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【発明の名称】 燻蒸方法およびそれに用いる燻蒸装置
【発明者】 【氏名】山本 和馬
【住所又は居所】大阪府堺市築港新町2丁6番地40 エア・ウォーター株式会社堺事業所内

【氏名】柴田 仁
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区東心斎橋1丁目20番16号 エア・ウォーター株式会社大阪本社内

【氏名】清水 洋志
【住所又は居所】神奈川横浜市中区山下町26番地の5 関東港業株式会社内

【氏名】吉田 隆夫
【住所又は居所】神奈川横浜市中区山下町26番地の5 関東港業株式会社内

【氏名】山内 和夫
【住所又は居所】神奈川横浜市中区山下町26番地の5 関東港業株式会社内

【氏名】若松 寛徳
【住所又は居所】神奈川横浜市中区山下町26番地の5 関東港業株式会社内

【要約】 【課題】設備が小型で、文化施設等の広い燻蒸場所に対応することのできる燻蒸方法を提供する。

【解決手段】アルゴンガスボンベ1と、液体酸化プロピレンが充填されたPO充填ボンベ8とを準備しておく。そして、アルゴンガスボンベ1から供給されるアルゴンガスとPO充填ボンベ8から供給される液体酸化プロピレンとを予め気液混合器5に導入して混合させ、この気液混合器5で混合させて得られた気液混合体を気化器25に導入して気化させ、この気化させて得られた混合ガスを燻蒸場所31に導入するようにしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不活性ガス供給源と、液体酸化プロピレンが充填された圧力容器とを準備し、不活性ガス供給源から供給される不活性ガスと圧力容器から供給される液体酸化プロピレンとを予め気液混合器に導入して混合させ、この気液混合器で混合させて得られた気液混合体を気化器に導入して気化させ、この気化させて得られた混合ガスを燻蒸場所に導入するようにしたことを特徴とする燻蒸方法。
【請求項2】 上記液体酸化プロピレンが充填された圧力容器を計量手段で常時計量し、液体酸化プロピレンの残存量を知るようにした請求項1記載の燻蒸方法。
【請求項3】 上記気化器の温水槽内でヒーターに加熱された温水中に、気液混合体を通す管体の少なくとも一部を配設し、上記温水で気液混合体を加温することにより気化させるようにした請求項1または2記載の燻蒸方法。
【請求項4】 上記燻蒸場所において、導入した混合ガスを希釈機で希釈するようにした請求項1〜3のいずれか一項に記載の燻蒸方法。
【請求項5】 上記気化器で得られた混合ガス中の酸化プロピレンガスの濃度を33〜99体積%の高濃度に設定して酸化プロピレンガスの燃焼域から外し、上記希釈機内において、酸化プロピレンガスが高濃度で導入された混合ガス中の酸化プロピレンガスの濃度を0.5〜2.5体積%の低濃度に希釈して再度酸化プロピレンガスの燃焼域から外すようにした請求項4記載の燻蒸方法。
【請求項6】 不活性ガスがアルゴンガスである請求項1〜5のいずれか一項に記載の燻蒸方法。
【請求項7】 不活性ガス供給源と、液体酸化プロピレンが充填された圧力容器と、不活性ガス供給源から供給される不活性ガスと圧力容器から供給される液体酸化プロピレンとを予め混合させる気液混合器と、この気液混合器で混合させて得られた気液混合体を導入し気化する気化器と、この気化器で気化されて得られた混合ガスを燻蒸場所に導入する導入管とを備えていることを特徴とする燻蒸装置。
【請求項8】 上記液体酸化プロピレンが充填された圧力容器を常時計量する計量手段を設け、この計量手段の計量結果から液体酸化プロピレンの残存量を知るように構成した請求項7記載の燻蒸装置。
【請求項9】 上記気化器を、温水を溜めた温水槽と、上記温水を加熱するヒーターと、気液混合体を通す管体とで構成し、この管体の少なくとも一部を温水中に配設した請求項7または8記載の燻蒸装置。
【請求項10】 上記燻蒸場所に、上記導入管から導入された混合ガスを希釈する希釈機を設けた請求項7〜9のいずれか一項に記載の燻蒸装置。
【請求項11】 上記気化器で得られた混合ガス中の酸化プロピレンガスの濃度が33〜99体積%の高濃度であり、上記希釈機内において、ここに導入管を介して導入された混合ガス中の酸化プロピレンガスの濃度を0.5〜2.5体積%の低濃度になるまで希釈するように構成した請求項10記載の燻蒸装置。
【請求項12】 上記希釈機のケース本体内に、導入管に接続する混合ガス流入管と、ファンとを設け、上記混合ガス流入管にガス出口を形成し、上記ファンの回転により、上記ケース本体に形成されたガス流入口から上記希釈機外のガスを取り入れ、この取り入れたガスで、上記混合ガス流入管のガス出口から流出する混合ガスを希釈し、上記ケース本体に形成されたガス流出口から流出するように構成した請求項10または11記載の燻蒸装置。
【請求項13】 上記気液混合器に筒状部を設け、不活性ガス供給源から供給される不活性ガスの導入口を上記筒状部の周壁に穿設し、圧力容器から供給される液体酸化プロピレンを上記筒状部に導入する液導入管を、上記筒状部の周壁を貫通させて内部に突入させるとともに、この内部の長手方向に沿って配設し、上記液導入管から流出する液体酸化プロピレンを上記導入口から流出する不活性ガスで気液混合させてミスト状の気液混合体とするように構成した請求項7〜12のいずれか一項に記載の燻蒸装置。
【請求項14】 上記圧力容器の内部に、液体酸化プロピレンからなる下部液相部と、この液相部の上方空間からなる上部気相部とを設け、この上部気相部に不活性ガス供給源から不活性ガスを供給するように構成した請求項7〜13のいずれか一項に記載の燻蒸装置。
【請求項15】 不活性ガスがアルゴンガスである請求項7〜14のいずれか一項に記載の燻蒸装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の文化財等を保存するための燻蒸方法およびそれに用いる燻蒸装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種の貴重文化財(寺社仏閣等の歴史的建造物、文化的価値の高い書画,書籍,工芸品等)、文化施設(博物館,資料館,図書館等)の展示場所、その他殺菌,殺虫が必要な物や場所等を、害虫,かび,細菌等の加害生物から守り、良好な状態で保存するために、対象とする文化財等を気密状態で囲い、加害生物に対し殺菌効果の高い燻蒸剤から得られるガス(燻蒸ガス)を充満させていぶす方法(燻蒸法)がよく行われている。この燻蒸法によると、文化財等の材質を損なうことなく、加害生物を一挙に殺滅することができるという利点を有している。
【0003】上記の、文化財等に使用される燻蒸剤としては、酸化エチレン(殺菌剤)+臭化メチル(希釈剤)の混合液が主に用いられていた。ところが、近年、酸化エチレンはその発ガン性から特定化学物質として使用条件が厳しく制限されており、臭化メチルはオゾン層破壊物質(モントリオール議定書)に指定され、その使用が規制されている。このため、上記の燻蒸剤は、文化財保存分野において、その使用が事実上不可能となっている。
【0004】そこで、上記の燻蒸剤の代替品として、酸化プロピレン(殺菌剤)+アルゴン(希釈剤)を気液混和して得られる混合ガスを燻蒸ガスとして使用することが開発され提案されている(特開2000−281506号公報)。すなわち、酸化プロピレン(以下、「PO」という)は、空気中での爆発限界が2.8〜37体積%(vol.%)であるため、その気化時や燻蒸場所(燻蒸すべき空間)に導入する導入管,燻蒸場所等においては燃焼域(可燃域)を形成しない安全な投薬方法が求められる。このため、PO濃度を2体積%以下に維持する目的で、アルゴンを加え、燃焼域を制御しながら投薬する技術が開発され、燻蒸剤として用いられるようになったものである。
【0005】この技術は、液体POを充填したボンベに、減圧されたアルゴンガスを一定量で吹き込み、必要とする気化潜熱(477J/kg)を、ボンベ外側より40℃前後の温水を用いて加温することにより付与し、PO濃度を制御し、投薬する方法(以下、「バブリング法」という)である。このバブリング方法で発生する混合ガス中のPO濃度は約20体積%であり、この混合ガスにさらにアルゴンガスを加えて0.5〜2.5体積%以下に希釈する。このため、燻蒸場所をアルゴンガス雰囲気にした状態で、上記発生した混合ガスをボンベから燻蒸場所に送り込み、燻蒸場所内で攪拌して燻蒸場所内のアルゴンガスとの均一化を図り、混合ガスを希釈することを行う。
【0006】このような技術を用いた燻蒸装置の一例を図5に示す。図において、51は内部にアルゴンガスが圧縮された状態で充填されたアルゴンガスボンベである。52はアルゴンガス取り出し管53に設けた減圧弁であり、アルゴンガスボンベ51から取り出したアルゴンガスの圧力(14.7MPa)を所定圧力(0.3MPa)に減圧する作用をする。54はアルゴンガス取り出し管53から取り出したアルゴンガスを燻蒸場所57に導入するパージ用アルゴンガス導入管であり、開閉弁55とアルゴンガス流量計56とが取り付けられている。
【0007】58は内部に液体POが封入されたステンレス製のPO充填ボンベであり、液体POからなる下部液相部58aと、上部気相部58bとに分かれている。59はアルゴンガス取り出し管53から取り出したアルゴンガスをPO充填ボンベ58に導入するバブリング用アルゴンガス導入管であり、開閉弁60とアルゴンガス流量計61とが取り付けられている。このバブリング用アルゴンガス導入管59は、PO充填ボンベ58内の底部まで延びている。
【0008】62は温水62aを溜めた温水槽であり、PO充填ボンベ58が浸けられている。63は温水62aを加熱するヒーターであり、温水62aの温度を30〜35℃に設定している。64はPO充填ボンベ58の上部気相部58bに充満する混合ガスを燻蒸場所57に導入する混合ガス導入管であり、PO充填ボンベ58の上部から燻蒸場所57まで延びている。65は燻蒸場所57に送り込まれた混合ガスを攪拌する攪拌装置である。
【0009】上記燻蒸装置を用い、例えばつぎのようにして燻蒸を行うことができる。すなわち、まず、開閉弁55を開弁し、開閉弁60を閉弁し、アルゴンガスボンベ51内のアルゴンガスをアルゴンガス取り出し管53,パージ用アルゴンガス導入管54を介して燻蒸場所57に導入し、この燻蒸場所57をアルゴンガス雰囲気に置換する。つぎに、開閉弁55を閉弁し、開閉弁60を開弁し、アルゴンガスボンベ51内のアルゴンガスをアルゴンガス取り出し管53,バブリング用アルゴンガス導入管59を介してPO充填ボンベ58の下部液相部58aに通気し、アルゴンガスのバブリング作用により、液体POを気化させ、POガスをアルゴンガスとともに上部気相部58bに溜める。
【0010】PO充填ボンベ58の上部気相部58bに溜まるPOガスとアルゴンガスとの混合ガス(POガス濃度は一定)を、PO充填ボンベ58の上部気相部58bから混合ガス導入管64を介して燻蒸場所57に供給する。このとき、燻蒸場所57内におけるPOガス濃度が2体積%以下になるように、混合ガスの供給量等を調整する。このようにして、燻蒸場所57を所定時間燻蒸することにより、燻蒸場所57内の加害生物を殺滅し、燻蒸処理を終了する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のバブリング法では、PO充填ボンベ58自体を、大きな温水槽62に溜めた温水62a中に浸けるようにしているため、設備が大型化する。しかも、PO充填ボンベ58の表面から必要な気化潜熱を伝熱するには、PO充填ボンベ58の伝熱面積が小さく、1分間当りの最大投薬量は0.1kg/台が限界である。文化施設等での使用燻蒸剤量は燻蒸場所57の空間容積1m3当り50gであり、PO量は100kgから1500kgになるため、多くの投薬装置を使用する必要がある。
【0012】本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、設備が小型で、文化施設等の広い燻蒸場所に対応することのできる燻蒸方法およびそれに用いる燻蒸装置の提供をその目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は、不活性ガス供給源と、液体酸化プロピレンが充填された圧力容器とを準備し、不活性ガス供給源から供給される不活性ガスと圧力容器から供給される液体酸化プロピレンとを予め気液混合器に導入して混合させ、この気液混合器で混合させて得られた気液混合体を気化器に導入して気化させ、この気化させて得られた混合ガスを燻蒸場所に導入するようにした燻蒸方法を第1の要旨とし、不活性ガス供給源と、液体酸化プロピレンが充填された圧力容器と、不活性ガス供給源から供給される不活性ガスと圧力容器から供給される液体酸化プロピレンとを予め混合させる気液混合器と、この気液混合器で混合させて得られた気液混合体を導入し気化する気化器と、この気化器で気化されて得られた混合ガスを燻蒸場所に導入する導入管とを備えている燻蒸装置を第2の要旨とする。
【0014】すなわち、本発明の燻蒸方法は、不活性ガス供給源と、液体酸化プロピレンが充填された圧力容器とを準備しておき、そして、不活性ガス供給源から供給される不活性ガスと圧力容器から供給される液体POとを予め気液混合器に導入して混合させ、この気液混合器で混合させて得られた気液混合体を気化器に導入して気化させ、この気化させて得られた混合ガスを燻蒸場所に導入するようにしている。このように、本発明の燻蒸方法は、気液混合器と気化器とを用い、まず、上記気液混合器で、導不活性ガス供給源から供給される不活性ガスと圧力容器から供給される液体POとを予め混合させておき、つぎに、この気液混合体を気化器で気化させたのち、この混合ガスを燻蒸場所に導入するようにしている。したがって、本発明の燻蒸方法のように、気化器を用いて気化するものでは、この気化器を小型に作製することができ、従来のバブリング法のように、PO充填ボンベ58を温水槽62の温水62a中に浸けるものに比べ、設備を小型化することができる。しかも、従来のバブリング法のように、PO充填ボンベ58を温水槽62の温水62aで加温するものに比べ、気化器を用いるほうが、気化熱の伝熱量が多く、気化速度が速いため、投薬時間を短縮することができ、投薬量が多くなる。したがって、文化施設等の広い燻蒸場所の燻蒸にも対応することができる。また、本発明の燻蒸装置を用いると、上記優れた効果を有する燻蒸方法を効率よく行うことができる。
【0015】本発明の燻蒸方法において、上記液体POが充填された圧力容器を計量手段で常時計量し、液体POの残存量を知るようにした場合には、また、本発明の燻蒸装置において、上記液体POが充填された圧力容器を常時計量する計量手段を設け、この計量手段の計量結果から液体POの残存量を知るように構成した場合には、従来のバブリング法のように、PO充填ボンベ58を温水槽62の温水62aに浸けるものでは、これを温水槽62内に固定して投薬する必要があり、投薬前後のPO充填ボンベ58内の液体POの充填量,残存量の把握が困難であるのに比べ、本発明では、投薬前後の圧力容器を計量して、圧力容器内の液体POの充填量,残存量を瞬時に知ることができる。
【0016】本発明の燻蒸方法において、上記気化器の温水槽内でヒーターに加熱された温水中に、気液混合体を通す管体の少なくとも一部を配設し、上記温水で気液混合体を加温することにより気化させるようにした場合には、また、本発明の燻蒸装置において、上記気化器を、温水を溜めた温水槽と、上記温水を加熱するヒーターと、気液混合体を通す管体とで構成し、この管体の少なくとも一部を温水中に配設した場合には、従来のバブリング法における、PO充填ボンベ58を浸ける温水槽62に比べ、気化器の温水槽の温水量を多くすることができ、その分保有熱量が多くなる。また、その分気化速度が速くなるため、投薬時間を短縮することができ、投薬量が非常に多くなる。
【0017】本発明の燻蒸方法において、上記燻蒸場所において、導入した混合ガスを希釈機で希釈するようにした場合には、また、本発明の燻蒸装置において、上記燻蒸場所に、上記導入管から導入された混合ガスを希釈する希釈機を設けた場合には、上記燻蒸場所に配設した希釈機で、混合ガス中のPOガスの濃度を所定の濃度に希釈することができる。
【0018】本発明において、上記気化器で得られた混合ガス中のPOガスの濃度を37〜99体積%の高濃度に設定してPOガスの燃焼域から外し、上記希釈機内において、POガスが高濃度で導入された混合ガス中のPOガスの濃度を0.5〜2.5体積%の低濃度に希釈して再度POガスの燃焼域から外すようにした場合には、また、本発明の燻蒸装置において、上記気化器で得られた混合ガス中のPOガスの濃度が37〜99体積%の高濃度であり、上記希釈機内において、ここに導入管を介して導入された混合ガス中のPOガスの濃度を0.5〜2.5体積%の低濃度になるまで希釈するように構成した場合には、気化器での気化時にも、また、気化器を経たのち希釈機に導入されるまでの導入管においても、混合ガス中のPOガスの濃度は燃焼域から外れており、安全である。また、希釈機内で希釈された混合ガス(希釈ガス)中のPOガスの濃度も燃焼域から外れており、これを燻蒸場所に供給しても、安全である。しかも、混合ガス中のPOガスの濃度が燃焼域内にあるときは、混合ガスは希釈機内に存在するため、希釈機内での発火等の恐れがないようにすることで、希釈機内でも安全が確保される。なお、本発明では、混合ガス中のPOガスの濃度を37〜99体積%の高濃度に設定しているが、より好ましくは、55〜65体積%の高濃度に設定することができる。上記POガスの濃度が55〜65体積%である場合には、混合ガスの燃焼域が短く(燃焼域を通過する時間が短く)、非常に安全である。上記POガスの濃度が55体積%を下回り、もしくは、65体積%を上回ると、上記燃焼域が長くなり、安全性にやや劣る。なお、上記燃焼域が一番短くなる(燃焼域を通過する時間が一番短くなる)のは、上記POガスの濃度が60体積%のときであり、最も安全である。
【0019】本発明の燻蒸方法および燻蒸装置において、不活性ガスがアルゴンガスである場合には、アルゴンガスが完全な不活性ガスであるため、窒素等とは異なり、文化財等に用いられている染料や顔料等を侵す心配がないという利点を有する。しかも、アルゴンガスには、それ自体弱い殺虫作用があり、POガスと組み合わせることにより、優れた殺虫,殺菌効果が得られる。また、アルゴンガスは、比重が空気より重たいため、空気より比重の軽いPOガスと所定割合で混合させることにより、比重を空気より重く設定し、燻蒸場所に隅々までゆきわたせることができる。なお、本発明の燻蒸方法および燻蒸装置では、不活性ガスをアルゴンガスに限定するものではなく、アルゴンガスに代えて、窒素等の各種不活性ガスを用いることができる。また、本発明では、不活性ガスとして、例えば、炭酸ガス,フロンHFC134aをも含ませる意味である。
【0020】本発明の燻蒸装置において、上記希釈機のケース本体内に、導入管に接続する混合ガス流入管と、ファンとを設け、上記混合ガス流入管にガス出口を形成し、上記ファンの回転により、上記ケース本体に形成されたガス流入口から上記希釈機外のガスを取り入れ、この取り入れたガスで、上記混合ガス流入管のガス出口から流出する混合ガスを希釈し、上記ケース本体に形成されたガス流出口から流出するように構成した場合には、上記希釈機のケース本体内に導入管,混合ガス流入管,そのガス出口を介して導入された混合ガスを、希釈機外のガス(すなわち、燻蒸場所に存在するガス)で希釈することができる。このため、従来のバブリング法のように、POガスを大量のアルゴンガスで希釈するものに比べ、アルゴンガスの使用量を大きく減少させることができる。また、従来のバブリング法のように、密閉された燻蒸場所57に必要以上の混合ガスを導入すると、燻蒸場所57で圧力上昇があり、一般の文化施設等のように、密閉度が完全ではない場合には、ガス漏洩を起こすおそれがあるのに比べ、アルゴンガスの使用量の減少により、燻蒸場所からの混合ガスのガス漏洩が減少する。
【0021】本発明の燻蒸装置において、上記気液混合器に筒状部を設け、不活性ガス供給源から供給される不活性ガスの導入口を上記筒状部の周壁に穿設し、圧力容器から供給される液体POを上記筒状部に導入する液導入管を、上記筒状部の周壁を貫通させて内部に突入させるとともに、この内部の長手方向に沿って配設し、上記液導入管から流出する液体POを上記導入口から流出する不活性ガスで気液混合させてミスト状の気液混合体とするようにした場合には、簡単な構造で、ミスト状の気液混合体を得ることができる。
【0022】また、本発明の燻蒸装置において、上記圧力容器の内部に、液体POからなる下部液相部と、この液相部の上方空間からなる上部気相部とを設け、この上部気相部に不活性ガス供給源から不活性ガスを供給するように構成した場合には、不活性ガス供給源の不活性ガスの圧力を利用し、液体POを圧力容器外に押し出すことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0024】図1は本発明の燻蒸装置の一実施の形態を示している。図において、1は内部にアルゴンガスが圧縮された状態で充填されたアルゴンガスボンベ(不活性ガス供給源)である。2はアルゴンガス取り出し管3に設けた第1減圧弁であり、アルゴンガスボンベ1から取り出したアルゴンガスの圧力(この実施の形態では、14.7MPa)を所定の圧力(この実施の形態では、0.3MPa)に減圧する作用をする。4はアルゴンガス取り出し管3から取り出したアルゴンガスを気液混合器5に導入するアルゴンガス導入管であり、上流側に開閉弁6が、下流側に、アルゴンガスの流量を一定に(この実施の形態では、240L/minに)調節するアルゴンガス流量計7(開閉弁7aを有している)がそれぞれ取り付けられている。
【0025】8は内部に液体POが封入されたPO充填ボンベ(圧力容器)であり、液体POからなる下部液相部8aと、この下部液相部8aの上方空間からなる上部気相部8bとに分かれている。9,10はアルゴンガス取り出し管3から取り出したアルゴンガスをPO充填ボンベ8に導入する第1および第2の加圧用アルゴンガス導入管であり、第1加圧用アルゴンガス導入管9には、上流側に開閉弁11が、下流側に第2減圧弁12がそれぞれ取り付けられている。この第2減圧弁12は、第1減圧弁2で減圧されたアルゴンガスをさらに所定の圧力(この実施の形態では、0.2MPa)に減圧する作用をする。また、第2加圧用アルゴンガス導入管10は開閉弁13を有し、PO充填ボンベ8の上部気相部8bまで延びている。そして、第2減圧弁12で減圧された上記所定の圧力にPO充填ボンベ8の内圧(上部気相部8bの圧力)を保つようにしている。
【0026】14は電子計量器(計量手段)であり、PO充填ボンベ8を載置してその重量を計量する計量用台部14aと、その計量結果を表示する表示部14bとを備えている。そして、投薬前後の液体POの充填量や残存量を知りたい場合には、計量用台部14aで計量したPO充填ボンベ8の重量から、PO充填ボンベ8内に充填された液体POの重量(上記充填量や残存量)を算出することを行う。
【0027】16,17はPO充填ボンベ8の下部液相部8aの液体POを気液混合器5に導入する第1および第2の液導入管であり、第1液導入管16は開閉弁18を有し、PO充填ボンベ8内の底部から延びている。第2液導入管17には、液体POの流量を一定に(この実施の形態では、1L/minに)調節する液体PO流量計19(開閉弁19aを有している)が取り付けられている。
【0028】上記気液混合器5は、図2に示すように、第1筒状部21と、この第1筒状部21の一端開口部(図面では、左端開口部)に形成されたねじ部21aにねじ止めされる第2筒状部22とを備えており、第1筒状部21の他端開口部(図示せず)にミスト導出管23(図1参照)が接続されている。また、第2筒状部22には、その周側壁にアルゴンガスの導入口22aが穿設されており、上記アルゴンガス導入管4の先端開口部4aが取り付けられている。また、第2液導入管17の先端部分17aが第2筒状部22の左端壁22bを貫通して第2筒状部22の内部に突入し、この内部で第2筒状部22の長手方向に沿って延びている。この第2液導入管17の先端部分17aは、アルゴンガスの導入口22aの上流側で開口している。そして、この導入口22aから流出するアルゴンガスは上記先端部分17aに沿って第2筒状部22内を上流側に流れ(図2の矢印参照)、上記先端部分17aから流出する液体POと気液混合する。このとき、上記両減圧弁2,12の減圧差により、アルゴンガスの勢いのほうが液体POの勢いより強く、液体POがアルゴンガスによりミスト状にされ、このミスト状の気液混合体がミスト導出管23から導出される。図において、22cは第1筒状部21のねじ部21aにねじ結合する第2筒状部22のねじ部である。
【0029】25はミスト導出管23により導出されたミスト状の気液混合体を気化する温水間接加熱方式の気化器であり、温水26aを溜める温水槽26と、温水26aを加熱する電気式ヒーター27と、上記温水槽26の温水26aに浸す気化用管状部(管体)28と、温度調節計29とからなり、電気式ヒーター27で温水26aの温度を80℃程度(従来のバブリング法のように、PO濃度を制御する必要がないため、従来のバブリング法より高温に設定できる)に設定している。また、気化用管状部28は、その一端開口部がミスト導出管23に接続しているとともに、その他端開口部が、後述する希釈機32に接続する混合ガス導入管30に接続している。そして、気液混合器5で得られたミスト状の気液混合体をミスト導出管23を介して気化用管状部28に導入し、この気化用管状部28を通過する間に温水26aでミスト状の気液混合体を加温して完全に気化し、混合ガス導入管30に供給するようにしている。
【0030】32は燻蒸場所(燻蒸すべき空間)31に配設された希釈機であり、混合ガス導入管30を介して導入された混合ガスを希釈する作用をする。この希釈機32は、図3に示すように、筒状のケース本体33と、このケース本体33内に配設される環状管(混合ガス流入管)34と、上記ケース本体33内で環状管34の下方に配設される送風ファン35(ファン空気量70m3 /min)とを備えており、上記環状管34が混合ガス導入管30に接続している。また、上記ケース本体33には、その周側壁の下部に複数個(図面では、2個しか図示せず)のガス流入口33aが形成されており、その上端開口部(ガス流出口)33bには、その上方に配設された屋根36が複数本(図面では、2本しか図示せず)の支受棒36aで支受されている。また、環状管34には、その上面に多数の混合ガス出口34aが穿設されている。図において、37はケース本体33の下端開口部に密閉状に設けた底板であり、38はケース本体33のガス流入口33aから取り入れたガスを送風ファン35側に案内する筒状ガイド部である。そして、上記送風ファン35の回転により、ガス流入口33aからケース本体33内にケース本体33外のガスを取り入れて上方に送り、このガスで、環状管34の混合ガス出口34aから流出する混合ガスを希釈して上端開口部33bから流出し、屋根36に当てたのち燻蒸場所31に送り出すようにしている。
【0031】40は燻蒸場所31の圧力を所定の圧力(この実施の形態では、常圧)に保つ圧力調節手段であり、内部に充填した空気により膨張しているエアーバッグ41と、エアーバッグ41内の空気を燻蒸場所31外に排出する排気ファン42(排気速度1m3 /min)と、燻蒸場所31の圧力を検出しこの検出結果により排気ファン42を作動制御する微圧計43とからなる。そして、混合ガスの導入に伴い、燻蒸場所31の圧力が次第に上昇すると、この圧力が上記所定の圧力以上に上昇しないように、排気ファン42を作動させ、エアーバッグ41内の空気を外部に徐々に放出する。これにより、燻蒸場所31の実質的な燻蒸容積が低減し燻蒸場所31の圧力が低下し、上記所定の圧力に調整される。そして、燻蒸場所31の圧力が上記所定の圧力となれば、これを微圧計43で検出して排気ファン42の作動を停止し、エアーバッグ41からの空気の放出を停止する。図1において、44は燻蒸処理後にアルゴンガスボンベ1のアルゴンガスを第2液導入管17,気液混合器5,ミスト導出管23,気化器25の気化用管状部28,導入管30に供給してこれらを清掃する開閉弁45付き連結管であり、第1加圧用アルゴンガス導入管9と第2液導入管17とを連結している。
【0032】上記の燻蒸装置を用い、例えばつぎのようにして燻蒸を行うことができる。すなわち、まず、開閉弁6,7aを開弁し、アルゴンガスボンベ1内のアルゴンガスをアルゴンガス取り出し管3,アルゴンガス導入管4を介して気液混合器5に導入する。このとき、アルゴンガス導入管4では、アルゴンガス流量計7によりアルゴンガスの流量が一定に調節される。また、開閉弁11,13,18を開弁し、開閉弁45を閉弁し、アルゴンガスボンベ1内のアルゴンガスをアルゴンガス取り出し管3,両加圧用アルゴンガス導入管9,10を介してPO充填ボンベ8の上部気相部8bに導入し、これにより、PO充填ボンベ8の下部液相部8aの液体POを第1液導入管16を介して液体PO流量計19に導入する。つぎに、開閉弁19aを開き、液体PO流量計19により一定流量に調節された液体POを気液混合器5に導入する。この気液混合器5では、アルゴンガスと液体POとが気液混合してミスト状の気液混合体となり、ミスト導出管23から導出される。この導出されたミスト状の気液混合体は気化器25の気化用管状部28に導入され、ここを通過する間に温水26aで完全に気化される。この実施の形態では、気化器25で気化されて得られる混合ガス中のPOガス濃度が60体積%、アルゴンガス濃度が40体積%になるように調節されている。また、混合ガスの流量が584L/minとなるように調節されている。つぎに、上記混合ガスを混合ガス導入管30を介して希釈機32に導出し、希釈機32内で混合ガス中のPOガス濃度を0.5〜2.5体積%になるまで希釈してから、希釈機32外に送り出す。このようにして、燻蒸場所31を所定時間燻蒸することにより、燻蒸場所31内の加害生物を殺滅し、燻蒸処理を終了する。なお、この実施の形態では、POガス:アルゴンガス=6:4であり、アルゴンガスの使用量が、従来のバブリング法(POガス:アルゴンガス=2.5:97.5)と比べ、大きく減少している。
【0033】上記のように、この実施の形態では、気液混合器5と気化器25とを用いて、POガスとアルゴンガスとの混合ガスを得るようにしており、設備を小型化することができる。しかも、気化器25は、気化熱の伝熱量が多く、気化速度が速いため、投薬量が多くなり、文化施設等の広い燻蒸場所の燻蒸にも対応することができる。しかも、上記気化器25で得られた混合ガス中のPOガスの濃度を60体積%の高濃度に設定し、上記希釈機32内では混合ガス中のPOガスの濃度を0.5〜2.5体積%に希釈しているため、気化器25での気化時にも、また、導入管30においても、混合ガス中のPOガスの濃度は燃焼域から外れており、安全である。また、希釈機32内でも、安全である。しかも、気液混合器5は簡単な構造である。さらに、アルゴンガスボンベ1内のアルゴンガスを利用してPO充填ボンベ8内の液体POを気液混合器5に導入しており、設備が簡略化されている。
【0034】図4は本発明の燻蒸装置に用いる圧力調節手段の変形例を示している。この例では、圧力調節手段は、燻蒸場所31のガスを燻蒸場所31外に排気して燻蒸場所31の圧力を所定の圧力(この実施の形態では、常圧)に保つためのものであり、開閉弁47と、フィルター48と、排気ファン49と、燻蒸場所31の圧力を検出しこの検出結果により開閉弁47,排気ファン49を作動制御する微圧計(図示せず)とを備えている。この構成において、混合ガスの導入に伴い、燻蒸場所31の圧力が次第に上昇すると、この圧力が上記所定の圧力以上に上昇しないように、開閉弁47を開弁し、排気ファン49を作動させ、燻蒸場所31の空気を外部に徐々に放出し、燻蒸場所31の圧力を上記所定の圧力に調整する。そして、燻蒸場所31の圧力が上記所定の圧力となれば、これを微圧計で検出して開閉弁47を閉弁し、排気ファン49の作動を停止し、燻蒸場所31からの空気の放出を停止する。
【0035】なお、上記実施の形態では、アルゴンガス供給源として、アルゴンガスが高圧で充填されたアルゴンガスボンベ1を用いているが、これに限定するものではなく、液体アルゴンが充填されたボンベ(LGC)を用い、これに蒸発器を接続して液体アルゴンを気化させて用いるようにしてもよい。
【0036】また、上記実施の形態では、アルゴンガスボンベ1のアルゴンガスをPO充填ボンベ8の上部気相部8bに導入しているが、上記アルゴンガスボンベ1以外のボンベを用いてアルゴンガスをPO充填ボンベ8の上部気相部8bに導入してもよいし、アルゴンガス以外のガスを導入してもよい。また、PO充填ボンベ8の下部液相部8aの液体POを第1液導入管16に送り出すことができる手段であれば、どのような手段を用いてもよい。
【0037】また、図1に示す燻蒸装置とともに、公知の乾式除害装置(VCM)や、触媒式排ガス処理装置(VOC−ABATOR)を組み合わせることにより、燻蒸処理後の排ガス処理を併せて行うようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明の燻蒸方法によれば、気化器を用いているため、この気化器を小型に作製することができ、従来のバブリング法のように、PO充填ボンベ58を温水槽62の温水62a中に浸けるものに比べ、設備を小型化することができる。しかも、従来のバブリング法のように、PO充填ボンベ58を温水槽62の温水62aで加温するものに比べ、気化器を用いるほうが、気化熱の伝熱量が多く、気化速度が速いため、投薬時間を短縮することができ、投薬量が多くなる。したがって、文化施設等の広い燻蒸場所の燻蒸にも対応することができる。また、本発明の燻蒸装置を用いると、上記優れた効果を有する燻蒸方法を効率よく行うことができる。
【0039】本発明の燻蒸方法において、上記液体POが充填された圧力容器を計量手段で常時計量し、液体POの残存量を知るようにした場合には、また、本発明の燻蒸装置において、上記液体POが充填された圧力容器を常時計量する計量手段を設け、この計量手段の計量結果から液体POの残存量を知るように構成した場合には、従来のバブリング法のように、PO充填ボンベ58を温水槽62の温水62aに浸けるものでは、これを温水槽62内に固定して投薬する必要があり、投薬前後のPO充填ボンベ58内の液体POの充填量,残存量の把握が困難であるのに比べ、本発明では、投薬前後の圧力容器を計量して、圧力容器内の液体POの充填量,残存量を瞬時に知ることができる。
【0040】本発明の燻蒸方法において、上記気化器の温水槽内でヒーターに加熱された温水中に、気液混合体を通す管体の少なくとも一部を配設し、上記温水で気液混合体を加温することにより気化させるようにした場合には、また、本発明の燻蒸装置において、上記気化器を、温水を溜めた温水槽と、上記温水を加熱するヒーターと、気液混合体を通す管体とで構成し、この管体の少なくとも一部を温水中に配設した場合には、従来のバブリング法における、PO充填ボンベ58を浸ける温水槽62に比べ、気化器の温水槽の温水量を多くすることができ、その分保有熱量が多くなる。また、その分気化速度が速くなるため、投薬時間を短縮することができ、投薬量が非常に多くなる。
【0041】本発明の燻蒸方法において、上記燻蒸場所において、導入した混合ガスを希釈機で希釈するようにした場合には、また、本発明の燻蒸装置において、上記燻蒸場所に、上記導入管から導入された混合ガスを希釈する希釈機を設けた場合には、上記燻蒸場所に配設した希釈機で、混合ガス中のPOガスの濃度を所定の濃度に希釈することができる。
【0042】本発明において、上記気化器で得られた混合ガス中のPOガスの濃度を37〜99体積%の高濃度に設定してPOガスの燃焼域から外し、上記希釈機内において、POガスが高濃度で導入された混合ガス中のPOガスの濃度を0.5〜2.5体積%の低濃度に希釈して再度POガスの燃焼域から外すようにした場合には、また、本発明の燻蒸装置において、上記気化器で得られた混合ガス中のPOガスの濃度が37〜99体積%の高濃度であり、上記希釈機内において、ここに導入管を介して導入された混合ガス中のPOガスの濃度を0.5〜2.5体積%の低濃度になるまで希釈するように構成した場合には、気化器での気化時にも、また、気化器を経たのち希釈機に導入されるまでの導入管においても、混合ガス中のPOガスの濃度は燃焼域から外れており、安全である。また、希釈機内で希釈された混合ガス(希釈ガス)中のPOガスの濃度も燃焼域から外れており、これを燻蒸場所に供給しても、安全である。しかも、混合ガス中のPOガスの濃度が燃焼域内にあるときは、混合ガスは希釈機内に存在するため、希釈機内での発火等の恐れがないようにすることで、希釈機内でも安全が確保される。なお、本発明では、混合ガス中のPOガスの濃度を37〜99体積%の高濃度に設定しているが、より好ましくは、55〜65体積%の高濃度に設定することができる。上記POガスの濃度が55〜65体積%である場合には、混合ガスの燃焼域が短く(燃焼域を通過する時間が短く)、非常に安全である。上記POガスの濃度が55体積%を下回り、もしくは、65体積%を上回ると、上記燃焼域が長くなり、安全性にやや劣る。なお、上記燃焼域が一番短くなる(燃焼域を通過する時間が一番短くなる)のは、上記POガスの濃度が60体積%のときであり、最も安全である。
【0043】本発明の燻蒸方法および燻蒸装置において、不活性ガスがアルゴンガスである場合には、アルゴンガスが完全な不活性ガスであるため、窒素等とは異なり、文化財等に用いられている染料や顔料等を侵す心配がないという利点を有する。しかも、アルゴンガスには、それ自体弱い殺虫作用があり、POガスと組み合わせることにより、優れた殺虫,殺菌効果が得られる。また、アルゴンガスは、比重が空気より重たいため、空気より比重の軽いPOガスと所定割合で混合させることにより、比重を空気より重く設定し、燻蒸場所に隅々までゆきわたせることができる。
【0044】本発明の燻蒸装置において、上記希釈機のケース本体内に、導入管に接続する混合ガス流入管と、ファンとを設け、上記混合ガス流入管にガス出口を形成し、上記ファンの回転により、上記ケース本体に形成されたガス流入口から上記希釈機外のガスを取り入れ、この取り入れたガスで、上記混合ガス流入管のガス出口から流出する混合ガスを希釈し、上記ケース本体に形成されたガス流出口から流出するように構成した場合には、上記希釈機のケース本体内に導入管,混合ガス流入管,そのガス出口を介して導入された混合ガスを、希釈機外のガス(すなわち、燻蒸場所に存在するガス)で希釈することができる。このため、従来のバブリング法のように、POガスを大量のアルゴンガスで希釈するものに比べ、アルゴンガスの使用量を大きく減少させることができる。また、従来のバブリング法のように、密閉された燻蒸場所57に必要以上の混合ガスを導入すると、燻蒸場所57で圧力上昇があり、一般の文化施設等のように、密閉度が完全ではない場合には、ガス漏洩を起こすおそれがあるのに比べ、アルゴンガスの使用量の減少により、燻蒸場所からの混合ガスのガス漏洩が減少する。
【0045】本発明の燻蒸装置において、上記気液混合器に筒状部を設け、不活性ガス供給源から供給される不活性ガスの導入口を上記筒状部の周壁に穿設し、圧力容器から供給される液体POを上記筒状部に導入する液導入管を、上記筒状部の周壁を貫通させて内部に突入させるとともに、この内部の長手方向に沿って配設し、上記液導入管から流出する液体POを上記導入口から流出する不活性ガスで気液混合させてミスト状の気液混合体とするようにした場合には、簡単な構造で、ミスト状の気液混合体を得ることができる。
【0046】また、本発明の燻蒸装置において、上記圧力容器の内部に、液体POからなる下部液相部と、この液相部の上方空間からなる上部気相部とを設け、この上部気相部に不活性ガス供給源から不活性ガスを供給するように構成した場合には、不活性ガス供給源の不活性ガスの圧力を利用し、液体POを圧力容器外に押し出すことができる。
【出願人】 【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
【住所又は居所】北海道札幌市中央区北3条西1丁目2番地
【識別番号】592001595
【氏名又は名称】関東港業株式会社
【住所又は居所】神奈川県横浜市中区山下町26番地の5
【出願日】 平成14年2月5日(2002.2.5)
【代理人】 【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
【公開番号】 特開2003−225042(P2003−225042A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−28467(P2002−28467)