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【発明の名称】 排水用消毒液及びそれを用いた排水の消毒方法並びに装置
【発明者】 【氏名】長谷川 和広
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【氏名】里井 泰生
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社荏原製作所内

【要約】 【課題】下水処理場、ポンプ所、雨水吐き口から公共水域に放流される大腸菌群等の細菌を含む未処理の雨天時下水を効率的且つ安価に消毒することのできる新規な消毒剤を提供する。

【解決手段】本発明は、二酸化塩素を含むことを特徴とする消毒剤を提供する。また、本発明は更にかかる消毒剤を用いて排水を消毒するための方法及び装置も提供する。更に本発明の好ましい態様においては、二酸化塩素を含む消毒液を、排水に多段階に分けて添加することを特徴とする排水の消毒方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 二酸化塩素を含むことを特徴とする排水用消毒剤。
【請求項2】 排水に対して、請求項1に記載の排水用消毒剤を加えることを特徴とする下水の消毒方法。
【請求項3】 処理対象の排水が雨水を含む下水である請求項2に記載の方法。
【請求項4】 二酸化塩素を含む排水用消毒剤を二段階以上で添加することを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】 排水を消毒処理するための装置であって、二酸化塩素水溶液の消毒液を調製する消毒液調製装置と、前記消毒液調製装置で形成された消毒液を排水に投入する消毒液投入装置とを具備することを特徴とする、排水を消毒処理する装置。
【請求項6】 消毒液投入装置が、消毒液を多段階に分けて排水に添加する手段を具備する請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排水処理、特に下水処理の分野に関し、より具体的には、下水処理場、ポンプ所、雨水吐き口から公共用水域に放流される下水の消毒に用いることのできる消毒剤及びそれを用いた下水の消毒方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】下水処理場は、家庭や工場から排出される汚水等を無害化して公共用水域に放流するための施設であるが、設計値を上回る降雨があった場合には、中継基地であるポンプ所や雨水吐き口から、雨水の交ざった汚水(以下、雨天時下水という)が、数十秒から数分で、無処理のままで公共用水域に放流される。この場合、粗大浮遊物やSS(suspended substance:浮遊物質)がそのまま公共用水域に放流されるために、美観上問題となることが多い。下水処理場においても、流入下水が処理能力を大幅に上回る場合には、一部の雨天時下水を無処理で放流する場合がある。この場合、細菌の消毒が実施されないため、水質汚濁防止法に定める放流規制値(3000CFU/mL以下)を大幅に上回る大腸菌群が検出される場合がある。これらは、特に合流式下水道にみられる現象であるが、分流式下水道においても、土壌性大腸菌群や粗大浮遊物が流入するため、それらが越流して公共水域に放流された場合には、合流式下水道と同様の問題が生じていた。
【0003】下水処理場での消毒は、「下水道施設計画・設計指針と解説」(日本下水道協会発行、建設省都市局下水道部監修、1994年10月)によれば、次亜塩素酸ナトリウム、液化塩素、塩素化イソシアヌル酸、次亜塩素酸カルシウムなどの塩素剤を用い、それらを混和池で、15分以上、下水と接触させることによって大腸菌群を消毒する方法が示されている。また、「下水道施設計画・設計指針と解説」には、オゾンや紫外線による消毒についても記載されている。更に、数万m3の貯留池を設けて雨天時下水を一時貯留し、貯留量以上の降雨量によって越流が起こった場合には、上記の塩素系消毒剤を用いて消毒を行う方法も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記に示した、次亜塩素酸ナトリウム、液化塩素、塩素化イソシアヌル酸、次亜塩素酸カルシウムなどの塩素剤は、これらを混和池等で下水と十分に(例えば15分以上)接触させることができる場合には大腸菌群を消毒するのに有効である。しかしながら、雨天時下水のように、降雨強度が大きくて短時間で公共用水域に放流される場合には、塩素剤と下水との接触時間が十分にとれないため、水質汚濁防止法で定める放流水中の大腸菌群数基準値以下にすることができない。また、雨天時下水は、アンモニア性窒素含有量が大きいため、投入された塩素剤は、容易にアンモニア性窒素と反応して、消毒効果が低く残留性の高いクロラミンを形成する。このため、大腸菌群の消毒が十分に行われないばかりでなく、形成されたクロラミンが、公共用水域に結合残留塩素として長時間残存して環境に悪影響を与えるため、雨天時下水の消毒剤として用いるには好ましくない。
【0005】上述の「下水道施設計画・設計指針と解説」には、オゾンや紫外線による消毒についても記載されている。オゾンを用いる場合、予想される最大越流水量に対して消毒可能なオゾン量を供給する設備を設置する必要がある。雨天時下水の越流は、通常1年について20〜50回の頻度であり、それ以外は通常の処理が可能な状態である。しかしながら、時間当たり数万m3の雨天時下水を、水質汚濁防止法で規定された基準値まで消毒するためには、巨大なオゾン注入設備を設ける必要があり、費用対効果を考慮した場合、賢明な方法とはいえない。また、オゾン注入後は気相中のオゾンを中和する必要があるが、暗渠が多い下水への適用は困難であり、廃オゾン処理装置の設置に伴う設備費用の上昇が懸念される。
【0006】また、数万m3の貯留池を設けて雨天時下水を一時貯留し、貯留量以上の降雨量によって越流が起こった場合に、上記の塩素系消毒剤を用いて消毒を行う方法も提案されている。しかしながら、既存の下水処理場内や、ポンプ所、雨水吐き口には新たな貯留池を設ける場所がないことが多く、現実的でない。また、塩素剤を用いて消毒を行う場合には、上記の同様の環境中への残留塩素の排出等が重大な問題として残るため、好ましくない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような課題を解消し、下水処理場、ポンプ所、雨水吐き口から公共水域に放流される大腸菌群等の細菌を含む未処理の雨天時下水を効率的且つ安価に消毒することのできる新規な消毒剤を提供することを目的とする。
【0008】本発明は、上記課題を解決するための手段として、二酸化塩素を含むことを特徴とする排水用消毒剤を提供する。更に、本発明は、かかる消毒液を用いて排水を消毒する方法にも関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各種形態について説明する。本発明に係る消毒剤は、二酸化塩素を含むことを特徴とする。二酸化塩素は、次亜塩素酸塩のように下水中に含まれるアンモニア性窒素やアミン化合物と反応してクロラミンを生成しないという特徴を有する。次亜塩素酸塩を消毒剤として使用する場合には、上述したように、混和池で15分以上、下水と接触させる必要があるが、これは、次亜塩素酸塩がクロラミンを生成して消毒活性が低下するためである。これに対して、本発明においては二酸化塩素を消毒剤として用いるので、クロラミンを生成せず、活性成分が失われないため、短時間で細菌を消毒することができるばかりでなく、クロラミン等の残留塩素が公共用水域に放流されることを防止することもできる。また、次亜塩素酸塩は、下水中の有機物と反応して発癌性のあるトリハロメタンを生成するが、二酸化塩素はトリハロメタンを生成しないという特徴も有している。更に、二酸化塩素を用いた場合には、酸化後の生成物は塩素と酸であるので、環境への影響もない。
【0010】本発明において用いることのできる二酸化塩素としては、クロリンジオキサイドを主成分とする水溶液又は粉末、微顆粒状の安定化二酸化塩素を使用することができる。なお、本発明に係る消毒剤を雨天時下水用の消毒剤として大量に使用する場合には、取扱い上の問題から、水溶液の形態で用いることが好ましい。市販の二酸化塩素は、水溶液に溶解した状態では安定しており消毒効果が小さいため、活性化させて用いる。活性化二酸化塩素の製造方法としては、塩素ガスと亜塩素酸ナトリウムとを反応させる塩素ガス法、塩素酸ナトリウムと塩酸を混合反応させる酸分解法、次亜塩素酸ナトリウムと塩酸又は硫酸を混合して塩素水を製造し、次に亜塩素酸ナトリウムを注入する三液法、塩素酸ナトリウムを出発原料とする塩酸法等があるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、活性化二酸化塩素を製造しうる方法であれば、上述の方法を併用したり、若しくは上述した方法以外の方法を用いてもよい。
【0011】排水に対する二酸化塩素の添加率は、数十秒から数分で排水中の大腸菌群等の細菌が水質汚濁防止法で定められた数値(3000CFU/mL)以下になるように決定する。好適な添加率は、処理対象の排水の水質、特に濁度やBODによって異なり、また、放流若しくは越流時間によっても異なるため、明確に規定することはできないが、二酸化塩素濃度として0.1〜100mg/Lの範囲にすることが好ましい。より好ましい添加率の範囲は0.5〜80mg/Lであり、1〜50mg/Lが更に好ましい。本発明に係る消毒剤の添加率が0.1mg/L未満であると雨天時下水の消毒効果が殆ど期待できず、また100mg/Lを超えると、未反応の二酸化塩素が公共用水域に放流されて環境に悪影響を与えるので、好ましくない。
【0012】二酸化塩素を含む水溶液は、二段階以上で加えることが好ましい。二酸化塩素は、前述のように、アンモニアと反応せず、窒素化合物に影響されないため、消毒初期段階では効果的な消毒剤として作用するが、二酸化塩素自身の消費量が大きいため、時間が経過するにつれて有効成分の存在量が減り、消毒効果が低下する。特に、雨天時越流水のうち、ファーストフラッシュと呼ばれる越流初期の汚濁負荷が高い排水に対して、この現象が顕著である。また、二酸化塩素を一度に大量に加えると、ヘモグロビン血症等の原因となる亜塩素酸塩の発生量が増加する。本発明の好ましい態様においては、雨天時下水中の大腸菌群を消毒しうる量の二酸化塩素を、複数回に分けて加えることによって上述の問題を解消することができる。この場合、二酸化塩素の添加は、1〜600秒おきに、好ましくは1〜300秒おきに行うことが好ましい。
【0013】本発明に係る消毒剤は、下水などの排水の消毒に用いることができ、特に、雨天時下水、特にポンプ所、雨水吐き口から排除される雨水を含む下水を消毒処理するのに特に好適である。これらの雨天時下水は、従来の次亜塩素酸塩による消毒では短時間消毒は不可能であったために、現状では未処理のままで河川や海等に放流されているが、本発明に係る消毒剤によれば、このような雨天時下水を短時間に消毒することができるので、環境問題に資すること大である。なお、ポンプ所や雨水吐き口から排除される雨水を含む下水は、通常未処理のままで放流されるが、本発明においては、この未処理の雨天時下水をそのまま消毒処理することもできるし、或いは予め夾雑物やSS、BOD等の除去などの前処理を施してから消毒処理することもできる。雨天時下水のSSやBOD等の除去が施されていれば、それらの酸化に二酸化塩素が消費されないため、二酸化塩素の添加率が少なくできるという利点がある。
【0014】また、本発明に係る消毒剤は、下水処理場から放流される未処理及び/又は簡易処理が行われた雨水を含む下水を消毒処理するのにも特に好適である。下水処理場に流入する雨天時下水量が多い場合には、これらの雨天時下水は未処理及び/又は簡易処理が施されて放流される場合があり、現状では、大腸菌群等の細菌数が水質基準値を大幅に上回る場合があったが、本発明に係る消毒剤によれば、このような雨天時下水を短時間に消毒する。なお、この場合にも、上記と同様に、雨天時下水に対して、夾雑物やSS、BOD除去処理を行ってから本発明に係る消毒処理を行ってもよい。
【0015】しかしながら、下水処理場の通常処理である、最初沈殿池、生物処理、最終沈殿池及び消毒処理を施された下水は、水質汚濁防止法で規定された水質基準値を満足するので、本発明による消毒処理を行う必要はない。
【0016】本発明によれば、合流式下水道、分流式下水道から発生する雨水を含む下水を好適に消毒処理することができる。合流式下水道や分流式下水道では、雨天時に糞便性若しくは土壌性大腸菌群が流入して、流入水量が多い場合には、無処理のまま放流される構造になっているので、ここに本発明に係る消毒処理を行えば、下水中の大腸菌群などの細菌を短時間で消毒することができるので、極めて好ましい。これに対して、簡易浄化槽や合併浄化槽は、滞留時間を長くとれること、並びに、微生物処理が併用されるため、消毒剤を使用すると微生物が死滅して浄化槽の当初の効果が小さくなるので、本発明の消毒剤を用いるのには好ましくない。
【0017】また、本発明は、上記に説明した消毒剤を用いて排水を消毒するための装置をも提供する。即ち、本発明の他の態様は、二酸化塩素水溶液の消毒液を調製する消毒液調製装置と、前記消毒液調製装置で形成された消毒液を排水に投入する消毒液投入装置とを具備することを特徴とする、排水を消毒する装置に関する。
【0018】以下、本発明に係る排水を消毒する装置の一具体例について図面を参照しながら説明する。以下の説明は、本発明の具体的な一態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】図1は、本発明に係る装置の一実施形態を説明する概略図である。図1において各参照番号は次の意味を有する。
1 塩素貯留槽;2 亜塩素酸ナトリウム貯留槽;10 反応容器(二酸化塩素発生装置);12 インジェクター;13a,13b 流量調節弁;14a,14b 分配槽;15 沈砂池;16 被処理排水流入部;17a,b,c,d沈砂部;18 排除ポンプ;19 放流水路;20 消毒液供給配管;21 被処理水(水道水、下水の一次処理水、二次処理水、三次処理水、雨天時越流下水等)の給水配管;22 消毒液供給配管(第1段階);23 消毒液供給配管(第2段階);24a,b,c,d 消毒液供給配管分配管(第2段階);30公共用水域。
【0020】図1に示す消毒装置は、主たる構成要素として、二酸化塩素消毒液を形成するための反応容器10と、被処理排水を流入させる沈砂池15と、沈砂池中の被処理排水に消毒液を加えるための消毒液供給配管22とを具備する。図1に示す態様においては、二酸化塩素を発生させるための出発化合物として、塩素の貯留槽1と、亜塩素酸ナトリウムの貯留槽2とが配置されている。これらは、供給配管を通して反応容器10に接続されており、二酸化塩素の発生に必要な量が適宜供給される。なお、二酸化塩素を発生させる反応としては、塩素と亜塩素酸ナトリウムとの反応の他にも、上述したように、塩素酸ナトリウムと塩酸との反応など種々の方法が考えられるが、この場合には、図1に示す形態に代えて、必要な出発化合物の貯留槽を反応容器10に接続すればよい。反応容器10において発生せしめられた二酸化塩素水溶液(消毒液)は、消毒液供給配管20、インジェクター12を通して、流量調節弁13に供給される。図1に示す態様においては、消毒液の二段階供給を行うために、消毒液は流量調節弁13a及び13bに分岐供給され、それぞれの流量調節弁によって各段階での供給量が調節される。流量調節弁13aによって供給量が調節された消毒液は、分配槽14a、配管22を通して、沈砂池15の流入部16に供給される。一方、雨天時越流下水等の被処理排水は、給水配管21を通して、沈砂池15の流入部に供給され、ここで配管22より供給される消毒液が被処理排水に添加される(消毒液の第1段階添加)。また、流量調節弁13bによって供給量が調節された消毒液は、分配槽14b、配管23を通して、分配管24a,b,c,dより沈砂部17a,b,c,dのそれぞれに均等に供給される(消毒液の第2段階添加)。分配槽14bでの保持時間を調節することにより、第1段階添加と第2段階添加との間のインターバル時間を調整することができる。なお、図1に示すような分配槽に代えて、バルブ、流量計等の機械的分配方法を用いて各添加段階への消毒液の分配を行うこともできる。沈砂部17a〜dでは、雨天時下水中に含まれている粗粒子分が沈降して除去されるが、そこで雨天時下水と二酸化塩素とが混合されて消毒が行われる。
【0021】沈砂部17a〜dでは、雨天時下水と消毒液とは、好ましくは10秒〜30分滞留し、更に好ましくは10秒〜15分滞留し、特に好ましくは10秒〜5分滞留する。沈砂部への多段階供給は、図1に示すように二段階であっても、或いは更に三段階以上に分割して供給してもよい。
【0022】消毒処理が行われた被処理排水は、次に排除ポンプ18によって放流水路19に送られ、公共用水域30に放流される。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、従来無処理で公共用水域に放流されていた雨天時下水中の大腸菌群を効率的に消毒することができ、しかも、汎用消毒剤である次亜塩素酸ナトリウムのようにクロラミン等の残留塩素を生成しないため、放流先の水棲生物に対する影響を小さくすることができ、環境問題も発生しない。また本発明の好ましい態様においては、消毒液を多段階に分けて被処理排水に添加することにより、消毒処理をより効率的に行うことが可能になる。
【0024】
【実施例】以下の実施例により、本発明のより具体的な態様を示すが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例/比較例において、消毒剤の添加率は、活性塩素濃度としての値(mg/L as Cl)である。
【0025】実施例1〜8降雨量5mm/時の降雨の際にポンプ所から排除された雨天時下水を被処理水として本発明による大腸菌群に対する消毒試験を行った。消毒液は、塩素と亜塩素酸ナトリウムとを混合して二酸化塩素水溶液を調製し、雨天時下水の一部を汲み上げて希釈したものを用いた。処理前の雨天時下水の水質を表1に、試験結果を表2に示す。雨天時下水と二酸化塩素との接触時間は2分とした。
【0026】実施例9〜13降雨量7mm/時の降雨の際に雨水吐き口から越流した雨天時下水を被処理水として、実施例1と同様に本発明による大腸菌群に対する消毒試験を行った。処理前の雨天時下水の水質を表1に、試験結果を表2に示す。雨天時下水と二酸化塩素との接触時間は1分とした。
【0027】実施例14〜18降雨量4mm/時の降雨の際に下水処理場から越流した雨天時下水を被処理水として、実施例1と同様に本発明による大腸菌群に対する消毒試験を行った。処理前の雨天時下水の水質を表1に、試験結果を表2に示す。雨天時下水と二酸化塩素との接触時間は3分とした。
【0028】実施例19〜22降雨量3mm/時の降雨の際にポンプ所から排除された雨天時下水を、従来公知のスワール分水槽によってSSの除去処理にかけたものを被処理水として、実施例1と同様に本発明による大腸菌群に対する消毒試験を行った。消毒処理前(SS除去処理後)の雨天時下水の水質を表1に、試験結果を表2に示す。雨天時下水と二酸化塩素との接触時間は1分とした。
【0029】比較例1〜6実施例1〜8で処理したものと同じ降雨量5mm/時の降雨の際にポンプ所から排除された雨天時下水を被処理水として大腸菌群に対する消毒試験を行った。消毒液は、汎用消毒剤である次亜塩素酸ナトリウムを用いた。処理前の雨天時下水の水質を表1に、試験結果を表3に示す。雨天時下水と次亜塩素酸ナトリウムとの接触時間は5分とした。
【0030】比較例7〜10実施例9〜13で処理したものと同じ降雨量7mm/時の降雨の際に雨水吐き口から越流した雨天時下水を被処理水として、比較例1と同様に大腸菌群に対する消毒試験を行った。処理前の雨天時下水の水質を表1に、試験結果を表3に示す。雨天時下水と次亜塩素酸ナトリウムとの接触時間は5分とした。
【0031】比較例11〜14実施例14〜18で処理したものと同じ降雨量4mm/時の降雨の際に下水処理場から越流した雨天時下水を被処理水として、比較例1と同様に大腸菌群に対する消毒試験を行った。処理前の雨天時下水の水質を表1に、試験結果を表3に示す。雨天時下水と次亜塩素酸ナトリウムとの接触時間は5分とした。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】上記の表に示す結果から明らかなように、次亜塩素酸ナトリウムを消毒剤として用いた場合には、消毒時間が少なくとも5分以上必要であり、濁度やBODが高い場合には30mg/L以上添加する必要があった。しかも、残留塩素が多量検出されたことから、放流先の公共用水域の水棲生物に悪影響を与えることが予見された。それに対して、本発明によって二酸化塩素を消毒剤として用いた場合には、消毒時間が短く、少量で有効な大腸菌群の消毒効果が認められた。
【0036】実施例23〜24;比較例15〜16以下の実施例及び比較例は、本発明の好ましい態様にかかる二酸化塩素の多段階添加による雨天時下水の消毒法を説明する。
【0037】降雨量10mm/時の降雨の際にポンプ所に流入した雨天時下水を被処理水として、大腸菌群に対する消毒試験を行った。この降雨では、管渠内に堆積した汚泥やそれに付着した大腸菌群の流入が多く、高濁度、高大腸菌群数であることが特徴的であった。この被処理水に、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩酸を原料として生成させた二酸化塩素を二段階で添加した。二段階添加は、必要量の二酸化塩素を二つに分割し、第1段階の消毒液を加えた2分後に第2段階の消毒液を加えることによって行った。同じ雨天時下水に、二酸化塩素を一段階添加した場合を比較例とした。実施例、比較例共に、雨天時下水と消毒液との総接触時間は5分であった。
【0038】雨天時下水の水質を表4に、実施例23〜24の結果を表5に、比較例15〜16の結果を表6にそれぞれ示す。表に示す結果から、高濁度水では、一段階添加よりも、多段階添加の方が大腸菌群を効率的に消毒することができることが確認された。
【0039】
【表4】

【0040】
【表5】

【0041】
【表6】

【出願人】 【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町11番1号
【出願日】 平成13年6月21日(2001.6.21)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外5名)
【公開番号】 特開2003−2807(P2003−2807A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−188198(P2001−188198)