、牧草地・圃場に散布された後は木酢液類中の有効成分を徐々に放出し、成長促進効果を持続させると同時に、活性炭自体が黒色であるため、寒冷期であっても日光の熱を吸収し、その熱を牧草地・圃場の土壌表面及び内部に導くために牧草やキュウリ、トマトなどの栽培植物等の植物の発芽及び成長を促進する。また、最終的に有効成分を放出した後は、上記有害ガス吸着能力、調湿力、肥料成分や農薬の保持により、牧草やキュウリ、トマトなどの栽培植物等の植物の育成促進に寄与する。
【0020】このような活性炭の配合量は水100重量部に対して5重量部以上20重量部以下である。5重量部未満であると、発芽・成長促進効果が速やかに失われてしまうので、成長が充分には促進されない。一方、20重量部を越えて添加しても、またその添加の増加による効果の向上が飽和してしまう上にコストが上昇する。
【0021】繊維素グリコール酸ソーダは、薬液中にあっては成分を均一に保ち、牧草地・圃場に散布された後は木酢液類の中の有効成分を吸着した活性炭を牧草地・圃場に定着させ、降雨などで失われないように保持する。
【0022】このような繊維素グリコール酸ソーダの配合量は、水100重量部に対して0.2重量部以上3重量部以下であることが必要である。0.2重量部未満であると、植物の発芽・成長促進剤の、液としての安定性が失われ、また、牧草地・圃場に散布した後は、上記木酢液類成分を含んだ活性炭を牧草地・圃場に定着させることができず、その効果が速やかに失われてしまうために、充分な発芽・成長効果を得ることができない。一方、3重量部を越えて添加しても、その添加の増加による効果の向上が飽和し、また薬剤コストが上昇し、さらに、薬液の粘度が上がり作業に支障をきたす。
【0023】なお、本発明の植物の発芽・成長促進剤には木酢液類、活性炭、繊維素グリコール酸ソーダ及び水以外に本発明の効果が著しく低下しない限りにおいて、その他の成分、土壌改良剤や肥料、長期保存を想定する場合には防腐剤等を添加しても良い。ただし、本発明の植物の発芽・成長促進剤にはアルカリ性の土壌改良材、肥料成分などは混合せず、必要があれば別途散布することが望ましい。
【0024】これら木酢液類、活性炭及び繊維素グリコール酸ソーダは上記比率になるように水100重量部に対して配合されるが、水の量が少なすぎると牧草地・圃場に均一に散布することができなくなる。一方、水の量が多すぎると、散布の手間が増加する。しかし、散布に当たって用いる噴霧器、エンジンスプレーヤーなどの装置で扱える薬剤の粘度に適合するために、水により適宜希釈することは可能であり、その場合も本発明に含まれる。
【0025】本発明に係る植物の発芽・成長促進剤の散布量としては上記配合物を土壌面1m2当たりに対して1L以上3L以下の散布密度となるよう均一に散布することが必要である。散布量が少なすぎると本発明の効果が充分得られず、一方、多すぎると、散布の増加による効果の増加が飽和するとともに、逆に牧草や栽培植物に障害が発生する恐れが生じる。なお、散布に際しては、成分が均一に散布されるように配慮する必要がある。
【0026】
【実施例】以下に本発明の植物の発芽・成長促進剤の実施例について具体的に説明する。
<牧草地での実験 実施例1>表1に示す薬剤及び配合により本発明に係る植物の発芽・成長促進剤Aを調製した。なお、活性炭の入手時の大きさは5mmφのものであったが破砕し、メッシュを用いてふるい、直径が0.15mm以下となったものを用いた。
【0027】
【表1】

【0028】上記植物の発芽・成長促進剤Aを、イタリアンライグラスを播種した直後の牧草地に、2L/m2の散布密度となるように均一に散布し、その後の発芽状況(全体の50%が発芽した日を「発芽日」とした)、及び、刈取り可能となった日(「刈取り可能日」と云う。草丈が70〜80cmとなった日)を調べた。その結果を、イタリアンライグラスを播種したものの、植物の発芽・成長促進剤Aを散布しなかった近接地での結果と併せて表2に示した。
【0029】
【表2】

【0030】表2により、本発明に係る植物の発芽・成長促進剤Aの散布を行った牧草地では、散布を行わなかった牧草地に比べ、発芽日が3日早くなり、また刈取り可能日も10日以上も早くなっていることが理解される。
【0031】<植物の発芽・成長促進剤の散布による土壌温度への寄与の検討>底面の大きさが20cm×20cmで高さが10cmの容器2つのそれぞれにローム質土を入れ、それぞれの土の中心部表面と中心部の表面から3cmの深さの2カ所ずつに温度センサをセットした。
【0032】これら容器の土壌表面にそれぞれに、上記で用いたのと同じ、本発明に係る植物の発芽・成長促進剤Aと、表3にその配合(用いた原料薬剤は表1に示したものと同じ)を示す植物の発芽・成長促進剤B(比較例2)を2L/m2の散布密度となるように均一に散布し、日の当たる箇所に放置し、次の日(晴天)にこれら土中内部の温度の変化を気温の変化とともに調べた。結果を表4に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】表4より、活性炭が配された本発明に係る植物の発芽・成長促進剤Aは活性炭を有しない植物の発芽・成長促進剤Bに比べ、土壌表面及び内部温度を高く保つことが理解できる。この温度の差も、発芽及び成長促進に大きく寄与していると考えられる。
【0036】<実施例2>上記で用いたのと同じ原料薬剤を用いて、表5に配合を示す植物の発芽・成長促進剤C〜Eを調製し、実施例と同様にイタリアンライグラスを播種した直後の牧草地に、2L/m2の散布密度となるように均一に散布した。その後の発芽日(播種日からの日数)、及び、播種日からの20mmまで成長するに要した日数(20mm成長日)を調べた。結果を図5に併せて記載する。
【0037】
【表5】

【0038】表5より、本発明に係る植物の発芽・成長促進剤Eを散布した場合には、発芽も早くなり、また、発芽直後の成長自体も著しく促進されることが判る。
【0039】<実施例3 木酢液類の配合量の影響>上記で用いたものと同じ原料薬剤を用いて、水100重量部に対して活性炭の配合量10重量部、及び、繊維素グリコール酸ソーダの配合量を1重量部とそれぞれ固定し、木酢液の配合量をさまざまに変えた植物の発芽・成長促進剤を調製し、それぞれをイタリアンライグラスを播種した直後の牧草地に、2L/m2の散布密度となるように均一に散布した。そのときの20mm成長日(播種日からの日数)を調べた。結果を表6に示す。
【0040】
【表6】

【0041】表6より、水100重量部に対する木酢液の配合量(純量換算)は0.1重量部以上であると高い成長促進効果が得られ、かつ、配合量を1重量部より多くしてもその効果の向上が望めないことが判る。
【0042】<実施例4 活性炭の配合量の影響>上記で用いたものと同じ原料薬剤を用いて、水100重量部に対して木酢液(10倍希釈液)の配合量を5重量部(純量換算0.5重量部)、及び、繊維素グリコール酸ソーダの配合量を1重量部とそれぞれ固定し、活性炭の配合量をさまざまに変えた植物の発芽・成長促進剤を調製し、それぞれをイタリアンライグラスを播種した直後の牧草地に、2L/m2の散布密度となるように均一に散布した。そのときの20mm成長日(播種日からの日数)を調べた。結果を表7に示す。
【0043】
【表7】

【0044】表7より、水100重量部に対する活性炭の配合量を5重量部以上とすると充分に高い成長促進効果が得られ、かつ、その配合量を20重量部より多くしてもその効果の向上が望めないことが判る。
【0045】<実施例5 散布量の影響>上記で用いた本発明に係る植物の発芽・成長促進剤Eを用いて、イタリアンライグラスを播種した直後の牧草地への散布量をさまざまに変化させてそれぞれ均一に散布した。その後の発芽日(播種日からの日数)、20mm成長日(播種日からの日数)を調べた。結果を表8に示す。
【0046】
【表8】

【0047】表8より、本発明に係る植物の発芽・成長促進剤の散布量が1L/m2以上であれば充分な効果が得られ、3L/m2超としてもその効果の向上が望めないことが判る。
【0048】<実施例6 キュウリ、トマトでの発芽試験>表9にその配合(用いた原料薬剤は表1に示したものと同じ)を示す植物の発芽・成長促進剤Fを調製し、キュウリ、トマトの種子を播種した圃場に散布量を2L/m2で圃場に散布した(植物の発芽・成長促進剤F使用)。
【0049】同様に、同日にキュウリ、トマトの種子をそれぞれ同数、同じ播種密度で播種した隣接する圃場に上記植物の発芽・成長促進剤Fの代わりに水道水を2L/m2となるよう灌水した(水道水灌水)。これら両圃場におけるその後のキュウリ、トマトの発芽(出芽数)の状況を調べた。結果を表10に示す。
【0050】
【表9】

【0051】
【表10】

【0052】表10より、本発明に係る植物の発芽・成長促進剤を用いると牧草のみならずキュウリやトマトのような栽培植物においても高い発芽促進効果が得られることが判る。
【0053】
【発明の効果】本発明の植物の発芽・成長促進剤は、寒冷期の牧草や栽培植物の発芽・成長促進に対して効果的で、安全な優れた植物の発芽・成長促進剤である。
【出願人】 【識別番号】000232508
【氏名又は名称】日本道路株式会社
【住所又は居所】東京都港区新橋1丁目6番5号
【出願日】 平成13年6月25日(2001.6.25)
【代理人】 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄 (外3名)
【公開番号】 特開2003−12427(P2003−12427A)
【公開日】 平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願番号】 特願2001−191352(P2001−191352)