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【発明の名称】 イネ科植物の成長促進剤
【発明者】 【氏名】倉内 雅彦
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1番1号 味の素株式会社アミノサイエンス研究所内

【氏名】竹内 誠
【住所又は居所】東京都中央区京橋一丁目15番1号 味の素株式会社内

【氏名】宮沢 由紀
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1番1号 味の素株式会社アミノサイエンス研究所内

【氏名】佐藤 弘之
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1番1号 味の素株式会社アミノサイエンス研究所内

【要約】 【課題】化学肥料ではなく、環境や人畜に影響を及ぼさない、芝などのイネ科植物等の成長促進剤とその施用方法を提供すること。

【解決手段】有効成分としてセリン単独をまたはセリン及びイノシンを併含することを特徴とする芝などのイネ科植物等の成長促進剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】有効成分としてセリンを含有することを特徴とするイネ科植物の成長促進剤。
【請求項2】剤形が液状であって、セリン濃度0.2〜150ppmであることを特徴とする請求項1記載のイネ科植物の成長促進剤。
【請求項3】有効成分としてセリン及びイノシンを併含することを特徴とする植物の成長促進剤。
【請求項4】剤形が液状であって、セリン濃度が0.2〜150ppmかつイノシンが土壌散布の場合は土壌当たり0.05〜1ppm、そして水耕栽培の場合は水耕水当たり0.1〜5ppmの施用量で施用されるべきことを特徴とする請求項3記載の植物の成長促進剤。
【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の植物の成長促進剤を葉面または土壌に散布することを特徴とする植物の成長促進方法。
【請求項6】セリン及びイノシンを併用することを特徴とする植物の成長促進方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イネ科植物などの植物の成長促進剤、より詳細には、例えば、芝に有効なセリンを含有することを特徴とするイネ科植物の成長促進剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アミノ酸関連物質を植物に用いた例は、いくつか知られている。
【0003】例えば、(a)特開昭48−67051号公報は、ヌクレオシド類又はヌクレオチド類の少なくとも1種とプロリンを含有してなる着果並びに果実肥大促進剤を開示している。
【0004】(b)特開平10−279405号公報は、プロリンを主成分とする植物活性物質とアルカリイオン水を松の地上部に散布および/または酸性イオン水を松の地下部に灌水する松枯れ防除法を開示している。
【0005】(c)特開昭62−215503号公報は、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グルタミン酸、アルギニン、トリプトファン及びアラニンから選ばれるアミノ酸の少なくとも一種とアデニン及びウラシルから選ばれる核酸塩基の少なくとも一種を含有する溶液を葉面散布することによるブドウの品質改良方法を開示している。
【0006】しかしながら、セリンを単独、或いはイノシンとの併用でイネ科植物に対する成長促進効果を確認した例は知られていない。
【0007】(d)特開平6-211607号公報は、セリンを用いる霜害抑制剤及び生長抑制剤の製造を開示している。
【0008】しかしながら、セリンによる抑制効果が確認される濃度は50mM、100mMとされており、本発明のイネ科植物の生長促進剤としての施用濃度とは明らかに異なる。
【0009】さて、例えば、芝生は、公園や庭園、球技場など多くの場所にて利用され、特にゴルフ場にとってはなくてはならないものである。しかし、芝の維持には、従来大量に肥料及び農薬が用いられており、環境面から大きな問題となっている。例えば、従来、芝の葉腐病には合成殺菌剤(農薬)の散布が行なわれているが、自然環境に好ましくない影響を及ぼす可能性がある。
【0010】また、芝、特に寒地型芝草は、高温ストレスにより間接的な生長停止と直接的な枯死が起こるが、この対策としては、通気性を良くする程度の対処法しかない。
【0011】芝などのイネ科植物においては、アミノ酸を窒素源として施肥することは知られているが、一般的に動植物の加水分解物や発酵廃液などの多成分肥料であり、内容物が不明瞭である。無機物の土壌への蓄積等の問題から減肥が求められているため、必要量の窒素を効率良く供給できる速効性肥料(速効的栄養補給剤)が求められている。この用途では、尿素の葉面散布剤もよく使われているが、土壌に蓄積しやすいこと、濃度によって葉焼け等の現象が見られる場合がある。よって、その代替となる成長促進剤が必要となっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、化学肥料ではなく、環境や人畜に影響を及ぼさない、イネ科植物などの植物の成長促進剤とその施用方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、アミノ酸、特にセリン、プロリンなどがイネ科植物の成長促進に顕著な効果を示し、また種々のヌクレオシドの中で特にイノシンとの併用でより効果が高まることを初めて発見し、このような知見に基づいて本発明を完成した。
【0014】すなわち、本発明は、セリンを有効成分として含有することを特徴とするイネ科植物などの植物の成長促進剤、及びこのような成長促進剤を土壌や水耕水に又は葉面散布にて施用することを特徴とするイネ科植物などの植物の成長促進方法に関する。
【0015】
【発明の実態の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明の成長促進剤を施用されるべき対象植物は、特に芝、イネ、牧草などのイネ科植物が含まれるが、その中でも芝に有効である。
【0017】セリンは、必ずしも精製品である必要はなく、塩害や葉焼けなどの副作用のない限りは、セリンを多く含有するタンパク質の加水分解物又はアミノ酸混合物などをさす。但し、水耕水に加えて施用にする場合等には、水耕水を汚染して腐敗せしめないためには、そのような汚染腐敗の原因となる不純物を伴わない形態のセリンが好ましいことはいうまでもない。
【0018】有効成分としてセリンを含有する、本発明のイネ科植物などの植物の成長促進剤は、土壌や水耕水を介して施用するのに適した適宜水などの適当な溶媒に溶解した剤形をとることが出来る。そして、葉面散布の場合、セリン濃度0.2〜150ppm、より好ましくは0.2〜100ppmの溶液の剤形が効果的である。また、適宜の増量剤、バインダーなどを使用して粉剤や顆粒、錠剤に調製することもできる。尚、溶媒にて溶解した場合、腐敗防止の見地から殺菌剤、界面活性剤又は防腐剤を添加して調製することもできる。また、葉面散布で施用する場合は、展着剤の併用が効果的である。
【0019】このような成長促進剤の施用時期としては、芝、牧草などの場合は、追肥としての施用、芝刈り後の施用、枯死が見られ始めた初期段階での施用等を挙げることができる。
【0020】なお、施肥方法(施用方法)としては、葉面散布、土壌散布、水耕水への添加などを挙げることができるが、セリンについては地上部へ、特に芝など植物の葉面から吸収せしめ、そしてイノシンは土壌への散布、つまり根から吸収せしめるのが特に効果的である。この場合は、セリンとイノシンを併含した芝の枯死防止剤及び速効的栄養補給剤の形態ではなく、セリンとイノシンをそれぞれ別個にしかしあまり時間を置かずに地上部と土壌に散布する。
【0021】施用量は、施用時期やイネ科植物(芝、イネ、牧草など)の種類や栽培密度、生育段階などにより異なるが、要するに、本発明の成長促進剤を使用した、例えば芝の生長の程度が、本発明の成長促進剤を施用しないことを除いては全く同様の条件で栽培された芝の生長の程度に優る量であり、この量は、当業者の容易に行うことのできる予備比較試験で定めることができる。なお、先に説明したように、例えば、特に葉面散布の場合はセリン濃度0.2〜150ppm、より好ましくは0.2〜100ppmの溶液が効果的であり、このような低濃度とすることができるのである。すなわち、このような低濃度でイネ科植物の生育促進作用が奏されるのである。
【0022】また、イノシンの施用量は、例えば土壌散布の場合は土壌当たり0.05〜1ppm(土壌100トン当たり5〜100g)、そして水耕栽培の場合は水耕水当たり0.1〜5ppmの施用量で施用される。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0024】実施例1(芝の土耕栽培)
直径4cm、厚さ3cmの芝(ベントグラス;品種名ペンクロス)のソッドを1/50mワグネルポットに植え付け、1群3連で葉面散布試験を行った。各ポットの土壌には元肥として化成肥料(12−8−10)を1g/ポット混合した。セリンは下記第1表に示すとおりの濃度になるよう水にて希釈し、植え付け10日後および24日後にジョロで散布した。
【0025】植え付け77日後に、地上部を刈り取り、乾燥後重量を測定したところ、同表に示すように、セリン処理区に、特に18.3ppm処理区に良好な成育が見られた。
【0026】
【表1】

【0027】実施例2(芝の水耕栽培)
芝(西洋芝;エバーグリーンローングラス)の育苗をし、1群60株からなるAおよびBの2群に分け、水耕栽培を行った。水耕液には液肥を一定量添加し、そこにイノシンを0.2ppmになるように添加した。試験期間は平成11年10月6日〜平成11年11月1日(26日間)。A群を対照区とし、B群にはセリン20ppm濃度になるよう調整した溶液を15日間、毎日5mlを葉面散布した。
【0028】26日目に、各群から選んだ平均的な芝5株の重量を確認した。結果を下記第2表に示す。同表に示すように、根、葉長および生全重量の全てにおいて、セリン処理区が良好であった。
【0029】
【表2】

【0030】
【発明の効果】本発明により、セリン、又はセリン及びイノシンを施用することで芝などのイネ科植物等の成長促進が容易に行われ得るところとなった。
【出願人】 【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目15番1号
【出願日】 平成13年6月4日(2001.6.4)
【代理人】 【識別番号】100064687
【弁理士】
【氏名又は名称】霜越 正夫 (外1名)
【公開番号】 特開2003−12417(P2003−12417A)
【公開日】 平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願番号】 特願2001−168156(P2001−168156)