トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 電動式花粉交配機
【発明者】 【氏名】田中 正夫
【住所又は居所】愛媛県東予市旦之上甲443−1 田中技研株式会社内

【要約】 【課題】簡易構成にして軽快に使用でき、省エネ的で効率良い授粉作業を行うことができる電動式花粉交配機を提供する。

【解決手段】花粉収納容器にハンドル及び操作スイッチを設けて手元部とする。ダイアフラム式ポンプ及びその駆動源を肩掛け又は腰付け可能な駆動部としてユニット化する。手元部及び駆動部をスパイラル状のエアーホースで接続し、手軽に携帯させ、花から花への授粉処理を可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 花粉収納容器、該容器の底部に設けた風噴出口、前記容器の上部に設けた花粉噴出ノズル、前記風噴出口を介して前記容器の底部へパルス状の風の噴出指令を行う操作スイッチを備えた手元部と、前記パルス状の風を生成するダイアフラム式のポンプ、該ポンプを駆動するモータ、該モータに電源供給するバッテリーを備えた駆動部と、前記風噴出口及び前記ダイアフラム式ポンプの風出口を結ぶエアホースとを有し、前記手元部の操作スイッチの操作に基いて前記ダイアフラムポンプを操作している間、又は規定回数駆動し、前記風噴出口を介してパルス状の風を噴出し、前記花粉噴出ノズルから所要量の花粉のみを噴出することを特徴とする電動式花粉交配機。
【請求項2】 請求項1に記載の花粉交配機において、前記エアホースは、伸縮自在のスパイラルエアホースとされることを特徴とする電動式花粉交配機。
【請求項3】 請求項1に記載の電動式花粉交配機において、前記駆動部には、操作者の腰部に直接固定するための腰フック、及び肩掛けバンドを固定するためのバンドフックが備えられることを特徴とする電動式花粉交配機。
【請求項4】 請求項1に記載の花粉交配機において、前記花粉噴出ノズルは、その中間に蛇腹が設けられ、角度傾倒自在とされることを特徴とする電動式花粉交配機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、果樹等の雌しべに優良品種から採取した雄しべ花粉を人工的に吹付け、高品質、高収穫を可能とする電動式花粉交配機に関し、特にダイアフラム式ポンプを電動駆動して、所要量の花粉のみを適切に噴射し、使い勝手が良く、省エネルギーにして高効率の電動式花粉交配機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の花粉交配を行う道具としては、例えば実開昭62−187573号公報に示される花粉交配器の例がある。この花粉交配器は、ノズルを備えた花粉容器の底部にゴム製のニギリポンプをを備えて成り、ニギリポンプを手で握り締めることによって容器底部から風を送り、この風に載せてノズル先端から花粉を噴射させるようにしたものである。ニギリポンプの風出口には、排気弁が設けられている。また他端には吸気弁が設けられている。ニギリポンプを握り締めると圧縮空気が風となって容器の底部から噴き出され、手を緩めると、吸気弁から空気が入って来る。
【0003】上記花粉交配器は、最も簡易な構成にして手軽に利用できる利点がある。しかしながら、ニギリポンプを手調整で握り締める構成であるため、ニギリポンプの繰り返しの操作により、手指に負担がかかり腱鞘炎等の身体的障害をもたらす恐れがある。疲労度多く、高齢作業者には不向きである。また、ニギリポンプを指圧して後開放するとき、ゴム体内部が負圧となり、花粉が排気弁へ侵入し、排気弁の機能を害するという問題点があった。また、このとき、排気弁を介してゴム体内に花粉が侵入する。これらによって、最終的には花粉の噴出量にムラが生じ、貴重な花粉をムダに消費してしまう等の問題点があった。
【0004】上記の如く、ニギリポンプの繰り返しの操作による疲労を解消することを目的として、送風を電動で行うようにした電動式のものの例としては、例えば実開平4−129758号公報に示される花粉交配機の例がある。この花粉交配機は、ノズル付の花粉収納容器から成る手元側の噴出装置とは別体に送風ファン及びその電動モータ並びに電源から成る噴出装置を設け、前記噴出装置の手元操作で前記噴出装置から送られてくる風の断続を操作するようにしたものである。本花粉交配機では、花粉収納容器の上部に風の吹出口を設け、容器上方から下方へ向けて吹出される風によってノズルから花粉混じりの風を吹出す構成とされている。また、花粉送管の途中に空気の流量調整機構と断続噴出機構とが設けられている。
【0005】上記電動式の花粉交配機にあっては、送風の電動化によって、手操作による疲労を解消できる。また、空気の流量調整機構及び断続噴出機構を設けているので、連続噴出するのと比べれば、花粉を無駄にすることが無い。
【0006】しかしながら、上記電動式の花粉交配機にあっては、空気の流量調整機構及び断続噴出機構は設けているものの、ファンは連続回転しているので、モータの電源である電池の消耗は避けられず、省エネの観点で問題が残る。また、花粉容器の上部から花粉に向けて送風し、花粉混じりの風を噴出する構成であり、かつそれに送る風の量及び時間を操作する形であるので、細かく観察すれば、果たして最適量の制御が行ない得ているか否か疑問である。細かく観察すると、本送風方式では、花粉を噴出し、次に送風したとき、容器内の花粉が飛散して空気中に必要十分な濃度に混合されなければならない。それには相応の時間が必要である。でなければ、必要十分な濃度に混合しない状態で噴出することになり、これでは確実な受粉が得られないことになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術に鑑みて、楽な使用が可能で疲労や腱鞘炎等の身体的障害が発生することが無く、高齢作業者にあっても簡易、便利に使用できる電動式の花粉交配機を提供することを目的とする。
【0008】また、花から花への受粉作業において、花単位の花粉噴出を操作でき、それに必要な風及び花粉量のバランスを巧みとして必要エネルギーが最少でバッテリ寿命を長くでき、必要最小限の花粉を効率良くかつバラツキ少なく発生噴出させ、貴重な花粉を長持ちさせて適正使用することのできる電動式花粉交配機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決することができる本発明の電動式花粉交配機は、花粉収納容器、該容器の底部に設けた風噴出口、前記容器の上部に設けた花粉噴出ノズル、前記風噴出口を介して前記容器の底部へパルス状の風の噴出指令を行う操作スイッチを備えた手元部と、前記パルス状の風を生成するダイアフラム式のポンプ、該ポンプを駆動するモータ、該モータに電源供給するバッテリーを備えた駆動部と、前記風噴出口及び前記ダイアフラム式ポンプの風出口を結ぶエアホースとを有し、前記手元部の操作スイッチの操作に基いて前記ダイアフラムポンプを駆動し、前記風噴出口を介して勢いの良いパルス状の風を必要最少時間のみ噴出し、前記花粉噴出ノズルから所要量の花粉のみを瞬発的に噴出することを特徴とする。
【0010】手元部は、花粉を収納する小型容器に操作スイッチを取付けた形となるので、軽量、コンパクトで操作し易く構成できる。駆動部は、小型のダイヤフラム式ポンプをバッテリ駆動されるモータで作動させる形であるので、1kg程度でコンパクトに構成できる。
【0011】前記手元部及び駆動部はエアホースで接続される。該エアホースをスパイラル状とし伸縮自在とすることにより、手元操作を自在とすることができる。
【0012】ダイアフラム式ポンプは、吸気弁及び排気弁を取付けたエアー室の空気をダイアフラムで押圧することにより、瞬発的な作動によってパルス状の圧縮した空気を手元操作に応じて間欠的に送風することができる。しかも、エアー室及びダイアフラムの大きさ、作動サイクル等を自由に設計でき、パルス波形を適切に設計できる。
【0013】前記ダイアフラム式ポンプの排気弁から出力される瞬発的な風は、前記エアホースを介して前記花粉容器の底部に設けた風噴出口へ出力される。風噴出口から出力された瞬発的な勢いの良い風は、瞬時に花粉を巻き上げて舞い上らせ、ノズルへ向けて飛散させ、ノズル先端から目的とする花へ向けて噴出させる。花粉量に拘らず、花粉濃度を常時一定に保つことができ、授粉を確実化できる。花粉量の無駄も少ない。
【0014】前記駆動部には、操作者の腰部に直接固定するための腰フック、及び肩掛けバンドを固定するためのバンドフックを備えておけば、操作者の選択により、腰へ付けて、又は肩に掛けて楽な姿勢での作業が行なえる。
【0015】前記花粉噴出ノズルの中間に蛇腹を設けておけば、その部分での折り曲げによりノズル先端方向を任意に調整でき、各種方向に向いた花に対し、楽な姿勢で授粉できる。蛇腹部分には、操作しなければ角度変更されないよう、ある程度の剛性を持たせておいた方が良い。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る電動式花粉交配機の全体説明図である。図2は、駆動部の背面図、図3は、駆動部の右側面図である。
【0017】図1に示すように、本形態の電動式花粉交配機は、手元部1と駆動部2を伸縮自在のスパイラル状のエアーホース3で接続して構成されている。前記手元部1は、花粉収納容器4の底部に風噴出口5を設け、上部に花粉収納噴出ノズル6を設け、その下方を手で指持可能のハンドル7とした構成である。風噴出口5には、逆止用のボールバルブが設けられる。風噴出し方向は直上である。
【0018】前記ハンドル7の人指し指が来る位置には、風の噴出指令を行うための操作スイッチ8が設けられている。スイッチ8と接続されるリード線9は、前記エアーホース3に沿って配線される。
【0019】一方、前記駆動部2は、DC充電バッテリー10と、バッテリースイッチ11を介してDCモータ12が設けられ、DCモータ12の回転軸と接続されるクランク13の回転により、ダイアフラム式ポンプ14を駆動する構成となっている。ダイアフラム式ポンプ14は、吸気弁15及び排気弁16を備えた空気室17の空気圧を変動させ、吸気口18より吸気した空気を瞬発的に排気口19に向けて出力する態様である。排気口19は、前記エアーホース3の一端と接続されている。エアーホース3の他端は、前記花粉収納容器4の前記風噴出口5と接続されている。
【0020】前記駆動部2は、ユニットカバー20内にコンパクトに収納固定される。前記バッテリースイッチ11は、不使用時の電源遮断を容易に行うため、ユニットカバー20の上部に臨ませている。ユニットカバー20の一側面には、前記ハンドル7の一側に設けたハンドルフック21を係止すべくハンドルフックホルダー22が設けられる。図2及び図3に詳細に示すように、肩掛け用のショルダーバンド23を固定するためのショルダーバンドフック24と、作業者の腰部のベルトに直接吊下げ固定するための腰フック25が設けられている。ショルダーバンドフック24は、ショルダーバンド23に対し、固定的なものであっても良い。図2に詳細に示すように、前記DCモータ12とダイアフラム式ポンプ14類は充電バッテリー10と同様外形の1つのケース26内に収納され、共に落下防止ベルト27を介してユニットカバー20に固定されている。駆動部2の重量は、1kg強である。
【0021】以上の形態の電動式花粉交配機において、作業者は、駆動部2のショルダーバンド23を首を通して又は通さず肩にかけ、効き手でハンドル7を持って授粉、交配作業をすることができる。花粉収納容器4には、半分量以下の花粉剤28を収納しておく。
【0022】作業開始においては、バッテリースイッチ11を入れ、操作スイッチ8を押圧ONすることでノズル6の先端から花粉を噴出させることができる。片手操作できるので、他方の手を沿えた花に対して、次々と、花単位での授粉作業を行うことができる。手指操作を楽に行えるので、腱鞘炎等が発生する恐れは皆無である。
【0023】操作スイッチ8の操作と、ダイアフラム式ポンプ14の作動の関係では、二通りの方法がある。1つは、操作スイッチ8を押圧している間、ダイアフラム式ポンプ14を作動し続ける方式である。この場合、間欠的ないし連続様な送風を行う。もう1つは、操作スイッチの押圧に基いて、ダイアフラム式ポンプ14を1ないし複数回だけ作動させる方式である。いずれの方式によるも、エアーホース3を介しての送風は、1ないし複数のパルスを含む1つのパルス波形となる。本例では、前者の方式によるとする。即ち、操作スイッチ8の1回の押圧操作によって、微小な複数パルスを合成した形の1つのパルス状の送風が行なわれ、必要最小限の送風及び花粉噴出が行なわれる。
【0024】図4は、以上示した電動式花粉交配機の花粉噴出作用を従来例と比較して示す線図である。(a)図は、従来例で示した実開昭62−187573号公報に示される花粉交配器、(b)図は同実開平4−129758号公報に示される花粉交配機、(c)図が本発明に係る電動式花粉交配機の作用を示している。図において、横軸は時間、縦軸は、花粉噴出量Qi(i=1,2,3)及び送風に要したエネルギー量Eiを示す。
【0025】図4に示すように、本発明の電動式花粉交配機では、時刻t1でダイアフラム式ポンプ14が動作し、微小パルスの合成値である1つのパルス波形のエネルギーE3が消耗され、花粉収納容器4内での花粉舞い上りに要する若干の時間遅れΔt3を伴って、花粉量Q3の花粉がノズル6から噴出する。この花粉量Q3は、実際必要な最小限量として予め設定された量である。
【0026】一方、(a)図に示すように、ニギリポンプでは、握りによる所要エネルギーE1が大で手が疲れる。また、それにより噴出する花粉量が極端に大で、花粉量のムダを生じている。計算上、ムダ量は、最小限量Q3の5〜10倍である。
【0027】また、(b)図の断続噴出機構のものは、ファンが連続して作動しているため、極端に消費電力が高い。
【0028】また、断続噴出機構の作動によって時刻t2で送風断とするも、花粉を上方から吹付けた風に乗せる形であるので、舞い上りのための遅れ時間Δt2が多大であり、花粉量Q2も大である。計算上、花粉量Q2は、最小限量Q3の3〜5倍となる。
【0029】以上示した花粉噴出に関する作用により、本発明のダイアフラム式ポンプにより花粉収納容器の底部に明けた風噴出口からパルス状の風を吹き上げ花粉噴出するのが最も省エネ的で花粉を無駄にしないことが示される。これにより、バッテリーの放電寿命及び花粉使用量を数倍向上できる。
【0030】本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施できる。
【0031】
【発明の効果】以上の通り、本発明は、実用新案登録請求の範囲に記載の通りの電動式花粉交配機であるので、手軽で操作容易にして、指による軽い力で操作スイッチを操作するのみで、花から花への授粉作業を老人等を含めて楽に実施できる。楽な操作が可能であるので腱鞘炎等の身体的障害を発生する恐れが無い。
【0032】また、ダイアフラム式ポンプによりパルス状の風を花粉容器の底部へ送り、これで花粉を舞い上らせる形であるので、使用エネルギー及び花粉量を最小限に止めることができ、バッテリー寿命を長くし、貴重な花粉を長持ちさせて使用することができる。
【0033】さらに、パルス状の風を花粉収納容器の底部から噴出し、その上部に位置する花粉を気流に乗せて舞い上げる形であるので、遅れ時間が最小で、花粉を均一に噴出することができ、最小エネルギーで最大効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】398067487
【氏名又は名称】田中技研株式会社
【住所又は居所】愛媛県東予市旦之上甲433番地1
【出願日】 平成14年4月8日(2002.4.8)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開2003−289735(P2003−289735A)
【公開日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願番号】 特願2002−105161(P2002−105161)