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【発明の名称】 植栽基材、屋上緑化システム及び支持具
【発明者】 【氏名】安達 譲治
【住所又は居所】東京都豊島区高田1丁目36番22号 株式会社ヌルハウス内

【氏名】吉井 康雄
【住所又は居所】東京都豊島区高田1丁目36番22号 株式会社ヌルハウス内

【要約】 【課題】植栽物の栽培養生及び屋上等への敷設施工を容易かつ安価に行うことができる植栽基材、栽培方法、屋上緑化システム及び支持具を提供する。

【解決手段】合成樹脂よりなる平板状のトレイ15上に、植栽物13を植生させるための培土18を収容配置して、植栽基材14を構成する。培土18は団粒土及び粗骨材を主体として構成し、好ましくは水分により結合力を発揮するバインダを混合する。植栽基材14の培土18に植栽物13を植生させて、所定の繁茂状態になるまで栽培した後、複数の植栽基材14を建築物の屋上に敷設して、屋上緑化システムを構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成樹脂よりなる平板状のトレイ内に、植栽物を植生させるための培土を収容配置し、その培土を団粒土及び粗骨材を主体として構成したことを特徴とする植栽基材。
【請求項2】 体積比で、培土の団粒土が70〜40%、粗骨材が50〜20%であることを特徴とした請求項1に記載の植栽基材。
【請求項3】 団粒土が赤玉土または鹿沼土であることを特徴とした請求項1または2に記載の植栽基材。
【請求項4】 粗骨材が溶岩砕石、砂礫、ポーラスコンクリートのうちの少なくとも1つの種類から構成されることを特徴とした請求項1〜3のいずれかに記載の植栽基材。
【請求項5】 培土がアルカリ性であることを特徴とした請求項1〜4のいずれかに記載の植栽基材。
【請求項6】 前記培土には水分により結合力を発揮するバインダを混合したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の植栽基材。
【請求項7】 前記培土中の空隙率が15〜35%であることを特徴とした請求項1〜6のいずれかに記載の植栽基材。
【請求項8】 前記培土中に空隙形成材を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の植栽基材。
【請求項9】 トレイに、培土を保持するための保持手段を設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の植栽基材。
【請求項10】 前記植栽物がメキシコマンネングサ類からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の植栽基材。
【請求項11】 請求項10に記載の植栽基材を建築物の屋上に複数個浮上した状態で敷設したことを特徴とする屋上緑化システム。
【請求項12】 請求項1〜請求項10のうちのいずれかに記載の植栽基材のコーナ部を、屋上の床面から浮上した状態で支持するための支持部を設けたことを特徴とする支持具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、植栽物を植生させるのに使用される植栽基材、屋上緑化システム、及びその屋上緑化システムに使用する支持具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】昨今では、都市構造の高層化と稠密化に伴い、建築物の屋上等に緑化を施すことが、都市緑化の空間形成に重要視されてきている。このような建築物の緑化は、大気浄化、乾燥防止、温暖化防止、ヒートアイランド現象の緩和等、地球温暖化防止への効果が大きいことが認識され、景観の向上を含めて環境の形成に際して重要な条件となってきている。また、個々の建築物においては、省エネルギのために、屋上を緑化して、断熱性を高めるようにようにすることが徐々に普及しつつある。
【0003】そして、この種の建築物の屋上等に対する従来の緑化方法としては、不織布状の基盤マットの繊維間隙に、土壌あるいは人工土壌よりなる植栽土壌を擦り込み充填して植生マットを形成する。そして、この植生マットに播種または苗播により植栽物を植生させて養生し、植栽部が所定の大きさまで成育した状態で、植生マットを屋上等の人工地盤上にシートを介して敷設施工するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、従来技術においては、植生マットが不織布状の基盤マットからなっている。このため、植栽物を栽培する場合には、植栽物を植生させてなる多数の植生マットを畑等の広い圃場に平面的に敷設して、植栽物が所定の大きさまになるまで育成養生していた。よって、植栽物の栽培養生に畑等の広い圃場を必要とするばかりでなく、その栽培養生が面倒であるために、栽培コストが高くなるという問題があった。
【0005】また、植栽物の成育状態で、植生マットを建築物の屋上等に敷設施工する場合には、その植栽マットを圃場から1枚ずつ剥離する手間が必要である。しかも、剥離後の植生マットが柔軟性を有して、形状が不安定であるために、運搬や施工において取り扱いが面倒で、作業に手間がかかり、結果として、施工コストの高騰を招くという問題もあった。
【0006】さらに、建築物の屋上等に対する植生マットの敷設施工に際して、植生マットの形状が不安定であるため、その植生マットの敷設及び固定作業が面倒で手間がかかった。特に、屋上等の施工箇所が傾斜面である場合には、植生マットが敷設状態でずれや湾曲を生じやすいため、敷設固定が困難であるという問題もあった。
【0007】この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その主たる目的は、植栽物の栽培養生及び屋上等への敷設施工に適した植栽基材を提供することにある。
【0008】この発明のその他の目的は、植栽物を広い圃場を必要とすることなく容易に栽培養生することができて、栽培コストを低減することができ、しかも、植栽物を見栄え良く育成できるとともに、メンテナンスフリーを達成できるようにすることにある。
【0009】この発明のその他の目的は、植栽物の運搬や施工が簡単で、施工コストを低減することができる屋上緑化システムを提供することにある。この発明のその他の目的は、屋上緑化システムに適した支持具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載の植栽基材に係る発明においては、合成樹脂よりなる平板状のトレイ内に、植栽物を植生させるための培土を収容配置し、その培土を団粒土及び粗骨材を主体として構成したことを特徴とするものである。
【0011】従って、この請求項1に記載の発明によれば、植栽物の栽培養生及び屋上等への敷設施工に際して、培土及びその培土に植生させた植栽物を、硬質のトレイに収容した状態で手軽に取り扱うことができる。よって、圃場を必要とせず、しかも、形状不安定性の問題が生じることがなく、植栽物の栽培養生及び屋上等への敷設施工を容易に行うことができる。特に、培土として、団粒土及び粗骨材を主体としたことにより、培土中に多くの空隙が形成される。このため、培土の通気性及び通水性が良好になり、植栽物に対する養分や水分が適度に欠乏する。従って、植栽物が徒長することなく、匍匐生育されて、面的な広がりを持つとともに、新根の発育が促進されて、常に世代交代して常緑化を達成でき、しかも雑草が生えにくくなり、良好な見栄えを維持できる。また、植栽物が匍匐生育するために、刈り込みなどのメンテナンスが不要になり、維持・管理コストを低減できる。
【0012】請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明において、体積比で、培土の団粒土が70〜40%、粗骨材が50〜20%であることを特徴としたものである。
【0013】従って、培土中に空隙を有効に形成でき、新根の発育促進に好適である。また、空隙の比率を大きくすることが可能であるために、植栽基材を軽量化でき、運搬や敷設施工において取り扱いが容易になる。
【0014】請求項3に記載の発明においては、請求項1または2に記載の発明において、団粒土が赤玉土または鹿沼土であることを特徴としたものである。従って、団粒土を長期にわたって形状保持できるため、培土中の空隙を同様に長期にわたって維持できる。
【0015】請求項4に記載の発明においては、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、粗骨材が溶岩砕石、砂礫、ポーラスコンクリートのうちの少なくとも1つの種類から構成されることを特徴としたものである。
【0016】従って、溶岩砕石を用いた場合には、培土をアルカリ性にでき、砂礫を用いた場合にはコストを低減でき、ポーラスコンクリートを用いた場合には、アルカリ性にできるとともに、軽量化が可能になる。
【0017】請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、培土がアルカリ性であることを特徴としたものである。従って、雑草が生えるのを抑制できる。
【0018】請求項6に記載の発明においては、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記培土には水分により結合力を発揮するバインダを混合したことを特徴とするものである。
【0019】従って、トレイ上に培土を収容した状態で、培土を予め固めておくことができて、植栽物の栽培養生、運搬及び屋上等への敷設施工に際して、トレイから培土が零れ落ちるおそれを確実に防止することができる。よって、植栽物の栽培養生及び屋上等への敷設施工を一層容易に行うことができる。さらには、屋上への敷設状態において、培土が風雨によって持ち去られるのを抑制できる。
【0020】請求項7に記載の発明においては、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記培土中の空隙率が15〜35%であることを特徴としたものである。従って、空隙率を充分に確保できるために、前述した請求項2と同様な作用を得ることができる。
【0021】請求項8に記載の発明においては、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記培土中に空隙形成材を設けたことを特徴とするものである。従って、培土中に空隙を確実に形成できる。
【0022】請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、トレイに、培土を保持するための保持手段を設けたことを特徴とするものである。従って、この保持手段により培土を安定状態で保持でき、植栽物の長期栽培に寄与できる。特に、この保持手段を網状に形成し、それをトレイに接着等によって固定すれば、長期栽培の寄与に有効である。
【0023】請求項10に記載の発明においては、請求項1〜9のいずれかに記載の発明において、前記植栽物がメキシコマンネングサ類からなることを特徴とするものである。
【0024】従って、植栽物が持続的に世代交代しながら、匍匐状態の植栽を維持できて、メンテナンスフリーに近くなり、維持・管理コスト負担が極めて少ない。請求項11に記載の屋上緑化システムに係る発明は、前記請求項10に記載の植栽基材に植栽物を植生させ、その植栽基材を建築物の屋上に複数個敷設したことを特徴とするものである。
【0025】従って、この請求項11に記載の発明によれば、建築物の屋上に植栽物を敷設施工する際に、植栽物を植栽基材のトレイ上に栽培した状態で手軽に取り扱うことができる。よって、植栽物を建築物の屋上に容易に運搬して敷設施工することができて、施工コストを低減することができる。
【0026】請求項12に記載の支持具に係る発明は、前記請求項1〜請求項10のうちのいずれか一項に記載の植栽基材のコーナ部を、屋上の床面から浮上した状態で支持するための支持部を設けたことを特徴とするものである。
【0027】従って、この請求項12に記載の発明によれば、植栽物を育成した植栽基材を建築物の屋上に敷設する際に、植栽基材のトレイを屋上の床面から浮上した状態で支持することができる。よって、植栽基材の敷設状態で、植栽物の排水性及び通気性を確保することができて、植栽物を良好に育成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1〜図3に示すように、この実施形態の屋上緑化システムにおいては、建築物11の屋上に断熱効果を付与するように、その建築物11の屋上の床面12上に、植栽物13を植生した複数の植栽基材14が相互に隣接した状態で、かつ床面12から浮上した状態で敷設固定される。
【0029】すなわち、前記植栽基材14は、トレイ15と、そのトレイ15内に防根シート16を介して敷設された保持手段としての合成繊維等の網体17と、植栽物13を植生させるために網体17上に収容配置された培土18とから構成されている。
【0030】図2及び図3に示すように、前記トレイ15は、塩化ビニール等の合成樹脂により全体として長四角形をなし、上面を開放した扁平な有底箱型に形成されている。トレイ15の開口部の外周縁には幅の狭いフランジ部15aが形成され、このフランジ部15aによってトレイ15全体が補強されるとともに、トレイ15の運搬時等に手掛け部として使用できるようになっている。トレイ15の底壁には多数の排水孔15bが形成され、これらの排水孔15bを介して雨水等の水が排出されるようになっている。前記防根シート16は、良好な透水性を有するシートであって、例えば、ポリエステル繊維の不織布よりなり、植物の根に対する貫通抵抗性と土壌に対する侵入抵抗性を有する。前記網体17は、ポリエステル等の長繊維を低い密度で絡ませて構成され、トレイ15の高さより若干低く形成されていて、培土18を保持する。なお、この網体17は、防根シート16に対して、適当な複数箇所でスポット的に接着されてもよく、あるいは適当箇所においてクリップ等を用いて締結されてもよい。
【0031】図3に示すように、前記培土18は、団粒土18a及び粗骨材18bを主体とし、これに調整用土18c、改良土18d、有機肥料18e及びバインダ18fを適量混合して構成されている。これらの混合比率は、体積比で、例えば、団粒土18aが57.5%、粗骨材18bが30%、調整用土18cが2.5%、改良土18dが2.5%、有機肥料18eが2.5%、バインダ18fが5%となるように設定されている。なお、この培土18の混合比率は、植栽物13の種類等に応じて任意に変更設定されるが、以下の混合比率になるのが好ましい。すなわち、団粒土18aが70〜40%、粗骨材18bが50〜20%、調整用土18cが5〜1.5%、改良土18dが5〜1.5%、有機肥料18eが5〜1.0%、バインダ18fが6〜3%である。
【0032】前記培土18中の団粒土18aとしては、粒径10〜15mmの赤玉土、鹿沼土等が使用される。粗骨材18bとしては、粒径10〜25mmの焼成岩すなわち溶岩砕石、砂礫、ポーラスコンクリート等が使用される。このように、粒径の大きな団粒土18a及び粗骨材18bを使用しているため、団粒土18a及び粗骨材18bの相互間に多くの空隙が存在して、培土18の通気性と通水性が確保され、植栽物13の新根の発育が促されて新陳代謝が促進されるようになっている。また、粗骨材としては溶岩砕石のように、pH7〜9のものが使用され、培土18全体としてpH7以上のアルカリ性となるように調整されている。従って、この培土18には、雑草がほとんど生えない。
【0033】前記培土18中の調整用土18cとしては、バーミキュライト等が使用される。改良土18dとしては、ピートモス等が使用される。この改良土18dが空隙形成材を構成する。そして、特に、このピートモスが水分吸収と乾燥を繰り返して体積を増減させることにより、前記団粒土18a及び粗骨材18bの相互間に空隙を効果的に形成させるようになっている。なお、この培土18中の空隙率は、30〜20%程度、例えば25%に設定するのが好ましい。
【0034】前記培土18中の有機肥料18eとしては、有機入り化学肥料が使用され、必要に応じて石灰が混合使用される。バインダ18fとしては、セメントパウダが使用される。そして、このバインダ18fの混合によって、培土18に雨水等の水が供給されて乾燥したとき、バインダ18fが結合力を発揮して、培土18が崩れないように網体17と一体的に結合され、トレイ15に対して固定されるようになっている。
【0035】前記のように構成された植栽基材14を使用して、植栽物13を栽培する場合には、培土18上に植栽物13を播種または苗播により植生させる。そして、図4に示すように、多段栽培棚19を使用して、植栽物13を植生させた植栽基材14を多段栽培棚19の棚板19a上に載置して、植栽物13を所定の繁茂状態、例えば植栽物13の根が培土18に活着するとともに、前記植栽物13による被覆率が70%程度になるまで栽培養生する。
【0036】この場合、前記植栽物13としては、多年草を使用し、例えばメキシコマンネングサ等のセダム類を使用する。また、多年草の複数種を組み合わせてもよく、例えばメキシコマンネングサ類をメインにして、マメ科やハーブ類を適宜に組み合わせてもよい。この植栽物13としては、メキシコマンネングサの外に、ヨーロッパマンネン、コッシニウム、サカサマンネン、キリンソウ、タイトゴメ、モリムラマンネングサ、マルバマンネングサ等が適している。さらには、前記マメ科としてはクローバ,シロツメグサ、ハーブ類としてはミント,ラベンダーが適し、多肉類のアロエ,サボテン等を植栽物13として採用することも可能である。
【0037】そして、前記植栽物13の育成においては、その根が培土18の空隙内を這うようにして発根成長するとともに、空隙内において互いに絡み合って、培土18に活着される。そして、この状態では、前記植栽物13の根に対して、通気性と通水性が確保されるため、根に対する水分と養分が適度に欠乏し、前記植栽物13は徒長することなく、まだらになることなく均一に広がるように匍匐成長する。
【0038】そして、この植栽物13の栽培時には、植栽基材14が合成樹脂よりなる硬質のトレイ15に培土18を収容して構成されているため、植栽基材14を形状の安定した状態で手軽に取り扱うことができる。また、多数の植栽基材14を前記のように多段栽培棚19の棚板19a上に載置した状態で栽培養生することができるため、その栽培養生を広い圃場を必要とすることなく容易に行うことができる。
【0039】次に、前記のような植栽基材14を使用して、屋上緑化システムを施工する方法について説明する。さて、この施工時には、植栽物13を所定の繁茂状態まで栽培育成してなる植栽基材14を、栽培箇所から建築物11の屋上の施工箇所まで運搬する。この場合にも、植栽基材14が合成樹脂よりなる硬質のトレイ15に培土18を収容して構成されているため、植栽基材14を形状の安定した状態で手軽に取り扱うことができる。
【0040】続いて、図5〜図7に示すように、建築物11の屋上の床面12に対して、複数の支持具20を所定間隔おきに配置して、接着剤により固定する。そして、それらの支持具20上に各植栽基材14のトレイ15のコーナ部を屋上の床面12から浮上した状態で支持して、屋上の床面12上に複数の植栽基材14を縦方向及び横方向に隣接状態で敷設する。その後、各支持具20に対応してトレイ15のコーナ部上に複数の固定具22を配置し、それらの固定具22上から支持具20にボルト23を螺合することにより、植栽基材14が支持具20と固定具22にとにより挟持され、前記植栽物13を敷設状態に固定することができる。
【0041】このように、植栽物13を植生してなる複数の植栽基材14を屋上の床面12上に敷設する場合、植栽基材14が硬質のトレイ15から構成されているため、屋上の床面12が傾斜面となっていても、植栽基材14を位置ずれが生じることなく容易かつ確実に敷設することができる。また、各植栽基材14が支持具20により屋上の床面12から所定間隔をおいた状態に敷設されているため、常に植栽物13の培土18の排水性及び通気性を保つことができて、植栽物13を良好に育成することができる。
【0042】そこで、前記支持具20及び固定具22の構成を説明する。図7及び図8に示すように、前記支持具20は硬質合成樹脂により一体に形成され、円板状の基板部24と、その基板部24の上面中央に立設された中央ボス部25と、その中央ボス部25の外周に突設された平面十字状の規制壁部26とを一体に備えている。規制壁部26間において基板部24上には、支持部としての4つの支持ボス部27が突設されている。そして、前記植栽基材14のトレイ15のコーナ部が、支持ボス部27により屋上の床面12から浮上した状態で支持されるとともに、そのコーナ部が隣接する規制壁部26との接触にて所定位置に位置決めされるようになっている。
【0043】中央ボス部25の中心にはボルト螺合孔30が形成され、前記固定具22上からこのボルト螺合孔30にボルト23が螺合されるようになっている。前記基板部24の下面には薄肉状の折り取り用溝部31が底面十字状に延長形成されている。この折り取り用溝部31の十字の中心は、中央ボス部25から外れたところに位置している。折り取り用溝部31と対応するように、相互に隣接する規制壁部26の側面にも折り取り用溝部32が縦方向に延長形成されている。そして、屋上の床面12の端部に支持具20を配置固定する場合等において、支持具20の不要な部分を必要に応じて、これらの折り取り用溝部31,32から折り取り除去できるようになっている。
【0044】図7及び図9に示すように、前記固定具22は硬質合成樹脂により一体に形成され、四角平板状の基板部33と、その基板部33の下面四隅に突設された4つの突部34とから構成されている。基板部33にはボルト挿通孔35が形成され、このボルト挿通孔35を介して、前記支持具20のボルト螺合孔30にボルト23が螺合されるようになっている。
【0045】前記基板部33の上面には、薄肉状の折り取り用溝部36が平面十字状に延長形成される。この折り取り用溝部36も折り取り用溝部32と同様に基板部33の中心から外れている。そして、ボルト23により固定具22を支持具20上に固定した状態で、植栽基材14のトレイ15のコーナ部上に突出した固定具22の不要部分を必要に応じて、この折り取り用溝部36から折り取り除去できるようになっている。
【0046】また、支持具20及び固定具22をそれぞれ折り取り用溝部32,36において折り取れば、支持具20及び固定具22を屋上の壁部等に干渉することなく、設置できる。すなわち、図11及び図12から明らかなように、折り取り用溝部32,36を介して支持具20及び固定具22を折り取ることにより、以下のような態様を採ることができる。つまり、第1,第2,第3の部分20a,20b,20c,22a,22b,22cをすべて除去する態様、第1及び第2の部分20a,20b,22a,22b,または第2及び第3部分20b,20c,22b,22cを除去する態様である。さらに、第1,第2,第3の部分20a,20b,20c,22a,22b,22cをそれぞれ単独で除去する態様である。そして、屋上の床面12に対する支持具20及び固定具22の配置位置等に応じて、前記各態様のいずれかを選択すればよい。
【0047】次に、前記のような屋上緑化システムにおいて、建築物11の屋上に敷設された植栽基材14上の植栽物13に水を散布するためのスプリンクラ及びその制御構成について説明する。
【0048】図1に示すように、建築物11の屋上の適当箇所にはスプリンクラ40が配設され、このスプリンクラ40の作動によって、植栽基材14上の植栽物13に水が散布されるようになっている。また、屋上の別の箇所には図10に示すような太陽電池41が設置され、この太陽電池41にて得られた電力がバッテリ42に蓄えられて、スプリンクラ40の作動に使用されるようになっている。
【0049】図10に示すように、前記スプリンクラ40を制御するための制御装置43にはメモリ44が接続され、このメモリ44には日照時間に対応するスプリンクラ40の動作タイミング等に関するデータが記憶されている。制御装置43には前記太陽電池41が接続され、この太陽電池41により検出された日照信号が制御装置43に出力されるようになっている。そして、制御装置43は、この日照信号のデータを日照時間カウンタ45により積算させる。さらに、制御装置43には、降雨センサ47が接続され、この降雨センサ47により、降雨が検出される。この降雨センサ47により降雨が検出された場合には、前記日照カウンタ45により積算された日照時間のデータがクリアされる。
【0050】前記制御装置43には、日照時間カウンタ45及びスプリンクラ40用の開閉バルブ46が接続されている。そして、制御装置43は、日照時間カウンタ45にてカウントされた日照時間がメモリ44に記憶された所定値に達したとき、開閉バルブ46を開放させて、スプリンクラ40から植栽物13に水を所定時間散布させるようになっている。
【0051】よって、このスプリンクラ40を備えた屋上緑化システムにおいては、植栽物13に対する水の散布を日照時間に応じて自動的に行うことができて、植栽物13の維持管理が容易になる。
【0052】従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ この植栽基材14においては、合成樹脂よりなる平板状のトレイ15内に、メキシコマンネングサ類等の植栽物13を植生させるための培土18が収容配置されている。従って、従来とは異なり、前述した図4から明らかなように、広い圃場を要することなく、狭いスペースで効率よく栽培できる。そして、トレイ15は、形状安定性に優れるために、施工に際しては、トレイ15を積層状態で運搬して容易に敷設することができる。このため、施工コストを低減できる。加えて、トレイ15が形状安定性に優れるため、トレイ15を斜面に敷設することが可能になる。なお、このトレイ15としては、育苗容器に使用されていたものを再利用することができ、このようにすれば、施工コストのさらなる低減が可能になる。
【0053】・ 培土18が団粒土18a及び粗骨材18bを主体として構成されているため、培土18中に多くの空隙が形成される。しかも、団粒土18a及び粗骨材18bの表面には、飛散土等が付着し、それが乾燥と雨水等による湿潤とを繰り返すことにより、団粒土18a及び粗骨材18bの表面にへばりついて、培土化する。そして、前記空隙により、通気性及び通水性が良好になる。このため、植栽物が徒長することなく、匍匐繁茂されて、面的な広がりを持つとともに、雑草が生えにくくなって、良好な見栄えを得ることができる。また、植栽物13が匍匐繁茂するために、刈り込みなどのメンテナンスが不要になり、維持・管理コストを低減できる。そして、植栽物の根が空隙内において新たに発根を繰り返すため、世代交代が継続し、植栽物の繁茂状態を長期間にわたって維持できる。さらに、培土18中に空隙が多く形成されているために、植栽基材14が軽量化され、運搬等における取り扱いが容易である。
【0054】・ 粗骨材18bが溶岩砕石、砂礫、ポーラスコンクリートのうちの少なくとも1つの種類から構成される。そして、溶岩砕石を用いた場合には、培土をアルカリ性にすることに貢献でき、砂礫を用いた場合にはコストを低減でき、ポーラスコンクリートを用いた場合には、アルカリ性にできるとともに、軽量化が可能になる。そして、培土18がアルカリ性であるため、雑草が生えるのを抑制でき、良好な見栄えを長期にわたって維持できる。また、ポーラスコンクリートを用いた場合には、粗骨材18bの表面積を実質的に拡張できて、植栽物13の繁茂条件を向上できるものとなる。
【0055】・ この植栽基材14においては、前記培土18中に、水分により結合力を発揮するバインダが混合されている。このため、トレイ15上に培土18を収容した状態で、培土18を予め固めておくことができて、植栽物13の栽培養生、運搬及び屋上等への敷設施工に際して、トレイ15が斜めになったとしても、トレイ15から培土18が零れ落ちるおそれを確実に防止することができる。よって、斜面に対するトレイ15の敷設をいっそう安定して行うことが可能になるとともに、植栽物13の栽培養生及び屋上等への敷設施工を一層容易に行うことができる。しかも、屋上への敷設状態では、培土18がある程度固められているため、培土18が風雨によって持ち去られるのを抑制できる。加えて、バインダとしてセメントパウダを用いれば、培土18をアルカリ性にでき、雑草抑制に効果的である。
【0056】・ この屋上緑化システムにおいては、前記のような構成の植栽基材14に植栽物13を植生させた状態で、その植栽基材14を建築物11の屋上に複数個敷設している。このため、建築物11の屋上に植栽物13を敷設施工する際に、植栽物13を植栽基材14のトレイ15上に栽培した状態で手軽に取り扱うことができる。よって、植栽物13を面倒な運搬作業や敷設作業を必要とすることなく、建築物11の屋上に容易に運搬して敷設施工することができて、施工コストを低減することができる。
【0057】・ この屋上緑化システムの支持具20においては、前記のような構成の植栽基材14のコーナ部を、屋上の床面から浮上した状態で支持するための支持ボス部27が設けられている。このため、植栽物13を育成した植栽基材14を建築物11の屋上に敷設する際に、植栽基材14のトレイ15を屋上の床面12から浮上した状態で支持することができる。よって、植栽基材14の敷設状態で、植栽物13の培土18の排水性及び通気性を確保することができて、植栽物13を匍匐繁茂状態に良好に育成することができる。
【0058】ちなみに、植栽基材14のトレイ15と屋上の床面12との間の隙間の上下幅は、植栽物13の種類によって異なる。例えば、例えばメキシコマンネングサ,マルバマンネングサ等のセダム類では、前記隙間の上下幅は1.0〜2.0cm(最適値は1.5cm)、クローバ,シロツメグサ等のマメ科では0.3〜0.7cm(最適値は0.5cm)が好適である。また、ミント,ラベンダー等のハーブ類では、0.5〜1.5cm(最適値は1.0cm)、アロエ,サボテン等の多肉類では、1.5〜2.5cm(最適値は2.0cm)が好適である。
【0059】(変更例)なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態において、培土18中の団粒土18a及び粗骨材18bの種類を任意に変更して構成すること。例えば、団粒土18aとして、粘土等から人工的につくられた団粒土を使用したり、粗骨材18bとして石灰岩の砕石を使用したりすること。
【0060】・ 前記実施形態において、培土18中の団粒土18a、粗骨材18b等の混合比率を任意に変更して構成すること。
・ 前記実施形態において、トレイ15の形状を例えば平面正方形,あるいは正六角形等の他の形状に変更して構成すること。
【0061】・ 前記実施形態において、支持具20及び固定具22の形状を任意に変更して構成すること。例えば、支持具20及び固定具22を平面六角形にすること。
・ 前記実施形態では培土18を保持するための保持手段として、合成樹脂の繊維よりなる網体17を用いたが、これの代わりに、多数の細長い紙(耐水性を有するものがよい)や布を用いること。
【0062】・ 前記実施形態においては、スプリンクラ40の作動が日照時間のカウント値に従って行われるように構成したが、培土18中に湿度センサを埋設して、その湿度センサの検出値が所定の乾燥度合いを越えた場合にスプリンクラ40が作動するように構成すること。
【0063】
【発明の効果】以上、実施形態で例示したように、この発明においては、植栽物を広い圃場を必要とすることなく容易に栽培養生することができて、栽培コストを低減することができるとともに、植栽物の運搬や施工が簡単になり、施工コストを低減することができる。また、この発明においては、植栽物を匍匐繁茂させることができて、見栄えを向上できるとともに、メンテナンス負担を軽減することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】596037208
【氏名又は名称】株式会社ヌルハウス
【住所又は居所】東京都豊島区高田1丁目36番22号
【出願日】 平成14年5月13日(2002.5.13)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【公開番号】 特開2003−325038(P2003−325038A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−136928(P2002−136928)