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【発明の名称】 セダム類の植生方法及びその植生基盤
【発明者】 【氏名】福田 千蔵
【住所又は居所】島根県出雲市大津町1778番地1 株式会社イズコン内

【氏名】永田 一成
【住所又は居所】島根県出雲市大津町1778番地1 株式会社イズコン内

【要約】 【課題】斜面崩壊防止工法などの植生工に広く利用されているセダム類は、乾燥に強く耐久性に優れている反面、生育が早く、花を付けた後短期間で枯死する問題がある。しかも、セダム類の植生域には雑草が入り込みやすく、雑草の温床となってしまう。

【解決手段】前面に開口部を有する空間にセダム類を植生する方法であって、下方部に排水孔を有し、底部に少量の植生土壌や砂礫を充填する該空間の、開口部下側に立上部、開口部上側に垂下部を設けることにより、該開口部の上部及び下部の一部を覆って栽培室とする。或いは、セダム類を栽培する空間の開口部を前面側に複数穿設した平板状のブロックであって、該開口部下側の立上部、該開口部上側の垂下部により該開口部の上部及び下部の一部を覆った空間を栽培室とすると共に、該栽培室の背面と底面の少なくともいずれかに排水孔を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前面に開口部を有する空間にセダム類を植生する方法であって、下方部に排水孔を有し、底部に少量の植生土壌や砂礫を充填する該空間の、開口部下側に立上部、開口部上側に垂下部を設けることにより、該開口部の上部及び下部の一部を覆って栽培室としたことを特徴とするセダム類の植生方法。
【請求項2】 セダム類を栽培する空間の開口部を前面側に複数穿設した平板状のブロックであって、該開口部下側の立上部、該開口部上側の垂下部により該開口部の上部及び下部の一部を覆った空間を栽培室とすると共に、該栽培室の背面と底面の少なくともいずれかに排水孔を設けたことを特徴とするセダム類の植生基盤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、擁壁などの壁面にセダム類を植生する方法及びセダム類の植生基盤の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】法枠工法など斜面崩壊防止工法においては、法面に種子を含んだ土壌の吹き付けなどによって、斜面の緑化が図られている。ところが、擁壁などのコンクリート製の垂直壁面などでは、土壌が定着しやすい基盤が必要となることや、土壌を定着させても高温になって乾燥しやすいなどの要因で植生した植物がすぐに枯死し、緑化が難しい問題がある。このことは、ビルの壁面などに緑化を導入する際の問題点ともなっていた。
【0003】従来では、植生基盤として植生ポットの設置や植栽用土壌を充填する植栽用の溝や孔を穿設したコンクリートブロックを設けるなど、植生基盤を付加する方法で緑化が行われている。植生植物としては、乾燥に強く耐寒性に優れているセダム類が広く利用されている。セダム類は、ベンケイソウ科の一属でマンネングサ属とも呼ばれる多肉植物の総称で、例えばキリンソウ、メキシコマンネングサ、オノマンネングサ、ツルマンネングサなどがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、セダム類を植生した場合、悪条件の環境下でも耐久性があるが故に生育が早く、花を付けた後短期間で枯死してしまう問題が生じていた。また、植生域には雑草も入り込みやすく、次第にこれに取って代わられて景観を保てなくなってしまう結果となっていた。
【0005】従って、従来の緑化方法や緑化を目的とするコンクリートブロックや植生ポットなどでは、セダム類を植生して1年ほどは形態、花色、葉色が変化に富んだ綺麗な景観を作り出せるものの、その後は生育が低下したり枯死してしまい雑草の温床とならざるを得ないものであった。このようなことから、灌水、施肥、剪定などの手間をかけることなく緑化を促進できるセダム類を植生しても、擁壁などのコンクリート製の垂直壁面には、実質的に長期間に渡って緑化による景観を維持することができないという大きな要因となっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は上記問題に鑑み鋭意研究の結果、本発明を成し得たものであり、その特徴とするところは、方法の発明にあっては、前面に開口部を有する空間にセダム類を植生する方法であって、下方部に排水孔を設け、底部に少量の植生土壌や砂礫を充填する該空間の、開口部下側に立上部、開口部上側に垂下部を設けることにより、該開口部の上部及び下部の一部を覆って栽培室としたことにある。
【0007】物の発明にあっては、セダム類を栽培する空間の開口部を前面側に複数穿設した平板状のブロックであって、該開口部下側の立上部、該開口部上側の垂下部により該開口部の上部及び下部の一部を覆った空間を栽培室とすると共に、該栽培室の背面と底面の少なくともいずれかに排水孔を設けたことにある。
【0008】ここで、本明細書中でいう栽培室とは、セダム類を植生するため、前面に開口部を有すると共に下方部に排水溝を設け底部に植生土壌を充填する空間である。本発明に係るセダム類の植生方法では、開口部の下側に立上部、開口部の上側に垂下部を設けることで、前面に開口部を有する空間が、上部と下部が覆われた状態とする。これにより、光や雨水が入り込みにくくして植物の生育条件が低くなる環境にすることで、耐久性のあるセダム類の生育を抑えることができ、ひいては長期に渡って緑化を継続させることが可能となる。
【0009】本発明に係るセダム類の植生基盤は、セダム類を栽培する栽培室として、前面側に開口部が複数穿設された平板状のブロックを利用する。本発明では該開口部の下側に立上部、該開口部の上側に垂下部を設け、該開口部の上部及び下部の一部を覆った空間を栽培室とする。そして、該栽培室の背面と底面の少なくともいずれかに排水孔を設ける。
【0010】このブロックの構造や形成方法は特に限定するものではなく、例えば、抜き型を利用して一体成形する他、複数の陥凹部が一面に穿設されたブロックに、該陥凹部より上下方向の幅が狭い複数の貫通孔が穿設された別体のブロックを貼り合わせて形成する。
【0011】栽培室の底部に充填する植生土壌等は、セダム類の生育を抑えることを目的とするため、約10mm以下の充填深さにするのが好ましい。本発明に係る植生基盤においては、立上部の上端を充填した土壌等から最低約25mm以上高くすることで、開口部を覆う効果が生じることから、立上部の上下方向の長さは(栽培室の底面から)約35mm〜80mm程度の範囲とする。また、立上部の上端から垂下部の下端までの実質開口部の上下方向の長さは、約20mm以上80mm以下にする。実質的に、栽培室の高さは60mm以上とし、垂下部の上下方向の長さを(栽培室の天面から)約5mm以上にして、上述した実質開口部と立上部の上下方向の長さの範囲内にすることにより、栽培室に雨水や日光が入り込みにくくする効果が生じる。このため、栽培室の高さは最低60mm、奥行き長さは最低30mmあればよく、これより大きくすることについては限定するものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0013】図1は本発明に係るセダム類の植生方法の実施の形態の一例を示すもので、前面に開口部2を有する空間において、該開口部2の下側に立上部3と、上側に垂下部4を設けると共に下端部に排水孔5を設けた空間を栽培室6とし、ここに植生土壌7を充填してセダム類Sを植生する方法である。立上部3と垂下部4を設けることにより、上下方向の幅が狭い実質開口部21を形成し、図の矢印のように雨や日光が栽培室5内に入りにくく、セダム類Sの生育を抑制させることができる。
【0014】本発明に係るセダム類の植生基盤1としては、図2のように開口部2の上下に垂下部4と立上部3を設けた栽培室6を一体的に成型した平板状のコンクリートブロックによって、本発明方法が実施される。
【0015】本発明に係るセダム類の植生基盤1の実施の形態の他の例として、図3に示すように、前面側に複数の陥凹部8を設けたコンクリートブロックに、該陥凹部8より上下方向の幅を狭くした貫通孔9を穿設したコンクリートブロックを貼り合わせて形成してもよい。
【0016】本発明方法を実施するにあたり、幅1000mm、高さ300mm、厚さ50mmのコンクリートブロックを例にした各部の最小寸法を図4に示す。尚、実質開口部21(立上部3の上端と垂下部4の下端の間の実際の開口部分)の幅や配置、排水孔5の数や位置は限定するものではない。
【0017】
【発明の効果】以上のように本発明に係るセダム類の植生方法は、前面に開口部を有する空間にセダム類を植生する方法であって、下方部に排水孔を設け、底部に少量の植生土壌や砂礫を充填する該空間の、開口部下側に立上部、開口部上側に垂下部を設けることにより、該開口部の上部及び下部の一部を覆って栽培室としたこと。また、本発明に係るセダム類の植生基盤は、セダム類を栽培する空間の開口部を前面側に複数穿設した平板状のブロックであって、該開口部下側の立上部、該開口部上側の垂下部により該開口部の上部及び下部の一部を覆った空間を栽培室とすると共に、該栽培室の背面と底面の少なくともいずれかに排水孔を設けたことにより、特に、根茎部分に光がほとんど当たらないようにすることができ、極めて耐久性の高いセダム類の生育を抑制して、長期間にわたって緑化を維持させることが可能となる。また、開口部に設けた立上部や垂下部により、雑草類も入り込みにくくなると共に、入り込んだとしても生育しにくく、除草の手間もほとんどかからないなど極めて有益な効果を有するものである。
【出願人】 【識別番号】391054143
【氏名又は名称】株式会社イズコン
【住所又は居所】島根県出雲市大津町1778−1
【出願日】 平成14年5月8日(2002.5.8)
【代理人】 【識別番号】100080724
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 久喜
【公開番号】 特開2003−325036(P2003−325036A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−132640(P2002−132640)