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【発明の名称】 防カビ剤組成物
【発明者】 【氏名】永井 智
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【氏名】高野 勝幸
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【氏名】鈴木 政宏
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【氏名】伴 武
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【氏名】横須賀 道夫
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】安全で、防カビ効果や殺カビ効果に優れ、しかも効果の持続性に満足できる防カビ剤を提供する。

【解決手段】(a)モノアシル化グリセロールを特定比率で含むアシル化グリセロール混合物、(b)(b−1)特定の香料及び/又は(b−2)特定の天然精油から選ばれる1種以上の香料成分、(c)水と共沸混合物を形成し、1013.25hPaにおける水との共沸温度が100℃未満になる有機化合物を1〜70質量%、並びに(d)水を含有する防カビ剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)アシル基の炭素数が6〜18のアシル化グリセロールの混合物であって、モノアシル化グリセロールが該混合物中に40〜99.9質量%であるアシル化グリセロール混合物を0.005〜5質量%、(b)下記(b−1)の香料及び/又は(b−2)の天然精油から選ばれる1種以上の香料成分を0.005〜5質量%、(c)水と共沸混合物を形成し、1013.25hPaにおける水との共沸温度が100℃未満になる有機化合物を1〜70質量%、並びに(d)水を含有する防カビ剤組成物。
(b−1)シンナミックアルデヒド、チャビコール、ヘキサナール、ヘリオトロピン、メチルオイゲノール、p−イソプロピルシクロヘキサノール、アセトフェノン、イソオイゲノール、ウンデカナール、エチルカプロエート、オイゲノール、オクタノール、カルバクロール、ゲラニオール、シクラメンアルデヒド、セドロール、ターピニルアセテート、ターピネン、チモール、デカノール、フェニルアセトアルデヒド、ベンジルアセテート、ペリラアルデヒド、メチルサリシレート、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、γ−ウンデカラクトン、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、ネロール、ヒノキチオール、シンナミックアルコール、l−カルボン、l−メントール、ターピネオール、ターピネン−4−オール、カンファー、ボルネオール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、ノナナール、デカナール、アネトール、アリルイソチオシアネート(b−2)クミンオイル、コリアンダーオイル、シソオイル、ゼラニウムオイル、フェンネルオイル、ラベンダーオイル、レモングラスオイル、ローズオイル、ローレルオイル、オリガナムオイル、オレンジオイル、カシアオイル、クローブオイル、シトロネラオイル、シナモンオイル、セージオイル、タイムオイル、ディルオイル、トリーモスオイル、ヒバオイル、ピメントオイル、ベイオイル、ベチバーオイル、ペニーロイヤルオイル、ペルーバルサムオイル、ユーカリオイル、レモンオイル、ローズマリーオイル、ティートリーオイル、アニスオイル、スターアニスオイル、パルマローザオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、バジルオイル、ヒノキオイル、ラバンジンオイル、ワサビオイル
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は防カビ剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】我が国は高温多湿地域であるためカビの増殖に好適な環境にある。このため、室内や浴室の壁、窓、床等の建物、下着、靴下、バスタオル等の衣料品、下駄箱、押し入れ等の収納場所、靴の中敷、靴、床マット等などさまざまな場所でカビが増殖する。また、近年、住宅環境が高断熱高気密構造へと移行しつつあり、カビの増殖が益々助長される。このため、環境衛生上の大きな問題ともなっており、防カビ剤・殺カビ剤の開発が行われている。
【0003】特開平9−286760号公報にはサリチル酸誘導体が防菌、防カビ剤として優れていることが開示されている。特開平7−179318号公報には天然ヒバ油を用いた防カビ剤の技術が開示されている。特開平8−59419号公報にはヒノキチオールとシトロネル酸が糸状菌や緑膿菌に有効であることを開示している。特開平7−309706号公報には銀を用いた防菌・防カビ用噴霧剤の技術が開示されている。また、これ以外にもベンズイミダゾール系化合物、チアベンダゾール系化合物、チアゾリン系化合物、トリアジン系化合物、フェノールエーテル系化合物、アルキルアミン系化合物、有機スズ系化合物、銀系化合物等の種々の化合物が用いられている。しかしながら、これらの中には急性経口毒性、皮膚刺激性、粘膜刺激性等の安全性においても問題のあるものも多く、また、安全性上問題が少ないものにあっては、抗菌効果そのものが満足できるレベルではないか、効果の持続性について改善が望まれるものであった。そこで安全性が高く、満足できる効果が長時間持続する防カビ・殺カビ剤の開発が望まれている。
【0004】一方、食品添加物として知られるモノグリセリドは細菌に対する抵抗性を示すことが知られている。特開平2−180804号公報には竹エキスとモノグリセリドを含有する抗菌剤が開示されている。特開平11−61697号公報には竹抽出物の乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステルが用いられている。これら技術はグリセリドと天然竹エキスを用いる点で安全性は高いものの、防カビ・殺カビ効果の点で満足できるものではない。
【0005】従って、本発明の課題は、安全性の良好な原料を用い、防カビ効果や殺カビ効果に優れ、しかも効果の持続性に満足できる防カビ剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)アシル基の炭素数が6〜18のアシル化グリセロールの混合物であって、モノアシル化グリセロールが該混合物中に40〜99.9質量%であるアシル化グリセロール混合物〔以下、(a)成分という〕を0.005〜5質量%、(b)下記(b−1)の香料〔以下、(b−1)成分という〕及び/又は(b−2)の天然精油〔以下、(b−2)成分という〕から選ばれる1種以上の香料成分〔以下、(b)成分という〕を0.005〜5質量%、(c)水と共沸混合物を形成し、1013.25hPaにおける水との共沸温度が100℃未満になる有機化合物〔以下、(c)成分という〕を1〜70質量%、並びに(d)水〔以下、(d)成分という〕を含有する防カビ剤組成物に関する。
(b−1)シンナミックアルデヒド、チャビコール、ヘキサナール、ヘリオトロピン、メチルオイゲノール、p−イソプロピルシクロヘキサノール、アセトフェノン、イソオイゲノール、ウンデカナール、エチルカプロエート、オイゲノール、オクタノール、カルバクロール、ゲラニオール、シクラメンアルデヒド、セドロール、ターピニルアセテート、ターピネン、チモール、デカノール、フェニルアセトアルデヒド、ベンジルアセテート、ペリラアルデヒド、メチルサリシレート、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、γ−ウンデカラクトン、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、ネロール、ヒノキチオール、シンナミックアルコール、l−カルボン、l−メントール、ターピネオール、ターピネン−4−オール、カンファー、ボルネオール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、ノナナール、デカナール、アネトール、アリルイソチオシアネート(b−2)クミンオイル、コリアンダーオイル、シソオイル、ゼラニウムオイル、フェンネルオイル、ラベンダーオイル、レモングラスオイル、ローズオイル、ローレルオイル、オリガナムオイル、オレンジオイル、カシアオイル、クローブオイル、シトロネラオイル、シナモンオイル、セージオイル、タイムオイル、ディルオイル、トリーモスオイル、ヒバオイル、ピメントオイル、ベイオイル、ベチバーオイル、ペニーロイヤルオイル、ペルーバルサムオイル、ユーカリオイル、レモンオイル、ローズマリーオイル、ティートリーオイル、アニスオイル、スターアニスオイル、パルマローザオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、バジルオイル、ヒノキオイル、ラバンジンオイル、ワサビオイル。
【0007】本発明において、「防カビ」とは、カビの発生を防止する効果の他、発生しているカビの生長を停止、抑制させて死滅させる、いわゆる殺カビ効果も含むものである。従って、本発明の防カビ剤組成物は、殺カビ剤として使用することもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】(a)成分本発明で用いる(a)成分はアシル基の炭素数が6〜18、好ましくは8〜14、特に好ましくは8〜12のアシル化グリセロールの混合物であって、モノアシル化グリセロールの比率が混合物中に40〜99.9質量%、好ましくは50〜99.5質量%、特に好ましくは60〜99.5質量%であるアシル化グリセロール混合物である。
【0009】アシル化グリセロールはグリセリンと脂肪酸又は脂肪酸低級アルコールエステルとのエステル化反応もしくはエステル交換反応で合成する方法、又は天然油脂とグリセリンとのエステル交換反応で合成する方法で得ることができる。また、これら反応で得られたアシル化グリセロールはモノアシル化グリセロール(MG)、ジアシル化グリセロール(DG)、トリアシル化グリセロール(TG)の混合物である。一般に上記反応で得られたアシル化グリセロールのMG,DG,TGの比率は、グリセリン骨格とアシル基との反応モル比で一義的に決まり、本発明ではモノアシル化グリセロールが上記範囲に入るように反応モル比を設定することが好ましい。具体的にはグリセリン骨格:アシル基の反応モル比は1:1〜100:1、好ましくは1:1〜10:1、特に1:1〜3:1が好適である。また、このようなモル比で合成したアシル化グリセロールのMG:DG:TGの好ましい質量比は50〜99.5:40〜0.5:10〜0が好適である。また、本発明では上記反応で得られた混合物をさらに薄膜蒸留機などで精製してアシル化グリセロールの純度が高い混合物を得ることもできる。この場合にはMGの比率が99.5質量%以上のものを得ることも可能である。
【0010】本発明の(a)成分のアシル基の炭素数は6〜18であるが、これらは単独のアシル基であっても、混合アシル基であってもよい。混合アシル基の場合には、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂、魚油から選ばれるアルキル組成を有するものが好適であり、特にやし油又はパーム核油に由来するアシル基組成を有するものが良好である。
【0011】(b)成分本発明の(b)成分のうち、(b−1)成分としては、ヘリオトロピン、オイゲノール、カンファー、ゲラニオール、シトロネロール、シトラール、チモール、カルバクロール、リモネンが防カビ・殺カビ効果の点から好適であり、(b−2)成分としては、ラベンダーオイル、レモングラスオイル、パルマローザオイル、ローズマリーオイル、セージオイル、クローブオイル、タイムオイル、ヒバオイルが防カビ・殺カビ効果の点から良好である。本発明では上記(b−1)成分及び/又は(b−2)成分を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても差し支えない。
【0012】また、(b−1)成分、(b−2)成分以外の香料成分〔以下、(b−3)成分という〕を併用しても差し支えない。(b−3)成分としては「香料の化学」(赤星亮一著、日本化学会編 産業化学シリーズ 昭和58年9月16日発行)や「合成香料 化学と商品知識」(印藤 元一著、1996年3月6日発行)や「香料と調香の実際知識」(中島基貴著、1995年6月21日発行)に記載のものを用いることができる。
【0013】(b−3)成分としては、これらの中でも特に、(1)炭素数10〜15のテルペン系アルコール、(2)炭素数7〜15の芳香族アルコール、(3)炭素数8〜17のギ酸エステル又は酢酸エステル、(4)炭素数10〜15の炭化水素、及び(5)炭素数7〜15の芳香族アルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも一種の香料を用いることが好ましい。また、(b−3)成分を用いる場合には〔(b−1)成分+(b−2)成分〕/(b−3)成分が質量比で1/5〜5/1、好ましくは1/2〜5/1であることが、防カビ・殺カビ効果の点、及び組成物に好ましい香気を付与する目的から好適である。
【0014】(c)成分本発明の(c)成分は水と共沸混合物を形成し、1013.25hPa(760mmHg)における水との共沸温度が100℃未満になる有機化合物であり、「化学便覧 基礎編 II」(改訂3版、日本化学会編、丸善(株)、昭和59年6月25日発行)の147頁、表8・43に記載の水と共沸混合物を形成する化合物から共沸温度が100℃未満、好ましくは60〜90℃の化合物を用いることができる。好ましい具体例としてはエタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、トルエン、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ヘキサノール、ヘキサン、1−ヘプタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノールを挙げることができ、炭素数2〜7のアルコール化合物が好ましい。特にエタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが防カビ・殺カビ効果の点から最も好ましい。なお、本発明の(b)成分の中で(c)成分の条件を満たすものは、(b)成分として算入し、(c)成分としては取り扱わない。
【0015】〔防カビ剤組成物〕本発明の防カビ剤組成物は、好ましくは(a)成分及び(b)成分を、(c)成分及び(d)成分に溶解させた溶液の形態である。本発明の防カビ剤組成物中の(a)成分の比率は0.005〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、特に好ましくは0.01〜1質量%である。また、(b)成分は0.005〜5質量%、好ましくは0.005〜3質量%、より好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.01〜0.5質量%である。さらに(c)成分は1〜70質量%、好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは15〜60質量%である。水である(d)成分は30〜99質量%、好ましくは30〜95質量%、特に好ましくは40〜85質量%である。また、好ましくは(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分の合計が95〜100質量%、より好ましくは98〜100質量%が防カビ・殺カビ効果を効率よく得るために望ましい。
【0016】本発明では任意ではあるが、本発明の防カビ剤組成物を対象物に均一に付着させ、効率よく作用させる目的からグリセリンを含有することが望ましい。グリセリンの含有量は、防カビ剤組成物中、好ましくは0.0001〜0.5質量%、より好ましくは0.001〜0.1質量%である。
【0017】本発明ではより防カビ・殺カビ効果を向上させる目的から、竹抽出物及び/又はベンゾキノン誘導体を含有することが望ましい。竹抽出物としては特開平2−180804号公報に記載の孟宗竹をエーテルで抽出したエキスを用いることができ、本発明の防カビ剤組成物中に好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の比率で用いられる。また、ベンゾキノリン誘導体としてはユビキノン、プラストキノン、エンペリン、ラバノン、メサキノン、メチルベンゾキノン、ヒドロキシベンゾキノン、2,4−メトキシベンゾキノンが好適である。ベンゾキノリン誘導体の含有量は防カビ剤組成物中0.1ppm〜100ppm、好ましくは0.5ppm〜50ppmが好適である。
【0018】本発明では対象物への浸透性を向上させる目的から(a)成分以外の界面活性剤を好ましくは0.0001〜1質量%、さらに好ましくは0.001〜0.5質量%含有することが好適である。好ましい界面活性剤としては非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び陽イオン界面活性剤が好適である。
【0019】非イオン界面活性剤としては下記一般式(1)及び/又は一般式(2)の化合物が好ましい。
【0020】
1−O−(R2O)a−H (1)
〔式中、R1は炭素数8〜18、好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。aは平均付加モル数として3〜20、好ましくは4〜15、特に好ましくは5〜10の数を示す。〕
3−(OR4)bc (2)
〔式中、R3は直鎖の炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14のアルキル基、R4は炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、特にエチレン基であり、Gは還元糖に由来する残基、bは平均値0〜6の数、cは平均値1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜2の数を示す。〕。
【0021】一般式(1)の化合物において特に好ましい化合物は下記一般式(1−1)の化合物又は一般式(1−2)の化合物を挙げることができる。
【0022】
5−O(EO)d−H (1−1)
〔式中、R5は炭素数10〜18、好ましくは10〜16の一級の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基又は二級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイドであり、dは平均付加モル数として3〜20である。〕
6−O[(EO)e/(PO)f]−H (1−2)
〔式中、R6は炭素数10〜18、好ましくは10〜16の一級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。eは平均付加モル数3〜15、fは平均付加モル数1〜5である。EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。〕。
【0023】また、一般式(2)の化合物において、Gは還元糖に由来する残基であり、原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明ではこれらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく中でもグルコースが最も好ましい。
【0024】陰イオン界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニルコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩、脂肪酸及び脂肪酸塩から選ばれる界面活性剤が好適である。
【0025】アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、洗剤用界面活性剤市場に一般に流通しているものの中で、アルキル鎖の平均炭素数が8〜16のものであればいずれも用いることができ、例えば花王(株)製のネオペレックスF25、Shell社製のDobs102等を用いることができる。また、工業的には、洗剤用原料として広く流通しているアルキルベンゼンをクロルスルホン酸、亜硫酸ガス等の酸化剤を用いてスルホン化して得ることもできる。アルキル基の平均炭素数は10〜14が好ましい。また、アルキル硫酸エステル塩としては炭素数10〜16、好ましくは10〜14の直鎖もしくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコールをSO3又はクロルスルホン酸でスルホン化し、中和して得ることができる。α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数8〜18のα−アルケンをSO3でスルホン化し、水和/中和を経て成することができ、炭化水素基中にヒドロキシ基が存在する化合物と不飽和結合が存在する化合物の混合物である。また、α−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩としては、アルキル基の炭素数は10〜16が好ましく、メチルエステル又はエチルエステルが洗浄効果の点から好ましい。本願発明では、洗浄効果の点から炭素数10〜14のアルキル硫酸エステル塩が特に良好である。脂肪酸としては炭素数8〜14の飽和脂肪酸、好ましくはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸が好ましい。また、やし油やパーム核油から誘導されるアルキル分布を有する脂肪酸も使用することができる。
【0026】塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩が好適であり、洗浄効果の点からナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
【0027】陽イオン界面活性剤としては、下記一般式(3)〜(5)の化合物を用いることも衣料の消臭効果の点から好適である。
【0028】
【化1】

【0029】〔式中、R7及びR12は、それぞれ炭素数5〜16、好ましくは6〜14のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基であり、R9、R10は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。Tは−COO−、OCO−、−CONH−、−NHCO−、又は【0030】
【化2】

【0031】である。gは0又は1の数である。R8は、炭素数1〜6のアルキレン基、又は−(O−R17)n−である。ここでR17はエチレン基もしくはプロピレン基、好ましくはエチレン基でありであり、nは1〜10、好ましくは1〜5の数である。R11は炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。また、R13、R14、R15、R16はこれらの内2つ以上(好ましくは2つ)は炭素数8〜12のアルキル基であり、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。さらにZ-は陰イオン基、好ましくはハロゲンイオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンである。〕。
【0032】本発明では、併用する界面活性剤として、脂肪酸又はその塩、一般式(1)及び/又は一般式(2)の非イオン界面活性剤が好ましく、特に一般式(2)の化合物が好ましい。
【0033】本発明の防カビ剤組成物には無機塩を配合することができるが、防カビ・殺カビ効果を抑制しないために、その配合量は、組成物中好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、最も好ましくは実質的に配合しないことが望ましい。
【0034】本発明では貯蔵安定性を向上させる目的でハイドロトロープ剤を含有することが好ましい。ハイドロトロープ剤としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸及びこれらのナトリウム、カリウムあるいはマグネシウム塩が良好であり、特にp−トルエンスルホン酸及びその塩が良好である。本発明の防カビ剤組成物は、ハイドロトロープ剤を好ましくは0.001〜1質量%、特に好ましくは0.001〜0.5質量%含有することが好適である。
【0035】本発明の防カビ剤組成物の20℃におけるpHは、好ましくは3〜9、より好ましくは4〜8が好適である。pH調整剤としては塩酸や硫酸などの無機酸や水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0036】本発明の防カビ剤組成物は、対象物への処理のし易さ、及び防カビ・殺カビ効果を向上させる目的から、20℃における粘度が好ましくは15mPa・s以下、さらに好ましくは1〜10mPa・sであることが好適である。このような粘度に調整することで対象物を均一に処理することができ、さらに乾燥を促進させることができる。
【0037】本発明の防カビ剤組成物は、被対象物に噴霧して用いられるのが好ましい。噴霧器としては、トリガー式噴霧器、或いはエアゾール式噴霧器を用いることが好ましい。
【0038】トリガー式噴霧器を用いる場合、該噴霧器は1回のストロークで好ましくは0.2g〜2.0g、さらに好ましくは0.2〜1.0g、特に好ましくは0.2g〜0.7g、最も好ましくは0.25〜0.5g噴出するものが良好である。本発明で使用するトリガー式スプレー容器として特に好ましいものは、実開平4−37554号公報に開示されているような蓄圧式トリガーが、噴霧の均一性の点で特に良好である。
【0039】エアゾール式噴霧器を用いる場合、該噴霧器は好ましくは1秒あたり0.5〜5.0g、さらに好ましくは1秒あたり1.0〜3.0gを噴霧するものが良好である。エアゾールの噴射剤としては、液化プロパンガス、ジメチルエーテル、窒素、二酸化炭素、空気などを用いることが出来るが、噴射特性の点からは、液化プロパンガスが好ましく、安全性の点からは窒素、二酸化炭素、空気が好ましい。
【0040】噴霧特性としては、特に地面に垂直に置いた対象物に15cm離れた場所からスプレーしたときの液のかかる面積が好ましくは100〜800cm2、さらに好ましくは150〜600cm2になるトリガー式噴霧器が好ましい。また、本発明では(b)成分の噴霧量が、対象物1000cm2当たり好ましくは1〜10mg、さらに好ましくは2〜5mgになるように均一に対象物にスプレーし、乾燥させることで高い防カビ・殺カビ除去効果を得ることができる。本発明で使用するトリガー式スプレー容器として特に好ましいものは、実開平4−37554号公報に開示されているような蓄圧式トリガーが、噴霧の均一性の点で特に良好である。
【0041】スプレー後は自然乾燥させた。なお本方法に適した組成は前記した通りである。
【0042】
【実施例】表1に示す組成の(a)成分を用いて、表2に示す防カビ剤組成物を調製し、下記に示す防カビ効果を評価した。結果を表2に示す。
【0043】<防カビ効果の評価>50mm×50mmのベニヤ板に103胞子のペニシリウム・オーランチオグリセウム(Penicillium aurantiogriseum)を均一に接種したものを試験片とした。
【0044】30℃/90RH%に調整したデシケ−タ(48L)内に試験片を入れ、試験片全面に対して0.025mlの防カビ剤組成物を散布し、そのままデシケータを密閉し、3日後、1週間後及び2週間後のカビの生育状況を目視にて観察し、以下の基準で評価した。

【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】(注)
*1:共沸温度は、1013.25hPaにおける水との共沸温度である。
*2:ノニオンはアルキルポリグルコシド〔アルキル基の組成が、炭素数10のアルキル基/炭素数12のアルキル基=4/6(質量比)、グルコース平均縮合度が1.3〕である。
*3:pHは、1/10規定硫酸水溶液と1/10規定水酸化ナトリウム水溶液により調整した。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成13年7月5日(2001.7.5)
【代理人】 【識別番号】100063897
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 馨 (外4名)
【公開番号】 特開2003−12411(P2003−12411A)
【公開日】 平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願番号】 特願2001−205055(P2001−205055)