| 【発明の名称】 |
蛍の育成方法並びに蛍育成用土壌及び装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】浜島 良充
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| 【要約】 |
【課題】蛍の卵から成虫までの一生に亘る生育を恒常的に可能とする方法、システムを提案するものである。
【解決手段】蛍の幼虫が水中から上陸し蛹から成虫になるまでの間生活する場所を作成する用土を、土壌、PH保持材、浄化材等で構成し、土壌は、赤玉土を主成分とし、PH保持材として珊瑚砂が選択され、浄化材として硅砂若しくは備長炭が配合されていることを特徴とする。土壌に、好ましくは黒土若しくは富士砂が配合され、更に腐葉土及び有機肥料が添加されている。赤玉土は、800℃以上の高温で加熱殺菌処理したものであって、50〜75%配合され、黒土は、化成肥料を含まない無農薬のものであり、10〜20%配合され、富士砂は、化成肥料を含まない無農薬のものであり、10〜20%配合されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】蛍の幼虫が水中から上陸し蛹から成虫になるまでの間生活する場所を作成する用土を、土壌、PH保持材、浄化材等で構成し、土壌は、赤玉土を主成分とし、PH保持材として珊瑚砂が選択され、浄化材として硅砂若しくは備長炭が配合されていることを特徴とする蛍育成用土壌。 【請求項2】土壌に、黒土若しくは富士砂が配合され、更に腐葉土及び有機肥料が添加されていることを特徴とする請求項1記載の蛍育成用土壌。 【請求項3】赤玉土は、800℃以上の高温で加熱殺菌処理したものであって、50〜75%配合され、黒土は、化成肥料を含まない無農薬のものであり、10〜20%配合され、富士砂は、化成肥料を含まない無農薬のものであり、10〜20%配合されていることを特徴とする請求項1又は2記載の蛍育成用土壌。 【請求項4】蛍の幼虫が生息する流水路に隣接して前記用土からなる用土層を形成し、該用土層内で水中から上陸した幼虫と蛹を成育させるようにしたことを特徴とする蛍の育成方法。 【請求項5】蛍の幼虫が成育する流水路と、該流水路の両岸に隣接して形成された前記用土からなる用土層と、該用土層の流水路に至る表面に植生された苔面とからなり、流水路には蛍の幼虫の餌となる貝類、水質の浄化手段が配され、水は循環されるようになっていると共に、前記苔面は蛍の卵が産み付けられる場所であることを特徴とする蛍育成用装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する分野】この発明は、蛍を人工の環境下で育成する方法並びにそのための蛍育成用土壌及び装置に関する。 【0002】 【従来の技術】蛍は、古から夏の夜の風物詩であり、幻想的な情緒を観る者に与えて来ている。又、蛍は、良好な自然環境、特に清浄な水が流水する地域で生育するため、蛍を観賞出来るような環境は、自然環境が良好であることを示す一つの指標でもある。このため、蛍を観賞出来るようにすることによって、観光資源化すると共に、自然環境が改善されている地域であることをアピールする手段として、蛍の育成が注目を集めている。しかしながら、蛍の育成は清浄な水が流れるせせらぎの存在、カワニナ等の蛍の餌の存在、世代交代が可能な環境等を備えた自然の環境の存在等を必要とし、人工的な環境下で蛍を育成することは極めて困難であって、成功した例は見当たらない。 【0003】蛍を人工的に生育させるようにした方法、装置に関しては、いくつかの発明が提案されている。例えば、特開2001−258424号公報には、蛍等の水性昆虫の成育に必要な水に溶存酸素の富化、PHの調整及び生物の老廃物を処理するバクテリアを加える等した水の流水路に、水生植物、カワニナ、蛍の幼虫を育成させるようにした蛍の人工飼育方法が開示されている。特開2001−178309号公報には、砂礫層を設けた水槽内に水を循環させて、蛍の幼虫とカワニナを生育するようにした蛍の飼育装置が開示されている。特開2001−178310号公報には、容器内底部の床砂と水面より上部に位置させた枠内に充填した土壌とを傾斜板で連接し、蛍の幼虫が水中から陸上に移動するのを可能とした蛍の育成方法が開示されている。特開2001−224278号公報、特開平10−331134号公報等には、蛍を育成する水路に関する発明が開示されている。しかしながら、これらの方法、装置はいずれも主として蛍の幼虫の育成のための方法或いは装置に主眼をおいたものであり、卵、幼虫、蛹並びに成虫の蛍の一生に亘る生育を行うようにしたものは提案されていない。 【0004】特開2001−178309号公報や特開2001−178310号公報には、蛍の一生に亘る生育に言及はしているが、実際には蛍の幼虫の成育を主とするものであり、卵、蛹及び成虫の育成に関する技術に関する具体的な提案は、開示されていない。特に卵から成虫までの蛍の一生に亘る生育を恒常的に可能とする蛍の生育方法は、従来実現されていない。卵から孵化した蛍の幼虫は水中でカワニナ、モノアラ貝、タニシ等の餌を取りながら成長し、成熟した幼虫は、水中から出て陸上に移動し土中に潜って蛹となった後、6月頃蛍は土中から出て蛹から羽化し成虫となって我々の目を楽しませてくれるが、実際には水中から陸上に移動した幼虫が羽化して成虫になる確率が非常に悪く、蛍を楽しむことは実質的に不可能であった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】この発明は、蛍の卵から成虫までの一生に亘る生育を恒常的に可能とする方法、システムを提案するものである。従来の蛍育成方法において、卵から成虫までの一生に亘る生育が実際には困難であった理由について、本発明者は種々試験、研究を行った。その結果、水中から陸上に移動した幼虫が生活し蛹となるための土壌が重要であることが判明した。そこで、この発明は陸上に移動した幼虫が生活する改善された蛍育成用土壌を提供することを第一の課題とする。次に、かかる土壌を含めた、蛍が一生を生育するに好適な改善された育成方法並びに装置を提供することを課題とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、蛍の幼虫が水中から上陸し蛹から成虫になるまでの間生活する場所を作成する用土を、土壌、PH保持材、浄化材等で構成し、土壌は、赤玉土を主成分とし、PH保持材として珊瑚砂が選択され、浄化材として硅砂若しくは備長炭が配合されていることを特徴とする。土壌に、好ましくは黒土若しくは富士砂が配合され、更に腐葉土及び有機肥料が添加されている。赤玉土は、800℃以上の高温で加熱殺菌処理したものであって、50〜75%配合され、黒土は、化成肥料を含まない無農薬のものであり、10〜20%配合され、富士砂は、化成肥料を含まない無農薬のものであり、10〜20%配合されている。 【0007】蛍の育成方法は、蛍の幼虫が生息する流水路に隣接して前記用土からなる用土層を形成し、該用土層内で水中から上陸した幼虫と蛹を成育させるようにしたことを特徴とする。 【0008】蛍育成用装置は、蛍の幼虫が成育する流水路と、該流水路の両岸に隣接して形成された前記用土からなる用土層と、該用土層の流水路に至る表面に植生された苔面とからなり、流水路には蛍の幼虫の餌となる貝類、水質の浄化手段が配され、水は循環されるようになっていると共に、前記苔面は蛍の卵が産み付けられる場所であることを特徴とする。 【0009】 【発明の実施の形態】この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。この発明は、蛍の幼虫が水中から上陸し蛹から成虫になるまでの間生活する場所を作成する用土を、赤玉土、黒土、及び富士砂を主成分とする土壌をもって構成したことを第一の特徴とする。次に、蛍の幼虫が生息する流水路に隣接して前記用土層を形成し、該用土層内で水中から上陸した幼虫と蛹を成育させるようにしたことを第二の特徴とする。又、蛍育成用装置は、蛍の幼虫が成育する流水路と、該流水路の両岸に隣接して形成された前記用土層と、該用土層の流水路に至る表面に植生された苔面とからなり、流水路には蛍の幼虫の餌となる貝類、水質の浄化手段が配され、水は循環されるようになっていると共に、前記苔面は蛍の卵が産み付けられる場所であることを特徴とする。これらの流水路、用土層、水質浄化手段及び苔面からなる装置は、所望の広さを有する庭園、ビルの屋上庭園等の屋外に設置される。しかしながら、家屋やビルの室内のテーブル上等に配置可能な小型の装置としても提供することも可能である。 【0010】用土層は、土壌、PH保持材、浄化材等から構成される。土壌は、赤玉土を主成分とし、これに黒土及び富士砂が配合され、更に好ましくは腐葉土及び有機肥料が添加される。PH保持材としては、珊瑚砂が好適であり、浄化材としては、硅砂及び備長炭のいずれか若しくは両方が配合される。赤玉土は、800℃以上の高温で加熱殺菌処理したものであって、50〜75%、好ましくは約64%配合される。赤玉土が50%より少ないと用土層の保水性が悪くなり、75%より多いと用土層の水分が過多となりすぎるため好ましくない。黒土は、化成肥料を含まない無農薬のものであり、10〜20%好ましくは約10%配合される。黒土が10%より少ないと、植物の生育が悪くなり、20%より多いと保有される水分が多くなりすぎて植物の生長を妨げると共に、蛍の幼虫が進入する用土層の土質が硬くなるため好ましくない。富士砂は、化成肥料を含まない無農薬のものであり、10〜20%好ましくは約10%配合される。富士砂が10%より少ないと用土層からその下に設けられる基礎土壌層への空気の流通を悪化させるおそれがあり、20%より多いと水分が基礎土壌層へ流下して用土層の保水性を悪くするおそれがある。 【0011】珊瑚砂は、流水のPHを弱アルカリ性に保持するために配合され、その配合割合は1〜3%好ましくは2%である。珊瑚砂が1%より少ないと水が酸性化され、3%より多いとアルカリ性が強くなるため、好ましくない。硅砂及び備長炭は、水質及び土壌の浄化のために配合され、硅砂は2〜5%好ましくは3%配合される。配合割合が2%より少ないと、浄化作用が不十分となり、5%より多い場合効果に影響なくコストの面で無駄である。備長炭の配合割合は、1〜2%好ましくは1%である。1%より少ないと十分な浄化作用を得ることが出来ず、2%より多いと効果には変わりはないが、高価であるため無駄になる。腐葉土は、前記黒土等と同様に化成肥料を含まない無農薬のものであり、5〜10%好ましくは5%配合される。有機肥料は、5〜10%程度好ましくは5%配合される。用土層には、クレソン、セリ、みつば等が植生される。クレソンは水質及び空気の浄化をもたらし、セリは空気の浄化をもたらす。 【0012】流水路の路床は、水質の総硬度を上げるための伊勢ゴロタ石、水質浄化を図るための硅砂及び花崗岩、水質浄化と有効微生物の培養を図るための備長炭、水質を弱アルカリ性に保ち有効微生物の培養を図るための珊瑚砂等を配合した路床形成素材で形成される。路床には、アナカリス等の水草、クレソン、セリ等が植生されると共に、蛍の幼虫の餌となるカワニナ、モノアラ貝、タニシ等が放たれている。又、糞をすることにより光合成で藻類の発生を促すメダカ及び幼虫の食べ残しの貝や生物の死骸を餌にする大和ヌマエビが放たれる。光合成で発生する藻類は、カワニナ、モノアラ貝の餌となる。アナカリス等の水草は、光合成作用で二酸化炭素を吸収し酸素を供給し、水中酸素の含有量を向上させる。 【0013】図1を参照して、この発明を適用した屋外庭園に設けられている蛍育成システムであり、流水路(1)の路床(2)は、硅砂、備長炭及び珊瑚砂等で構成され、該路床(2)は必要に応じて防水シート(3)で底面が防水されている。流水路(1)は、例えば20cm〜2mの幅を有し、約20〜50cmの水深を有し、毎秒1〜2m程度の水が流されている。流水路(1)の両岸には、前記土壌、PH保持材、浄化材等から構成される用土層(4)が形成される。用土層(4)は、例えば15cm以上の深さを有し、用土層(4)の下には、例えば赤玉土、珊瑚砂、備長炭等が配合された15cm以上の深さを有する基礎土壌層(5)が形成される。用土層(4)から路床(2)に至る表面(6)には、伊勢ゴロタ石、花崗岩が配されていると共に、水面から露出した表面には、蛍の卵が産み付けられる苔層(7)が植生される。(8)は用土層(4)に植生されたクレソン、セリ、みつば等であり、(9)は、路床(2)に植生されたアナカリス等の水草である。流水路(1)には、前述したようにアナカリス等の水草、クレソン、セリ等が植生されると共に、カワニナ、モノアラ貝、タニシ等及びメダカ、大和ヌマエビ等が放たれる。 【0014】又、図2〜4は、室内に設置するに適した構造とサイズに形成された蛍育成装置であり、円板状の基体(10)の略中央部に貯水槽(11)を形成し、該貯水槽(11)に流入する水路(12)の下端を貯水槽(11)に接続し、上端を基体(10)の最高部位に配し、該上端と貯水槽(11)とをポンプ(14)を備えた汲上水路(13)で連結して水を循環させるようになっている。水路(12)と貯水槽(11)を除く基体(10)の表面には、前記土壌、PH保持材、浄化材等から構成される用土層(15)が形成される。貯水槽(11)、水路(12)は図1の流水路(1)と同様に、硅砂、備長炭及び珊瑚砂等からなる路床が形成され、アナカリス等の水草が植生されると共に、メダカ、大和ヌマエビ等が放たれる。用土層(15)には、図1と同様にアナカリス等の水草、クレソン、セリ等が植生されると共に、カワニナ、モノアラ貝、タニシ等及びメダカ、大和ヌマエビ等が放たれる。用土層(15)と水路(12)及び貯水槽(11)の境界表面には苔層が形成される。図5,6は図2〜4に示される基体を三段に連続して配した構造であり、基本的な構造は図2〜4と実質的に同じである。 【0015】苔層に産み付けられた卵は、約30日位で孵化し、孵化した幼虫は約10ヶ月位水中で生活し、カワニナ等の餌を食して成長する。成長した幼虫は、4〜6月頃上陸し用土層に入って土繭を作り蛹になる。蛹は20〜30日位で羽化し成虫となって7〜14日くらい生存する。そして生存中に交尾して苔層に卵を産んで一生を終わる。この発明の用土層は、かかる蛍の一生のうち成長した幼虫が上陸し土繭を作って蛹として生活するに最適な土壌等で形成されているため、蛍の羽化を確実に達成することが可能となる。従来の蛍を育成する方法若しくはシステムでは、かかる幼虫が蛹となって生活する用土層の開発が十分ではなかったため、成虫への羽化に失敗するケースが多かった。又、この発明の蛍育成システム若しくは装置は、蛍を卵から成虫までの一生に亘るサイクルを確実に達成するに適した構成若しくは構造であり、しかも屋外のみならず屋内に配置することも可能な装置を提供することが出来るのである。 【0016】 【発明の効果】この発明によれば、蛍を卵から成虫までの一生の育成サイクルを確実に達成することが出来る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】502044212 【氏名又は名称】浜島 良充 【識別番号】502044223 【氏名又は名称】荻野 和弘
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| 【出願日】 |
平成14年2月5日(2002.2.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067644 【弁理士】 【氏名又は名称】竹内 裕 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−225035(P2003−225035A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月12日(2003.8.12) |
| 【出願番号】 |
特願2002−28487(P2002−28487) |
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