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【発明の名称】 釣り用リールの部品本体
【発明者】 【氏名】明上 誠治

【要約】 【課題】釣り用リールの部品本体において、軽量化を図るとともに、強度を維持し、かつ意匠性を向上させる。

【解決手段】スピニングリールのスプール4は、糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体成形された大径筒状のスカート部4bとを有している。スカート部4bには、スカート部4bの周方向に沿って形成された複数の貫通孔50と、貫通孔50の周縁部に形成された面取り部60とを有している。貫通孔50は、外形が円形になるように形成され、スカート部4bの内外周を貫通している。面取り部60は面取り角が非一定になるように形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】釣り用リールを構成する部品本体であって、本体部材と、前記本体部材に外形が略円形になるように形成された貫通孔と、前記貫通孔の周縁部に面取り角が非一定になるように形成された面取り部と、を備えた釣り用リールの部品本体。
【請求項2】前記面取り部は外形が長円形になるように形成されている、請求項1に記載の釣り用リールの部品本体。
【請求項3】前記面取り部は外形の長軸方向と短軸方向との前記面取り角が異なるように形成されている、請求項2に記載の釣り用リールの部品本体。
【請求項4】前記面取り部は外形の長軸方向の一端と他端との前記面取り角が異なるように形成されている、請求項2に記載の釣り用リールの部品本体。
【請求項5】前記本体部材は、本体部と、前記本体部より厚肉に形成され前記貫通孔及び前記面取り部が形成された厚肉部とを有している、請求項1から4のいずれかに記載の釣り用リールの部品本体。
【請求項6】前記本体部は円筒状に形成され、前記厚肉部の内周面は切削加工されている、請求項5に記載の釣り用リールの部品本体。
【請求項7】前記釣り用リールは、リール本体に設けられたハンドルの回転によりロータを回転しスプールに釣り糸を巻き取るスピニングリールであり、前記本体部材は、前記リール本体、前記ハンドル、前記ロータ及び前記スプールのうちの少なくともいずれかである、請求項1から6のいずれかに記載の釣り用リールの部品本体。
【請求項8】前記釣り用リールは、リール本体に設けられたハンドルの回転によりスプールを回転し前記スプールに釣り糸を巻き取る両軸受リールであり、前記本体部材は、前記リール本体、前記ハンドル及び前記スプールのうちの少なくともいずれかである、請求項1から6のいずれかに記載の釣り用リールの部品本体。
【請求項9】前記釣り用リールは、リール本体に設けられたスプールに釣り糸を巻き取る片軸受リールであり、前記本体部材は、前記リール本体及び前記スプールのうちの少なくともいずれかである、請求項1から6のいずれかに記載の釣り用リールの部品本体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部品本体、特に、釣り用リールの部品本体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、釣竿に装着されて釣り糸の繰り出し及び巻き取りを行う釣り用リールには、主にスピニングリールと、両軸受リールと、片軸受リールとがある。この種の釣り用リールは、釣竿に装着されるリール本体と、リール本体に装着された糸巻き用のスプールとを有している。このようなリール本体やスプール等の釣り用リールを構成する部品本体には、軽量化を図るために貫通孔が形成されたものが知られている。この種の貫通孔は、たとえば外形が円形になるように形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の釣り用リールの部品本体には、円形の貫通孔が形成されているので、意匠性を向上させ、かつ軽量化を図ることができる。しかし、貫通孔の外形が円形であるので、貫通孔の外形が単純になりやすい。このため、意匠性をさらに向上させるのは困難である。そこで、貫通孔の外形を長円形になるように形成すると、貫通孔の外形のバリエーションが増加し、意匠性を向上させやすい。
【0004】しかし、貫通孔の外形を長円形に形成すると、長円形の長軸方向と短軸方向とによって強度が変化するので、部品本体の強度が低下しやすい。たとえばスプール等の円筒状の部品本体に長円形の貫通孔を形成する場合、特に貫通孔の長軸方向をスプール軸方向に沿うように形成すると、部品本体の強度が低下するおそれがある。
【0005】本発明の課題は、釣り用リールの部品本体において、軽量化を図るとともに、強度を維持し、かつ意匠性を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明1に係る釣り用リールの部品本体は、釣り用リールを構成する部品本体であって、本体部材と、本体部材に外形が略円形になるように形成された貫通孔と、貫通孔の周縁部に面取り角が非一定になるように形成された面取り部とを備えている。
【0007】この釣り用リールの部品本体では、貫通孔の周縁部には面取り部が形成されており、この面取り部は面取り角が非一定になるように形成されている。ここでは、本体部材に貫通孔が形成されているので、部品本体の軽量化を図ることができる。また、貫通孔の外形が略円形になるように形成されているので、外形が長円形の貫通孔を形成する場合に比して、強度の低下を抑えることができる。さらに、貫通孔の周縁部には面取り角が非一定になるように面取り部が形成されているので、たとえば面取り部の外形を長円形、三角形や四角形等の多角形、V字形等のあらゆる形状に形成できるので、面取り部の外形のバリエーションが増加し、意匠性を向上できる。
【0008】発明2に係る部品本体は、発明1の部品本体において、面取り部は外形が長円形になるように形成されている。この場合、面取り部が、長円形、たとえば楕円形、雨滴形等になるように形成されているので、意匠性をさらに向上できる。発明3に係る部品本体は、発明2の部品本体において、面取り部は外形の長軸方向と短軸方向との面取り角が異なるように形成されている。この場合、面取り部の長軸方向と短軸方向の面取り角が異なるように形成されているので、意匠性をより向上できる。
【0009】発明4に係る部品本体は、発明2の部品本体において、面取り部は外形の長軸方向の一端と他端との面取り角が異なるように形成されている。この場合、面取り部の長軸方向の一端と他端との面取り角が異なるように形成されているので、意匠性をより向上できる。発明5に係る部品本体は、発明1から4のいずれかの部品本体において、本体部材は、本体部と、本体部より厚肉に形成され貫通孔及び面取り部が形成された厚肉部とを有している。この場合、たとえば本体部が薄肉に形成されている場合、厚肉部を設けることにより、貫通孔及び面取り部の形成が容易になる。
【0010】発明6に係る部品本体は、発明5の部品本体において、本体部は円筒状に形成され、厚肉部の内周面は切削加工されている。この場合、切削加工により厚肉部のない周面を精度よく形成することにより、この厚肉部をチャック代として円筒状の本体部の切削加工が容易になるとともに、芯出しを容易に行うことができる。また、厚肉部を形成することによって、部品本体の強度を高く維持できる。
【0011】発明7に係る部品本体は、発明1から6のいずれかの部品本体において、釣り用リールは、リール本体に設けられたハンドルの回転によりロータを回転しスプールに釣り糸を巻き取るスピニングリールであり、本体部材は、リール本体、ハンドル、ロータ及びスプールのうちの少なくともいずれかである。この場合、たとえばリール本体の竿取付脚やリールボディに装着されるカバー部材、ハンドルのアーム部、ロータのロータアームやロータカバー、スプールの糸巻胴部やスカート部等のスピニングリールの本体部材に前述の貫通孔及び面取り部を形成することにより、軽量化を図りながら、強度を維持し、かつ意匠性を向上できる。
【0012】発明8に係る部品本体は、発明1から6のいずれかの部品本体において、釣り用リールは、リール本体に設けられたハンドルの回転によりスプールを回転しスプールに釣り糸を巻き取る両軸受リールであり、本体部材は、リール本体、ハンドル及びスプールのうちの少なくともいずれかである。この場合、たとえばリール本体の側カバーや連結部材、ハンドルのアーム部、スプールの糸巻胴部やフランジ部等の両軸受リールの本体部材に前述の貫通孔及び面取り部を形成することにより、軽量化を図りながら、強度を維持し、かつ意匠性を向上できる。
【0013】発明9に係る部品本体は、発明1から6のいずれかの部品本体において、釣り用リールは、リール本体に設けられたスプールに釣り糸を巻き取る片軸受リールであり、本体部材はリール本体及びスプールのうちの少なくともいずれかである。この場合、たとえばリール本体やスプールの外フランジ部等の片軸受リールの本体部材に前述の貫通孔及び面取り部を形成することにより、軽量化を図りながら、強度を維持し、かつ意匠性を向上できる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、図1に示すように、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。リール本体2は、リールボディ2aと、リールボディ2aから斜め上前方に延びる竿取付脚2bとを有している。
【0015】スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる筒状の糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体成形された大径筒状のスカート部4bとを有している。スカート部4bは、図3に拡大して示すように、円筒状の本体部4cと、本体部4cの内周側に突出して本体部4cより厚肉に形成された厚肉部4dとを有している。厚肉部4dは切削加工等の機械加工により形成されている。厚肉部4dは、図3に示すように、たとえば突出方向の長さAが0.5mm以上1.0mm以下、スカート部4bの軸芯S(図1参照)方向の長さBが2.0mm以上10.0mm以下になるように形成されている。厚肉部4dには、スカート部4bの周方向に沿って形成された複数の貫通孔50と、貫通孔50の周縁部に形成された面取り部60とを有している。
【0016】貫通孔50は、図2に拡大して示すように、外形が円形になるように形成され、図3及び図4に示すように、厚肉部4dの内外周を貫通している。面取り部60は、図2に拡大して示すように、外形が長円形である楕円形になるように形成されている。面取り部60は、貫通孔50の中心軸芯Xと面取り部60の中心軸芯Yと同心になるように形成されている。面取り部60は、長軸方向がスプール4の軸芯Sと同一方向、かつ短軸方向が軸芯Sと直交する方向になるように形成されている。面取り部60は、長軸方向の面取り角α(図3参照)と、短軸方向の面取り角β(図4参照)とが異なるように、すなわちα<βとなるように形成されている。
【0017】このように構成されたスピニングリールでは、スプール4のスカート部4bに貫通孔50が形成されているので、軽量化を図ることができる。また、貫通孔50の外形が円形になるように形成されているので、外形が長円形になるように形成する場合に比して、強度の低下を抑えることができる。さらに、貫通孔50の周縁部には長軸方向と短軸方向とによって面取り角が異なる、すなわち面取り角が非一定になるように面取り部60が形成されているので、面取り部60の外形のバリエーションが増加し、意匠性を向上させることができる。
【0018】〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、面取り部60は外形が楕円形になるように形成されていたが、これに限定されるものではなく、図5及び図6に示すように、面取り部60の外形が雨滴形になるように形成してもよい。また、面取り部60の外形は長円形の他に、三角形や四角形等の多角形、V字形等のあらゆる形状に形成してもよい。
【0019】(b) 前記実施形態では、面取り部60は外形の長軸方向と短軸方向とによって面取り角が異なるように形成されていたが、図6に示すように、外形の長軸方向の一端側の面取り角γと、長軸方向の他端側の面取り角δとが異なるように、すなわちγ<δとなるように面取り部60を形成してもよい。
(c) 前記実施形態では、貫通孔50の中心軸芯Xと面取り部60の中心軸芯Yとが同心であったが、図7に示すように、貫通孔50の中心軸芯Xと面取り部60の中心軸芯Yとが偏芯していてもよい。
【0020】(d) 前記実施形態では、面取り部60は、長軸方向がスプール4の軸芯Sと同一方向、かつ短軸方向が軸芯Sと直交する方向になるように形成されていたが、図8に示すように、短軸方向がスプール4の軸芯Sと同一方向、かつ長軸方向が軸芯Sと直交する方向になるように形成してもよい。なお、面取り部60の形成方向はこれらに限定されず、任意の方向に形成できる。
【0021】(e) 前記実施形態では、スピニングリールのスプール4のスカート部4bを例にあげて説明したが、これに限定されるものではない。図9に示すように、スピニングリールのハンドル1、リール本体2、ロータ3、スプール4の糸巻胴部4aに前述の貫通孔50及び面取り部60を形成してもよい。また、図10に示すように、スピニングリールのロータ3のロータアーム3aに形成された凹部3bを閉塞するカバー部材3cに前述の貫通孔50及び面取り部60を形成してもよい。
【0022】また、スピニングリール以外の両軸受リールや片軸受リールにも本発明を適用できる。図11に示す両軸受リールのリール本体81の側カバー82や連結部材83、図12に示す両軸受リールのハンドル84のアーム部85、図13に示す両軸受リールのスプール86の糸巻胴部87等に前述の貫通孔50及び面取り部60を形成してもよい。さらに、図14に示す片軸受リールのリール本体91等に前述の貫通孔50及び面取り部60を形成してもよい。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、スピニングリールのリール本体において、略円形の貫通孔の周縁部には面取り角が非一定になるように面取り部が形成されている。ここでは、本体部材に外形が略円形になるように貫通孔が形成されているので、軽量化を図るとともに、強度の低下を抑えることができる。また、面取り部は面取り角が非一定になるように面取り部が形成されているので、意匠性を向上できる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成14年1月16日(2002.1.16)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外2名)
【公開番号】 特開2003−204739(P2003−204739A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−7049(P2002−7049)