トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業

【発明の名称】 ミジンコの培養方法
【発明者】 【氏名】比嘉 照夫

【氏名】星野 忠義

【氏名】岡田 正義

【要約】 【課題】飼料または培養水中に有用微生物群(EM菌)を混入することにより、良好なミジンコの成育環境を維持して効率良く培養を行なうミジンコの培養方法を提供する。

【解決手段】水槽の培養水にミジンコの飼料、有用微生物群(EM菌)、塩を投入して曝気を行ない、ミジンコの成育環境を整えた後、種ミジンコを投入し、種ミジンコを投入した後、所定量の飼料及び有用微生物群(EM菌)を投入しながら培養を行ない、所定期間経過した後にミジンコの収穫を行なう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ミジンコの飼料に有用微生物群(EM菌)を混合して発酵させ、その発酵生成物を飼料として与えることを特徴とするミジンコの培養方法。
【請求項2】 水槽の培養水にミジンコの飼料及び有用微生物群(EM菌)を投入し、有用微生物群(EM菌)の作用によりミジンコの飼料を培養水中で発酵させ、その発酵生成物を飼料とすることを特徴とするミジンコの培養方法。
【請求項3】 水槽の培養水にミジンコの飼料、有用微生物群(EM菌)、塩を投入して曝気を行ない、ミジンコの成育環境を整えた後、種ミジンコを投入し、種ミジンコを投入した後、所定量の飼料及び有用微生物群(EM菌)を投入しながら培養を行ない、所定期間経過した後にミジンコの収穫を行なうことを特徴とするミジンコの培養方法。
【請求項4】 1日目に培養水中に有用微生物群(EM菌)を投入して曝気を行い、2日目にミジンコの飼料及び塩を投入して曝気を行い、3日目にさらに有用微生物群(EM菌)を投入して曝気を行い、4日目に種ミジンコを投入し、5〜10日目には槽底の清掃を行いながら飼料及び有用微生物群(EM菌)を投入して増殖を行い、11〜17日目には飼料及び有用微生物群(EM菌)を投入しながら、毎日所定量のミジンコを収穫することを特徴とするミジンコの培養方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はミジンコの培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水産業の現場では、ミジンコ等の動物性プランクトンはコイや金魚等の孵化稚魚の生き餌として利用されている。これらのミジンコは鶏糞、油粕、醤油粕等の有機肥料を施肥又は給餌する事により培養されている。ミジンコの飼料にはパン酵母が有効であることが分かっており、最近では単細胞緑藻類のクロレラ等が餌として使用されている。ミジンコの中でも、タマミジンコは増殖率が高く、比較的容易に培養が可能なことから広く養殖現場で培養されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のミジンコの培養においては(広い水面と大量の水を必要とし、その上成育が天候によって左右されるので)良好な成育環境を維持するのが困難であり、長期に渡って、安定した培養量を得るのが困難であるという問題があった。また、水槽によるバッチ式の培養では培養期間の経過と共にアンモニア濃度が上昇し、培養を阻害するという問題があった。本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、飼料または培養水中に有用微生物群(EM菌)を混入することにより、良好なミジンコの成育環境を維持して効率良く培養を行なうミジンコの培養方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための手段として本発明請求項1記載のミジンコの培養方法では、ミジンコの飼料に有用微生物群(EM菌)を混合して発酵させ、その発酵生成物を飼料として与える方法とした。
【0005】請求項2記載のミジンコの培養方法では、水槽の培養水にミジンコの飼料及び有用微生物群(EM菌)を投入し、有用微生物群(EM菌)の作用によりミジンコの飼料を培養水中で発酵させ、その発酵生成物を飼料とする。
【0006】請求項3記載のミジンコの培養方法では、水槽の培養水にミジンコの飼料、有用微生物群(EM菌)、塩を投入して曝気を行ない、ミジンコの成育環境を整えた後、種ミジンコを投入し、種ミジンコを投入した後、所定量の飼料及び有用微生物群(EM菌)を投入しながら培養を行ない、所定期間経過した後にミジンコの収穫を行なう方法とした。
【0007】請求項4記載のミジンコの培養方法では、1日目に培養水中に有用微生物群(EM菌)を投入して曝気を行い、2日目にミジンコの飼料及び塩を投入して曝気を行い、3日目にさらに有用微生物群(EM菌)を投入して曝気を行い、4日目に種ミジンコを投入し、5〜10日目には槽底の清掃を行いながら飼料及び有用微生物群(EM菌)を投入して増殖を行い、11〜17日目には飼料及び有用微生物群(EM菌)を投入しながら、毎日所定量のミジンコを収穫する方法とした。
【0008】
【発明の実施の形態】主に淡水産の動物プランクトンの小型甲殻類のうち、枝角目を総称してミジンコと呼んでいる。これらミジンコは池沼など止水域に広く生息し、多くの種がいるが、古くからタマミジンコ(Moina macrocopa)は養魚家に利用されている。ミジンコは自然界では春〜夏に増殖し、秋〜冬の間は休眠卵で過ごして翌春を待ち、春以降、水質環境が良く、食物(餌)の供給が適当であれば、単為生殖(雌のみ)で増殖する。産出された子ミジンコは3〜4日で親になり、次代の仔を生む。本発明はこれらのミジンコに、有用微生物群(EM菌)を用いて生成したバクテリアフロック(バクテリアのかたまり)を飼料として与え、培養するものである。培養槽では塩ビ管を通してエアレーションを行い、ミジンコへの物理的刺激を極力少なくした状態で、ゆっくりとした同一方向の水流を作り、培養槽内にまんべんなく酸素が供給できるようにする。また、ミジンコの生理活性維持のため、培養水に塩(天然塩)を添加する。培養水のアンモニア濃度上昇を防ぐため、培養槽に循環濾過システムを設置し、底掃除を行う。
【0009】本発明で使用する有用微生物群(EM菌)とは、有用微生物群の英語名 Effectiv Microorganisms(エフェクティブ・マイクロオーガニズムス)の頭文字からなる単語であり、安全で有用な微生物を80余種共生させた微生物資材である。このEM菌は土中や水中の微生物相を生き物にとって好ましい状態へと環境を変える性質を有している。これらEM菌は光合成細菌、放線菌、酵母菌、乳酸菌、糸状菌等を含み、中にはアンモニアを分解して無害化する菌も含まれている。このEM菌はボトル詰めされて販売され、園芸用品店等で入手可能であり、一例としてサイオンEM1号(沖縄県:サン興産業社製)、EM−1(静岡県:EM研究所製)を利用することができる。
【0010】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。培養槽は1.8m×3.6m×0.6mの木枠のビニ−ルシ−ト張りの水槽で、水量2.6tを使用する。通気システムは直径100mmの塩ビ管の内部にエアーストンを入れ、上部にエルボを取付けた散気管を培養槽の4隅に設置し、塩ビ管下部から流入する培養水に酸素の供給を行なうと共に、エルボの一部を水面上に出し、その出口の方向を調整する事により、弱い右回りの水流を作る。濾過槽は45リットルのゴミバケツを設置し、ろ材はバケツの下部に木炭、上部にザルに入れたゼオライトの2層構造とした。培養水はバケツの側面に取付けた直径50mmの塩ビ管のエアーリフトで常時くみ上げ、バケツ下面に空けた開口部より培養槽の水流と同方向に排水する。なお、本培養システムでは微生物生物膜の発生が顕著なため、通気システム、濾過槽共に、定期的に清掃する必要がある。本技術のミジンコ培養では、上記システムを用いることにより、既存の飼育施設・飼育タンクのほとんどが使用できる。
【0011】上記培養槽を使用して以下の手順により培養を行なう。
■初日新規培養水に有用微生物群溶液(EM菌)を培養水量の1/1000(0.1重量%)量添加し、酸素供給のため、一晩曝気を行なう。このEM菌としては前述したEM1号(沖縄県:サン興産業社製)、EM−1(静岡県:EM研究所製)を使用する。添加量は水温、水質等によって多少の変更は可能である。尚、有用微生物群(EM菌)の添加量としては、ミジンコの成育環境を阻害しない範囲で培養槽内でEM菌を繁殖させる。
【0012】■2日目有用微生物群を応用して発酵させたミジンコ用飼料を450g/tの割合で培養水に添加し、有用微生物群溶液を培養水量の1/1000(0.1重量%)量、塩を培養水量の9/1000(0.09重量%)量添加する。前記有用微生物群を応用して開発したミジンコ用飼料とは、鶏糞、醤油粕、油粕等の有機物にEM菌を混合して数日間発酵させたものであり、以下この飼料を使用する。この発酵処理としては、有機物に適量の液状のEM菌を混合して攪拌しながら数日間発酵させる方法等による。尚、本実施例では発酵処理した飼料を使用するが、発酵処理のなされていない飼料を使用する場合であっても培養の効果は得ることができる。次に、曝気を良く行い朝夕の1日2回以上槽底に沈殿した飼料を攪拌し、培養水への成分溶出と有用微生物群による発酵・消化を促進する。なお、添加する全てのミジンコ飼料はそれぞれストッキング等の網材に入れ、培養水中で揉み出しにより溶出する。これよって飼料が細分化されて培養水中に拡散する。
【0013】■3日目飼料・塩の添加により微生物が大量に繁殖する。朝夕の2回以上、槽底の攪拌を行なう。有用微生物群溶液を培養水量の1/5000(0.02重量%)量添加する。
【0014】■4日目培養水が懸濁状態となる。ミジンコの培養に適した培養水ができた段階で、種ミジンコ湿重量約100g/2.6t(種が多いと立ち上がりが早い)を培養槽に移植し有用微生物群溶液を培養水量の1/5000(0.02重量%)量添加し、朝夕の2回以上、槽底の攪拌を行なう。前記ミジンコの湿重量100gには親世代、子世代の混合が約50万個体含まれている。尚、種ミジンコの添加量は水温、水質等によって変更可能である。
【0015】■5〜10日目6日目頃から、培養水の懸濁状態を見ながら、ミジンコ用飼料を毎日、150g/tの割合で培養水に添加する。有用微生物群溶液は毎日、培養水量の1/5000(0.02重量%)量添加し、朝夕の2回以上、槽底の攪拌を行なう。槽底の沈殿物はある程度の量が堆積したら、底掃除を行い、沈殿物を除去する。底掃除は沈殿物を吸引除去し、底掃除により減少した水量は補充する。槽底の沈殿物に黒色の還元層の発生が認められた場合は、槽底の攪拌、底掃除を中止し、槽底を刺激せず、培養水のアンモニア濃度上昇を最小限に抑える。
【0016】■11〜17日目ミジンコの収穫開始。1日約300gを5〜7日間連日収穫できる。飼料は収穫中も毎日、培養水の状況を確認しながら、150g/tの割合で培養水に添加する。有用微生物群溶液は培養水量の1/5000(0.02重量%)量を毎日添加する。ミジンコ収穫量が著しく減少した時点で培養を終了する。
【0017】上記培養条件により、以下の水質条件を維持することができる。
溶存酸素(DO) :4ppm以上水素イオン濃度(ph):7〜7.5アンモニア(NH) :0.25ppm以下尚、水温は18度以上であれば冬期でも培養が可能である。
【0018】次に第2実施例に係るミジンコの培養方法について説明する。前記第1実施例のミジンコの培養方法では、培養水中に飼料、有用微生物群を投入して発酵させる方法としたが、発酵飼料のみによって培養することも可能である。すなわち、第1実施例と同様の方法によって有機物を発酵させ、その発酵生成物のみによってミジンコを培養する方法である。このミジンコの培養方法によれば、発酵飼料を与えるのみで良好なミジンコの成育環境を維持して効率良く培養を行なうことができる。培養方法としては一般的に行なわれている方法による。
【0019】以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的な構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、前記実施の形態で説明した培養槽のシステム、形状、大きさ等については任意に設定することができる。
【0020】
【発明の効果】以上、説明してきたように本発明のミジンコの培養方法においては、EM菌で発酵させた飼料を与えるので、ミジンコの成長に即した栄養価の高い飼料が供給される。また、培養水中に餌及び有用微生物群を投入するので、培養水中で飼料が発酵し、ミジンコの成育に適した飼料が生成される。さらに、有用微生物群の作用により培養水が浄化され、特に、ミジンコに有害なアンモニアの発生が抑制され、又発生したアンモニアも分解され、良好なミジンコの成育環境が維持される。
【出願人】 【識別番号】595030826
【氏名又は名称】株式会社EM研究機構
【出願日】 平成14年4月11日(2002.4.11)
【代理人】 【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道 (外3名)
【公開番号】 特開2003−299422(P2003−299422A)
【公開日】 平成15年10月21日(2003.10.21)
【出願番号】 特願2002−109029(P2002−109029)