| 【発明の名称】 |
増殖および分化が制御されたトランスジェニック心筋細胞 |
| 【発明者】 |
【氏名】エリック エヌ. オルソン
【氏名】ロンダ エス. バッセル−ダビィ
【氏名】デイビッド ダブリュー. マーカム
【氏名】イゴール イー. リブキン
【氏名】アール.サンダース ウィリアムズ
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| 【要約】 |
【課題】無限に増殖し得、次いで分化へと誘導される種々の細胞を提供すること。
【解決手段】本発明は、トランスジェニックマウスを提供することによって上記課題を解決する。このトランスジェニックマウスの細胞は、発現カセットを含み、その発現カセットは、SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントに作動可能に連結される組織選択プロモーターを含み、ここで、その核酸セグメントは、5’および3’に部位特異的切除配列が隣接する。本発明はまた、そのような特徴を有するトランスジェニック細胞株を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トランスジェニックマウスであって、該トランスジェニックマウスの細胞は、発現カセットを含み、該発現カセットは、SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントに作動可能に連結される組織選択プロモーターを含み、ここで、該核酸セグメントは、5’および3’に部位特異的切除配列が隣接する、トランスジェニックマウス。 【請求項2】 前記組織選択プロモーターは、心臓細胞において優先的に活性である、請求項1に記載のトランスジェニックマウス。 【請求項3】 前記心臓組織選択プロモーターは、Nkx2.5である、請求項2に記載のトランスジェニックマウス。 【請求項4】 前記部位特異的切除配列は、loxP部位である、請求項1に記載のトランスジェニックマウス。 【請求項5】 前記発現カセットは、選択マーカーまたはスクリーニング可能なマーカーをさらに含む、請求項1に記載のトランスジェニックマウス。 【請求項6】 トランスジェニックマウス子孫細胞株を得るための方法であって、該方法は以下の工程:(a)SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントに作動可能に連結される組織選択プロモーターを含む発現カセットで1つ以上のマウス胚細胞を形質転換する工程であって、該核酸セグメントは、5’および3’に部位特異的切除配列が隣接する、工程; (b)該1つ以上のマウス胚細胞をマウス代理母へと挿入する工程; (c)1つ以上の仔を該マウス代理母から得る工程; (d)組織選択様式でSV40ラージT抗原を発現する1つ以上の仔を同定する工程;および(e)該SV40ラージT抗原を発現する1つ以上の仔から細胞を得る工程、を包含する、方法。 【請求項7】 前記組織選択プロモーターは、心臓細胞において優先的に活性である、請求項6に記載の方法。 【請求項8】 前記心臓組織選択プロモーターは、Nkx2.5である、請求項7に記載の方法。 【請求項9】 前記部位特異的切除配列は、loxP部位である、請求項6に記載の方法。 【請求項10】 前記発現カセットは、選択マーカーまたはスクリーニング可能なマーカーをさらに含む、請求項6に記載の方法。 【請求項11】 部位特異切除を活性化することにより、前記SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントを除去する工程をさらに包含する、請求項6に記載の方法。 【請求項12】 前記部位特異的切除を活性化する工程は、Creタンパク質をコードする核酸セグメントに作動可能に連結するプロモーターを含む発現構築物で、前記工程(e)の細胞を形質転換することを包含する、請求項11に記載の方法。 【請求項13】 前記発現構築物は、ウイルス発現構築物である、請求項12に記載の方法。 【請求項14】 前記ウイルス発現構築物は、アデノウイルスである、請求項13に記載の方法。 【請求項15】 前記プロモーターは、構成性プロモーターである、請求項12に記載の方法。 【請求項16】 前記プロモーターは、組織選択プロモーターである、請求項12に記載の方法。 【請求項17】 トランスジェニックマウス子孫細胞株であって、該マウス子孫細胞株は、発現カセットを含み、該発現カセットは、SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントに作動可能に連結される組織選択プロモーターを含み、ここで、該核酸セグメントは、5’および3’に部位特異的切除配列が隣接する、マウス子孫細胞株。 【請求項18】 前記組織選択プロモーターは、心臓細胞において優先的に活性である、請求項17に記載のマウス子孫細胞株。 【請求項19】 前記心臓組織選択プロモーターは、Nkx2.5である、請求項18に記載のマウス子孫細胞株。 【請求項20】 前記部位特異的切除配列は、loxP部位である、請求項17に記載のマウス子孫細胞株。 【請求項21】 前記発現カセットは、選択マーカーまたはスクリーニング可能なマーカーをさらに含む、請求項17に記載のマウス子孫細胞株。
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【発明の詳細な説明】【0001】米国政府は、米国国立衛生研究所からの助成金番号R01−HL61624に従って、本発明における権利を有する。 【0002】 【発明の属する技術分野】本発明は、概して、細胞生物学および分子生物学の分野に関する。より詳細には、本発明は、増幅を止め、そして成熟細胞への分化をさせる特定のシグナルが与えられるまで、増幅するように操作されたトランスジェニック細胞の開発に関する。この技術は、培養物において分化した状態に維持することが困難である細胞の型の研究において特に重要である。 【0003】 【従来の技術】細胞増殖および発生の間、増殖および分化は厳密に制御される。増殖細胞が完全に分化していないことは共通のパラダイムである。しかし、増殖細胞が増殖を停止するとき、分化は成熟で機能的な細胞を生成することへと進行する。不幸なことに、このプロセスは、完全には理解されていない。 【0004】増殖と分化との間の関係は、心臓において特に重要である。心臓の筋細胞(心筋細胞)は、新生児期の後は、増殖しない。従って、心臓組織は、損傷後に自己修復機構を有しない。非増殖性の心臓細胞のこのジレンマはまた、研究室での実験にも適用される。例えば、心筋細胞において行われる現在の実験は、研究室動物から新たに採取した細胞において行わなければならない。各々の実験は、動物から新鮮な細胞を採取することを必要とする。なぜなら、心臓細胞は、培養物中で増殖しないからである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】無限に増殖し得、次いで分化へと誘導される種々の細胞型を提供することは非常に関心があり、かつ、有用である。 【0006】 【課題を解決する手段】従って、本発明に従って、トランスジェニックマウスが提供される。このトランスジェニックマウスの細胞は、発現カセットを含み、この発現カセットは、SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントに作動可能に連結される組織選択プロモーターを含み、ここで、この核酸セグメントは、5’および3’に部位特異的切除配列が隣接する。上記組織選択プロモーターは、心臓細胞において優先的に活性であり得る(例えば、Nkx2.5)。上記部位特異的切除配列は、loxP部位であり得る。上記発現カセットは、選択マーカーまたはスクリーニング可能なマーカーをさらに含み得る。 【0007】別の実施形態において、トランスジェニックマウス子孫細胞株を得るための方法が提供される。この方法は以下の工程を包含する:(a)SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントに作動可能に連結される組織選択プロモーターを含む発現カセットで1つ以上のマウス胚細胞を形質転換する工程であって、この核酸セグメントは、5’および3’に部位特異的切除配列が隣接する、工程;(b)この1つ以上のマウス胚細胞をマウス代理母へと挿入する工程;(c)1つ以上の仔をこのマウス代理母から得る工程;(d)組織選択様式でSV40ラージT抗原を発現する1つ以上の仔を同定する工程;および(e)このSV40ラージT抗原を発現する1つ以上の仔から細胞を得る工程。上記組織選択プロモーターは、心臓細胞において優先的に活性であり得る(例えば、Nkx2.5)。上記部位特異的切除配列は、loxP部位由来であり得る。上記発現カセットは、選択マーカーまたはスクリーニング可能なマーカーをさらに含み得る。本方法は、部位特異的切除を活性化することにより、上記SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントを除去する工程をさらに包含し得る。上記部位特異的切除を活性化する工程は、Creタンパク質をコードする核酸セグメントに作動可能に連結するプロモーターを含む発現構築物で、上記工程(e)の細胞を形質転換することを包含し得る。上記発現構築物は、ウイルス発現構築物(例えば、アデノウイルス)であり得る。上記プロモーターは、構成性プロモーターまたは組織選択プロモーターであり得る。 【0008】さらに別の実施形態において、トランスジェニックマウス子孫細胞株が提供される。このマウス子孫細胞株は、発現カセットを含み、この発現カセットは、SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントに作動可能に連結される組織選択プロモーターを含み、ここで、この核酸セグメントは、5’および3’に部位特異的切除配列が隣接する。上記組織選択プロモーターは、心臓細胞において優先的に活性であり得る(例えば、Nkx2.5)。上記部位特異的切除配列は、loxP部位であり得る。上記発現カセットは、選択マーカーまたはスクリーニング可能なマーカーをさらに含み得る。 【0009】図面は、本願明細書の一部を形成し、そして本発明の特定の局面を更に実証するために含まれる。本発明は、本明細書において提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つ以上に対して参照することにより、よりよく理解され得る。 【0010】本発明は、以下を提供する:1.トランスジェニックマウスであって、上記トランスジェニックマウスの細胞は、発現カセットを含み、上記発現カセットは、SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントに作動可能に連結される組織選択プロモーターを含み、ここで、上記核酸セグメントは、5’および3’に部位特異的切除配列が隣接する、トランスジェニックマウス。 【0011】2. 上記組織選択プロモーターは、心臓細胞において優先的に活性である、項目1に記載のトランスジェニックマウス。 【0012】3. 上記心臓組織選択プロモーターは、Nkx2.5である、項目2に記載のトランスジェニックマウス。 【0013】4. 上記部位特異的切除配列は、loxP部位である、項目1に記載のトランスジェニックマウス。 【0014】5. 上記発現カセットは、選択マーカーまたはスクリーニング可能なマーカーをさらに含む、項目1に記載のトランスジェニックマウス。 【0015】6. トランスジェニックマウス子孫細胞株を得るための方法であって、上記方法は以下の工程:(a)SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントに作動可能に連結される組織選択プロモーターを含む発現カセットで1つ以上のマウス胚細胞を形質転換する工程であって、上記核酸セグメントは、5’および3’に部位特異的切除配列が隣接する、工程; (b)上記1つ以上のマウス胚細胞をマウス代理母へと挿入する工程; (c)1つ以上の仔を上記マウス代理母から得る工程; (d)組織選択様式でSV40ラージT抗原を発現する1つ以上の仔を同定する工程;および(e)上記SV40ラージT抗原を発現する1つ以上の仔から細胞を得る工程、を包含する、方法。 【0016】7. 上記組織選択プロモーターは、心臓細胞において優先的に活性である、項目6に記載の方法。 【0017】8. 上記心臓組織選択プロモーターは、Nkx2.5である、項目7に記載の方法。 【0018】9. 上記部位特異的切除配列は、loxP部位である、項目6に記載の方法。 【0019】10. 上記発現カセットは、選択マーカーまたはスクリーニング可能なマーカーをさらに含む、項目6に記載の方法。 【0020】11. 部位特異切除を活性化することにより、上記SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントを除去する工程をさらに包含する、項目6に記載の方法。 【0021】12. 上記部位特異的切除を活性化する工程は、Creタンパク質をコードする核酸セグメントに作動可能に連結するプロモーターを含む発現構築物で、上記工程(e)の細胞を形質転換することを包含する、項目11に記載の方法。 【0022】13. 上記発現構築物は、ウイルス発現構築物である、項目12に記載の方法。 【0023】14. 上記ウイルス発現構築物は、アデノウイルスである、項目13に記載の方法。 【0024】15. 上記プロモーターは、構成性プロモーターである、項目12に記載の方法。 【0025】16. 上記プロモーターは、組織選択プロモーターである、項目12に記載の方法。 【0026】17. トランスジェニックマウス子孫細胞株であって、上記マウス子孫細胞株は、発現カセットを含み、上記発現カセットは、SV40ラージT抗原をコードする核酸セグメントに作動可能に連結される組織選択プロモーターを含み、ここで、上記核酸セグメントは、5’および3’に部位特異的切除配列が隣接する、マウス子孫細胞株。 【0027】18. 上記組織選択プロモーターは、心臓細胞において優先的に活性である、項目17に記載のマウス子孫細胞株。 【0028】19. 上記心臓組織選択プロモーターは、Nkx2.5である、項目18に記載のマウス子孫細胞株。 【0029】20. 上記部位特異的切除配列は、loxP部位である、項目17に記載のマウス子孫細胞株。 【0030】21. 上記発現カセットは、選択マーカーまたはスクリーニング可能なマーカーをさらに含む、項目17に記載のマウス子孫細胞株。 【0031】 【発明の実施の形態】(1.本発明)成体哺乳動物心臓筋肉細胞(CMC)は、インビボでもインビトロでも増殖しない。従って、成体動物における任意の心臓細胞の欠失は、結合組織によって置き換えられる。心筋細胞増殖における同じ限定は、細胞周期およびシグナル伝達研究について使用され得る心臓細胞株の誘導体化を拒んできた。いくつかの心臓細胞株が異なるオンコジーンでの形質転換から誘導体化されているものの、多くのそのような細胞株は、殆ど分化されていない表現型を有する。 【0032】本発明者らは、トランスジェニックマウスの心室心筋細胞から心臓細胞株を作製した。SV40ラージT抗原がNkx2.5の遠位の心臓特異的(−9435/−7353)かつ基礎プロモーターによって制御される導入遺伝子を使用して、マウス胚細胞を形質転換した。マウスは、複数の内皮下腫瘍様構造を発達させ、これは、心室へと突き出ている。殆どの腫瘍は、心室の自由な隔壁に配置され、そして中隔には位置しない。腫瘍様の構造を解剖し、そしてフィブロネクチン/ゼラチンコーティングしたディッシュ上に配置して細胞を単離した。 【0033】18の個々のクローンを樹立し、そして36回継代した。これらのクローンは、多くの心臓特異的マーカーを発現した。これらには、Nkx2.5、GATA4およびMEF2Cが含まれる。しかし、これらの細胞株のどの細胞も、血清涸渇に対して細胞周期に接触も脱出もし得なかったが、それらの細胞は、DNA合成のインヒビターを用いて静止し得た。 【0034】ラージT抗原導入遺伝子がloxP部位に隣接する異なる構築物を用いて、さらなる細胞株を作製した。Creリコンビナーゼについての遺伝子がこれらの細胞へと送達され、導入遺伝子の切除およびラージT抗原の欠失を容易にするとき、その細胞は、よりゆっくりと増殖し、はるかにより大きくなり、そして目に見える交叉する線条を有する桿状かつしばしば二核形状を発達させた。従って、ラージT抗原発現の除去は、これらの、そうでなければ不死化される細胞において、顕著な程度の心筋細胞の分化を可能にするようである。 【0035】(II.細胞型)例示される実施形態において、トランスジェニック心臓細胞株を作製する。しかし、細胞株が利用可能ではないか、または既存の細胞株が適切な識別特性を欠いているかのいずれかの多数の他の細胞型が存在する。他の適切な細胞型は、その初代の特性が、不死化細胞へと形質転換される際に欠失する型である。 【0036】(III.細胞特異的プロモーター)本願を通じて、用語「発現構築物」とは、核酸コード配列の一部または全部が転写され得る遺伝子産物をコードする核酸を含む、任意の型の遺伝子構築物を包含することを意味する。そのような実施形態において、その遺伝子産物をコードする核酸は、プロモーターの転写制御下に置かれる。「プロモーター」とは、その細胞の合成機構または導入された合成機構によって認識されるDNA配列をいい、これは、遺伝子の特定の転写を開始するために必要とされる。用語「転写制御下」とは、そのプロモーターが、その核酸との関係で正しい位置および方向にあることで、RNAポリメラーゼの開始およびその遺伝子の発現を制御することを意味する。 【0037】本明細書において用いられる用語「プロモーター」とは、RNAポリメラーゼIIについての開始部位の周りにクラスター化される転写制御モジュールの群をいう。どのようにプロモーターが組織化されるかについての考察の多くは、いくつかのウイルスプロモーターの分析に由来する。これには、HSVチミジンキナーゼ(tk)およびSV40初期転写ユニットについてのプロモーターが含まれる。これらの研究は、より最近の研究によって増強されており、プロモーターが異なる機能のモジュールから構成されることが示されている。このモジュールは、その各々が、およそ7〜20bpのDNAからなり、そして転写アクチベーターまたはリプレッサータンパク質についての1つ以上の認識部位を含む。 【0038】各々のプロモータにおける少なくとも1つのモジュールは、RNA合成のための開始部位を配置するように機能する。この最も知られた例は、TATAボックスである。しかし、TATAボックスを欠失するいくつかのプロモーター(例えば、哺乳動物終結デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のためのプロモーターおよびSV後期遺伝子のためのプロモーター)において、開始部位自体に重複する異なるエレメントが開始の部位を固定することを補助する。 【0039】さらなるプロモーターエレメントは、転写開始の頻度を調節する。代表的には、これらのプロモーターエレメントは、開始部位の30〜110bp上流の領域に位置するが、多くのプロモーターが開始部位の下流に機能エレメントを同様に含むことが近年示されている。プロモーターエレメントの間の間隔はしばしば変動性であり、その結果、エレメントが互いに反転されるかまたは移動する場合、プロモーター機能は保存される。tkプロモーターにおいて、プロモーターエレメントの間の間隔は、50bp離れるまで増加し得、その後活性が減少し始める。プロモーターに依存して、個々のエレメントは共同作動的にかまたは非依存的にかのいずれかで機能し、転写を活性化し得る。 【0040】種々の実施形態において、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)最初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス長末端反復、ラットインスリンプロモーターおよびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを使用して、目的のコード配列の高レベルの発現を獲得し得る。目的のコード配列の発現を達成することが、当該分野において周知の他のウイルスプロモーターまたは哺乳動物細胞プロモーターまたは細菌性ファージプロモーターの使用が、発現のレベルが所定の目的に十分である条件で同様に考慮される。 【0041】組織特異的プロモーターが特に関心深い。例えば、筋肉特異的プロモーター、より詳細には、心臓特異的プロモーターが、不死化の心臓細胞株を調製するに有用である。これらのプロモーターとしては、ミオシン軽鎖2プロモーター(Franzら、1994;Kellyら、1995)、αアクチンプロモーター(Mossら、1996)、トロポニン1プロモーター(Bhavsarら、1996);Na+/Ca2+交換体プロモーター(Barnesら、1997)、ジストロフィンプロモーター(Kimuraら、1997)、クレアチンキナーゼプロモーター(Ritchie,M.E.1996)、α7インテグリンプロモーター(ZioberおよびKramer、1996)、脳ナトリウム利尿ペプチドプロモーター(LaPointeら、1996)、αBクリスタリン(crystallin)/小(small)熱ショックタンパク質プロモーター(Gopal−Srivastava,R.1995)、およびαミオシン重鎖プロモーター(Yamauchi−Takiharaら、1989)およびANFプロモーターが挙げられる。 【0042】(IV.SV40ラージT抗原)SV40ラージT抗原は708アミノ酸タンパク質であり、これは、SV40の感染および複製に重要な役割を担う。少なくとも6つの異なる翻訳後産物が公知であり、そしてDNA結合、DNA巻き戻し、およびDNA非依存的ATPase活性を含む様々な活性がこれに関連してきた。いくつかの他の宿主酵素および調節タンパク質もまた結合する。 【0043】ATP結合部位は残基418〜528に位置し、ジンクフィンガードメインは残基302〜320に生じ、残基122〜134は核局在配列を構成する。細胞内ラージT抗原の大多数は、核または核マトリクスに関連して存在する。オリゴマー化およびリン酸化は、SV40機能を調節する翻訳後手段である。その基本的な役割は転写を刺激することであり(おそらく、AP1およびAP2のような細胞内転写因子と共に)、これはまた感染後期にSV40初期プロモーター活性をダウンレギュレーションする。 【0044】本発明に関して、ラージT抗原はまた、形質転換タンパク質として機能する。特定の状況において、N末端フラグメントは、形質転換を支持し得る。本発明は、SV40ラージT抗原を例示するが、ポリオーマウイルスラージT抗原は、代替として使用され得る。 【0045】(V.Cre−Lox)Creは、loxP部位の間での分子内(切除性または反転性)および分子間(組み込み性)の部位特異的な組換えを媒介する、バクテリオファージP1由来の38kDaリコンビナーゼタンパク質である(Sauer、1993を参照のこと)。loxP部位(交差の座位(locus of X−ing over))は、8bpの非対称スペーサー領域によって分離された2つの13bpの逆方向反復からなる。1つのcre遺伝子は、例えば、その開示全体が本明細書中に参考として援用されるAbremskiら(1983)によって開示されるように、当該分野において公知の方法によってバクテリオファージP1から単離され得る。参考として援用される米国特許第4,959,317号は、基本的なCre−Lox系を記載する。 【0046】一分子のCreが、各逆方向反復を結合するか、または、2つのCre分子が1つのloxP部位に整列する。組換えは、非対称スペーサー領域に生じる。これらの8塩基はまた、その部位の方向性の原因である。互いに逆方向の2つのloxP配列は、DNAの介在断片を反転し、同一方向の2つの部位は、その部位の間の介在DNAの切除を指示し、1つのloxP部位を残す。この正確なDNAの除去は、導入遺伝子を活性化または排除するために使用され得る。 【0047】Lox部位は、Creリコンビナーゼの遺伝子産物が部位特異的組換えを触媒し得るヌクレオチド配列である。LoxP部位は、当該分野において公知の方法によってバクテリオファージP1から単離され得る、34塩基対のヌクレオチド配列である。バクテリオファージP1からLoxP部位を単離する方法の1つは、その開示全体が参考として本明細書中に援用されるHoessら(1982)によって開示される。上述するように、LoxP部位は8塩基対のスペーサー領域によって分離される2つの13塩基対の逆方向反復からなる。LoxPの逆方向反復およびスペーサー領域のヌクレオチド配列は、以下である:ATAACTTCGTATA ATGTATGC TATACGAAGTTAT(配列番号1)。 【0048】他の適切なlox部位として、E.coliから単離されたヌクレオチド配列であるLoxB部位、LoxL部位およびLoxR部位が挙げられる。これらの配列は、その開示全体が参考として本明細書中に援用されるHoessら(1982)によって開示されそして記載される。好ましくは、lox部位はLoxPまたはLoxC2である。LoxC2の逆方向反復およびスペーサー領域のヌクレオチド配列は、以下である:ACAACTTCGTATA ATGTATGC TATACGAAGTTAT(配列番号2)。 【0049】Johnsonら(その開示全体が参考として本明細書中に援用されるPCT出願番号WO93/19172)は、VH遺伝子が2つのloxP部位に隣接され、その1つのloxP部位が、loxPのスペーサー領域内の第7位のGがAに置換される変異loxP部位(loxP511)である、ファージベクターを記載し、この変異loxP部位は1個のベクター内の組換えにおいてVH遺伝子の単なる切除を妨げる。しかし、2つのloxP511部位は、Cre媒介組換えを介して組換え得る。従って、1つ以上の野生型lox部位の存在下で選択的に組換えられ得る。loxP511の逆方向反復およびスペーサー領域のヌクレオチド配列は、以下である:ATAACTTCGTATA ATGTATAC TATACGAAGTTAT(配列番号3)。 【0050】lox部位はまた、当該分野において公知の種々の合成技術によって産生され得る。例えば、lox部位を産生するための合成技術は、その開示全体が参考として本明細書中に援用されるItoら(1982)およびOgilvieら(1981)によって開示される。 【0051】(VI.核酸の送達)本発明に従って、核酸は2つのシナリオのうちの1つで細胞に送達される。第一に、トランスジェニック心臓細胞株の形成において、ラージT抗原をコードする発現構築物を細胞へ移入し、細胞の連続的な増殖を可能にする。第二に、特定の実施形態において、Creリコンビナーゼを細胞に移入し、それにより、ラージT抗原構築物がloxP部位に隣接される場合、ラージT抗原構築物の切除を可能にする。 【0052】ウイルス性および非ウイルス性の、2つの一般的な遺伝子移入の型が存在する。これらのいずれもが以下に記載される。 【0053】(1.ウイルスベクターを使用するDNA送達)特定のウイルスが細胞を感染し、そして/またはレセプター媒介エンドサイトーシスを介して細胞へ侵入する能力、ならびに/あるいは宿主細胞ゲノムへ組み込み、そして/またはウイルス遺伝子を安定におよび/もしくは効率的に発現する能力は、そのウイルスを哺乳動物細胞への外来遺伝子の移入について魅力的な候補とした。外来の遺伝物質を受容し得るいくつかのウイルスは、それらが受け入れ得るヌクレオチドの数またはそれらが感染する細胞の範囲が限定されるが、ウイルスは一般に首尾よく遺伝子発現をもたらす。異なる型のウイルスベクター、およびこれらを調製するための技術は、当該分野において周知である。 【0054】(A.アデノウイルスベクター)発現構築物を送達する特定の方法は、アデノウイルス発現ベクターの使用を含む。アデノウイルスベクターはゲノムDNAへの組み込み能力が低いことことが公知であるが、この特性は、これらのベクターによって提供される高い効率の遺伝子移入で埋め合わせられる。「アデノウイルス発現ベクター」とは、(a)構築物のパッケージングを支持するため、および(b)そこに挿入されたコード領域を最終的に発現するために十分なアデノウイルス配列を含む構築物を包含することを意味される。 【0055】この発現ベクターは、遺伝子操作された形態のアデノウイルスを含む。36kbの線状の二本鎖DNAウイルスというアデノウイルスの遺伝子構成の知識は、アデノウイルスDNAの大きな断片を7kbまでの外来配列と置換することを可能にする(GrunhausおよびHorwitz、1992)。レトロウイルスに比べて、宿主細胞のアデノウイルス感染は、染色体の組換えを生じない。なぜなら、アデノウイルスDNAは、優勢な遺伝的毒性のないエピソームの様式で複製し得るからである。また、アデノウイルスは、構造的に安定であり、そして広範な増幅の後にゲノム再構成が検出されていない。 【0056】アデノウイルスは、その中程度のゲノムサイズ、操作の容易さ、高力価、広範な標的細胞範囲および高感染性の理由で、遺伝子移入ベクターとしての使用に特に適切である。このウイルスゲノムの両端は、100〜200塩基対の逆方向反復(ITR)を含む。ITRは、ウイルスDNA複製およびパッケージングに必要なシス(cis)エレメントである。ゲノムの初期(E)領域および/または後期(L)領域は、ウイルスDNA複製の開始によって分裂される異なる転写単位を含む。E1領域(E1Aおよび/またはE1B)は、ウイルスゲノムおよび/またはいくつかの細胞性遺伝子の転写の調節を担うタンパク質をコードする。E2領域(E2AおよびE2B)の発現は、ウイルスDNA複製のためのタンパク質の合成を生じる。これらのタンパク質は、DNA複製、後期遺伝子発現および宿主細胞遮断(shut−off)に関与する(Renan、1990)。ウイルスカプシドタンパク質の多数を含む、後期遺伝子の産物は、主要後期プロモーター(MLP)により生成される単一の一次転写物の有意なプロセシングの後にのみ発現される。MLP(16.8m.u.に位置する)は、感染後期の間で、特に効率的であり、そして、このプロモーターから生成される全てのmRNAは、これらのmRNAを翻訳に好ましいmRNAにする、5’−三成分(tripartite)リーダー(TPL)配列を有する。 【0057】現在の系において、組換えアデノウイルスは、シャトルベクターとプロウイルスベクターとの間の相同組換えにより作製される。2つのプロウイルスベクターの間の可能な組換えに起因して、野生型アデノウイルスは、この過程から作製され得る。従って、個々のプラークからウイルスの単一のクローンを単離することおよびそのゲノムの構造を試験することが重要である。 【0058】複製欠損である現在のアデノウイルスベクターの生成および増殖は、独特なヘルパー細胞株(293と称される)に依存する。この細胞は、Ad5 DNAフラグメントによって胎児腎細胞から形質転換され、そしてE1タンパク質(E1AおよびE1B;Grahamら、1977)を構成的に発現する。E3領域はアデノウイルスゲノムに必要ではないので(JonesおよびSheck、1978)ので、現在のアデノウイルスベクターは、293細胞の補助により、E1領域、D3領域および/または両方の領域のいずれかに外来DNAを保有する(GrahamおよびPrevec、1991)。最近、E4領域に欠失を有するアデノウイルスベクターが記載されている(本明細書中に参考として援用される米国特許第5,670,488号)。 【0059】天然において、アデノウイルスは、野生型ゲノムの約105%をパッケージングし得(Ghosh−Choudhuryら、1987)、約2kbの余分なDNAの受容能力を提供する。E1領域およびE3領域に置換可能な約5.5kbのDNAと合わせて、現在のアデノウイルスベクターの最大の受容能力は、7.5kb以下であり、そしてこれはベクターの全長の約15%である。80%を越えるアデノウイルスのウイルスゲノムは、ベクター骨格を残存する。 【0060】Racherら(1995)は、293細胞の培養およびアデノウイルスの増殖について改良された方法を開示した。1つの形式において、天然の細胞凝集体は、100〜200mlの培地を含有する1lのシリコナイズされたスピナーフラスコ(Techne、Cambridge、UK)内に個々の細胞を播種することによって増殖される。40rpmでの攪拌後、細胞の生存率をトリパンブルーで調べる。別の形式において、Fibra−Celマイクロキャリア(Bibby Sterlin、Stone、UK)(5g/l)が以下のように使用される。5mlの培地中に再懸濁した細胞播種物を、250mlのErlenmeyerフラスコ中のキャリア(50ml)に添加し、そして時々攪拌しながら、1〜4時間静置しておく。次いで、この培地を50mlの新鮮培地と置換し、そして振盪を開始する。ウイルス産生のために、培地を置換(最終容量の25%まで)し、0.05のMOIでアデノウイルスを添加した後、細胞を約80%のコンフルエンシーにまで増殖させる。培養物を一晩静置し、その後容量が100%にまで増加し、さらに72時間の振盪を開始する。 【0061】アデノウイルスベクターが複製欠損および少なくとも条件付き欠損であるという要件以外の、アデノウイルスベクターの性質は、本発明の首尾よい実施に重要であると考えられていない。アデノウイルスは42の異なる公知の血清型および亜群A〜Fのいずれかであり得る。亜群Cの5型アデノウイルスは、本発明における使用のための条件付き複製欠損アデノウイルスベクターを得るために好ましい開始材料である。これは、5型アデノウイルスが、多くの生化学的情報および遺伝的情報が公知であるアデノウイルスであるからである。そしてベクターとしてアデノウイルスを利用するほとんどの構築物に歴史的に使用されてきた。 【0062】上述のように、本発明に従う代表的なベクターは複製欠損であり、そしてアデノウイルスE1領域を有さない。従って、このベクターは、このE1コード配列が除去された位置に形質転換構築物を導入するに最も簡便である。しかし、アデノウイルス配列内の構築物の挿入位置は、本発明に重要ではない。目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドはまた、Karlssonら(1986)によって記載されるようなE3置換ベクター内の欠失したE3領域の代わりに挿入され得、そして、これはまたE4領域に挿入され得、ここでヘルパー細胞株およびヘルパーウイルスがE4欠失を補完する。 【0063】アデノウイルスの増殖および操作は、当業者に公知であり、そしてインビトロおよびインビボでの広範な宿主の範囲を示す。このウイルスの群は高力価で得られ得(例えば、109〜1011プラーク形成単位/ml)、そしてこれらは高度に感染性である。アデノウイルスの生活環は、宿主細胞ゲノムへの組み込みを必要としない。アデノウイルスベクターによって送達される外来遺伝子はエピソーム性であり、従って、宿主細胞に対する遺伝的毒性は低い。野生型アデノウイルスでのワクチン接種の研究において、副作用は報告されておらず(Couchら、1963;Topら、1971)、これは、インビボ遺伝子移入ベクターとしてその安全性および治療的有効性を実証する。 【0064】アデノウイルスベクターは、真核生物遺伝子発現(Levreroら、1991;Gomez−Foixら、1992)およびワクチン開発(GrunhausおよびHorwitz、1992;GrahamおよびPrevec、1992)に使用されている。最近、動物研究により、組換えアデノウイルスが遺伝子治療に使用され得ることを示唆された(Stratford−PerricaudetおよびPerricaudet、1991a;Stratford−Perricaudetら、1991b;Richら、1993)。異なる組織への組換えアデノウイルスの投与についての研究としては、気管点滴注入法(Rosenfeldら、1991;Rosenfeldら、1992)、筋肉注射(Ragotら、1993)、末梢静脈注射(HerzおよびGerard、1993)および脳への定位接種(Le Gal La Salleら、1993)が挙げられる。組換えアデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス(以下を参照のこと)は、非分裂初代細胞の感染および形質導入の両方をなし得る。 【0065】(B.AAVベクター)アデノ随伴ウイルス(AAV)は、本発明の細胞形質導入における使用のために魅力的なベクター系である。なぜなら、AAVは、高頻度の組み込みを有しそして非分裂細胞を感染し得、従って、このことが、AAVを(例えば、組織培養(Muzyczka、1992)およびインビボにおける)細胞への遺伝子の送達に有用なものとするからである。AAVは、感染性について広範な宿主の範囲を有する(Tratschinら、1984;Laughlinら、1986;Lebkowskiら、1988;McLaughlinら、1988)。rAAVベクターの作製および使用に関する詳細は、米国特許第5,139,941号および米国特許第4,797,368号に記載される(これらのいずれもが参考として本明細書中に援用される)。 【0066】遺伝子送達におけるAAVの使用を実証する研究としては、LaFaceら(1988);Zhouら(1993);Flotteら(1993);およびWalshら(1994)が挙げられる。組換えAAVベクターは、マーカー遺伝子(Kaplittら、1994;Lebkowskiら、1988;Samulskiら、1989;Yoderら、1994;Zhouら、1994;HermonatおよびMuzyczka、1984;Tratschinら、1985;McLaughlinら、1988)および種々の疾患に関与する遺伝子(Flotteら、1992;Ohiら、1990;Walshら、1994;Weiら、1994)のインビトロおよびインビボでの形質導入について首尾よく使用されてきた。最近、AAVベクターは、嚢胞性線維症の処置に関する第I相試験について承認された。 【0067】AAVは、培養細胞において増殖性感染が進行するには別のウイルス(アデノウイルスまたはヘルペスウイルスファミリーのメンバーのいずれか)との同時感染を必要とする依存性のパルボウイルスである(Muzyczka、1992)。ヘルパーウイルスとの同時感染の非存在下では、野生型AAVゲノムは、プロウイルスとして潜伏期にある第19染色体にその末端を介して組み込む(Kotinら、1990;Samulskiら、1991)。しかし、rAAVは、AAV Repタンパク質もまた発現されることを除いて、組み込みについては第19染色体に制限されない(ShellingおよびSmith、1994)。AAVプロウイルスを有する細胞がヘルパーウイルスで重複感染されている場合、AAVゲノムは、染色体からか、または組換えプラスミドから「レスキュー」され、そして正常な増殖性感染が確立される(Samulskiら、1989;McLaughlinら、1988;Kotinら、1990;Muzyczka、1992)。 【0068】代表的には、組換えAAV(rAAV)ウイルスは、2つのAAV末端反復に隣接する目的の遺伝子を含有するプラスミド(McLaughlinら、1988;Samulskiら、1989;各々が参考として本明細書に援用される)と末端反復を含まない野生型AAVコード配列を含有する発現プラスミド(例えば、pIM45)とで同時トランスフェクトすることによって、作製される(McCartyら、1991;参考として本明細書に援用される)。その細胞はまた、AAVヘルパー機能に必要とされるアデノウイルス遺伝子を保有するアデノウイルスまたはプラスミドで、感染またはトランスフェクトされる。このようにして作製されたrAAVウイルスストックは、アデノウイルスによって汚染されており、そのアデノウイルスは、rAAV粒子から(例えば、塩化セシウム密度遠心分離によって)物理的に分離されなければならない。あるいは、AAVコード領域を含有するアデノウイルスベクター、またはAAVコード領域およびアデノヘルパー遺伝子のいくつかまたは全てを含有する細胞株が使用され得る(Yangら、1994;Clarkら、1995)。rAAV DNAを、組み込まれたプロウイルスとして保有する細胞株はまた、使用され得る(Flotteら、1995)。 【0069】(C.レトロウイルスベクター)レトロウイルスは、それらの、宿主のゲノムにそれらの遺伝子を組み込む能力、大量の外来遺伝子材料を移送する能力、広範な種または細胞型に感染する能力、および特別な細胞株にパッケージングされる能力によって遺伝子送達ベクターとしての期待を有する(Miller,1992)。 【0070】レトロウイルスは、逆転写のプロセスによって感染された細胞においてそれらのRNAを二本鎖DNAに変換する能力によって特徴づけられる一本鎖RNAウイルスの群である(Coffin,1990)。次いで、その得られるDNAは、プロウイルスとして細胞の染色体に安定に組み込まれ、そしてウイルスタンパク質の合成を方向付ける。この組み込みは、レシピエント細胞およびその子孫のウイルス遺伝子配列の維持を生じる。レトロウイルスゲノムは、カプシドタンパク質、ポリメラーゼ酵素、およびエンベロープ成分をそれぞれコードする3つの遺伝子gag、pol、およびenvを含有する。gag遺伝子の上流に見出される配列は、ゲノムのビリオンへのパッケージングのためのシグナルを含有する。2つの長末端反復(LTR)配列は、ウイルスゲノムの5’および3’末端に存在する。これらは、強力なプロモーター配列およびエンハンサー配列を含有し、そしてまた、宿主細胞ゲノムへの組み込みのために必要とされる(Coffin,1990)。 【0071】レトロウイルスベクターを構築するために、目的の遺伝子をコードする核酸は、特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノム中に挿入され、複製欠損であるウイルスを産生する。ビリオンを産生するために、gag遺伝子、pol遺伝子およびenv遺伝子を含有するが、LTRおよびパッケージング成分を含まないパッケージング細胞株が構築される(Mannら、1983)。cDNAをレトロウイルスLTRおよびパッケージング配列とともに含有する組換えプラスミドが、この細胞株中に導入される場合(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)、そのパッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写物がウイルス粒子にパッケージングされることを可能にし、これは次いで、培養培地中に分泌される(NicoasおよびRubenstein,1988;Temin,1986;Mannら、1983)。組換えレトロウイルスを含有する培地は、次いで、回収され、必要に応じて、濃縮され、そして遺伝子移入のために使用される。レトロウイルスベクターは、広範な種々の細胞型に感染することができる。しかし、組み込みおよび安定な発現は、宿主細胞の分裂を必要とする(Paskindら、1975)。 【0072】欠損レトロウイルスベクターの使用する場合の懸念は、パッケージング細胞中での野生型複製可能ウイルスの出現の可能性である。これは、組換えウイルスからのインタクトな配列が、宿主細胞ゲノムに組み込まれたgag、pol、env配列の上流に挿入する、組換え事象から生じ得る。しかし、新たなパッケージング細胞株は今や利用可能であり、それは、組換えの可能性を大きく減少するはずである(Markowitzら、1988;Hersdorfferら、1990)。 【0073】第二世代レトロウイルスベクターを使用する遺伝子送達が報告されている。Kasaharaら(1994)は、通常マウス細胞にのみ感染する、モロニーマウス白血病ウイルスの操作された改変体を調製し、そして、そのウイルスがエリスロポエチン(EPO)レセプターを保有する細胞に特異的に結合し、そして感染するようにエンベロープタンパク質を改変した。これは、EPO配列の一部を、エンベロープタンパク質に挿入して、新たな結合特異性を有するキメラタンパク質を作製することによって達成された。 【0074】(D.他のウイルスベクター)他のウイルスベクターは、本発明において発現構築物として使用され得る。ワクシニアウイルス(Ridgeway、1988;BaichwalおよびSugden,1986;Couparら、1988)、シンドビスウイルス、サイトメガロウイルスまたは単純ヘルペスウイルスのようなウイルスに由来するベクターが使用され得る。これらは、種々の細胞にとっていくつかの魅力的な特徴を提供する(Friedmann,1989;Ridgeway,1988;BaichwalおよびSugden、1986;Couparら、1988;Horwichら、1990)。 【0075】欠損性B肝炎ウイルスの最近の認識により、異なるウイルス配列の構造−機能相関に新たな洞察が得られた。インビトロ研究により、そのウイルスが、80%までそのゲノムが欠失しているにもかかわらず、ヘルパー依存性パッケージングおよび逆転写の能力を保持し得ることが示された(Horwichら、1990)。これは、大部分のゲノムが、外来遺伝子材料で置換され得ることを示唆した。Changらは、最近、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子を、ポリメラーゼ、表面、および前表面コード配列の代わりに、アヒルB型肝炎ウイルスゲノムに導入した。それは、野生型ウイルスとともに、鳥類の肝細胞腫細胞株に同時トランスフェクトされた。高力価の組換えウイルスを含有する培養培地を使用して、原発性小ガモ肝細胞腫に感染させた。安定なCAT遺伝子発現が、トランスフェクション後、少なくとも24日間検出された(Changら、1991)。 【0076】特定のさらなる実施形態において、遺伝子治療ベクターは、HSVである。HSVを魅力的なベクターにする因子は、ゲノムのサイズおよび構成である。HSVは大きいので、多重遺伝子および発現カセットの組み込みは、他のより小さなウイルス系においてよりも問題が少ない。さらに、種々の性能(時間、強度、など)を有する異なるウイルス制御配列が利用可能性は、他の系においてよりも大きな程度まで発現を制御することを可能にする。そのウイルスが、比較的少ないスプライスメッセージを有し、さらに遺伝子操作を容易にすることはまた、有利である。HSVはまた、操作が比較的容易であり、そして高力価まで成長し得る。したがって、送達は、充分なMOIを得るために必要とされる容量に関して、および反復用量の必要性が少ないことの両方において、より問題が少ない。 【0077】(E.改変されたウイルス)本発明のなおさらなる実施形態において、送達されるべき核酸は、特異的結合リガンドを発現するように操作されている感染性ウイルス内に収容される。このように、このウイルス粒子は、標的細胞の同族のレセプターに特異的に結合し、そしてその細胞にその内容物を送達する。レトロウイルスベクターの特異的標的化を可能にするように設計された新規のアプローチは、ウイルスエンベロープに存在するラクトース残基の化学的付加によるレトロウイルスの化学的改変に基づいて最近開発された。この改変はシアロ糖タンパク質レセプターを介する肝細胞の特異的感染を可能にし得る。 【0078】組換えレトロウイルスの標的化に対する別のアプローチが設計され、そこでは、レトロウイルスエンベロープタンパク質に対するビオチン化抗体または特定の細胞レセプターに対するビオチン化抗体が使用された。この抗体は、ストレプトアビジンを使用することによって、ビオチン成分を介して結合された(Rouxら、1989)。クラスIまたはクラスIIの主要組織適合性複合体抗原に対する抗体を使用することによって、彼らは、インビトロでのエコトロピックウイルスによる表面抗原を有する種々の細胞の感染を実証した(Rouxら、1989)。 【0079】(2.非ウイルス性形質転換)本発明を使用するための細胞の形質転換のための非ウイルス性核酸送達のための適切な方法は、当業者に公知のように、核酸(例えば、DNA)を用いる実質的に任意の方法を包含すると考えられる。このような方法は、注射(米国特許第5,994,624号および米国特許第5,981,274号、米国特許第5,945,100号、米国特許第5,780,448号、米国特許第5,736,524号、米国特許第5,702,932号、米国特許第5,656,610号、米国特許第5,589,466号、および米国特許第5,580,859号(参考として各々が本明細書中で援用される))(マイクロインジェクション(HarlanおよびWeintraub,1985;米国特許第5,789,215号(参考として本明細書に援用される);エレクトロポレーション(米国特許第5,384,253号(参考として本明細書に援用される));Tur−Kaspaら、1986;Potterら、1984)を含む);リン酸カルシウム沈殿(GrahamおよびVan Der Eb、1973;ChenおよびOkayama,1987;Rippeら、1990);DEAE−デキストラン続いてポリエチレングリコールの使用(Gopal、1985);直接超音波負荷(Fechheimerら、1987);リポソーム媒介トランスフェクション(NicolauおよびSene、1982;Fraleyら、1979;Nicolauら、1987;Wongら、1980;Kanedaら、1989;Katoら、1991)およびレセプター媒介トランスフェクション(WuおよびWu、1987;WuおよびWu、1988);マイクロプロジェクタイルボンバードメント(PCT出願第WO94/09699およびWO95/06128;米国特許第5,610,042号;同第5,322,783号;同第5,563,055号;同第5,550,318号;同第5,538,877号、および同第5,538,880号(各々が本明細書に参考として援用される));炭化珪素ファイバーとの攪拌(米国特許第5,302,523号および米国特許第5,464,765号(本明細書において各々が参考として援用される));アグロバクテリア媒介形質転換(米国特許第5,591,616号および同第5,563,055号(本明細書においておのおのが参考として援用される));プロトプラストのPEG媒介形質転換(Omirullehら、1993;米国特許第4,684,611号および同第4,952,500号(本明細書においてその各々が参考として援用される));枯渇/阻害媒介DNA取り込み(Potrykusら、1985)によるようなDNAの直接的送達、および任意のこのような方法の組み合わせを含むがこれらに限定されない。 【0080】A.注入特定の実施形態では、核酸は、1回以上の注入(すなわち、針注入)(例えば、皮下、皮内、筋内、静脈内(intervenously)、腹腔内など)を介して、オルガネラ、細胞、組織、または生物に送達され得る。ワクチンの注入の方法は、当業者に周知である(例えば、生理食塩水溶液を含む組成物の注入)。本発明のさらなる実施形態は、直接微量注入による核酸の導入を含む。直接微量注入は、Xenopus卵母細胞に核酸構築物を導入するために使用されている(HarlandおよびWeintraub、1985)。使用したDNAの量は、抗原の性質、ならびに使用したオルガネラ、細胞、組織、または生物に依存して変動し得る。 【0081】B.エレクトロポレーション本発明の特定の実施形態では、核酸は、エレクトロポレーションを介して、オルガネラ、細胞、組織、または生物に導入される。エレクトロポレーションは、高電圧放電への細胞およびDNAの懸濁液の曝露を含む。本方法のいくつかの変形では、特定の細胞壁分解酵素(例えば、ペクチン分解酵素)が、標的レシピエント細胞を未処理細胞よりもエレクトロポレーションによる形質転換に対して感受性にするために用いられる(米国特許第5,384,253号、本明細書中に参考として援用される)。あるいは、レシピエント細胞は、機械的損傷による形質転換に対してより感受性にされ得る。 【0082】エレクトロポレーションを用いる真核生物細胞のトランスフェクションは、非常に成功している。このようにして、マウスpre−Bリンパ球は、ヒトκ免疫グロブリン遺伝子でトランスフェクトされており(Potterら、1984)、そしてラット肝細胞は、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子でトランスフェクトされている(Tur−Kaspaら、1986)。 【0083】C.リン酸カルシウム本発明の他の実施形態では、核酸は、リン酸カルシウム沈降を用いて細胞に導入される。この技術を用いて、ヒトKB細胞は、アデノウイルス5DNAでトランスフェクトされている(GrahamおよびVan Der Eb、1973)。また、このようにして、マウスL(A9)、マウスC127、CHO、CV−1、BHK、NIH3T3、およびHeLa細胞は、ネオマイシンマーカー遺伝子でトランスフェクトされ(ChenおよびOkayama、1987)、そしてラット肝細胞は、種々のマーカー遺伝子でトランスフェクトされた(Rippeら、1990)。 【0084】D.DEAE−デキストラン別の実施形態では、核酸は、DEAE−デキストラン、続いてポリエチレングリコールを用いて細胞に送達される。このようにして、レポータープラスミドは、マウス骨髄腫細胞および赤白血病細胞に導入された(Gopal、1985)。 【0085】E.超音波処理本発明のさらなる実施形態は、直接音波処理による核酸の導入を含む。LTK-線維芽細胞は、超音波処理によってチミジンキナーゼ遺伝子でトランスフェクトされている(Fechheimerら、1987)。 【0086】F.リポソーム媒介トランスフェクション本発明のさらなる実施形態では、核酸は、脂質複合体(例えば、リポソームのような)に捕捉され得る。リポソームは、リン脂質二層膜および内部水性媒体により特徴付けられる小胞構造である。多重ラメラリポソームは、水性媒体によって分離された多重脂質層を有する。それらは、リン脂質が、過剰の水溶液中に懸濁されたとき、自発的に形成する。脂質成分は、密閉した構造の形成の前に自己再配列を受け、そして脂質二層間に水および溶解した溶質を捕捉する(GhoshおよびBachhawat、1991)。リポフェクタミン(Lipofectamine)(Gibco BRL)またはスーパーフェクト(Superfect)(Qiagen)と複合体化した核酸もまた企図される。 【0087】インビトロでの外来DNAのリポソーム媒介核酸送達および発現は、非常に成功している(NicolauおよびSene、1982;Fraleyら、1979;Nicolauら、1987)。培養ヒヨコ胚、HeLaおよび肝癌細胞における外来DNAのリポソーム媒介送達および発現の実行可能性もまた、実証されている(Wongら、1980)。 【0088】本発明の特定の実施形態では、リポソームは、血球凝集性ウイルス(HVJ)と複合体化され得る。これは、細胞膜との融合を容易にし、そしてリポソームカプセル化DNAの細胞進入を促進することが示されている(Kanedaら、1989)。他の実施形態では、リポソームは、核非ヒストン染色体タンパク質(HMG−1)と複合体化され得るか、または共に使用され得る(Katoら、1991)。なおさらなる実施形態では、リポソームは、HVJおよびHMG−1の両方と複合体化され得るか、または共に使用され得る。他の実施形態では、送達ビヒクルは、リガンドおよびリポソームを含み得る。 【0089】G.レセプター媒介トランスフェクションなおさらに、核酸は、レセプター媒介送達ビヒクルを介して標的細胞に送達され得る。これらは、標的細胞で起こるレセプター媒介エンドサイトーシスによる巨大分子の選択的取り込みを利用する。種々のレセプターの細胞型特異的分布を考慮して、この送達方法は、本発明に、特異性の別の程度を加える。 【0090】特定のレセプター媒介遺伝子標的化ビヒクルは、細胞レセプター特異的リガンドおよび核酸結合剤を含む。他は、送達されるべき核酸が作動可能に結合された細胞レセプター特異的リガンドを含む。いくつかのリガンドは、レセプター媒介遺伝子移入(これは、この技術の操作性を確立する)のために用いられている(WuおよびWu、1987;Wagnerら、1990;Peralesら、1994;Myers、EPO 0273085)。別の哺乳動物細胞型の背景での特異的送達が記載されている(WuおよびWu、1993;本明細書中に参考として援用されている)、本発明の特定の局面では、リガンドは、標的細胞集団で特異的に発現されたレセプターに対応するように選択される。 【0091】他の実施形態では、細胞特異的核酸標的化ビヒクルの核酸送達ビヒクル成分は、リポソームと組み合わせた特異的結合リガンドを含み得る。送達される核酸(単数または複数)は、リポソーム内に収容され、そして特異的結合リガンドが、リポソーム膜中に機能的に組み込まれる。このように、リポソームは、標的細胞のレセプター(単数または複数)に特異的に結合し、そしてその内容物を細胞に送達する。このような系は、例えば、表皮増殖因子(EGF)が、EGFレセプターのアップレギュレーションを示す細胞への核酸のレセプター媒介送達において使用される系を用いて機能的であることが示されている。 【0092】なおさらなる実施形態では、標的化送達ビヒクルの核酸送達ビヒクル成分は、リポソームそれ自体であり得、これは、好ましくは、細胞特異的結合を指向する1つ以上の脂質または糖タンパク質を含む。例えば、ラクトシル−セラミド、ガラクトース末端アシアロガングリオシドは、リポソーム中に組み込まれて、肝細胞によるインスリン遺伝子の取り込みの増加が観察された(Nicolauら、1987)。本発明の組織特異的形質転換構築物は、同様にして標的細胞に特異的に送達され得ることが企図される。 【0093】H.マイクロプロジェクタイルボンバードメントマイクロプロジェクタイルボンバードメント技術は、核酸を細胞、組織、または生物に導入するために使用され得る(米国特許第5,550,318号;米国特許第5,538,880号;米国特許第5,610,042号;およびPCT出願WO94/09699;これらの各々は、本明細書中に参考として援用されている)。この方法は、DNAコーティングしたマイクロプロジェクタイルを高速に加速して、細胞膜を貫通させ、細胞を殺傷することなくその中に進入させる能力に依存する(Kleinら、1987)。当該分野で公知の広範な種々のマイクロプロジェクタイルボンバードメント技術があり、その多くは、本発明に適用できる。 【0094】このマイクロプロジェクタイルボンバードメントでは、1つ以上の粒子が、少なくとも1つの核酸でコーティングされ、そして推進力によって細胞に送達され得る。小さな粒子を加速するためのいくつかのデバイスが開発されている。1つのこのようなデバイスは、高電圧放電に依存し、電流を生成し、次いで原動力を提供する(Yangら、1990)。使用したマイクロプロジェクタイルは、生物学的に不活性な物質(例えば、タングステンもしくは金の粒子もしくはビーズ)からなっている。例示の粒子は、タングステン、白金、および好ましくは金で構成された粒子を含む。いくつかの場合において、金属粒子上へのDNA沈降は、マイクロプロジェクタイルボンバードメントを用いるレシピエント細胞へのDNA送達には必要でないことが企図される。しかし、粒子は、DNAでコーティングされるよりはむしろDNAを含み得ることが企図される。DNAコーティング粒子は、粒子ボンバードメントを介するDNA送達のレベルを増大し得るが、それら自体は必要でない。 【0095】ボンバードメントのために、浮遊細胞が、フィルターまたは固形培養培地上で濃縮される。あるいは、未熟胚または他の標的細胞が、固形培養培地上に配置され得る。ボンバードされる細胞は、マクロプロジェクタイルストッピングプレートの下に適当な距離をおいて配置される。 【0096】加速(acceleration)による細胞(例えば、植物細胞)へのDNA送達のための方法の例示的実施形態は、微粒子銃粒子送達系(Biolistics Particle Delivery System)である。これは、ステンレス鋼またはNytexスクリーンのようなスクリーンを介して、例えば、懸濁液中で培養された単子葉植物細胞のような、細胞で覆われたフィルタ表面上に、DNAまたは細胞に覆われた粒子を推進(propel)させるために用いられ得る。このスクリーンは、粒子が大きな凝集体としてレシピエント細胞を送達しないように、粒子を散布する。噴射装置と衝撃を加えられる(bombarded)細胞との間に介在するスクリーンは、噴射物の凝集体のサイズを減少させ、そして大きすぎる噴射物によりレシピエント細胞上に加えられた損傷を減少させることによって、より高い頻度の形質転換に寄与し得ると考えられる。 【0097】(VII.トランスジェニック動物)本発明のトランスジェニック非ヒト動物(例えば、哺乳動物)は、以下を含む様々な種の動物であり得る:マウス(齧歯動物:例えば、マウス、ラット)、トリ(avian)(ニワトリ、シチメンチョウ、家禽(fowl))、ウシ(bovine)(肉牛(beef)、乳牛(cow)、家畜(cattle))、ヒツジ(ovine)(仔ヒツジ(lamb)、綿羊(sheep)、ヤギ(goats))、ブタ(porcine)(ブタ(pig)、ブタ(swine))、およびサカナ(piscine)(サカナ(fish))。好ましい実施形態では、トランスジェニック動物は、齧歯動物(例えば、マウスまたはラット)である。非ヒトトランスジェニック動物を生成するための詳細な方法は、本明細書中に記載される。トランスジェニック遺伝子構築物は、トランスジェニック動物を作製するための動物の生殖細胞系に導入され得る。例えば、この構築物の1つまたはいくつかのコピーは、標準的なトランスジェニック技術により哺乳動物胚のゲノムに取りこまれ得る。 【0098】例示的な実施形態では、本発明の「トランスジェニック非ヒト動物」は、非ヒト動物の生殖細胞系へと導入遺伝子を導入することにより産生される。種々の発生段階での胚性の標的細胞は、導入遺伝子を導入するために用いられ得る。異なる方法が、胚性の標的細胞の発生の段階に依存して用いられる。本発明を実施するために用いられる任意の動物の特定の系統は、一般的に、良好な健康、良好な胚収率、胚における良好な前核の視感度、および良好な生殖適応性について選択される。さらに、ハプロタイプは、有意な因子である。 【0099】胚への導入遺伝子の導入は、例えば、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、またはリポフェクチンのような、当該分野で公知の任意の手段により達成され得る。例えば、Fcレセプター導入遺伝子は、哺乳動物受精卵の前核への構築物のマイクロインジェクションにより、哺乳動物へと導入されて、発育中の哺乳動物の細胞において保持されるべき構築物の1つ以上のコピーを生じ得る。受精卵への導入遺伝子構築物の導入の後、この卵は、様々な時間で、インビトロでインキュベートされてもよいし、代理宿主へと再移植されてもよいし、またはその両方でもよい。再移植は、標準的な方法を用いて達成される。通常、代理宿主は、麻酔され、そして胚は、輸卵管に挿入される。特定の宿主に移植される胚の数は、種により変化するが、通常、天然で産生する種の子孫の数に匹敵する。成熟のためのインビトロでのインキュベーションは、本発明の範囲内である。1つの通常の方法は、インビトロで胚を、種に依存して、約1〜7日間インキュベートし、次いでこれらを代理宿主に再移植する。 【0100】トランスジェニック操作された胚の子孫は、組織のセグメントのサザンブロット分析により、構築物の存在について試験され得る。トランスジェニック的に変化された哺乳動物の同腹仔は、誕生後に、子孫のゲノムへの構築物の取り込みについてアッセイされ得る。好ましくは、このアッセイは、所望の組換えタンパク質産物またはそのセグメントをコードするDNA配列に対応するプローブを、子孫由来の染色体物質上にハイブリダイズさせることにより達成される。これらのゲノムにおける構築物の少なくとも1つのコピーを含むことが見出されたこれらの哺乳動物の子孫は、成熟するまで成長される。 【0101】本発明の目的のために、接合体は、本質的に、完全な生物へと発達することが可能である二倍体細胞の形態である。一般に、接合体は、天然かまたは人工のいずれかで、配偶子(単数または複数)から2つの二倍体核の融合により形成される核を含む卵から構成される。従って、配偶子核は、天然で適合性であるもの(すなわち、機能する生物へと分化を受けるおよび発達することが可能な生存可能な接合体を生じるもの)でなければならない。一般に、正倍数体の接合体が好ましい。異数体の接合体が得られる場合、染色体の数は、いずれかの配偶子が由来する生物の正倍数の数について、1より多くは変化しないはずである。 【0102】類似の生物学的考慮に加えて、物理的考慮はまた、接合体の核または接合体核の一部を形成する遺伝物質へ添加され得る、外来の遺伝物質の量(例えば、容量)を決定する。遺伝物質が取り出されない場合、添加され得る外来の遺伝物質の量は、物理的に破壊されることなく吸収される量に制限される。一般に、挿入される外来の遺伝物質の容量は、約10ピコリットルを超えない。添加の物理的効果は、接合体の生存度を物理的に破壊するような大きなものであってはならない。DNA配列の数および種類の生物学的制限は、特定の接合体および外来の遺伝物質の機能に依存して変化し、そして当業者に容易に明らかである。なぜならば、得られた接合体の遺伝物質(外来の遺伝物質を含む)は、機能的生物への接合体の分化および発達を、生物学的に開始および維持し得なくてはならないからである。 【0103】代理宿主のトランスジェニック子孫は、任意の適切な方法により導入遺伝子の存在および/または発現についてスクリーニングされ得る。スクリーニングは、頻繁に、導入遺伝子の少なくとも一部に相補的であるプローブを用いる、サザンブロット分析またはノーザンブロット分析により達成される。導入遺伝子によりコードされるタンパク質に対する抗体を用いるウエスタンブロット分析は、導入遺伝子産物の存在についてスクリーニングするための別の方法またはさらなる方法として用いられ得る。代表的には、DNAは、尾組織から調製され、そして導入遺伝子についてサザン分析またはPCRにより分析される。あるいは、最高レベルで導入遺伝子を発現すると考えられる組織または細胞は、サザン分析またはPCRを用いる導入遺伝子の存在および発現について試験されるが、任意の組織型または細胞型が、この分析に用いられ得る。 【0104】導入遺伝子の存在を評価するための代替的方法またはさらなる方法としては、酵素アッセイまたは免疫学的アッセイのような適切な生化学的アッセイ、特定のマーカーまたは酵素活性についての組織学的染色、フローサイトメトリー分析などが挙げられるが、これらに限定されない。血液の分析もまた、血中の導入遺伝子産物の存在を検出するため、ならびに種々の型の血液細胞および他の血液成分のレベルに対する導入遺伝子の効果を評価するために有用であり得る。 【0105】トランスジェニック動物の子孫は、トランスジェニック動物を適切なパートナーと交配させることによって、またはトランスジェニック動物から得られた卵子および精子のインビトロ受精によって得られ得る。パートナーとの交配を実施する場合、このパートナーは、トランスジェニックまたはノックアウトであってもよく、あるいはトランスジェニックまたはノックアウトでなくてもよく;パートナーがトランスジェニックである場合、このパートナーは、同じ導入遺伝子または異なる導入遺伝子を含み得るか、あるいは両方を含み得る。あるいは、パートナーは、親の系統であり得る。インビトロ受精を使用する場合、受精胚は、代理宿主に移植されてもよく、インビトロでインキュベートされてもよく、あるいはその両方であってもよい。いずれかの方法を使用して、子孫は、上記の方法または他の適切な方法を使用して導入遺伝子の存在について評価され得る。 【0106】本発明に従って産生されるトランスジェニック動物は、外因性の遺伝物質を含む。上記に示されるように、この外因性の遺伝物質は、特定の実施形態において、Fcレセプターの産生を生じるDNA配列である。さらに、このような実施形態において、この配列は、転写制御エレメント(例えば、プロモーター)に連結され、この転写制御エレメントが、好ましくは、特定の細胞型における導入遺伝子産物の発現を可能にする。 【0107】レトロウイルス感染もまた、非ヒト動物へ導入遺伝子を導入するために使用され得る。発生中の非ヒト胚は、インビトロで胚盤胞段階へ培養され得る。この時間の間、割球が、レトロウイルス感染の標的であり得る(Jaenich,R.1976)。透明帯を除去するための酵素処理によって、効率的な割球の感染が得られる(Manipulating the Mouse Embryo,Hoganら編、1986)。導入遺伝子を導入するために使用されるウイルスベクター系は、代表的には、導入遺伝子を保有する複製欠損レトロウイルスである(Jahnerら、1985;Van der Puttenら、1985)。トランスフェクションは、ウイルス産生細胞の単層上で割球を培養することによって、容易かつ効率的に得られる(Van der Putten、1985;Stewartら、1987)。あるいは、感染は、より後の段階で実施され得る。ウイルスまたはウイルス産生細胞は、胞胚腔に注入され得る(Jahnerら、1982)。組み込みは、トランスジェニック非ヒト動物を形成した細胞のサブセットにおいてのみ生じるので、創始者の多くは導入遺伝子についてモザイクである。さらに、創始者は、ゲノム中の異なる位置で導入遺伝子の種々のレトロウイルス性の挿入を含み得、これらは、一般的に、子孫中で分離する。さらに、妊娠中期の胚の子宮内レトロウイルス感染によって、生殖細胞系に導入遺伝子を導入することも可能である(Jahnerら、1982)。 【0108】導入遺伝子導入のための第3の型の標的細胞は、胚性幹細胞(ES)である。ES細胞は、インビトロで培養した移植前の胚から得られ、そして胚と融合される(Evansら、1981;Bradleyら、1984;Gosslerら、1986;Robertsonら、1986)。導入遺伝子は、DNAトランスフェクションまたはレトロウイルス媒介形質導入によってES細胞に効率的に導入され得る。その後、このような形質転換されたES細胞は、非ヒト動物由来の胚盤胞と合わせられ得る。その後、これらのES細胞は、胚にコロニー形成し、そして得られるキメラ動物の生殖細胞系に寄与する。概説については、Jaenisch,R.を参照のこと(1988)。 【0109】 【実施例】(VIII.実施例)以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実施するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施において良好に機能するために、本発明者らによって発見された技術を表し、従って、その実施のための好ましい様式を構成するとみなされ得ることが、当業者に理解されるべきである。しかし、本発明の開示に顧みて、多くの変更が、開示される特定の実施形態において成され得、そしてなお、本発明の精神および範囲を逸脱することなく同様または類似の結果を獲得し得ることが、当業者に理解される。 【0110】細胞がSV40ラージT抗原発現構築物で形質転換されたトランスジニックマウスを、心臓特異的Nkx2.5プロモーターを使用して生成した。1つの構築物において、ラージT抗原コード配列を、loxP部位に隣接させた(NLT)。トランスジェニックマウス心臓の組織学的試験は、局所的な過形成、特に、心内膜下腫瘍形成が示した。50を超える細胞株を、3匹の創始者動物(2匹のloxP-、1匹のloxP+)の心臓において発生した腫瘍から樹立した。約30%のNLTが、電気刺激に対して代表的な波形を示した(図1)。 【0111】(loxP部位を含む細胞(NLT)およびloxP部位を含まない細胞(CMT)のRT−PCR分析) これらの結果を、表1に例示する。 【0112】 【表1】
初期継代NLT細胞は、抗体染色によって決定されるように、T抗原、T抗原アクチン陽性構築物の染色を示した。より高い継代では、NLT細胞は、非常に初期のアクチン陽性構築物のみを示した。細胞はデスミンでも染色されたが、α−骨格アクチンでは染色されず、これは、これらの細胞が心臓筋肉細胞から誘導されたことを示す。一旦、Cre発現アデノウイルスで感染させると、細胞増殖は減少し(図2)、そして細胞サイズが増加した(図3)。 【0113】本明細書中に開示および特許請求される組成物および方法の全ては、本開示を考慮して、過度の実験を伴わずに作製および実行され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態の点において記載されてきたが、本明細書中に記載の組成物および方法ならびに方法の工程および工程の順序に、本発明の概念、精神および範囲を逸脱することなく変更が適用されることが、当業者に明らかである。より詳細には、化学的および生理学的の両方で関連する特定の薬剤が、本明細書中に記載の薬剤と置換され得、同じまたは類似の結果が達成されることが明らかである。当業者に明らかなこのような類似の置換および改変の全ては、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の精神、範囲および概念内にあるとみなされる。 【0114】(参考文献)以下の文献は、それらが本明細書において示される説明に対する例示的な手順または他の詳細な補充説明を提供するという程度で、本明細書において参考として援用される。 U. S. Patent No. 4,684,611U. S. Patent No. 4,797,368U. S. Patent No. 4,952,500U. S. Patent No. 4,959,317U. S. Patent No. 5,139,941U. S. Patent No. 5,302,523U. S. Patent No. 5,322,783U. S. Patent No. 5,384,253U. S. Patent No. 5,384,253U. S. Patent No. 5,464,765U. S. Patent No. 5,538,877U. S. Patent No. 5,538,880U. S. Patent No. 5,538,880U. S. Patent No. 5,550,318U. S. Patent No. 5,550,318U. S. Patent No. 5,563,055U. S. Patent No. 5,563,055U. S. Patent No. 5,580,859U. S. Patent No. 5,589,466U. S. Patent No. 5,591,616U. S. Patent No. 5,610,042U. S. Patent No. 5,610,042U. S. Patent No. 5,656,610U. S. Patent No. 5,670,488U. S. Patent No. 5,702,932U. S. Patent No. 5,736,524U. S. Patent No. 5,780,448U. S. Patent No. 5,789,253U. S. Patent No. 5,945,100U. S. Patent No. 5,981,274U. S. Patent No. 5,994,624Abremski et al., Cell 32:1301-1311, 1983.Baichwal and Sugden, In: Gene Transfer, Kucherlapati (ed.), New York, Plenum Press, 117-148, 1986.Barnes et al., J.Biol. Chem, 272(17):11510-11517, 1997.Bhavsa et al., Genomics, 35(1):11-23, 1996.Bradley et al., Nature 309:255-258, 1984.Chang et al., Hepatology, 14:134A, 1991.Chen and Okayama, Mol. Cell Biol., 7(8):2745-2752, 1987.Clark et al., Hum. Gene Ther., 6(10):1329-1341, 1995.Coffin, Retroviridae and Their Replication. 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| 【出願人】 |
【識別番号】591217403 【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム 【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
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| 【出願日】 |
平成13年11月19日(2001.11.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078282 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 秀策
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| 【公開番号】 |
特開2003−164237(P2003−164237A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月10日(2003.6.10) |
| 【出願番号】 |
特願2001−353806(P2001−353806) |
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