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【発明の名称】 スギの樹皮を材料とした園芸素材
【発明者】 【氏名】尾瀬 順子

【要約】 【課題】環境保護、資源保護の観点から林業廃棄物であるスギの樹皮を園芸素材として有効利用する。

【解決手段】スギの樹皮を煮沸し、あく抜きし、乾燥し、さらに液肥など植物に必要な養分を添加した園芸素材(グランドカバー、水苔代替品、土壌改良剤)、また、この素材を成型した園芸素材を得るものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スギの樹皮を95°C〜100°Cの水で煮沸し、流水にて色落ちしなくなるまであく抜きし、乾燥させことを特徴とする園芸素材。
【請求項2】 スギの樹皮を上記煮沸工程に代えて120°C〜130°Cで加圧滅菌させたことを特徴とする請求項1の園芸素材。
【請求項3】 請求項1または2記載の園芸素材に液肥を浸潤させ乾燥させたことを特徴とする園芸素材。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の園芸素材を攪拌機に入れ、石灰水に3%〜5%のカゼインを溶解させた溶液を加えて、撹拌して得られた泥漿物を圧縮させながら乾燥させ成型させることを特徴とする園芸素材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、林業廃棄物であるスギの樹皮を利用した園芸素材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スギの樹皮は人の手によって剥かれ、直径が30cmもあるようなスギの樹皮は、建築などの分野でかわら屋根の下にひわだぶきのように使われていた。しかし、床柱として使われる北山杉の磨き丸太は樹齢30年程度の直径20cmほどのものであり、その樹皮を手作業で剥いたとしても幹の円周が短いため商品になりにくい。現在は、水圧により杉の樹皮を内皮ごと剥離させる方法がとられている。この方法で剥離した樹皮は細かく裂かれて水分を多量に含んでいる。そのため、焼却処分がはかどらず分解が遅いため堆肥にすることも難しく、利用されずに産業廃棄物となって山裾に放置され、林業従事者は頭を痛めている現状がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、環境保護、資源保護の観点からなされるものであり、上記のような理由で産業廃棄物になっているスギの樹皮を安価にリサイクル処理し、ガーデニングを楽しむ人々に園芸素材として提供し、また、スギの樹皮の利用範囲を広げることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の園芸素材(以下本発明1という)は林業廃棄物になっているスギの樹皮を95°C〜100°Cの水で煮沸し、流水にて色落ちしなくなるまであく抜きし、乾燥させることを特徴としている。
【0005】請求項2記載の園芸素材(以下本発明2という)は、請求項1の煮沸工程に代えて120°C〜130°Cで加圧滅菌させたことを特徴としている。
【0006】請求項3記載の園芸素材(以下本発明3という)は、本発明1または本発明2に液肥を浸潤させて化学肥料を添加し乾燥させることを特徴としている。
【0007】請求項4記載の園芸素材(以下本発明4という)は、本発明1〜本発明3のいずれかの園芸素材を攪拌機に入れ、石灰水に3%〜5%のカゼインを溶解させた溶液を加えて、撹拌して得られた泥漿物を圧縮させながら乾燥させ成型させることを特徴としている。
【0008】本発明1の煮沸工程の温度は、95°C未満では殺菌効果が低く、95°C以上で煮沸すると樹皮に混在しているほとんどの細菌が死滅するので95°C以上が必要である。煮沸する時間については一般に20分〜40分が好ましい。
【0009】本発明2の加圧滅菌はオートクレープや圧力釜によってなされるのが好ましく、温度としては120°C未満では芽胞状態の細菌を死滅させることができず、130°C以上に上げてもその効果は上がらないので、120°C〜130°Cに限定させる。通常オートクレープでは2気圧まで加圧し温度を120°C〜130°Cに設定するのが好ましい。また、加圧滅菌する時間は特に限定されるものではないが15分〜30分が好ましい。
【0010】本発明3でいう液肥とはクノップ液や、市販の化学肥料を水に溶かしたもの、あるいは市販の液肥であり、植物の成長に必要な養分を添加するために用いるものである。
【0011】本発明4でいう石灰水に3%〜5%のカゼインを溶解させた溶液は、本発明1〜本発明3の園芸素材を成型するために用いる助剤である。カゼインは接着作用を持つリンタンパク質の1種で、水に溶けにくく希アルカリに解ける性質を持っているため石灰水に3%〜5%のカゼインを溶解すると糊状の溶液を得ることができる。ここでいう3%〜5%というのは、一般に石灰水に溶解できるカゼインの量である。
【0012】
【発明の実施の形態】(実施例1)以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明する。本発明1の園芸素材を説明すると、京都北山の名産である北山杉の磨き丸太生産工程の水圧による皮むきによってできるスギの樹皮を鍋に入れ、樹皮にかぶる程度の水を加えて加熱し、97°Cで30分間煮沸して殺菌し、さらに流水で色落ちしなくなるまでさらしてあく抜くし、家庭用ミキサーに投入して水を加えて粉砕し、乾燥させて園芸素材を得た。得られた園芸素材はグランドカバー、水苔代替品、土壌改良剤等に好適なものであった。
【0013】(実施例2)次に本発明2の園芸素材の実施の一例を説明する。実施例1で用いたと同じスギの樹皮を用い、これをオートクレープに投入し、121°Cで20分間加圧滅菌し、実施例1と同様にあく抜き、粉砕、乾燥し園芸素材を得た。この得られた園芸素材は加圧滅菌されているので芽胞状態の細菌まで死滅しており、発芽の床として用いると高い発芽率が得られた。
【0014】(実施例3)次に本発明3の園芸素材の実施の一例を説明する。実施例1で得られた園芸素材20gに、水200ccにハイポネックス(ハイポネックス・ジャパン製)5ccを加えた液肥を浸潤させ、室内にて常温乾燥させて園芸素材を得た。この得られた園芸素材は植物の成長を促すことができ、グランドカバー、水苔代替品、土壌改良剤等に好適なものであった。
【0015】(実施例4)次に本発明4の園芸素材の実施の一例を説明する。実施例1で得られた園芸素材15gに、石灰水150gにカゼイン4.5gを加えて細菌の繁殖を防ぐために冷蔵庫にて3日間時々攪拌しながら溶解させた糊状のカゼイン液を加えて家庭用ミキサーにて粉砕撹拌して得られた泥漿物を傾斜した板の上に載せ、厚さ2cm程度の板状に形を整え、その上に重さ2.3kgの煉瓦を置き1日圧縮させた後、煉瓦を取り除いて自然乾燥し成型して園芸素材を得た。このようにして得られた園芸素材は通気性に富み、完全に自然に帰るものであった。成型する形を工夫することにより花壇のしきり等に好適なものであった。本実施例は、煉瓦を用いたが煉瓦を用いず蒸気アイロンを用いて成型することもできる。
【0016】
【発明の効果】本発明1の園芸素材は、煮沸、水さらしにより光沢のある美しい茶色となり、グランドカバーとして最適である。グランドカバーは地表を美しく見せるだけでなく地表の乾燥や雑草の繁殖を押さえる働きをする。細長い繊維状のものであるため、絡み合って風にとばされにくく、特に冬越しする植物にとっては防寒を目的として使用できる。あく抜きにより発根への影響がなく、通水性・通気性に優れているのでランなどの床として使える。この園芸素材の浸水液のpHは6.4〜6.6であり、水苔のそれ(4.7〜5.3)に比べると中性に近いものである。さらに、通水性・通気性が乏しくなった土に土壌改良剤として用いることができる。
【0017】本発明2は本発明1の効果をすべて発現する上に土壌細菌の影響を受けやすい発芽の時期の床としても利用できる。
【0018】本発明3は本発明1または本発明2の効果をすべて発現する上に液肥を浸潤させることで適度な養分をもっており植物の成長も促すことができる。
【0019】本発明4は本発明1〜本発明3のいずれかを成型したものであり、助剤として用いる石灰水に溶かしたカゼインの溶液中のカゼインはリンタンパクの1種で自然に帰るものであり、また、石灰分は土壌の酸性化を中和する働きをもっているため環境保護の観点から有益な成型方法といえる。カゼイン溶液の濃度を変えたり、圧縮時の圧力を変えてポット型、煉瓦型等に成型することで利用範囲が広がる。
【0020】このように、今まで廃棄物であったものを有効利用し、林業の副産物とすることができる。製造過程が単純で、化学薬品をほとんど使わずに製造することが可能で、環境に与える影響が少ない。加熱については林業の廃材を燃料とすることができ、生産コストは大変低い。昨今のガーデニングブームの中で、安価で、美しい茶色の自然に帰る素材ということから利用範囲が広がる。
【出願人】 【識別番号】302023275
【氏名又は名称】尾瀬 順子
【出願日】 平成14年5月9日(2002.5.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−325045(P2003−325045A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−133432(P2002−133432)