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【発明の名称】 家畜糞尿貯留装置
【発明者】 【氏名】片山 雅晴

【要約】 【課題】従来、家畜糞尿はコンクリート製の堆肥盤及び尿溜めでの貯留がなされている。しかし、これらの施設は建築費が高いため家畜の飼養規模の増加に伴って必要な増設がなされていない。そのため糞の野積みや尿のたれ流しがある。また、堆肥盤は屋根を併設されたものは極めて少なく、雨や雪の混入により尿が増量し周辺の地下に浸透したり、近くの河川へ流失するなど環境汚染の問題がある。

【解決手段】施設の増設が経営規模の拡大に伴わないことや屋根を併設されないことの主因は施設の建築費が高いことにある。そこでコンクリート工法によらずゴム製の遮水シートを利用して、短期間にしかも安価な建築費で必要な機能を備えた装置の導入により、糞や尿を完全に貯留することにより、雨や雪との分離・地下浸透の防止・施設外流亡を無くし、糞尿の再利用と環境汚染防止も可能とする施設である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】家畜糞尿貯留装置は堆肥舎と尿貯留槽とからなり、堆肥舎と尿貯留槽を別体に設けて、その間をパイプで結び、堆肥舎は所望の地盤を掘削し、遮水シートを敷設して尿の地下浸透を防ぎ、遮水シートの周辺には表面水の流入を防ぐ堰を配し、遮水シートの上には遮水シートを大型作業機による損傷から保護する保護材を敷設し、遮水シートの上と保護材の上部には尿を回収するための有孔集汁管を配して、また表面は被覆シートで覆い雨雪との隔離を叶えるように構成され、尿貯留槽は所望の地盤を掘削した地空間に遮水シートを利用して作った尿の貯留袋を配置し、貯留袋には尿の取り入れ口と尿の取り出し口を付け、尿の取り出し管を経て尿を取り出すように構成されている装置である。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、畜産分野における家畜の糞尿を貯留する装置である。
【0002】
【従来の技術】家畜の糞は従来堆肥盤に貯留され、堆肥盤は地表面にコンクリートにより平面の盤が作られ、周囲を1m程度の高さの側壁で囲われており、堆肥盤には屋根が付いていないのが殆どである。尿は尿溜めに貯留され、尿溜めは畜舎に付設され、中が空洞な六面体のコンクリートで製作されている。これらの施設は単位容積当たりの建設費が高価なため、家畜の飼養頭数の増加に合わせた増設がなされていないのが現状である。。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】家畜の糞尿貯留施設で最も課題となっているのは、従来の装置は単位容積当たり建設単価が高価であることである。従って家畜の飼養規模が増加しても、糞尿の貯留装置の導入には高額の投資が必要となり、容易に施設を導入出来ない現状にある。また、従来の堆肥盤には屋根の無いものが多く雨や雪が糞尿に混入し水分過多となり発酵が進まず、また尿を増量させ、施設から溢れ出て付近の地下に浸透したり付近の排水路に流入し河川への流出など環境汚染の問題がある。本発明は、従来の技術の有するこれらの問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のような事のできるものを提供しようとするものである。
1、堆肥舎は、従来コンクリートで製作されていたものを遮水シートを利用して製作するもので、コンクリートに較べ容積当たり建設費が安くしかも短い工期で建設可能である。
2、堆肥舎は、尿が地下浸透するのを防ぎ、更に被覆シートが雨雪の混入を防ぎ、アンモニアの揮散及び臭気の拡散を防止する。
3、水分の多い堆肥の場合には発酵が進まず再利用に適さないが、有孔排汁管を付設することにより従来のコンクリート工法では出来得なかった尿の分離・回収も可能にし、尿貯留槽に別途貯留することにより、堆肥の水分が低下し発酵促進にも役立つ。
4、堆肥舎には遮水シートの保護材を敷設することにより、大型作業機による遮水シートの損傷を無くし、堆肥舎上での堆肥の搬入・積み込み・運搬等の作業を可能にしたこと5、保護材には透水性の良いものを使用し、土壌固化剤で補強すればさらに耐用が長くなる。
6、尿貯留槽を遮水シートで製作することにより、コンクリートによる製作に較べ単位容積当たり建設費が安くしかも短い工期で出来る。
7、尿貯留袋は、遮水シートを袋状に密閉したものに取り入れ口と取り出し口をつけたもので、尿の地下浸透防止と雨雪との混入を防止できる。
8、堆肥舎から尿貯蔵槽へは、地下配管された誘導管により尿の移動をさせるもので、寒冷地での管内の尿の凍結の影響を排除している。
9、誘導管に熱線を通すことにより寒冷地でも地上配管による凍結を防止出来る。
10、積雪地域では、冬期尿貯留槽の上部に積雪があるが、堆肥舎の尿を排泄するための有孔集汁管(5)と尿貯留袋の取り入れ口(13)の落差が積雪を浮力で浮上させ、尿の導入を可能にした。
11、尿の汲み取り及び農地への還元散布には従来使用していたバキューム式運搬散布車を利用できる。
12、尿の汲み取りには水中ポンプの利用も可能であること。
13、尿貯留槽は堆肥舎から独立して畜舎に付設させて、単独の尿貯留槽としても利用が可能であること。
【0004】
【課題を解決するための手段】前項の課題を解決するために、従来の装置と同等以上の機能を有し、かつ単位容積当たり建設費の安い装置を発明した。その手段は次によるものである。家畜糞尿貯留装置は堆肥舎と尿貯留槽から成り立っており、堆肥舎と尿貯留槽を別体に設けて、その間をパイプで結び、堆肥舎は所望の地盤を掘削し、遮水シートを敷設して尿の地下浸透を防ぎ、遮水シートの周辺には表面水の流入を防ぐ堰を配し、遮水シートの上には遮水シートを大型作業機による損傷から保護する保護材を敷設し、遮水シートの上と保護材の上部には堆肥から滲み出た尿を回収するための有孔集汁管で回収し、誘導管を経て尿貯留槽へ誘導する。また表面は被覆シートで覆い雨雪との隔離を叶えるように構成されており、この堆肥舎には、家畜の糞や堆肥を必要な期間貯留し水分を除去させ、発酵を促進させるものである。さらに被覆シートは雨や雪の混入を防ぐ屋根の役割を果たす。尿貯留槽は所望の地盤を掘削した地空間に遮水シートを利用して作った尿の貯留袋を配置し、尿の取り入れ口と尿の取り出し口を付け、尿の取り入れ口は誘導管と接続して尿を引き込み、尿の取り出し口には尿の取り出し管を付けて、このパイプを経て尿を取り出すように構成されている装置である。尿貯留槽には堆肥の歴汁や家畜尿を貯留し、地下浸透の防止と雨や雪の混入による希釈増量を防ぎ、さらにアンモニアの揮散を防ぐ。尿の取り出しには、従来使用していたバキューム式運搬散布車で能率的に処理できる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、家畜糞尿貯留装置の断面を表したものであり、堆肥舎(AA)は、堆肥貯留槽(1A)と、遮水シート(2)と、遮水シート保護材(4)と、表面水の流入防止堰(3)と、施設全体を雨雪から隔離する被覆シート(9)と、被覆シートを保定する土嚢(10)と、尿を集める有孔集汁管(5)及び(7)の2本とこれを繋げる連結管(6)と、尿貯留槽(BB)に導く誘導管(8)から構成されている。
【0006】堆肥舎(AA)は、設置を所望する箇所に3%の傾斜を付け掘削形成された平面方形の底面(2A)と、この底面の周辺に連接された前後左右の法面(2B)の表面を遮水シート(2)で覆い尿が地下へ浸透しない底面を確保するが、この面積が堆肥を堆積する範囲となる。
【0007】遮水シート(2)の周囲には連接して表面水の流入防止堰(3)を施すがこれは堆肥の堆積高さの確保にも役立つこととなる。
【0008】遮水シート(2)を重量作業機の作業による損傷から保護する保護材(4)が遮水シートの表面に置かれる。
【0009】被覆シート(9)は、表面水の流入防止堰全体も包んだ状態で堆肥貯留槽の全面に敷設され、従来の屋根に代わるものであり、風などの影響で剥がされるのを防ぐための土嚢(10)でしっかり保定する。
【0010】堆肥から滲み出た尿を回収するための有孔集汁管(5)には周りに不織布を巻き目詰まりを防ぎ、傾斜の付いた底面(2A)の最低部の一辺に溝(5A)を掘り遮水シート(2)と共に埋設し、その位置は遮水シート(2)の敷設面で最も低い位置になるようにし、いま一つの有孔集汁管(7)にも目詰まり防止の不織布を巻き、保護材(4)の表面部に有孔集汁管(5)と並行して敷設し、縦の連結管(6)で連結し、先端は遮水シート(2)より引き込み口(5B)を経て遮水シートの下方に引き出され、尿を尿貯留槽(BB)へ導く誘導管(8)に繋がっており、誘導管(8)は土中に配管され、尿貯留槽(BB)の底部の尿取り入れ口(13)に向け落差をもって設置されることを特徴とする堆肥舎である。
【0011】尿貯留槽(BB)は、掘削した地空間(1B)に遮水シートで出来た尿貯留袋(12)と尿を堆肥舎より導いた誘導管を取り込む尿取り入れ口(13)及び貯留された尿を汲み上げる取り出し口(14)及び尿の取り出し管(16)で構成されている。
【0012】尿貯留槽(BB)は、設置を所望する箇所に必要な大きさの容量の地空間(1B)を掘削し、貯留袋満杯時の尿の表面が堆肥舎の溝(5A)より低くなるように配置し、この地空間(1B)の中に尿貯留袋(12)を配置し、堆肥舎より導いた誘導管(8)を尿取り入れ口(13)に接続し、堆肥舎(BB)より誘導した尿を貯留し、尿取り出し口(14)には尿の取り出し管(16)を取り付け、尿が貯えられたら適宜尿を取り出し利用するものである。
【0013】図2は、堆肥舎(AA)に堆肥を搬入・堆積し被覆シートで覆いをした状況で、尿貯留槽(BB)には、家畜の尿を貯留袋一杯に貯留した状況を断面図で示している。
【0014】図3は貯留装置に堆肥及び尿を貯留してない状況の一部を欠いた斜視図で、図4は貯留装置に堆肥及び尿を貯留した状況の一部を欠いた斜視図である。
【0015】実施の要領及び方法は次による。
1、堆肥舎への堆肥の搬入は、毎日行うものではなく、従来の堆肥盤に堆肥がある程度蓄積された時点で集中的に搬入する利用の仕方に適する。
2、出入り口の表面水流入防止堰は堆肥を搬入後に設置する。
3、搬入した堆肥は、マニヤフオークでカマボコ型に堆積し凹凸のないようにする。
4、搬入・堆積後は被覆シートで覆い雨雪の混入を避け、シートが風で剥がされないように、土嚢でしっかり保定する。
5、堆肥の発酵促進のため、空気を導入したい場合は、有孔管を適宜堆肥の表面に這わせ外気を流通させる。
6、水分の多い堆肥の場合尿が滲み出るが、これは保護材を浸透して集汁管を経て、尿貯留槽へ移動し貯留される。
7、保護材には透水性の良い火山礫などを使用するが、年数を経過して保護材が目詰まりした場合には、保護材の上部に設置されている有孔集汁管(5)により尿の回収がなされるように有孔集汁管を2段に配したが、本数・長さ・位置などは任意な方法で実施可能である。
8、保護材が泥寧化し、中での作業が困難に成った場合には保護材の交換をする。
9、保護材に土壌固化剤材を利用した場合には、より永年の使用に耐える。
10、堆肥を一定間隔で切り返しをすると発酵がより早まる。
11、堆肥を搬出した後も被覆シートによる被覆は続け、雨や雪によって尿が希釈増量するのを防ぐ。
12、尿貯留槽からの尿くみ出しは尿の取り出し管よりバキュームカーでおこなうが、水中ポンプの利用も可能である。
13、尿貯留槽は、独立して畜舎に付設させて使用することも可能である。
【0016】
【発明の効果】本発明は上記の通り構成されており、次に記載する効果をもたらす。
1 これまでのコンクリート製と較べ容積当たり単価が大幅に安価であり工期が短くて済む。
2 雨雪の混入がないので尿が溢れ出る事が無く環境の保持ができる。
3 被覆シートにより外気に直接触れることがないので、アンモニア揮散や臭気の拡散が無い4 堆肥は水分の調製が出来、発酵の促進が可能となる。
5 不要となった時の除去はコンクリート製と較べ容易に行える。
糞尿がしっかり貯蔵・利用されることにより、資源の活用・土づくりに役立ち、畜産物のコスト低下をもたらし畜産経営の安定に貢献し更に環境汚染防止にも役立つこととなる。
【出願人】 【識別番号】502077911
【氏名又は名称】片山 雅晴
【出願日】 平成14年1月28日(2002.1.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−219742(P2003−219742A)
【公開日】 平成15年8月5日(2003.8.5)
【出願番号】 特願2002−58033(P2002−58033)