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【発明の名称】 養殖鰻等養殖魚の再生システム
【発明者】 【氏名】橋ヶ谷 光徳

【氏名】小鍋 壽男

【氏名】高橋 金一

【要約】 【課題】養殖池で育てた鰻に付着した悪臭を除去し、美味しい鰻を作り出す方法を提供する。

【解決手段】水槽中に有機物を分解する微生物・酵素資材を混入し、その水槽の中に養殖鰻を入れるザルを用意し、なおかつこの水槽をバッキできる手段を取り付けた。これを「つけば」と呼びこの「つけば」に養殖鰻を投入し、この中で一定期間エサをやらずに成育することにした。鰻の排泄物や悪臭成分は分解され鰻は新しい環境に適応し、そこで養殖池で付着した悪臭を取り除くことができた。さらにこの悪臭を取り除いた鰻に餌付け工程を付加し、失われた脂肪分やトロ味を補填するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】養殖池で育った鰻の悪臭を除去し断食する第1の工程と、該除去する過程で、該鰻から排出される分泌物や排泄物等の有機物を分解する第2の工程と、該除去する過程で削り落した脂肪分やトロ味などの鰻のうまさを補充するために餌付けする第3の工程とを組み合わせて構成されることを特徴とする養殖鰻の再生システム。
【請求項2】前記鰻をつける水槽と、該水槽中に該鰻から分泌され排出される泥や臭いの成分を分解するための微生物・酵素資材と該微生物・酵素資材を活性化させるためのバッキ手段とからなる「つけば」を準備し、該鰻を該「つけば」に投入し、一定時間浸漬することを前記第1の工程と前記第2の工程としたことを特徴とする特許請求の範囲第1項に示した養殖鰻の再生システム。
【請求項3】前記「つけば」として「断食つけば」と「保管つけば」を設け、前記鰻を該「断食つけば」に投入し、悪臭を除去した後、該「保管つけば」に移し保管しつつ、該「保管つけば」とは別個に「餌付け水槽」を設け、該鰻を1日に数回、該「餌付け水槽」に移して、前記第3の工程を実現したことを特徴とする特許請求の範囲第1項に示した養殖鰻の再生システム。
【請求項4】前記微生物・酵素資材は、魚類を含む動物性の有機物あるいは植物性の有機物を減圧の条件の下でバッキし、該有機物を分解処理した処理液であることを特徴とする特許請求の範囲第2項に示した養殖鰻の再生システム。
【請求項5】亜硝酸濃度とPHとを制御尺度として、前記バッキ手段によるバッキ能力の増減を計ることを特徴とする特許請求の範囲第2項に示した養殖鰻の再生システム。
【請求項6】前記亜硝酸濃度を10以下に、前記PH値を5以上にするように前記制御尺度を定めたことを特徴とする特許請求の範囲第5項に示した養殖鰻の再生システム。
【請求項7】前記鰻に代えて、ハマチやヒラメやエビなどの養殖魚を処理し、該養殖魚に付着した悪臭を除去する特許請求の範囲第1項に示した再生システムを利用したことを特徴とする養殖魚の再生システム。
【請求項8】前記鰻を請求項1に示した方法によって臭いを取り除き、うまみを付与したことを特徴とする再生鰻と養殖魚。
【請求項9】前記請求項8に示した再生鰻と養殖魚をベースにし、粘結材や香辛料を混入し、パンに挟んで作ったことを特徴とするハンバーガー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は養殖鰻などの養殖魚の育成方法と臭いを取る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】鰻は河川を遡上生活後、海上を何十日も産卵回遊し特定の海域で産卵孵化する。海で生まれ、淡水で生活できる魚類である。生まれた鰻は透明な木の葉のような形をしていて鰻の幼生という。この幼生は海洋で育ち、シラス鰻に成長する。この間種類によって1年から3年もかかり、シラス鰻は親鰻が生活した河川に戻って次第に大きくなる中で、透き通っていた体に色がついて来る。川の中にいる小さいエビやサカナを食べたり、マキガイを食べて大きくなり、何年も生活する中で、親鰻となって再び生まれた海に産卵回遊の旅に出る。
【0003】産卵時は親鰻1匹で800万個の卵が産卵されるが、河川に戻り生活し親鰻に成長して行く天然の鰻は、わずかしか採ることができず、高価な魚であった。しかし、鰻は豊富な栄養を持ち美味しい食物だったため、海洋から河川に戻る途中のシラス鰻を大量に捕獲し、養殖池で育て大量に消費者へ供給することが試みられて来た。
【0004】しかし、養殖池という狭い場所で大量に飼育する為、投入したエサの残りや鰻自身の排泄物によって水や池の泥が汚れ、そこで育った鰻は泥の臭いや水カビの臭いなど悪臭が付着し、そのままでは食べられないものが多かった。
【0005】そこで養殖池から鰻を引き上げて出荷するに際して「たてば」で低温の流水を流し、鰻の消化管内の消化物や泥を排出させることが行なわれて来た。「たてば」とは、図2に見るように鰻を入れるザルを縦に積んだ場所で、このザルの中に適当量の鰻を入れ、積み重ねた上から水を流すのである。
【0006】この「たてば」で泥などを吐かせ、養殖池で付着した悪臭も取ることがおこなわれて来たが、カビ臭についてはなかなか取ることができず供給先の料理屋などから返品されることもあった。また「たてば」に3日間も置くと、鰻の腹に顎から尾にかけて赤い糸のように出血するアゴ赤病が発生し、数10%の鰻が死に至るということもあった。この病気については「魚病研究FISH PAIHOLOGY,1996.12」では、三重大学生物資源学部の宮崎照雄氏らが、ラブドウイルスが原因であると指摘している。
【0007】つまり、養殖池で育てた鰻は、養殖池の環境の悪さゆえに、悪臭が付着し、これを「たてば」を使用して、悪臭抜きを行って来たが、3日間もするとアゴ赤病などにかかってしまうため、悪臭抜きを中断しなければならず、多少なりと臭いが残った鰻が市場に出廻ることになっていた。
【0008】そこで、出荷に際して鰻を集積する場所に水槽などを用意しここで鰻の泥を吐かせたり、臭いを取るということも試みられたが、養殖池と浸透圧の異なる水の中に鰻を投入することになる。そのためこの試みはうまく行かなかった。鰻は海水中で生まれ、淡水である河川に戻り、再び海に戻る魚であるため、塩水から淡水、淡水から塩水に変化することによる浸透圧の影響を調節できる機能をもつ魚である。血液中より環境中の水の塩分濃度が濃いと、血液中の水分が環境中の水の中に押し出され細胞が干からびることになる。逆だと、環境中の水が血液を介して体内に入り水脹れになってしまう。
【0009】これを調整しているのが体の表面を覆っている鱗や粘液の働きと腎臓や鰓の働きである。鱗や粘液の働きは皮膚から勝手に水が出入りすることを防いでいる。腎臓はたとえば淡水に入れたときには、体内の水分が多くなるため、腎臓の働きで排尿を多くし、水脹れを防ぐようになっている。逆に海水中のときには干からびないよう排尿が極端に減少するのである。
【0010】また淡水の場合、体内のNaやKのようなイオンは、拡散の原理に従って、体外に出て減少する。これを鰓の生体膜の特殊な働き(これを「能動輸送」と呼んでいる)によって、こうしたイオンを取り込んでいる。
【0011】ところが、急に環境を変えたときは、こうした調整機構が働かず、鰻の免疫力が低下するため「たてば」にしても水槽にしてもうまく行かなかった。鰻は海で産まれ、川で育ち、産卵のために再び海へ赴くといっても、その間に長い時間と形態の変化と腎臓や鰓を調整するためのホルモンや調整機構の変化があって、淡水と海水の両方で生育することが可能である。急な環境の変化には、体内の器官の大きなエネルギーを使うことになる。(「ウナギの誕生」山本喜一郎著・北大図書刊行会)
【0012】実際、比較的環境の良い養殖池で育った鰻の場合、3〜4日「たてば」で悪臭取りをしても、アゴ赤病の発症がないこともあった。これなどは急激な環境の変化に、対応できる体力を鰻が持っていたためと考えられる。
【0013】このように養殖池で育てた鰻の悪臭を取るに際して、もう1つ問題となったのが、餌をやらず一定の時間をかけて悪臭を取るため、鰻の脂肪分やトロ味、鮪のトロのようなトロ味が、どうしても削ぎ取られるという点である。
【0014】
【発明解決課題】 そこで本発明では、養殖池で育てた鰻に付着した悪臭を除去し、美味しい鰻を作り出す方法を見つけ、その方法で作った鰻や養殖魚を供給することに目的がある。
【0015】
【課題を解決するための方法】養殖池で育った鰻の悪臭を除去し、断食する第1の過程と、除去する過程で、鰻から排出された排出物を分解する第2の過程、そして、脂肪分やトロ味を補充するための餌付けする第3の過程を組み合わせることによって、本願課題を解決することを考えた。
【0016】鰻は水から出しても水をかければ生きることのできる魚であることは知られている。従って「たてば」という方法が考えられたが鯉呼吸をする魚である以上、大きな環境の変化になり、変化に順応して生きて行くために費やすエネルギーは計り知れず、大変なストレスになったと考えられる。それが免疫力の低下をもたらし、アゴ赤病の発症ということになったと考えられる。特に輸入した養殖鰻は長時間かけて運ばれてくる途中のストレスもあり、こうした傾向が強かった。
【0017】また、低温の水を入れた水槽でも、鰻はこれまでの養殖池と水槽との環境の変化に対処しなければならないが、「胴鰻」という篭に入れ、水通しのよい環境に置くことは、スペースや水の確保上で大変であり、狭い水槽の中の環境は、鰻が吐き出す消化物や排泄物などで一気に環境が悪くなる。水環境が変化し、浸透圧が変化したとき、それに対応した腎臓の働きや鰓の働きをコントロールするのは、プロラクチンや副腎皮質ホルモンの働きであることは知られている。
【0018】水環境が急速に悪くなれば鰻にストレスを与えることになり、ホルモンの分泌が悪くなり、ホルモンの働きで浸透圧の変化を調整することもうまく行かなくなる。本願ではこの点に注目し、水槽の環境が悪くならないようにする手立てを、まず第一に考えた。そのために水槽中に投入された鰻が吐き出す消化物等の有機物を分解し、悪臭成分を分解するための微生物・酵素資材を水槽に投入し、この微生物・酵素資材が充分働くようにバッキする手段を設けた。これを「つけば」と言い、この「つけば」に鰻を投入し、鰻に余分なストレスを与えることがないようにし、鰻が環境に順応しつつ悪臭を除去できるように考えた。
【0019】溶液中の有機物を分解する微生物は、分解する有機物の量と溶液中の溶存酸素量に比例し増殖する。溶液を含む系の排気を強め減圧状態とすると、有機物を含む溶液中の悪臭成分が排出され、その状態で溶液をバッキすると溶存酸素が増大する。この条件下では微生物は高密度に増える。微生物は競い合うように分解対象となる有機物や、悪臭発生の原因物質さえも自分のエサとするために、酵素を吐き出し、分解して行くことになる。
【0020】本発明ではこのように有機物を含む溶液を減圧状態下でバッキし、その結果作った溶液を微生物・酵素資材として用意し水槽に投入し、その水槽にバッキ手段を設け、これを「つけば」とした。この「つけば」は、養殖鰻の悪臭を除去し、断食する第1の過程と、鰻から排出された排出物を分解する第2の過程を兼ねた過程であり、これに別個に餌付け水槽を用意し、これを第3の過程とした。「つけば」で一通り悪臭を除去した後は「保管つけば」を用意し、餌付け水槽に入れる時以外は、ここで鰻を保管した。
【0021】比較的環境の良い養殖池で育成した鰻は、従来の「たてば」で悪臭を取った上で、「保管つけば」で体力や免疫力を補いつつ、餌付け水槽に入れる方式も考えた。
【0022】またこのシステムを他の養殖魚にも応用し、こうして養殖の鰻でありながら悪臭を除去した美味しい天然鰻に近い鰻や養殖魚を作ることができるようにした。
【0023】
【発明の具体的な説明】 以下図面で本願発明を説明する。図1は本発明による養殖鰻の再生システムを示す概略図である。(2)は養殖鰻が育成された養殖池、(4)は養殖鰻の悪臭を抜くための「断食つけば」、(6)は悪臭を抜いた鰻を餌付けのため保管しておく「保管つけば」、(8)は餌を食べさせるための「餌付け水槽」、(10)は従来の「たてば」、(12)は悪臭を除去し、断食する第1の工程、(14)は分泌物や排泄物を分解する第2の工程である。
【0024】養殖池から引き上げられた鰻は、運送過程などを介しながら「断食つけば」(4)に投入される。もちろん、この過程では餌はやることがなく、いわば断食状態におくこの「断食つけば」(4)に3〜4日間投入され、悪臭を除去する。また、比較的環境の良い養殖池(2)で育成された鰻の場合、体力や免疫力があるため「たてば」(10)で悪臭を除去する。この過程が、本願の第1の工程である悪臭を除去し、断食する過程(12)である。
【0025】図3は、本発明による「つけば」を示す概略図である。(16)は水槽、(18)は水槽の中の水、(20)は鰻を入れる漬けザルでこの図では3段にしている。(22)はザルの底の網目部分、(24)はバッキ手段、(26)はバッキ装置の動力部と制御部である。水槽(16)には水道水を入れ脱カルキ剤(ハイポ)を投入し、カルキを除去した水(18)としている。標準水槽(1t)の場合ハイポを100粒入れ半日ぐらい放置する。井戸水を利用するときはもちろんこの工程を省略することができる。
【0026】一方、本出願人らが発明した減圧バッキ法によって作成した(特願2000−259927)微生物・酵素資材を投入し、亜硝酸値が1.0以上10以下の範囲になるように混合割合等を調整する。また、この時点での初期温度を養殖池よりも低い温度範囲で設定する。従って放置場所、季節によっては水温調整するためにボイラー、ヒーター、クーラーなど水温調整装置を設置する。この温度は従ってどのような養殖場で育成したかによって変動することになるが養殖場は冬場でもビニールハウスで覆っているため水槽の設定温度はおおむね15℃±2℃位となる。
【0027】養殖場から運んできた鰻は漬けザルに10〜25尾入れることができる。標準水槽あたり全体で20〜40kgを投入する。投入後バッキをかけ同時にPH値、亜硝酸値、水温を測定する。
【0028】通常、こうした閉鎖エリアの中の水槽では、鰻の排泄物により水(18)のアンモニア値、亜硝酸値は高くなっていく。特に亜硝酸値が10〜20になると鰻が死ぬことが実験報告の中で確かめられている。本願による方法では、バッキの量を調節する事で微生物・酵素資材中の質と働きをコントロールし、亜硝酸値を1.0〜10にする。
【0029】一方、亜硝酸の変化によって硝酸が作られると、水(18)のPH値が低くなる。PHについては「5」以下になると、やはり鰻が死ぬことがある。そこでバッキ手段(24)の調節によって、亜硝酸態が酸化して硝酸態へ、又は、アンモニア態へと還元変化をしすぎないようにコントロールする事でPH値を6〜10にする。
【0030】我々の実験でも、微生物・酵素資材を入れないで、単にバッキしただけでは亜硝酸値は下がらず、一方でアンモニア臭などが発生し、かつ水槽の底に鰻の排泄物が残っていることが確認されたが、この微生物・酵素資材を投入すると排泄物の残りも分解し、前述した水槽管理によって、この「断食つけば」(4)で鰻を育成することができた。
【0031】この微生物・酵素資材は動物性や植物性の炭水化物・たんぱく質・脂肪などを含む有機物の入った溶液を減圧条件下でバッキし、これらの有機物を分解し、処理した処理液である。この有機物の分解にあたり、微生物は有機物を自らのエサとするために酵素を分泌する。この減圧処理方法の場合、減圧条件で元々溶液中に含まれていた悪臭成分は抜き取り、溶存酸素の濃度を高め微生物の活性化を計っているため通常では分解されないで残る有機物がなくなり、腐敗臭もない。この処理液はその後1年放置しても腐敗することはない。このような減圧処理によって作成した微生物・酵素資材を使っているため鰻から排泄されるものが本発明による図1に示した「つけば」の分解工程(14)の処理によって分解され、その結果悪臭成分も取り除かれたと考えられる。
【0032】図1の「断食つけば」(4)では、餌を与えないため鰻は体内の消化器官に持っている泥や悪臭成分を排出し、排出したものが分解されるため、単に悪臭を取り除くだけでなく、そこで消化器官や内臓への負荷が取り除かれ、環境が変化することによるストレスに耐えられる体力や免疫力の補充が図られたと考えることができる。その結果、通常長く育てた養殖池から移し変える等、大きな環境の変化があった時には、鰻は餌を食べなくなるが、本方式による「つけば」(4)、(6)に入れた後は、餌を食べるようになる。
【0033】実際、ひどい環境の養殖池で育った鰻は「断食つけば」(4)で処理すると、体内から吐き出される泥などだけでなく、皮膚粘膜への粘液が多量に排出され「断食つけば」(4)の水槽(16)の液面に泡状の汚泥がたくさん出た。その分、鰻の体内にあった体力負荷成分が抜き取られ、この面でも体力や免疫力の補充が図られたといえる。
【0034】そこで、「断食つけば」(4)で悪臭を取り、鰻から排出される排出物を分解し、体力や免疫力を補充した後、「保管つけば」(6)に移し、ここに保管し、ここでも同様の分解の働きをさせ、体力や免疫力をつける。その上、餌付け水槽(8)に、日に数回投入することにより、「断食つけば」(4)の過程で、悪臭成分とともに削ぎ落とした脂肪分やトロ味などを再び補填するようにした。
【0035】比較的環境の良い養殖池(2)で育成した鰻は、「たてば」(10)で悪臭を抜きながら、やはり、そこで削ぎ落とされる脂肪分やトロ味を再度つけるために、「保管つけば」(6)に入れ、餌付け水槽(8)に入れて餌を食べさせた。通常餌を食べ始めると、当然それに伴い排出物が出て、「保管つけば」(6)の中は汚れ、狭い水槽で育成することは環境上にも困難となるが、本願による「つけば」は説明して来たように、そこで鰻から排出されたり、分泌される排出物である有機物を分解する。そこで、図1で、この「断食つけば」(4)と「保管つけば」(6)の働きを共通項でくくり、鰻から排出された分泌物や排泄物を分解する第2の工程(14)とした。
【0036】これに対し、餌付け水槽(8)に入れて、調合された餌を与える工程を脂肪分やトロ味を補充するための餌付け工程とした。
【0037】養殖池から持ってきた鰻のうち何匹かを抜き取り試食し、この「断食つけば」(4)で4日間育成した鰻のやはり何匹かを抜き取り試食して、臭いや味の試食を行った。この試験結果をまとめたのが図4であるがこの図からも解かるように、元々あった臭いが取れ美味しい鰻に育成したことが確認できた。
【0038】臭いについては、養殖池から入荷した処理前の鰻は、カビ臭やアンモニア臭を被験者全員が感じていたが、「断食つけば」(4)による悪臭除去処理後は、90%以上の人が臭いが取れたことを確認した。しかしながら、脂肪分やトロ味については、逆にこの「断食つけば」(4)による悪臭除去処理後、多くの人が削り取られたことを感じている。それでも、臭いがなくなることで、この処理前と後で、味については「まずい」と「おいしい」と答えた人が逆転している。脂肪分については、餌付け処理の後、再び戻ったと多くの人が感じ、これに伴い味についても「おいしい」と答えた人が増えていた。
【0039】この臭いのない鰻をミンチにし、パン粉や小麦粉や卵などの粘結剤を入れ、塩コショウなどの調味料をふりかけハンバーグ状にして焼き上げた。また、パンに野菜と一緒に挟んで鰻バーガーとした。これらは何れも臭みのない美味しい新たな料理として味わうことができた。
【0040】これまで養殖池で育成した養殖鰻は安いが臭いがあって不味いということだった。鰻は水の中から出しても水をかけさえすれば生息つづけることができる点に注目し、ザルの中に入れそのザルを重ねた「たてば」を作り、流水を流し、鰻の消化管に入っていたものを排出するようにしたのは鰻の特徴を考えての苦肉の策であったということができる。これを水槽などの中に入れて同じように消化管内のものを吐き出させれば説明して来たように、水槽の中の水が汚れ、鰻が生息できないためである。少量の水を使い養殖池で育成した鰻の臭いを取るというのがこれまでの「たてば」を使用した方式であった。
【0041】これに対し、本発明は水槽の中に養殖池で育成した鰻を投入することによって、この臭いを取るという「つけば」方式を提案した。もちろん単なる水槽に投入すれば「たてば」での処理よりもひどい結果になることは私たちも実験過程で確認した。そこで本発明では減圧条件下での有機物の分解処理を行って来た微生物・酵素資材を利用し、説明して来たような「つけば」を新たに作った。有機物の分解処理を行って来た処理液だから、鰻が分泌し排泄する物も処理できるという点に注目した。ちなみにこの微生物・酵素資材は、動物性及び植物性のたんぱく質・脂肪それに炭水化物で作った培地にコロニーを作ることが確認できたもの、すなわちそれらをエサにして微生物が増殖できるものを使用した。
【0042】また、これまで鰻以外の養殖魚については、鰻のように水から出しておいて水をかければ生き長らえるということはないため「たてば」方式は使用できず、さりとて小さな水槽に投入することでの効果に対する疑問から養殖池での育成過程で付着した悪臭を取り除くということは行われて来なかった。またこの過程では餌を抜くため、養殖魚の重さの減少につながるといった点も行なわれなかった理由の1つだった。そのためハマチなどは油臭さなどが残ってしまうというのが通常であったが、本発明による再生システムは養殖魚についても利用できることはもちろんである。
【0043】
【発明の効果】 以上説明して来たように、本発明による養殖鰻の臭いを取る方法で養殖鰻を処理すれば、養殖中に付着したカビ臭を含む取れにくい臭いを取ることができ、なおかつ臭いを取る過程でそぎ落とされた脂肪分やトロ味を補填でき、天然鰻に近い臭いのない美味しい鰻に再生することができた。さらに本発明による方法を用いれば、小さな水槽を置くスペースがあれば、輸入した養殖鰻もこの方法で臭いを取ることができる。またこの方法は魚にとってストレスのかからない水の中に浸けるという「つけば」方式なので鰻以外にも活用できる。
【0044】なお本発明の説明の中で示した実施例はあくまで実施例であり、使用する微生物・資材は、減圧バッキ方法によることなく、その他の有機物を分解できる微生物・資材でもよい。水槽の大きさも投入鰻数によって色々と代えれば良い。「つけば」のザルは、そのザルに入った鰻を1ロットとして日程資材管理を行っているが、水槽をいくつも用意するような規模の場合、水槽ごとに鰻を一括して投入し処理するという方法も考えられる。このように実施例で示した事例に限定されるものではない。
【出願人】 【識別番号】598019118
【氏名又は名称】株式会社グリーンセイジュ
【識別番号】502026919
【氏名又は名称】小鍋 壽男
【出願日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−189753(P2003−189753A)
【公開日】 平成15年7月8日(2003.7.8)
【出願番号】 特願2001−403070(P2001−403070)